ワシントンの厚かましさ
Paul Craig Roberts
2013年5月7日
ベネズエラ新大統領ニコラス・マドゥーロは、チャベス肌の人物だ。
5月4日、彼はアメリカのオバマ大統領を“悪魔の酋長”と呼んだ。
アメリカで、正当な法の手続き無しでのアメリカ国民処刑や、議会の同意無しの戦争を開始して、民主主義を裏切ったオバマは、新たに選ばれたマドゥーロの政府は不正選挙によるものだった可能性があると示唆し、マドゥーロの反撃を引き起こしたのだ。マドゥーロでなく、アメリカ傀儡を選出させようとして、自分の政権が何百万ドルも使ったのに、やり損ねたことで、オバマが腹をたてたのは明らかだ。
アメリカ政府のことを正確に要約した人が誰かいるとすれば、ベネズエラ人達だ。
チャベスがニューヨーク市の国連総会の演壇に立って、ジョージ・W・ブッシュについて語ったのを誰が忘れられよう? 記憶から引用しよう。“昨日、悪魔自身が、まさにここに立った。この演壇で、まるで世界を所有しているかのように演説した。未だに硫黄の匂いがする。”
覇権主義のアメリカ政府は、私の考えではベネズエラ売国奴である、エンリケ・カプリレスなるワシントン傀儡に、ベネズエラを管理させるべく最善を尽くすため、莫大な資金を今回のベネズエラ選挙に注ぎ込んだ。一体なぜこのアメリカ傀儡は反逆罪で逮捕されないのだろう? 一体なぜ、独立国に対するアメリカ政府の工作員、アメリカ大使、顧問、USAID/CIA職員、アメリカ政府が資金援助しているNGOは、ベネズエラから即刻退去しないと、逮捕し、スパイ罪と大逆罪で裁判される、と命令されないのだろう? ベネズエラを、イギリス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、トルコ、日本等の様な傀儡国家に変えることが、ワシントンの意図であるのは明らかなのに、何故ベネズエラにおいて、アメリカ政府の存在が認められるのだろう。
アジェンデ-ピノチェットの頃のように、アメリカ左翼や、もはや現存していないリベラル・メディアが、独立国家の内政への違法干渉に対して、ワシントン中を一杯にする時代が、かつてはあった。だがもはやそうではない。カウンターパンチのジェフリー・シンクレアが最近明らかにしたように、アメリカの左翼は、初めての黒人、あるいはハーフ黒人のアメリカ大統領である“彼等の英雄によって、道徳と憲法に対する違反がおかされているのに、麻痺したままで”、“ [アメリカ政府の]独立国家に対する悪質な工作作戦を、ランド・ポールが公式非難”するのにまかせている。
オバマ政権の外国と国内での暴力行為に対し、“革新議員団から、Moveon.org等のロボットのような手先連中に至るまでの職業左翼は全く反対せず、抗議行動もしようとしない。” シンクレアは説得力のある記事を書いている。ご自身でお読み願いたい。http://www.counterpunch.org/2013/05/03/the-game-of-drones/print
アメリカの左翼は、ソ連が崩壊し、中国の共産主義者とインドの社会主義者が資本主義者になった時に、信頼を失ったのだと私は思う。全員が状況を読み損ねた。特に“歴史の終わり”派の間抜け連中が。その結果が、アメリカ政府と、その傀儡諸国の戦争犯罪人の軍事侵略、殺人、市民的自由と人権の破壊や、アドルフ・ヒトラーが宣言した“昨夜、ポーランド軍が国境を越え、ドイツを攻撃した”という類のあからさまなプロパガンダに対する強力な抗議が存在しない世界なのだ。アメリカ政府による“大量破壊兵器”非難は、それよりもっとあからさまな嘘だ。
だがほとんど誰も気にしない。欧米政府や日本は、皆金を握らされ、買収されており、買収されていない連中は、やはり金が欲しいので、買収してくれと請い願っている。真実、品位といった言葉は皆、死語だ。もはや誰もこうした言葉の意味を知らない。
愚かなジョージ・W・ブッシュは、オーウェル風二重語法で言った。彼等は、アメリカの自由と民主主義ゆえに、我々を憎んでいるのだ、と。彼等が我々を憎んでいるのは、アメリカが彼等を爆撃し、侵略し、殺害し、彼等の生き方や、文化や、インフラを破壊している為ではないのだ。彼等は我々が余りにも素晴らしいので、我々を憎んでいるのだ。このたわごとを信じる為に、人はどれくらい愚劣にならなければいけないのだろう?
アメリカ政府とイスラエルは、世界に対して、紛れもない悪魔になっている。ブッシュやオバマの後で、国連の演壇に立たなくとも私はわかる。遥か離れたフロリダにいても、私はワシントンの悪魔の匂いがわかる。ジェフリー・シンクレアはオレゴンで、その匂いがわかる。ニコラス・マドゥーロは、ベネズエラでも、匂いがわかる。CIAが潜入しているUSAIDを追放したエボ・モラレスは、ボリビアにいても、その匂いがわかる。アメリカの資金で支えられた、大逆“ロシア反体制派”が、反ロシア政府活動をするのが未だ認められていても、プーチンは、ロシアで、その匂いがわかる。イラン人はペルシャ湾でもその匂いがわかる。中国人は、遥か離れた北京でも、その匂いがわかる。
ゲシュタポ機構である国土安全保障省には、偽装作戦の際、省が国民を騙すのを手助けする“危機専門の俳優”がいる。http://www.governamerica.com/black-ops/boston-bombings/110-fema-hiring-actors-to-run-live-terror-drills
オバマ政権には正当な法の手続き無しにアメリカ国民を沈黙させる無人機がある。
http://www.salem-news.com/articles/may042013/drones-boston-wh.php
国土安全保障省には、10億発以上の弾薬、戦車、凖軍事部隊がある。収容所も建設済みだ。
こうしたもの全てが、余りに人数が少ない為、国内テロとの闘いに30億ドルのFBI特別予算を議会で正当化すべく、FBIは“テロリスト”を作り出すのに、いわゆる“おとり捜査”を余儀なくされている“テロリスト”の為だというのを信じ込むほど、アメリカ人は完全な馬鹿なのだろうか?
無辜の人々にぬれぎぬを着せ、刑務所に送り込む為のFBI資金を、議会は納税者に支払わせている。
アメリカはそういう国になっている。これが無辜の人々や虐げられた人々の生活を破壊することで金儲けをしているアメリカの“国防”機関だ。
“我らは神を信ずる”とアメリカ貨幣に刻まれている。“我らは悪魔に付き従う”とすべきだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/05/07/washingtons-presumption-paul-craig-roberts/
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共通番号制(マイナンバー)成立見通し、日本郵政 坂社長退任へ 後任、西室氏で調整
大本営広報見出しを読むたび憂鬱になる。今朝も上記見出しで、憂鬱になった。「ジャーナリスト同盟通信」を毎回拝読しているので、とりわけ日本郵政トップ交替に違和感を覚える。例えば、本澤二郎の「日本の風景」(1290)2013年05月03日
<東芝の素顔>(その十七)
本題のマドゥーロ新政権については、雑誌『世界』6月号の「辛勝でマドゥーロ新政権の先行きに不安-ベネズエラ大統領選挙」という記事をあわてて読んだ。皆様も是非どうぞ。
特集「96条からの改憲」に抗する、も大変に有り難い記事満載。
筆者は『ウゴ・チャベス』という記事も書いておられる。
ところで、“もうひとつのアメリカ史”: オリバー・ストーンとオバマとベトナム戦争
昨日の第7回では、ベトナム侵略、アジェンデ打倒や、他の中南米政権の転覆工作についても語られていた。アジェンデ最期のメッセージも流された。(このメッセージは、「9/11 サルバドール・アジェンデの遺言(1973)」で翻訳した。)何よりジョンソン大統領、ニクソン大統領、レーガン大統領、クリントン大統領達の真っ赤な嘘も。
「中南米政権の転覆」といえば、アメリカ基地の民間転換計画や、(日本の傀儡による憲法破壊の取り組みとは対照的に)独立性を高める新憲法を制定するため、国民の意志を確認すべく国民投票をしようとしたセラヤ大統領は、自国ホンジュラスの軍隊によって拉致され、追放された。この背景事情、属国マスコミは全く触れなかった。報道管制。今も、反米派南米諸国の動向は詳しく報じない。反抗は許さない。知らしめない。
セラヤ大統領拉致を見ていれば、「少なくとも県外」という発言をした鳩山首相が退陣させられることになるのは予想できた。
ボリビアやベネズエラのように、自立派政党が多数派でない限り、国家は独立できない。
自民、みんな、維新等傀儡政党が常に圧倒的多数派の最大属国、決して独立できない。
筆者の指摘通り。
イギリス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、トルコ等も日本同様、傀儡国家なのだが。
内田樹氏の5月8日、朝日「オピニオン」欄の文章、正論。
悪いニュースは、日本という国民国家は解体過程にあること。国民を暴力や収奪から保護し、誰も飢えることがないように気配りする国家は消滅しつつあり、「国民以外のもの」の利害を国民よりも優先するようになってきたこと。
国民国家の末期を 官僚もメディアも うれしげに見ている
そして、良いニュースは、それは日本だけのことではなく、他の国々もそうだということ。
この属国の傀儡支配政党の党名、実態と全く反対である厚かましさを、物心がついてから、ずっと不思議に思っていた。伜ブッシュの、この噴飯モノ発言を知るまでは。
愚かなジョージ・W・ブッシュは、オーウェル風二重語法で言った。彼等は、アメリカの自由と民主主義ゆえに、我々を憎んでいるのだ、と。
属国の自由と民主主義なるものが、宗主国のお題目レベルを越えることはありえない。
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