TPP参加の日本の狙い 米国議会図書館議会調査局文書(2)
日本が交渉に入るのを、政治的により容易にする為、恐らくアメリカ合州国が日本に提供することができるものがいくつかありそうだ。こうしたものの中で、最も重要なものは、最終的な協定では、米等いくつかの例外が認めらるだろう、という理解だろう。そのような約束は、全ての項目が“検討対象だ”というTPPの運用前提の違反とはなろうが、多くの人々が究極的には、最終的な協定は、少なくとも少数の“聖域”を残すことを認めるだろうと考えている。
前回翻訳記事に習って、ポイントらしき部分を先頭に貼り付けた。以下は、原文の順序の通り。
日本の狙い
日本のTPP交渉参加の背後にある根底的な論拠は、二十年間、相対的に伸び悩んだ後、中国や、韓国の様なミドル・パワーと比較して、日本の経済的、政治的影響力が低下しているという、多くの日本人の間で増大しつつある感覚だ。急速に高齢化し、次第に減少しつつある日本の人口のせいで、生活水準を上げるのではなくとも、維持する為には、成長の新たな源を開発する必要があるという感覚が、多くの人々の間で強くなった。日本のTPP支持派は、消極的なものもあれば、積極的なものもある、様々な重なり合った理由から、交渉参加を訴えている。
- 特に急速に成長しつつあるアジア太平洋地域に日本の輸出を拡大することで、日本の成長を促進し、日本の空洞化を、つまり他の国々への日本企業移転防ぎたいという切望。WTOの貿易交渉“ドーハ・ラウンド”の10年間にわたる行き詰まり、プラス、過去十年間の二国間、多国間FTA爆発的増加により、日本も慎重にFTA締結を目指すようになった。27 先に触れた通り、日本はアジアのグローバル・サプライ・チェーン中の重要なリンクであり、TPPはサプライ・チェーン内の運用を促進する可能性がある。逆に、より大きな環太平洋経済統合は、こうした製造・輸出ネットワークにおける日本の立場をむしばむ可能性がある。28
- 日本がFTA交渉で立ち遅れているという感覚。日本は、13のFTA、経済連携協定(EPA)と呼ばれるものを締結しているが、主要経済大国とのものは、恐らく、2011年の日印EPAという例外の他にはなく、そうしたものの多くは、農産物貿易を除外している。(表3を参照) 対照的に、多くの日本人が、今では自らを比較するようになっている国の韓国は、アメリカ合州国や、欧州連合(EU)とFTAを締結し、2012年には、中国と交渉を開始した。もし日本が、FTA競争に遅れをとれば、日本の企業は競争上、不利なまま取り残されてしまうという感覚だ。29 日本は遅ればせながら、EUとのFTA交渉を開始するかどうか論議し、中国と韓国との三国間FTA交渉を開始することに合意して、格差を埋めようとしてきた。実際、この二つの交渉-とりわけ“CJK”(中国-日本-韓国) FTA交渉を、TPP参加の代替案と見る日本人もいる。
- TPP参加は、日本国内の経済改革を推進するのに役立つという考え方。長年にわたり、多くの専門家や政府幹部は、経済を刺激するには、日本には構造改革が必要だと主張してきた。多くの日本人評論家や当局幹部は、改革に対する既得権益からの反対を克服する一つの方法は、(真の狙いを隠す)政治的大義名分として、改革志向の集団や個人の助けになる、TPPの様に、包括的で高い水準のFTA交渉を利用することだと考えている。また、TPP交渉は、交渉のパートナー達から譲歩を得ることで、日本が貿易構造改革の恩恵を得られるようにする可能性がある。
- TPP加盟は、日本のアジアにおける戦略的な立場に役立つという希望。TPP加盟は、アジア地域内と周辺のミドル・パワーと東京との関係を強化することで、米日同盟を補強するという近年の日本の動きを補完する。この活動の背後にあるのは、中国の勃興が日本の影響力を衰退させており、いずれは安全保障と経済的利を脅かしかねないという懸念だ。
日本がTPP交渉に参加するかどうかを巡る交渉事前の時点では、日本政府が、アメリカ合州国に、何らかの譲歩を要求した様には見えない。日本が交渉に入るのを、政治的により容易にする為、恐らくアメリカ合州国が日本に提供することができるものがいくつかありそうだ。こうしたものの中で、最も重要なものは、最終的な協定では、米等いくつかの例外が認めらるだろう、という理解だろう。そのような約束は、全ての項目が“検討対象だ”というTPPの運用前提の違反とはなろうが、多くの人々が究極的には、最終的な協定は、少なくとも少数の“聖域”を残すことを認めるだろうと考えている。
Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implicationsの該当部分翻訳 「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」12-14ページ。
2012年8月24日付け 米国議会図書館議会調査局文書
ここからpdfファイルをダウンロード可能。
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先の米国議会図書館議会調査局文書記事、翻訳の続編。
3/7、衆議院予算委員会で、民主党、原口一博議員がTPPの質問をする際、この米国議会図書館議会調査局の公開文書を使ったのを見て、検索したもの。
詳細、的確な分析に感心する。こういう分析力、判断力で拮抗できる組織、人、そもそも、意志、この国にあるだろうか。こうした分析に対応する方針を練ってから、参加不参加を決めるのが道理だろう。
首相の不思議な「聖域」呪文、恐らく下記の一節からひねり出したのだろう。「聖域」、原文はsacred cows、牛をうやまうヒンズー教からの言葉だそうだ。
日本が交渉に入るのを、政治的により容易にする為、恐らくアメリカ合州国が日本に提供することができるものがいくつかありそうだ。こうしたものの中で、最
も重要なものは、最終的な協定では、米等いくつかの例外が認めらるだろう、という理解だろう。そのような約束は、全ての項目が“検討対象だ”というTPP
の運用前提の違反とはなろうが、多くの人々が究極的には、最終的な協定は、少なくとも少数の“聖域”を残すことを認めるだろうと考えている。
「サンフランシスコ講和条約発効日の4月28日に「主権回復の日」として政府主催の式典開催を検討していると明らかにした。」というのを聞いて目が点?
13日?に売国策TPP加盟を発表し、主権放棄する御仁が平然とマッカーサーな嘘。
サンフランシスコ条約で、決して主権回復などしていないこと、TPP加盟でさらにひどいことになる、のは、本当は憲法より大事な「日米地位協定入門」を読めば高校生にもわかる。
68年間の戦後傀儡政治をになってきた連中、自民、公明、みんな、維新、民主は、式典芝居で茶番「独立」を言祝ぐだろう。絶滅危惧種政党はどうするのだろう? 出席すれば、売国奴のインチキ芝居幇助、出席拒否すれば、独立を祝わない異端として叩かれる。
これから国家主権を投げ捨てる歴史的売国行為をしようとする人物が、「主権回復の日」を祝うというのは、余りに低劣なブラック・ジョーク。支配構造は完全崩壊済。
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JAグループTPP関連情報
【重要なので拡散希望・岩月弁護士】
TPPは国際経済法という分野に関わる問題だが、法律専門家からの批判的な検証はほとんどない。
特にISD条項には極めて大きな危険性が潜んでいる。
しかしその危険性が全く明らかにされていない上、TPPが不平等条約になるという当然の前提が欠落した議論になっている。
ISD条項は、外国人投資家・企業が国家を訴訟することを可能にする制度だ。
外国人投資家・企業に国家を超える国際法上の権利を認めるものである。
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