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2013年3月 1日 (金)

もし~だったら?

Paul Craig Roberts

2013年2月21日

“もし~だったら”という歴史は読み物として面白い。面白く、考えを刺激し、想像を促してくれる。歴史の転換点で、もし違う判断、決断や状況が勝っていたら、世界はどのように変わっていただろう。確かに、(ヘイスティングの戦いで)もしハロルド王の兵士達が命令に従って、敗北し丘を下って逃げるノルマン人を追いかけなければ、イギリス史は変わっていただろう。これで難攻不落のサクソン人の防御壁が崩れ、ハロルド王がノルマン人の騎馬隊にさらされたのだ。http://www.newworldencyclopedia.org/entry/Battle_of_Hastings

もしツァーリが第一次世界大戦に参加せずにいたら、ソビエト連邦は成立していたろうか?

もしイギリス、フランスとアメリカ人政治家が、ヴェルサイユ条約は第二次世界大戦をもたらすだろうというジョン・メイナード・ケインズの警告に耳を傾けていたら、第二次世界大戦は起きなかっただろうか? 休戦協定と引き換えに、賠償はせず、領土喪失も無し、という違う結果がドイツに約束されていたならば。ケインズが理解していた通り、平和という期待が裏切られて、次の大戦を招いたのだ。

歴史学者が検討してくれるのを待っている「もし~だったら」というのがいくつかある。歴史学者はどなたも挑戦してくれないので、自分でやってみよう。もし~だったら、の結果は、必ずしも良い結果ではないことに留意願いたい。悪い結果になる可能性もあるのだ。もし~だったらというのは実際には起きておらず、もし~だったらの歴史は存在しないので、判断する方法は無い。

チャーチルが、ドイツ侵攻が起きた場合、ポーランドに対するイギリスの援助を保証して、ヒトラーとポーランド人大佐(外務大臣)との交渉に介入するようチェンバレンを説得し損ねていたと想像してみよう。第二次世界大戦は起きていただろうか、それとも違う戦争になっていただろうか?

イギリスの援助保証はポーランド人大佐を大胆にし、ベルサイユ条約によって解体されたドイツを復興するというヒトラーの企みをいらだたせた。その結果がヒトラーのスターリンとのポーランド分割秘密条約、厳密にはモロトフ・リッベントロップ協定として知られているものだ。

援助保証を与えたことで、イギリスは名誉にかけて、ドイツに宣戦布告をせざるをえなくなり(幸いなことに、ソビエト連邦に対してもではなかった)、対ドイツ英仏同盟ゆえに、フランスを引き込んだ。

イギリスの保障がなければ、ポーランド人大佐によるヒトラーの要求の黙認によってドイツ(1939年9月1日)とソ連(1939年9月17日)のポーランド侵略は防ぐことができ、イギリスとフランスがドイツに宣戦布告を招いたり、第二次世界大戦を始めることになったり、フランス敗北と、イギリスが大陸から追い出され、アメリカの利害と何ら重大な関係の無い外国の戦争にアメリカが関与するとルーズベルトが決断するという結果にはなっていなかったろう。

歴史学者は、ヒトラーの野望は東方にあり、西方はなかったと書いている。イギリスとフランスが宣戦布告しなければ、戦争は二つの全体主義大国の徹底的な闘いに限定されていたかもしれない。

あるいは、ヒトラーとスターリンが協力を継続し、共に石油の豊富な中東を掌握していたかも知れない。イギリス、フランスと、アメリカは、ドイツ軍とソ連軍には到底かなわなかったろう。最高のアメリカ人司令官パットン将軍は、ドイツ国防軍を粉砕した赤軍に、いつでも相手になってやれると思っていたが、傲慢さの余り大部分のドイツ軍を打ち負かした、東方戦線に配備されていた赤軍司令官達を懸念せずに、アメリカは、燃料切れになったドイツ機甲化部隊に助けられて、バルジの戦いで、わずかなドイツ軍を封じ込めようと苦闘していたかも知れない。今日我々はドイツ/ソ連コンソーシアムから石油を購入していただろう。

この結果は異なる中東の歴史を意味するが、他の「もし~だったら」も同じだ。もし9/11委員会が、日和見の政治家連中でなく、専門家で構成されていて、もし委員会に、行政府に言われた通りの報告は書かない程の誠実さがあったならば? アメリカ国家安全保障のあらゆる機関のありそうもなく、受け入れがたい失敗が調査され、自由落下速度でのWTC 7崩壊が報告書中で認められ、説明されていたら、どうなっていただろう。全く別の説明が現れていたろうし、そういう説明が、アメリカを益々多数の国での永久戦争と、国内の警察国家化とに陥らせていた可能性は少ない。

アメリカ人今でも自由な国民であれたかも知れない。そしてアメリカの自由は、世界にとって、未だに希望の星であり続けたかも知れない。

一方、政府が9/11に共謀していたことが明らかになっていたら、強力な利権を脅かし、暴力的紛争と戒厳令という状態になっていた可能性もある。

「もし~だったら」というのは刺激的で、それゆえに面白い。考えることは、アメリカの国民的障害だ。アメリカ人に考えるよう促すものなら、何でも大歓迎だ。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/02/21/what-if-paul-craig-roberts/

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「日露戦争は避けられた」という話を聞いた。一度もそういう可能性、考えたことがなく、この記事を読んだ後に聞いたので、驚いた。

もし、日露戦争をしていなかったなら、「血の日曜日」は起きず、ロシア革命も起きなかったのだろうか?

もし、日露戦争をしていなかったなら、日本は戦争に邁進せず、アメリカとの無茶な戦争もせず、独立国家でいられたのだろうか?

現在の状況、日露戦争にふれて漱石が「三四郎」中で書いた文を思い出す。高校生時代に読んだ際、漱石の慧眼に驚いた。太字加工は当方のもの。

「どうも西洋人は美しいですね」と言った。
 三四郎はべつだんの答も出ないのでただはあと受けて笑っていた。すると髭の男は、
「お互いは哀れだなあ」と言い出した。「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一(にほんいち)の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。だからことによると自分の年の若いのに乗じて、ひとを愚弄(ぐろう)するのではなかろうかとも考えた。男は例のごとく、にやにや笑っている。そのくせ言葉(ことば)つきはどこまでもおちついている。どうも見当がつかないから、相手になるのをやめて黙ってしまった。すると男が、こう言った。
「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓(ひいき)の引き倒しになるばかりだ」

「日露戦争は避けられた」は、下記対談の最後の方で孫崎氏が語っておられる。

2013/02/23 「TPPについて、自民党が掲げた公約は守られない」 ~岩上安身×孫崎享 特別対談!

大本営広報部がひたらす隠している傀儡総理訪米の実態、TPP植民地条約の実態を語る対談。約2時間。

TPP加盟後の未来の恐ろしさ、お二人の話を伺っていて、慄然とする。

有料会員でないと全部は見られないが、会費、月々1000円。年間まとめれば10,000円。

「もし大本営広報が壊滅し、IWJが興隆したら」、この国は助かるだろう?

戦争についての、待望の本が出た。「戦後史の正体」と同じ双書。

本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (「戦後再発見」双書)
前泊 博盛 (編著)
出版社:創元社
税込価格:1,575円
honto には、取扱開始日:2013/02/27とある。

原子力村神話は崩壊した。それでも彼等まったくこりず、罰されることもなく元気。
安保村神話も崩壊すべきだが。張りめぐらせた支配網、強化されるばかり。
その核心となる地位協定から、この属国の支配構造を説明してくれている。素晴らしい必読書だが、内容は恐ろしい。TPPもこの文脈で見ると、驚くほど良くわかる。

政治、司法、マスコミ、ことごとく安保村。

65ページ

「戦後日本」とはそもそも安保推進派がつくった国なので、「安保村」とは日本そのものであり、その言論統制は大手マスコミを中心に、ほぼ日本全土におよんでいます。

35ページ

米軍関係者にとって「日本の国境」は存在しない。

それに、
米企業関係者にとって「日本の国境」は存在しない。
を加えるものがTPPなのだ、と読みながら思う。

167-168ぺージ (太字加工は当方によるもの)

結局TPPとは、いままで安全保障の分野だけに限られていた、そうした「アメリカとの条約が国内の法体系よりも上位にある」という構造を、経済関係全体に適用しようという試みなのです。
中略
さも対等に協議しているようなふりをしながら、実際には密室でアメリカ側がすべていいように決めてしまう。そうなることは火をみるよりもあきらかです。

岩月弁護士の記事、ISD条項の罠8 朝日の解説に寄せて1にあるが、朝日のISD解説記事、国連機関に訴えることが可能なような記述になっている。素人には犯罪同然に思える。間違いというより、意図的な虚報としか思えない。極悪人とはこのこと。

とんでもない虚報を大々的に報じ、周知徹底した後で、虚報とバレると、数行の小さな訂正記事を載せる。虚報は皆が読み、信じてしまうが、訂正記事は誰も読まず、虚報を刷り込まれたままになる。宗主国・属国の大本営広報部いつもの手口。

53ページ TPPを彷彿させる秘密主義 都合が悪いから秘密にする。

サンフランシスコ講和条約は豪華なオペラハウスで、48ヶ国の代表との間で華々しく調印されたのに対し、日米安保条約はどこで、いつ結ぶのか最後待て教えてもらえなかった。あまりにアメリカにとって有利な特権を認める条約であること、逆に日本にとって売国的な条約であることが、アメリカ側にはよくわかっていたのです。

55ページ

吉田はだれに聞かれても、安保条約は「交渉中」として国会でまともに議論させませんでした。中略
先に引用した著書の中で三浦陽一教授は、こうした国際社会への復帰というきわめて重大な局面において、「国会や世論のチェック機能にたよることを自分から拒否した吉田内閣は、アメリカ依存の秘密外交の坂道を転がっていった」と書いています。というのも吉田外交の国会軽視、世論無視は、それだけですまつなかったからです。安保条約という密約の裏に、さらにもうひとつの密約があった。それが日米行政協定だったのです。

形だけの相互防衛条約の日米安保条約(176ページ)は岸信介によるものだ。

そして今、この二人の、孫二人が日本のトップ。この顔ぶれからすれば、おのずと秘密TPP協定の性格、推測できるだろう。

フィリピン、イラクでは、米軍は常時駐留していない。交渉し撤退させた。
イラクの地位協定はまともなため、米軍はい続けられなくなった。
イラクの交渉担当者は、交渉前に訪日し、5日間地位協定を勉強して帰ったという。
筆者は、213ページでこう言っている。

今度は、日本政府がイラクにいって、地位協定と外国軍の撤退について勉強をしてきたらどうでしょうか。

本書⑤⑥で解説されているオスプレイ、「岩国でも低空訓練というニュース」。今起きているのは日本の沖縄化。もし本土のマスコミが、沖縄の実情を忠実に報道していたなら、そういう結果にはならなかったろう。安保村広報部は植民地化促進部門。

首都圏にある「横田ラプコン」という米軍の支配空域。福生にある横田基地が管理している。属国状態を放置して、宗主国ネオコンの本拠で「尖閣」を叫んだ売国政治家のインチキさ。大本営広報部、決して下記事実には触れない。

首都の主権侵害から目をそらし、尖閣を叫ぶ老害政治家、福島第一原発から出た・出ている大量放射能に全く触れず、中国大気汚染を云々して人心攪乱するマスコミと一心同体。安保村・原発村住民のお手本。

71ページ

日本の首都である東京は、こうした巨大な外国軍の支配空域によって上空を制圧されています。

72ページ (太字加工は当方によるもの)

こうした世界的に見てきわめて異常な状態にある首都東京の知事が、そのことも解決できないうちに、なぜかはるか遠くの東京都とはなんの関係もないような小さな無人島(尖閣島)の件で「愛国心」をあおって自分の政治的立場を強化する。私たちはそうしたことのおかしさに、すぐに気づくことができるようになる必要があります。本当の愛国者なら、すでに自国が現実に支配(実効支配)している無人島について問題を提起するよりも、まず首都圏全域の上空に広がる外国軍の支配空域について返還交渉を片づけることのほうが、もちろん優先順位が高いはずだからです。
これからは首相であれ、東京都や沖縄であれ、そうした異常な状況の解消に努力する人でなければ当選しない。そのような投票行動が日本人の常識になって欲しいと思います。

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