“汚い戦争”法王
wsws.org
2013年3月16日
マスコミは、一週間以上、ローマ・カトリック教会の新法王選出を巡る陳腐な陶酔の大きな渦に大衆をまきこんだ。
何世紀にもわたって、迫害と後進性が明らかにされている組織の、この際限なく続く教義と儀式の祝賀は、すこぶる非民主的な性格の捺印が押されている。政治的既成勢力全体の右傾化、そして教会と国家との分離を含め、アメリカ憲法に定められている原理の否認を反映しているのだ。
アメリカ憲法を書いた人々を鼓舞した政治理念から、何と程遠く離れてしまったものか。その理念とは、“あらゆる国、いつの時代も、司祭は自由に敵対的だ。自分自身を保護してもらうのと引き換えに、彼は常に独裁者に協力し、独裁者の権力乱用をほう助する。”というトーマス・ジェファーソンの十分な根拠に裏打ちされた見解だ。
ジェファーソンの見解とごますりマスコミ報道の反動的な性格は“謙虚さ”と“再生”のかがみとして公式に慶賀されている新法王の正体の強力な確認以上の何者でもない。
法王の座についた人物は、マルクス主義や啓蒙主義や、あらゆる形の人類の進歩に対する、筋金入りの敵であるのみならず、第二次大戦後時代の最大犯罪の一つ、アルゼンチンの“汚い戦争”に深く直接加担してきた人物だ。
壮麗な儀式のなか、金曜、バチカン広報担当者は、フランシスコ新法王、元ブエノス・アイレス枢機卿ホルヘ・ベルゴリオの過去に触れざるをえなかった。広報担当者は、法王に対する非難は“反聖職者左翼分子”のしわざだと片づけた。
1976年から1983年迄、アルゼンチンを支配した軍事政権が遂行した“汚い戦争”における教会指導部の共犯行為を“左翼分子”が非難しても、全く驚くべきことではない。彼等は“失踪し”殺害された推計30,000人の労働者、学生、知識人や他の人々、更に何万人もの投獄され、拷問された人々の多くに責任があるのだ。
しかし、ベルゴリオに対する最も手厳しい批判の中には、司祭や平信徒の労働者を含め、カトリック教会内部からのものがあり、教会から“左翼”を“洗浄する”共同作業の一環として、彼が自分達を拷問者に引き渡したのだと主張している。その一人、イエズス会司祭オルランド・ジョリオは、ブエノス・アイレスのスラム地区での仕事をやめるようにという、当時のアルゼンチン・イエズス会教団のトップ、ベルゴリオの警告を無視した後に、他の司祭達と共に誘拐された。
1985年の最初の軍事政権指導者裁判時に、ジョリオは“彼自身が、我々の名前が載った名簿を海軍に手渡したのは確実です”と発言した。二人は悪名高い海軍機械学校(ESMA)拷問センターに連行され、薬漬けにされ、都市外部の村に置き去りにされるまで、五カ月間、拘留された。
ベルゴリオには、イデオロギー的に、軍事政権が行なった大量政治殺害を支持する素因があった。1970年代初期、彼は右翼ペロン主義者のグアルディア・デ・イエロ(鉄衛団)と関係していたが、この組織のメンバーは、ペロン主義者の労働組合幹部分子と共に、トリプルA (AAA=アルゼンチン反共産主義同盟)として知られる、軍事政権が権力につく前に、軍に反対する左翼を絶滅する作戦を実行した暗殺部隊に雇われていた。海軍のトップで軍事政権の主要イデオローグ、エミリオ・マッセラ提督は、特に“失踪者”の個人資産処分をさせる為、こうした分子を雇っていた。
2000年に亡くなったジョリオは、ベルゴリオは“マッセラ提督と連絡をとっており、彼に、私がゲリラのボスだと知らせたのだ”と非難していた。
軍事政権は、既存の社会秩序に対するごくわずかな反対表明も、虐げられた人々に対する共感も“テロ”と見なしていた。誘拐された別の司祭、フランシスコ・ハリクスは、彼等はテロリストではないと軍に伝えるとベルゴリオが約束したと本の中で詳述している。彼は書いている。“後に見ることが可能になった、30の公式文書の記述からして、この人物が、約束を守るどころが、逆に軍隊に偽りの告発をしたことを、私達はいかなる疑念の余地無しに証明することができる。”
ベルゴリオは、召喚されていた軍事政権に対する最初の裁判にも、次回の訴訟手続きにも出廷を拒否した。2010年、彼がとうとう尋問に出頭した際、犠牲者の弁護士達は、彼は“言い逃れ”して“嘘をついている”のがわかった。
ベルゴリオは、誘拐され、子供を生むまで拘留され、処刑された、失踪した母親の赤ん坊を盗み、軍や警察の家族の子供するという軍事政権の慣行を、独裁政治が終わった後に初めて知ったと主張していた。行方不明になった親族を探す手助けを求めて彼に会いにいった人々によって、この嘘は暴露された。
軍事政権との協力は、単なるベルゴリオの個人的失敗ではなく、軍の狙いと手法を支援した教会支配層の政策だった。アルゼンチンのジャーナリスト、オラシオ・ベルビツキーは、ベルゴリオが書いた本の中で、この組織的共謀を隠蔽しようとして、軍事クーデターの8カ月後、1976年11月、教会指導部と軍事政権の会合を記録した、見られては困る文章メモを削除したベルゴリオの企みを暴露した。
削除された声明には、教会は“失敗すれば、マルクス主義になる可能性が非常に大きくなるので”“政府の行動に対し、批判的な立場をとる意図は全くない”という誓約も含まれている。声明は、アルゼンチン労働者に対しておこなったテロ統治、いわゆる“プロセソ”に関する、カトリック教会の“理解、支持と受容”を宣言していた。
この支持は決して精神的なものにとどまらない。軍事政権の拘留・拷問センターには司祭が配置されたが、仕事は拷問と死に苦しむ人々の為に、聖職者の務めを果たすのではなく、拷問者や殺人者達が良心の呵責を克服するのを助けることだった。“麦と殻を分ける”という聖書の比喩を利用して、政治囚が薬物を投与され、裸にされ、飛行機に積み込まれ、海に投げ込まれた、いわゆる“死の飛行”作戦を実行する連中に、“神の仕事”をしていると安心させたのだ。他の司祭は、拷問に加わったり、拷問者が使える情報を引きだすために懺悔を利用しようとしたりした。
この協力は、バチカンの上から下まで支持されていた。1981年、マルビナス(フォークランド)諸島を巡るアルゼンチンとイギリスとの戦争直前、法王ヨハネ・パウロ2世はブエノス・アイレスまで飛び、誘拐され、拷問され、殺害された何万人もの人々については一言も発せぬまま、軍事政権と共に登場し、当時のトップ、レオポルド・ガルティエリ将軍に口づけした。
ジェファーソンが述べた通り、スペインでのフランコのファシスト支持、ヨーロッパでのナチのホロコースト実施への協力、アメリカのベトナム戦争を支持した様に、教会は“常に独裁者に協力する”。
とはいえ、ベルゴリオの様な人物を法王に任命したこと、そして、マスコミと支配層内部での慶賀は、厳しい警告に違いない。アルゼンチンで、30年前に行なわれた恐ろしい犯罪が受け入れられたのみならず、権力の地位にある連中が、激化する階級闘争と社会革命の脅威から資本主義を擁護するため、再び同様な手法の利用を検討しているのだ。
Bill Van Auken
記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/03/16/pers-m16.html
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麦と殻を分けるというくだり、「ルカによる福音書3章17節」が出典だろうか?
そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。
ネットで見ると、彼については、同じような趣旨の英語記事だらけ。腐敗極まれり。
宗教全般、興味皆無ゆえ、宗教関係本ほとんど読まない。そういうことに費やす気力も資金もない。高校生頃からジェファーソンと同じ考え方をしていたような気がする。
戦争に反対して徹底的弾圧を受けた大本教以外のあらゆる宗教団体、日本という国家による戦争に本格的に反対したことはないだろう。神道を先頭に。独立国家としての侵略戦争推進する宗教というのは、成立するかも知れない。しかし、宗主国の侵略戦争推進するために、国民を鉄砲玉にして、祀る宗教というものが、一体どうして成立するだろう。間もなく、こうなる。
軍事政権の拘留・拷問センター、侵略前線には宗教者が配置されるが、仕事は拷問と死に苦しむ人々の為に、聖職者の務めを果たすのではなく、拷問者や殺人者達が良心の呵責を克服するのを助けることだ。
今の売国政権にぴったりよりそう宗教政党の醜悪さ、ジェファーソンの考え方の証明そのもの。そして自民を支持する各種宗教。いかがわしい現世利益と引き換えに、身売りする集団。不幸の科学。
彼等の「死後の世界の天国へ向かう力」は知らないが、「現世を地獄にする力」を、まさに今行使している。国民を守るのが趣旨であれば、壊憲反対、原発反対、TPP反対に、立ち上がってこそ、人を助ける教えだろう。黙認は、1%の1%による1%のための売国政治支持に過ぎない。
善行を尽くして天国に向かうのは至難の技だが、悪行を尽くして、地獄に落ちるのは馬鹿でもできる。
イエズス会については、『イエズス会の世界戦略』『武器・十字架と戦国日本 イエズス会宣教師と「対日武力征服計画」の真相』の二冊を最近読んだだけ。彼等には下心があるのではと疑っていたのには、想像通りの理由があったことがわかってうれしくなった。
悲しいのは、彼等の作戦が今、完成目前にあることだ。
恥ずかしながら、某学会大会に迷い込んだことがある。テーマに興味を持ったためだ。
会長氏、キリスト教徒で、原発メーカーから研究資金を貰っていることを自慢にしていた。階級分裂ではなく、男女の分裂へと誘導する集いに思えて、近寄らないことにした。
“あらゆる国、いつの時代も、宗教者は自由に敵対的だ。自分自身を保護してもらうのと引き換えに、彼らは常に独裁者に協力し、独裁者の権力乱用をほう助する。”
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僧侶ほど現世執着が強く、その煩悩に易々と絡め取られる者はいない。
欲望の強さ、その絶倫さは途方もない。物欲色欲金銭欲支配欲その他
ありとあらゆる欲の塊の化物が聖職者ということだ。
皮肉だが、だから僧侶なのだ。何故なら俗世間ではオレオレ詐欺犯罪でも
坊さんに限っては丸儲けはありがたい神聖なこととして崇められるからだ。
信長も坊さん精力には手を焼いた。やれ比叡山だ本願寺だ一向宗だのは
強大な独立煩悩勢力で下手な大名なんぞ歯がたたない。
もっとも、聖職者のはずがやることは世俗的な「煩悩」そのものなのだ。
例えば信長の、とくに比叡山焼き討ちは大虐殺の悪行と言われるがどうかね?
実態は神聖な山にして妻帯不可のはずが女また女、稚児また稚児のハーレム!
しかも殺生御法度の非武装非暴力のはずが覆面して長い薙刀をグルグル
振り回しヤクザのように威嚇屠殺する。さすがの武士もタジタジだ。
まるで今で言う悪魔の金融原子力マフィアならぬ宗教マフィアが相手
だったのだよ。
連中はいまでも健在である。
投稿: 弁慶 | 2013年3月27日 (水) 01時57分