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2013年8月11日 (日)

ワシントン・ポスト新オーナー、いかにCIAを支援し、WikiLeaksを妨害し、書籍業界を壊滅させたか

Democracy Now!

2013年8月7日、水曜

ワシントン・ポストは、月曜日、同紙はamazon.com創設者で、CEOのジェフ・ベゾスに、2億5000万ドルで売却されたと発表した。ベゾス、世界で最も金持ちの一人が、今やアメリカで最も有力な新聞の一紙を支配している。この譲渡を批判する人々の中には、ベゾスのアメリカ政府との密接なつながりをあげるむきもある。2010年、政治的圧力圧を受け、アマゾンは、WikiLeaksウェブサイトのホスティングをやめた。今年早々、アマゾンは、CIAと6億ドルのクラウド・コンピューティング契約を結んだ。独立した書店や出版社各社は、長いことアマゾンの商慣習について不満を言ってきた。番組は、アマゾンの歴史と新聞業界の未来に関する討論会を開催する。"独占的新聞、特に国家の首都のワシントン・ポストは、商業的には発展の可能性がある事業ではないかも知れないが、大変な政治力を持っている"とフリープレスの共同創設者ロバート・マクチェズニーは語っている。"これは、こうした億万長者用のおもちやで、連中の政治を推進するのに積極的に利用することが可能なものです" メディア評論家ジェフ・コーヘンは、ワシントン・ポストが、ウォーターゲート報道や、ペンタゴン・ペーパー公開を数十年前に行ったのは特筆すべきだが、近年、"ワシントン・ポストは実際には、超党派合意の新聞だった"と指摘し、同社のジャーナリズムの伝統を、ベゾスが破壊するという懸念には根拠がないと考えている。メルビル・ブックスの出版業者デニス・ジョンソンとも話をする。"アマゾンは痛みを感じない会社だ。アマゾンは、本当に決して儲けたことがない。… 彼がワシントン・ポストを買収するのを見て、収益化できるつもりなのか、儲かるものにしようとしているのかと、皆疑問に思うだろううが、彼はそういうことは全く気にしていないだろう。"とジョンソンは述べている。

番組の文字起こし

これは急ぎの文字起こしであり、必ずしも最終的文章ではない。

ネルミーン・シャイク:: 今日の番組は、アメリカの代表的新聞の一つの、世界で最も裕福な一人への売却に関する座談会から始めましょう。月曜日、ワシントン・ポストは同紙が、amazon.com 創設者でCEOのジェフ・ベゾスに買収されたと発表しました。ベゾスは、同紙や多数の他の刊行物に対して、280億ドル以上と推定されている彼の資産の1パーセント以下の、2億5000万ドルを支払う予定で。ベゾスは、その一家が80年間、新聞を所有してきたワシントン・ポスト社の最高経営責任者、ドナルド・グラハムの友人です。

ベゾスは、ワシントン・ポスト紙の経営部は変わらないと言っていますが、どんな変更が行われるのか不明です。昨年、ベゾスは、ドイツの新聞、ベルリナー・ツァイトゥンクのインタビューでこう言っています。"私が確信していることが一つあります。20年のうちに、印刷された新聞はなくなります。豪奢なサービスとして提供したいというホテルあたりでは、ぜいたく品で残るかも知れません。印刷された新聞は20年先には、あたりまえのものではなくなります。"

エイミー・グッドマン: 譲渡を批判している人々は、ベゾスのアメリカ政府との密接なつながりを指摘しています。2010年、強い政治的圧力の下で、アマゾンは、WikiLeaksウェブサイトのホスティングを止めました。今年早々、アマゾンは、クラウド・コンピューティングで、CIAと6億ドルの契約を締結しました。

これから三人のゲストに参加頂きます。ウィスコンシン州マディソンでは、フリー・プレスの共同創設者で、『Digital Disconnect: 資本主義が、いかにして、インターネットを、反民主主義へと転換したか』を含む、マスコミと政治に関する多数の本の著者ボブ・マクチェズニーさん。その第一章は我々のウェブサイト、democracynow.orgでお読み頂けます。最近ジョン・ニコルズとの共著『Dollarocracy: 金・メディア選挙複合体が、いかにアメリカを破壊しているか』も刊行されています。

Democracy Now! ビデオ・ストリームで参加下さるのは、イサカ大学、独立メディアの為のパーク・センターのセンター長で、そこでジャーナリズム教授もしておられるジェフ・コーヘン。彼はマスコミ監視団体FAIR、Fairness & Accuracy in Reporting(報道の公正と正確さ)創設者です。

こちらニューヨーク市には、出版社メルビル・ハウスの共同創設者で共同出版者のデニス・ジョンソンさんが同席されています。彼は最近『オバマ事業計画: アマゾンのようになれ』という記事をお書きになりました。

皆さんDemocracy Now!にようこそ。ボブ・マクチェズニーさん、ウィスコンシン州、マディソンのあなたから、始めていただけますか? ジェフ・ベゾスが、ワシントン・ポストの新オーナーになったという業界を揺るがしたニュースに対する御意見から?

ロバート・マクチェズニー: この購入に対する、構造的な理解と、文脈を把握することが重要だと思います。本当の話、ことの背景は、ワシントン・ポストの価値は、この国の他のあらゆるニュース・メディア同様、過去5年から10年間で、1990年代末の十分の一、十五分の一にまで急落しており、現時点では、賢明な商業投資ではないのですから。エイミーさん、番組の始めで、あなたが言われた通り、商業ジャーナリズムはもはや儲かるものではありません。それが投資家が逃げ出している理由です。

しかし独占的新聞、とりわけ国の首都のワシントン・ポストには政治的には依然大きな価値があります。商業的には発展の可能性がある事業ではないかも知れませんが、それでも依然途方もない政治権力を持っています。こういう風に理解すべきだと思います。これら存続している伝統ある独占的新聞、シカゴ・トリビューン、ワシントン・ポスト、ボストン・グローブ等が金持ちにとって魅力なのは、連中は短期的には新聞で金儲けはできないでしょうが、投資で連中の政治的目標を推進する為の大きな政治力が得られるからです。ジェフ・ベゾスのような人物の場合は将来いつか大儲けもできるかも知れません。

ネルミーン・シャイク:: ジェフ・コーヘンさん、ワシントン・ポスト社のジェフ・ベゾスへの譲渡について、ボブ・マクチェズニーさんがおっしゃった、ワシントン・ポストの価値が、いかに数年間、連続して低下したかということについて、そして、一体なぜ、ジェフ・ベゾス、この買収をしたのだろうか?について、お話ください。

ジェフ・コーヘン: ジェフ・ベゾスが、昔の発言で、印刷された新聞は、ぜいたく品になると話しているのは、良い感じで、道理にかなっていると思います。ジェフ・ベゾスのワシントン・ポストは、連邦議会界隈で、ぜいたく品として残るわけではないでしょう。相当オンライン化の方向に行くかも知れませんが、連邦議会では、そのまま残るでしょう、ベゾスは、国の首都において、そうした類の影響力を欲しているように思いますから。

ベゾスの政策に関するあらゆる記事を読んできました。ワシントン・ポストほど影響力のある新聞、実際、約十年前、我々にイラク侵略に参加するよう促した新聞の唯一の所有者である場合に、もちろん大変重要なことです。しかし、ベゾスは多くの大企業経営者と同じです。社会政策についてはリベラルです。彼は同性愛者同士の結婚承認運動に寄附をしています。しかし、彼を裕福、強力にしてくれた企業に影響を与える経済政策については、彼は非常に保守的です。ワシントン州内の上位1パーセントの人々に所得税を課そうという、ワシントン州の直接請求に、ベゾスが大金を寄附をしたことを我々は聞いています。マイクロソフトのビル・ゲーツと、ビル・ゲーツの父親はそれ支持しました。しかし、ベゾスは、それを止めようとして、お金をつぎ込んだ億万長者の一人でした。労働政策では彼は保守派で、アマゾンの労働政策がどのような酷いものか我々は知っています。

そして、最も重要なことは、先月頃からアメリカ・ジャーナリズムが直面している最大の問題は監視国家であり、納税者から得ている諜報機関予算の70パーセントが、民間企業に回るので、こうした大企業は、監視国家から利益を得ています。そして皆様が触れられた通り、アマゾンは、CIAにクラウド・サービスを提供する大規模な契約を成立させたばかりです。しかも、それが唯一の契約ではないことを我々は知っています。彼等はもっと契約が欲しいのです。

エイミー・グッドマン: メルビル・ハウスのデニス・ジョンソンさん、出版業者として、アマゾンについて、どのように感じておられますか? アマゾンの買収、というかジェフ・ベゾスのワシントン・ポスト買収についてのお考えは?

デニス・ジョンソン: ええ、出版業者としての私の感触も、アメリカ人としての私の感触も同じです。これは対処するのが実にやっかいな会社です。思想の市場に、全く新たなモデルを開発した会社です。先にお話になったお二人が言っておられたことに、多少貢献できるかも知れない、想起すべきことことは、一つはアマゾンは設立以来、アメリカ合州国のみならず世界中で、税金の支払いを、あるいは売上税の徴収を避けてきた会社だということです。二つ目は

エイミー・グッドマン: ご説明ください。

デニス・ジョンソン: 彼等は、小売商として、彼等のウェブサイト上で販売されるあらゆるものに対して、売上税を徴収することを要求されています。彼等は、設立以来、それを行ったことがありません。実際、ベゾスがそもそも会社を始めようとした際、インディアン保留地に設立しようとしていました。そこは主権国家で、いかなる税を徴収する必要がないだろうと思った為です。彼がシアトルに会社を作ったのは、国の他の場所で、税金を徴収しないことによる会社の売上に対する損害が、そこが一番少ないだろうと感じた為です。

ですから、先日、テネシー州チャタヌーガに、更に一年課税をしないという合意が州とできたがゆえに、アマゾンが開設した同社倉庫にオバマ大統領がでかけて演説したのは、ある種まやかしでした。同社はこれまで、テネシー州で税金を払ったことがなく、そして、もう一年か二年、払うつもりはないのですが、2,000人雇用すると約束しています。オバマが慶賀しているのは、こういう雇用です。これは会社にとって、明らかに極めて有害な政策です。同社はイギリスでも、ヨーロッパ各国でも、同様な政策に対して、紛争になっています。

アマゾンに関して考えるべきもう一つの点は痛みを感じない会社だということです。彼等は、私の知る限り、決して儲けていません。アマゾンの四半期財務諸表は、売上は一貫して伸びています。天文学的な数字です。前回の四半期だけでも1570万ドルです。しかし損失も、毎期伸びています。小売り市場ではもう驚異的な実績です。それと一体どのようにして競合できますか? 出版業界で、バーンズ & ノーブルや、小規模なマイナー出版社が、これほど一貫して損失を出し続けられる会社と、一体どうやって競合できるでしょう? もちろん競合できません。不可能です。彼がワシントン・ポストを買収するのを見て、収益化できるつもりなのか、儲かるものにしようとしているのかと、皆疑問に思うでしょうが、彼はそういうことは全く気にしていないでしょう。明らかに、それが狙いではありません。金儲けをしようとしている風な運営をしないのが彼の事業です。

エイミー・グッドマン: しかし、彼は280億ドル稼ぎましたよ。

デニス・ジョンソン: 個人的には。確かに彼は大金持ちで、世界でではなくとも、アメリカでは最も金持ちの一人です。しかし会社は、何期も続けて利益を計上していません。

ネルミーン・シャイク: ワシントン・ポストを買収した後の従業員への手紙では、アマゾンのジェフ・ベゾスは、あらゆる潜在的な利益相反に対処しようとしている様子で、こう書いています。"ポスト紙の価値観は不変です。ポスト紙の義務は、読者第一に対するもののままであり、オーナーの個人的利益よ対するものではありません。"しかし多くの人々が、アマゾンは、連邦政府に影響力を行使しようとして、ハイテク企業としては最大の資金を使っている企業の一社だと指摘しています。デニス・ジョンソンさん、これについてお話頂けますか。アマゾンの政治ロビー活動取り組みは一体何であり、これがベゾス支配下のポスト紙に掲載されるものに対して影響するとすれば、一体どのように影響するかについて?

デニス・ジョンソン: ええ。出版業界の人間としては、これは極めて見え見えの動きです。彼はワシントンにおいて権益を増大させてきた人物です。司法省の書籍業界訴訟が終わったばかりですが、この国の独占禁止法について我々が知っていることからすれば、全く相いれないような衝撃的な訴訟です。しかも、それは大半の出版業界の人々が、アマゾンが仕組んだ事件だと感じていて、実際アマゾンが、この裁判を始める最初の訴えを起こしたのです。それで彼等が勝利しました。彼等が勝った時、書籍業界の大半の人々は、そもそもアマゾンは独占企業だと我々は考えていますが、今我々は、アマゾンは政府公認の独占だという風に感じています。そうなったら何が起きるでしょう? 判決が出されたわずか数日後、アメリカ大統領がアマゾンの倉庫を訪問し、労働者の背中を軽くたたいて"よく頑張ったね!" と言ったのです。これは明らかに

エイミー・グッドマン: これは我々にとって新情報ですが、オバマ大統領は、先週訪問した際、ベゾスがワシントン・ポストを買収するのを知っていたと思われますか? 過去数日間にインタビューされたワシントン・ポスト多くの記者達さえ、全員驚いているように見えました。

デニス・ジョンソン: ええ、これは実際しっかりと守られた秘密でしたが、同時に多くの報道は、おそらくは約一ヶ月前に締結されたと報じています。

エイミー・グッドマン: NSAが我々全員の情報をどれだけ収集しているかを考えれば、大統領が知らなかったというのは信じがたいことです。

デニス・ジョンソン: 私の感覚では

エイミー・グッドマン: ジェフ・ベゾスは電話や電子メールで決してこれに触れなかったとは思わないですか?

デニス・ジョンソン: いいえ。私にはわかりません。大統領は知っていただろうと思います。しかし、実際起きたことだけを見れば、大統領が出向いていって、本当に中産階級を押し上げることになると彼が言っている会社を称賛しましたが、実際には、こうした雇用は平均時給11ドルの仕事です。その地方での生活費がまかなえるわけではありません。連中は、税金逃れで抱き込まれたのです。これが大統領の雇用政策でしょうか?

エイミー・グッドマン: ここで休憩してから論議を続けます。メルビル・ハウスのデニス・ジョンソンさん、フリー・プレスの共同創設者ロバート・マクチェズニーさんと、ジャーナリズムの教授で著者で、イサカ大学の「独立メディアの為のパーク・センター」所長のジェフ・コーヘンさんに出席頂いています。こちらはDemocracy Now!です。すぐ再開します。

[休憩]

エイミー・グッドマン: 我々はamazon.comの所有者、創設者で、最高経営責任者のジェフ・ベゾスが、ワシントン・ポストを買収した件について討論会をしています。メルビル・ハウスのデニス・ジョンソンさん、フリー・プレスの共同創設者ロバート・マクチェズニーさんと、ジャーナリズムの教授で、イサカ大学の独立メディアの為のパーク・センター所長のジェフ・コーヘンさんに出席頂いています。

コロンビア・ジャーナリズム大学院、デジタル・ジャーナリズム・タウ・センター所長エミリー・ベルが書いたジェフ・ベゾスに関する記事を読んでみたいと思います。彼女はこう書いています。"彼は一体どのように反応するだろう。特に、アマゾンの最近のCIAにクラウド・サービスを提供する6億ドル契約の成立後、NSAや、 我々のあらゆる動きを追跡する為のハイテク業界と同社の秘密協定に関して、彼自身の会社の刊行物に掲載される記事の流れに対して? 彼自身が所有する新聞によって、アマゾンの労働慣行が詮索されるのを喜ぶだろうか? 成功の為の最高の方策が、大統領や他の役人達を苛立たせ、傷つけ、あるいは、最善策は排除だ、という世界に暮らすのが彼の気に入るだろうか?" 興味深い質問ですね、ジェフ・コーヘンさん。

ジェフ・コーヘン: はい、皆良い質問だと思います。そこで一つ欠けているのは、ワシントン・ポストの神聖化された伝統、神聖化されたジャーナリズムの伝統の議論です。過去一日半の多数のマスコミ記事を読んでいる人なら皆聞いたことがあると思います。"ワシントン・ポストのジャーナリズムの伝統、ウォーターゲートを報道した新聞、あるいは、ウォーターゲートを暴露し、ペンタゴン・ペーパーを公開した新聞に、一体何が起きようとしているのか?" あらゆる真剣で、極めて勤勉なニュース読者なら、ウォーターゲートの陰謀やペンタゴン・ペーパーの様な出来事は40年前のことであることに気がつくだろうと思うのです。ベゾスが破壊してしまうのではないかと我々が恐れている神聖化されたワシントン・ポストの伝統は、悪化する可能性もあり、そうでない可能性もあります。一番可能性が高いのは、神聖化された伝統を継続することでしょうが、40年間、ワシントン・ポストは実際は超党派合意の新聞です。イラク侵略の様な話題も、現在いまだに権力を握っている、タカ派のフレッド・ハイアットの類が率いる社説ページ無しにはまず実現しなかったでしょう。ワシントン・ポストのフレッド・ハイアットの社説ページは、イラク侵略の5カ月前、侵略を強く促す二十編以上の論説載せました。侵略に疑念を抱く人々は、社説ページと論説ページで、容赦なく酷評されましたが、彼等自身が発言することは許されなかったのです。ですから、グラハム家支配下のワシントン・ポストを、ウォーターゲートを報じた新聞として、人々が語るのを聞いていると、現在のバラク・オバマを見て、彼はシカゴの貧しい人々の中に入り込んで暮す地域のまとめ役だと言う人々と同じに思えるのです。ウォーターゲートのワシントン・ポストは何十年も昔の話です。ワシントン・ポストは、過去10、12年間、フレッド・ハイアット論説委員長に支配された、アメリカの介入、帝国主義外交政策の極めて重要な道具として見なすべきです。

エイミー・グッドマン: あなたがおっしゃった事に関して、コリン・パウエルの対国連イラク・プレゼンテーションの翌日に掲載されたワシントン・ポスト論説の一部を読ませてください。2003年2月の見出し、"反論の余地のない" の一部にはこうあります。"イラクが大量破壊兵器を所有していることを疑える人がいようとは、とうてい想像出来ない。パウエルは、武装解除の'最後の機会'という安全保障理事会の提言を、イラクが受け入れたなどと、真面目に主張する余地を残さなかった" 見出しは、繰り返しますが、"反論の余地のない"です。

ジェフ・コーヘン: それから二日間、ワシントン・ポスト論説欄では、中道左派から極右に至るまでの論説コラムニスト全員が、コリン・パウエルの演説を支持し、イラク侵略を支持しました。過去10、20年間、同紙では、それが当然の事であり続けてきました。

ネルミーン・シャイク: ペンタゴン・ペーパーやウォーターゲートについても触れられました。ボブ・ウッドワードと、カール・バーンスタイン、もちろんワシントン・ポストの歴史の中で最も有名な記者達は、アマゾンのジェフ・ベゾスへの新聞売却については、楽観的だと言っています。ウッドワードはこう語っています。"もし、誰か成功できる人がいるとすれば、それはベゾスだ。彼は革新的な人物で、金と忍耐力を持っているのだから、見ていようではないか。何らかの意味で、これはポストが、少なくとも、かってそうであったものの何らかの形で生き残れる最後のチャンスかも知れないと私は思う。" バーンスタインも、ベゾスに大いに期待していると語っており、彼は、"私には、あらゆる利用可能なツールと、新時代と旧時代の最善の感覚を駆使して、我々の多くが望んでいたような規模で、偉大なジャーナリズムへの再コミットメントをもたらすのに必要なまさに独創的で革新的な選択の様に思える。"と言っています。 ジェフ・コーヘンさん、これにコメントいただけます?

ジェフ・コーヘン: ええ。彼は独創的かもしれませんし、彼には十分な富があり、もし私がワシントン・ポストのジャーナリストだったら、私も、金を垂れ流し続けてきたグラハム家と対照的に、十分な富のある誰かを望むでしょう。しかし、現実は、あなたが先に指摘された様に、現在、大問題の一つは監視国家で、この人物をこれほど大金持ちにした会社アマゾンは、監視国家に実に深く組み込まれているのです。私は大いに不安です。ボブ・ウッドワードについては、40年前に彼は陰謀を暴き、大統領を引きずり下ろしました。過去10、12年間、共和党員であれ、民主党員であれ、アメリカ大統領と、彼はもう実に親密です。

ネルミーン・シャイク: ボブ・マクチェズニーさん、あなたの御意見は?

ロバート・マクチェズニー: 不条理なのは、この国で、営利企業によって維持される事業としてのジャーナリズムが死につつあるという所まで、我々は落ちぶれさせられてしまっていることだと思います。この独占フランチャイズが、例えば、コッホ兄弟と比べて、善良な億万長者がに助けられて欲しいという所まで、我々は落ちぶれさせられてしまっています。しかし我々は、一歩下がって、どれほど、とんでもない状況か、惨めな状態に落ちぶれさせられているかを理解すべきです。我々は実際に本当のジャーナリズムが必要なのですから。手遅れになってしまう、あるいはどっぷり浸かってしまうずっと前に、戦争計画のことを報じてくれる、NSAのことを報じてくれるジャーナリズムが必要なのです。我々は今そういうものを持っておらず、現在の制度が、そういうものを我々に与えてくれるだろうと考える根拠も皆無です。信じられないほど腐敗していますから。

現在の様な制度が、百年前にもアメリカ合州国にあったことは注目に値するでしょう。1900年から1915年までの間のアメリカ・ジャーナリズムを見てみると、大都会を除いて、途方もなく、集中化するようになっていました。巨大帝国がいくつもありました、ハースト、ピューリッツァー、スクリップス等、当時のボス連中は、自分達の政治を推進する為に、活発かつ積極的に、彼らの権力を活用しましたが、それは概して右派で、反労働者的な政治でした。ジャーナリズムに大変な危機があった当時の結果として、所有者や広告主によって、編集内容が、直接影響されるべきではないという、プロのジャーナリズムの考え方が生み出されることになったのです。何の資源も無しに、そうしているという点を除いて、我々は、そういう時代に逆戻りしているのです。しかも、当時にあった説明責任より遥かに僅かな説明責任しか存在していません。ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴの様なアメリカの大都市のそれぞれに、当時、4、5、6、8紙の大手日刊紙がありました。現在、もうそういうものは存在しません。

今のジャーナリズムは、億万長者達自身の政治を推進する為に積極的に利用できる、そうういう億万長者連中用のおもちゃです。自分の個人的な政治を推進する方法にについて話す場合に、ジェフ・ベゾスのような人物が編集室に乗り込み、"これを載せろ。あれは載せるな。"と命令するようなものではないことを理解しなければなりません。そういう風に機能することは稀です。そういうことは百年に一度しか起きません。まず基本的に、組織文化を設定すると、そこで生き残りたい賢いジャーナリスト達は価値観を自分のものにし、価値観を自分のものにしない連中は、会社から離れるのです。

エイミー・グッドマン: ボブ・マクチェズニーさん、コッホ・インダストリーズが、もちろん、これについて、しばらくの間、話してきたのですが、ロサンゼルス・タイムズ、シカゴ・トリビューン、バルチモア・サン、オーランド・センティネル等を含むトリビューンの有名な地域新聞の買収に関心を持っていましたね。最近そういう状況です。コッホ兄弟もいます。ウォーレン・バフェットもいますね? あれはどうでした? 昨年、バフェットのバークシャー・ハサウェイが、28の日刊新聞を、3億4400万ドルだかで買収しました。現在、アメリカ合州国はそういう形で動いています。ジェフ・ベゾスを、この新聞を何十年間も所有していたグラハム家と比較してみましょう。

ロバート・マクチェズニー: おっしゃる通りです。我々はこうした投資をしている所有者達、コッホ兄弟の様な人々がいる状況を目にしているわけです。

エイミー・グッドマン: もちろん、ブルームバーグもありますね。ニューヨーク市知事を忘れるわけには行きません。

ロバート・マクチェズニー: ええ。

エイミー・グッドマン: ブルームバーグ・ニューズ、世界最大のニュース・メディア企業の一社は、世界中146の支局で、2,300-2,300人の専門家を雇用していて、それより遥かに多数の社員を雇っていますね。

ロバート・マクチェズニー: はい。ジョン・ニコルズと私は、Dollarocracyという本の中で、コッホ兄弟やシェリー・アンダーソンの様な人々や、選挙で買収するため、多くの場合、匿名でこっそりと黒い金で、何百万も、何千万も、何億ドルも使っている、名前を売りたがっているわけではない、大半のアメリカ人が知らない、多数のCEOや億万長者達の概要を説明しました。これを綿密に見てみると、連中が政治的投資として、新聞の買収を始めたくなったのは実に辻褄が会うのです。新聞は今、非常に安値ですし、新聞で、諸問題を自分の好きな様に表現させることで、議論を支配することができるのです。自分が考えていることを語るのが重要です。これは非常に賢明な政治上の投資です。民主主義理論、民主的統治を懸念している人々にとっては、憲法制度が機能する為に、この国が必要としているものと対極にあります。ニュース・メディア、言論界、我が国の立憲制度の柱が、億万長者達のおもちゃとなり、何の責任も負わなくなった場合、我が国の政府、我が国の統治制度は、金持ちのおもちゃでない、重要なものとしては効果的に機能できなくなります。

ネルミーン・シャイク: デニス・ジョンソンさん、会社としてのアマゾンに対する幾つかの懸念を話しておられましたね。同社の労働慣行、納税忌避等々。今のこの立場での、ベゾスの権益はどうなっているのか、アマゾン-アマゾンで起きていることが、どのように、それに影響するのか、お考えをきかせて頂けますか?

デニス・ジョンソン: はい、ポスト買収に関する彼の立場は、かなり明白に思えます。つまり、ワシントンには、彼が懸念している、売上税徴収に関する審理中の法律があるのです。彼は、アマゾンは、司法省の決定の結果、益々あからさまに、独占企業として語られるようになっています。これに対し、何がなされるべきかということです。

エイミー・グッドマン: 司法省の決定は?

デニス・ジョンソン: 少し前にお話した最近なされた決定というのは、アップルと、大手出版業者6社中5社の価格談合と疑われるものの訴訟です。実際に、彼等がやろうとしていたのは、アマゾンに、本当に市場を破壊してしまっている酷い値引きを辞めさせる方法を生み出す、見つけ出すというだけのことです。そこで、ワシントンD.C.に新聞、とりわけ、この新聞を持っておくことが、彼にとって非常に便利なのです。これはかなり明白なことに思えます。

エイミー・グッドマン: メルビル・ハウスの出版業者としてのあなたに対するアマゾンの影響はどのようなものでしたか?

デニス・ジョンソン: ええ、アマゾンが実際市場を支配しています。私の出版社はアマゾンとほぼ同じ期間、継続しているので、我々はそれが起きるのを見ていました。彼等が今のようになるのを。メルビル・ハウスの視点から。わが社は活動家の出版社ですが、通常の商業出版社でもありまして、フィクション、詩や様々な本を出しています。それが我が社のデジタル・ビジネスの90パーセントです。それが我々の商売全体の、少なくとも30、あるいはそれ以上のパーセントです。これは

エイミー・グッドマン: それで、一層儲かりますか?

デニス・ジョンソン: それで儲かるかというのは? どういう意味でしょう?

エイミー・グッドマン: つまり、このグローバル市場があるおかげで、より多くの本が売れているのですか?

デニス・ジョンソン: わが社の事業総体が伸びているとは言えません。全くそうではありません。実際、不況で、下降しています。アマゾンが市場を悪化させたのです。彼らの、アマゾンの勃興と、連中の容赦のない戦術のおかげで、アマゾンは多数の小売り商を廃業に追い込みました。それは、彼等にとっても問題なのですが。つまり"ショウルーム効果" と呼ばれる現象があって、人々は、本の購入を決める前に、実際に書店を本を見る必要があります。それはアマゾンの売上、電子書籍の売上にさえ影響します。彼等は

ネルミーン・シャイク: あなたは、アマゾンは、"本とは何かという概念をおとしめ、ウィジェット(電子書籍)に変えてしまった。"とまでおっしゃっています。

デニス・ジョンソン: ええ。かれが、彼等に対する私の最大の懸念かもしれません。本や新聞について話をする際には、ウィジェット商売の話をしているわけではありません。思想の文化について話をしているのです。芸術の創造について話をしているのです。権力に真実を語る話をしているのです。アマゾンは、その18年の歴史で、書籍の概念を、一定価格のものへと転換することに大成功したのです。どんな本かと関係なく、わずか9.99ドルの価値だというのです。しかも、これは本の内容と全く無関係で、思想の市場において抱くには危険な思想です。

エイミー・グッドマン: でも、なぜ本をもっと手頃な価格にしないのですか?

デニス・ジョンソン: 私なり、出版業界の誰なりに尋ねても皆言いますよ。書籍は現状、安すぎるのです。常に薄利な業界なのです。金儲けではなく、アマゾン以前に、金儲けをする為に、書籍販売の商売に入った人を知りません。彼等は文学を愛しているので、果敢に戦おうとして参入したのです。そして、それは問題の一部でもあったのです。書籍業界の人々は、書籍愛好者です。彼等は戦士ではありません。彼等は、ひたすら読みたいだけなのです。それが彼等がなぜこの事業に参入したかという主な理由です。元ヘッジファンド・マネジャーで、ひたすら儲けるために商売を始めたジェフ・ベゾスのように実に攻撃的な、収支だけ問題にする連中には全く慣れていないのです。そこで市場が収縮されてしまい、ベストセラー販売だけするようになり、我々の様な小規模出版社が、政治の本を売ったり、思想や美術の本を売ったりすることは益々困難になっています。

エイミー・グッドマン: ボブ・マクチェズニーさん、ご著書の中で述べておられるので、前に触れたWikiLeaksのこの問題について話したいと思います。2010年、ジョー・リーバーマン元上院議員にそうするよう要求されて、わずか24時間後に、アマゾンが同社のサーバーから外した際、WikiLeaksウェブサイトは一時的に閉鎖されました。人々は知らないかもしれませんが、アマゾンは、人々が支払いができる巨大なグローバル・サーバーを運用しており、WikiLeaksはそれを利用していたのです。Twitterアカウントへの投稿で、WikiLeaksは書いています。"もしアマゾンが、米国憲法修正第1項「言論の自由」をそこまで不快に思うなら、書籍販売事業から撤退すべきだ" 昨年、WikiLeaks創設者ジュリアン・アサンジは、Democracy Now!でのインタビュで、クレジット・カード会社によるWikiLeaksに対する寄附封鎖の影響についての話をした際に、この出来事にも触れました。

ジュリアン・アサンジ: 2010年12月に封鎖が開始されて以来、WikiLeaksは、その時期に我々に送金されるはずだった寄附の95パーセントを失いました。その額は、5000万ドル以上でした。今幸いなことに、5000万ドルの5パーセントという額でも、無というわけではなく、それで組織は存続できます。しかし、記者会見で私が語った通り、我々の当然で自然な成長、我々の我々がやりたいだけ公開する能力、我々自身や情報源を守る我々の能力は、あの封鎖によって弱めてしまいました。

    アメリカ合州国政府は、2011年1月に封鎖を検討して、対WikiLeaksアメリカ金融封鎖を実施する合法的な理由がないことが正式にわかったのです。それで、そこで起きたのが、我々昨日公開した委員会文書の中にあるのです。リーバーマン上院議員と、ピーター・T・キング下院議員が、最低限、マスターカードとアマゾン、しかしおそらくはビザを含む他の企業にも、彼等には、法案にのっとって、あるいは正式な行政手続によって、見事に実施することが出来なかった、法の手続きをふまない封鎖を実施するよう圧力をかけたのです。

エイミー・グッドマン: ボブ・マクチェズニーさん、ベゾスのCIAとの関係をお話いただけるでしょうか? 6億ドルのクラウド契約の話があります。フォーブスも、一年前に、"商業量子計算企業D-Waveが、3千万ドルのエクイティ・ファンドの契約をしたと発表しました。主な投資家は、CIAや他の諜報機関になり代わってハイテクに投資するIn-Q-Telと、アマゾン創設者ジェフ・ベゾスの個人的投資会社であるベゾス・エクスペディションズで..。これまでの所、D-Waveは、1000万ドルのシステムを一式、ロッキード・マーチンに売っただけです" ボブ・マクチェズニーさん、WikiLeaksからCIAに至る全体像を説明いただけますか?

ロバート・マクチェズニー: WikiLeaksスキャンダルが起きた時、私はDigital Disconnectの為の調査をしていたのですが、実際これについて多少研究をしました。私が知っていた国務省のかなり幹部の人々に、オフレコで質問しました。彼等は、Wikiに、失礼、アマゾンに、そうなるよう圧力をかける必要はなかった、アマゾンは進んで協力したと語っていました。説得が難しいものではなく、彼等に対する本当の圧力は皆無でした。アマゾンは、いわばWikiLeaks駆除隊列の最前線に飛び出し、サーバーから排除したのです。

実際、あなたがおっしゃっている問題を暗示していると思います。こうしたこと全てが、インターネットの巨大独占企業、リストの一番上からゆくと、アマゾンですが、実際には、アップル、グーグル、フェースブック、マイクロソフト、AT&T、ベライゾン、以下同様を含む、こうした企業全てが、安全保障国家、軍、諜報コミュニティーと、とんでもない癒着状態にあることを示唆しています。実にむつまじい関係です。双方に恩恵があるのです。彼等は、ドップレベルで付き合っています。我々は、このある種、軍デジタル複合体を生み出してしまったのです。そして、ジェフ・ベゾスはその頂点にいるのです。これは、アイゼンハワー大統領が有名な退任演説で言ったしろものです、軍産複合体について議論する必要がある、我々の時代の最重要の問題だと、彼は1961年に語りました。それは未解決のままですが、今やデジタル複合体になったというわけです。

これは我々が議論しなければならない問題だと思います: 責任を負わない独占企業にどれだけの権力があるのか? しかも、これらの企業は実際、政府に対して責任を負いません。大企業と良い関係でいようとして、オバマが走り回っている様子を目にします。そして、今、彼等はベゾスの様に、マスコミの一部を直接支配しているのです。その必要はありませんが、もし我々がアメリカ合州国の外部に出て、アメリカ人が、こういう状況にある他の国を見れば、我々は即座に、民主主義という枠組みとは似ても似つかないといって、その国をあざ笑うでしょう。それが我が国の中で起きているのです。我々は同じ目線で見るべきだと思います。

ネルミーン・シャイク: ボブ・マクチェズニーさん、番組を終える前に、ごく手短に、新聞所有の代替モデルについてお話いただけますか?

ロバート・マクチェズニー: はい、ここであきらかな教訓は、我々がアメリカ合州国で、過去百年間、ジャーナリズムが商業的に存続可能な事業だという幻想を抱いていたということと、それは広告が、商業ジャーナリズムを維持するあらゆる収入の50から100パーセントをもたらし、二十世紀中、非常に儲かるものにしていたためだということです、特に、新聞の大半がそちらに向かっていた独占市場では。しかし今やジャーナリズムはデジタル化し、スマート広告の方向に変わっています。もはやジャーナリズムのコンテンツに収入をもたらさず、二度と戻ってはきません。商業ジャーナリズムはもうありえません。

そこで、我々は共和国の始めの頃に戻らねばならないのだと思います。広告がジャーナリズムにとって、大きな意味を持つようになる前の、最初の百年間、我々を何をしていたのでしょうか? 大衆紙が必ず存続出来る為に、当時していたのは、郵送料と印刷費の膨大な助成でした。それ無しには、奴隷制度廃止論の新聞は有り得なかったでしょう。事実上、当時の新聞の配達を無料に、新聞配達を名目的なものにした、こうした郵送料の助成無しには、大衆に役立つ日刊紙はあり得なかったでしょう。こうした条件を再考しなければなりません。エコノミスト誌が順位をつけた世界の大半の民主的国家を見ると、いずれも公的、および地域メディアの支援、複数の新聞や地域の編集室支援に、法外な程の金額をつぎ込んでいます。非利益、非商業ジャーナリズム-独立した非利益、非商業ジャーナリズムに大規模公共投資をしているのです。問題の解決策はこれです。これはこの国でいつかはしなければならない議論です。早ければ早いほど良いのです。

エイミー・グッドマン: 皆様、ご参加大変有り難うございます。大変に興味深い論議でした。皆様には、この件をツイートしたり、ご自分のフェースブックに掲載したりされるようお願いします。書き起こし文も掲載予定で、音声と映像もご覧いただけます。フリープレスの共同創設者、ボブ・マクチェズニーさん、出版社メルビル・ハウスのデニス・ジョンソンさん、イサカ大学、独立メディアの為のパーク・センター所長で、ジャーナリズム教授ジェフ・コーヘンさんにお礼申し上げます。

記事原文のurl:www.democracynow.org/2013/8/7/how_the_washington_posts_new_owner

日本のデモクラシー・ナウ!記事ページ「ワシントンポスト紙を買収したアマゾン創業者はCIA協力者で、書籍業界を壊滅させた」

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今回も、ベゾス氏、あるいはアマゾンのビジネス・モデルを称賛する日本語記事が散見される。

個人的に、アマゾンの怪しさを感じたのは、かなり昔。郵政選挙時。

日本の様々な制度の破壊を要求する年次改革要望書の問題を指摘した関岡英之氏の『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』が、郵政選挙時点で、アマゾンでは購入できなくなった。新刊在庫はないとされ、古本に3000円程度の価格がついていた。当然ながら、同じ時点で、他のネット書店でも、都会の街の書店でも、問題なく購入できたのに。

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』の主題だった年次改革要望書の手法・狙い、TPPの先駆だろう。

検索エンジンで調べると、最初に出てくるのがアマゾンだったから、それで購入をあきらめた方は相当おられたのではなかろうか?アサンジへの寄付のように、95%が妨害されたとまでは思わないが。検索エンジンとネット書店のタッグは有効な選挙ツールだと理解した。

徹底的な情報コントロールも辞さない会社だと理解した。以来ほとんど同社から品物を購入していない。

多少の安さにひかれて、商品を購入することは、マヤカシの広報につられて、アホノミックス支持投票をするのと同じ結果をもたらすのでは、と思っている。

古本がただで売られている。郵送料だけ。

冷静に考えれば、地域別、年齢別読書傾向さえ把握できれば十分なのだろう。もちろん、匿名ではなく、個人名まで収集できる。国民思想・行動調査データ・ベースが構築できる。ほかのデータとあわせて加工すれば、適切な選挙時期や、キャンペーン方法や、場合によっては、冤罪やら、無人機攻撃さえ仕組める...かもしれない。

スノーデン暴露のあとで、こうした討論会を見ると、老人の想像、とんでもない誇大妄想と一概に断定しにくいように思えてくる。

マクチェズニー教授の最後のまとめを引用しよう。実に愚劣な宗主国プロパガンダ映画は続々公開されるが、マクチェズニー教授の著書、一冊も翻訳されていない。素晴らしいジャーナリズム論だと思うのだが。

エコノミスト誌が順位をつけた世界の大半の民主的国家を見ると、いずれも公的、および地域メディアの支援、複数の新聞や地域の編集室支援に、法外な程の金
額をつぎ込んでいます。非利益、非商業ジャーナリズム-独立した非利益、非商業ジャーナリズムに大規模公共投資をしているのです。問題の解決策はこれで
す。これはこの国でいつかはしなければならない議論です。早ければ早いほど良いのです。

デモクラシー・ナウのトップ・ページには下記の文章がある。

☆デモクラシー・ナウ!は財政難です。支援の一環として、対訳ニュースレターやDVDをぜひご購入ください。

インチキ・プロパガンダ情報なら、無料で永遠に受け取れようが、良い情報を無料で受け取り続けることは不可能だろう。そうした組織の運営、アマゾン流ではないのだから。

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コメント

貴重な記事ありがとうございます。

まさかここまで、ネットに関する全ての企業がビックブラザー化するとは。

酷いものです。

検索エンジンともグルか。本来出版社のHPがトップに出てこなければならないはずなのに、ググっても何ページも検索結果を辿らないと出版社のページすら出てこないことも多い。

出版界に市場原理主義を持ち込んだせいで、このブログで触れられているような文系の本のみならず、理系のブルバキやランダウといった高度な専門書ですら出版できなくなった。

こういう専門書は売れてもせいぜい100冊ぐらいしか売れないので、守銭奴どもは数千冊〜数万冊は売れるような簡単な参考書ばかり売って金儲けに邁進したいのだろう。もう大学の教科書も、30年前の高校レベルのようなものしか売っていない。当時が理工系出版界のピークで、今復刊したとしてもトップ大学の上位の学生ですら、学力的・経済的・時間的に読んで理解し、自らの糧と出来る余裕がある者も数十人ぐらいしかいないだろう。東大ですら、高木貞治が売れずに、単位が取れるとかなっとくするとかゴミのような参考書がヒットする始末だそうだ。

こんな下らない参考書を読まないと大学の勉強に付いていけないような連中は容赦なく留年・退学処分にし、上位学生を飛び級などで優待して難しい本を復刊すべきなのに、金儲けにならないという理由でやらないで中古価格を暴騰させたまま放置している。現に東京図書などもそういう経営者が牛耳っていると聞いた、だから昔はブルバキやランダウを出していたのにいまやゴミのような微積分の教科書とかしか出さない。まだ、文系の有名な古典は文庫で読めるものも多いだろうと思うが、理工書の場合ニュートンのプリンキピアといった誰でも名前ぐらい知ってるような本ですら文庫で読めないで中古が何万円もする。狂っている。講談社も中央公論社も昔はこういう古典をたくさん出していたがいまや全て絶版。科学雑誌も廃刊にして、電子書籍店でも日本語のオリジナル科学雑誌は皆無だ。ランダウ復刊運動は10年以上続けられているが、未だに中古が数万円の世界だ。

Kindleも理工書に限って言えば数式もまともに表示できず埋め込み画像のままで、背景色を変更しただけで数式が消えたり、周りの色だけ白かったりする。epub3では数式対応技術が実用化されているくせに未だに対応しない。アップルは対応したのに。Kindleストアで科学技術書のカテゴリーを検索しても一般向けの本ばかりで、復刊すべき名著もろくに復刊されない。出版社は、何番煎じだという啓蒙書などを乱発し、しかも年々レベルが低下している!最近の本は数式が検閲で削除されていて、一般向けの本には数式すら入れれないと聞いている。こんな本を出版し続けるなら昔出版された名著を電子化して復刊すべきなのに、儲からないという理由で誰もやらない。

社会や文化などの本のみならず科学の本ももはやろくなものが出版できなくなっている。未だにランダウが復刊されない。数式の電子化技術は既にある。

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 よく私にメールをくださる、愛媛県松山市在住のフリーター、Iさん(26歳)からシリア情勢に関し、興味深い情報が寄せられた。  それは8月1日にどうやらシリアで核兵器が使用された可能性があるというものである!  早速、彼の文面を以下に引用する。 【引用開始】*...... [続きを読む]

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