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2013年4月21日 (日)

環太平洋連携協定(TPP)、アメリカが率いる過酷な自由貿易協定、1%用の大企業権力ツール

Nile Bowie

Global Research

2013年4月2日

環太平洋連携協定、つまりアメリカが率いて、現在いくつかの環太平洋諸国と交渉中の、過酷な多国間自由貿易協定を、最前線に押し出そうというオバマ政権の取り組みは、最も論議されず、最も報道されない問題の一つだ。

600人のアメリカ大企業顧問達が、TPP交渉に参加し、提案をしているのに、提案されている草稿文書は、国民や、マスコミや、政治家は見ることができないままだ。協定を巡る秘密性の程度は未曾有のもので、自警団チームが各回の交渉会場敷地周辺を警備し、上空からはヘリコプターが迫ってくる。マスコミは、この話題に対し、ほぼ完全な報道管制を敷いており、TPPを管轄する上院委員会の委員長、アメリカ上院議員ロン・ワイデンが、交渉文書へのアクセスを拒否されている。“TPP交渉の実態に関して、議員の大多数には全く教えずにおいて、一方、ハリバートン、シェブロン、PhaRMA、コムキャストやアメリカ映画協会MPAA等のアメリカ大企業代表は相談を受け、協定の詳細に通じている”ワイデン議員は議会での発言でそう語っている。

アメリカ合州国以外の交渉参加国は、オーストラリア、ブルネイ、チリ、カナダ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポールとベトナムだ。そんなものに近寄るなという世論の圧力のせいもあって、日本は交渉パートナーとなる希望を表明したが、まだ交渉には参加していない。TPPは過酷な規制を課し、期待していた将来の利益に損害を与えると彼等が見なす政策に対して、直接、加盟諸国の国庫から、納税者による補償を要求するという、多国籍企業にとって、前例のない権利を与える。開発途上国で、医薬品に対して、より長期の独占支配を押しつけ、そうした国々の人々が依存している、手頃な価格のジェネリック薬品の入手を劇的に制限してしまうという、巨大医薬品企業の計略を推進するものだ。TPPは、バイ・アメリカン、国産品購入といった優先策を禁じるのに加え、ラベル表示を制限して、アメリカ合州国等の国々に、国家の安全基準に合致しない食品の輸入を強いて、食品の安全を損なうものだ。

漏洩した草稿文章によれば、TPPは企業に特別の恩恵を与え、雇用の海外移転を奨励する投資家の保護を押しつけることになる。TPPは、インターネット・サービス・プロバイダーに、ユーザーの行動を監視し、小規模な個人的ダウンロードを、大規模な営利目的の違反者と同一視するよう要求し、イノベーションを抑圧する。ウォール・ストリートのハゲタカ金融資本に対する規制を逆戻りさせ、危険な金融サービスに対する規制を禁止し、加盟諸国が独自の通貨政策を遂行したり、資本規制を行なったりする能力を妨げるものとなろうことはほぼ予想できる。加盟諸国は、デリバティブ、通貨投機や、他の巧妙な金融商品の自由な流れを認めなければならないのだ。‘衝撃と畏怖’のグローバル化を押しつけることを目指すアメリカが率いるパートナーシップは、国の衛生、安全、環境規制を含む、法律や規制によって、大企業に対して生じる費用の責任を、加盟国政府が負うようにさせ、貿易相手国々の政府に対する多国籍企業の説明責任を廃絶することを狙っている。

知的所有権に対して提案されている条項は、著作権侵害に対して認められた懲罰として、家庭、企業や組織のインターネット解除を含め、TPP参加国にとって、多大な影響を及ぼすことになる。ストリーミング・ビデオが著作権保護が可能なものと見なされ、YouTubeの様なサイトで、デジタル形式で情報を交換する能力を厳しく制限され、本質的に、加盟諸国は、ハリウッドの著作権カルテルが造り出した過酷な知的所有権規制に服従することになる。“アメリカが要求している、より広範な著作権と知的所有権は、既存の寛大な著作権を70年から120年に延長し、承認無しに、コンピューター上に、一時的にファイルを保存することすらも犯罪行為にしてしまうことで、インターネットの自由を奪い、研究を抑圧し、教育費を増大させる。デジタル情報の輸出超過国であるアメリカは、これで恩恵を得る唯一の国だ”と、オーストラリア公正貿易投資ネットワークの主催者、パトリシア・ラナルドは語っている。

TPPが確立を狙っている、民間投資家-国家紛争条項では、参加国は、民間部門の弁護士が配属された投資仲裁裁判所の管轄下となり、外国企業が各国政府を訴えられるようになる。もし新規、あるいは既存の政府の政策が、投資家が期待する将来の利益を妨げた場合、国際裁判所は、外国大企業や投資家に対し、国庫から、無制限の現金補償を支払うよう、各国政府に命じる権限を持ちうるのだ。各加盟国国内の納税者が、裁判時間当たりの膨大な費用と訴訟費用に加え、民間投資家や外国企業に対するあらゆる補償を負担しなければいけなくなる。この協定が、いかに国家主権を去勢してしまうかの一つの好例として、1997年のアジア金融危機で、隣国より素早く回復できたマレーシアを見ればわかる。マレーシア・リンギットに対する一連の資本規制施策を導入することで、外部による投機を防いだのだ。TPPで成案されている施策は、加盟諸国が、金融危機を防ぎ、緩和し、金融の安定を推進する為の資本規制を行なうことを制限するものだ。

TPP体制は、国の規制を回避し、各国政府が独自経済政策を行なう能力を制限することで、外国投資家と多国籍企業が、参加国の主権を損なう、完全な権利を保持することを保証するものだ。主権に対する、大企業による、これほど徹底した攻撃はかつてなく、しかも、対象にはアメリカの主権さえ含まれるのだ。漏洩したTPP文書は、オバマ政権が、どのように、アメリカの主権を、TPPの下で生じた紛争を解決する為、世界銀行や国連のルールの下で機能する国際裁判所に引き渡し、アメリカ最高裁判所よりも上の法的権限を造り出し、議会を除け者にする様、明確に設計されているかを示している。理論的に、TPPは国際裁判機関に、アメリカの法律より優位に立つ権限を与え、アメリカ合州国で事業をしている外国企業に、アメリカ法に束縛され続けるアメリカ企業より、相当な経済的優位性を与える法的環境中で事業を行なう特権を与え、外国に生産業務を移転していない国内企業を競争上不利にしてしまう。

産業の成長と発展に対する、より広範なアクセスを求めているBRICSや他の国々の様な強力に発展する経済の出現に直面して、中国との経済的絆を強化しようとする動因がより大きなはずの太平洋諸国に対して、アメリカ経済中にもっと魅力的な機会を提供しなければならないことをオバマ政権は理解している。ペンタゴンが、軍事力をアジア太平洋地域へと再配置する中、TPPは明らかに‘アジア重視’政策の経済手段であり、アメリカ市場への無制限な参入という期待で誘いこみ、戦略的に重要な国々の経済を、法的拘束力のある、大企業統治体制に引き込もうとするものだ。本質的に、オバマ政権は、長らく論じられてきた、金融資本が裏で支援する世界統治モデルを固め、天然資源の占有を規制するアメリカ政府の権利さえ制限して、外国投資や万能の国際ルールを押しつける協定を導入する為、アメリカの消費者を外国企業に売り渡そうとしているのだ。

提案されているTPP草稿文書の26章の内、関税低減や割当制限解除に関連する貿易問題を扱っているものは、わずか二章だと報じられている。TPPは、アメリカの各州に、1000ページ以上の詳細な規定やら、貿易に関係のない規制に、州法を合致させるよう強制することを連邦政府を義務づける。土地の利用から知的所有権に至るまで。TPPのルールに従うよう、各州を説得する為、万一、州が従わなかった場合は、制裁まで課せられるという、使える限りありとあらゆる手段を駆使する権限を連邦当局に与えるものだ。漏洩文書によれば、国際的な所有権標準を支持し、所有権保護のアメリカ標準は押し流され、選出されたわけではないTPPの国際裁決機関の解釈通り、投資家に“専用あるいは支配的使用や政府の利益の為のものでない”公共の土地や資源に対する主な支配権を与えてしまう。

TPPの反憲法的性格ゆえ、議員達は多くの規定に反対する可能性が高い。当然、オバマ政権は、署名されてしまえば、FTAが立法過程で変更されないことを外国パートナーに保証する為、議会の権限を制約すべく、行政権限をふるい、限られた時間の議論で、議会にFTAを検討させ、賛成・反対投票しかできないようにする貿易条項“貿易協定包括交渉権限”の下で動こうとしている。協定の交渉が続けられている間に、議会と協議する正式な手順は一切行なわれておらず、協定を猛スピードで、さりげなく法律にしてしまおうとオバマは決めているように見える。それが、協定によって最も影響を受けるはずの人々に全く知らせないまま、惨事便乗型資本主義を地球規模で導入することを狙ったアメリカ政策の致命的毒性なのだ。何ものにも束縛されず、高価陳列品ケースを破って奪い去るような、大企業による大胆な窃盗の背後にあるメッセージは単純だ。 四つんばいになれ!(訳注を参照のこと)

最近の統計では、2020年には、ブラジル、中国とインドの経済生産を合わせると、カナダ、フランス、ドイツ、イタリー、イギリスとアメリカ合州国のそれを上回ることになっている。2030年迄には、世界中の中産階級の80%以上が南側に暮らしていることになるが、それはかなり違った世界となるだろう。アメリカ合州国は、経済的に病んでいる。ウォール・ストリートの妄想であり、衰えつつある経済活動に対するワシントンの答たるTPPは、多国籍企業と民間投資家を、公に対するあらゆる種類の説明責任から免除する搾取的経済モデルを加盟諸国に押しつけることで、新興の太平洋地域におけるより大きな分け前を、アメリカ大企業に与えるように設計されている。TPPの起源は、第二次ブッシュ政権にさかのぼり、オバマ第二次政権下で、未だ交渉段階にある。交渉を巡る透明性の圧倒的な欠如は、既に知られていることについての信憑性を高めることになる。つまり、この通商協定の中身は、経済的食物連鎖の頂上にいる連中の利益に役立つばかりで、残る我々は、メニュー上でよどんだままとなるだけなのだ。

ニール・ボウイは、マレーシアのクアラルンプールを本拠とする独立の政治評論家、写真家。nilebowie@gmail.comで連絡ができる。

記事原文のurl:www.globalresearch.ca/the-trans-pacific-partnership-tpp-an-oppressive-us-led-free-trade-agreement-a-corporate-power-tool-of-the-1/5329497

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訳注:四つんばいになれ!は、原文では"bend over!"以下、強烈な表現、小生の嗜好、趣味ではなく、単に辞書の引用ゆえ、誤解なきよう。

最新の大型辞典、リーダーズ英和辞典第3版bend over backward という見出しでは、

(行き過ぎを是正[回避]するため)極端に逆の態度をとる; (人の便宜[機嫌取り]の為、できるだけ努力する

これでは、該当部分の意味、全く通じない。

同じ研究社刊のリーダーズ・プラスでは、bend overの説明に、こう書いてある。

*《卑》 〈男が他の男に〉四つんばいの姿勢をとらせる, [fig.] 〈他の男に〉支配力を振う, 屈辱を与える; ̎《卑》 BEND¹↙ down.

bend downをみると、

*《卑》 ⦅肛門性交を受け入れるため⦆ 〈男が〉四つんばいの姿勢をとる, [fig.] 人の支配をうける, 屈服する 〈for sb〉.

グランドコンサイス英和辞典の、bend down (over)では、こう書いてある。

[英俗]  降参降伏する、屈伏する、従う、[英俗] 肛門性交のために屈む

       リーダーズ英和辞典第3版では、bend over backwardsには似た訳がある。

[俗]  懸命に努力する あらゆる手を尽くす

ともあれ、「極めて屈辱的な扱いをされる」という意味なら話は通じる。

念のため、英語を母語とする友人に尋ねてみた。友人の回答は下記の通り。

下品な表現で、性的意味合いがある。従順な男性に、他の男性が命じて、椅子やテーブルに屈ませ、受け入れさせる構図。ポルノによくでてくる表現。この文脈で筆者は、多国籍企業が、国家に、同じことをしようとしているのを表すべく、この表現を使っている。

bend over, homosexという単語で検索すると、すごいビデオが現れる。

TPPの話を聞いて以来ずっと感じている鬱陶しさ、友人の答えで納得した。国家丸ごと究極の民営化。間もなく、宗主国多国籍企業が支配する大属国が成立する。

以下、手元にある『なぜ日本にアメリカ軍の基地があるのか』(松本健一著 牧野出版)から、引用。

103~105ページ

また、韓国は日本と同じアメリカの同盟国だったのですが、日本と決定的にちがうところがあります。それは、日本には憲法第九条第二項がありますが、韓国にはそれがないことです。つまり、韓国は軍隊を保持することもできますし、アメリカとの集団的自衛権を行使することもできる、ということです。その結果として、ベトナム戦争の際には、韓国はベトナムへ兵を送りこむことになりました。
たとえば、ベトナム戦争のとき、日本が同盟関係があるからということで、アメリカにしたがって自衛軍のようなものをつくりベトナムに軍隊を派遣していたらどうなっていたでしょうか。集団的自衛権があって、アメリカが危ないということで一緒にベトナムへ兵を出してください、と頼まれた可能性だってあったのです。そのようななりゆきで、兵を出したのが韓国でした。

そして、その結果として、現在ベトナムで一番憎まれている国は、アメリカではなく韓国になってしまったのです。

中略

このように韓国が同じアジア人でありながらもベトナムで憎まれるようなことが、日米軍事同盟を結んでいるかぎりにおいては日本の場合にもおこりうるわけです。しかし、憲法九条第二項があることによって、そういったリスクを排除できたという見方もできるのです。

次回の参院選挙で、自民、みんな、維新、公明等、売国政治家が大多数の議席を得ることで、この国もめでたく、韓国に続くことができる。(不平等条約の極み米韓FTAだけでなく)晴れて堂々と侵略軍傭兵活動ができるようになる。何がめでたいか素人にはわからない。

168~169ページ

アメリカにいろいろと要求されて、たとえばこのままではアメリカの資本が日本に入れられないから金融における規制緩和をしろ、といわれたら、アメリカのいうことをすんなりと聞いて改革するというように、自国民の生活や文化が無視される。そんな被占領国民のメンタリティ、独立自尊ではないメンタリティが日本でだんだんと一般化してしまっています。

中略

これは、文化的な侵略といっていい。十四世紀ごろのイスラームの歴史学者イヴン・ハルドゥーンが『歴史序説』のなかでいっていますが、武力的侵略は恐ろしくない、抵抗によって民族は生き延びることができるからだ、しかし、文化的侵略は民族がその精神的根拠を失うことだから、民族は消滅する、と。

193ページ

独立国ではなく保護国状態であるにもかかわらず、アメリカとは仲がいい、アメリカとは同盟国だといって自己満足のバリアーをつくってしまっているのです。そうやってバリアーをつくり、「敗戦」を「終戦」と呼び換えることによって、自分たちをマインド・コントロールしてしまっているといえるでしょう。

大本営広報放送で、TPPに関する幹事長の言葉がながれた。うろおぼえは以下の通り。

わが国は三番目の経済大国。それにふさわしい交渉力をもってあたる。
そのための強力な布陣もある。

本当に交渉力があれば、今頃、独立していたろう。今の悲しい属国の現状が、その貧弱な交渉力と布陣の本質を歴然と物語っている。世界で下から三番目の交渉力の間違えだ。

しつこく繰り返す。彼等、詐欺師か頭がおかしいに違いないと思う。あるいは両方。

プロパガンダと洗脳が業務で、日本新生などという宗主国・属国大本営広報ではなく、独立したブログをこそ読みたいものだ。マインド・コントロールから離脱するために。

内田聖子氏のActs for Democracy 2013/4/21
TPPで日本はどこまで「奪われる」のか?―「日米事前協議」の今後を「USTR貿易障壁報告書」から読み解く

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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コメント

ゆきぼー様
もちろん「交渉」など真っ赤な嘘。「参加」とすらいえないように思います。
文中にあるように「四つんばいにさせられる」ので。
つまりむき出しの「降参」「降伏」が実情でしょう。
「敗戦」を「終戦」と呼び変えと同じ、この国伝統のマインド・コントロール。

お世話になっています。

TPPは交渉参加ではなく「参加」ですね。
既に決められたルールに従い参加することを
「交渉」という頭をつけることで
いかにも何かが変わるのだという
希望的な意味を持たすためであるとしたら
誤魔化すのに説得力のある方法ですね。

さらに、都合のよい変更は
都合のよい人がいつでも帰れるルールとなると、

スポーツの世界ではないと
大声をあげたいです。

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