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2013年3月

2013年3月31日 (日)

真実が抑圧された時、国は死ぬ

Paul Craig Roberts

2013年3月16日

アメリカ経済が、雇用の海外発注化で大打撃を受け続けていた10年間にわたり、経済学者や、海外発注を進める大企業のPR提灯持ち連中は、何百万もの失われた製造業雇用はアメリカに不要であり“手の汚れる”仕事が無くなったことを喜ぶべきだと言っていた。

アメリカは高度化しつつあるのだと我々は聞かされた。世界経済における我々の新たな役割は、手の汚れる経済が作り出す新製品を革新し、開発することだった。製造という単純な仕事ではなく、イノベーションこそ、収益があがるのだと彼等は言っていた。

私が絶えず警告してきた通り、ハーバード大学教授で、海外発注の擁護者マイケル・ポーターが我々に約束した、手の汚れる仕事を手放した“想像力と創意工夫に基づく高賃金サービス経済”への報酬なるものは、ポーターの想像の産物だった。

過去十年にわたり、私は何度となく繰り返してきた。“イノベーションは、物が作られる現場で起きる。イノベーションは、製造と一緒に海外に移動してしまうだろう。”

これは、大企業や、ポーターの様な連中の提灯持ちが聞きたい話ではない。大企業は、アメリカ人従業員をお払い箱にし、低賃金の外国人で置き換えて、利益を増加させていた。ポーターの仕事は、従順で自分の意見を持たず、大勢に従う連中を安心させて、アメリカ経済を空洞化させた強欲に対する抗議が現実化しないようにすることだ。

“物を作れる企業がなくなれば、研究を生み出せるどころか、研究が消滅してしまう結果になる”という結論の、20人のMIT教授と大学院生が事実を基に行なった研究が現れた。 http://www.manufacturingnews.com/news/mit0305131.html

MITによって正当性を証明されたことを私は嬉しく思う。もちろん、この教授達は遅すぎた。既に喪失は起きてしまったのだ。そうは言うものの、MITの教授達の見解が、組織的に画策された偽情報の中、生き延びられるかどうか見るのは興味深いことだ。

二年前の2011年、ノーベル賞受賞者の経済学者マイケル・スペンスは、アメリカ経済は、膨大なアメリカ貿易赤字を低減する為、輸出することが可能な貿易財や、サービスを生み出せない、低賃金の国内サービス雇用以外、生み出す能力がないという、私の十年来の結論を確証してくれた。スペンスは“新経済”というのは、海外外注経済だ、という私の主張の正当性を立証してくれた。スペンスは、アメリカ経済と、アメリカの雇用の見通しは悲惨だと結論している。アメリカは“アメリカ合州国における雇用機会の質と量に関し、長期的な構造変化に直面している。これと関連する課題は、所得分配だ。ほとんど全ての雇用増加は、非貿易部門で起きているが、そこでは従業員一人当たり付加価値の増大はずっと緩慢だ。この数値は収入と極めて相関性がある為、労働人口の大部分の賃金の低迷を、かなりうまく説明できる。” http://www.cfr.org/industrial-policy/evolving-structure-american-economy-employment-challenge/p24366

スペンスの結論に対しても、私の同じ結論同様、何ら公共政策の反応はない。

思想は最も強い力であり、物質的利益に勝るのだと、生まれてこの方聞かされ続けてきた。恐らくこれも、かつて物質的利益が、政府同様、マスコミや大学や出版社を支配していなかった昔は本当だっただろう。元米財務省高官の私や、ノーベル賞受賞者のスペンスのような声は、巨額資金が支援する声には、とうていかなわない。今日、国民の大部分は、少数独裁派が与えるプロパガンダ以外、何も知らずにいる。大半の人々は、テレビでフォックス・ニューズやCNNを見て、報道を真に受けている。もっと教養があると自惚れている連中は、ニューヨーク・タイムズで、全く同じ嘘に曝される。

真実を語る人々を買収したり、黙らせたりできない場合は、そういう連中は無視されるか、悪魔化される。アメリカ人が知るべきことのほとんどが公的な議論の場では禁句だ。真実を持ち出す連中は、皆“反米”、“テロリスト同調者”、“共産党員、社会主義者”、“陰謀論者”、“反ユダヤ主義者”、“変人”やら、アメリカ人を怖がらせ、真実のメッセージから遠ざけるため作られた、何か他のレッテルを貼られてしまうのだ。

腐敗した大企業、腐敗したマスコミ、腐敗したアメリカ政府は、この国を真実から絶縁させてしまった。結果はひどいことになるだろう。嘘の上に作られた国は砂で作られた家の様なものだ。

“そこで、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩[真実]の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家を襲っても、倒れなかった。岩を土台としていたからである。わたしのこれらの言葉を聞くだけで行わない者は皆、砂[嘘]の上に家を建てた愚かな人に似ている。雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家に襲いかかると、倒れて、その倒れ方がひどかった。”マタイによる福音書 7:24-27 『新共同訳新約聖書』

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/03/14/when-truth-is-suppressed-countries-die-paul-craig-roberts/

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首相だか、大本営報道だかによると、モンゴルと日本、同じ価値観なのだそうだ。

ウランを採取し、原発の燃料に使い、使用済み燃料をウラン鉱山に埋め戻し、永久処分場にする。という1%の価値観は共通だろう。

「同じ価値観」とは、対中国包囲網を作ろう、ということ。

宗主国と、この属国、同じ価値観だと大本営広報部は常に諭してくれる。

東京大空襲で市民を大量殺戮し、広島、長崎に原爆を投下した宗主国と、落とされた属国がどうして、同じ価値観でありうるだろう。それ以降も、ベトナム、ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビア、そしてシリア。次はイランだろうか。朝鮮半島だろうか? 最大の産業が、軍事破壊・殺人産業。戦争がないと、国家として成立しないテロ宗主国。そういう国に侵略・休憩基地を提供して68年。世界最大の侵略戦争幇助国家。

価値観、本来、対極であって不思議はない。そうでなければ、人々、ドレイに過ぎまい。

維新「改憲勢力を確保」と大本営広報部紙媒体の見出し。

宗主国では、仕事が見つからない若者をリクルートし、侵略戦争の鉄砲玉に使う。

憲法を破壊し、仕事が見つからない若者をリクルートし、宗主国の侵略戦争の鉄砲玉に使うことを目指す勢力が三分の二もあるらしい。自民、公明、みんな、維新。

属国の腐敗・破壊の度合いは、宗主国の1%の価値観を共有する多数の人々が多いことで証明されるだろう。

侵略戦争、鉄砲玉だけではたりない為、宗主国、無人機を多用する方針に変えつつある。

属国も鉄砲玉だけではもうからない。武器輸出三原則を放棄し、国産無人機を大量に製造・輸出し、宗主国侵略戦争支援で、実戦に使う日も遠い先の話ではない。

宗主国の1%と価値観を共有するドレイ、価値観とともに、宗主国の99%と運命を共有することになる。

大本営広報ではない、代替メディア、孫崎享80分インタビューで、真実を。

 

そして、IWJによる記者会見。

2013/03/26 10年後の将来、ネットメディアがメディアの本流に-デモクラTV開局記者会見

 

2013年3月29日 (金)

テレビ・ニュースが死んだ日

Chris Hedges

2013年3月25日

"Truthdig"

テレビ・ニュースの死が、正確には、いつ起きたのか、私にはさだかではない。

転落は緩やかだった。キャスター連中が、大企業政治傀儡連中を褒めたり、冷やかしたりして、著名人の欠点を、まともなニュースのごとく扱う、けばけばしく、さまつで、空虚なFoxやMSNBC等の有線ニュース放送局の茶番への堕落は。もし商業テレビが、大企業資金を蓄え、娯楽を提供することが自分達の主要任務だと判断し、カーニバルの出し物として機能しようと意識的に決断した日付を選べと言われたら、それは恐らく、イラク戦争への呼びかけに反対していたことを理由に、MSNBCがフィル・ドナヒューを番組から外した日、2003年2月25日になるだろう。

ドナヒューとビル・モイヤーズは、全国ネットワーク最後の誠実な人物、イラク戦争への突進に疑問を呈する人々の視点を代表していた、たった二人の主要TVニュース・キャスターだ。MSNBCの創設者で、戦争で莫大な利益を得る軍事企業、ゼネラルエレクトリックとマイクロソフトには、反対意見を大目に見る意図など皆無だった。ドナヒューは馘首され、PBSではモイヤーズが大変な圧力に曝された。マスコミに流出したMSNBC社内メモには、ドナヒューが局のイメージを傷つけているとあった。彼は“戦時のNBCにとって、公的な顔としてはまずい”だろうとメモにあった。ドナヒューは二度と放送に戻らなかった。

商業マスコミに現在君臨している、自称リベラルなり保守派なりの著名キャスター連中は、皆大企業が書いた同じシナリオを読んでいる。彼等は同じゴシップを歪曲して伝えている。大企業国家が無視されて欲しいと思っていることは無視する。彼等は、大企業国家が提唱するものを提唱する。連中は、大企業権力構造に疑問を投げかけたり、そういうものがあると認めたりはしない。連中の役割は、アメリカの死に体の政治体制へと、視聴者のエネルギーを注ぎ戻すことだ。民主党や共和党は大企業の手先ではないと我々に思い込ませることだ。有線ニュース番組の大げさなキャスターの仕事は、我々を怯えさせることだ。自称リベラル派やら、自称保守派やらは、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ゼネラルエレクトリックや、エクソン・モービルの利益に反する投票は不可能な様に不正に操作された政治制度の一環だ。これら大企業は、脅しを基本とするプロパガンダの見返りに、著名ニュース・キャスターに、何百万ドルもの給料を惜しみなく支払っている。連中は自分達のショーを儲かるものにしている。戦争があると、こうしたニュース・キャスターは、年に500万ドル稼ぐと推定されているクリス・マシューズが他のMSNBCや、フォックス・ニュースのキャスター連中と一緒に行なったと同様に、チアリーダーとして“愛国的”役割を演じる。

こうした有名人や、通常、退職した将軍や政府高官からなるゲスト連中が戦争について、とんでもない間違えをしても全く問題はない。拘束されない大企業資本主義や、グローバル化の不思議についてのフランシス・フクヤマやトーマス・フリードマンの言説がいかに間違っていようと全く問題にされないのと同じだ。昔も、そして今も、大切なのは、テレビ・広告業界で、テレビし好度として知られているものであり、誠実さや真実ではない。テレビ・ニュース有名人は、ジャーナリズムでなく、売り込みが商売だ。連中は、大企業国家イデオロギーを売り歩いているのだ。しかも余りにも多くのアメリカ人がそれを真に受けている。

不都合な情報を排除する嘘も、嘘にはかわりない。こうした著名ニュース・キャスター連中は、大企業権力と自分達の共謀を暴露するようなことには決して触れない。連中は、アメリカ国民を拘留し、法の適正手続きを奪う為に、政府が軍隊を使用することを認める条項、国防権限法の1021条については語らない。連中は、令状無しの盗聴や、アメリカ国民暗殺の大統領命令等の行為を可能にした、アメリカ人の最も基本的な市民的自由の廃棄を非難することはない。連中は、この地球を包み込みつつある危機を、長い時間をかけて、気候科学者に説明させようとはしない。連中は、化石燃料業界の生態系に対する無謀な攻撃と対決することはない。連中が、アメリカの都市や地方の、人目につかないようにされた、貧しい人々や、イラクとアフガニスタンの戦争や、ウォール・ストリートの大企業の腐敗についての長編ドキュメンタリーやニュース報道をするのは極めて稀だ。彼等が給与を貰っているのは、それゆえではない。彼等は意味ある議論を封殺することで金を貰っているのだ。連中は、大企業支配(コーポラティズム)に対する、アメリカで最も鋭い批判者達、例えばコーネル・ウエスト、メディア・ベンジャミン、ラルフ・ネーダーやノーム・チョムスキーらの信用を傷つけたり、無視したりすることで金を貰っているのだを。連中は、何時間も、くだらないおしゃべりをして、我々の頭を不条理劇で満たすために金を貰っているのだ。彼等は、ライバル局のクリップを見せて、それを、そしてライバル局を、お互いに馬鹿にする。テレビ・ニュースは、ルドヤード・キプリングによる“ジャングル・ブック”中のバンダル-ログ猿の描写そのものだ。完璧な自己陶酔、規律の欠如と、並外れたうぬぼれで、一斉に唱える為に、ジャングル中の他の動物達から、バンダル-ログ猿は正気でないと見なされていました。“我々は偉大だ。我々は自由だ。我々は素晴らしい。我々はジャングル中で一番素晴らしい人々だ! 我々全員がそういうのだから、真実に違いない。”

最近ニューヨークのドナヒューに電話をした際、彼は番組の終わり頃、局が彼にかけた圧力について話してくれた。“不条理なものへと発展していた。”彼は続けた。“番組に、リベラルを一人出演させるなら、保守派を二人出演させなければいけないと言われた。私はリベラルと見なされていた。リチャード・パールなら一人で出演させられただろうが、デニス・クシニッチではそうはいかない。戦争への準備期間中に、不人気な側に付く事に対し、商業マスコミが抱く、途方もない恐怖感を感じた。また当時ゼネラルエレクトリック最大の顧客が、ドナルド・ラムズフェルド[当時の国防長官]だったことを忘れてはならない。エリート・マスコミは、エリート権力を売りにする。他の意見は報道しない。”

ドナヒューは、MSNBCを辞めた後、四年をかけて、共同監督/プロデューサー、エレン・スピロと一緒に、イラク戦争で体が麻痺した退役兵トーマス・ヤングについてのドキュメンタリー映画“Body of War”を制作した。ドナヒュー自身が資金を出した映画は、ネーダーと一緒に、ワシントンD.C.のウォルター・リード陸軍医療センターのヤングを見舞いにいった時に始まった

“モルヒネを投与されて、青年は横たわっていた”ドナヒューは言った。“我々がベッドの横で見下ろしながら立っていると、母親が彼の負傷を説明してくれた。‘彼はT-4です。銃弾は鎖骨から入り、肩甲骨の間を抜けました。乳首から下が麻痺しています。’彼は憔悴していた。頬骨が突き出ていた。寝ている敷布同様に真っ白だった。彼は24歳だった。…‘皆これを見るべきだ。これは大変だ。’と思った。 ”

イラクやアフガニスタンで戦った兵士が身内にいるアメリカ人は極めて少数で、ましてトーマス・ヤングのような個人的犠牲を払う人は一層少ないとドナヒューは言う。“誰も痛みを見ていない”彼は言う。“戦争の好ましくない部分は隠されてしまう。”

“私は言った。‘トーマス、痛みを見せる映画を作りたい。戦争とは本当は一体どういうものかを見せる映画を作りたいが、あなたの許可がないと、作れない。’ ”ドナヒューは思い返した。“トーマスは言った。‘私も。’ ”

しかし、またしても、ドナヒューは大企業の壁にぶつかった。配給業者は映画を扱いたがらなかったのだ。評論家達から絶賛されてはいても、映画は余りに気がめいるもので、元気が出ないと、ドナヒューは言われた。配給業者は彼に聞いた。車椅子の人の映画を見たがる人がいるだろうか。ドナヒューは何とかシカゴ、シアトル、パーム・スプリング、ニューヨーク、ワシントンとボストンでの上映にこぎ着けたが、上映期間は痛々しいほど短かった。

“全面広告を出す資金はなかった”彼は言う。“ハリウッドでは、映画そのものより宣伝に多くの金をかけることがよくある。それで映画はだめになった。今は平和団体が上映してくれている。マイアミで平和を目指す退役兵士大会を開催した。私は失敗することには慣れている。それでも、実に多くのアメリカ人が黙ったままでいることには、あぜんとしている。”

クリス・ヘッジズのコラム記事は、Truthdigに毎週月曜日に掲載される。彼は中米、中東、アフリカやバルカン半島で、ほぼ20年間、海外特派員として過ごした。彼は50以上の国から報道しており、クリスチャン・サイエンス・モニター、ナショナル・パブリック・ラジオ、ダラス・モーニング・ニューズや、ニューヨーク・タイムズで働いたが、ニューヨーク・タイムズでは15年間、海外特派員だった。

記事原文のurl:http://www.informationclearinghouse.info/article34413.htm

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老害政治家の長い病院生活で、(ファシズム傀儡)政党諸派が再編するという報道。
報道されている党派、すべて傀儡、どのように組み合わせが変わったとて、売国奴の正体は変わるまい。彼等の躍進は、庶民にとっては地獄でしかない。
大本営が推奨しない絶滅危惧種政党の躍進なしには、地獄世界到来は必至。

伝説のTVキャスター、マローのことを書いた記事『9/11後のマスコミにおける、現代版赤狩り』を思い出した。

アメリカの様子は知らないが、まともな日本人ジャーナリスト達が排除される様子は、リアルタイムでみてきた。いずれも皆、宗主国による理不尽な行為の暴露にまつわる活躍をされた方々。政治家も同じだろう。

大森実:
1965年10月3日朝刊に「米軍が北ベトナム・クインラップのハンセン病病院を爆撃したことは、北ベトナムの撮影した記録フィルムから見て事実だ」とする記事が掲載された。これに対して駐日アメリカ大使のエドウィン・O・ライシャワーが「全く事実に反する内容」と大森を名指しで批判する事態に発展した。毎日新聞側は当初「報道は正確である」と主張したが、大森は翌年1月に、毎日新聞の姿勢について「自分の報道を事実上修整した」として退職した。

田英夫:
『JNNニュースコープ』の初代のメインキャスターとなり、1968年3月まで務めたが、降板させられた。報道姿勢そのものを反米的と見なした政府筋、自民党及び福田赳夫幹事長が、TBS今道社長を自民党本部に呼んでTBS首脳部に圧力をかけたからだとされている。

最後の放送では降板の経緯に触れることなく「それではみなさん、また明日」を「それではみなさん、さようなら」と言い換えるのみでTV画面から去った。1970年同社を退職。

西山太吉氏:
1972年、沖縄返還時の日米間の密約を暴露した。後に民主党議員となった当時東京地検特捜部の検事佐藤道夫が書いた起訴状の文言が有名になった。


地検特捜部」そして「民主党」、今やおなじみの走狗。

TPP問題解説に孫崎氏を登場させる民放番組をみて感心したが、案の定、国営放送中継で、売国奴・大西英男衆院議員が理不尽な弾圧した。
考えてみれば、現首相、国営放送の従軍慰安婦番組にイチャモンをつけて、無理を通した立派な実績がある。

まともな番組を潰すのが、属国傀儡政治家、大本営広報部の職務。

IWJの岩上安身氏も、TPPに触れたその日に、常連番組を下ろされたとおっしゃっている。究極の売国政策TPP、それほど必死になって隠さないといけない程稀代の悪策。

杉並からの情報発信です」他の皆様による「市民ネットメデイアグループ」合同インタビュー、ゲスト元外務省情報局長孫崎享氏、テーマ「TPP参加問題と大西英男自民党議員による「言論封殺」」がネットでみられる。大本営広報は見ず、こちらをこそ見るべきだろう。76分58秒

 

 

http://twitcasting.tv/chateaux1000/movie/11021516

まともな意見が排除されるのだから、残ったものはカス・ゴミなのだ。言い換えれば、終日電気の箱から流される報道なるしろもの、紙の束に印刷されている記事なるしろもの、本質は全て洗脳プロパガンダに過ぎない。

“誰にも痛みを見せず”“属国支配の好ましくない部分は隠されてしまう。”

2013年3月25日 (月)

“汚い戦争”法王

wsws.org
2013年3月16日

マスコミは、一週間以上、ローマ・カトリック教会の新法王選出を巡る陳腐な陶酔の大きな渦に大衆をまきこんだ。

何世紀にもわたって、迫害と後進性が明らかにされている組織の、この際限なく続く教義と儀式の祝賀は、すこぶる非民主的な性格の捺印が押されている。政治的既成勢力全体の右傾化、そして教会と国家との分離を含め、アメリカ憲法に定められている原理の否認を反映しているのだ。

アメリカ憲法を書いた人々を鼓舞した政治理念から、何と程遠く離れてしまったものか。その理念とは、“あらゆる国、いつの時代も、司祭は自由に敵対的だ。自分自身を保護してもらうのと引き換えに、彼は常に独裁者に協力し、独裁者の権力乱用をほう助する。”というトーマス・ジェファーソンの十分な根拠に裏打ちされた見解だ。

ジェファーソンの見解とごますりマスコミ報道の反動的な性格は“謙虚さ”と“再生”のかがみとして公式に慶賀されている新法王の正体の強力な確認以上の何者でもない。

法王の座についた人物は、マルクス主義や啓蒙主義や、あらゆる形の人類の進歩に対する、筋金入りの敵であるのみならず、第二次大戦後時代の最大犯罪の一つ、アルゼンチンの“汚い戦争”に深く直接加担してきた人物だ。

壮麗な儀式のなか、金曜、バチカン広報担当者は、フランシスコ新法王、元ブエノス・アイレス枢機卿ホルヘ・ベルゴリオの過去に触れざるをえなかった。広報担当者は、法王に対する非難は“反聖職者左翼分子”のしわざだと片づけた。

1976年から1983年迄、アルゼンチンを支配した軍事政権が遂行した“汚い戦争”における教会指導部の共犯行為を“左翼分子”が非難しても、全く驚くべきことではない。彼等は“失踪し”殺害された推計30,000人の労働者、学生、知識人や他の人々、更に何万人もの投獄され、拷問された人々の多くに責任があるのだ。

しかし、ベルゴリオに対する最も手厳しい批判の中には、司祭や平信徒の労働者を含め、カトリック教会内部からのものがあり、教会から“左翼”を“洗浄する”共同作業の一環として、彼が自分達を拷問者に引き渡したのだと主張している。その一人、イエズス会司祭オルランド・ジョリオは、ブエノス・アイレスのスラム地区での仕事をやめるようにという、当時のアルゼンチン・イエズス会教団のトップ、ベルゴリオの警告を無視した後に、他の司祭達と共に誘拐された。

1985年の最初の軍事政権指導者裁判時に、ジョリオは“彼自身が、我々の名前が載った名簿を海軍に手渡したのは確実です”と発言した。二人は悪名高い海軍機械学校(ESMA)拷問センターに連行され、薬漬けにされ、都市外部の村に置き去りにされるまで、五カ月間、拘留された。

ベルゴリオには、イデオロギー的に、軍事政権が行なった大量政治殺害を支持する素因があった。1970年代初期、彼は右翼ペロン主義者のグアルディア・デ・イエロ(鉄衛団)と関係していたが、この組織のメンバーは、ペロン主義者の労働組合幹部分子と共に、トリプルA (AAA=アルゼンチン反共産主義同盟)として知られる、軍事政権が権力につく前に、軍に反対する左翼を絶滅する作戦を実行した暗殺部隊に雇われていた。海軍のトップで軍事政権の主要イデオローグ、エミリオ・マッセラ提督は、特に“失踪者”の個人資産処分をさせる為、こうした分子を雇っていた。

2000年に亡くなったジョリオは、ベルゴリオは“マッセラ提督と連絡をとっており、彼に、私がゲリラのボスだと知らせたのだ”と非難していた。

軍事政権は、既存の社会秩序に対するごくわずかな反対表明も、虐げられた人々に対する共感も“テロ”と見なしていた。誘拐された別の司祭、フランシスコ・ハリクスは、彼等はテロリストではないと軍に伝えるとベルゴリオが約束したと本の中で詳述している。彼は書いている。“後に見ることが可能になった、30の公式文書の記述からして、この人物が、約束を守るどころが、逆に軍隊に偽りの告発をしたことを、私達はいかなる疑念の余地無しに証明することができる。”

ベルゴリオは、召喚されていた軍事政権に対する最初の裁判にも、次回の訴訟手続きにも出廷を拒否した。2010年、彼がとうとう尋問に出頭した際、犠牲者の弁護士達は、彼は“言い逃れ”して“嘘をついている”のがわかった。

ベルゴリオは、誘拐され、子供を生むまで拘留され、処刑された、失踪した母親の赤ん坊を盗み、軍や警察の家族の子供するという軍事政権の慣行を、独裁政治が終わった後に初めて知ったと主張していた。行方不明になった親族を探す手助けを求めて彼に会いにいった人々によって、この嘘は暴露された。

軍事政権との協力は、単なるベルゴリオの個人的失敗ではなく、軍の狙いと手法を支援した教会支配層の政策だった。アルゼンチンのジャーナリスト、オラシオ・ベルビツキーは、ベルゴリオが書いた本の中で、この組織的共謀を隠蔽しようとして、軍事クーデターの8カ月後、1976年11月、教会指導部と軍事政権の会合を記録した、見られては困る文章メモを削除したベルゴリオの企みを暴露した。

削除された声明には、教会は“失敗すれば、マルクス主義になる可能性が非常に大きくなるので”“政府の行動に対し、批判的な立場をとる意図は全くない”という誓約も含まれている。声明は、アルゼンチン労働者に対しておこなったテロ統治、いわゆる“プロセソ”に関する、カトリック教会の“理解、支持と受容”を宣言していた。

この支持は決して精神的なものにとどまらない。軍事政権の拘留・拷問センターには司祭が配置されたが、仕事は拷問と死に苦しむ人々の為に、聖職者の務めを果たすのではなく、拷問者や殺人者達が良心の呵責を克服するのを助けることだった。“麦と殻を分ける”という聖書の比喩を利用して、政治囚が薬物を投与され、裸にされ、飛行機に積み込まれ、海に投げ込まれた、いわゆる“死の飛行”作戦を実行する連中に、“神の仕事”をしていると安心させたのだ。他の司祭は、拷問に加わったり、拷問者が使える情報を引きだすために懺悔を利用しようとしたりした。

この協力は、バチカンの上から下まで支持されていた。1981年、マルビナス(フォークランド)諸島を巡るアルゼンチンとイギリスとの戦争直前、法王ヨハネ・パウロ2世はブエノス・アイレスまで飛び、誘拐され、拷問され、殺害された何万人もの人々については一言も発せぬまま、軍事政権と共に登場し、当時のトップ、レオポルド・ガルティエリ将軍に口づけした。

ジェファーソンが述べた通り、スペインでのフランコのファシスト支持、ヨーロッパでのナチのホロコースト実施への協力、アメリカのベトナム戦争を支持した様に、教会は“常に独裁者に協力する”。

とはいえ、ベルゴリオの様な人物を法王に任命したこと、そして、マスコミと支配層内部での慶賀は、厳しい警告に違いない。アルゼンチンで、30年前に行なわれた恐ろしい犯罪が受け入れられたのみならず、権力の地位にある連中が、激化する階級闘争と社会革命の脅威から資本主義を擁護するため、再び同様な手法の利用を検討しているのだ。

Bill Van Auken

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/03/16/pers-m16.html

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麦と殻を分けるというくだり、「ルカによる福音書3章17節」が出典だろうか?

そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。

ネットで見ると、彼については、同じような趣旨の英語記事だらけ。腐敗極まれり。

宗教全般、興味皆無ゆえ、宗教関係本ほとんど読まない。そういうことに費やす気力も資金もない。高校生頃からジェファーソンと同じ考え方をしていたような気がする。

戦争に反対して徹底的弾圧を受けた大本教以外のあらゆる宗教団体、日本という国家による戦争に本格的に反対したことはないだろう。神道を先頭に。独立国家としての侵略戦争推進する宗教というのは、成立するかも知れない。しかし、宗主国の侵略戦争推進するために、国民を鉄砲玉にして、祀る宗教というものが、一体どうして成立するだろう。間もなく、こうなる。

軍事政権の拘留・拷問センター、侵略前線には宗教者が配置されるが、仕事は拷問と死に苦しむ人々の為に、聖職者の務めを果たすのではなく、拷問者や殺人者達が良心の呵責を克服するのを助けることだ。

今の売国政権にぴったりよりそう宗教政党の醜悪さ、ジェファーソンの考え方の証明そのもの。そして自民を支持する各種宗教。いかがわしい現世利益と引き換えに、身売りする集団。不幸の科学。

彼等の「死後の世界の天国へ向かう力」は知らないが、「現世を地獄にする力」を、まさに今行使している。国民を守るのが趣旨であれば、壊憲反対、原発反対、TPP反対に、立ち上がってこそ、人を助ける教えだろう。黙認は、1%の1%による1%のための売国政治支持に過ぎない。

善行を尽くして天国に向かうのは至難の技だが、悪行を尽くして、地獄に落ちるのは馬鹿でもできる。

イエズス会については、『イエズス会の世界戦略』『武器・十字架と戦国日本 イエズス会宣教師と「対日武力征服計画」の真相』の二冊を最近読んだだけ。彼等には下心があるのではと疑っていたのには、想像通りの理由があったことがわかってうれしくなった。

悲しいのは、彼等の作戦が今、完成目前にあることだ。

恥ずかしながら、某学会大会に迷い込んだことがある。テーマに興味を持ったためだ。

会長氏、キリスト教徒で、原発メーカーから研究資金を貰っていることを自慢にしていた。階級分裂ではなく、男女の分裂へと誘導する集いに思えて、近寄らないことにした。

“あらゆる国、いつの時代も、宗教者は自由に敵対的だ。自分自身を保護してもらうのと引き換えに、彼らは常に独裁者に協力し、独裁者の権力乱用をほう助する。”

2013年3月24日 (日)

米国防長官のアフガニスタン訪問大失敗

Bill Van Auken

2013年3月12日

バラク・オバマ大統領が新たに任命した、チャック・ヘーゲル国防長官は、週末のアフガニスタン訪問中に、自爆攻撃と、“インサイダー”攻撃と、アメリカが支持する傀儡、ハミド・カルザイ大統領から痛烈な批判とに見舞われた。

訪問の目玉として計画されていた、大統領官邸でのカルザイとの共同記者会見は、日曜、アメリカ当局者が治安上の脅威を理由にして中止になった。アフガニスタン側は、そのような脅威はなかったと否定している。

アメリカ国防長官がカーブルで最も厳重に警備されている建物の中は安全ではないと思った為であれ、それともワシントンが、ほぼ12年間、権力の地位に置き続けた人物と、共に演壇に立つことは不可能だと感じた為であれ、行事のキャンセルは、明らかに、アフガニスタンでの、より小規模恒久軍事駐留に向けたオバマ政権の移行作業の根本的な危機を示している。

ヘーゲルがアフガニスタンに到着して数時間のうちに、二件の自爆攻撃で約20人のアフガニスタン人が殺害された。一件はカーブルの国防省のすぐ外で10人が亡くなった。

ワシントンに不意打ちを食らわせた対応として、カルザイは、女性の日記念の呼びかけという名目でテレビ放送演説を利用して、アメリカを激しく非難し、自爆攻撃は、タリバン攻勢の前に、アメリカが率いる占領軍兵士の駐留継続無しには、アフガニスタン政府が無力なことを見せるための大きな陰謀の一環だと示唆した。

“実際は、昨日タリバンの名で爆発した爆弾は、外国人に役立っているのです”とカルザイは述べた。

“カーブルやホストで起きた自爆は、アメリカに対する力の誇示ではありません”彼は続けた。“事件はアメリカに役立っています。もし彼等[アメリカ軍]がいなくなれば、タリバンがやってくると、我々に警告する、2014年のスローガンに役立っています。実際、昨日、外国人をアフガニスタンに長くい続けさせる為、タリバンの名で爆発した爆弾はアメリカ人に役立っているのです。”

2001年にアメリカ占領で据えられたアフガニスタン大統領は、アメリカ当局者が、タリバン代表と“毎日”カタールで会っているとまで非難した。

この発言は、アフガニスタン駐留の最高アメリカ軍司令官ジョセフ・ダンフォード大将の強烈な反応を招いた。“暴力や不安定が我々の為になると考えるには、我々は過去12年間余りに激しく戦い、過去12年間りに多くの血を流した。”と彼は述べた。

ヘーゲルは、もう少し社交辞令調だった。“私は、大統領に、それは本当ではないと言った”新しいペンタゴンのトップはマスコミにこう言った。“あらゆる和平の見通しも、政治的解決も、アフガニスタン人が主導すべきなのだ。”カルザイの発言が、アフガニスタンの有権者に向けられたものであることを示唆して、ヘーゲルは補足した。“私はかつて政治家だったので、(彼が直面している)圧力は理解できる。”

カルザイが直面している“圧力”は実に強力だ。彼も周囲の腐敗した仲間連中も、100,000人以上から、66,000人にまで人数が減った、アメリカ軍兵士削減後の、自分たちの、政治的、物理的な生存能力について、益々不安になりつつある。

この軍隊は、来年までには半減し、2014年末までには更に削減されると想定されており、アメリカは、残った軍隊を、アフガニスタンに恒久的に配備し続けたいのだ。先週、ペンタゴン中央軍司令官のジェームズ・マティス大将は、アメリカ合衆国上院軍事委員会の聴聞会で、この部隊には、20,000人の兵士がおり、その内、13,600人がアメリカ人で、残りは他のNATO加盟諸国兵士だと述べた。

アメリカ・マスコミは、カルザイの発言を、いつも“とっぴな”もの、彼の“常軌を逸した”性格の一例、として扱うが、彼が示した見解は、アフガニスタンでは、決して格別変わったものとは言えない。実際、日曜、カルザイ演説と同じ日に発表された社説で、アフガニスタン日刊紙サルナウェシは、アメリカが率いる占領軍の行動は“反政府勢力を弱体化させなかったのみならず、実際は反政府勢力を強化した”と非難した。記事は更に、アメリカは“アフガニスタン政府の決定への違反を繰り返し、アフガニスタンを占領国として扱っている”と書いている。社説は言う。その結果、アフガニスタン政権を弱体化させ、アフガニスタン人に、政権は“傀儡奴隷政権”で、反政府勢力が正統なのだと見なすようにさせている。

同紙は、カルザイ政権のアフガニスタン主権尊重の要求を、完全に無視している二つの主な例をあげている。一つは、アメリカが運営する悪名高いバグラム監獄の完全支配権の、ずっと伸び伸びにされてきた引き渡しだ。

ヘーゲル訪問と同時期、土曜に、アメリカ軍司令官ダンフォード大将は、被拘留者の釈放を拒否する権利と、被拘留者に対する無制限のアクセスの継続を、アメリカ軍に認めることを、カルザイ政権が拒否しているので、権限を移譲しないと発表した。

カルザイは、罪を告発されていない、あらゆる囚人を釈放すると誓った。アメリカ軍は何百人ものそうした囚人を、反政府勢力を支持しているという嫌疑で、告発も、まして裁判もせずに、長年拘留している。

もう一つの問題は、カルザイ政権が、彼等は“無辜の人々の拷問と、殺害にまで”関与し、民間人の強制的失踪にも関わっていたと非難している、アメリカ特殊作戦部隊がワルダク州から撤退させるというカルザイの要求だ。

月曜のいわゆる“現地兵士の外国兵士攻撃”つまり“インサイダー”攻撃で、ワルダク州ジャルレズの特殊作戦基地で、アフガニスタン兵士が建前上の同盟者に機関銃を向け、少なくとも、アメリカ軍兵士二人、アフガニスタン兵士三人が死亡した事件で、明らかになったように、二週間後にも、特殊部隊の兵士は現地にいた。

カルザイ政権は、アメリカの手先として機能しており、アフガニスタンでの恒久駐留を維持し、中央アジアの石油の豊富な地域に対する覇権を確保し、隣国中国に対する前線作戦基地を維持するためなら、ワシントンは進んで捨て去るだろう。カルザイは、アメリカはその目的でパキスタン軍とタリバンを操っていることを知っている。

更に過去十年の戦争と、アルカイダや、彼等の同盟とされているタリバン等をを打ち負かすという名目で行なわれ続けている“グローバル対テロ戦争”からして、アメリカが率いる政権転覆の為のリビアとシリアでの介入で、イスラム戦士達が代理部隊として機能させているように、アメリカ帝国主義は、こうした部隊を利用する用意ができていることは極めて明白だ。

一方、12年以上の占領に対する大衆の憎悪を増大させてきた手法を象徴する別の事件で、アメリカ軍兵士達が、車列に近づいたトラックの二人の民間人を射撃し、殺害した。一人が負傷した。犠牲者は警察車両の修理と保守を行なっている会社の社員のようだ。

アメリカ占領軍広報担当官は、車がアメリカ軍車列に余りに接近し、運転手が支持を守らなかったので、兵士達が“自分達を守る為の適切な措置”をとったと述べた。

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/03/12/afgh-m12.html

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属国である実情をますます露骨に表しつつあるこの国の傀儡与党政治家とくらべれば、カルザイさえ、あるいは、イラクのマリキさえも、まともに見えてくる悲しさ!

    • TPPは、宗主国の命令全て丸飲みし、農産物補償で手仕舞?保険や調達は?
    • 沖縄では、辺野古埋め立て申請
    • 軍事予算増大
    • 集団自衛権
    • 憲法96条改変から始まる、9条廃棄-軍隊の侵略傭兵・鉄砲玉化

自民や、公明や、みんなや、維新を進んで支持する方々、何が嬉しいのだろう?

2013年3月23日 (土)

TPPの狙いは日本に非関税施策を解除させること-議会調査局文書「日本のTPP参加可能性と、その意味あい」(8)はじめに-貿易促進権限法

はじめに

アメリカ合州国は、地域自由貿易協定(FTA)-環太平洋連携協定(TPP)を構築すべく、8ヶ国と交渉中である。交渉で、アメリカ合州国と他のTPPパートナー諸国は、“貿易と投資を自由化し、新たな、また伝統的な貿易問題と21世紀の課題に対処する包括的な次世代の地域協定”の構築を目指している。TPPパートナーは、協定がより広範なアジア太平洋地域FTA、時にアジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)と呼ばれるものの構築に向けた構成要素ともなるように構想している。

議会はアメリカのTPP参加問題に対して、直接的な監督の役割を持っている。もしTPPがアメリカ合州国に適用されるのであれば、議会は法律制定を承認する必要がある。既に、議員の中には、日本がTPPに参加することを認めるべきか否か、またどのような条件で認めるかについて、議論に参加している人々もいる。プロセスが進行するにつれ、より多くの議員がそうする可能性がある。

オバマ政権は、あたかも貿易促進権限が施行中であるかのように、TPP交渉を進めてきた。政権は、これまでの貿易促進権限(TPA)、あるいはファースト・トラック権限の不可欠な一部である、議会との協議要求と通知期限を順守している。この慣行を維持するためには、オバマ政権は、議会両院に、TPPに関する日本との公式交渉(事前協議と対照のものとして)を開始する90日前に通知をする必要があろう。メキシコとカナダとに関しては、それぞれ2012年7月9日と7月10日に、政権は通知をした。

2011年末、長引き、遅れた内部での検討後、日本政府はTPP交渉に参加する可能性を検討することを決定した。野田佳彦首相は、2011年11月11日の記者会見で、“[日本は][2011年11月12-13日]ハワイ・ホノルルでのAPEC経済指導者会議”の機会に、TPP交渉参加に向けて、関係諸国と協議に入ると発表した。以来、日本は9ヶ国のTPPパートナーの各国と協議してきた。執筆時点で、日本はうち六カ国との協議を終えており、いずれも日本の参加を支持している。アメリカ合州国、オーストラリアと、ニュージーランドとの協議は継続中である。以下に述べる通り、TPP貿易交渉に参加するか否かの問題は、日本国内で非常に多くの注目と論議を招いた。参加への反対は、農業ロビー等の既得権益集団の中で特に強く、与党も最大野党も分裂している。

TPPは、オバマ政権の主要アメリカ貿易政策イニシアティブであり、地域の規則と規範形成において、より積極的な役割を演じることで、アメリカ外交政策の優先度を、アジア太平洋地域にに向け、“バランスを取り戻す”という取り組みの大黒柱だ。アジア第二で、世界第三位の規模の経済で、グローバル・サプライ・チェーンの重要なリンクとして、地域貿易取り決めとしてのTPPの威信と実行可能性にとって、日本の参加は極めて重要である。日本をとりこめば、実施された場合、TPPが対象とする、アメリカの貿易と外国投資の額を増大しよう。

日本にとって、TPP参加は、外国製品と投資家にとって、日本市場に対する未曾有のアクセスを与えることによって、日本の経済を変容させる可能性がある。また、長らく経済成長を阻害してきた構造的経済問題と取り組むよう、東京に強いる可能性がある。数十年の経済停滞と中国の成長によって色あせたイメージである、東アジアにおける経済大国としての立場にあり続ける日本の象徴ともなるだろう。

日本のTPP参加は、米日関係にとって重要な意味合いを持つだろう。参加問題で、既に、例えば、両国関係において、いらだちの源であり続けた、自動車、農産物や、保険の日本市場参入等、積年の問題が、新たに注目を集めている。これらの問題は、恐らく、日本が本格的なTPP加盟国として承認される前に、何らかの形で対処される必要があろう。その過程で、新たな問題が生じるであろうことも確実である。更に、参加しないという日本の決定、あるいは、アメリカ合州国による日本の参加を認めないという決定は、米日関係の深さに対する、そしてTPPそのものの威信への疑念を招きかねない。

これまで、こまぎれに翻訳していきた文書 米議会図書館議会調査局2012年8月24日付け文書 「日本のTPPへの参加可能性と、その意味あい」
Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implications
の「はじめに」部分の翻訳

ここからpdfファイルをダウンロード可能。

文中の「貿易促進権限(TPA)」については、 第44回 TPPを慎重に考える会 勉強会で、TPPは日本国憲法違反という趣旨の講演をされた、岩月弁護士のブログ「街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」の下記記事を是非、参照頂きたい。

自民党、反TPPをうたっていた連中、条件闘争に転換、という。やはり売国奴集団。条件闘争で、この植民地協定の性格が変えられるわけがない。

自民、公明、みんな、維新に大勝利させ、この国を、放射能汚染植民地、鉄砲玉供給軍事基地にするつもりの方が、この国では大多数なのだろうか?一億総売国奴のはずはあるまい。

世界を不幸にしたグローバリズムの正体』のスティグリッツ、「金で買われて、アホノミックス称賛にやってきたか、ブルータスお前もか」と思ったが、タイでの講演では、TPPのひどさをはっきり指摘している。下記はその記事の翻訳。

欧米の失敗を避けよ: スティグリッツ

The Nation

2013年3月17日

タイ王国は独自成長モデルが必要で、TPPからは身を引くべきだとノーベル賞受賞者が助言

タイを含む新興市場国、他のASEAN諸国や中国は、自らを“欧米市場から切り離す”べきだと、ノーベル賞を受賞した経済学者ジョセフ・スティグリッツが、昨日バンコックでの講演で語った。

成長するためには、新興市場国は、輸出への依存を減らし、国内消費を拡大し、独自の持続可能な経済成長モデルを見いだす必要があると、アメリカ人経済学者は語った。

世界と地域の経済が直面している最も深刻な問題は、ユーロ圏が存続できるか否か、欧州連合が、不況を引き起こした緊縮政策をやめて、成長政策に切り換えるか否か、アメリカが、現在の行き詰まり状態を乗り越えることが出来るか否かだ、とスティグリッツは言う。スティグリッツは、近い将来のアメリカの成長は、せいぜい3パーセント程度と予想しており、アメリカは高い失業水準を引き下げる必要があると付け加えた。しかし、この十年内、完全雇用は見通しが立たないと彼は語った。

“私が正常と呼ぶようなものに戻れるまでには長い時間がかります”と彼は語った。

新興市場国、特に中国が、自国経済を欧米の経済と切り離すことができて、持続可能な形で発展することを彼は期待している。

ノーベル賞を受賞した経済学者ジョセフ・スティグリッツは、ナショナル・マルチメディア・グループ会長スティチャイ・ユンと壇上インタビューをした。

スティグリッツは、壇上インタビューで、ナショナル・マルチメディア・グループ会長スティチャイ・ユンと語り合ったが、その前にトゥラキット・バンディット大学の国際セミナーの一環として世界経済見通しについて講演していた。

ノーベル賞受賞者は、不景気や不況を招くことが証明されていると言って、緊縮政策に反対している。先進国の失敗を繰り返すのを避ける為、新興市場国は、教育、テクノロジー、環境と、公的医療に投資し、持続可能な経済成長モデルを見いだすべきだと彼は語った。

“成長、環境、生活水準の質と、恩恵をいかに共有するかに焦点を当てるべきです”と彼は語った。

アメリカのイノベーションは、ある程度、アメリカの現在の経済不安の原因になっている。イノベーションは人件費を削減する為に生み出されたが、今では失業率が厄介なものになっていると彼は語った。

アメリカ、ヨーロッパ諸国と日本も、構造と教育の改革が必要だが、経済問題に直面している現在、実施は困難だと、スティグリッツは語っている。

“地域的に、また世界的に見て、経済成長の新たなモデルを生み出すことが、中国にとって極めて重要だろう。なぜなら、もし中国が、[無制限な]消費と物質的なものに基づくアメリカ合州国の経済成長を模倣すれば、地球は存続できないのだから”と彼は語っている。

ユーロ圏の問題を論じで、ASEANが向かっている可能性もある方向の共通通貨という考えに、彼は反対意見を表明した。

“共通通貨[という道]に進むのは悪い考えです。アジアの協力について語るべきです”と彼は語った。“共通通貨は、適応、順応する能力を奪ってしまう”と彼は言う。

“共通市場というのは良い考えです。市場の問題は比較的小さいものですが、それでも規模の経済の恩恵を受けられます。”

スティグリッツは、 政治家に対する大企業によるロビー活動が経済問題解決の邪魔になっているとも語った。

アメリカが他の国々と締結しようとしている環太平洋経済連携(TPP)は危険だとも彼は警告した。

“交渉は秘密裏ですが、協力は、はっきり見えるものです”と彼は言う。

例えば、医薬品会社は、秘密交渉で政治家達にロビー活動をしている大企業の一部だと彼は語っている。

“[医薬品会社の]目的は儲けることです。それを実現する彼等の方法は、たとえアメリカ政府が基礎研究費用を払っていようとも、消費者に、より高い価格を払わせようとするものです”と彼は言う。

“これはジェネリック薬品産業の発展にとって、非常にまずいことです。この分野で、タイは進んだ国の一つです。タイがそれを放棄するのは間違いでしょう。もしTPPに参加すれば、放棄せざるをえなくなります”と彼は語る。

昨年のタイ訪問時、オバマ・アメリカ大統領は、TPPに参加するようタイを説得しようとしていた。

記事原文のurl:www.nationmultimedia.com/business/Avoid-mistakes-of-the-West-Stiglitz-30202103.html

2013年3月22日 (金)

TPPの期待と潜在能力を完全に実現するには-シンガポールでのコーエン氏講演

「関税の聖域やら、主張すべきところは主張して、交渉する」売国自民・公明・維新・みんなの嘘八百を、知りながら売国大本営広報は、知りながら虚報の垂れ流し。03.21 衆議院総務委員会では、自民大西英男議員、TPPにまつわる孫崎享氏発言をいんちき扱いにしている。自民・大本営広報が結託して真実の声を潰そうとしている。「TTP擁護者達は、不平等条約に関する悪い知らせをもたらす伝令を撃っている。」

今の日本は、1%の売国奴が、99%に国家民営化戦争をけしかけている戦時下。原発事故直後の福耳氏の巧妙なデマゴキーと一緒で「直ちには死者・負傷者はあらわれない。」だけ。参議院選挙で、99%が1%を支持し、本格的な全面攻撃が開始される。

TPPの実態、宗主国・属国巨大企業による、日本という国家の民営化だ。

2013/03/14 「日本政府はすでに、TPP参加に際して、無礼で不公正な条件に同意している」米国交渉官が明言 ~秘密のTPP交渉会合に潜入した内田聖子氏が明かすTPPの正体

というIWJ岩上安身氏にの重要なインタビュー中で、内田聖子氏、不思議な団体のトップと、その臆面もないプレゼンテーションに触れておられた。

そのプレゼンテーション文書、これに違いない。ここからダウンロード可能。

日刊ゲンダイ【TPP参加悲観論】2ページに1つは間違える 超難解なTPP英語 2013年3月19日には、こうある。

日本の外務省にあたる外交通商部で働く役人は高学歴のエリート揃いだ。しかし、FTAに書かれた英語は、秀才が繰り返し読み込んでも理解できないほど難解だという。

私も韓米FTAの英語の原文にあたりましたが、米国独特の法律用語が多用され、二重三重の言い回しが使われていた。何回も目を通してようやく『米国の国内法が優先する』と書かれていることが理解できました。何人かの学者に確認しても同じような反応です。つまり、英語が堪能なだけじゃ理解できない内容なんです。よほど自由貿易協定に精通していて、高度な法律知識を兼ね備えていないと太刀打ちできない。恐らく、頭でっかちの外務省の担当者は“自分たちは大丈夫。韓国のようにヘマはしない”とタカをくくっているでしょう。そこが決定的に危うい。私は同じ轍を踏むとみています」(郭洋春氏)

 どこに地雷が埋まっているか分からない超難問英文を読解しなくてはいけないのがFTA。大学入試じゃあるまいし、「解けませんでした」では済まされない。

また、「黄泉の国から」では、日本人の英語能力はカラスのションベンとおっしゃっている。ごもっとも。素人メタボ・オヤジの誤訳てんこ盛りインチキ翻訳、鵜呑みにせず、じっくり原文と照合して頂きたい。

何度も繰り返すが、普通高校から大学に進学しただけで、英語専攻でも、宗主国留学経験もない素人の、でっちあげ翻訳だ。会社員生活中、外国出張し、片言で商談し、製品を売ったが、宗主国に駐在する栄誉にはあずかっていない。皆様と100%、全く同じ投入時間・密度の英語体験しかないメタボ・オヤジの英語理解、所詮はつけ焼き刃。

この不平等条約、「本契約の正本は英語で作成されたものをいい、他の言語のものは翻訳とし、いかなる法的効力または影響力も持たないものとする。」ということになっているに違いない。始めから、不平等が埋め込まれているに違いない。

それはさておき、いくら深刻な誤訳満載でも、「TPPの実態、宗主国・属国巨大企業による、日本という国家の民営化だ」という事実はゆるぐまい。

ところで、不思議な団体、Emergency Committee for American Trade-ECATなるもの、USTRによる意見募集を日本外務省がまとめた、

TPP協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要:主要団体意見詳細)
の、11番目。
11 Emergency Committee for American Trade 米国貿易緊急委員会
下記コメントをしている団体だ。

[立場の理由]
・日本の参加によりTPP全体の市場規模が拡大。
・日本のTPP交渉への参加は、日本の貿易障壁を除去する機会をもたらし、米国の対日輸出・投資を拡大させる。
・日本及びその他のTPP参加国との同盟関係を強化する重要な機会である。

[―般的指摘・要望等]
・他のTPP交渉参加国と同様、日本が包括的な協定に合意することが必要。

[個別具体的指摘・要望等]
・現時点での交渉段階にせよ合意達成後にせよ、日本のTPP参加には以下に係るコミットメント次第。
―農業、製造業(自動車、医薬品)、サービス業(急送便、保険、電気通信)の全分野に関し、除外がなく、包括的であって商業的に有意な市場アクセス
―知的財産権(著作権の保護期間、違法ダウンロードの刑事罰化、著作権等侵害罪の非親告罪化)、投資、貿易の技術上の障壁、衛生.植物検疫措置等におけるTPP全ての交渉分野にわたる規律の採用
―サプライ・チェーン、国有企業、環境物品-サービス(EGS)、規制の一貫性等の新たな野心的な規律への合意

以下、じっくり、お読み頂きたい。また、他の課題という項目の中で触れられている「貿易促進権限」法なるものについては、 第44回 TPPを慎重に考える会 勉強会で、TPPは日本国憲法違反という趣旨の講演をされた、岩月弁護士のブログ「街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」の下記記事を是非、参照頂きたい。

以下が、シンガポールでのプレゼンの翻訳。

ケイマン・J・コーエンのプレゼンテーション シンガポール、2013年3月

はじめに

・本日、皆様とお話させて頂けることを嬉しく存じます。

・私はキャル・コーエンと申します。Emergency Committee for American Trade-ECATの理事長です。

・ECATは、国債貿易と投資を増大させることにより、経済成長の為の政策を推進するアメリカ合州国の主導的企業の協会です。

・ECATは企業とアメリカ合州国の全ての主要経済部門、農業、製造業、サービス業を代表するビジネス団体で構成されるU.S. Business Coalition for TPP事務局もつとめています。

・U.S. Business Coalition for TPPは、交渉のあらゆる重要分野で、TPP指導者が打ち出した意欲的な構想を実現するような成果を促進する為に設立されました。

・本日は、この交渉の期待と潜在能力を完全に実現する為に取り組みが必要な課題についての私の意見を述べさせて頂きます。

・わが国の交渉担当者がここシンガポールの会議で、こうした課題で意味ある進展を達成出来れば、2013年内に交渉をまとめるという最終目標が見えるようになるでしょう。

・アメリカ合州国の我々は、最近の一般教書演説中でのTPP協定交渉を完了する意図についてのオバマ大統領の声明を歓迎いたします。

・こうした交渉の困難な課題に取り組むには、他の交渉参加国指導者による、政治的意志ついての同様な約束が、同様に重要で、この極めて重要な段階で表明されるべきです。

・そうした課題は、交渉の主題である多くの経済部門にわたりますが、そうしたものの多くについて本日、皆様とお話したいと思います。

部門別の主要な課題

繊維と衣料品

・TPPは、TPPに加盟する先進国も開発途上国も同様に恩恵を受けられるような、サプライ・チェーンを基にした貿易の自由化の為の大きな機会をもたらします。

・課題は、この潜在力を履物と衣料品貿易の流れの中で商業的に意味ある増加に転換することです。

・そして、そのような貿易の増大を実現するためには、地域での製造とサプライ・チェーンの現場の現実を考慮する必要があります。

・アメリカ合州国は、繊維と衣料品に対し、原産地に、yarn-forwardルール(加盟国内で生産された糸、繊維を原料に使わねばならないルール)を主張し続けていますが、オークランド・ラウンドで、USTRは供給不足メカニズム(short-supply mechanism=域内で妥当な価格かつ商業規模で調達することが困難な原材料については第三国からの調達を認める規定)を組み込むことにより考えうる柔軟性について議論をはじめました。

・履物と衣料品貿易の流れで、商業的に意味ある増加を促進するという目的に合致できるか否か、あるいはいかに合致できるか確認する為、そのような柔軟性は十分検討されるべきです。

・それが、繊維と衣料品に関して、あるいは他のあらゆる貿易製品やサービス関して、協定が、正当な貿易での商業的に意味ある増加を促進し、保護しているか否かについて、TPP協定が評価される主要な測定基準なのですから。

・繊維と衣料品について、肝心なのは、アメリカの交渉担当者達が、TPP加盟国の繊維・衣料品企業が、その下で運用しているダイナミックなサプライ・チェーンの現実世界の柔軟性を実現することが必要だということです。

農業

・交渉を大いに促進するだろう一つの原則があります。いかなる物品も対象から除外されてはならいということです。

・その逆もまた真です。物品除外に対するあらゆる主張は交渉を大いに妨げます。

・農業以上に、この原則があてはまる分野は他にありません。

・万一アメリカ合州国が、砂糖や乳製品等の製品のより拡張した市場参入を限定したり、否定したりしようとするのであれば、交渉の意欲を損なうことになります。

・対カナダ乳製品輸出の市場参入についても、これはあてはまります。

・そのような輸出品増大にアクセスしやすくなることから、我々TPP貿易パートナーのいくつかと、アメリカとカナダの消費者が恩恵をうけるので、重要な優先事項です。

・同様にアメリカ農産物生産者はベトナム市場に重要な機会を見ており、アメリカ輸出品の市場参入増大は、ベトナム人消費者にも、アメリカ農民や牧場経営者にも利益です。

・別途、いくつかのTPP加盟国のステークホルダー達は、全ての衛生植物検疫措置(SPS)原則の法的強制力の重要性を認めています。

・また、衛生植物検疫措置SPS標準に対する拘束力のあるコミットメントに加え、食料、餌、および加工処理用の傷みやすい農産物貨物の引き渡しが、管理・規制上の理由から遅れることに対する、透明で、予測可能で、時宜を得た緩和の仕組みも必要です。

・傷みやすい農産物の貿易にとって、管理上の引き渡しの遅れは呪詛であり、協定の独自要素として、それに対応する仕組みの確立が必要です。

政府調達

・TPP交渉は、強制的な現地化要求という形での、貿易に対する非関税障壁問題の増大に反撃する重要な機会を提供します。

・商品とサービスの政府調達は先進国国内総生産(GDP)の"典型的に10-15%を占め"、開発途上国では"GDPの20%にものぼります。"{典拠: http://www.cid.harvard.edu/cidtrade/issues/govpro.html}.

・この経済活動は重要であり、将来、現地調達率、現地調達、技術移転、現地拠点を、優先、または命令する新たな条件制限という形、または別の形保護主義による問題を抱え込むべきではありません。

・少なくとも、この問題が、アメリカ合州国での"バイ・アメリカ"要求の新たな適用や、あるいは、マレーシアでのようにNational Economic Policyの制限という形をとるにせよ、各参加国はTPPの機会を利用して、そのような保護主義を阻止すべきです。

・例えば、カナダ製造業者輸出業者貿易協会を含むカナダ実業界の主導的メンバーは、TPPの下で、連邦レベルでの調達に加え、準連邦的組織に与えられたり、移管されたりした資金にも調達義務が適用されるよう保証することを狙っています。

・これは、新"バイ・アメリカ"要求を、2009年の米国再建再投資法の下で提供される、準連邦的組織の資金調達に連結することに関連して実際に起きました。2009年の法律の下で、アメリカ合州国の準連邦的組織によるある種の建設サービス調達を中断させました。

・準連邦的組織が使えるようにした資金に調達義務を定めるという原則は正しく、この考え方はアメリカ合州国によるものも含め、交渉の中での本格的な検討に値します。

電子商取引

・他の国々で、強制的な現地化が現れている分野の一つが、電子商取引です。

・TPPは、各政府は、情報通信技術サービスに対する現地拠点や、現地インフラ要求を課すべきではないことを明らかにすべきです。

・別に、参加各国はTPPの機会を、正当なプライバシー保護を尊重しながら、国境を越えるデータの流れに依存する事業プラクティスの実行可能性を保証するのに利用すべきです。

・TPPは、他国のサービス提供業者、あるいはそうした提供業者の顧客が、電子的に、国内、あるいは国境を越えて、情報を転送したり、公的に得られる情報にアクセスしたり、他の国に蓄積した自分自身の情報にアクセスしたりすることを、各国政府が妨げてはならないことを明らかにすべきです。

・電子商取引の促進による恩恵は、雇用増大の駆動力である中小企業にとり特に重要です。

・そしてそれが、なぜ電子商取引に対する制約事項は制限されるべきかという理由です。

知的所有権

・TPPは、ソース・コードや独占的製法等の企業秘密に関するものを含め、知的所有権の、強力な保護と、完全に保護する義務の実施、および偽造品の違法貿易に対する保護を組み込むべきです。

・TPPはイノベーションが報われるような条件で市場参入機会が与えられる様に規定すべきです。

・現在アメリカ合州国とTPP交渉中の10ヶ国中、半数はUSTRの十分かつ効果的なIPR保護と施行を維持しそこなった国々に関する昨年の"Special 301"報告書によって特定されています。

・明らかに、著しい改善の余地があります。TPP交渉参加諸国は、アメリカ合州国にとってのみならず、それぞれのTPP参加国の権利所有者にとって重要な優先順に対処する上で、柔軟性を示すことが必要でしょう。

国営企業

・もう一つの優先事項は、私企業に対し、競争上の中立性の維持を保証する為、国営企業に対する規律を組み込むことです。

・簡単に申し上げれば、TPPは、私企業が、国家が支援する企業と同じ条件で競争できることを保証するべきなのです。

・そこで例えば、TPPは、私企業なり、政府が所有する、あるいは政府が支配する組織なりによるものであれ、保険商品を含めた、金融サービスの提供に対し、公平な競争の場を保証する為の原則を含むべきです。

投資と金融サービス

・TPPは、現存の貿易協定で、交渉参加諸国が合意した、アクセスと保護の最高水準の上に作り上げ、金融サービス提供に対する市場参入を自由化すべきです。

・これは、新規の競争に対応してイノベーションを動機づけられるだろう現地の金融サービス提供者と、選べる選択肢が増えることになる、現地の金融サービスの消費者、ともに恩恵をもたらします。

・投資条項に関しては、必要不可欠な要素は、投資家対国家紛争解決手順ISDSです。

・投資家対国家紛争解決ISDS条項は、現存する何千でないにせよ、何百もの二国間投資条約に含まれており、協定を太平洋全体、更に世界中の貿易国々に対して、熱意の手本とするには、TPPに投資家対国家紛争解決ISDS条項を盛り込むことが極めて重要です。

他の課題

・予見可能性は、貿易を促進する為の要石です。

・交渉参加国は、TPPの機会を、参加諸国間での規制、特に通関手順に関しての規制調和の強化、並びに、透明性向上、腐敗との戦いに利用すべきである。

・アメリカ合州国について言えば、早期一括交渉権が無いことは、最終提案を差し控えたり、あるいは、交渉のこの段階で譲歩を控えたりする理由にはなりません。

・オバマ政権は、TPP交渉と、その上首尾の結論に対する強固な関心と、この交渉に関して、議員を積極的に巻き込む事を表明し続けています。

・議院の貿易協定に責任を有する各委員会も、大統領に対して、貿易促進権限を再承認するプロセスを開始することに対する決意を示しています。

・重要な事に、このコミットメントは、議会通商委員会メンバーの共和・民主党双方の指導者達の間で共有されています。

・ホノルルでの、この交渉の発表時に、TPP指導者達が打ち出した意欲的な構想に、協定が合致する限り、議会と大統領は、最終TPP協定を施行するため、議会で信任投票を確実にするプロセスを決定すると、私は確信しています。

・さらに日本のTPP交渉参加に関し、ECATはアメリカ政府に対して、見解を明確に表明しています。

・TPP交渉に日本が参加するメリットの基礎的な評価は、ワシントン,DC、あるいは東京、または他のTPP参加国の首都のいずれで行なわれるにせよ地政学的なものというより、経済的なものであるべきです。

・TPP参加諸国の指導者達が"貿易と投資を自由化し、新規・旧来の貿易問題と21世紀の新課題に対処する、包括的な次世代の地域協定を打ち立てるという共通のビジョン"を再確認した、ホノルルAPEC指導者サミットで表明された通りのTPP核となるビジョンを日本政府が受け入れる限り、日本を歓迎します。

・日本政府が以下を確約する限り、ECATは日本の参加を支持いたします。

(1)日本の農業、製造業と、サービス部門や、サブセクターへの市場参入を、例外無しに、可能にする、完全に包括的で、商業的に意味ある対象範囲;

(2)知的所有権についての条項(少なくとも、米韓自由貿易協定FTAの知的所有権条項と首尾一貫する)に始まり、投資、貿易への技術的障壁、および衛生植物検疫措置に至る迄の、TPPで交渉している全ての分野の強力な原則の完全採用;そして

(3)サプライと製造チェーン、国営企業、環境財・サービスと、規制の調和に関するものを含め、意欲的な新たな原理とコミットメントを追求するという同意。

    • アメリカ合州国と日本は、アメリカ牛肉、自動車と自動車部品輸出の日本市場への参入障壁、並びに、日本市場での保険、金融と宅急便サービス提供を含め、協議をしてきた、二国間貿易上の多数の目障りな問題に対し、公平な競争の場を保証する為の経済改革。
    • 日本は最近アメリカ牛肉の輸入体制を自由化してはいますが、自動車と保険分野の日本市場参入と競争に関して大きな懸念が残っています。この懸念への対応が必要です。
  • 日本はアメリカ合州国の四番目の貿易相手で、世界で三番目の大きな経済です。結果的に、上記条件での日本の交渉参加は、TPPの約束と潜在力を大幅に強化するでしょう。

サプライ・チェーン

・最後に、私が最初に指摘した点の、より広範な応用の話に戻ります。

・TPPは、国際サプライ・チェーンの為に、貿易障壁を大きく引き下げるべきです。

・最近の研究では"貿易に対するサプライ・チェーン障壁引き下げは、世界のGDPを約5%、貿易を15%増加しうる"としています。{出典: "Enabling Trade: Valuing Growth Opportunities" at p.13 by the World Economic Forum in collaboration with Bain & Company and the World Bank, 2013年1月}。

・TPPの各章は、各国がサプライ・チェーン貿易を簡素化し促進するための、意味のある約束をすることで、こうした結果の実現に貢献すべく構成されるべきです。

・特に、TPPは首尾一貫したプロセスと標準と、適切な場合には、部門固有のやり方、および官-民提携を生み出すため、規制当局間の協力を規定すべきです。

・更に、TPPは、貿易上の"隘路"に対処し、TPP加盟国の間でベスト・プラクティスを確立し、展開する為の、専門家による協定運用の定期的レビューを規定すべきです。

結論

・TPPは、交渉参加諸国に対し、TPP参加諸国が、以前に締結した様々な貿易協定の上に築き上げ、それらを改良し、21世紀の世界的に統合された経済における将来の発展に適応する為の枠組みを作る大きな好機です。

・そしてそれが、要するに、TPPの完全な期待と潜在能力なのです。

・我々は、今年中の最終協定、この期待と潜在能力に完全に合致させた、交渉の上首尾の結論を強く要求し続けねばなりません。

・ここに出席し、アメリカ実業界から見た私の見方をいくつか皆様にお話する機会を頂けたことにお礼申し上げます。ご静聴有り難うございます。

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以上、翻訳終わり。

福島: 原子力擁護者達は、放射能に関する悪い知らせをもたらす伝令を撃っている

批判者達に対する原子力業界の猛烈な攻撃

Helen Caldicott

Global Research、2013年3月12日
The Age and Global Research 2011年4月26日

福島: 原子力の擁護者達は、放射能に関する悪い知らせをもたらす伝令を撃っている

記事は2011年4月に公開

チェルノブイリから25年、もし福島の原子炉メルトダウンが、いわゆる“原子力ルネッサンス”を停止、あるいは減速させれば、何十億ドルもが危ういことになる。批判者達に対する原子力業界の猛烈な攻撃で、これは明らかだ。

とりわけ、ウラン輸出を継続することで得られる莫大な利益を、何者にも決して邪魔させないようにするため、どんなことでもする宣伝攻勢を業界が行なっているオーストラリアで、これが目立っている。つまり、工場からノーザンテリトリーのマッカティ・ステーションでの放射性廃棄物処分場開設。そして大陸に原子炉を点在させるという業界の欲求のために。

原子力の良い影響とされるものへと、ダマスカス途上の聖パウロのような神秘的改宗をしたジョージ・モンビオを含め、原子力の擁護者連中は、私や他の人々を ”データーをえり好みして”放射能の健康的な影響を誇張していると非難している。ところが、事態はそれほど酷くないと人々を安心させることで、モンビオや他の連中は、放射能被ばくの有害な影響の科学的証拠を、ごまかし、歪曲しているのだ。

連中の偽情報の最初の目玉は、外部被爆と内部被爆の影響の混同だ。前者は、1945年に、広島と長崎上空で原子爆弾が爆発した際、人々が曝されたものだ。

内部被爆は、それとは対照的に、呼吸、摂取や経皮摂取で体内に入った放射性元素から放射されるものだ。福島周辺の海や大気に放出されている有害な放射性元素は様々な食物連鎖の各段階で濃縮される(例えば、藻類、甲殻類、小魚、より大きな魚、そして人; あるいは、土壌、草、牛肉と牛乳、そして人)。体内に入ると、こうした元素、体内放射体と呼ばれるものは、甲状腺、肝臓、骨や、脳等の特定の臓器に移動し、アルファ、ベータおよび/またはガンマ放射能を、わずかな量の細胞に、継続的に大量の線量で放射し、長年の間に癌を引き起こすことが多い。

更に多くは、長期間にわたり、環境中で放射性であり続け、未来世代への脅威となる。

体内放射体の重大な影響は福島での最も深刻な懸念だ。実際、チェルノブイリでそうであり続けているのと同様に。内部放射線量の評価に、”許容外部放射能レベル”という用語を使うのは、誤りであり、誤解を与えるものだ。そうすることで、誤りを広め、放射能の害についての真実を求める世界中の人々やジャーナリストに誤解を与えてしまう。

更に、原子力業界の擁護者達は、低い放射線量は悪影響をひきおこさず、それゆえ安全だと主張している。だが、米国科学アカデミー報告書が、2007年に結論を出した通り、バックグラウンド放射能を含め、いくら少なくとも、放射能線量は安全ではない。被ばくは累積するので、各線量(例えば医療用x-線であれ、間もなくオーストラリアの空港に導入予定のホール・ボディー・スキャナーを通り抜けることであれ)が、その人が生きている間に癌になるリスクを増大させるのだ。

チェルノブイリについては、1986年の放射能惨事に起因する罹患率と死亡率に関して、一見立派な様々な団体が様々な報告を発表している。2005年の世界保健機構WHO報告は、災害に直接起因するものは、わずか43人の死亡者だとし、更に4000件の致死的がんを予想していた。対照的に、ニューヨーク科学アカデミーが発行した2009年の報告書は非常に異なる結論を出している。著者の科学者達は、チェルノブイリ・メルトダウンに起因する死亡者数を、約980,000人と推計していた。

モンビオは、不当にも、報告書はあっさり無価値だと片づけているが、文献丸ごとを中傷し、無視するのは、傲慢かつ無責任だ。

最後に、世界保健機構WHOと、国際原子力機関IAEAの役割について、広まっている混乱がある。モンビオ WHOの様な国連傘下の機関が原子力業界の影響下にあり、原子力関連事項に関する報告が偏ったものになりかねないことに驚きを表明している。ところが、まさに実際そうなっているのだ。

原子力初期の頃、WHOは下記の1956年の警告等の様な、放射能リスクについての率直な声明を発表していた。”遺伝遺産は、人類にとって最も貴重な資産である。遺伝遺産が、我々の子孫の命、健康と、未来の世代調和のとれた発展を決定する。専門家として、原子力業界と放射能発生源が益々進展することで、未来の世代の健康が脅かされていると我々は確信している。”

1959年以降、この機関は、健康と放射能について何も声明も発表していない。

何がおきたのだろう?

1959年5月28日、第12回世界健康会議で、WHOは国際原子力機関IAEAと協定を締結した。この協定の一項目に、WHOが行なったり、報告したりするあらゆる研究への事前承認の権利を、事実上、IAEAに対して与えると書いてある。IAEAは、多くの人々が、ジャーナリストを含め、中立的な監視機構と考えているが、実際は原子力業界支持の団体だ。その基本綱領にはこうある。 ”本機関は、原子力が、世界の平和と健康と繁栄への貢献を促進し、増大することを目的とする。”

WHOのIAEAへの従属は、放射能科学コミュニティー内では広く知られているのに、モンビオは無視を決めこんだ。しかし、これは明らかに、最近、放射能に関する膨大な科学的情報を三日ほど精読した後も、彼が無知でいる単なる問題ではすまない。彼や他の原子力業界の擁護派連中が放射能リスクに関して振りまいている混乱は、タバコ業界が、喫煙の本当の影響について虚報を提起し、嘘を言ったのと実にそっくりだ。

彼らの主張にもかかわらず、”人間の健康に対する放射能の影響に関して、世界を”惑わしているのは、”反核運動”ではなく、彼等だ。

ヘレン・カルディコット博士は、Physicians for Social Responsibilityの創設者・理事長で、「Nuclear Power is Not the Answer」を含む7冊の本の著者。

記事原文のurl:www.globalresearch.ca/fukushima-nuclear-apologists-play-shoot-the-messenger-on-radiation/24563
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Global Researchの再掲記事。

国営放送アナウンサー堀潤氏の退職、「原子力擁護者達が、放射能に関する悪い知らせをもたらす伝令を撃っている」を絵に描いたような典型。

福島対策に関連し、再三WHO報告が引き合いにだされている。リスクは少ないと。
本当なら良いニュース。
頭から信じる前に、大本営広報部が解説しないこうした視点も考慮すべきだろう。

1959年のWHO-IAEA協定文書・翻訳、市民放射能測定所にある

この条項のことだろう。

3. Wnenever either organization proposes to initiate a program or activity on a subject in which the other organization has or may have a substantial interest, the first party shall consult the other with a view to adjusting the matter by mutual agreement.

3. いずれかの機関が、他方の機関が重大な関心を持つか、持つ可能性のある計画または活動を企画するさいには、常に、前者は後者と協議し、相互合意にもとづく調整を図らなければならない。

他にも同じ意見の人はいる。

WHO 独立性回復を IAEAに従属『被害隠蔽の共犯』 東京新聞 こちら特報部 2012/5/26

スイス・バーゼル大学名誉教授のミシェル・フェルネクス医師は話す。

原子力産業が台頭してきた1957年に米国主導で設立した国産原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)は、事故による死者数を急性被ばくなどの数十人と公表。いまだ小児甲状腺ガンの増加しか認めていない。

一方、ニューヨークの科学アカデミーの後援で編集され、2009年に刊行された本では、事故による死者は、98万5000人と推定した。
『被害実態を明らかにした研究者からの報告を黙殺し続けている。それに異を唱えないWHOは、被害の矮小化に手を貸しているといってもいい」

WHOは、緊急時にも適切な医療技術を提供する役割を負う。
ところが、59年にはIAEAとの間で、「WHOは国連安全保障理事会に従属するIAEAの了解なしに情報を公開したり研究したり、住民の救援をしてはいけない」との趣旨の合意をし、事実上「放射線分野での独立性を失った」と続ける。

記事の中にある「ニューヨーク科学アカデミーが発行した2009年の報告書」チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクトによりようやく、『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』として、2013/4/26 岩波書店より刊行。

岩波書店から刊行された『熊取六人組』、読み始めると止まらない? 日本中の原発御用学者を束にしても、この方々にはかなわない。教授・助教といった肩書と、人物・業務水準、必ずしも同期しない。

原発事故収束に、今後何世代もかかるだろうが、定年が遠い先ではないお二人に続く国家公務員の専門家はいない。国立大学・官庁は御用学者・官僚養成所。企業はまして。

退職を発表した堀潤氏の元職場、国営放送の方針、原発、増税、選挙、TPP、彼等の報道は、権力者の為にワンワン吠えるもの。犬HKとよばれる方々もいる。大多数の国民の為になる、本当の情報は流さないというのが、日本の全大本営広報部の社是だ。

貴重な情報を伝えた画期的番組、ETV特集「ネットワークで作る放射線汚染地図」担当の方々も、危険な地域に入るなという会社方針を守らなかったかどで処分された。

大本営広報方針に反して真実を伝えると、冤罪になったり、処分されたり、首になったりする。あるいは命すら危ういのかも知れない。

IWJ岩上安身氏、まさにTPPに触れた直後に、長く出演していた番組を突如下ろされた。

それで、上司、同僚ほぼ全員の意見に逆らう製品を企画した知人を思い出した。商品は、ユーザーの為に企画したものだった。

ほぼ社員全員の意見に逆らう製品、爆発的に売れた。

知人、その製品企画をする前、「欧米日・新製品開発会議」で問題発言をしたという。以下その伝聞。

「わが社にとって、アメリカ市場が最大なのだから、アメリカ向け製品開発に技術者全員を振り向けろ」とアメリカ人が発言した。知人は、下記反論をした。

「残念なことに、製品の性質上、アメリカ向け新製品は、ヨーロッパでも、日本でも決して販売することはできない。誰も購入してくれない。無理な要求だ。」 

日・欧・米、で票決をとった結果、アメリカの主張は通らなかった。

会議終了後、会議参加者全員、飲み屋で宴会をしていると、上司があたふたやってきて、こう言ったという。

「お前、会議で一体何を言った。今、アメリカ子会社社長から、お前を首にしろと電話がかかってきたぞ。」

結局、知人は仕事を干され、首になった。

典型的な二国間関係のエピソードに思える。悪い知らせをもたらす伝令は撃たれるのだ。

2013年3月21日 (木)

ウゴ・チャベス

Paul Craig Roberts

2013年3月12日

2013年3月5日、ベネズエラ大統領で、反帝国主義の世界リーダー、ウゴ・チャベスが亡くなった。ワシントンの帝国主義者連中と、マスコミやシンクタンクという連中の売女達は、洗脳されたアメリカ国民同様、大はしゃぎで安堵のため息をついているのだ。“アメリカの敵”が消えた。

チャベスは、アメリカの敵ではなかった。彼は、ワシントンの対諸国覇権の敵、国民から盗み取り、国民を苦しめ、生命維持を否定するエリート支配者連中が支配するワシントンの同盟諸国の敵だった。彼は、不法と、嘘と軍事攻撃、爆弾と侵略に基づく、ワシントンの外交政策の敵だった。

ワシントンはアメリカではない。ワシントンは悪魔のふるさとだ。

チャベスは、真実と正義の友だった為、あらゆる政治指導者連中が、真実と正義を、恐ろしい脅威と見なしている欧米世界中では不人気となった。

チャベスは世界のリーダーだった。アメリカの政治家連中とは違い、チャベスは非欧米世界中で尊敬されていた。彼は中国、ロシア、ブラジルや他の国々から名誉学位を受けたが、ハーバード、イェール、ケンブリッジやオクスフォードからは受けなかった。

チャベスは奇跡だった。彼はアメリカ合州国とベネズエラのエリートに寝返らなかったので、彼は奇跡だった。彼が寝返っていれば、チャベスは、石油収入で、サウジアラビアの王家のように、大変な金持ちになり、ワシントンが、あらゆる傀儡を礼遇するやり方で、アメリカ合州国で礼遇されていただろう。ホワイト・ハウス訪問だ。ワシントンに仕える限り、終身独裁者でいられたろう。

アジアからヨーロッパ、中東に至るまで、あらゆるワシントンの傀儡は、第二次大戦後から68年たっても、日本とドイツを、そして朝鮮戦争終戦後60年たっても韓国を、依然占領していて、他の多くの“主権”国家に駐留軍と基地を置いているグローバル帝国主義大国に対する彼なり彼女なりの服従へのワシントンの感謝をはっきり示す招待を待ち焦がれている。

チャベスにとって、寝返るのは政治的にたやすいことだったろう。大衆に受ける言辞を続け、軍隊の盟友を昇進させ、底辺層に、彼等がこれまで経験したことがないほどの給付を与え、残りの石油収入を腐敗したベネズエラ人エリートと分け合いさえすれば良かったのだ。

しかし、三期も選出されたエクアドル大統領で、アメリカ合州国に向かって立ち上がり、迫害されているジュリアン・アサンジに政治亡命を認めたラファエル・コレアや、スペイン征服以来、ボリビア初の先住民大統領エボ・モラレス同様、チャベスは本物だった。ベネズエラ国民の大多数が、チャベスは本物だったことを理解している。国民は、彼を四期、大統領として選出し、生きている限り、彼を選び続けただろう。ワシントンが一番憎んだのは、買収できない本物だった。

腐敗した欧米政治家連中やマスコミ売女が、チャベスを悪魔化すればするほど、ベネズエラ国民は一層彼を愛した。ワシントンに非難される人々は全て、世界への天の恵みだということを、国民は完璧に理解している。

ワシントンに対して立ち上がるのは、わりにあわない。アメリカに対して立ち上がる大胆さがある人々は悪魔化される。暗殺と、チャベスが2002年に経験したように、CIAが仕組んだクーデターで打倒されるの危険を冒すことになる。CIAに指示されたベネズエラ人エリートがクーデターを始め、チャベスを誘拐した際、チャベスが殺害される前に、街路に繰り出したベネズエラ国民と、軍の一部によって、クーデターは倒されたが、CIAが支配する腐敗したベネズエラ人エリートが生き延びられたのは、彼等と違って、チャベスが人道主義者だったからに過ぎない。ベネズエラ国民は、即座に大規模な大衆的チャベス擁護に立ち上がり、チャベスが独裁者だという、ブッシュ・ホワイト・ホウスの嘘を打破した。

卑しむべき腐敗もあらわに、ニューヨーク・タイムズは、民主的に選出されたチャベスに対する、ごく少数の特権階級による非民主的クーデター側につき、裕福なエリートの小集団とCIA工作員によるチャベス排除は、“もうベネズエラ民主主義は、独裁者志望者によって脅かされることがない”ことを意味すると宣言した。

嘘と悪魔化は、チャベスが逝去しても続く。正義の為に立ち上がったことを、彼は決して許されることはあるまい。いずれも確実に暗殺対象者名簿に載っているコレアもモラレスも、許されるまい。

CounterPunchや、Fairness & Accuracy in Reportingや他の評論家連中が、欧米の売女マスコミが、チャベスの為に書いた、本質的に、死によって地上で最も勇敢な声が沈黙させられたことの祝賀、毒舌まみれの死亡記事例を集めている。http://www.counterpunch.org/2013/03/08/obituaries-for-hugo-chavez/
http://fair.org/take-action/media-advisories/in-death-as-in-life-chavez-target-of-media-scorn/

恐らく、中でも最も馬鹿げたものは、チャベスは、ベネズエラ石油の富を、“ドバイの世界最高のビルや、アブダビのルーブルやグッゲンハイム美術館分館”のような摩天楼の建設に使えていただろう資金を“国営食料市場、貧しい家庭への現金給付、無料の病院や教育プログラムを含む社会福祉”、下手な用途に浪費したという、APの経済記者パメラ・サンプソンの意見だろう。
http://www.fair.org/blog/2013/03/06/ap-chavez-wasted-his-money-on-healthcare-when-he-could-have-built-gigantic-skyscrapers/

世界中の何千万人ものワシントンの犠牲者達の中でも、アフガニスタン、イラク、リビア、スーダン、パキスタン、イエメン、ソマリア、シリア、パレスチナ、レバノン、マリの人々、経済制裁、不安定化、征服や再征服を待ち構えている、イラン、ロシア、中国や、南米、2006年9月20日、ジョージ・W・ブッシュ政権時代の国連総会での、チャベス演説は、21世紀初頭で最も偉大な演説として永遠に残るだろう。

チャベスは、虎穴、いや悪魔の穴蔵に入って戦ったのだ。

“昨日、悪魔自身が、まさにここに立った。この演壇で、まるで世界を所有しているかのように演説した。未だに硫黄の匂いがする。”

“アメリカ合州国大統領の昨日の声明を分析する為に精神科医を呼ぶべきです。帝国主義の代弁者として、いかがわしい妙薬を売りつけ、現在の形の支配、世界の人々からの搾取と略奪を維持しようとしているのです。アルフレッド・ヒチコックの映画のシナリオに使えるでしょう。私は題名も提案したいくらいです。‘悪魔の処方箋’”

軍事的に強力なソ連が存在していた時代ですら、国連総会で、そうした言葉が聞かれたことはなかった。同意の微笑みで皆の顔はほころんだが、誰もあえて拍手しようとはしなかった。自国にとって、余りに多額のアメリカ資金が絡んでいるのだから。

にんにくと十字架に直面している吸血鬼や、銀の弾丸に直面している狼男同様、アメリカとイギリス代表団は現場から逃げた。

チャベスは、力で、“兵器と爆弾”で、人々に押しつけられるエリートの偽りの民主主義について語った。チャベスは問うた。“海兵隊と爆弾で、一体どのような民主主義を押しつけようというのですか?”

チャベスは言った。ジョージ・W・ブッシュは、彼が見回す至る所で“過激派を見いだします。同志の皆さん、彼はあなたの肌の色を見て言うのです。ああ、ここに過激派がいる。エボ・モラレス、尊敬すべきボリビア大統領が、彼にとっては過激派に見えるのです。帝国主義者は、至る所で過激派を見つけます。我々が過激派なのではありません。世界が覚醒しつつあるのです。世界中での覚醒で、人々が立ち上がりつつあるのです。”

合計20単語の短い二つの文章で、チャベスは、永久に使える21世紀初頭のワシントンの定義をしてくれた。“超大国は真実を恐れています。自立した人々を恐れています。彼等は我々を過激派と呼びますが、彼等が過激派なのです。”

南米中と非欧米世界で、チャベスの死は、ワシントンのせいだということになっている。南米の人々は、チャーチ委員会が、フィデル・カストロに毒を盛る様々なCIAの計画を明らかにした、1970年代のアメリカ議会聴聞を知っている。

アメリカ統合参謀本部が、ジョン・F・ケネディ大統領に提出したノースウッド・プロジェクトいう名の公式文書は世界中に知られており、オンラインで入手可能だ。ノースウッド・プロジェクトとは、アメリカ国民に対する偽装攻撃をし、それをキューバのせいにして、アメリカがキューバに押しつける政権転覆を、アメリカ国民、世界に受け入れさせることを狙ったものだ。ケネディ大統領は、道義と責任ある政府に反するとして、提案を拒否した。http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Northwoods

ワシントンの南米覇権の障害たる彼を排除する為、おぞましい殺人テクノロジーで、ワシントンがチャベスを癌にしたのだという考え方は南米では既に強固になっている。

この考え方は決して消えまい。シモン・ボリバール以来、最も偉大な南米人チャベスが、ワシントンに殺害されたのだ。事実であれ、誤りであれ、この考え方は、しっかり刻みこまれてしまった。ワシントンとグローバリズムが、より多くの国々を破壊するにつれ、エリートの生活は一層危うくなって行く。

フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領は、金持ちが安全に暮らすには、底辺層の経済的安定が必要であることを理解していた。既に、ヨーロッパの政治家達が、社会的一体性と政治的・経済的安定性の為には必要だと理解していた社会民主主義を薄めた形のものを、ルーズベルトがアメリカに導入した。

クリントン、ブッシュとオバマ政権が、ルーズベルトがもたらした安定性への攻撃を開始し、サッチャー、メージャー、ブレアや、現在のイギリス首相が、イギリスの階級間の社会協定を攻撃した。カナダ、オーストラリアとニュージーランドの政治家も、社会的・経済的安定性を犠牲にして、民間のエリートに権力を引き渡してしまう失敗を犯した。

ジェラルド・セレンテは、連中が自らもたらしている憎悪と怒りを、エリートは生き延びられまい、と予言している。彼は正しいと私は思う。アメリカの中流階級は破壊されつつある。労働者階級はプロレタリアートになってしまい、雇用を海外発注したことによる税収の喪失、戦費、海外軍事基地や金融機関救済によって引き起こされている財政赤字を減らすため、社会福祉制度は破壊されつつある。エリート連中が自分達の企みをやり続けられるようにすべく、アメリカ国民は苦難をしいられているのだ。

アメリカのエリートは将来何が起きるか知っている。それこそが、連中が修正第二条のアメリカ人の権利を無力化する為、アメリカ国民全員を5回殺すことができるだけの十分な弾薬と戦車で武装した国土安全保障省と呼ばれるナチ式内務省を作り出した理由だ。http://www.informationclearinghouse.info/article34259.htm
http://www.forbes.com/sites/ralphbenko/2013/03/11/1-6-billion-rounds-of-ammo-for-homeland-security-its-time-for-a-national-conversation/

ブランチ・ダビディアンズがテキサス州のワコで体験したように、ピストルもライフルも戦車に対しては無力だ。彼等が抑圧しているアメリカ国民からの少数のエリートの保護こそが、警察が軍隊化されつつあり、ワシントンの支配下に入り、立法、行政、あるいは司法部門にではなく、街路にいるであろう、アメリカ国民の本当のリーダーを暗殺できる無人機で武装している理由なのだ。http://www.globalresearch.ca/the-militarization-of-law-enforcement-in-america-use-of-military-technology-and-tactics-by-local-level-police/5326303

アメリカ国内の捕虜収容所というのも現実で、陰謀論ではないように見える。http://www.youtube.com/watch?v=FfkZ1yri26s
http://info.publicintelligence.net/USArmy-InternmentResettlement.pdf

2013年3月7日に、二人の米上院議員、テッド・クルス(共-テキサス)とランド・ポール(共-ケンタッキー)が、アメリカ政府が、自国民を殺害するのを防ぐ法案を提出したことで、アメリカ政府の自国民に対する脅威が認識された。“連邦政府は、アメリカ合州国内にいるアメリカ合州国の国民が“他の人間の死亡や重傷という差し迫った脅威でない限りは、国民を殺害する為に、無人機を使用してはならない”。この項の何ものも、憲法が、適正手続き無しで、アメリカ合州国内での、アメリカ合州国国民の殺害を認めることを提案するものと解してはならない。” http://www.cruz.senate.gov/record.cfm?id=339952

大統領ブッシュと、オバマを頂いた“必要不可欠な国民”が死と暴力の21世紀を開始したのだ。それが彼等の唯一の遺産だ。

ワシントンが解き放った死と暴力は、ワシントンと、あらゆる国の腐敗した政治エリートに、しっぺ返しとして戻ってこよう。ジェラルド・セレンテが言う通り、21世紀最初の大戦争が始まっているのだ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/03/12/hugo-chavez-paul-craig-roberts-4/
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日本の傀儡政治家連中、イラク戦争支持の発言はしても、チャベスについては触れない。大本営広報自体で、チャベスは禁句だろう。(講読している新聞で見かけたような気もするが、読みとばしてしまった。意味がある記事だったのだろうか?)

チャベスと比較すれば、日本の傀儡政治家連中のひどさが浮き彫りになってしまうからだ。

朝日新聞の福田元首相インタビュー、イラク戦争支持(参戦)の舞台裏。正直な人なのだろう。早く支持を表明しろと言われ、情報無しで支持を決めた。「同盟関係の維持」が最優先だった。TPPと全く同じ。チャベスのような、国民の幸せを思う心は皆無。ひたすら宗主国のご都合を優先する。それが属国政治の実態。

その昔、上野動物園におサル電車というのがあった。先頭車両にサルの運転手?が乗っていた。もちろんサルの運転手、オカザリで、実際の操縦はリモコンか何かで、列車は粛々と、レール上を進み、停車した。子供時代、あれに乗るのが楽しみだった。

この属国の政治運営をみていると、その昔を思い出す。

サルはバナナか何か、供応は得ていたろう。おサル電車、列車はぐるりレール上を進み、元の駅で無事停車した。

与党と野党のふりをする与党分派の政治家連中、サルの運転手以下。

属国電車運転手を装う連中、恐らく膨大な見返りを引き換えに、国を売り、乗客全員、更には未来の客全員まで、元の駅どころか、果てしない地獄に向かってまっしぐら。

Paul Craig Roberts氏、ご自身のウェブに毎回掲載しておられる。この記事を転載しているInformation Clearinghouseには、読者コメント欄があり、延々同意の意見が投稿されている。

ジェラルド・セレンテは、連中が自らもたらしている憎悪と怒りを、エリートは生き延びられまい、と予言している。彼は正しいと私は思う。日本の中流階級は破壊されつつある。労働者階級はプロレタリアートになってしまい、雇用を海外発注したことによる税収の喪失、宗主国の戦費、沖縄と日本全土の軍事基地や金融機関救済によって引き起こされている財政赤字を減らすため、社会福祉制度は破壊されつつある。そしてTPPで、宗主国大企業が日本を征服し、搾取する。エリート連中が自分達の企みをやり続けられるようにすべく、日本国民は苦難をしいられているのだ。

日本のエリートは将来何が起きるか知っている。それこそが、連中が日本国民の権利を無力化する為、軍事予算を増強し、国民から主権を奪う憲法制定と、戒厳令導入、秘密保全法導入を狙っている理由だ。

2013年3月20日 (水)

(再掲載)アメリカの対イラク戦争-文明の破壊 09/8/31

James Petras

2009年8月21日

"Information Clearing House"

アメリカの7年間にわたるイラク戦争と占領は、幾つかの主要な政治勢力によって、動かされており、様々な帝国主義的権益に基づいている。とはいえ、こうした権益は、それ自体で、今継続中の、社会全体の、大規模で、継続的な破壊と、永久的な戦争状態への下降の、底なしの淵や、規模を物語りはしない。開戦と、それに続くアメリカ占領に貢献した一連の政治勢力には、以下のものが含まれる(重要度の順):

最も重要な政治勢力は、また、最も公に語られることの少ないものだ。それは、シオニスト権力構造(ZPC)で、それは、長年の、強硬派、ブッシュ・ペンタゴンのトップ役職に任命された無条件のイスラエル国家・ユダヤ支持者達(ダグラス・フェイスとポール・ウォルフォウィッツ )、副大統領オフィスの主要工作員(アーヴィング(スクーター)・リビー)、財務省(スチュアート・リービー)、国家安全保障会議 (エリオット・エイブラムズ)
そして、コンサルタントの一団、大統領スピーチライター(デーヴィッド・フラム)、国務省の二級幹部や政策顧問の、大きな役割を含んでいる。こうした熱心なシオニスト‘インサイダー達’は全米主要ユダヤ人団体代表者会議(CPMAJO)を組織した、51の主要なアメリカ内ユダヤ人団体の、何千人ものイスラエル第一主義専業職員によって支えられている。彼等は、自分たちの最優先事項は、イスラエルの目標を推し進めることだと、あからさまに述べており、この場
合、サダム・フセインを打倒し、イラクを占領し、イラクを物理的に分割し、軍事的、産業的能力を破壊し、親イスラエル/親米傀儡政権を押しつけるための、アメリカによる対イラク戦争だ。極右のイスラエル首相ベンヤミン・ナタニエフや‘リベラルな’外交問題評議会名誉理事長で、軍国主義者-シオニストであるレスリー・ゲルブらが唱導するとおりに、もしイラクが、民族浄化され、分割されれば、複数の‘属国政権’が作られるだろう。

戦争を推進した、シオニスト為政者達は、最初、実際、イラク文明丸ごとの計画的破壊という政策を、直接遂行しようとしてはいなかった。だが、占領政策に対する、彼等の支持と計画には、イラク国家機構の徹底的な破壊や、尋問手法や、民間人レジスタンスや対テロ弾圧に関する‘専門的知識’を提供するイスラエル人顧問の採用が含まれていた。イスラエルがパレスチナで修得した、イスラエルの専門的知識は、イラク内の宗教的、民族的対立を醸成する上で、確実に重要な役割を演じていた。植民地戦争と占領のイスラエル‘モデル’、つまり、1982年のレバノン侵略や、宗派的、人種-宗教的差異を利用した‘全面破壊’の手口は、イスラエルの軍事監視の下で起きた、ベイルートのサブラとシャティラ難民キャンプでの悪名高い虐殺で明らかだった。

イラク戦争の背後にいた二番目に強い政治勢力は、中東における、アラブ反植民地主義武装反抗勢力の、強力で、非宗教的、民族主義的な支援者を抹殺することにより、ペルシャ湾におけるアメリカ帝国の勢力圏を拡大し、地政学的な立場を強化しようと、目論む文民の軍国主義者(ドナルド・ラムズフェルドやチェイニー副大統領のような)だ。文民の軍国主義者は、アメリカ軍事基地によって、ロシア包囲を強化し、中国に対する政治圧力の対象として、イラクの油田を巡る支配の確保を狙っている。文民軍国主義者達は、チェイニー副大統領が石油産業に持っていた過去の絆には、さほど影響は受けず、それよりも、全世界への軍事基地拡張によって、アメリカ帝国を強化しつつある、ハリバートンの巨大軍事基地請負業者下請け業者ケロッグ-ブラウン・アンド・ルートのCEOという彼の役割に、興味をもっていた。ヨーロッパやアジアの競争相手に座を奪われることを危惧していたアメリカの大手石油会社は、既にサダム・フセインとの取引に熱心で、石油業界のブッシュ支持者の中には、既に、禁輸されているイラク政権と、違法な貿易をしているものすらあった。石油産業は、戦争によって、地域の不安定化を促進するつもりはなかった。

征服と占領という軍国主義戦略は、植民地軍事顧問や、戦闘部隊の大規模で、持続的な代表団を伴った、戦略的軍事基地の形で、長期的な植民地への軍事駐留を確立するよう設計されている。強い民族主義の歴史と、高度なインフラストラクチャーを持ち、高度な軍隊と警察機構、広範囲に及ぶ公共サービスや、広範な識字の、独立した非宗教的国家の残酷な植民地占領は、当然、様々な過激武装反占領運動の発展をもたらす。これに対し、アメリカの植民地幹部、CIAと国防情報局は、‘分割して統治する’戦略(元‘紛争地域’大使で、アメリカ国家情報長官ジョン・ネグロポンテにゆかりのある、いわゆる‘エルサルバドル式解決法’)を立案した。武装した宗派に基づく紛争を醸成し、統一された民族主義者による反帝国主義運動のあらゆる努力を弱体化させるため、異教徒間における暗殺の促進だ。非宗教的な民間の官僚機構と、軍隊の解体は、ブッシュ政権の内部のシオニストによって、この地域におけるイスラエルの権力を強化するために計画され、崩壊させられたサダム・フセインのバース党政権によって、抑圧されていた、過激派イスラム教集団の勃興が奨励された。イスラエルは、この戦略を早くから修得していたのだ。もともと、イスラエルが、非宗教的なパレスチナ解放機構の代替として、ハマースのようなイスラム教過激派宗派集団に資金援助を与えて、パレスチナ人間での宗派戦争の舞台をしつらえたのだ。

アメリカの植民地政策の結果は、様々な内部抗争に、資金援助をし、拡大させることで、ムッラー(宗教的指導者)、部族指導者、政治ギャング、部族軍司令官、国外居住者や、暗殺部隊は急増した。‘全員による、全員に対する戦争’は、アメリカ占領軍の権益に役立った。イラクは、そこから新たな傭兵を採用できる、武装した失業中の若者達のプールと化した。‘内戦’や‘民族抗争’は、アメリカと、そのイラク人傀儡にとって、何十万人もの兵士、警官や、前政権の職員達(特に、彼等がスンナ派や、異なる宗教間で結婚していたり、非宗教的な家族であったりする場合)を解雇し、民間人雇用の基盤をむしばむ口実として役立った。一般的な‘対テロ戦争’を装って、アメリカ軍特殊部隊とCIAが指揮する暗殺部隊が、傀儡政権を批判していると疑われたあらゆる人物を対象に、特に、まさに、独立した非宗教的な共和国を再建する能力がもっともあるイラク人たる、教養ある専門職階級に、イラク人市民社会中に、テロを拡げたのだ。

イラク戦争は、イスラエルと強いつながりを持った、ネオコンと、ネオリベ理論家の強力者集団によって動かされている。彼等は、イラク戦争の成功を(成功という言葉で、彼等は、この国の完璧な解体を意図している)中東を‘再植民地化’するための(彼等の言葉では“地図を書き換える”)ための一連の戦争における、最初の‘ドミノ’と見なしていたのだ。彼等は、自分たちの帝国主義イデオロギーを、中東において‘デモクラシーを推進する’などという付け焼き刃の論理で偽装していた(もちろん、支配下に置いたパレスチナ人を巡る、自らの‘祖国’イスラエルによる非民主的な政策は除く)。イスラエルの地域における覇権の野望を、アメリカの帝国権益と結合させ、ネオコンと、そのネオリベ仲間、民主党内部の支持者達は、対アフガニスタン・パキスタン戦争のエスカレーションに対し、最初はブッシュ大統領を、後にオバマ大統領を支持している。レバノンに対するイスラエルの’野蛮な爆撃作戦、ガザに閉じ込められた何千人もの民間人への陸上と、空爆と、虐殺、シリア施設への爆撃、(イスラエルの)先制的、全面的対イラン軍事攻撃に対する強い後押しを、連中は満場一致で支持してきた。

中東や南アジアにおける、連続的な、複数の同時戦争を支持するアメリカ人達は、自分たちの大量破壊戦力の全力を発揮できるのは、最初の犠牲者、イラクの完全支配を確保した後のことだと信じていた。アメリカと国連によって、この国に課された、13年間という残酷な飢餓的経済制裁の後では、イラク人レジスタンスは、急速に崩壊するだろうと、彼等は確信していた。アメリカ人為政者は、植民地支配を強化するため、全ての独立したイラク人民間人の反体制派を、永遠に沈黙させようと決意していた。市民社会運動指導者の、選択的暗殺を実行するため、彼等は、シーア派聖職者や、スンナ派の暗殺者への資金供与に向かい、クルド人のペシュメルガ部族軍司令官達の何千人もの民間傭兵と契約した。

アメリカは、ほぼ全てが、シーア派武装集団から構成される、総員200,000人のイラク植民地傀儡軍を生み出し、訓練したが、宗教的でなかったり、スンナ派や、キリスト教の背景をもっていたりする、経験豊かなイラク軍兵士を排除した。アメリカが訓練し、資金援助をした暗殺部隊と、その傀儡‘イラク’軍強化の、ほとんど知られていない結果が、その教会が爆撃され、指導者達や司教や知識人、学者や科学者が、暗殺されるか、亡命を余儀なくされ、強制移動させられてしまった、古代からのイラク人キリスト教徒の、事実上の破壊だ。非宗教的な、民族主義、反イギリス/反君主制主義者運動の歴史的な発展の上で、イラク人キリスト教徒が、主要な役割を演じていたことを、アメリカと、そのイスラエル人顧問達が、十分にわきまえていたことと、アメリカ占領後の最初の一年間における、影響力が大きい勢力である彼等の抹殺は、偶然ではない。このアメリカ政策の結果は、大半の、非宗教的で、民主的、反帝国主義の指導者達や運動を抹殺し、自分たちの‘民族的-宗派的’協力者の殺人ネットワークを、イラクにおける長期的なアメリカの植民地駐留を維持する上での、競合相手のいない‘パートナー’として提示するということなのだ。自分の傀儡を権力に付けておけば、イラクは、他の‘ドミノ’(シリア、イラン、中央アジアの共和国…)を戦略的に追求するための出発点として使えるのだ。

アメリカ占領下イラクでの、血なまぐさい粛清の継続によって、2003年3月にブッシュが侵略して以来、最初の7年間で、130万人のイラク人一般市民が殺害された。2009年中頃までに、イラク侵略と占領は、公式には、アメリカ財務省の6660億ドル以上の支出となっている。この莫大な支出は、アメリカの大規模な属国支配戦略における、中東全体/南および中央アジア地域に対する、その重要性を証明している。民族的-宗教的差異を、政治問題化させ、軍事化させ、武装させ、ライバルの部族、宗派、民族指導者達が、お互いの殺りくに携わることを奨励するワシントンの政策は、国家的統一と、レジスタンスの破壊に役立った。‘分割して統治する’戦術と、退化した社会、宗教団体への依存というのは、統一した、高度な民族主義国家を征服することを目指すための、ありふれた、最も良く知られた手法なのだ。国民国家の解体や、民族主義者の自覚の破壊や、粗野な民族的-宗派的、封建的、地域的忠誠心を奨励するには、民族主義者的な自覚、歴史的記憶や、非宗教的な科学的な思考の主要な提供者を、組織的に破壊することが必要だった。民族的-宗教的憎悪をひき起こし、異なる宗徒間の結婚や、様々な人々が混成する共同体や、多様な背景の中で、長年にわたる個人的な友情や、専門家同士の絆がある機構を破壊した。学者、作家、教師、知識人、科学者や専門家、特に医師、エンジニア、弁護士、裁判官や、ジャーナリストの物理的な抹殺は、植民地占領の下で、民族的-宗教的支配を押しつける上で、決定的に重要だった。長期的な支配を確立し、民族的-宗教的な属国支配者を確保し、前から存在し、独立した非宗教的国民国家を維持してきた文化体系が丸ごと、アメリカと、そのイラク人傀儡によって、物理的に破壊された。この破壊は、図書館、国勢調査局、あらゆる財産や裁判歴の保存場所、保健所、研究所、学校、文化センター、医療施設、そして、なによりも科学-文学-人文科学の、専門家という社会的科学者階級全体を対象にしていた。何十万人ものイラク人専門家や家族が、テロにより、国内、海外への難民化を強いられた。国立の、非宗教的、科学・教育機関への全ての資金援助が停止された。暗殺部隊は、多少とも反対派、多少とも民族主義的な意見の持ち主と疑われる何千人もの学者や、専門家の組織的殺害に、携わった。共和国を再建する能力が多少ともある全ての人々が狙われたのだ。

現代アラブ文明の破壊

独立した、世俗イラクには、サダム・フセインの警察国家という抑圧的状態にもかかわらず、アラブ世界で、最も進んだ科学-文化秩序があった。前例のない水準の男女同権と結びついた、国家による医療制度、 普遍的な公教育と、鷹揚な福祉サービスがあった。これは、二十世紀後半におけるイラク文明の先進的な特質だった。教会と国家の分離や、宗教的少数派(キリスト教徒、アッシリア人や他の人々)の厳格な保護は、アメリカ占領と、アメリカによるイラク民間、政府機構の破壊から生み出されたものと、鋭い対照をなしている。サダム・フセインの過酷な独裁的支配は、高度な科学的研究が、強烈な民族主義、反帝国主義というアイデンティティーと、手を携えて進んでいる、大いに発展した現代文明を、統轄していたのだ。これは、特に、イスラエル支配と占領下におけるパレスチナ人の苦境に対する、イラク国民と政権の団結表現となって現れていた。

単なる‘体制変革’だけでは、イラクにおける、この深く根付いた、高度な世俗的共和主義文化は根絶できない。アメリカの戦争計画者達や、イスラエル人顧問達は、非宗教的な国家を破壊しない限りは、植民地占領が、イラク人民族主義者の自覚を高めるだろうことを十分に理解しており、それゆえに、帝国の要求として、学識があり、有能な、科学、実際、イラク人社会で最も非宗教的な部分の人々を、物理的に抹殺することで、民族主義的自覚を持った人々を、根絶し、破壊したのだ。退化は、アメリカにとって、最も洗練された民族主義的な社会階層を剥奪され、文化的に粛清されたバグダッドに、原始的で、‘国家以前の’忠誠心を持った植民地傀儡を権力の座に、無理やり据えるための、主な手段となった。

カイロのアル-アハラム研究センターによると、アメリカ占領後、最初の18ヶ月間に、310人以上のイラク人科学者が抹殺された。この数値は、イラク文部省も否定していない。

別の報告では、2005年から2007年までの間に、340人以上の知識人や科学者の殺害があげられていた。高等教育施設の爆撃は、在籍者数を、侵略前の数値の30%に押し下げた。2007年1月のバグダッドのムスタンシリヤ大学に対する一度の爆撃で、70人の学生が殺害され、何百人もが負傷した。これらの数値によって、UNESCOは、イラクの大学制度が、崩壊の瀬戸際にあると警告せざるを得なくなった。国外亡命した著名なイラク人科学者や教授の人数は、20,000人に近づいた。2003年以後、亡命した6,700人のイラク人大学教授のうち、2008年10月までに帰国した人々は、わずか150人だと、ロサンゼルス・タイムズは報じている。治安は向上したというアメリカの主張にもかかわらず、イラクで二番目の大都市バスラで開業していた唯一の神経外科医が殺害され、遺体が街路に捨てられたものを含め、無数の暗殺があるというのが、2008年の状況だ。

アメリカと多国籍占領軍や民兵や、彼等が支配する闇の勢力によって暗殺されたイラク人学者、科学者や専門家に関する元データは、パキスタン・デイリー・ニューズ(www.daily.pk)が2008年11月26日に発表したリストから得た。このリストは、アメリカ占領という非情な制度下における、イラク知識人の計画的抹殺という現実に対する、非常に不快な解釈を提示している。

暗殺

暗殺による個人の肉体的抹殺は、テロの極端な形であり、その個人が所属する共同体中、この場合には、イラク知識人、学者、専門家や、芸術や科学分野の創造的な指導者達の世界に、さざ波を立てるという、広範囲の影響力を持っている。殺害された一人のイラク人知識人に対し、何千人もの学識あるイラク人が、より安全で、危険性がより少ない仕事を求め、国を捨てたり、仕事を捨てたりしているのだ。

バグダッドは、文化、芸術、科学、教育の点で、アラブ世界の‘パリ’と見なされていた。1970年代と80年代、イラクの大学は、アラブ世界で羨望のまとだった。バグダッドに雨あられのごとく爆弾を降り注いだアメリカの‘衝撃と畏怖’作戦は、ルーブルや、ソルボンヌや、ヨーロッパの偉大な図書館の空爆と似たような、感情をひき起こした。バグダッド大学は、アラブ世界でも、最も権威ある、生産的な大学だった。学者達の多くは、博士号を持ち、海外の一流の大学で、博士課程研究の経験者だ。同大学は、中東最高の専門家や科学者の多くを、教え、輩出した。2003年3月侵略前、13年間にわたって、イラクを飢えさせた、アメリカと国連が課した経済制裁という致命的な締めつけの下でさえ、何千人もの大学院生や若い専門家が、大学院の研修のため、イラクにやって来ていた。アラブ世界中の若い医師たちは、イラクの教育施設で、高度な医学教育を受けていた。学者の多くは、主要な国際会議で科学論文を発表し、一流雑誌に論文を書いていた。最も重要なことは、バグダッド大学は、あらゆる民族や宗教的背景を持った学者達によって、宗派的差別がない、大いに尊敬される、科学的な非宗教文化を教育し、維持していたのだ。

この世界は、永遠に壊滅させられた。アメリカ占領の下、2008年11月までに、バグダッド大学で教えていた、83人の学者と研究者が殺害され、彼らの同僚や学生や家族の数千人が、逃亡を強いられたのだ。

学問分野別の暗殺対象学者選別

2008年11月、パキスタン・デイリー・ニューズが報じた記事には、バグダッドに在住するそれぞれの分野で著名で、殺害された最高の学者、合計154人の名前が列記されていた。イラク最高の大学で教鞭をとっていた合計281人の有名な知識人が、アメリカ占領下で、‘暗殺部隊’の犠牲になったのだ。

アメリカ占領前には、バグダッド大学は、第一級の研究・教育医学部を擁し、高度な教育で、全中東から、何百人もの若い医師を惹きつけていた。アメリカの暗殺部隊体制が勃興していた間に、このプログラムは、徹底的に破壊され、回復の見込みはほとんどない。殺害された人々のうち、25% (21)は、バグダッド大学医学部の最古参教授と講師達で、あらゆる学部の中で、最高の比率だ。教授陣の殺害が、二番目に高い比率なのは、バグダッド大学の有名な工学部の教授と研究者で(12)、その次は、人文科学のトップ学者(10)、物理、社会科学(8人の古参学者)、教育学部(5)だ。バグダッド大学において殺害された他のトップ学者、農学、経営、体育、通信や、宗教学部にまで及ぶ。

バグダッドの他の三大学で、社会科学の10人、法学部の7人、医学部と人文科学部でそれぞれ6、物理学で9人、そして工学部で5人を含み、53人の古参学者が虐殺された。2002年8月20日、ラムズフェルド国防長官は侵略前にジョークを言った。「…彼等は(科学者は) (アメリカの子供ゲームである)‘tiddlywinks’は、やっていなかったと、想像せざるを得ない」(物理と化学分野におけるイラク人科学者の血なまぐさい粛清を正当化するものだ。これは、侵略後に起きた学者殺戮の一つの不吉な予兆だった。

同様に残酷な学者粛清は、全ての地方大学で起きた。モスル、キルクーク、バスラや他都市の評判の高い様々な大学で、127人の古参の学者や科学者が暗殺された。古参の教授会員で殺害された人数が多い地方大学は、アメリカとイギリス軍や、彼等のクルド人傭兵が最も活動していた諸都市のものだ。バスラ (35)、モスル(35)、ディヤラ(15) そして、アル-アンバル(11)。

イラク軍と、同盟国軍の暗殺部隊が、アメリカ、あるいは‘多国籍軍’の支配の下、都市在住学者殺害の大半を遂行した。学者の計画的殺害は、現代アラブ文明の、文化的、教育的基盤を破壊するための、全国規模、領域横断的な動きだ。こうした暗殺の大半を実行した暗殺部隊は、現代の非宗教的な社会と、独立した、統一共和国再建という目標を追求しかねない、政治的に意識の高い知識人や、民族主義的な科学者全員を一掃するためにアメリカ軍の戦略家によって‘解き放たれた’ あるいは、手段として利用された、原始的な、近代以前の、民族的-宗教的集団なのだ。

アメリカ侵略を防ごうというパニックの中、2002年12月7日に、イラク国家監視理事会は、500人以上の主要イラク人科学者を明らかにするリストを国連に提出した。このリストが、イラク科学エリートを抹殺するためのアメリカ軍殺害予定者リストの根幹となったことに、疑念の余地はない。悪名高い侵略前の国連演説で、コリン・パウエル国務長官は、その専門的知識が、他の国々によって利用されるのを防ぐため‘封じ込める’必要がある、3,500人以上のイラク人科学者、エンジニアのリストを引用した。アメリカは、イラク人科学者やエンジニアを再教育するプログラムである、‘民間人再教育’を立ち上げるため、国連が保管する、イラクの‘石油・食料交換プログラム’の資金から、何億ドルもの‘予算’を引きだした。こうした大いにもてはやされたプログラムも、決して本気で導入されたわけではなかった。あるアメリカの政策専門家が、カーネギー財団論文(2004年4月、RANSACポリシー・アップデート)の中で、イラクの‘過剰な科学者、エンジニアや技術者’と表現した人々を、安上がりに封じ込める方法が、明らかになった。アメリカは、イスラエルのモサド
による、選ばれた主要イラク人科学者の秘密暗殺作戦を採用し、工業規模で、拡大することを決断したのだ。

アメリカ‘増派’と‘暗殺’作戦のピーク: 2006年-2007年

学者に対するテロの全盛期は、バグダッドおよび、地方におけるアメリカ軍攻勢再開と同期している。日付が記録されているバグダッド在住学者暗殺の総数のうち(110人の知識人が虐殺されたことがわかっている)、ほぼ80%が(87)2006年と、2007年に起きている。同じパターンは地方でも見られ、合計84人の学者の77%が、同時期に、首都外で殺害された。傾向は明らかだ。アメリカ兵の犠牲者数を減らし、占領に対する潜在的な反対意見論者を粛清する手段として、占領アメリカ軍が、傭兵イラク軍と警察を組織し、ライバルのシーア派やスンナ派部族の人々や民兵の採用と訓練に資金を提供するにつれ、学者の殺人率は増加している。

学者に対するテロ作戦は、2005年中頃に強化され、2006年-2007年に頂点に達し、何万人ものイラク人学者、科学者、専門家や、その家族の大量海外亡命をひき起こした。大学の医学部の教授陣が丸ごとシリアなどへの難民となってしまった。年老いた両親や親戚を見捨てることができずに、イラクに残った人々は、自分の正体を隠すため、非常手段を講じた。保護してもらうか、家族とともに、アメリカかヨーロッパへの移住を認められることを願って、アメ
リカ占領軍や傀儡政権に協力することを選んだ人々もいる。ヨーロッパ人、特にイギリスは、イラク人学者を受け入れたがらないのだが。2008年以後、学者殺害は大幅に減少しており、この年は、わずか4人しか暗殺されていない。こは、アメリカと、その傀儡傭兵側での、何らかの方針変換というよりは、海外で暮らしているか、隠れているイラク知識人の大量逃亡の反映だ。結果的に、イラクの研究機関は、すっかり縮小されてしまった。技術者、司書や学生を含む残った補助スタッフ達の生活は、徹底的に破壊されており、将来の就職見込みもほとんどない。

アメリカの対イラク戦争と占領は、ブッシュ大統領やオバマが宣言したように、‘成功’し、2300万人の国民がいる独立国家が、武力で占領され、傀儡政権は腰を据え、植民地傭兵軍は、アメリカ人幹部に服従し、油田は売りに出されている。歴史的遺産、文化遺産や国家資源を保護する民族主義的な全てのイラク法は、破棄されたか、アメリカ帝国に有利な‘憲法’を占領者が押しつけた。イスラエルと、ブッシュ、オバマ両政権内部のシオニスト取り巻き連中は、現代の敵対国家の終焉と、イラクを文化的-政治的砂漠に転換したことを慶賀している。2003年1月、アメリカ国務省とペンタゴン幹部によって、アメリカン・カウンシル・フォー・カルチュラル・ポリシーの有力な収集家達に対してなされた合意とされるものに沿って、略奪された古代メソポタミアの財宝は、ロンドン、ニューヨーク等に住むエリートの所蔵品となる道を‘見いだした’。収集家達は、今やイランの略奪を楽しみに待つことができる。

イランへの警告

イラクにあったような現代的な科学-文化文明の、アメリカによる侵略、占領と破壊は、 もしも、アメリカ-イスラエルの軍事攻撃がおきた場合、イラン国民が被るであろうことの前触れなのだ
デモに参加する、豊かなイラン人学生や、アメリカが資金援助しているNGOによる、大統領選後の‘口紅革命’抗議の文脈では、イラン国民の文化的-科学的基盤に対する帝国主義的脅威が、完全に欠如していた。2004年、バグダッドで‘少なくとも、我々はアフガニスタンとは違う’という、致命的に間違った楽観主義で、教養ある、洗練されたイラク人が自らを慰めていたということを、彼等は肝に銘ずるべきなのだ。同じエリートが、今やシリアやヨルダンのごみごみした難民キャンプで暮らしており、彼らの祖国は、中東の他のどの国より、アフガニスタンに似てしまっている。イラクを、'あらたに解放された、わがアフガニスタンのイメージ'に変換するという、2003年4月のブッシュ大統領の戦慄的な約束は実現された。そして、アメリカ政権の顧問達がイスラエル・モサドによる、イラン人科学者の選別的暗殺政策を再検討したという報道を聞いた、テヘランで暮らす親西欧のリベラル知識人は、2006-2007年に、イラク人科学者や学者を、事実上抹殺してしまったすさまじい軍事作戦の教訓を、真剣に熟考すべきなのだ。

結論

イラクに、中世的な民族-聖職者社会-政治構造に基づく退行した属国政権を樹立することで、アメリカ合州国(そして、イギリスとイスラエル)は、一体何を得ているのだろう?
何よりもまず、イラクが帝国の前哨基地になったのだ。第二に、イラクの、弱く、後進的な政権は、この地域における、イスラエルの経済的、軍事的支配に挑戦することができず、エルサレム、ヨルダン川西岸や、ガザの、先住パレスチナ・アラブ人に対して進行中の民族浄化を問題としてとりあげるのに乗り気ではないのだ。第三に、一つの独立国家の、科学的、学問的、文化的、および法的基盤の破壊は、西欧(と中国の)多国籍企業や、その技術インフラへの依存が増すことを意味し、帝国による経済侵略と搾取が容易になる。

19世紀半ば、1848年の革命の後、フランスの保守的な社会学者エミール・デュルケムは、ヨーロッパのブルジョアが、増大する階級闘争に直面しており、反資本主義の労働者階級が増大していることを認識した。宗教や聖職権主義に関する哲学的な懸念はあるにせよ、社会的一体性を‘作り出し’、階級分化を和らげるためには、ブルジョワが伝統的宗教の神話を利用せざるをえまいことに、デュルケムは気がついたのだ。教養があり、洗練されたパリの資本家階級に対し、宗教を政治的支配維持用の道具として利用するため、反啓もう主義の宗教的教義に対する拒否反応は、差し控えるよう、彼は呼びかけた。同様に、ペンタゴン-シオニストを含むアメリカの戦略家達は、この戦略が、科学者、専門家階級の全滅を必要とするものであるとは言え、イラクの植民地支配を強化すべく、非宗教的な国家政治指導層や、高度な文化を破壊するために、部族ムッラー、民族的-宗派的勢力を、手段として利用したのだ。現代アメリカの植民地支配は、社会の中で、社会的、政治的に、最も後進的な部門を支持し、戦争の最も高度な技術を適用することで成り立っている。

自分たちの60年間の経験から得た、都市での対テロや、民間人弾圧の方法を、イラクのアメリカ占領軍に教授する上で、イスラエル人顧問達は、主要な役割を演じた。1948年、デール・ヤシン村での、何百ものパレスチナ人家族の悪名高い虐殺は、新植民地秩序を押しつけるために、その土地に対する内因的な文明、文化的な絆を持った先住民が何世紀も定住していた、何百もの生産的農村の抹殺した、シオニストの象徴だ。パレスチナ人を、故郷から完全に引き離す政策は、イラク駐在アメリカ人為政者に対するイスラエルの助言の中核だった。ブッシュとオバマ政権内のシオニスト信奉者により、現代イラクの民間と国家の官僚機構の丸ごと解散と、この荒廃した国の、現代的大学や、研究所を粛清するため、クルド人とシーア派過激派で構成される、近代以前の部族暗殺部隊を活用するよう命じることで、彼らのメッセージは遂行されたのだ。

アメリカによるイラクの帝国的征服は、現代の非宗教共和国破壊の上に、成り立っている。後に残された文化的砂漠(聖書の‘寂しい荒野’は、イラクの貴重な学者達の血に染まっている)は、超巨大詐欺師、‘イラク人幹部’のふりをしている殺し屋傭兵、部族や民族の文化的文盲や、中世的な宗教者連中達によって支配されている。アメリカやヨーロッパ多国籍企業の権益に仕えるのに熱心な、プリンストン、ハーバード、ジョンズ・ホプキンス、エールやシカゴ大卒業生が、計画した‘帝国の青写真’を持った陸軍士官学校卒業生の指導と指示の下で、彼等は活動している。

これは、‘複合化した、不均等な発展’と呼ばれている。その実、原理主義者ムッラー達と、アメリカに奉仕するアイビーリーグ・シオニストの結婚なのだ。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article23342.htm

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アメリカの対イラク戦争-文明の破壊」という09/8/31翻訳記事の再掲載。コメントもそのままで、改変はしていない。

コメントの4年前の素人想定、現状と、どれだけずれているか否かも合わせ、批判的にご覧いただければ幸い。彼岸の中日、亡くなられた人々を偲びながら、大本営広報部報道と、ただの中高年メタボ・オヤジの妄想との比較も一興かも知れない

マケインの本当のペトレイアス原則』という08/10/18の記事翻訳中で、下記のように書いた。

ボブ・ウッドワード、イラクでのゲリラ活動が大幅に減少したのは「増派」のおかげではないと、他要因を説明している。Why Did Violence Plummet? It Wasn't Just the Surge.

The War Withinという著書で、ボブ・ウッドワードは、他に有効な作戦があるのだが、具体的に言うわけにはゆかない、というようなことを書いていたようだ。そんな、うまい作戦などあるはずもないだろうと、以来、ゲリラ活動の減少理由を、大変不思議に思っていた。

この記事で、ようやく納得。上記のウッドワード記事を読み返して見ると、「秘密作戦が、非常に効果をあげている」と、ちゃんと書いてある。作戦のコードネームも、詳細もあかせない、ともある。これほど悲惨な実態、決して明かすわけにはゆくまい。凄惨なインテリ殲滅作戦だったのだ。

敗戦させてしまった後は、簡単な脅し、テロ、賄賂で、属国支配が完成した某国と異なり、本格的な民族主義者がいたイラク、Shock and Awe(衝撃と畏怖)作戦終了後にこそ、『衝撃と畏怖』が本格的になっていたというわけだ。

ところで、『マケインの本当のペトレイアス原則』という翻訳記事のおまけとして、終わりの方に、こう書いた。

政権交代など呪文にすぎない。実体は、派閥内の政権たらい回し。正確には、アメリカ傀儡大政党間たらい回し。たらい回しに失敗すれば大連立をするだろう。二大政党などというマスコミの虚構にだまされてはならない。実体は傀儡二大政党。

(とはいえ、政権交代を待望するブロガーの方々の数! 小泉選挙を思い出せば、結局は大半がだまされるのは確実だろう。いや、騙されているのではなく確信犯か?)

引かれ者の小唄。戯れ歌でも書いておこう。今日は、ブロガーの皆様が欣喜雀躍されている、自民党政治の終わりどころか、さなきだにひ弱な日本の民主的?政治そのものの、終わりの始まりなのだから。

いよいよ、金だけでなく、命も、宗主国に捧げさせられる。ファシズムは、楽しそうな顔をしてやってくる。もちろん、民主党、この記事にある、アメリカと、同盟関係(実態は、宗主国・属国関係)を強化すると言っている。庶民の皆様、民主党・自民党の議席合計を考えただけで、恐ろしくならないのだろうか?支配層の方々なら、ほくそえむのはわかるが。往時の大政翼賛会再現だろう。

これが妄想であったら、どれ程嬉しいことか。(妄想で、電波で狙われていると書かれる方々も多々おられるが:-)次に行われるのは、比例代表の削減。少数野党は殲滅され、民主党と自民党という傀儡二大政党(実は派閥)が確立する。オザワ氏が中心となって導入した、小選挙区制度というゆがんだ仕組みの上で、予定通りに起こされた茶番を、「市民革命」と浮かれる方々すらおられる。保坂展人氏も、亀井幹事長も落ちたではないか。小泉の息子が堂々当選しているではないか。何が「市民革命」か?「痴民革命」というのなら納得する。いや、大宅壮一の言葉をもじれば「白痴革命」?。あのナチスも、選挙で政権を獲得した。同じ属国でも、札束で頬をはたくだけですむ、イラクのような過酷なインテリ殲滅作戦が不要なアジアの属国、宗主国にとっても、属国傀儡政権にとっても、さぞや統治は楽だろう。

選挙前に、自民党員の知人と、酒を飲んだ際、「後は二大政党で交互にやろうという話になっている」というようなことを言って、さほど野党転落を気にしている様子はなかった。当方、いい加減酔っていたので、正確には覚えていないが「さもありなん。」と思ったものだ。昔、力道山のプロレス華やかなりしころ、テレビにしがみつくようにして見ていた。今回の選挙、初めからお互いやらせで、ガチンコの振りをしているただの「選挙版プロレス」だったろう。プロレスでさえ、受けるためには、流血し、怪我もする。時には、事故で亡くなるレスラーまでいる。

まして国政。自民党幹部落選すら折り込み済だろう。傀儡二大政党(派閥)化こそが最大目的。テレビも新聞も、見事スポーツ・タブロイド品質。そこで一句。

「小泉が搗き、麻生がこねし天下餅、座して食らうは小沢一郎」

「交代が良いね」と皆が言ったから夏の終わりはファッショ記念日

関連翻訳記事:

『マケインの本当のペトレイアス原則』

暗殺部隊の訓練法、革命の鎮圧方法、サンサルバドルからイラクに転用

アメリカ暗殺部隊株式会社

イラク: 高等教育における、大規模な不正行為と腐敗

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2009/9/12追記

主題が本記事と通底している、6年も前の下記記事を見つけた。

TUP速報223号 星川 淳のピースウォッチ#6 03年11月25日 「侵略の動機」

また、『週刊金曜日』 2009/9/11 金曜アンテナ 国際短信に下記記事がある。
イラク 米軍が秘密に展開した 学者・知識人の絶滅作戦

この翻訳記事と同じweb記事を、わずか1500字以下で、まとめておられる。さすが。
長く、まずい、この翻訳を読む時間のない方は、是非、週刊金曜日記事を!該当記事は、かなり下の方で、スクロールしないと、現れない。

デトロイト崩壊: アメリカ資本主義を告発

wsws.org

2013年3月7日

今週、デトロイト市が破綻へと向かい、州と現地の政治家達がギリシャ風緊縮プログラムを拡大する計画の概要を述べ始める中、ウォール・ストリートの金融エリート達はダウ・ジョーンズ工業株平均の新記録を慶賀している。

3月1日、共和党のミシガン州知事、億万長者の元ベンチャー・キャピタリスト、リック・スナイダーは、デトロイトの“財政非常事態”を宣言した。この行動は、労働協約を破棄し、年金債務を放棄し、重要なサービスを停止し、上下水道、動物園や美術館を含めた公共資産の大安売りを実施する広範な権限を持つ緊急財務管理者の早急な任命への道を開くものだ。

都市の掠奪は、アメリカにとっても、世界的にとっても、支配階級の模範だと見なす商業マスコミが、この動きをはやし立てている。“抜本的で、不人気な行動だけが、デトロイトの悪循環をくい止められる”と、月曜の論説でロンドンを本拠とするフィナンシャル・タイムズは主張し、緊急財務管理者を押しつける計画を称賛している。

銀行と、彼等の金で買われた二大政党の議員連中にとって、いかなる民主的手続きも、個人的資産の一層大きな集積を妨害してはならないのだ。デトロイトで、人々に押しつけられている苦しみは、億万長者のヘッジ・ファンド・マネージャーが持っている非課税市債に、最大の利益を保証するためのなのだ。

年金、医療費給付、公立学校、街灯、公衆衛生等の形で、労働者階級が得るささやかな金は、取り戻し、新たな利益源へと転換されなけばならない。

デトロイトの運命は、アメリカ資本主義総体の進化の集中的表現だ。戦後ブームの全盛期、自動車工場の都市が世界中の自動車の大多数を製造していた頃、自動車労働者の大衆闘争のおかげで、デトロイトは一人当たり収入と住宅所有率がアメリカで最も高い都市の一つだった。

現在、デトロイトの街路には、放棄された工場の錆びた骨組み、約79,000軒の放棄された住宅、新車以下の価格で売られている区画や住宅が散乱している。

デトロイト崩壊に、その上に想像を絶する額の富を自分達が築き上げた残骸という、自らのイメージを、アメリカの支配階級は見ている。アメリカ産業の衰退と、過去30年間、金融投機という一層寄生的な形への支配階級の移行は、二大大企業政党に支持された、労働者階級の雇用、生活水準と社会的地位に対する容赦ない攻撃と同期していた。

この都市が独特なわけではない。2008年の金融危機は、長らく朽ちかけのアメリカ資本主義の基盤を暴露した。金融危機は、新金融貴族の膨大な経済・政治力も明らかにした。

サブプライム住宅ローン・バブルがはじけた時、オバマ大統領は、共和党の前任者同様、何兆ドルも、直接の現金注入、保証や、事実上無利子のクレジットをウォール・ストリートに注ぎ込んだ。過去四年半で、危機を引き起こした金融貴族は、完全に損失を回収したのみならず、新たな投機騒ぎに乗り出して、更に好調だ。

これは、圧倒的多数の国民の収入が低下し続ける中、“経済回復”とされるものの最初の二年間に総収入の121パーセントを得ている人口の1パーセントの最も裕福な人々へ、労働者から莫大な富の移転をすることで、実現された。

この前例は、2009年、新規労働者の50パーセントの賃金カット、一日8時間労働の撤廃と、工場での厳しい作業強化を要求した、オバマ政権による、ゼネラル・モーターズとクライスラーのリストラの際に作られた。その結果、2012年、自動車会社は110億ドルの利益を得て、オバマの“報酬監視責任者”が承認した数百万ドルのボーナスを自動車会社幹部に支払った。

一方新規の自動車労働者の賃金の購買力は、1930年代レベルに落ち込み、自動車工場の何千人もの新規雇用労働者は自分が製造する自動車を購入できない。利益が国内総生産GDP中、史上最大のシェアとなる中、総賃金は史上最低、GDPの43.5パーセントに低下した。

同時にオバマ政権は、連邦、州、地方レベルでの予算削減という冷酷な政策の先頭に立った。2009年以来、300,000人の教師を含む約700,000人の公共部門労働者が職を失い、学区では推計4,000の公立学校を閉鎖した。フィラデルフィア、ワシントン, DC、シカゴ、ニューヨークや他の都市で、当局は、何百校もの閉鎖と営利目的のチャーター・スクールの増加を狙って、更なる学校閉鎖を要求している。

国家レベルで、オバマ政権と議会の共和党は、幼稚園から高校までの教育支援、ヘッド・スタート・プログラム、子どもの栄養管理、ホームレス防止プログラムや長期失業者用の失業給付を含め、1.2兆ドルの連邦予算削減を実施するのに“強制歳出削減”危機を利用した。 これは、メディケア、メディケイドや、何千万人もの退職労働者や貧しい人々が頼りにしている社会保障に対する大攻勢計画の頭金に過ぎない。

デトロイトでも、アメリカでも、世界中でも、繰り返される言葉は同じだ。株式市場が急騰し、大企業の利益が最高レベルとなる中、現代社会の最も不可欠な生活必要品を保証する金はないのだ。

祝賀と投機の大騒ぎで、ウォール・ストリートとアメリカ支配階級は、彼等以外の社会に対する、その寄生的関係と、彼等が擁護する社会制度、資本主義の歴史的な破綻を実証しているに過ぎない。

Jerry White

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/03/07/pers-m07.html

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既に、日本に先駆けて、競うようにして植民地条約、米韓FTAを結んだ韓国でも、参加を表明した日本でも、軽自動車攻撃が激化している。もちろんデトロイトを本拠とする自動車会社による圧力。そうした圧力をかけた結果、宗主国の労働者は多少は暮らし向きが良くなったりしているのだろうか。こうした事態からみるかぎり、そういうことは皆無。

TPP、大企業利益・活動の自由を拡大するだけ。自国労働者の幸福、考慮の対象外。まして、外国の労働者、どうなろうと無関係だろう。

宗主国企業の利益の為の無理押しを、理不尽な非関税障壁に対する「正当な要求」にしてしまうトリック道具がTPP。もちろん、ことは軽自動車にとどまらない。

外務省のウェブにある文書 中でも、その要求、明記されている。

TPP協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要:主要団体の意見詳細)
平成24年2月1日

1 米国政府意見募集の結果

(別添2)我が国の関心表明に対する否定的な意見(主たる意見のポイント)

デトロイトは、下記の三つの意見のおひざもと。NAFTAも、TPPも、庶民の為の施策ではなく、多国籍大企業の、飽くなき強欲に起因する世界支配の為の方便であることは明白。

1 American Automotive Policy Council (AAPC) 全米自動車政策評議会
2 AFL-CIO 全米労働総同盟産業別組合会議
3 International Union, United Automotive, Workers of America(UAW)全米自動車労働組合

[立場の理由]
日本の自動車市場は先進国の中で最も閉鎖的であり、その改善は容易でないため、日本の交渉参加は交渉の遅延につながる。
・日本の参加は、米国の製造業と雇用を犠牲にして、日本の輸出依存体制を温存させることになる。
・日本との間のFTAは、日米自動車貿易の一方的な関係を固定化するのみ。
―TPP交渉妥結前に日本が交渉参加すれば、TPP協定が高い水準のものとなることが著しく遅延する。
・日本にのみ利益をもたらすFTAは、米国の主要輸出産業たる自動車産業の足かせとなり、追加投資を妨げ、雇用創出も妨げる。

[一般的指摘・要望等]
日本は、TPP交渉参加の前に、自動車市場を輸入車に開放する複数年に亘る約束を示すべき。

[個別具体的指摘・要望等]
-21世紀のFTAたるTPP協定には、為替操作の取り扱いに関する基準を設けるべき。
日本の自動車の技術基準及び認証手続は(国際標準と)完全には調和しておらず、日本に輸出される自動車に対して大幅な開発-製造コストがかかる。
日本の自動車関連規制及び規制の策定過程は閉ざされており、公開された時には既に制度が固まっているため、変更提案は難しく、ほとんど受け入れられない。この完全な透明性及び提案容認の欠如によって輸入自動車メーカーの間で予測不可能であるという感覚が広まっている。
日本において国内生産者のみが利益を受けている軽自動車規格に対する特別な待遇は廃止すべき。

2 AFL-CIO 全米労働総同盟産業別組合会議

[立場の理由]
・交渉中のTPP協定は未知の点が多いため、労働者に与える影響等について見解を示すことは困難。
・自動車関税の撤廃は対日自動車貿易赤字を拡大させ、日本メーカーが米国内で生産するインセンティブを減少させる。不適切な形で日本がTPP協定交渉に参加する場合には、米国経済及び労働者への利益がなく、日本に一方的に利益を与えることにもなり得る。
・仮に適切な交渉がなされれば、TPP協定が貿易均衡を改善し、対日輸出の増加によって(米国内に)雇用を創出する可能性があるが、その実現性は大変疑わしい。
NAFTA等のFTAによる雇用創出効果の見積もりも不正確だった。

[一般的指摘・要望等]
・(自動車分野を例に挙げて、)日本の非関税障壁(為替操作、排他的な「系列」の取り決め等を例示)への対処が必要(具体的指摘はなし)。
・日本は貿易協定による利益を確保する前に、自動車分野における持続的な市場改革を行なうべき

[個別具体的指摘・要望等]
・日本のTPPへの加盟に係る意志決定には、下記の諸点に関する影響について回答が必要。
―グローバル・サプライ・チェーン
―国有企業を国内的に規律することに向けた各国の取組
―為替介入に対する対応
―国内の雇用及び賃金水準

3 International Union, United Automotive, Workers of America(UAW)全米自動車労働組合

[立場の理由]
・米国の労働者に真の利益を与え、国内生産を増加させ得る協定を作り出し、交渉する能力を米国交渉担当者が示さない限り、日本、メキシコ、カナダその他各国への参加国の拡大は時期尚早であり、懸念。

[一般的指摘・要望等]
・米国交渉者は、TPPによって既存の対日貿易赤字を悪化させたり、投資を促進させたり、失業を助長したり、賃金格差を拡大したりすることのないようにするべき。
・日本との経済関係の規模に鑑み、二国間の貿易問題はTPPの枠外で取り組まれることが望ましい。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本の不公正な為替操作や、根深い非関税障壁により、深刻な二国間自動車貿易の赤字が引き起こされている。
・日本には自動車市場の開放に関する持続的かつ複数年にわたる実績の確立を要求すべき。

2013年3月19日 (火)

湾岸戦争文書: サダム・フセインと駐イラク米大使エープリル・グラスピー会談

1990年7月25日、1990年8月2日、イラクのクウェート侵略8日前

Global Research

Global Research、2013年3月17日
Global Research、012年5月30日

湾岸戦争文書:サダム・フセイン-エイプリル・グラスピー駐イラク・アメリカ大使会談

サダム-グラスピー会談

イラク大統領サダム・フセインとエイプリル・グラスピー駐イラク・アメリカ大使会談の記録 - 1990年7月25日(1990年8月2日のイラク・クウェート侵略8日前)

1990年7月25日 - 大統領官邸 - バグダッド

グラスピー・アメリカ大使 - 私はブッシュ大統領から、アメリカとイラクとの関係を改善するよう直接指示を受けています。我々は、あなた方のクウェートとの対立の直接原因ですが、あなた方が石油価格値上げを目指しておられることに、大いに共感しております。(ポーズ)。ご存じの通り、私はここに長年暮らしており、お国再建等、あなたの並ならぬご努力を尊敬しております。あなた方が資金を必要されていることを承知しております。私どもはそれを理解しており、我々の考えは、あなた方は、お国を再建する機会を持つべきだというものです。(ポーズ) 膨大な数の兵士を南に配備されていることを存じております。通常であれば、我々には関係のないことでしょうが、お国はクウェートに対して脅威になっているという文脈で、これが起きているので、我々が懸念するのも当然だろうと存じます。その理由で、対決ではなく、友情の精神から、あなたのご意向について伺うよう指示をうけています。お国の軍隊が、クウェート国境すぐ近くに結集しているのは何故ですか?

サダム・フセイン - ご承知の様に、クウェートとの紛争解決に至るべく、私は長年、あらゆる努力を払ってきました。二日以内に会談を予定しています。交渉に、私はもう一度だけ、短いチャンスを与えるつもりです。(ポーズ) 我々(イラク)が(クウェートと)会った際、希望があると思えれば、何も起きません。もし、解を見いだせない場合、イラクが死を受け入れつもりがないのは当然のことでしょう。

グラスピー・アメリカ大使 - どのような解なら受け入れ可能ですか?

サダム・フセイン - もし我々が、シャット・アル・アラブ全部を維持できれば、それは イランとの戦争上の我々の戦略目標ですが、我々は(クウェートに)譲歩するでしょう。しかし、もし我々が、シャットの半分と、イラク全土(つまりサダムの見解では、クウェートも含まれる)の維持との選択を迫られたなら、我々は、イラク全土を我々がそうあって欲しいと願う形で維持すべく、クウェートに対する我々の領有権の主張を守るために、全シャットをあきらめるでしょう。(ポーズ) これについて、アメリカ合州国の意見はいかがですか?

グラスピー・アメリカ大使 - あなた方アラブ人、あなた方とクウェートとの紛争の様な、アラブの紛争には何の意見もありません。(ジェームズ)ベーカー(国務)長官は、1960年代のクウェート問題は、アメリカとは関係がないという、最初にイラクにさしあげた説明を強調するよう、私に指示しました。(サダム笑う)

1990年8月2日、結集したサダムの軍隊は、クウェートに侵略し、占領した。

バグダッド、1990年9月2日、アメリカ大使館

一カ月後、イギリス人ジャーナリスト達が、上記の1990年7月29日、サダム-グラスピー会談録音テープと書き起こし記録を入手した。がくぜんとした彼等は、バグダッドのアメリカ大使館を去るグラスピー大使と対決した。

ジャーナリスト 1 - 書き起こしは(高く掲げ)本当ですか、大使?(グラスピー大使は答えない)

ジャーナリスト 2 - サダムだ(クウェート)を侵略するつもりだったのをご存じだったのに、あなたは、そうせぬよう彼に警告しませんでした。彼にアメリカは、クウェートを守るつもりだとは言われませんでした。あなたは彼に逆のことをおっしゃいました。アメリカは、クウェートとは関係がないと。

ジャーナリスト 1 - あなたは、侵略を、彼の侵略を奨励されました。何を考えておられたのですか?

グラスピー・アメリカ大使 - どう見ても、私も、そして誰も、イラクが、クウェートを全て占領するつもりだとは思っていませんでした。

ジャーナリスト 1 - 彼は一部だけ占領するだろうと思っておられたのですか? しかし、一体どうしてそう思われたのですか? サダムはあなたに言いましたよ。もし交渉が失敗したら、我々がそうあって欲しい姿のイラク全部の為には、イラン(シャット・アル・アラブ川)の目標をあきらめる。あなたは、それが、イラクが常に、歴史上イラクの一部と見なしてきたクウェートを含むことはご存じだったでしょう!

ジャーナリスト 1 - アメリカが、侵略にゴーサインを出したのです。少なくとも、あなたは、サダムに、ある程度の攻撃は認めると、イラクが自分の領土だと主張している、アル-ルメイラ油田、紛争中の国境地帯と、湾岸の島々(ブビヤンを含め)強奪にアメリカは反対しないとゴーサインを出すのを認められたのではありませんか?

(グラスピー大使は無言のまま、リムジンのドアが閉じ、車は走り去る。)

記事原文のurl:www.globalresearch.ca/gulf-war-documents-meeting-between-saddam-hussein-and-ambassador-to-iraq-april-glaspie/31145

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罠にかけた前段部分は知っていたが、後段は知らなかった。

代表的属国大本営新聞、3月19日社説、とんでもない妄言。目の毒だが、引用させていただこう。正気の沙汰ではない。こういうプロパガンダ広報誌を、お金を払って講読する皆様の心理、理解できない。(それを言うなら、小生が講読している新聞も同類だが。)安倍支持者、自民、公明、みんな、維新支持者や、憲法破壊に賛成する方が多い背景、わかる気がする。ハーメルンの笛吹新聞。

 戦争は、苦い教訓を米国に残した。占領統治は混乱し、4500人近い米兵の命が失われ、巨額の戦費で財政赤字は膨れあがった。開戦の理由とした大量破壊兵器が見つからず、威信は揺らいだ。揺らぐどころではない。

 「コストに見合わない戦争だった」との批判は絶えない。殺人経済学

 国際社会の足並みも乱れた。米英の武力行使に、仏独露などが反対した。イラク戦争への評価は、今なお定まらない。定まっている。戦争犯罪そのもの。

 留意すべきは、米国が開戦に至った本質的な問題が今も未解決だということである。何が未解決なのだろう?

 中略

 日本は、北朝鮮の増大する脅威に直面するだけでなく、軍事・経済の両面で膨張著しい中国とも向き合わなければならない。宗主国こそ日本攻撃中。

 対イラク開戦を巡り、小泉首相が日米同盟重視の観点から、米国の武力行使を支持する一方で、民主党など野党は「大義なき戦争だ」と反対に回り、国論は割れた。反対派が正しかったのは明らか。

 だが、日本が、米国との同盟を堅持する必要性は10年前から少しも変わっていない。むしろ強まったと言える。馬鹿を言え!

 イラクの大量破壊兵器計画を米英が過大に評価した反動で、国際社会が北朝鮮やイランの核開発能力を過小に見積もるようでは危険だ。米国が武力行使に慎重になり過ぎれば、北朝鮮の脅威に対処する選択肢を狭める恐れがある。 テロ国家を放置しておくことこそ危険だろうに。

 日本に必要なのは、米国との関係に安住せず、集団的自衛権の行使を可能にするなど同盟強化へ具体的な手立てを講じることだ。属国化強化?

 イラクでは、選挙実施など民主化が進み、原油生産も回復して産油地の北部や南部は繁栄に沸いている。フセイン独裁政権の崩壊なしには難しかったろう。 真っ赤な嘘。

 最後は略。

孫崎享氏も、八面六臂の活躍にもかかわらず、地獄への道をひた走る日本を慨嘆しておられる。冷静に考えれば、テレビ視聴者の数とくらべれば、孫崎享氏の読者、講演聴講者、nicovideo視聴者、0.0%だと。悪貨は良貨を駆逐する。

TPP協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要:主要団体意見詳細)テキスト

外務省のウェブに、この文書のPDFが公開されている。pdfなので、テキスト中のキーワード、ネット上では検索しても簡単には見つからないので、気がつかない。(もちろん、pdfファイルそのものをダウンロードすれば、ファイルの中では自由に検索可能。)

一年以上前のデータ。大本営広報部は徹底的に報道管制。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/us_iken_1201.html
横長の表形式。以下は、これをテキスト化したもの。

関税聖域やら、関税撤廃の話題、ほとんどでてこない。

ひたすら非関税障壁だ、と宗主国大企業が思うものをリストし、悔い改めよと命じるもの。

ガン保険で味をしめた(アフラック会長、チャールズ・レイク氏、米日経済協議会副会長、元米国通商代表部(USTR)日本部長、郵政破壊に辣腕を振るった後、ちゃっかり特等席について、同社売り上げの7割り以上が日本からという)保険業界、かんぽを虎視眈々狙っている。そして、宅急便業界はEMSを虎視眈々狙っている。

要するに、宗主国の世界規模大企業による、日本支配条約。売国条約だ。

アフラックについては、アフラックの“欺瞞”にメス 金融庁が前代未聞の長期検査を参照。

元のpdfに意見提出者リストはなく、太字加工もない。太字加工部分の意見だけはお読み頂きたい。

日本に有利に交渉できるスーパーマンなる御仁、一体どこにいるのだろう。首席交渉官などと名前をつけても、売国支配体制の中で推進するのは、売国政策・交渉だ。

異端のスーパーマンを許す社会なら、自民、公明、みんなや維新など傀儡政治家はことごとく落選し、チャベスのような政治家がトップ、彼の政党が与党で、今頃国は独立していたろう。属国固定化の4/28が独立記念日などという、たわごと発言をする政治家、独立した有権者によって落選していただろう。

平成24年2月1日

1 米国政府意見募集の結果

(1) 1月13日の締切りまでに113件、その後2月6日付で2件追加され、合計115件の意見が提出された。
(2) 115件の意見の内訳は以下のとおり。
肯定的:99件(86.1%)、否定的:8件(6.9%)、態度不明:8件(6.9%)

2 我が国の関心表明に対する主たる意見のポイント
(1) 肯定的な意見(別添1)
我が国の関心表明に対する肯定的な意見全99件のうち、加盟企業数、組織基盤、資金力等の観点から主たる団体-企業の意見29件を抽出したもの。
(2) 否定的な意見(別添2)
我が国の関心表明に対する否定的な意見全8件を掲載。
(3) 態度不明の意見(別添3)
我が国の関心表明に対する態度不明の意見全8件のうち、(1) と同様に主たる団体・企業の意見1件を抽出したもの。

注1:本資料は、主要団体の意見の詳細をまとめたものであり、米国政府の立場をまとめたものではありません。

注2:本資料は、外務省において原文をもとに主要点を取りまとめたもので、意見提出者の確認を得たものではありません。各提出意見の原文については、下記の米国政府官報告示ホームページをご参照下さい。

http://www.regulations.gov/#!docketDetail;rpp=100;so=DESC;sb=postedDate;po=0;D=USTR-2011-0018

(別添1)我が国の関心表明に対する肯定的な意見(主たる意見のポイント)

[団体名・概要](注:日本語の団体名については定訳ではありません。)
[立場の理由]
[―般的指摘・要望等]
[個別具体的指摘・要望等]
(注:立場の理由、一般的要望、個別具体的要望の分類は外務省にて便宜的に行ったものです。)

(別添1)我が国の関心表明に対する肯定的な意見(主たる意見のポイント)

[団体名・概要](注:日本語の団体名については定訳ではありません。)
[立場の理由][―般的指摘・要望等][個別具体的指摘・要望等]
(注:立場の理由、一般的要望、個別具体的要望の分類は外務省にて便宜的に行ったものです。)

1 AdvaMed 米国先進医療技術工業会
2 American Council of Life Insurers 米国生命保険協会
3 American Meat Institute 米国食肉協会
4 American Soybean Asociation 米国大豆協会
5 Boeing ボーイング社
6 Cargill カーギル社
7 Caterpillar キャタピラー
8 Chevron シェブロン
9 Coalition of Service Industries 全米サービス産業連盟
10 Coca Cola コカ・コーラ社
11 Emergency Committee for American Trade 米国貿易緊急委員会
12 Express Association of America 米国速達協会
13 GE ゼネラル・エレクトリック
14 Grocery Manufacturers Association 食料雑貨製造業協会
15 Information Technology Industry Council 情報技術産業協会
16 Motion Picture Association of America 米国映画協会
17 National Association of Manufacturers 全米製造業協会
18 National Milk Producers 全国生乳生産者協議会
   Federation、U.S. Dairy Export Council 米国乳製品輸出連盟
19 National Pork Producers Council 全米豚肉生産者協会
20 Pharma 米国研究製薬工業協会
21 Retail Industry Leaders Association 小売産業リーダー協会
22 U.S. Chamber of Commerce 全米商工会議所
23 U.S. Grains Council 米国穀物協会
24 USA Rice Federation 米国コメ連合会
25 U.S. Wheat Associates 米国小麦協会
   National Association of Wheat Growers 全国小麦生産者連合
26 Walmart ウォルマー卜
27 Western Growers 西部生産者協会
28 Wine Institute ワイン・インステイテュー卜
29 World Wide Fund for Nature 世界自然保護基金

(別添2)我が国の関心表明に対する否定的な意見(主たる意見のポイント)

1 American Automotive Policy Council (AAPC) 全米自動車政策評議会
2 AFL-CIO 全米労働総同盟産業別組合会議
3 International Union, United Automotive, Workers of America(UAW)全米自動車労働組合

4 Generic Pharmaceutical Association ジェネリック医薬品連合
5 Maine Citizen Trade Policy Commission メイン州市民通商政策委員会
6 全国農業協同組合中央会(JA全中)
7 Kiyomi Fukuhara 新潟県在住
8 Makiko Tasaki, Tasaki Houmu Office 茨城県在住の日本人行政書士

(別添3)我が国の関心表明に対する態度不明な意見(主たる意見のポイン卜)

1 National Cattlemen’s Beef Association 全米肉用牛生産者・牛肉協会

注1:本資料は、主要団体の意見の詳細をまとめたものであり、米国政府の立場をまとめたものではありません。

注2:本資料は、外務省において原文をもとに主要点を取りまとめたもので、意見提出者の確認を得たものではありません。各提出意見の原文については、下記の米国政府官報告示ホームページをご参照下さい。
http://www.regulations.gov/#!docketDetail;rpp=100;so=DESC;sb=postedDate;po=0;D=USTR-2011-0018

(1) 1月13日の締切りまでに113件、その後2月6日付で2件追加され、合計115件の意見が提出された。
(2) 115件の意見の内訳は以下のとおり。
肯定的:99件(86.1%)、否定的:8件(6.9%)、態度不明:8件(6.9%)

2 我が国の関心表明に対する主たる意見のポイント
(1) 肯定的な意見(別添1)
我が国の関心表明に対する肯定的な意見全99件のうち、加盟企業数、組織基盤、資金力等の観点から主たる団体-企業の意見29件を抽出したもの。
(2) 否定的な意見(別添2)
我が国の関心表明に対する否定的な意見全8件を掲載。
(3) 態度不明の意見(別添3)
我が国の関心表明に対する態度不明の意見全8件のうち、(1) と同様に主たる団体・企業の意見1件を抽出したもの。

(別添1)我が国の関心表明に対する肯定的な意見(主たる意見のポイント)

1 AdvaMed 米国先進医療技術工業会

[立場の理由]
・米国の医療機器製造業者にとって最大の輸出市場である日本の交渉参加は重要。

[―般的指摘・要望等]
・合意済みの事項についてリオープンしないことが重要。

[個別具体的指摘・要望等]
TPP協定は公衆衛生と患者のアクセスを増進するため安全、有効、かつ高品質の医療機器への完全なアクセスを確保する規定を含むべき。
・日本に対し、全てのTPP参加国の医療機器に関する規制や償還制度についてAdvamedがUSTRに提示してきた提案への支持を求める。
-USTRに対し、日本独自の具体的事項に対応することを求める。

2 American Council of Life Insurers 米国生命保険協会

[立場の理由]
-TPPは、公平な競争、消費者保護、消費者への多様な商品の提供、効率的かつ歪曲のない市場を確保するため日本と協力する機会。

[個別具体的指摘・要望等]
・TPPの文脈における米国の日本関連主要目的は、かんぽ生命又は共済に法制上又は規制上の特権が与えられることの無い対等な競争条件を日本の保険市場において確立することであるべき。このため、米国政府に対し、TPPに係るプロセスを通じ、次の事項について日本政府との合意を追求することを要請する。

―かんぽ生命と共済に関する競争歪曲的な政策、法令及び慣行を除去し、又は修正すること
―かんぽ生命と米国保険事業者との間で対等な競争条件が確立されるまでは、新規商品等がかんぽ生命から提供されないことを確保すること
―外国保険事業者の日本市場アクセスに影響を与え得る全ての措置について、影響を被るTPP協定交渉国との事前協議を行うこと一郵便保険事業の規制及び改革並びに共済の運営に関し、完全な透明性を確保するための措置を実施すること

・米国政府に対し、かんぽ生命を民営化すべきか否かについては立場を取らないことを勧告する。

・TPPに係るプロセスを通じ、日本郵政改革のプロセスにおける透明性に関するこれまでの米国の勧告及び日本のコミットメン卜を拘束力のある義務とすべき。

3 American Meat Institute 米国食肉協会

[立場の理由]
・日本は米国にとって最大の豚肉輸入相手国かつ第三位の牛肉輸入相手国であることから、日本のTPP交渉参加は米国の食肉輸出業者にとって大きな機会となる。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本は、他のTPP交渉参加国が既に合意したものと同じ包括的な農業市場アクセスに合意すべき
・日本が食品安全に関して科学的根拠に基づく国際的基準を遵守することが不可欠。

4 American Soybean Asociation 米国大豆協会

[立場の理由]

・TPP協定において、畜産物の関税を撤廃すれば、畜産物の輸出拡大を通じて、米国の大豆生産者及び畜産業界双方に利益をもたらす。

[―般的指摘・要望等]
・日本がTPP参加の最終的な判断をする前に、日本がTPP交渉で既に合意されている事項を受け入れる必要あり。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本の大豆は無税、大豆油は13.2円/kgと比較的低いが、日本は、米国の畜産物の関税が高い。

5 Boeing ボーイング社

[立場の理由]
・TPP交渉プロセスに日本を関与させることは、この地域における幅広い自由化と一層効率的な貿易制度につながる。
・約70の日本企業が航空機部品等を供給している。さらに、日本はボーイングの商業用航空機の最大の市場であり続けている。

[個別具体的指摘・要望等]
・米国が交渉するFTA(TPPを含むにおいては、可能な限り同一の手法及び規則を採用すること等による一貫性のある原産地規則、審?等における一貫したかつ明確な用語、通関手数料の免除等を実現すべき。

6 Cargill カーギル社

[立場の理由]
・日本のTPP参加は、新たな参入機会をもたらすとともに、長年にわたる非関税障壁及び国境内の問題に対処する機会となるため、米国の食品-農業分野にとってTPPをより経済的に重要な協定となし得る。
・TPPは両国の農業産業にとってウイン・ウインのものであり、多くの相乗効果がある。

[―般的指摘・要望等]
・現行のTPP交渉参加国により定められた野心的な交渉目標にコミットすること。

[個別具体的指摘・要望等]
・日米両国の政府間の協議において、次の原則に考慮を払うことを要請。
―TPPは、全ての参加国の全ての製品と分野が含まれた包括的な協定でなければならない。日米双方は長年の関税障壁に対処する必要がある。
―長年の貿易・投資障壁に、新たな解決策を提供しなければならない(STP協定に沿った科学的な規制枠組みの構築等)。
―適切な範囲の環太平洋諸国が参加すること。

7 Caterpillar キャタピラー

[立場の理由]
・日、カナダ、メキシコ等の大きな市場がTPPに含まれることにより、例えば原産地規則の改善等を通じ、同社の競争力は向上することになる。

[個別具体的指摘・要望等]
・TPPの最終合意テキス卜においては、原産地規則の改善、政府調達市場へのアクセスの確保及び再製造品への制限の撤廃が盛り込まれるべき。

8 Chevron シェブロン

[立場の理由]
・ Chevronが供給するエネルギー資源にとって、日本は重要な市場。

[個別具体的指摘・要望等]
・(TPP一般に関し)強力な投資保護が確保されることが必要。
・最低限、2004年米国モデル投資協定(BIT)に含まれる投資保護に係る規定が必要。

9 Coalition of Service Industries 全米サービス産業連盟

[立場の理由]
・日本、カナダ、メキシコの交渉参加は、米国のサービス業界にとって死活的に重要な3市場へのアクセスを改善し、また、全アジア太平洋地域を包含するFTAの基礎としてのTPPを一層強化する。

[―般的指摘・要望等]
TPP交渉への日本、カナダ、メキシコの追加は、以下に対する各国の意欲が条件。
・TPP協定において構築されつつある高い水準を受け入れること。
・交渉が遅延されないことを確保すること。

[個別具体的指摘・要望等]
―競争政策に関し、特に建設分野及び流通分野において、一層強力な行動が必要。また、多くの米国企業は、調査段階において弁護士を依頼する権利の拒否、調?において提供する情報の秘密保持の保証又は措置を採る前における公取委が有する証拠へのアクセスの欠如等、公取委が行う不公正な取引方法の違反被疑事件の調査活動における適正手続保障の不足を懸念している。また、現時点では、公取委による命令の発出前に事実関係に関する聴聞の機会を与える規定がない。これらの問題のうちいくつかは独占禁止法改正法案との関連で議論されているが、現在のところ法改正の目途は立っていない。これらについてTPPに係るプロセスで議論すべき。

―政府調達に関し、談合等、米国企業の公共事業参加を制限する慣行に対応すべく、日本は、政府機関による建設サービスの調達のための共通の基準額の認定、全ての資格要件の開示を確保するより効率的な制度の開発、合弁企業の取扱いに関する問題への取組、鉄道調達に関する安全注釈の撤廃又は限定適用を実施すべき。

―規制の透明性に関し、TPPに係る協議において、USTRは日本政府に対し、パブリック・コメン卜手続の改善、実質的な影響を与える規制等が取り扱われる審議会への参加等を通じた利害関係者の法律形成初期段階における参画機会の拡大及び規制施行前の合理的期間の確保を要請すべき。

―保険分野に関し、米国は、かんぽ生命及び共済に対する優遇措置のない対等な競争条件を日本の生命保険市場に構築することにつながる協定を追求すべき。かんぽ生命は、TPPの国有企業関連規律の完全な対象となるべき。また、競争中立性が実現するまでは、日本政府は、以下にコミットすべき。

→かんぽ生命が新規商品等を販売しないこと
→外国保険事業者の日本市場へのアクセスに影響を与え得る措置について、TPP交渉参加国との事前協議を行うこと
→かんぽ生命の改革及び共済に関し、完全な透明性を確保するための措置を採用すること→日本郵政及び関連企業並びに共済に対して保険業法を全面的に適用すること
→かんぽ生命が2007年以前の保証付き商品から生じた利益を利用せず、また、その顧客リストに排他的にアクセスしないこと
→かんぽ生命が郵便局ネットワークとの間で独立事業者間の関係を保持すること
→急送便サービスに関し、日本郵政の国際スピード郵便(EMS)は、民間の競合者と同一の規制枠組みの対象となるべき。商業的に有意かつ高い水準の21世紀型協定であるTPPに参加する意志を示すため、日本は、日本郵政への差別的な優遇措置に対処することを要求されるべき(具体的に、会計上透明性、国境における優遇措置の撒廃等に言及。)。

10 Coca Cola コカ・コーラ社

[立場の理由]
・原則の問題として、貿易自由化を支持。

[―般的指摘・要望等]
・交渉妥結に向けた日程が妥協されないこと。

[―般的指摘・要望等]
・環境物品に関する関税撤廃というTPPの目標は特に心強い。

11 Emergency Committee for American Trade 米国貿易緊急委員会

[立場の理由]
・日本の参加によりTPP全体の市場規模が拡大。
・日本のTPP交渉への参加は、日本の貿易障壁を除去する機会をもたらし、米国の対日輸出・投資を拡大させる。
・日本及びその他のTPP参加国との同盟関係を強化する重要な機会である。

[―般的指摘・要望等]
・他のTPP交渉参加国と同様、日本が包括的な協定に合意することが必要。

[個別具体的指摘・要望等]
・現時点での交渉段階にせよ合意達成後にせよ、日本のTPP参加には以下に係るコミットメント次第。
―農業、製造業(自動車、医薬品)、サービス業(急送便、保険、電気通信)の全分野に関し、除外がなく、包括的であって商業的に有意な市場アクセス
―知的財産権(著作権の保護期間、違法ダウンロードの刑事罰化、著作権等侵害罪の非親告罪化)、投資、貿易の技術上の障壁、衛生.植物検疫措置等におけるTPP全ての交渉分野にわたる規律の採用
―サプライ・チェーン、国有企業、環境物品-サービス(EGS)、規制の一貫性等の新たな野心的な規律への合意

12 Express Association of America 米国速達協会

[立場の理由]
・米国の重要な貿易相手国である日本をTPPに加えることは、全面的かつ肯定的なインパクトを持つであろう。

[―般的指摘・要望等]
・日本が高い水準の包括的協定に合意すること。

[個別具体的指摘・要望等]
・独占的な郵便サービス提供者に関連する競争促進的政策に対する日本の支持を確保することが重要。
・日本郵政の国際スピード郵便(EMS)は民間の急送便サービスと同じ態様で規制されるべき。
・EMSの価格には、全てのコストを反映すべきであり、TPPには、日本郵政が独占分野から得られた利益又は資産によって競争的なサービスを補助しないことを確保する規定が置かれるべき。
・日本は、高い水準の21世紀型協定であるTPPに参加するとの誠実な意志を示すため、日本郵政に対する差別的な優遇に対処することを要求されるべき。
・日本郵政が享受する差別的待遇は以下のとおり。
―20万円以下のEMSは税関で自ら関税等を計算し、申告する必要がない
―EMSは最初の入国地点において検疫手続を取ることを免れている
―EMSは貨物事前情報の税関への提供を免れている
―EMSを運ぶ日本郵政の車両は、実態上、駐車規制の執行を免れている

13 GE ゼネラル・エレクトリック

[立場の理由]
・日本のTPP参加は、日本及び他のTPP参加国の経済成長に大きく貢献し、また、米国企業にとって日本市場の更なる発展、透明性及びアクセスにつながる。

[―般的指摘・要望等]
日本のTPP参加は、高い水準の21世紀型協定というTPPのビジョンと一致した条件の下でなされることが必要。

[個別具体的指摘・要望等]
日本のTPPへの参加を巡る議論は、日本の市場の改革に関して、以下のような機会を提供し得る。

・エネルギー・環境分野
―発電に関する国際技術基準との調和。
―環境 物品・サービスに関する関税・非関税障壁の撤廃。
―風力発電事業の送電網への接続を決定するプロセスの明確化。
―規制が再生可能エネルギーへの不適切な障壁にならないことの確保。

・政府調達・国有企業
―入札・落札における透明性の向上。
―政府調達のプロセスに関し、産業界との対話及び市場調査の導入。
―国有企業から融資を受けるに際しての対等な競争性の確保。

・医療
―新たな機器や革新的な技術の承認の日本側内部のプロセスが引き続き開かれた公平かつ透明性のあるものであって、デバイス・ラグの解消に資するものであることの確保。

・金融
―担保付貸付に係る規制枠組みの改善及び予見可能性の向上。
―不動産金融を規律する免許体制その他関連法令における柔軟性の向上。
・労働市場における柔軟性の向上、公正取引委員会の役割の拡大。

14 Grocery Manufacturers Association 食料雑貨製造業協会

[立場の理由]
・日本はメンバー各社の重要な輸出市場であり、日本のTPP参加は、TPPの価値を大きく向上させる。

[―般的指摘・要望等]
・達成済みの合意に悪影響を及ぼすべきではない。
・交渉を大きく遅らせるべきではない。
・交渉目的の変更につながってはならない。
・新規の特別な交渉分野の提起につながってはならない。

[個別具体的指摘・要望等]
・TPPの内容に関して以下を重視。
―SPSに係る合意における科学的根拠に基づく新たなテキスト
―地理的表示(GI)の使用を明確化し、定義する新たな文言
―規制の透明性を向上させるSPS及びTBTに係る新たな文言
―規制の一貫性に関する新たな合意
・TPPに向けた二国間協議の一部として、米側が提示している食品添加物に係る合理的期間内での指定に向けた迅速なレビューに対する合意を追求すべき。

15 Information Technology Industry Council 情報技術産業協会

[立場の理由]

・TPP参加国の拡大は、米国のハイテク産業及びその従業員に利益となる。
・アジア太平洋地域の地域経済統合という長期的目標を推進する。

[―般的指摘・要望等]
・新たな交渉参加国は、既になされた高いレベルの合意及び21世紀の貿易-投資ルールの追求が支持されるような態様でTPP交渉に取り込まれるべき。

[個別具体的指摘・要望等]
・全てのTPP交渉参加国は交渉において以下の事項を取り上げるべき。
規制の透明性、認証評価、知的財産権、情報の自由な流通、サービス、暗号化製品、情報通信分野の市場アクセス改善

16 Motion Picture Association of America 米国映画協会

[立場の理由]
・日本市場は米国の映画関連産業の全般にわたり大きな輸出機会を提供している。
・日本のTPP参加はTPPの経済的重要性を大きく強化する。

[―般的指摘・要望等]
・新たな参加国を迎え入れるために、TPPの高い水準が弱められるべきではない。

[個別具体的指摘・要望等]
日本の参加に関するとりあえずの評価は以下のとおり。
・日本においては排他的な視聴率調査業者が市場から競合者を追い出し、公に比較可能なデータ無しにデータを提供している。TPPにおける競争章はこのような市場歪曲的慣行への対処への助けとなりうる。
・著作権保護期間に係る世界標準の発達に従うべき
・日本政府は、違法コピー防止に向けた取組を強化すべき
・著作権において、技術的保護手段の許諾無き回避について、刑罰化の対象とすべき。
・著作権等侵害に対する非親告罪化が重要。
・著作権及び商標権侵害に対する法定損害賠償を導入すべき。

17 National Association of Manufacturers 全米製造業協会

[立場の理由]

・参入障壁に係る長年の懸案を解決する機会となる。

[―般的指摘・要望等]

TPP交渉への新たな国の追加に際し、米国政府は以下の原則に従うべき。
・事前の除外のない包括的協定にコミットすべきである。
・合意済みのテキストを受け入れ、リオープンすべきでない。
・新たな国の追加を迎えるために、交渉が遅延されたり、又は休止されるべきではない。・新たな交渉参加国は、全ての貿易・投資障壁をテーブルに載せる意欲を持つべき。

[個別具体的指摘・要望等]

貿易・投資問題一般における)製造業の懸案事項として、以下を再度強調する。
―TPPでは、可能な限り多くの非関税障壁を撤廃し、及び新たな非関税障壁が生じることを防止すべき(特に、技術基準の設定はTBT協定と調和すべき。)。
―TPPは、全てのTPP参加国(日豪を含む)との間の投資家対国家の紛争解決を含め、投資保護に関して高い水準を確保すべき。
―(バイやプルリの通商協定で対応できる課題ではないが、)為替は市場によって決定されるべきであり、各国政府は市場に対抗するための介入や誤ったレートの維持を行うべきではないことが意識されるべき。

18 National Milk Producers 全国生乳生産者協議会
   Federation、U.S. Dairy Export Council 米国乳製品輸出連盟

[立場の理由]

・日本を追加することはTPP交渉の商業上の意義を劇的に増大させ、米国の乳製品その他幅広い農産品に新たな市場アクセスの機会をもたらす。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本がTPP交渉に参加する場合には、現在の乳製品の輸入制度よりも大幅に簡潔な制度の下での拡大された日本市場アクセスの確立が高い優先事項。
・米国は、TPP交渉を日本と進める一方で、食品添加物指定制度及び輸入証明に係る非関税障壁について、取り組むべき。ただし、いくつかの非関税障壁の存在をTPPに日本を追加するという絶好の機会を逃す理由としてはならないことが留意されるべき。
・全てのTPP参加国に関連する事項として、USTRは、検疫措置及び地理的表示(GI)に関し適切な規律の実現に向けて交渉すべき。

19[団体名・概要]
National Pork Producers Council
全米豚肉生産者協会

[立場の理由]

輸出額ベースで米国にとって最大の豚肉輸出相手国である日本を交渉に追加参加させることは、TPPの意義を強化し、TPPを一層網羅的なものとする。

[―般的指摘・要望等]
・TPPが高い水準の包括的協定であるべきことを認識し、これを受け入れる必要がある。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本において豚肉に係る差額関税制度により、日本市場で価格競争力があるはずの低・中価格の豚肉に高い関税が課されている。

20[団体名・概要]
Pharma
米国研究製薬工業協会

[立場の理由]

・日本経済の規模を踏まえれば、TPPの対象となる経済が大きく拡大する。
・生物製剤に関する規制、知的財産権保護、透明性等の分野における日本の水準の高さは、TPP交渉における米国の目標の達成にとって有益。

[個別具体的指摘・要望等]

・日本がTPP協定の交渉国となる場合には、薬価算定ルールの改革、償還に関する事項、医薬品規制改革や予防的医療やワクチン等、現在日米経済調和対話(EHI)において議論されている課題が引き続き二国間の議論及び協議の対象とされるべきである。

21[団体名・概要]
Retail Industry Leaders Association
小売産業リーダー協会

[立場の理由]

・日本、カナダ、メキシコのTPPへの参加は、経済的に意味のある市場アクセス機会をもたらし得るだけの参加国と対象範囲を有する高水準で21世紀型の貿易協定を達成する、との目標の達成に資する。

[―般的指摘・要望等]
・日本、カナダ、メキシコは、全ての分野の貿易-投資を促進する高い水準の協定という目標を支持し、これにコミットする用意ができていなければならない。
・新規参加国は、交渉妥結に向けたモメンタムを損なわない方法で参加すべき。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本との新たな貿易協定は、食料品に対する高い関税、小売業者間の価格差を生む非効率的かつ談合的な流通ネットワークの改善等、日本における小売事業展開を妨げる貿易上-競争上の障壁に取り組む機会ともなる。

22 U.S. Chamber of Commerce 全米商工会議所

[立場の理由]
・日本、メキシコ、カナダを含む重要なエコノミーの関心表明を受け、TPPは、アジア太平洋地域における貿易の新たな基準を樹立する潜在力を有している。
・農業、サービス等、主要な分野の開放から、米国の消費者、労働者、農家及びあらゆる企業は大きな利益を享受する。
・日本を追加することにより、アジア太平洋地域の地域経済統合のための一義的手段としてのTPPは更に強化される。
・日本は、投資保護、知的財産権保護の執行の強化等、TPPの枠内における共通政策目標を推進する上で米国の重要な同盟国たり得る。

[―般的指摘・要望等]
・新たな国の参加がモメンタムを遅らせないことが不可欠。
・新たなTPP交渉参加国は、既に交渉に参加している国が合意しているものと同様の水準の野心と基準にコミットする用意を示すべき。
・新たな交渉参加国の政府に対し、TPPが定める高い水準を満たすことを可能にするために必要な改革を進める政治的意志の存在を示すよう要請する。
・現在及び将来の交渉参加国は、全ての財・サービス及び貿易・投資に関する国内障壁を議論のテーブルに載せるという前提の下で交渉すべき。

[個別具体的指摘・要望等]
・関税に関し、米国は、特定の産品の除外を自らが求めたり、それを他国に許すべきではない。また、非関税障壁に関し、日本は、以下のような取り組みを積極的に進めるべき。
―工業・サービス分野全般において規制を改革し、及び規制の透明性を向上させること
―技術規格.工業標準.製品安全基準を国際的な標準及び良き慣行に一致させること
―農業及び食品安全に関し、科学的根拠に基づく国際的に認められた基準及び良き慣行に従うこと

・投資に関し、日本は、TPP協定において、透明性及び説明責任に係る原則に完全にコミットすべき。特に、公正かつ公平なM&A関連ルールを採用すべき。
・競争政策に関し、談合問題への取り組み等、日本におけるビジネス環境改善のために更なる取組がなされるべき。また、競争政策の執行手続における透明性及び適正手続に関する公正取引委員会のアプローチも、TPP協定が目指す高い水準を満たすべき。
・かんぽ生命及びゆうちょ銀行という商業市場における日本政府の巨大な利害を管理するべく改革を遂行しなければならない。かんぽ生命及びゆうちょ銀行を改革する政治的な意志は、21世紀水準の協定にコミットする日本政府の能力を試す試金石となる。
・規制の一貫性に関し、日本は、法令制定過程における透明性の水準を高め、公式・非公式の諮問過程において外国の利害関係者に有意義なアクセスを与え、また、公示及び意見募集の手続を改善すべき。さらに、規制及び標準における国際的な良き慣行を一層遵守すべき。
・貿易円滑化のための単一規制当局の指定等によるチョークポイントの撤廃にコミットすべき。
・知的財産権に関し、以下を通じて保護を一層強化すべき。
―コンテンツの保護強化(違法ダウンロードの刑罰化、著作権保護期間の延長、技術的保護手段の包括的な法的保護)
―知的財産権保護の執行の強化(著作権-商標権の侵害に対する法定損害賠償の導入等)

・政府調達に関し、外国企業のアクセスを改善するため、複数年契約等を導入し、また、可能な場合において随意契約を撤廃することを期待する。
・金融サービスに関し、かんぽ生命及び共済が享受している不公正な競争上の優位を除去し、全ての競合者が同一のルールで競争する市場において米国企業が公正に競争できることを確保することが重要。対等な競争条件の確保のための措置が取られるまでは、かんぽ生命及び共済は新規商品等の提供を許可されるべきでない。
・急送便サービスに関し、EMSに対する規制上の有利な待遇を終了させ、透明性を向上させ、通関時の待遇、検疫手続及び貨物事前情報の提供について対等な条件を与えるべき。―医療機器に関するデバイス-ラグを解消するための更なる取組が必要。
―日本がTPPに参加するためには、農業に関する貿易制限的な政策に対して取り組まなければならない。日本はセンシティブ品目の除外に関する特別な扱いを期待することはできないし、受けるべきでもない。また、TPP協定の下では、全てのTPP参加国は、正しい科学並びに国際的な基準及び慣行に基づく衛生植物検疫規制の採用を要求されることを理解しなければならない。

23 U.S. Grains Council 米国穀物協会

[立場の理由]
・日本は米国にとって4番目に大きな農産物の輸出先国。

[個別具体的指摘・要望等]
・とうもろこし輸出について、粗飼料への障壁はないが、表示規制等により混合飼料市場への参入は困難。その他、工業原料とうもろこしの関税割当、大麦のSBS輸入等についての改革を期待。
日本のTPP参加に当たっては、全ての品目を完全に自由化すべきであり、例外は認められない。

24 USA Rice Federation 米国コメ連合会

[立場の理由]
・全てのコメ関連タリフライン(の自由化)を含んだTPP協定は、米国のコメ生産者、製粉業者及び商社にとって商業的に重要な市場アクセスの機会となる。

[個別具体的指摘・要望等]
・全てのタリフラインを含むという意味での包括性があることを前提として、日本のTPPへの追加により、TPPは同協会にとって商業的に魅力的なものとなる。TPP交渉においていずれかのタリフラインを除外することは、米国にとっての利益を弱め、TPPの性格に疑問を付し、将来の参加国に「除外が可能」とのシグナルを送ることとなる。
・米国産のコメは日本の一般市場で入手可能でないため、日本の消費者に対してアクセスできず、日本において市場の開発もできない。
・残留農薬に関し、リスクに比べて高くつく検査コストは米国供給者に萎縮効果をもたらしている。科学的根拠に基づく検査方法は日本の食品安全基準を維持しつつ、不必要な検査を減少させる。また、遺伝子組換え米の混入検査に関し長粒種における偶発的な混入事案を受けて、混入事案がなく、米国内で実施している検査も発見されたことがない中短粒種に対して、検査要件が維持されているが、科学的根拠がないように思われる。

25 U.S. Wheat Associates 米国小麦協会
   National Association of Wheat Growers 全国小麦生産者連合

[立場の理由]
・日本は米国産小麦の主要な輸出先。

[―般的指摘・要望等]
・TPPという高水準な貿易協定への参加を約束する前に、日本は厳しい改革への取組を決意しなければならない。

26 Walmart ウォルマー卜

[立場の理由]
日本をTPPに追加することは、日本における同社の事業を妨げる貿易上、競争上の障壁について取り組む好機。
・日、カナダ、メキシコをTPPに追加することは、同社にとって極めて重要な経済連合を作り出す。

[―般的指摘・要望等]
全ての新規参加国は、全ての産品に及ぶ幅広い自由化を伴った、包括的かつ高い水準のTPPに合意するべき。
・新規参加国は交渉妥結に向けたモメンタムを損なわない方法で参加するべき。
・ただし、米国政府は、TPP参加を希望する日本がその意欲を損なうほどに慎重な対応を取るべきではない。
対する高関税は、同社の店舗における食料品店頭価格を著しく引き上げている。

[個別具体的指摘・要望等]
・コメ、乳製品、魚、柑橘類、肉類等の食品に非効率的かつ談合的な流通ネットワークが小売業者間の価格差をもたらしている。
・米国産リンゴに対する厳格な検疫手続が店頭における保存期間を縮め、輸出を著しく阻害している等、絶えざる非関税障壁が米国の対日輸出を妨げている。

27 Western Growers 西部生産者協会

[立場の理由]
・日本の参加は輸出拡大の大きな可能性となる。

[個別具体的指摘・要望等]
USTRに以下の不公正な貿易障壁に取り組むことを要求する。
・柑橘の関税が負担(季節に応じ10?32%)。
・日本に輸出されるレタスの25%が検査でくん蒸対象となっているが、多くは日本既発生の病害虫の検出を理由としたもの。
・1業者から基準を超える残留農薬が検出されると、当該業者が100%検査となるだけでなく、品目全体のサンプル率が上がり、不公正な費用が発生
・農作物を保護する化学物質の暫定基準について、日本は米国と協働し、早期に残留基準値を設定すべき。

28 Wine Institute ワイン・インステイテュー卜

[立場の理由]
・日本はワインに対して15%の高関税を課しているため、日本とのTPP交渉は、同業界にとって、日本とFTAを締結しているチリ産ワインや、多額の補助金を受けているEU産のワインに対する価格競争を維持するために死活的に重要。

[個別具体的指摘・要望等]
・米国産ワインに対する関税の撤廃。
・米国のワインブランドに対する知的財産権の保護。
・規制及び規制の変更に係る透明性の改善。
・複雑かつ高コストな税関手続の改善。

29 World Wide Fund for Nature 世界自然保護基金

[立場の理由]
・日本市場の重要性や、政治-経済力を考えれば、日本の参加はTPPの範囲を拡大する可能性。

[―般的指摘・要望等]
・TPPではTPP参加国における環境維持と野生生物保護の強化のための強い原則と規則を定めることが重要であり、新規参加国はこれらの義務を満たす用意がなければならない。

[個別具体的指摘・要望等]
・TPP交渉で漁業補助金、マグロやフカヒレなどの漁業資源の乱獲、違法伐採等に対して取組むべき。

(別添2)我が国の関心表明に対する否定的な意見(主たる意見のポイント)

1 American Automotive Policy Council (AAPC) 全米自動車政策評議会

[立場の理由]
・日本の自動車市場は先進国の中で最も閉鎖的であり、その改善は容易でないため、日本の交渉参加は交渉の遅延につながる。
・日本の参加は、米国の製造業と雇用を犠牲にして、日本の輸出依存体制を温存させることになる。
・日本との間のFTAは、日米自動車貿易の一方的な関係を固定化するのみ。
―TPP交渉妥結前に日本が交渉参加すれば、TPP協定が高い水準のものとなることが著しく遅延する。
・日本にのみ利益をもたらすFTAは、米国の主要輸出産業たる自動車産業の足かせとなり、追加投資を妨げ、雇用創出も妨げる。

[一般的指摘・要望等]
・日本は、TPP交渉参加の前に、自動車市場を輸入車に開放する複数年に亘る約束を示すべき。

[個別具体的指摘・要望等]
-21世紀のFTAたるTPP協定には、為替操作の取り扱いに関する基準を設けるべき。
・日本の自動車の技術基準及び認証手続は(国際標準と)完全には調和しておらず、日本に輸出される自動車に対して大幅な開発-製造コストがかかる。
・日本の自動車関連規制及び規制の策定過程は閉ざされており、公開された時には既に制度が固まっているため、変更提案は難しく、ほとんど受け入れられない。この完全な透明性及び提案容認の欠如によって輸入自動車メーカーの間で予測不可能であるという感覚が広まっている。
・日本において国内生産者のみが利益を受けている軽自動車規格に対する特別な待遇は廃止すべき。

2 AFL-CIO 全米労働総同盟産業別組合会議

[立場の理由]
・交渉中のTPP協定は未知の点が多いため、労働者に与える影響等について見解を示すことは困難。
・自動車関税の撤廃は対日自動車貿易赤字を拡大させ、日本メーカーが米国内で生産するインセンティブを減少させる。不適切な形で日本がTPP協定交渉に参加する場合には、米国経済及び労働者への利益がなく、日本に一方的に利益を与えることにもなり得る。
・仮に適切な交渉がなされれば、TPP協定が貿易均衡を改善し、対日輸出の増加によって(米国内に)雇用を創出する可能性があるが、その実現性は大変疑わしい。
NAFTA等のFTAによる雇用創出効果の見積もりも不正確だった。

[一般的指摘・要望等]
・(自動車分野を例に挙げて、)日本の非関税障壁(為替操作、排他的な「系列」の取り決め等を例示)への対処が必要(具体的指摘はなし)。
・日本は貿易協定による利益を確保する前に、自動車分野における持続的な市場改革を行なうべき

[個別具体的指摘・要望等]
・日本のTPPへの加盟に係る意志決定には、下記の諸点に関する影響について回答が必要。
―グローバル・サプライ・チェーン
―国有企業を国内的に規律することに向けた各国の取組
―為替介入に対する対応
―国内の雇用及び賃金水準

3 International Union, United Automotive, Workers of America(UAW)全米自動車労働組合

[立場の理由]
・米国の労働者に真の利益を与え、国内生産を増加させ得る協定を作り出し、交渉する能力を米国交渉担当者が示さない限り、日本、メキシコ、カナダその他各国への参加国の拡大は時期尚早であり、懸念。

[一般的指摘・要望等]
・米国交渉者は、TPPによって既存の対日貿易赤字を悪化させたり、投資を促進させたり、失業を助長したり、賃金格差を拡大したりすることのないようにするべき。
・日本との経済関係の規模に鑑み、二国間の貿易問題はTPPの枠外で取り組まれることが望ましい。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本の不公正な為替操作や、根深い非関税障壁により、深刻な二国間自動車貿易の赤字が引き起こされている。
・日本には自動車市場の開放に関する持続的かつ複数年にわたる実績の確立を要求すべき。

4 Generic Pharmaceutical Association ジェネリック医薬品連合

[立場の理由]
・日本の交渉参加はTPP協定交渉妥結を遅延させ、または妨げる。

[一般的指摘・要望等]
・日本の医薬品市場は米に次ぐ世界2番目の規模だが、日本のジェネリック医薬品市場は未発達で、潜在性が高い。かかる機会を有効活用するためには、TPP協定は適切な手段ではない。
・米国とこの重要な市場との間の特別な関係に対処するためには、日本との間の貿易交渉はTPPとは切り離して行うべき。

[個別具体的指摘・要望等]
・後発医薬品企業は、市場参入に際し、承認申請の審査の深刻な遅れなど、数多くの障壁に直面。
・米国が推進する交渉においては、ジェネリック医薬品の参入に更なる障壁となる高い水準の知的財産権保護の追求よりも、技術革新の促進とジェネリック医薬品への消費者の速やかなアクセスとのバランスを図るべき。

5 Maine Citizen Trade Policy Commission メイン州市民通商政策委員会

[立場の理由]
・日本のように大きな経済規模を有する国がTPP協定に参加することは、TPP協定の元々の目的からの乖離及び州の主権と既存の貿易関係に対する脅威であり、また、州が意味ある形で意見を出す機会もなく、規制や調達政策にかかる州の主権を減じることになる。
・TPP協定の下での紛争処理手続では、州による規制の弁護をUSTRが行うため、州の主権に壊滅的な打撃が与えられかねない。目で見える物品の貿易を超えて非貿易的な規制及び慣行を対象とする最近のFTAは、州固有の権限の侵害である。

6 全国農業協同組合中央会(JA全中)

[立場の理由]
・例外なき農産物関税の撤廃が行われれば、日本農業が壊滅的な影響を受け、日米両国の友好関係を損なう。
・酪農や食肉の国内生産が大幅に減少すれば、米国産大豆・トウモロコシなどの飼料の日本による輸入も減少する。
・国境地帯の農業や関連産業が打撃を被れば、これら地域に安全保障上の問題を引き起こすおそれがある。
・日本の食料輸入の増加により、世界の飢餓・栄養不足人口が大幅に増加する。
・例外なき関税撤廃や国内規制の厳格な統一は、アジア太平洋地域の共通目標の達成に資するものではない。

[一般的指摘・要望等]
・日本がなすべき最大の優先課題はTPP交渉ではなく、東日本大震災からの復旧-復興と福島で起きた原発事故の早期終息。

7 Kiyomi Fukuhara 新潟県在住

・日本のTPP参加に強く反対。日本のことは日本で決定したい。

8 Makiko Tasaki, Tasaki Houmu Office 茨城県在住の日本人行政書士

・日本国内で1,100万人ものTPP反対署名が集まっている。協定条文案も知らされずに、参加を強制されるべきではない。

(別添3)我が国の関心表明に対する態度不明な意見(主たる意見のポイン卜)

1 National Cattlemen’s Beef Association 全米肉用牛生産者・牛肉協会

[立場の理由]
我が国の参加に関して態度を明確にしていない。

[一般的指摘・要望等]
・全てのTPP参加国は、国際的に認知された正しい科学に基づく衛生植物検疫措置という、最高水準を遵守することに合意すべき。

[個別具体的指摘・要望等]
・日本がTPPに参加するためには、日本は、まず、牛肉輸入に関する月齢制限を緩和することにより、より高い水準を遵守するとの意欲を示すべき。

以上

日本の首相、戦争に備える

wsws.org

2013年3月5日

先週、日本の安倍晋三首相が、島を巡る中国との紛争で、自分の強硬な立場を正当化する為に、フォークランド戦争の例をあげたのは、新たな恐ろしい世界的紛争の断層線が、アジアでひかれつつあるということの身も凍るような警告だ。

安倍首相は、1982年、アルゼンチンに戦線布告する元イギリス首相マーガレット・サッチャーの冷笑的論拠の発言“国際法が力の行使に勝たなくてはならない”を引用した。彼女は、南大西洋にある大英帝国のささやかな名残を確保するため、イギリス軍を、双方の側で何百人もの命を失った血なまぐさい争いに派兵したのだ。

安倍首相の発言は、日本では尖閣、中国では釣魚として知られている東シナ海にある無人の岩だらけの複数の露頭を巡る支配権を守るため、彼の政権は中国と戦争をする用意があるという、まぎれもない宣言だ。

大変危険なことなのは明白だ。アルゼンチンとは違い、中国は大国で、核兵器を保有し、益々高度化しつつある大軍をもっている。日本と中国間のいかなる武力紛争も、手に負えない状況となり、 他の大国、特に、既に列島を巡る戦争で、東京を支持するつもりだと述べたアメリカ合州国を巻き込むようになりかねない。

これらの緊張をかき立てている主な責任は、2009年以来、潜在的な経済・軍事上のライバルとしての中国を弱体化させることを狙って、アジア中で、外交的、戦略的攻勢を展開しているhオバマ政権にある。オバマの“アジア回帰”が、アメリカの同盟諸国と戦略的パートナー達に、中国に対して、より強固な姿勢をとるよう元気づけ、朝鮮半島や、南シナ海の領海紛争や、国境を巡るインドと中国の間の未解決の紛争を含め、地域の多くの潜在的火種を煽ったのだ。

資本主義の世界的破綻の悪化が、この軍国主義の爆発を推進している。20年間、アメリカ帝国主義は、軍事力を利用して、衰退を埋め合わせようと、必死の試みを行っている。アジアへと焦点を移動することで、オバマは、核兵器保有国間の紛争を誘発する脅威をもたらし、計り知れない程リスクを高めたのだ。

右派国粋主義者の安倍首相は、その間に日本が世界第二位の経済大国の地位を中国に奪われた、20年間の経済停滞を終わらせることを目指して、同様な戦略を追求している。彼は経済的、軍事的手段の両方によって、日本帝国主義の利益を擁護できる“強い日本”を作ると固く決意している。

新たに選出された安倍政権は、戦後日本の“平和主義”憲法に拘束されない、軍強化の計画を素早く実施している。同時に、円安で、日本のライバルを犠牲にして輸出を増加させるという、アメリカ連邦準備金制度の“量的緩和”に似た積極的通貨政策を採用した。

安倍首相のフォークランド戦争への言及には、もう一つの不穏な警告が含まれている。南大西洋で戦争をするというサッチャーの決断は、イギリスの力を世界の舞台で示すことを狙っただけではなかった。彼女が後に“内部の敵”と述べるようになる、イギリス労働者階級にも向けられていたのだ。以前、彼女の市場原理志向の企みに対する労働者の抵抗を潰し損ねていた為、サッチャーは、労働者階級に対する正面攻撃に備えるべく、労働党の支持を得て、国粋主義と、好戦的愛国主義を煽り立てる為、フォークランド戦争を利用し、ついには、1984-85年、イギリス坑夫ストライキの敗北に終わった。

同様に、安倍首相の“強い経済”という野望は、日本の労働者階級の社会的立場に対する総攻撃を必要としているのだ。世界中の支配階級同様、日本の支配階級は、悪化する世界的な経済破綻の重荷を、海外のライバルと国内の労働者に負わせることを狙っている。既成政治勢力全てが固執している、日本の愛国主義と軍国主義の促進は、わずかに残された日本の“終身雇用”制度と、限定された福祉国家攻撃の為に必要な準備だ。

日本軍国主義の復活は、1930年代の戦前期と、歴史的に深く共鳴している。大恐慌の際、日本資本主義は、世界貿易の崩壊で、特に影響を受けやすかった。市場と原材料獲得を目指して、日本帝国主義は、1931年、満州を占領する為に戦争を始め、1937年には、中国本土に侵略した。国内では、軍国主義政権が、耐え難い社会条件に対する労働者階級のあらゆる抵抗を粉砕するための手段、警察国家体制を作り上げた。

日本のどの政党も、その代表をしていない、労働者と若者の間の、日本軍国主義に対する根深い敵意には、歴史的なルーツもある。選挙中、日本共産党を含め、全ての既成政治勢力は、なんらかの形で、日本帝国主義の尖閣列島領有の主張を支持し、安倍と右派である自由民主党が権力の座につくのを可能にしてしまった。

中国共産党政権は、経済危機と、国内で高まる社会的緊張から注意を逸らすため、有害な国粋主義をかき立てるという手段を用いている。昨年9月の尖閣/釣魚列島を“国有化する”という東京の決定に対応して、北京は、日本人と企業を攻撃した反日抗議運動に許可を与えた。中国マスコミは、次第に中国の軍事能力についてコメントし、日本との全面戦争の結果を憶測する専門家達が牛耳るようになっている。

少なからぬ政治評論家達が、東アジアにおける現在の緊張と、第一次世界大戦に至ったバルカン諸国での紛争との間の、不気味な相似に言及している。アジアなり、世界の他の場所なり、どこで引き起こされようと、第三次世界大戦に向かって押し流されているのは、資本主義の解決不能な矛盾の産物だ。一つは、世界経済と、時代に遅れた国民国家制度との間の矛盾、もう一つは、私有財産と、社会化された生産との間の矛盾だ。

戦争の惨害を終わらせることができる唯一の社会勢力は、歴史的に破綻した自由企業制度を終わらせるための統一闘争をおこなう労働者階級だ。日本と中国、そして世界中の労働者は、東シナ海のわずかな数の、荒涼とした岩だらけの小島を巡る紛争には何の関心もない。労働者達の未来は、ごく少数の裕福なエリートの利益ではなく、大多数の人間の社会的要求に合致するように組織された、世界的に計画される社会主義経済の樹立を目指す戦いにある。

Peter Symonds

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/03/05/pers-m05.html

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この記事、参勤交代前、対中国姿勢の異様に高揚したトーンが目立っている時期の話。

TPP力をいれて「交渉します」という垂れ流しに報道機関はいらない。大本営広報機関。既に決まったことには口をだせない。交渉できる機会は限られている。シンガポール・ラウンドでのスクープで明らか。もちろん、そのスクープ、大本営広報部は伝えない。

丸飲みするのを、そうでないがごとき、ポーズをとっているのみの茶番報道。大本営広報洗脳からの覚醒の為、是非こちらを。IWJが迫ったTPP問題

福島第一、電源停止燃料プールの冷却装置停止。大変な緊急事態。TPP加盟やら、軍事費予算増加やら、原発再開やら、憲法破壊やら、オリンピック招致より、まずは今の原発事故対策の本格化・見える化が先だろう。もちろん、除染等ではなくて。

日本の支配階級、本当にオウムどころではない、異常なカルト集団。オウムとちがって、政・官・財・学・マスコミ・労の全支配機構集団が団結して仲間褒め。

参勤交代帰国以来、中国との紛争をあおる報道、心なしか減ったような気がする。大本営広報、真面目に見たり、読んだりしていないので、気のせいか?

フォークランドの話をしている暇があるなら、「戦争絶滅受合法案」をこそ導入しろ、と思ったものだ。この「戦争絶滅受合法案「犠牲のシステム福島・沖縄」の中にも再三でてくる。前世紀の始めデンマークの陸軍大将フリッツ・ホルムが考えたもの。

戦争が開始されたら、10時間以内に、
次の順序で最前線に一兵卒として送り込まれる。

それは、下記の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わせること。

第一 国家元首(君主または大統領)
第二 その男性親族で、16歳に達した者
第三 総理大臣、各国務大臣、並びに次官
第四 国会議員。ただし、戦争に反対の投票をした者は除く
第五 戦争に反対しなかった宗教界の指導者

原発も同じ。導入を決めた幹部連中こそ最前線に出るべき。大勲位氏を先頭に。

もちろん、自国民を平然と侵略戦争に投入し、軍人でない民間人ですら戦火にさらしてきた連中の末裔か、お仲間の権力者連中、そういう発想皆無。文字通り人を食い、殺して生きる人々。「わが国民を食らうサトゥルヌス」。そういう連中が4/28売国記念日を慶賀する。

殺されても、なぶられても、これから締め上げられるのをご存じなのか、そうでないのか知らないが、忠実に売国奴に投票する恐るべき人々が多数であるかぎり、地獄は続く。

2013年3月18日 (月)

行方不明の経済回復

Paul Craig Roberts

2013年3月1日

公式には、2009年6月以来 アメリカ経済は、2007年12月の不況から経済回復しつつあることになっている。だがこの回復、一体どこにあるのだろう? 私には見つけられないし、何百万人もの失業したアメリカ人も、そうだ。

景気回復は、実際よりも少なくされたインフレ指標で、値が小さめにされた公式実質GDP指標と、仕事を探すのをあきらめた求職者を計算に入れない為に、小さくなった失業率指標U.3に存在しているにすぎない。

他のデーターで経済回復を示すものはない。実際の小売売り上げも、住宅着工件数、消費意欲、就業者数、或いは平均週間収入も、経済回復を示してはいない。

連邦準備制度の通貨政策もそうではない。連邦準備制度の、マイナス金利を維持する為の債権購入という拡張的貨幣政策は、回復へ向かう中、3.5年も続いている。もちろん、連邦準備制度のマイナス金利の狙いは、経済を押し上げることではなく、“大きすぎて潰せない”銀行の帳簿の資産価値を押し上げることだ。

低金利は、退職者の預金口座、公社債投資信託や米長期国債の利子収入を犠牲にして、銀行のバランス・シート上の不動産担保デリバティブや他の債務に係る資産の価格を押し上げている。

回復はなく、アメリカ人の雇用機会もないのに、議会の共和党は、大企業が就労ビザで雇用できる外国人の人数を増やす法案を発案している。企業は十分に能力のあるアメリカ人を見つけることができないのだと主張している。これは絶えず聞かされ続けている最も見え透いた嘘の一つだ。

外国人雇用は、労働力に対する追加ではなく、置き換えだ。大企業は、アメリカ人従業員に外国人を教育訓練させ、それからアメリカ人従業員を解雇する。もし熟練従業員が不足していれば、レイオフなど無いだろう。更に、もし熟練者が不足していれば、給料は下がるのでなく、上がるだろうし、2011年にエンジニアリングの博士号を得て卒業した人々の36%が失業したままになってはいるまい。全米科学財団の報告書“アメリカの大学の学位取得者”によれば、エンジニアリング博士号をもった卒業生のわずか64%しか就職できていない。

長年にわたり、様々な機会に報告してきた通り、従事者雇用統計も、労働統計局の雇用予測も、大学卒業生の雇用機会を表してはいない。しかしそれでも、選挙キャンペーンへの献金と引き換えに、議会は、アメリカ企業がアメリカ人従業員を解雇する手助けをするのを止めようとはしない。

そう遠くない昔、アメリカの大企業が、従業員、顧客、納入業者、企業が立地しているコミュニティー、そして株主に対して、義務を負っていることを認めている時代があった。今日、彼等は株主に対する義務しか認めない。それ以外の全員が、利益を最大化し、株主のキャピタル・ゲインと幹部のボーナスを増やす為に犠牲にされている。

是が非でも利益にこだわることで、大企業はアメリカの消費者市場を破壊している。雇用を外国に移すと、人件費が下がり、利益は増えるが、国内消費者所得も引き下げるので、その企業の製品の国内市場も縮小する。しばらくの間は、消費者所得の減少は、消費者の借金で埋めることはできるが、消費者が債務限度に達すれば、売り上げは増え続けられない。雇用を外国に移した結果は、国内消費者市場の破壊だ。

現在、株式市場が高いのは、売り上げ収入拡大による利益のせいでなく、人件費削減によるものだ。

アメリカの経済政策は、本当の問題と、そうした問題の結果、つまりアメリカの莫大な財政赤字から、注意をそらせてきた。突つかれたい利益集団など存在しない為、1兆ドル、プラス毎年の財政赤字に議会は対処できず、その継続が、ドル崩壊とインフレの懸念を高めている。

ジョン・メイナード・ケインズが大昔に明らかにしている通り、緊縮政策で、GDPに対する負債の率を引き下げようとしても、現在のギリシャの様に、うまくは行かないのだ。

世界の国々の中でも、アメリカは特別な立場にある。アメリカには、政府赤字に資金提供するのに必要なお金を与える中央銀行があるだけではなく、そのお金、アメリカ・ドルは、あらゆる国々の間の国際勘定を清算するのに使われる世界の準備通貨でもあり、それゆえ、常に需要があるのだ。ドルは、こうして世界の国際取引通貨であり、また黒字分をアメリカ長期国債や、他のドル建て資産に投資する貿易黒字の国々にとって、価値の保存先にもなっている。

ドルに交換価値(ドルの外国通貨での値段)を与える、準備通貨という立場がなかったなら、連邦準備制度の長年の量的緩和で生み出されるドル量の莫大な増加は、ドルの交換価値低下を引き起し、利子を上げ、インフレ昂進を招いていただろう。私が政府で働いていた頃から、アメリカは輸出依存経済になっているが、輸出依存経済は、通貨が交換価値を失えば、国内インフレに見舞われやすいのだ。

要するに、大企業が利益にばかりこだわり、アメリカの所得を、アメリカ国民が消費する商品の製造やサービスと切り離してしまい、国内消費者市場を弱体化させ、究極的に破壊してしまったのだ。連邦準備制度が、愚かな規制撤廃によって、“大きすぎて潰せな”くしてしまった銀行の救済にばかりこだわることが、マイナス金利の債券市場バブルと、供給量の大幅な増大に並行して、ドル為替レートが低下しないという、ドル・バブルとを生み出した。大企業と連邦準備制度とが、労働の鞘取り(より安い外国労働力による、アメリカ労働力の置き換え)で得た利益と、連邦準備制度が彼等に提供しているお金で投機する銀行のおかげで、株式市場バブルを生み出したのだ。

この状況は維持困難だ。遅かれ早かれ、何かでこのバブルははじけるだろうし、その結果はすさまじいものになるだろう。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/03/01/the-missing-recovery-paul-craig-roberts-2/

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必読情報満載のブログ「カレイドスコープ」に既に同一文の翻訳が掲載されている。枯れ木も山の賑わいで拙訳を掲載する。後出し翻訳だが、先行翻訳を参考にさせて頂いたわけではない。翻訳を終えてから気がついた。知っていれば翻訳中止していたろう。

アベノミックスで、日本経済は、20年来年の不況から回復しつつある「ことになっている」。だがこの回復、一体どこにあるのだろう? 私には見つけられないし、何百万人もの失業した日本人も、そうだ。

大本営広報部、株の値上がり、輸出大企業のボーナス増を慶賀している。

株価表示板の前で値上がりを嬉しそうに語る皆様。満額ボーナスを家族サービスに使いたいとおっしゃる方が繰り返し報じられる。

小生、株値上がり、ボーナス増とはほとんど縁がない。上がる灯油や他の物価の影響は受けている。

「朝三暮四」という話を、高校漢文の教科書で読んで深遠な哲学に驚いた。

今の「朝三暮四」状況。アメが全員に行き渡るかのような幻想を振りまいて、参院選挙で、売国奴連中が大勝するための作戦だ。大勝した後で、牙をむく。嘆いてもあとの祭り。地獄への道をまっさかさまに落ちて行く。

この道は、いつかきた道。

必読書「新版悪夢のサイクル」ネオリベラリズム循環 内橋克人著 2009/3/10

72ページを引用させていただこう。

1990年代半ば以降の政策変更の中で、「規制緩和」「税制のフラット化」「資本行動の自由化」という三つの政策の変化が、日本社会における格差の拡大に大きな影響を及ぼしました。問題は、なぜ、年収600万円以下という日本の大多数(2006年現在で約八割)が、こうしたみずからの首をしめるような政策変更を受け入れたか、ということです。

そこにはさまざまな理由がありますが、主だった要因を挙げるならば、
一つには「『規制緩和』を戦後の官僚支配を打破する特効薬と錯覚したこと」、
二つめには、「学者をメンバーにいれた一見中立にみえる政府の審議会、あるいは首相の私的(!)諮問委員会の口あたりのいいキャッチフレーズにまどわされたこと」、
三つめには「これら審議会の意見を大きくアナウンスした大マスコミの存在」、
そして四つめには「小選挙区の導入」があげられるでしょう。

『規制緩和』を良いものと錯覚させられたのは、三つめの大マスコミによるものだ。

つまり、大マスコミと小選挙区が、日本の地獄スパイラルに大貢献しているわけだろう。
この威力、昨年末の衆議院選挙で、しっかり示された。
みんな、やら、維新やら、自民党右翼別動隊に過ぎない連中を、崩壊する民主党に代わって強力に推進した大マスコミの宣伝が功を奏して躍進した。

支配体制の中で、正式に大本営広報部として活動するマスコミの本質、ブログ『独りファシズム』の記事Night Porter にも、詳細に書かれている。

同じ条件は全くかわらず、むしろ大マスコミ・プロパガンダが一層強化されている現状では、参議院選挙の結果は見えている。千葉知事選が証明している。完全消滅すべき売国集団、自民、維新、公明、みんなが優勢。

一度没落の道を滑り落ち始めたら、地獄の底に落ち続けるのだろう。

まともな家、地方、会社、国を作り上げるのは、適切な計画と、長年の地道な努力が必要だが、小泉・竹中郵政破壊でみられるように、壊すのなら、誰でも短時間にできる。

明治維新、日清戦争、日露戦争、満州事変、真珠湾攻撃、一体どこの時点で、この国、完全植民地となる引き金を引いたのだろう。

TPP、増税、原発再稼働、憲法破壊、ショック・ドクトリン施策総動員体制。1%が、99%に戦争をしかけている。『ゆきひろ社会科日記』階級闘争である①も同じお考えだ。

歴史は繰り返す。何度目も悲劇。繰り返させる側から見れば、喜劇だろう。他国の富をまんまと収奪する連中から見れば。

2013年3月17日 (日)

如是我聞・売国経

私はこのように彼から聞いた。

本日、TPP/環太平洋パートナーシップ協定に向けた交渉で売国する決断をいたしました。その旨、交渉国に通知をいたします。

国論を二分するこの問題について、私自身、数多くの様々な御意見を承ってまいりました。そうした御意見を十分に吟味した上で、本日の売国決断に至りました。なぜ私が売国するという判断をしたのか、そのことを国民の皆様に御説明をいたします。

今、地球表面の3分の1を占め、世界最大の海である太平洋がTPPにより、一つの巨大な搾取経済圏の内海になろうとしています。TPP交渉には、太平洋を取り囲む11か国が売国をしています。TPPが目指すものは、主として宗主国多国籍大企業が、太平洋を自由に、モノやサービス、投資などで行き交う海とすることです。世界経済の約3分の1を占める大きな搾取経済圏が生まれつつあります。

占領開始直後の昭和24年。焼け野原を前に、戦後最初の通商白書はこう訴えました。「通商の振興なくしては、経済の自立は望み得べくもない」。その決意の下に、我国は管理された貿易体制の下で、繁栄をつかむ道を選択したのであります。1955年、アジアの中でいち早く、世界の貿易を推進するGATTに加入しました。輸出を拡大し、日本経済は20年間で20倍もの驚くべき成長を遂げました。1968年には、アメリカに次ぐ、世界第2位の経済大国となりました。

そして今、日本は大きな壁にぶつかっています。少子高齢化。長引くデフレ。我が国の宗主国貢献と、新自由主義志向が強まってしまったのではないでしょうか。アメリカと欧州の多国籍巨大企業は、お互いの経済連携協定の交渉に向けて動き出しました。韓国はアメリカとFTA協定を結び悲惨な属国状態になっています。更に日本がTPPでカモにならなければ、宗主国は搾取の可能性がありません。宗主国企業も日本に投資することはないでしょう。優秀な詐欺師も集まりません。

TPPは日本の「未来の地獄」を約束する枠組みです。

非関税障壁を撤廃した場合の効果については、今後も、省庁ばらばらではなく、政府一体で取り組んでいくための一つの土台として試算を行うこともできません。全ての非関税障壁をなくした前提を置いた場合、我が国経済には、全体として莫大なマイナス効果が見込まれています。

試算では、農林水産物の生産は大幅に減少することを見込んでいます。しかしこれは、非関税障壁は全て即時撤廃し、国内対策は前提としないという極めて単純化された仮定での計算によるものです。今後の交渉によって我が国のセンシティブ品目への特別な配慮など、あらゆる努力により、悪影響を最小限にとどめたいのは当然ですが、保証はできません。

今回の試算に含まれなかったさらなるマイナス効果も想定されます。世界経済の3分の1を占める搾取経済圏と連結することによる投資の活性化、ISD条項によるぼったくり等の効果も、更に吟味をしていく必要があります。

TPPの意義は、宗主国大企業への経済効果だけにとどまりません。日本は宗主国である米国とともに、新しい経済圏をつくらされます。そして、大資本の自由、1%の為の民主主義、基本的人権侵害、法の支配の崩壊といった普遍的価値が異常な国が加わります。こうした国と共に、アジア太平洋地域における新たなルールをおしつけることは、日本の損害となるだけではなくて、必ずや世界に損害をもたらすものと確信をしております。

さらに、共通の経済秩序の下に、こうした国々と経済的な相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく迷惑をかけることは間違いありません。

日本と米国という二つの経済大国が参画してつくられる新たな搾取経済秩序は、単にTPPの中だけのルールにはとどまらないでしょう。その先にある東アジア地域包括的経済連携/RCEPや、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏/FTAAPにおいて、強奪ルールづくりのたたき台となるはずです。

今がラストチャンスです。この機会を逃すということは、すなわち、宗主国が世界のルールづくりから取り残されることにほかなりません。「TPPが日本の永久没落の幕開けとなった」。後世の歴史家はそう酷評するに違いありません。アジア太平洋の世紀。その中心に日本の脱け殻は存在します。TPPへの売国はまさに国家百年の計であると私は信じます。

残念ながら、TPP交渉は既に開始から2年が経過しています。既に合意されたルールがあれば、遅れて売国した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実です。宗主国にとって残されている時間は決して長くありません。だからこそ、1日も早く売国しなければならないと私は考えました。

日本は世界第3位の経済大国です。一旦売国すれば必ず重要なプレイヤーとして、新たなルールを押しつけてもらうことができると私は確信をしております。

一方で、TPPに様々な妄想を抱く方々がいらっしゃるのは当然です。だからこそ先の衆議院選挙で、私たち自由民主党は、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPPに参加しない」と明確にしました。そのほかにも国民皆保険制度を破壊するなど五つの判断基準を掲げています。私たちは宗主国支配層国との約束は必ず守ります。そのため、先般オバマ大統領と直接会談し、TPPは聖域なき非関税障壁撤廃を前提とすることを確認いたしました。ISD条項等については、全く話題にしていません。そのほかの五つの判断基準についても交渉の中でしっかり譲る決意です。

交渉力を駆使し、宗主国の代理として守るべきものは守り、攻めるものは攻めていきます。宗主国の国益にかなう最善の道を追求してまいります。

最も大切な宗主国の国益とは何か。日本には世界に誇るべき国柄があります。息を飲むほど美しい田園風景。それを壊滅します。日本には、朝早く起きて、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合いながら五穀豊穣を祈る伝統があります。それをなくします。自助自立を基本としながら、不幸にして誰かが病に倒れれば村の人たちがみんなで助け合う農村文化。その中から生まれた世界に誇る国民皆保険制度を基礎とした社会保障制度。これらの国柄全てを私は断固として破壊します。

基幹的農業従事者の平均年齢は現在66歳です。20年間で10歳ほど上がりました。今の農業の姿は若い人たちの心を残念ながら惹き付けているとは言えません。耕作放棄地はこの20年間で約2倍に増えました。今や埼玉県全体とほぼ同じ規模です。我々が推進した原発の事故でその何倍もの面積が、汚染され、本来は人の住めない地域になりました。当然、農地も大きく減りました。このまま放置すれば、農村を守り、一見美しいふるさとを守ることはできません。帰還いただくべく、許容線量を緩和します。ゼネコン支援の除染という無意味な行為も拡大します。汚染地域からの脱出は何としても阻止します。

これらはTPPに売国していない今でも既に目の前で起きている現実です。貧しい国々の若者たちが将来に夢を持って出稼ぎ・移民にこられるような農業、農村を作り出さなければなりません。

日本には四季の移ろいの中できめ細やかに育てられた農産物があります。豊かになりつつある世界において、原発事故の影響を受けた日本の農産物の人気が危うくなることは間違いありません。TPPで、残留農薬や遺伝子組み換えの問題がある農産物・肉や乳製品など食品がなだれ込みますが、国産品より放射能は少ないはずです。

大分県特産の甘い日田梨は、台湾に向けて現地産の5倍という高い値段にもかかわらず、輸出されています。北海道では雪国の特徴を活かしたお米で、輸出を5年間で8倍に増やした例もあります。もちろん例外です。攻めの農業政策により、大企業経営による農林水産業の競争力を高め、輸出拡大を進めることで成長産業にしたいと思います。TPPはピンチ、ひたすら深刻なピンチであります。

その一方で、中山間地などの条件不利地域に対する施策を、更に充実させることも当然のことで、東日本大震災からの復興への配慮で、ゼネコンを潤し、大企業の農・漁業参入を推進します。

農家の皆さん、TPPで売国すると日本の農業は崩壊してしまうのではないか、そういう当然の不安の声を、これまで数多く伺ってきました。私は、皆さんの不安や懸念をすっかり忘れて交渉に臨んでまいります。あらゆる努力によって、日本の「農」を守り、「食」を守りたいという不可能な妄想はしていないことをここでお話します。

非関税障壁を失ってしまうのではないかという指摘もあります。しかし、TPPは日本だけが一方的に交渉結果に基づいて非関税障壁を削減するものであって、宗主国は全く非関税障壁は削減しません。そのほかにも様々な懸念の声を耳にします。交渉を通じ、こうした御意見をしっかり絶滅していきます。そのことを誤解いただくためにも、国民の皆様には、今後状況の進展に応じて、丁寧に偽情報を提供していくことをお約束させていただきます。

その上で、私たちが本当に恐れるべきは、恐れをもたず無茶をすることではないでしょうか。地獄に飛び込むことをためらう気持ち、それ自身です。私たちの次の世代、そのまた次の世代に、将来に希望を持てない「属国日本」を残していくために、共に前に進もうではありませんか。

本日、私が決断したのは売国の入り口に過ぎません。まさに入口に立ったに過ぎないのであります。宗主国の国益をかけた売国はこれからです。私はお約束をします。宗主国の主権は断固として守り、交渉を通じて宗主国の国益を踏まえて、宗主国に最善の道を実現します。
私からは、以上であります。

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チャベス大統領の有名な国連演説の中に、「精神科医を呼んで、昨日、米国大統領が行なった声明を分析してもらうべきでしょう。」というくだりがあったのを思い出した。

原文は精神鑑定にある。

 

Nihongaaru

大本営広報洗脳からの覚醒の為、是非こちらを。IWJが迫ったTPP問題

アメリカのNGO、ロシアから撤退

wsws.org

David Levine

2013年2月26日

過去二カ月の一連の出来事は、米露関係の著しい悪化を示している。アメリカのヒラリー・クリントン国務大臣と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が、2009年3月共同発表して大きな話題になった両国関係の“リセット”が、はかないものであったことが明らかになった。

昨年末、バラク・オバマ大統領は、マグニツキー法に署名して成立させた、法案は、イギリスの海峡チャンネル諸島のガーンジー島に籍を置く国際金融会社エルミタージュ・キャピタル・マネージメントの弁護士、セルゲイ・マグニツキーにちなんで名付けられた。エルミタージュ社幹部とロシア政府幹部の間の仲たがいの結果、前者が、脱税と税金詐欺で告訴された。マグニツキーは裁判無しで、ロシアの獄に、ほぼ一年間拘留され、その間に病気になり、適切な医療を拒否された結果、2009年末に亡くなった。

ロシア刑事司法制度の下でのマグニツキーの扱いは、彼の基本的権利を侵害していたとはいえ、ロシア、あるいはそれを言うならアメリカ合州国でも、刑務所という環境の下で蔓延していて、並外れたことではなく、被拘禁者は、おきまりのように、放置、過密や、あきらかな暴力行為で非人道的な扱いを受けている。それにもかかわらず、マグニツキーの死は、国際マスコミによって世間の注目を集める事件となり、アメリカ合州国とアメリカの政策に同調する諸国の主要政治家による非難の的となっている。マグニツキー法は、マグニツキーの逮捕、起訴と拘留に関与したロシア人幹部が、アメリカ合州国へ入国するのを阻止するものだ。

ロシア人幹部を対象にしたマグニツキー法に報復して、12月28日、プーチン大統領は、ディーマ・ヤコブレフ法に署名した。これは、2008年、ヴァージニアで、アメリカ人養父が、暑い日にドアを閉めた自動車の中に数時間放置した後、20カ月の幼さで亡くなったロシア人孤児ドミトリー・ヤコブレフにちなんで名付けられたものだ。法律は、人権侵害に連座したアメリカ国民と、ロシア国外で、ロシア国民に対する犯罪に連座したアメリカ国民ロシア領土への入国を禁じるものだ。最近、ロシア当局は、ディーマ・ヤコブレフ法によって作られた、ロシア外務省が管理する公式ブラック・リストに、何十人ものアメリカ国民を追加した。

法律は、名簿上の人物がロシアで保有する資産の差し押さえも規定している。法律は、更に、アメリカ国民やアメリカ組織からの金銭的支援を受けている、あるいは、ロシア連邦の利害に脅威を与えるような、政治活動にかかわる非政府組織(NGO)のロシア領土での活動を、司法省が停止することを可能にしている。

ディーマ・ヤコブレフ法の採択の前に、昨秋、ロシアにおける非政府組織の活動を制限する一連の法規が施行された。司法省の法令は、“外国エージェント”として機能する全てのNGOは、司法省自身が管理する特別な名簿に登録することを要求している。関連法規は、外国から資金提供を受けていて、政治活動に関与するNGOは“外国エージェント”と見なされると規定している。登録をしそこねた、そのような組織には、行政罰金と刑罰を化する。これらの法律の一つは、反逆罪の定義を拡張し、国家機密の違法な入手と、国際NGOへの国家機密の違法な公開も含めた。

ロシア国内での、外国が支配するNGOに対する制限は、2011年12月の議会選挙後、ロシアで大規模抗議行動を組織し始めたリベラルな反政府集団に支援提供する上で、NGOが演じた役割への公式対応と解釈されている。リベラルな反対派は、民主的権利の擁護という名目のもと、国を外国投資に対し、更に開放し、緊縮政策を導入し、ワシントンとより密接な絆を作り上げることを目指す、右翼的な狙いを推進しようとしたのだ。

NGOとロシア政府との間の摩擦は次第に蓄積していった。昨年10月に、ロシアからのUSAID、アメリカ合衆国国際開発庁の公式退去で、新たな高まりに至った。USAIDは、2011年の選挙を批判した選挙監視団体、ゴラスに資金を提供していた。

11月、米国民主党国際研究所(NDI)は、ロシア当局から刑事訴追すると威嚇され、幹部スタッフをロシアからリトアニアに脱出させた。共和党国際研究所(IRI)も、12月、同様に、スタッフ全員を、リトアニアに脱出させた。

これらのいわゆる“非政府”組織が、実際はアメリカ合州国政府(NDIの場合には、全米民主主義基金NED)から資金提供を受けていたことは秘密ではない。しかも、多くの表向き独立とされている、ロシアで活動しているNGOは、何千もの回り道を使って、アメリカ政府から間接的支援を受けている。2000年中頃の“カラー革命”で、ロシアの伝統的勢力圏にある一連の国々に、ワシントンと太いつながりを持った政治家を据えつける上で、アメリカが支援した組織が演じた中心的役割を考えれば、内政へのアメリカの介入に対するクレムリンの恐怖は決して根拠がないわけではない。

セルゲイ・マグニツキー法とディーマ・ヤコブレフ法の成立に加え、二国間の摩擦が高まっている多数の他の兆しがあった。10月、モスクワは、その下で、ロシアの核、生物、化学兵器の破壊と安全な保管にアメリカが支援をしてきた、ナン-ルガー・プログラムを下りた。ロシア当局は、その下で、アメリカがロシアの法執行プロジェクトに支援を提供していたアメリカ合州国との政府間協定をキャンセルした。

アメリカは、米露二国間大統領委員会の市民社会共同作業部会から撤退した。

関係悪化の背後にあるのは、より基本的な地政学的対立だ。ワシントンが中東と北アフリカで、イスラム教勢力を後押し、シリアで体制転覆に動き、その全てがロシアの政治的・商業的利害を脅かす、アフリカでの新たな帝国主義的奪い合いへの参加をめぐって、二国は対立している。

ディーマ・ヤコブレフ法や他の“外国エージェント”法が、即時的な意味合いでは、アメリカ合州国を狙って、ロシアで施行されているが、これらの法律は、基本的に労働者階級を標的にしているのだ。新たな法律での、“外国エージェント”の民主的権利の定義は、非常に広範で、外国市民や組織とのほとんどあらゆる接触に適用可能だ。

桁外れな社会的不平等のレベルを巡るロシア国内での広範な大衆的不満は、世界経済危機が深化するにつれ、ひどくなるばかりだ。ロシア人労働者階級が、国を支配している、スーパーリッチな寡頭政治勢力と益々衝突するようになるにつれ、クレムリンは、労働者の戦いが、世界中の他の人々と、国際的綱領に基づいて、政治的、組織的に結びつく可能性を恐れているのだ。プーチン政権は、世界中のブルジョア政権同様、“外国エージェント”に対する民族主義的ヒステリーを煽り立て、大衆を抑圧する法的枠組みを作り上げて、これを防ごうとしているのだ。

著者は下記もお勧めする。(英語原文)

Biden in Munich: The ugly face of imperialism
[2013年2月5日]

G8 and NATO summits take place without Putin
[2012年5月19日]

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/02/26/usru-f26.html

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ロシア、もちろん天国ではない。生活は厳しく、圧政もきついように漏れ聞いている。それでも、今の属国状態から見れば、この記事、独立国家の交渉見本に見えてくる。

与党は、国を規制する憲法から、国民をしばりつける憲法に改訂することを狙っている。「独立国にふさわしい憲法」にするため、憲法に軍隊と国家非常事態の規定が必要だと真っ赤な嘘も訴えている。実際の所は、「日本国憲法ができたときは独立国家でなかった。さらにTPPで従属度を深化させた以上、属国に必要な戦争推進・人権抑圧憲法をつくることが自民党第一の眼目だ」ろう。

桁外れな社会的不平等のレベルを巡る日本国内での広範な大衆的不満は、世界経済危機が深化するにつれ、ひどくなるばかりだ。日本人労働者階級が、国を支配しているスーパーリッチな寡頭政治勢力と益々衝突するようになるにつれ、東京は、労働者の戦いが、世界中の他の人々と、国際的綱領に基づいて、政治的、組織的に結びつく可能性を恐れているのだ。安倍政権は、世界中のブルジョア政権同様、“隣国”に対する民族主義的ヒス
テリーを煽り立て、国家非常事態の規定等、大衆を抑圧する法的枠組みを作り上げ、これを防ごうとしているのだ。

圧政と言えば、ザーラ・イマーエワ(チェチェン戦争難民/アートセラピーセンターDiDiインターナショナル主宰)という方が、現在、日本各地で講演ツアーをしておられる。チェチェン文化省大臣もされた方だが、今はアゼルバイジャンで児童向けに絵を描くセラピー・センターを主催。

『いって・らっしゃい』という映画も上映される。映画紹介文は下記。

在日韓国人作家 姜信子と、亡命チェチェン人女性ジャーナリスト ザーラ・イマーエワは、カザフスタンへの対話の旅に出る。そこはかつて二つの民族が出会った追放の荒野。1937 年、ロシア極東のコリアン=高麗人 19 万人が日本への加担を疑われ、また 1944 年には、北カフカスのチェチェン人がドイツ への加担という濡れ衣で、カザフスタンに追放されたのだ。 いま、記憶の中に希望を探る旅が始まる

トルストイの時代にも、この地域で紛争が起きている。

トルストイ、『コーカサスの捕虜』や『ハジ・ムラート』を書いた。他文化の理解尊重という点で西部劇とは格が違う。『コーカサスの捕虜』は良い映画になっている。

1986年4月26日のチェルノブイリ事故後、1991年12月25日、ソビエト連邦は崩壊した。
エリツィン時代、新自由主義が一世を風靡した。やがて巨大属国になるかと眺めていた。

プーチン大統領以降、独立路線は明白だ。

アメリカの資金援助を受けた野党を封じこめるのはやむをえない対策に見える。もちろん、紐付きでない野党を封じ込めることも考えているのだろう

チェチェン等に対しては、実に強権的。
チェチェン問題を追求していたアンナ・ポリトコフスカヤは暗殺された。
行く先、独立した警察国家だろうか?

そして、この国。

2011年3月11日の福島原発事故後、2013年3月15日大政奉還し、完全植民地になった。

大本営広報「関税聖域」ばかり言い立て、「非関税障壁」、宗主国大企業による国家体制改造が主題であることを隠蔽する。

この国は支配層全体、ロシアでうごめいていた外国エージェント集団。戦後ずっと。

自民、公明、みんな、維新、そして民主の大半も、同じ穴の外国エージェント集団。

属国体制に異議申し立てをすると、冤罪で排除される。
原発反対派弾圧も次第に過酷になりつつあり、脱原発テント立ち退き求め提訴。
選挙制度、益々、外国からの援助を受けない少数野党排除の方向に進んでいる。

この国の野党弾圧、「独立しない属国政権」の立場を守ることが目的に見える。

戦前は、独立主権・警察国家だったこの国、行く先は属国警察国家

満州を支配した人物の孫が、自国を現代の満州国にした。

満州には皇帝も国務院総理(首相)もいた。国旗も国歌も。歴史は繰り返すが今度は永遠。世界に冠たる第一級の「愚国・愚民」。

2013年3月16日 (土)

狙いは日本に非関税施策を解除させること-議会調査局文書「日本のTPP参加可能性と、その意味あい」(7)見通し、ありうる結果と影響

見通し、ありうる結果と影響

日本のアメリカ合州国との交渉と、オーストラリアやニュージーランドとの交渉は、公的に発表された締め切りや時間枠のないまま、継続している。オバマ政権は、必要に応じて出来るだけ多くの時間をとりたいが、現在のTPP参加国の間の交渉ペースに、こうした交渉を影響させるつもりはないと述べている。2012年6月のカナダとメキシコへのTPP参加への呼びかけは、少なくとも政治的には、参加の意欲を表明した三カ国の中で未参加国として残っている日本に、強い脚光を当てる可能性がある。

もし日本がTPPに入れば、米日経済関係の姿と力学に大きな変化をもたらす可能性がある。長年にわたり、両国の貿易政策立案者や、企業代表者や、地域の専門家達が、米日FTAという概念を提案してきた。TPPが本格的に始まるまでは、障壁、つまり日本の農業政策、自動車貿易問題、政府規制や慣行等が、高すぎて、克服しようがなかった為に、そうした考え方にははずみがつかなかった。もし日本とアメリカ合州国が、TPPで成功裏に作業できれば、まさに同じ障壁の克服が必要となろう

日本のTPP交渉参加の見込みは、現時点では不明なままであり、様々な要因にかかっている。恐らく最も重要な要素は、交渉を進めるか否かについて、更に、加盟条件について、日本がTPPパートナーと合意できるか否かに関して、日本の政治指導者達が政治的合意に至れるか否かだ。最近、自民党と公明党が消費税に賛成するのと引き換えに、野田首相が衆議院を"早い時期に"解散すると約束した為、先に進むか否かの日本の決断タイミングは、国内政治によって遅れる可能性が高い。結果として、衆議院選挙が行なわれ、恐らく議会の支配権が交替する結果となろう。それゆえ、TPPに対する決断は、早くても今年12月以前にはならず、それ以降となる可能性が高い。日本専門家エド・リンカーンは、決定は更に先送りされる可能性があると示唆している。

この問題の結果は、米日二国間貿易関係、同盟全体とTPPに影響を与える可能性がある。TPP問題は、アメリカ合州国と日本にとって、リスクと好機の両方となっている。一方で、成功すれば、安定してはいるが、停滞している経済関係を再度活性化できる可能性があり、二国に、長年の困難な問題に対処するよう強いて、関係をより高いレベルへとあげることを可能にする。成功し損ねれば、内在する問題が、克服するには余りに根本的であることを示しかねず、関係を後退させかねない。アメリカ合州国、および/あるいは、日本がより開かれた貿易関係に対する国内の反対に対処しそこねたことを表しかねない。

米日同盟全体に対する意味合いは更に不確実だ。TPPは同盟強化と見なされる可能性が高いが、交渉失敗は後退と見なされかねない。同盟は、北朝鮮核プログラムや、中国の経済的・軍事的進展等の、貿易問題より重要となる可能性がある、共通の国家安全保障上の関心事にも基づいて構築されているのだ。

更に、日本のTPP参加の可能性は、一方では、概してより広範なアジア太平洋地域貿易の取り決めを形成する上で重要なステップと見なされている。もう一方では、日本が欠ければ、実行可能な地域貿易の取り決めとしてのTPPの威信を傷つけ、アジア太平洋経済統合の後退となりえよう。

Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implications「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」。

2012年8月24日付け 米国議会図書館議会調査局文書

「見通し、ありうる結果と影響」部分の翻訳。

要約
目次
はじめに(未翻訳)
TPPの概要(未翻訳)
アメリカ製自動車の市場アクセス
貿易関係の管理
残された課題とTPP
アメリカ牛肉の市場のアクセス
アメリカ製自動車の市場アクセス
保険、宅急便と、日本郵便
日本のTPPへの参加可能性と、その意味あい
アメリカの全体的目標
市場アクセス
ルールに基づく貿易の枠組みと、公平な紛争処理
TPPの強化
日本の狙い
日本政治とTPP
アメリカのステークホルダーの意見
見通し、ありうる結果と影響(今回翻訳文を追加)

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長年の困難な問題に対処する
というのは、関税問題ではないだろう。

植民地化協定への降伏、第三の敗戦発表を受けて、大本営広報フル回転。
夜9時の悪名高い番組、売国奴が登場して宣伝。報道ではなく洗脳。即テレビを消した。

今朝の新聞、全て広報、読むところがない。チラシはいつも通り、家人がしっかりチェック。

大敗北を、「勝った、勝った。頑張れば勝てる」とはやしたてる無責任詐欺師連中。

今頃、交渉で勝てるのなら、日本はとうの昔に独立し、安保を改訂し、地位協定を廃棄し、米軍は日本から全面撤退していただろう。馬鹿も休み休み言え。


なぜ今急ぐ?TPP交渉参加 元外交官が分析 投稿者 tvpickup

非関税障壁撤廃が狙いであることも、ISD条項の恐ろしさも、シンガポール交渉での、「後から加盟する国が飲まされる屈辱的条件」スクープ(つまり下記)も全て無視。純粋な洗脳作戦。

IWJ「日本政府はすでに、TPP参加に際して、無礼で不公正な条件に同意している」米国交渉官が明言 ~秘密のTPP交渉会合に潜入した内田聖子氏が明かすTPPの正体

『晴耕雨読』が岩上氏のツイートをまとめておられる。「内田「もし安部総理が、こうした企業の発言を知らないのなら、相当な阿呆ですし、不見識です」

大本営TPP広報、決して見てはいけない。読んではいけない。頭を劣化させる人生の無駄。こうしたおぞましい属国を継続させている根本の法制度、「日米地位協定」をこそ考えるべき時期だろう。「日米地位協定入門」かなり売れているようだ。hontoでは外交ランキング一位。

日米地位協定入門」を読めば、4/28「サンフランシスコ条約締結による日本の主権回復を祝う式典」なるもの、とんでもない歴史隠蔽であることがわかる。志位委員長が言うように「アメリカ従属という国民的屈辱を祝うこと」だ。

歴史の真実を偽る、現実を見ようとしない異常人格者集団が、政治家、政府、官庁、大企業、学会、マスコミを牛耳り、真実をいうと排除される国・地方・企業で、人が幸せになれるわけがない。

大本営広報ではない、下記対談をご覧頂きたい。こういう画期的な対談が無料で拝見できるのは有り難いことだ。天木氏のボランティア作業なのだろうか?
【日米地位協定 入門】 天木直人・前泊博盛の対談 2013/3/5 【1:18:36】

 

2013年3月15日 (金)

TPPの狙いは日本に非関税施策を解除させること-議会調査局文書「日本のTPP参加可能性と、その意味あい」(6)アメリカ・ステークホルダーの意見

2011年12月7日、連邦公報は、アメリカ合州国通商代表部USTRが、日本をTPPに入れるべきかどうかについて民間部門ステークホルダーの意見を求めたと告知した。USTRは100以上の回答を得た。回答の約40%は農業関連企業から、25%は製造会社から、15%はサービス提供業者、残りは様々な非政府組織(NGO)や業界団体。回答の中には、日本企業や、日本企業を代理する協会のものがある。

わずかな例で、回答者は日本の参加に対してあからさまに反対しているものがある。このグループで、最も注目に値するものの一つは全米自動車政策評議会(AAPC)だ。AAPCは、デトロイトを本拠とする自動車メーカー三社、クライスラー、フォードや、ゼネラル・モーターを代表している。回答の中で、AAPCはこう述べている。

AAPCは現時点では環太平洋連携協定交渉への日本参加に反対する...
自動車分野での日本の貿易障壁は、容易に、あるいは迅速に対処することはできず、不必要に交渉を遅れさせてしまうだろう。今日まで、閉鎖された自動車市場を維持する何十年もの歴史がある慣行を変えようという意欲を日本は示していない。体系的な貿易不均衡と、改革するという意志の欠如からして、アメリカの日本との自由貿易協定は、日本の閉鎖された自動車市場が生み出した、既に一方的な貿易関係を固定化させ、重要かつ急速に成長しつつある汎太平洋地域の、より相性の良い他の貿易パートナーとの、質の高いTPP貿易協定を推進する妨げにはならないにせよ、大幅に遅れさせるだけとなりかねない。

AFL-CIOも日本のTPP参加には反対で、下記のように述べている。

まだ終わっていない環太平洋FTAを巡る様々な不明な事項があるからして、環太平洋FTAへの日本参加による、労働者家族に対してあり得る影響について、有意義な技術的助言を与えたり、根拠のしっかりした意見を策定したりするのは困難である。
そうした状況で、交渉アメリカの交渉担当者が、まずアメリカ人労働者にとって本当の恩恵をもたらし、国内生産を増大するような協定を成功裏に交渉する能力を実証する前に、日本や他のいかなる国を含めるような時期尚早の環太平洋FTA拡張に、AFL-CIOは重大な懸念を持っている。

[日本]市場は外国産品に閉鎖的なことで悪名高いが、これは高関税障壁の結果ではない....日本への大きい、かなりの市場アクセスを得るためには、アメリカ合州国貿易代表(USTR)が、新しい、革命的なやり方を採用すべきで....もしUSTRが、進んで‘既成概念にとらわれずに物事を考える’ことをせず、自由貿易に対する現在の卑屈なやり方を放棄しない限り、環太平洋FTAへの日本の参加が、いかに、アメリカ労働者家族にとって利益になりうるかを見るのは困難である。

場合によっては、回答者達はTPPに日本を含めることに強い支持を表明している。例えば、キャタピラ社は、TPPは、残された日本の非関税障壁に対処する手段になろうと主張している。アメリカ商工会議所と米日経済協議会も、別の提出書類で、日本のTPP交渉参加支持を表明している。しかしながら、それぞれの団体は、日本は、メンバー企業の交渉を悩ませてきた問題、中でも、規制障壁、日本郵便の保険と宅急便子会社の優遇と、政府購買を含めた問題に対処する必要があるだろうと主張している。

他の問題を熟考している議員達もいる。例えば、2011年11月8日、USTRロン・カークに対する超党派書簡で、下院歳入委員会と、上院財政委員会の委員長および上級幹部は、日本の参加は“日本の国際貿易に対するやり方に対し、切望していた変更の機会になるだろう”と述べている。彼等は、日本はアメリカの長年の同盟でアジアにおける友人ではあるが、下記のように主張している。

...貿易協定に関する要求の評価における最優先の配慮は、日本がアメリカ自由貿易協定に固有の、高い水準にコミットメントする意志があるのか、そして可能なのかどうか、そして(日本を)含めることが、この歴史的に閉じられてきた市場を、本当にアメリカ企業、労働者や、農民のためになるように開くことになるのかどうかという。

ステークホルダーのこうした意見や他の意見が、アメリカ合州国内での論議と、日本とのTPP交渉は困難で、複雑であることを示唆している。時に係争を引き起こしてきた二国間経済関係の遺産がTPP交渉に引き継がれているのだ。

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また、

「はじめに」の第三段落にこういう部分がある。

オバマ政権は、あたかも貿易促進権限が施行中であるかのように、TPP交渉を進めてきた。政権は、これまでの貿易促進権限(TPA)、あるいはファースト・トラック権限の不可欠な一部である、議会との協議要求と通知期限を順守している。この慣行を維持するためには、オバマ政権は、議会両院に、TPPに関する日本との公式交渉 (事前協議と対照のものとして)を開始する90 日前に通知をする必要があろう。メキシコとカナダとに関しては、それぞれ20127 9日と7 10日に、政権はそうした

このくだり、まさに、第44回勉強会で、「ISD条項は憲法違反」講演をされた岩月弁護士が、詳細に書いておられる記事に対応する文章だろう。

「貿易促進権限」法はきれたままになっている。

【拡散希望】オバマ大統領には何の交渉権限もない 日米首脳会談の想像を絶する茶番劇2013年3月14日 (木)

「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」。

要約
目次
はじめに(未翻訳)
TPPの概要(未翻訳)
アメリカ製自動車の市場アクセス
貿易関係の管理
残された課題とTPP
アメリカ牛肉の市場のアクセス
アメリカ製自動車の市場アクセス
保険、宅急便と、日本郵便
日本のTPPへの参加可能性と、その意味あい
アメリカの全体的目標
市場アクセス
ルールに基づく貿易の枠組みと、公平な紛争処理
TPPの強化
日本の狙い
日本政治とTPP
アメリカのステークホルダーの意見(今回翻訳文を追加)
見通し、ありそうな結果と影響(未翻訳)

Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implications「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」。

アメリカのステークホルダーの意見 部分の翻訳

2012年8月24日付け 米国議会図書館議会調査局文書

ここからpdfファイルをダウンロード可能。

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米議会図書館議会調査局が作成した文書のどこに高関税の話題があるだろう。

外務省ウェブにあるPDF、このステークホルダー意見をExcelにまとめたものに違いない。是非ご確認を。

TPP 協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要:主要団体の意見詳細)

『拒否できない日本』で暴露されるまで、「年次改革要望書」による日本改造命令の実態、広くしられることはなかった。「年次改革要望書」のテーマは、

規制撤廃。

目玉は、もちろん、小泉・竹中コンビニよる郵政破壊。

9/11の郵政破壊選挙当時、最大のネット書店では『拒否できない日本』は品切れ。古本が二千円を越える価格で売られていた。もちろん、他のネット書店では、そして東京の書店では購入できた。
しかし検索エンジンで『拒否できない日本』を探すと、一番上に最大ネット書店が出てくる。

考えて見れば、最大のネット書店も、検索エンジンも、宗主国巨大企業によるもの。属国支配を強化するため、当然、できる限り操作をするだろう。TwitterやFacebookと同様、世論工作、政権転覆に応用するだろう。

郵政破壊で、庶民にどのような御利益があっただろう。小泉・竹中による規制緩和で、庶民は何をえたのだろう。

そして、今日。あの時に全くそっくりな環境で、全く利益のない植民地化協定に加盟するという、傀儡による売国宣言。

宗主国の議会の公文書が、問題は「非関税障壁」であると明確に公表して下さっているのに、政府、与党、与党別動隊、マスコミ、こぞって関税聖域論議へ誘導。本当の狙い、

非関税障壁、規制撤廃には決して触れない。ISD条項も。

北朝鮮やソ連や中国を馬鹿にできる程の政府も、政党も、マスコミも、(そして国民も?)この国には存在していない。

あるのは長いものにまかれる売国政治家、売国大本営広報部ばかり。

孫崎享氏のニコビデオ・ニュースレターを引用させていただこう。この国、ドレイ国なのだ。

 トルーマン大統領は次のように書いています。 
「マサチューセッツ工科大学の総長コンプトン博士は、〔日本から〕帰国したあとホワイトハウスに来て私に説明した。彼にまとめてもらった覚書は次のとおりである。
日本は事実上、軍人をボスとする封建組織のなかのドレイ国であった。
そこで一般の人は、一方のボスのもとから他方のボスすなわち現在のわが占領軍のもとに切りかわったわけである。彼ら多くの者〔にとって〕はこの切りかえは、新しい政権のもとに生計が保たれていければ、別に大したことではないのである」(『トルーマン回顧録』)

マフィア国家: アメリカは世界政治のドン・コルレオーネ

Adrian Salbuchi

2013年3月5日

 


カラカスのアメリカ大使館前に靴をつり下げるベネズエラ大統領ウゴ・チャベスの支持者達 (AFP Photo/Juan Baretto)

RT

南米、特にベネズエラは、過去数年間、アメリカ政府や民間企業による組織的キャンペーンの標的だった。しかし、注目をしてきた我々は、それが決して新しいことではないのを知っている。

最近、WikiLeaksは、ストラトフォー等のアメリカの世界的調査会社や、その海外分家のCANVAS等が、過去十年間(アメリカ政府機関に支援され、ほう助されて) ベネズエラの民主的選挙で選ばれたウゴ・チャベス大統領を打倒しようとして失敗した企てで奮闘していたことを示す新たな文書を公開した。

‘裏庭’への介入

アメリカの特権的大企業は、アメリカの利益に自動的に同調しない政府、あるいは、よりうまく言えば、アメリカの民間・公的権力構造の中に深く埋め込まれた、国家を越えるグローバル・パワー・エリートの利益に、すぐに同調しない政府の打倒、“ならず者国家での体制転覆”として知られている行為を、CIA、国務省とペンタゴンと、常に密接に協力して推進してきた。

伝統的に、アメリカの地政学的、経済的裏庭である、メキシコから、ティエラ・デル・フエゴに至るまでの中南米全体で、特にこれは、あてはまる。

例えば今年の9月11日は、CIAが支援し、資金提供し、仕組んだ、民主的に選出されたチリ大統領サルバドール・アジェンデ打倒、暗殺40周年だ。

アジェンデは、アウグスト・ピノチェト将軍が率いる親米、親英軍事政権によって置き換えられた。当時、ITTの様な私企業は、CIA工作員と協力し、現地マスコミを利用し、ストライキ、社会不安をあおり、心理戦をしかけた。当時の相手はチリだった。現在はベネズエラだ。


チリ大統領でマルクス主義指導者のサルバドール・アジェンデと共にポーズをとるアウグスト・ピノチェト将軍(左) 1973年8月23日 サンチャゴ(AFP Photo)

実際、1970年代と1980年代には、チリのみならず、アルゼンチン、ボリビア、ウルグアイ、パラグアイや、地域の他の国々での様々な軍事クーデターや体制転覆の財政・外交支援‘コンドル・プラン’を、キッシンジャーが計画し、実施した。

独裁的・犯罪的政権へのそうした米英による支援は、中南米の将軍が、アルゼンチンのレオポルド・ガルティエリ将軍のようにやりすぎて、アルゼンチンの1982年のフォークランド諸島侵略のように、実に愚劣なことをしでかすまでは止まらない。


フォークランド諸島を巡るアルゼンチンの1982年の戦争で亡くなったアルゼンチン兵士の墓を飾る親族(AFP Photo/Angeline Montoya)

それ以外の、アメリカが支援したこうしたクーデターの全てで、パナマにあった「アメリカ陸軍米州学校」(2001年ジョージア州フォート・ベニングに移転し、西半球安全保障協力研究所と改名)で訓練された、各国軍の有力者を起用し、各国内で以下の通りにしている限り、好きなようにさせておくのだ。
(a)連中がそうした国々をアメリカの地政学的命令に同調せること。冷戦中の命令は、断固たる反共だ
(b)シカゴ・ボーイズ式の財政上の従属状態と意図的に作り出された公的債務受け入れ
(c)その国の国民を恒久的な恐怖状態に置き‘規律正しく、行儀良く’させておく

とはいえ、旧ソ連の崩壊以来、こうした戦術は劇的に変わった。今では、アメリカによる中南米諸国支配は、‘民主主義’の推進が主軸だ。まあ、実際には、ヒラリー・クリントンが、2011年春‘アラブの春のエジプト’を訪問した際、実に雄弁に語ったように“我々が期待している類の民主主義”だ。


2011年3月16日、長年の同盟者ホスニ・ムバラクを打倒した18日間の抗議行動の震源地タハリール広場を予告なしで訪問し、エジプト人と握手するヒラリー・クリントン米国務長官(AFP Photo/Paul J. Richards)

そうした金で支配された民主主義は、もちろん決して民主主義ではなく、金のバラマキで、お気に入りの候補者を、その国の権力の座に送り込むマスコミ道化体制だ。

アメリカが、メキシコ、コロンビアやチリで好きなようにやれて、その候補者が現地の選挙で勝てているうちは、いつも通りの仕事ですんでいた。

しかし、現地の国民の間で政治的覚醒が高まると、自国の利益を優先する大統領を選出するようになる。エクアドル(素晴らしい大統領ラファエル・コレアを再選したばかり)、ボリビア(エボ・モラレス)そして、とりわけ、ベネズエラのウゴ・チャベス。すると‘体制転覆’の超巨大な力が本格的に稼働する。

官民イニシアチブ

アメリカでは、ホワイト・ハウスと、議会が、国と特権的大企業を支配しているのか、それとも逆なのか全くわからない。特権的大企業が、ホワイト・ハウス、議会と国を支配している。

最近WikiLeaksが公開したベネズエラに関する文書には、ストラトフォーは“民間調査会社を演じているが、ボパールのダウ・ケミカル、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、レイシオン等の大企業や、国土安全保障省、アメリカ海兵隊や、アメリカ国防情報局等の政府機関に、極秘諜報サービスを提供する企業だ”と書いてある。

eメールは” WikiLeaksは説明している。“ストラトフォーの情報提供者ネットワーク、支払い構造、支払いロンダリング手法や心理学的手法を示している。

公開されたメールには、エネルギー部門の様々な問題、特に石油; 政治的変化と、ベネズエラ国内の右翼勢力の状況、各国国軍の状況などがあった。メールは、ベネズエラと、キューバ、中国、ロシアやイランとの関係のものもあり、経済・金融部門について、厳しい予想をしている。

セルビアに本拠を置き、アメリカに支援されるCenter for Applied Non-Violent Action and Strategies (CANVAS)は、実際は、セルビア、リビア、アフガニスタンやシリア等の国々が痛切に学んだ通りの社会的混乱や、内戦さえ仕組むのが専門の組織の、‘世界的諜報’フロント組織の一つなのだ。

CANVASからの漏洩メールは、下記のストラトフォー宛メッセージで見られるように、政府打倒の推奨戦略を説明している

    “ベネ(原文のまま!)の場合のように、誰かが我々に支援を求めてきた場合、我々はいつも‘あなたがたは、それをどのようにするつもりか?’と質問する。つまり、最初にすのは、状況分析(お送りしたワード文書)の作成で、その次が“綱領”(これから作成予定)そして更に“作戦コンセプト”で、それはキャンペーン計画で… この場合、我々は三つのキャンペーンを行っている。野党統一、[2010年9月の議会選挙] 向けキャンペーン、それと並行して、‘投票に行こう’キャンペーン。

実に単刀直入だ!


ストラトフォー・グローバル・インテリジェンスCEO、ジョージ・フリードマン(AFP Photo/Ronaldo Schemidt)

ストラトフォーの創設者、会長はジョージ・フリードマンで、彼はウォール・ストリート・ジャーナル、CNBCやCNNで良くインタビューされており、JPモルガン・チェース、シティーグループ、アーンスト・アンド・ヤング社の顧問だ。ストラトフォーの社長 & CEOは、長年ゴールドマン・サックス幹部だったShea Morenzだ。大企業や巨大銀行は、ベネズエラや、中南米やら他のどこかの国の国民の公益を推進しようと必ずしも夢中になるわけではない。

確かに、これらの外交問題評議会CFR、RANDコーポレーション、米国民主主義基金NEDや他の大企業等の民間調査会社や専門家やシンクタンクと、CIA、NSA、USAIDや国務省等のアメリカ政府の公的機関とを明確に区別する境界線は存在しない。

実際、中南米中で、明晰な政治評論家は常に‘ラ・エンバハダ’が一体何を企んでいるかに注目している。‘ラ・エンバハダ’とは‘大使館’を意するスペイン語だが、あらゆる大使館ではなく、もちろん、各国にあるアメリカ大使館のことだ。

一連のWikiLeaks文書が、アメリカに本拠を置く企業が、チャベスの主な対立候補で、昨年の大統領選挙で次点になったエンリケ・カプリレス・ラドンスキーのような対立候補を支援し、資金提供し、ウゴ・チャベスを打倒しようとしいることを暴露したことがわかっても、決して驚きではない。


ベネズエラのDemocratic Unity連合大統領候補カプリレス・ラドンスキー(AFP Photo/Juan Barreto)

カプリレス・ラドンスキーは、アメリカ、ヨーロッパとイスラエルの、ベネズエラと、この地域での狙いに良く同調しているおかげで、これらの国々の利益団体から強力な支援を得ている。極めて小規模なユダヤ人コミュニティーしかない国のユダヤ系、ラドンスキーは、チャベスがイラン、キューバ、ロシア、中国や(NATOに侵略され、破壊されるまで)リビアと築き上げた緊密なつながりから、ベネズエラを遠ざけると約束している。

チャベス大統領の健康不調ゆえに、チャベスが昨年末獲得した大統領の座を放棄せざるをえなくなり、彼のいないベネズエラでの新たな選挙となるのを願って、このアメリカ官民イニシアチブは、チャベス大統領の体調に関する(彼等にとっての)良い知らせをわくわくして待ちながら、またもやベネズエラ国内のあらゆる反政府勢力を強力に推進しつつある。

アメリカの官民イニシアチブが、再度全面的に「我々の手先をカラカス・ミラフロレス大統領官邸に送り込め」モードに入るので、ベネズエラにとって本当の悲劇となろう。


カラカスのシモン・ボリバール広場に集まったベネズエラ大統領ウゴ・チャベス支持者(AFP Photo/Juan Baretto)

悲劇は、単にベネズエラにとってのみならず、フアン・マヌエル・サントス大統領が、本部が、道路を隔てた第57ストリート、パーク・アヴェニューにある強力な外交問題評議会CFRの為に、ロックフェラーが資金を出し、ニューヨークに本拠を置き、中南米への侵攻を推進している‘アメリカズ・ソサエティー’のメンバーというアメリカが完全に君臨し続けているコロンビアのような国を含む地域全体のものだ。メキシコは最近、親アメリカ派の大金持ちエンリケ・ペニャ・ニエトを大統領に選出した。両国は通常どおり業務進行中の国だ。

‘民主的選挙にみせかける’

どのようにして不安定化工作をやりとげるかの助言として、CANVASは、ストラトフォーに、“我々は彼等に使う道具を与えるだけだ。”と言っていた。2010年の議会選挙に言及して、書いている。“今年、我々はベネズエラで活動を強化しつつある… ベネズエラでは9月に選挙があり、あそこの活動家や、彼等を援助しようとしている人々と緊密な関係にある(当面これは内密にし、公表しないで欲しい)。我々の準備の最初の段階が現在進行中だ。

これが“アメリカが期待している類の民主主義”なのだ。あるいは、もし彼が‘ゴッド・ファザー’のドン・コルレオーネとして、国務省やCIAに座っていたら、工作員達に勧めていただろう。“民主的選挙に見せかけろ。

結局、コルレオーネ最高の弟子達が実際に舞台を仕切っているのかも知れない。


AFP Photo/Geraldo Caso

Adrian Salbuchiはアルゼンチンの政治評論家、作家、講演者、ラジオ/TVコメンテーター

記事原文のurl:rt.com/op-edge/the-us-is-the-don-corleone-of-international-politics-730/
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CANVASなる謀略組織については、「ウオール街占拠運動と"アメリカの秋":これは"カラー革命だろうか"?第一部」をお読み頂きたい。「アラブの春」の実態がわかる。ところで国営大本営広報部記者、「アラブの春」報道の功績で、最近何か賞を受賞したという。「アラブの春」の裏を報道したのなら功績だが。

この国の与党・野党風与党分派政治家、カプリレスばかり。

チャベスのような人物が出現すれば、暗殺はされないかも知れないが、潰される。

ベネズエラでも、テレビは大富豪が経営し、皆大本営広報部のようなもの、というのをどこかで読んだような気がする。CANVASのような組織も、フル回転しただろう。

それでも、ベネズエラ国民はチャベスを選んだ。この国とは余りに違う。この国では

これが“アメリカが期待している類の民主主義”なのだ。あるいは、もし彼が‘ゴッド・ファザー’のドン・コルレオーネとして、国務省やCIAに座っていたら、ジャパンハンドラーに勧めていただろう。“民主的選挙に見せかけろ。

結局、コルレオーネ最高の弟子達が実際に舞台を仕切っているのかも知れない。

傀儡政治家を起用し、以下の通りにしている限り好きなようにさせている。
(a)国をアメリカの命令に同調させること。断固たる反朝鮮・ロシア・中国・韓国
(b)シカゴ・ボーイズ式財政と、米国債の大量購入
(c)国民を恒久的な恐怖状態に置き、‘しつけ良く、規律正しく’させること

この国、CANVASのような組織は不要。大本営広報部が全て代行してくれる。マスコミそのものが巨大CANVAS。洗脳離脱のため、Independent Web Journalの下記インタビューをご覧頂きたい。

「日本政府はすでに、TPP参加に際して、無礼で不公正な条件に同意している」米国交渉官が明言 ~秘密のTPP交渉会合に潜入した内田聖子氏が明かすTPPの正体

歌と旗と愛国心を押しつける傀儡首相が、永久「売国」宣言をする不思議な日。

二週間程前だったか、知り合いの自民党議員(国会議員ではない)に、「TPPには絶対反対だ」というと、「藤井聡先生が内閣顧問ですから大丈夫です」といわれた。

喧嘩するのも馬鹿らしいので論争はやめた。言い分など信じていないが、やはり大丈夫ではないではないか。(藤井教授は「日本強靱化政策」の提唱者だが、TPP反対説を強力にとなえている。例えば『コンプライアンスが日本を潰す』~新自由主義との攻防~)

そこで一句

    • 売国や、ああ売国や、売国や
    • 『聖域がいいね』と君が言ったから三一五は売国記念日

ところで、小林多喜二の『一九二八・三・一五
85年前の、共産党摘発と拷問を描いた作品。
確実に、同じような時代がやってくる。

2013年3月14日 (木)

水圧破砕(フラッキング)と環境: 天然ガス掘削、水圧破砕と水の汚染

Democracy Now!

2009年9月3日

フアン・ゴンザレス: 次の話に移ります。天然ガス採掘と地下水汚染を結びつける可能性のある新たな証拠が現れています。プロプブリカは、ワイオミングの連邦職員が、水圧破砕(フラクチャリング)による天然ガス採掘プロセスで使用される化学物質が、少なくとも三つの井戸から発見されたと報じています。

ワイオミング研究は、アメリカ環境保護庁が初めて掘削地域の汚染の訴えに答え、独自の水質分析を実施したものです。ワイオミング州パヴィリオンの住民は、近くで掘削が行われて間もなく井戸が苦くなり、気化した燃料の匂いがすると何年も訴えてきました。

プロプブリカの報告では、汚染の性格と原因の解明は困難で、その一因は、ガス産業が掘削と破砕(フラッキング)に使用する化学物質の実態が企業秘密として保護されている為、科学者が集めるのが困難なのです。

エイミー・グッドマン: ハリバートン等のガス採掘企業は、水圧破砕、"フラッキング"として知られている、ガス採掘技術は安全だと主張していますが、反対する人々は、それが地下水を、危険な物質で汚染すると主張しています。ニューヨーク州では、多くの政治家や住民達が、州の北方と、ペンシルヴァニアでの天然ガス採掘が、ニューヨーク市の飲料水供給を汚染しかねないという懸念を表明しています。

もうすぐ、この話題を綿密に追求してきた、プロプブリカのエイブラハム・ラストガーテン記者にご参加頂きます。しかしここで、デブラ・アンダーソンの「分割所有権」Split Estateという題の新しいドキュメンタリー映画の一部をご覧ください。ドキュメンタリーは、石油とガス採掘ブームが、ロッキー・マウンテン・ウエストにもたらした影響を検討しています。この部分はコロラド州ガーフィールド郡の話です。

    ナレーター: 2004年、ガーフィールド郡の一部の住民が、近隣での掘削作業の結果、病気になったと訴え始めました。シルトの若い女性ローラ・エイモスさんは、最も早くから、声高に抗議をした一人でした。

    ローラ・エイモス: この部屋の中の誰もが多分ご存じのように、我が家の地下水は、ウィリアムズ・フォーク・ガスのメタンで汚染されています。この部屋には汚染問題で被害を受けている多数の方がおられます。私の健康が損なわれた責任は誰にあるのでしょうか、皆さんでなくて、ガス委員会でしょうか?

    ガス委員: もしも、あなたの住居家のそば、あるいは、法律上のセットバック距離内で、あなたの家の近くで、井戸が掘削され、そこで、あなたの不動産価値に、影響と思われるもの、あるいは実際の影響があっても、我々は対処できません。

    ナレーター: 2001年、エイモス家から、わずか150メートルの所で、フラッキング技術を使ってガス井戸が掘削されました。地下で掘削が彼らの井戸を破壊し、飲料水に、灰色の沈殿物が混ざり、ソーダ水のように泡立つようになりました。コロラド州石油ガス管理委員会は井戸を検査し、メタンを発見したのに、安全だと言ったのです。しかし、エイモス一家に、メタン・ガスが家に溜まって、爆発を起こさない様にするため、窓を開けたままにしておくよう警告しました。エイモス家は、その水を飲むのは止めましたが、その入浴だけに使っていました。

    身元不明の人物: ガーフィールド郡の若い女性が電話をしてきて、稀な副腎腫瘍ができたが、この出来事が彼女の家の井戸に関連していると言ったのです。それが始まりでした。彼女が電話をしてきた時には、背筋がぞっとしました。安全だと言われた水を使っていた間、彼女は娘に母乳を与えていたのです。彼女は、赤ん坊を自宅の水で入浴させていました。彼等は家の中に入ってくる物質を吸い込んでいたのです。

    ナレーター: 彼女は後に、2001年にフラッキングで使用されていた化学物質と副腎腫瘍との関係を発見します。彼女がエンカナ社に行くと、彼等は、そのガス井戸でも他の井戸でも使っていないと否定しました。数カ月後に、結局、石油ガス委員会が、それが使用されていたことを認めました。

    身元不明の人物: ローラは、水は安全だと言われましたが、後で彼等が2BEについて全く検査していなかったことがわかりました。事件から、4年もたって、ようやく何か見つけられるかも知れないと調べました。とっくに消えていたのです。

    彼女は近隣の他の人々に話しました。彼女のような健康問題を経験している人が誰か他にいないか探し始めました。そこで他の人々が、彼等が聞いた人々のことについて、話し始めました。私は被害者の人数に驚きました。そして、これは深刻な問題かもしれないと思いました。そこで一体何が起きているのだろう?

    ナレーター: 何年もの医療費負担や、資産価値の低下で、選択肢が狭まる中、ローラは、彼女の問題の加害者企業、エンカナ社との金銭的示談に応じました。和解では、彼女は自分の話を公に話すをのを止めることが条件だったので、それが、彼女がこの映画でインタビューに出ていない理由です。企業との示談は、沈黙を条件とするため、彼女の様な多くの家族の話は、決して語られることがありません。

エイミー・グッドマン: デブラ・アンダーソンによるドキュメンタリー映画「分割所有権」Split Estateの一部でした。休憩の後、全国で水圧破砕(フラッキング)や水資源の汚染問題を調査してきた記者に参加頂きます。このままご覧ください。

[休憩]

エイミー・グッドマン: プロプブリカで、天然ガス採掘を巡る問題を調べているエイブラハム・ラストガーテンさんに参加いただいています。フアン?

フアン・ゴンザレス: ラストガーテンさん、まずこの水圧破砕(フラッキング)というのは一体どのように機能するのかお話ください?

エイブラハム・ラストガーテン: 石油とガスの両方を、非常に深い地下、場合によっては、地下3000メートルか4000メートルから採掘するのに使用されます。現在の探査では、ガスを小さな泡で閉じ込めている硬質砂岩やシェール(頁岩)を対象にしているわけで、そういうものは自由には流れません。そこで石油・ガス業界は、井戸を掘削し、何百万ガロンもの液体、つまり砂と水、そして私が調べているこうした化学物質を注入します。しかも彼等は、何千ポンドもの圧力で注入し、本質的に、地下の岩を破砕(フラクチャー)、粉砕、破壊し、ガスが逆に流れて、地上へと出てくるようにするのです。

フアン・ゴンザレス: あなたが調べておられる、そこで使用される化学物質については?

エイブラハム・ラストガーテン: それが何かを正確に知るのは非常に困難です。現時点で、業界はリストの一部を公開しています。彼等は、それがほぼ全部だと言いますが、記録を調べて、使用した全ての化学物質だと言おうとはしません。過去には、ジーゼル燃料も含まれていました。メタノールを主として使用するようになり、それは段階的に使用されなくなりました。それから、基本的に、液体の粘性を調整するために使用する様々な石鹸や、界面活性剤や潤滑剤や、あらゆる種類の物があります。彼等は、それがかなり粘度が高い物質として、穴の中に入って行くようにします。それから、制御をして、それを解放し、ガスがその跡を逆に流れ出せるよう、脇にどかせるというわけです。そうしたことを全て化学物質にさせるのです。

フアン・ゴンザレス: すると、要するに化学物質が、その後、残留物となったものが、何らかの地域の地下水源に流れ込んだかも知れないということですか?

エイブラハム・ラストガーテン: ええ、それを知ることは極めて困難でした。掘削が認められているアメリカ合州国のどの州でも、どれだけの量の液体や化学物質が井戸から回収されたかについて、記録が残されていません。こうした化学物質や、こうした液体が、地下で一体どれほど遠くまで浸透するかについて非常に懸念している地質学者達がいます。そして、こうした無数の汚染と関係する事例が全国中にあります。また、現在まで、この汚染を引き起こしている原因が、実際、破砕(フラッキング)プロセスなのか、それとも、何か他のものなのかを知るのは、実に困難なのです。また破砕プロセスそのものを巡る秘密が非常に多いというのも、その一因です。

エイミー・グッドマン: 影響を受けている主な地域についてお話ください。

エイブラハム・ラストガーテン: 掘削をしているところ、ほぼ全部です。31の州で掘削が行われています。掘削は、ワイオミング州とコロラド州で、長年行われています。アメリカで、少なくとも初期の段階で、恐らく最も集中的な開発が、そこで行われました。そして、そこで、水質の問題がかなり出始めています。こうしたものは、土壌に流出した漏れや、廃液の流れが、水に入り込んだものが大半です。また時には、全く不思議なこともあります。ドキュメンタリーでは、大変な圧力が、近くの大地にかけられた当日か数日後に、井戸が爆発した女性を映ってていますが、ある種の地質学的関係を示唆しています。ニュー・メキシコで、ワイオミングで、ルイジアナで、ニューヨークで、ペンシルバニアで、水の問題が起きています。

エイミー・グッドマン: 最新のワイオミングでのEPA研究は?

エイブラハム・ラストガーテン: 最も早く苦情が出ていたワイオミング州のパビリオンで、EPAは、今年早々、現地の水に何が起きているのか、初めて本格的調査を行いました。ガス業界や水圧破砕は調査しませんでしたが、実際に、水に関する苦情に応えて、水を検査すると決断したのは初めてのことです。彼等は現地に行き、できる限り客観的に、非常に広範な種類の汚染物質を検査しました。農薬や、農業の水に対する影響や、他の物質の影響を調査しました。

調査はまだ完了してはいないのですが、EPA職員は、非常に驚いたそうです。仮報告書の中で、発見したことを書いているのです。彼等はガス採掘に関連している様に思えるいくつかの物質を発見したのですが、その一つは、2-ブトキシエタノールとよばれる物質で、もっぱら水圧破砕に使われているというわけではありませんが、水圧破砕で使われています。清掃剤や、家庭用品でも使われています。しかし現時点では、水圧破砕に強い関連があるように見えます。

フアン・ゴンザレス: 掘削に関与している主要企業はどこですか?

エイブラハム・ラストガーテン: この業界は、下請け、孫請け等々の契約業者に委託する複雑な構造になっています。チェサピークであれ、 シェルやシェブロンであれ、全ての巨大石油会社は皆そうです。また彼等は、水圧破砕そのものを、サービス会社に委託しています。この業界は三大プレーヤーが牛耳っています。ハリバートンがその一社で、BJ サービシズとフランスの巨大企業シュルンベルジェです。

エイミー・グッドマン: エネルギー業界が、どのようにして議会で、飲料水安全法をごまかしたのか、どのようにして飲料水安全法から水圧破砕法(フラッキング)が免除されたのかお話いただけますか?

エイブラハム・ラストガーテン: これは、政治上、非常に問題な点です。ジョージ・W・ブッシュ政権初期に、ディック・チェイニーのエネルギー作業部会が、水圧破砕は、天然ガス業界にとって非常に重要で、産業を発展させる力があるものとして認めました。そして、それから一、二年のうちに、アメリカで最も重要な水質規制、飲料水安全法から、水圧破砕プロセスを免除する法案が提出されたのです。

それ以前に、法律の下で、EPAがどのように水圧破砕を規制していたのか、見なしていたのかは不明です。彼等は規制してはいませんでしたが、明らかに規制する権限が彼等にあったのです。免除する法律は、EPAによる調査に値する問題かどうかを決定する機会さえ奪い取ったのです。

エイミー・グッドマン: ここでまた「分割所有権」(Split Estate)の一部をご覧いただきたいと思います。映画製作者デブラ・アンダーソンが、EPAデンバー事務所の環境技術者ウェストン・ウィルソンにインタビューしています。2004年、ウィルソンは、フラッキングは、飲料水にとって"ほとんど、あるいは全く危険ではない"というEPAの研究に、公に疑問を表明しました。

    ウェストン・ウィルソン: ハリバートン元会長、最高経営責任者ディック・チェイニー氏は、副大統領に就任してから数カ月後、飲料水安全法規制から、水圧破砕を免除するよう、クリスティン・トッド・ホイットマンEPA長官に圧力をかけたのです。私は技術者として、EPAが技術的に、これらの物質がどれほど有毒か、注入箇所では有毒だ、と言っておきながら、規制する必要がないという要約をつけた報告を出すというのは、非常に憂慮すべきだと思ったのです。

    それで私は、04年秋に、技術的理由で反対することになったのです。EPAの監査官が、私の訴えを調査し始めました。そして数カ月後、議会は、他の情報と一緒に、EPAの、フラッキングは危険ではないという報告を受け、飲料水安全法下の規制から、水圧破砕を免除したのです。そこで、アメリカ国民のあなたや私がこの立場に放置されることになったのです。業界がアメリカの土地に一体何を注入しているのか、我々は知ることができません。報告義務も免除されています。

エイミー・グッドマン: EPAのウェストン・ウィルソンさんでした。ラストガーテンさん、感想は?

エイブラハム・ラストガーテン: EPAは、2004年に研究を行いましたが、研究はウェス・ウィルソンや、こうした問題で極めて直接的に仕事をした多くの科学者によって激しく批判されました。EPAは当時、コロラドで調査を行いました。現地に行き、水がおかしいという住民達の苦情を聞いています。彼等が現地に行き、州の規制当局に、汚染を見たことがあるかどうか尋ねると、規制当局はこう言ったのです。“いや、ほとんど見ていません。”そしてEPAは、地下水源に対し、潜在的なリスクがあるという科学的判断にも関わらず、良く読めば、彼等の報告書には明確にそう書いてあるのですが、先に行くと、非常に驚くべきことに、地下水には危険はないと結論しているのです。

私は報道で、プロセス中ずっと、EPAと業界との親密さが度を越していることを明らかにしています。情報公開法で、いくつかの文書を要求し、ハリバートン従業員とEPA調査員間の会話で、適用を緩めるのと引き換えに、ハリバートンに同意するよう要求していたのを発見しました。これらの文書の中では、EPAが申し出て、同意をしたように見えます。調査は、決して完全なものにも、 客観的なものにも見えないのです。EPAにとって、本当にこの問題に対する方向転換ですから、なぜ今ワイオミング州で起きていることの調査がそれ程重要かという理由です。

フアン・ゴンザレス: 当時のEPA長官はクリスティー・トッド・ホイットマンでした?

エイブラハム・ラストガーテン: そうです。

エイミー・グッドマン: 話はここで終わりますが、この国における健康にとって、非常に重要なあなたの報道にこれからも注目を続けます。この問題、全米の、フラッキングの問題を非常に綿密に報道しておられる調査報道ニュース・ウェブサイト、プロプブリカの記者エイブラハム・ラストガーテンさんでした。

記事原文のurl:www.democracynow.org/2009/9/3/fracking_and_the_environment_natural_gas

この日本語字幕の番組そのものは、「天然ガス掘削による地下水の汚染
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Democracy Now!、番組末尾の言葉通り、水圧破砕(フラッキング)の報道を継続している。
残念なことに、字幕翻訳されている番組、2009年9月のこの一件だけのようだ。番組は日本語Democracy Now!の「天然ガス掘削による地下水の汚染」で見られる。15分。

岩波書店の月刊誌『世界』3月号のフラッキング公害記事を読んで驚いた。一体どうしてこういう無謀な採掘がまかりとおるのか、不思議に思った。

9/11で陣頭指揮をとった副大統領、ここでも大活躍。軍事侵略・政府事業を一手に引き受ける超巨大企業が、計画的に推進していたというわけ。こういう企業が日本で自由に搾取活動をするのを可能にするのがTPP。

下記ブログ記事は、免除とした経緯を、明確に指摘しておられる。

水圧破砕法(ハイドロ・フラッキング)によるシェールガス開発の危険性

2050年までのエネルギー見通し というウェブ、エネルギー全般に関する情報満載。

「シェールガス革命」はエネルギー危機日本の救世主か?というページもある。

日本語Democracy Now!、フラッキング関連、例えば下記番組があるが、全て英語。

このシェールガスを買えというご命令、CSIS第三次ナイ・アーミテージ報告に明記してある。原発再開、TPP参加などの様々な恐ろしい命令と一緒に。大本営広報は報じない

米国市民団体がTPP秘密交渉を告発した驚愕の報道内容 2013年03月02日という
「天木直人のブログ」記事のおかげで、デモクラシー・ナウ!注目が高まった。デモクラシー・ナウ!を見ると、今週の人気動画1位は、
該当番組 TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具 2012/6/4

デモクラシー・ナウ!にお断りなしに番組の書き起こし文翻訳を当ブログに掲載したのは、2012/8/26のこと。

今回のTPPシンガポール・ラウンドに、 TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具 のロリー・ワラックさん、ジェーン・ケルシー教授、日本のアジア太平洋資料センターPARC事務局長もかけつけている。そして下記を発表しておられる。

大本営広報の虚報現地記事のデタラメさ・腐敗の極まりと、女性三人の格差!大本営広報はいらない。存在してはならない洗脳業。

シンガポール交渉にて、米国の「日本の参加問題」発言リーク!
日本はTPP交渉に参加しても、交渉内容に何の影響も与えられない!
TPP参加表明を絶対に許さない! 緊急声明文

TPPのシンガポール交渉の周辺を、アメリカNGOパブリック・シチズン・メンバーとして見てこられたアジア太平洋資料センター(PARC) 事務局長内田聖子氏インタビュー、非常に重要。虚報満載の大本営広報とは違うこと、ご覧頂かない限り、ご理解頂けまい。

インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(略称:IWJ)インタビュー

アジア太平洋資料センター(PARC) 事務局長 内田聖子氏 緊急インタビュー

1時間49分。長いと思われるかも知れないが、そんなことはない。

無料期間に見逃された方は、会員として、ご覧頂けるよう。

PARCにはパブリック・シチズンのロリー・ワラックさんが日本参加を懸念するビデオも。

ニュージーランドは、日本のTPP交渉への参加を望んでいない

プレス・リリース -ジェーン・ケルシー教授

新たに選出された安倍首相が、一年以上のはっきりしない臆測を終わらせて、来週、日本の正式な環太平洋連携協定(TPP)交渉参加希望を発表するものと予想されている。

2013年3月11日

Immediate release

宣伝にもかかわらず、ニュージーランドは、日本のTPP交渉への参加を望んでいない。

シンガポールで、最新のTPPA交渉を見守っているジェーン・ケルシー教授によると、新たに選出された安倍首相が、一年以上のはっきりしない臆測を終わらせ、来週、日本の正式な環太平洋連携協定(TPP)交渉参加希望を発表するものと予想されている。

‘日本の発表で、TPPはアジア太平洋自由貿易圏における金字塔的基準の実現に一歩近づいたという主張が飛び交うだろう。それは現実のごまかしだ’とケルシー教授は語っている。

ケルシー教授によれば、‘アメリカのオバマ大統領は、今年10月に協定をまとめたがっている。アメリカがルールを変えない限りは、それ以前に日本が交渉の席につける可能性はない’。カナダとメキシコが、オークランドでの交渉に参加することを認められるまで、一年以上かかったが、日本の参加は、それよりずっと複雑だと教授は語っている。

参加希望表明は、長く困難なプロセスの第一歩だ。安倍政権は、大規模な抗議行動、与党内の分裂の脅威と、7月の参議院選挙に直面して、重要な関心分野で可能な約束で、11の政党各党を説得する必要がある。彼の党の綱領は、米、牛肉、酪農製品や砂糖などの重要な製品を、交渉から除外すると約束しているが、これはオーストラリア・日本間の自由貿易交渉を長年行き詰まらせている問題だ。

カナダとメキシコ同様、日本は、自分達が受け入れようとしている法律文書を見ることを許されないまま、これまでに合意された全てのことを受け入れなければなるまい。

日本が全ての政党を納得させても、アメリカでは、更に、交渉90日前の議会への通知と、協議プロセスがある。日本参加に反対して、自動車産業や労働組合等の強力な組織が、議会の議場にどっと流入するだろう。

‘ニュージーランド政府は、日本の参加希望について、好意的に語ろうとはするだろうが、ケルシー教授によれば、実際には全ての重要な問題が解決されるまでは、日本を交渉の席にはつかせたくない’のだ。

これには理由が二つある。日本は経済大国で、本当の交渉力と、保護すべき多くの重要な国内の利益があることだ。日本の積極的な参加は、交渉を複雑化させ、10月に政治的に協定とりまとめをするという現在の目標を到底実現不可能bちしてしまう。

‘ニュージーランドにとって重要なことに、アメリカは、重要な農産物の特別扱いに対する日本の要求を支持することを示している。これは、アメリカ自身の交渉戦略を強化しよう。16回の交渉後も、彼等はいまだに、ニュージーランド酪農製品輸出の意義のある市場アクセスについて協議することを拒否している。’

‘同時に、主要経済・政治大国としての日本が、すでに決まったことに、そのまま署名するだろうとは思われない。まとまったTPPに、たとえ日本が同意したとしても、日本はいくつかの点の交渉再開を主張するだろう。’

終わり

Content Sourced from scoop.co.nz
元のurl

記事原文のurl:www.itsourfuture.org.nz/new-zealand-wont-want-japan-participating-in-the-tppa-talks/

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延々議論せず、早くTPP参加表明しろという類の発言をする江田けんじという人、日本の庶民の為の政治家というより、宗主国大企業の政治家に見えて不思議だった。
ご本人のページを拝見して納得。
ハーバード大留学時のルームメイトがオバマ政権の大統領補佐官マイケル・フロマン

「彼に一票を投じるのは、宗主国大企業に投票するのと同じ」に思えたのも不思議でなかった。

そして、共同通信配信のniftyニュースでは、とうとう予想通りのひどいことになった。

自民、TPP交渉参加を容認

アメリカ・インディアン悲史』日本版が、いよいよ、これから始まる。

「完全植民地と放射能汚染と、侵略戦争への鉄砲玉派兵」を未来永劫子孫に残す凶悪犯罪集団が日本を運営している。テレビをみるたび、これが本物のエイリアンだと思う。

参院選で、自民・公明という与党、みんな、維新等(マスコミ、勝手に野党と呼ぶが純然たる右翼自民別動隊)の地滑り的議席減がなければ、日本は永久に地獄に落ちる。

自民党を始めとする売国政治家、ひどい連中だ。しかし、いくら大本営広報プロパガンダに洗脳されていても、いいかげん「いやだ」と声をあげ、本当の野党らしき弱小政党や、絶滅危惧種へ投票しない有権者も売国奴隷ということだろう。

TPPも、憲法9条破壊も、庶民には、百害あって一利なしなのに。

今回のシンガポール・ラウンドには、ジェーン・ケルシー教授、ロリー・ワラックさん、日本のアジア太平洋資料センターPARC事務局長の方もかけつけている。そして下記を発表しておられる。

大本営広報の虚報現地記事のデタラメさ・腐敗の極まりと、三人の方々の行動の格差!

シンガポール交渉にて、米国の「日本の参加問題」発言リーク!
日本はTPP交渉に参加しても、交渉内容に何の影響も与えられない!
TPP参加表明を絶対に許さない! 緊急声明文

TPPのシンガポール交渉の周辺を、アメリカNGOパブリック・シチズン・メンバーとして見てこられたアジア太平洋資料センター(PARC) 事務局長内田聖子氏インタビューは非常に重要。

インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(略称:IWJ)インタビュー

アジア太平洋資料センター(PARC) 事務局長 内田聖子氏 緊急インタビュー

無料期間に見逃された方は、会員として、ご覧頂けるよう。
1時間49分。長いと思われるかも知れないが、決してそんなことはない。

パブリック・シチズンのロリー・ワラックさんが日本参加を懸念するビデオも。

四丁目でCAN蛙」様による彼女の発言字幕書き起こしを引用させていただく。

私たちはTPP交渉が行われているシンガポールにて日本政府がTPPに参加しようとしていると聞き、大変心配しています。

日本が、ルール作りに参加する権利も、何に合意するのかを知る権利すらないのに、参加しようとしているからです。

日本はこれまでのすべての合意を受け入れると言った、私たちはそう理解しています。

それは900ページもあるルールに、日本の既存の、および未来におけるすべての法制度を合わせなければならないということです。

貿易だけでなく、医薬品の価格やアクセス、食の安全や食品表示、郵便の規制やエネルギーや輸送サービス、銀行、消費者の権利保障などの分野においてです。

数多くの、貿易に全く関係のない国内政策が指図されていくのです。

何が書かれているのかを見ることが出来ず、たった一文字の変更も許されないままに、このルールを受け入れること、それが日本がTPPに参加する際に要求されます。

つまり、日本は「交渉」に参加するのではなく、「すでに条項の定められた協定」に参加するわけです。

なぜ安倍政権が、日本にとって、こんなにも無礼で危険なプロセスに合意しようとしているのか、とても不可解です。

しかし、それが私たちの聞いたところです。

既に協定に参加している国では、強力な反対運動がいくつも起こっています。

しかし、それらの国は、すでに規定された条項が押し付けられているわけではありません。

日本の人々にとってTPPの参加は二重の危険であり、二重の侮辱なのです。

岩月弁護士が書いておられる記事も必読。大本営広報紙・テレビは無視しよう。今も、ムシズガハシル・アメリカ国務省高官が「日本の参加は、アメリカにとって良いことだ」と素直な発言を宣伝してくださっている。当然、日本にとって良いことだとは言っていない。

ところで、Paul Craig Robert氏が記事「規制撤廃が、いかにしてアメリカの経済的不安定をよみがえらせたのか」で参照している本、ジョン・グレイ 『グローバリズムという妄想』(1999年に翻訳が出た)に、日本についての記述部分がある。

原書刊行の1998年当時は、ワシントン・コンセンサスというもので攻撃されていたようだ。宗主国は、ずっと非関税障壁の破壊、日本の破壊をねらってきたのだ。素人、全く記憶はないが。ワシントン・コンセンサスをTPPに置き換えれば、そのままかも。 ジョン・グレイの他の翻訳書は購入できるようだが、この本は、品切れか絶版のようだ。それで、一部をコピーさせて頂こう。

237ページ 「第一の開国」というお話。宗主国お決まりの砲艦外交。

独自の近代化:日本のパラダイム

一八五三年、ペリー提督が日本に一六四一年の鎖国以来初めて外国との通商に門戸を開かせた時、彼は二百年以上も変わっていなかった日本人の生き方を混乱させる以上のことをしたのだった。彼は人類の歴史でもユニークなものかもしれない実験を終わらせた。江戸時代の日本は、近代初期の軍事技術を放棄し、鉄砲から刀に後戻りした。日本の支配エリートは、科学的進歩に関する西欧の理論を不可能事であるとみなすよう仕向けた。すなわち技術進化の逆である。
 ペリー提督の黒船の到着は、緻密で用心深い日本のエリートたちに、二百年以上も続いた外界から隔絶された平和な暮らしには未来がないことをはっきりさせた。彼らは阿片戦争における中国の運命を観察し、西欧列強によってもたらされ得るものが何であるかを知った。ペリー提督は将軍宛ての手紙の中で、日本が通商を開放しなければ、春にも「大型戦艦」の訪問を受けるだろう、と脅した。ペリーの黒船によって日本の孤立とロー・テクノロジーの実験は終わった。それは「ゼロ成長経済が繁栄と文明化された生活と完全に両立する」ことを証明した実験だった。ペリーの黒船は同時に、日本を野心的な近代化コースにつかせた。その結果、日本は一九〇三年に対馬でロシア帝国艦隊を壊滅させた海軍を持って二十世紀を迎えることになるのである。

238ページ-239ページ 彼等が非課税障壁というのは、歴史的な文化の差異。

日本の企業は、中世から引き継がれた制度への接木として発達した。日本が十九世紀の最後の数十年の間に発達させ始めた近代的な工業経済は、そのもっとも重要な部分にあった社会秩序を破壊しないまま内包させていた。武士階級、すなわちサムライ層が先導した日本の近代化は、その出発点だった封建的秩序が崩壊しなかったからこそ可能だったのである。
 技術の絆が古い社会構造に作用し、それを崩壊させるというマルクス理論は、日本の場合にはほとんど適用されなかった。知識の成長とアイデアの革新を通じて社会が進化するというリベラル的な通説についても同じである。西欧の歴史をモデルにした近代化物語は日本の経験には通用しない。
 新古典派経済学の理論は、今日の日本経済の現実に光を投げかける上で、限られた価値しか持たない。日本の企業が市場をめぐって激しく競争しているのは、世界のほかの国と同じであるが、日本の資本主義とアングロ・サクソン型の市場個人主義とは大きく違っている。偉大な社会理論家のほとんどは資本主義論のモデルを後者に基づいて構築し、そこからワシントン・コンセンサスも生まれているのである。
 従業員や外の社会との関係において、日本の市場制度は契約の文化よりは信頼のネットワークに依存している。アメリカの企業に比べれば、日本の組織は周囲の社会構造から切り離されている度合いがはるかに少ない。国家組織との関係は密接で連続的である。日本の資本主義が示す倫理性は個人主義的でなく、そうなる兆しも見せていない。
 日本の資本主義とイギリス、アメリカの資本主義との間にあるこの深い、いつまでも続く相違は根本的な真理を示すものだ。

240ページ

日本の政策決定者はあまり目立たないように、最近では以前よりははっきりと、近代化が西欧的な制度や価値と同じものに帰着するという考え方を退けてきた。ワソウも言っているように、日本の政策決定者は、「いわゆる収斂の仮説、すなわち、工業主義には全世界に共通する論理があり、それは最初に工業化する国に見られる社会関係(個人主義、自由労働市場、その他)は必然的に他の国でも発達するという理論を拒絶した」のである。
 この収斂の仮説の一変形がもちろんワシントン・コンセンサスの基礎の一つである。しかし日本ではどこの国よりも明らかに、経済発展に関するワシントン・コンセンサスは、歴史の証拠によって覆されてきた。

242ページ-243ページ 全くうまくいっていない自分のモデルをおしつける不思議。

 日本の経済を社会の働きと一体化させている相互連結は、この何十年か、アメリカ政府の交渉者や多国間機構による攻撃の的となってきた。こうした相互連結は保護主義の防波堤という汚名を着せられ社含まとまりを維持する上でそれらが果たしている役割は理解されないままできたか、あるいは拒絶されてきた。都市を維持するのに力がある、社会的制度としての街角の小さな商店の機能は、ワシントン・コンセンサスには姿を現さないのである。社会のまとまりを守る上で、街角の商店のほうが大量の刑務所収容よりも有効に機能するかもしれないという可能性は、奇怪なものとして片付けられてしまう。そもそもそのような可能性は考慮の対象にすらならないのである。
 ある明敏なイギリスの観察者は次のように述べている。

 アメリカ司法省の報告によれば、最新時点で百十万人が刑務所に入っている。これは男、女、子供も含め全人ロのうちおよそ二百人に一人という割合である。アメリカがこのような社会を作り出しているのだとしたら、規制撤廃から機関投資家の力、福祉事業に至るまで、われわれはどうしてアメリカを社会的、経済的に模範にしようとするのだろうか?ところがアメリカは、すべての国際機関にとっての青写真になっているのだ。OECDは(日本に関する年次報告書の中で)小規模商店の保護を終わらせるようさらに規制緩和を要求している。OECDは、過去十五年間に日本では十五の商店につき一つが廃業したと勝ち誇ったように満足している。小規模商店はかつてない早さで姿を消している。大きな社会的混乱という犠牲を払って、わずかばかりの効率の向上が得られているのである。

 ワシントン・コンセンサスの日本に対する要求は、小規模商店の廃業だけではない。貯蓄率を低下させること、完全雇用文化を放棄すること、市場個人主義を採用することなどが含まれる。全体として見れば、ワシントン・コンセンサスの要求は日本に日本であることを止めよと要求しているに等しい。

243ページ

 もし日本の政策決定者がワシントン・コンセンサスの要求に屈するなら、日本は大量失業、氾濫する犯罪、社会的まとまりの崩壊という解決法のない問題を抱えるすべての西欧社会の仲間入りをするだろう。

2013年3月13日 (水)

米国の狙いは日本に非関税施策を解除させること-米議会調査局文書(5)「日本のTPP参加可能性と、その意味あい」まとめ風

日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい

TPP交渉への日本参加は、アメリカの日本との通商と投資における機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって構想され、交渉されている
TPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本がTPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

米議会図書館議会調査局文書「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」の、市場アクセスという項目に明記してある。

大本営広報部は、「関税の聖域、一部農産品除外の条件闘争」以外は絶対に報道しない取り決めがあるに違いない。テレビで、抗議デモを映しても、各地の農協の方が、米問題を主張するコメント風景しか流さない。
自民党内の調査会?での茶番大声論争を流し、党内は条件闘争でまとまったという。

そうではない。条件闘争では、根本的問題は全く解決しない。関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。

米議会図書館議会調査局2012年8月24日付け文書 「日本のTPPへの参加可能性と、その意味あい」
Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implications
の部分翻訳

ここからpdfファイルをダウンロード可能。

なお、同じ性格の文書で、より新しいものに、米国議会図書館議会調査局「TPP交渉と議会にとっての問題点」がある。
The Trans-Pacific Partnership Negotiations and Issues for Congress
January 24, 2013

ごく一部、「日本」という項目のみ米国議会図書館議会調査局「TPP交渉と議会にとっての問題点」 部分訳として翻訳してある。

「日本のTPPへの参加可能性と、その意味あい」の内容は以下の通り

「アメリカのステークホルダーの意見」という未翻訳の項目、各界からコメントを求めた結果概略がある。外務省ウェブにある興味深いPDFと関連しているように思える。TPP 協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要:主要団体の意見詳細)

要約(今回翻訳文を追加)
目次
はじめに(未翻訳)
TPPの概要(未翻訳)
アメリカ製自動車の市場アクセス
貿易関係の管理
残された課題とTPP
アメリカ牛肉の市場のアクセス
アメリカ製自動車の市場アクセス
保険、宅急便と、日本郵便
日本のTPPへの参加可能性と、その意味あい
アメリカの全体的目標
市場アクセス
ルールに基づく貿易の枠組みと、公平な紛争処理
TPPの強化
日本の狙い
日本政治とTPP
アメリカのステークホルダーの意見(未翻訳)
見通し、ありそうな結果と影響(未翻訳)

要約

2011年末、一年間内部で延々審議した後、日本政府は環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の可能性を検討することを決定した。TPPは少なくとも
11ヶ国-オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、アメリカ合州国と、ベトナムの間の
自由貿易協定 (FTA)となる予定だ。アメリカ合州国と、TPPパートナー諸国は、協定を
“貿易と投資を自由化し、新規の問題や伝統的な貿易問題や、21世紀の課題に対処する包括的な次世代の地域協定”として構想している。

議会はアメリカのTPP参加問題に対して、直接的な監督の役割を持っている。もしTPP
がアメリカ合州国に適用されるのであれば、議会は法律制定を承認する必要がある。既に、議員の中には、日本がTPPに参加することを認めるべきか否か、ま
たどのような条件で認めるかについて、議論に参加している人々もいる。プロセスが進行するにつれ、より多くの議員がそうする可能性がある。

日本の指導者達は、TPPについての最終判断をまだしてはいないが、メインのTPP交渉とは別に、9ヶ国のTPPパートナーのそれぞれと協議してき
ている。(カナダとメキシコは、 公式には協議に参加していない。) 執筆時点で、日本は6ヶ国との協議を終えており、その全てが日本の参加
を支持しており、その全てが既に日本との二国間
FTAを交渉してきたか、現在交渉過程にある。アメリカ合州国、オーストラリアと、ニュージーランドとの協議は継続中だ。オバマ政権は、もし、アメリカ合
州国に、日本のTPP参加を支持して欲しければ“頼醸成措置”として、日本が対処する必要がある三つの問題を明らかにしている。日本のアメリカ牛肉輸入制
限、デトロイトを本拠とするアメリカ・メーカーが製造した自動車の日本市場アクセス、そして国営の日本郵便の保険と宅急便子会社の優遇である。協議完了の
期限は設定されていない。

TPPは、オバマ政権の主要なアメリカ貿易政策イニシアティブであり、地域のルールと規範を形成する上で、より積極的な役割を演じることで、アメリ
カ外交政策の優先度をアジア太平洋地域に“重心を移す”という、政権の取り組みの核心である。アジア第二の規模、世界で第三位の経済であり、またグローバ
ルなサプライ/製造チェーンの主要リンクである為、日本の参加は地域の自由貿易協定としてのTPPの威信と実行可能性を強化する上で極めて重要である。

アメリカ合州国とともに、日本がTPPに加盟すれば、事実上の米日FTAということになろう。もし日本がアメリカ製品とサービスに対する市場アクセ
スにかかわる、積年の問題を解決できるのであれば、アメリカ実業界の大きな部分は、日本のTPP参加を支持する。しかしながら、デトロイトを本拠とするア
メリカ自動車業界は、日本のTPP交渉参加に強い反対を表明している。

TPP貿易交渉に参加すべきか否かという問題は、日本国内で、様々な注目や論議をひきおこした。参加への反対は、特に農業団体等の既得権益集団の間
で強く、与党も最大野党も分裂している。現職の野田佳彦首相は、晩夏か、初秋、いくつかの国内の優先問題を済ませた後に、日本の交渉参加をする決意だと、
多くの専門家は考えている。しかしながら、8月には、"早い時期"、恐らくは2013早々に議会選挙を行うと約束するよう主要野党が強いており、野田が権
力の座にいられる可能性は低い。野田首相の党、民主党は振るわない結果になり、恐らく首相の座を失うだろうと広く予想されている。最大野党は、ある種の例
外が認められない限りTPPに反対している。日本政治的不安定さを考えれば、たとえ日本が交渉参加に成功することに成功したにせよ、最終協定を承認する時
期となった際、東京の政権が、この反対を克服するのに十分強いかどうかは明らかではない。

日本のTPP交渉参加の見込みは、現時点では不明で、様々な要素に依存している。恐らく、最も重要な要素は、日本の政治指導者が、交渉を進めるか否
かについて、そして更に、参加の条件について、日本がTPPパートナーと合意できるのかどうかについて、政治的合意に至れるか否かである。2012年秋の
交渉に正式に参加するカナダとメキシコが加わったことは、この二国が日本に対するそれぞれの要求を持っている可能性がある為、交渉を複雑化させる可能性も
ある。

TPP問題は、アメリカ合州国と日本にとって、リスクと好機の両方である。一方で、もし成功すれば、二国に、積年の困難な問題に対処することを強い
て、関係をより上のレベルへと高めることを可能にすることで、安定してはいるものの、停滞している経済関係を再度活性化できる可能性がある。
一方、成功し損ねれば、内在する問題が、克服するには余りに根本的であることを示しかねず、
関係を後退させかねない。アメリカ合州国、および/あるいは、日本がより開かれた貿易関係に対する国内の反対に対処しそこねたことを表しかねない。


貿易関係の管理

長年にわたり、米日経済関係は、時には同盟の安定性を脅かす程にまで至る、様々な摩擦を経験してきた。第二次世界大戦後、長年、アメリカ合州国が、
日本との経済関係を支配していた。アメリカ合州国は、圧倒的な世界最大の経済であり、日本は安全保障をアメリカ合州国に依存していた。アメリカ合州国が議
題を設定し、この議題に上げられる問題は、アメリカ合州国への輸出、および/あるいは、アメリカの輸出と投資に対する障壁
を取り除くという、日本に対するアメリカの要求によって決められていた。

1960年代と、1970年代、主要問題は、高関税や、国境での制限を通して実施されていた、日本の他の保護貿易主義的経済政策とみなされるもので
あった。日本経済が次第に発展し、競争力を増すにつれ、関税および貿易に関する一般協定(GATT)、現在の世界貿易機構(WTO)、の他の加盟諸国と、
日本が関税引き下げを交渉した際に、表向きは保護貿易主義ではないが、貿易を制限するような形で適用され得る政府規制等の“国内”施策を含む非関税障壁
に、アメリカ合州国は焦点を当てた。ある種の施策はWTO協定の対象ではなく、それが非貿易的な機能である為、現在、貿易交渉中では容易には対処されずに
いる。そのような施策の例には下記のようなものがある。

    • 輸入車販売に対する差別と言われている自動車購入に対する国内税や他の規制
    • 特定の国内建設サービス企業をひいきする政府契約入札制度
    • その保護を意図して作られた小型店より、輸入製品を販売する可能性の高い大型小売店の開店を阻害する区画規制
    • その多くが輸入である、 新規で最先端の医薬品や医療機器の購入を阻害する政府の健康保険診療報酬支払い規制; そして
    • 半導体製造に対する政府助成金

これらの非関税障壁に対処するため、日本とアメリカ合州国は、主としてアメリカによる教唆により、政府対政府の経済関係を行う特別な二国間の枠組みと取り決めを導入した。これらの取り決めの中には下記がある。

    • 市場志向型分野別 (MOSS) 協議 1985年開始;
    • 構造障壁協議; (SII), 1989年3月開始;
    • 米日包括経済協議、1993年開始;
    • 日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく年次改革要望書(改革要望書)、1997年開始;
    • 成長のための日米経済パートナーシップ(経済パートナーシップ)2001年開始; および
    • 日米経済調和対話、2010年開始、現在二国間協議用の主要な二国間フォーラムとして機能中。

二国は、自動車と半導体を含む特定製品の日本の貿易慣行に関するアメリカの懸念に、日本が対処することに同意するという二国間の取り決めや覚書(MOU)も締結した。
こうした取り決め の手法は様々だった。しかしながら、これらは、いくつかの基本的特徴を共有している。これらは二国間のものだった。規制や他の基本的障壁に焦点を当てることで、米日貿易問題を解決するように設計されていた。そして、主にアメリカ合州国側が提案していた。しかしながら、それが対処すると期待された問題の多くが、そのまま残っている事実から判断して、これらの方策の効果は限定されていた。

残された課題とTPP

米日経済関係をいらだたせ続けてきた問題の多くが、TPPの枠内で対応可能かも知れない。アメリカの議員や他のステークホルダーは、もし解決ができれば、日本をTPPにとりこむことへの、アメリカの支持を強化しうる“信頼構築の施策”と見なすことができるであろう三点を特定している。問題点は以下の通り。アメリカ牛肉に対する日本の制限、デトロイトを本拠とするアメリカ自動車メーカーが製造した自動車の日本での市場アクセス、そして、国営の日本郵政の保険と宅急便子会社の優遇措置だ。

アメリカ牛肉の市場アクセス

2003年12月、ワシントン州で、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる“狂牛病”)のアメリカ最初の事例が発見されたことに対応して、日本は、他の多
数の国々と共に、アメリカ牛肉輸入禁止を課した。2006年、多数の交渉後、日本は20カ月以下の牛の牛肉を認めるよう制限を緩和した。(韓国や台湾等、
他国の中には、30カ月以下の牛のアメリカ牛肉輸入を許可している)
アメリカ牛肉生産業者と一部の議員は、国際的監視機関が牛の年齢とは無関係にアメリカ牛肉は安全だと宣言しているので、日本は制限を完全に解除すべきだと
主張している。アメリカと日本の当局者間の交渉は、この問題を解決できていない。

2011年11月12日、ハワイ、ホノルルでのAPEC指導者フォーラム会合前の、オバマ大統領との会談で、野田首相は、日本の牛肉輸入規制を改訂し、アメリカ牛肉の市場アクセスを拡大する取り組みが進行中であることを示した。ホワイト・ハウスによれば、“大統領は、こうした初期対策を歓迎し、科学に基づく、この積年の問題を解決することの重要性に言及した。野田首相によって行われている迅速な対策に励まされる思いであり、 こうした構想で彼と密接に仕事をすることを期待している。”14
2011年11月17-18日の東京での日本の当局者との会合で、デメトリオス・マランティス米通商部(USTR)次席代表は、アメリカ牛肉に対する制限
解除の問題を話題にした。15
2011年12月、日本は、日本に輸出するアメリカ牛肉用の牛の最高年齢を20カ月から30カ月に上げるという目的で、BSEに関連する規制を見直していると発表した。

2012年4月24日に、アメリカ農務省(USDA)検査官が、中部カリフォルニアのレンダリング施設で、この病気のサンプリングをしたものの中で、牛のBSE症例を発見した。USDAは、 この牛は、人間の消費用に屠殺したものではないので“食品供給や、人間の健康にとって、決してリスクにはならない”と述べた。16
日本当局者は、最近BSEが発見されたが、アメリカ牛肉の輸出に対する政策は変えていないと発言した。17

アメリカ製自動車の市場アクセス

自動車と自動車部品関連の貿易と投資は、米日経済関係の中で、非常に微妙な問題であり続けてきた。問題の根は、1970年代末と、1980年代初期、主としてガソリン価格急速な高騰に対応して、アメリカ消費者の小型車需要が増加した結果、アメリカの日本製自動車輸入が急増したことにある。

一方、アメリカ製の自動車の需要は急落した。日本製の自動車輸入制限という形での、アメリカ自動車業界の圧力と、議会からの圧力に直面して、1981年に、レーガン政権は、自発的輸出制限に合意するよう、日本を説得した。日本の自動車会社は、制限に対応して、アメリカ合州国内に製造工場を建設し、高価値の乗用車を輸出することにした。アメリカのメーカーは、日本国内での外国製自動車販売と、アメリカ合州国で製造された日本車でのアメリカ製部品使用を制限する為、日本は様々な手段を使っていると主張した。これらの問題は、1990年代中、二国間交渉と合意の対象とされた。合意は、概して、政府規制が、日本でのアメリカ製自動車の販売を決して妨げないようにするという日本政府の約束と、アメリカ合州国で製造される自動車で、アメリカ製自動車部品の使用を増やすという日本メーカー側の自発的努力という形のものだった。アメリカ政府は、日本へのアメリカ製自動車の輸出促進プログラムを実施すると約束した。

デトロイトに本拠を置く三社の自動車メーカー、クライスラー、フォードと、ゼネラル・モーターズは、日本がTPPに参加する可能性に対し、日本政府の規制が、日本国内の自動車売り上げ中で、彼等が応分のシェアを得るのを妨げ続けていると非難している。彼等は日本の全自動車売り上げ中の、伝統的に小さな輸入車のシェア、約5%に触れている。対照的に、2010年の輸入は、アメリカでの軽自動車の売り上げの26%を占めている。18アメリカ・メーカーはまた、2010年の総売り上げ中の、アメリカ製自動車の0.2%という小さなシェアを指摘している。

とりわけ、アメリカ自動車メーカーは、安全規制と、車検規制と、そうしたものの進展と実施での透明性の欠如が、アメリカ製の車の輸入を妨げていると主張している。アメリカの自動車メーカーは、日本で、自分達の車を販売するディーラーを設立する障壁にも言及した。19
日本側の業界は、アメリカ・メーカーが、日本で需要がある小型エンジン車両を十分な量、製造していないのだと主張している。対照的に、ヨーロッパ・メーカーは、そうしたモデルを多く製造しており、2010年の日本国内販売で、彼らのシェアは、2.9%である。20

保険、宅急便と、日本郵便

日本は、アメリカ合州国に次いで、世界で二番目に大きい保険市場である。アメリカに本社を置く保険会社は、市場参入が困難であることに気がついた、特に、生命保険と年金保険。彼等は、日本の国内の保険市で大きなシェアを有する国営郵便制度の保険子会社、日本郵政保険に政府が与えている有利な規制の扱いを憂慮している。日本郵政は、他の業務からの収入で、保険業務を補助している。また、日本郵政の保険は、他の国内、外国、両方の民間保険会社に対するのと同じ規制を受けずにいる。同様に、アメリカの宅急便会社は、日本郵政の宅急便運送会社は、国有の親会社から補助を得ており、それが、競争上の不公平な優位性を与えていると非難している。

日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい

2007年10月1日、当時の小泉純一郎首相政権は、日本郵政の改革と民営化を導入し、彼の政権の主要目標とした。ブッシュ政権と多くのアメリカ企業、特に保険会社は、こうした改革を支持した。しかしながら、民主党が率いる後継政権は、改革を巻き返す措置を講じた。2012年3月12日、政府は規制の要求を緩和する法案を提出し、2012年4月27日、日本の議会が、法案を法律として成立させた。業界報告や他の意見によれば、法案は小泉政権が導入した改革を逆転するものだ。21 法案は、与党の民主党と、二大野党、自由民主党 (自民党)と公明党議員達による妥協パッケージだとされている。22

アメリカの全体的目標

日本のTPP参加の可能性は、様々なアメリカの貿易、外交政策目標に関わっている。アメリカ合州国は、2011年11月のTPP参加の可能性を追求するという野田首相の声明を積極的に歓迎した。しかしながら、USTR ロン・カークは下記のように明記している。交渉に参加するためには、日本は貿易自由化のTPPの高い水準に合致する用意ができていて、農業、サービスと、製造業に対する非関税施策を含む障壁について、アメリカ合州国が関心を持っている特定の問題に対処しなければならない。日本のTPPへの関心は、この構想の、この地域に対する経済的、戦略的重要性を実証している。23

市場アクセス

TPP交渉への日本参加は、アメリカの日本との通商と投資における機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本がTPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

ルールに基づく貿易の枠組みと、公平な紛争処理

アメリカ合州国と日本が過去に使ってきた二国間の枠組みの欠点の一つは、そこに正式な紛争処理機構がないことである。例えば、アメリカ製自動車と自動車部品の日本市場アクセス、半導体の日本の貿易慣習や、建設サービスの日本市場アクセスを含む1980年代と、1990年代の、多数の貿易紛争は、アメリカによる一方的な行動の脅しをともなう、全体的な関係をむしばみかねない、深刻な政治問題と化した。

紛争は通常、瀬戸際で解決されたが、日本の貿易慣習の意味ある変化や、対象になっているアメリカの製品輸出の大幅な増加をもたらさないことが多かった。TPPは、WTOを越えるが、問題解決において、1対1の対決の役割を小さくするよう、WTOで用いられているような、公平な複数メンバーの紛争調停機構を用いる可能性の高い、相互に合意した一連の規則を提供することとなろう。

TPPの強化

アメリカから見て、日本は、TPPの経済的重要性を増すだろう。TPP(オリジナルの9ヶ国プラス、カナダとメキシコ)がカバーするアメリカ商品の貿易額を、2011年データに基づく、34%から、39%に増大するだろう、また、TPP内でのサービス貿易と、外国投資活動も増大するだろう。(図1参照) 日本は、TPP加盟国(カナダとメキシコを含む)占める世界経済でのシェアを、約30%から、38%に増大させるだろう。

日本の参加は、TPP内の多くの問題で、アメリカの立場を強化する可能性がある。アメリカ合州国と日本は、以下を含む目標を共有している。知的財産権の強力な保護、外国投資の保護、貿易を促進する明確な原産地規則、サービスの市場アクセス。

日本の狙い

日本のTPP交渉参加の背後にある根底的な論拠は、二十年間、相対的に伸び悩んだ後、中国や、韓国の様なミドル・パワーと比較して、日本の経済的、政治的影響力が低下しているという、多くの日本人の間で増大しつつある感覚だ。急速に高齢化し、次第に減少しつつある日本の人口のせいで、生活水準を上げるのではなくとも、維持する為には、成長の新たな源を開発する必要があるという感覚が、多くの人々の間で強くなった。日本のTPP支持派は、消極的なものもあれば、積極的なものもある、様々な重なり合った理由から、交渉参加を訴えている。

    • 特に急速に成長しつつあるアジア太平洋地域に日本の輸出を拡大することで、日本の成長を促進し、日本の空洞化を、つまり他の国々への日本企業移転防ぎたいという切望。WTOの貿易交渉“ドーハ・ラウンド”の10年間にわたる行き詰まり、プラス、過去十年間の二国間、多国間FTA爆発的増加により、日本も慎重にFTA締結を目指すようになった。27
      先に触れた通り、日本はアジアのグローバル・サプライ・チェーン中の重要なリンクであり、TPPはサプライ・チェーン内の運用を促進する可能性がある。逆に、より大きな環太平洋経済統合は、こうした製造・輸出ネットワークにおける日本の立場をむしばむ可能性がある。28
    • 日本がFTA交渉で立ち遅れているという感覚。日本は、13のFTA、経済連携協定(EPA)と呼ばれるものを締結しているが、主要経済大国とのものは、恐らく、2011年の日印EPAという例外の他にはなく、そうしたものの多くは、農産物貿易を除外している。(表3を参照)
      対照的に、多くの日本人が、今では自らを比較するようになっている国の韓国は、アメリカ合州国や、欧州連合(EU)とFTAを締結し、2012年には、中国と交渉を開始した。もし日本が、FTA競争に遅れをとれば、日本の企業は競争上、不利なまま取り残されてしまうという感覚だ。29
      日本は遅ればせながら、EUとのFTA交渉を開始するかどうか論議し、中国と韓国との三国間FTA交渉を開始することに合意して、格差を埋めようとしてきた。実際、この二つの交渉-とりわけ“CJK”(中国-日本-韓国) FTA交渉を、TPP参加の代替案と見る日本人もいる。
    • TPP参加は、日本国内の経済改革を推進するのに役立つという考え方。長年にわたり、多くの専門家や政府幹部は、経済を刺激するには、日本には構造改革が必要だと主張してきた。多くの日本人評論家や当局幹部は、改革に対する既得権益からの反対を克服する一つの方法は、(真の狙いを隠す)政治的大義名分として、改革志向の集団や個人の助けになる、TPPの様に、包括的で高い水準のFTA交渉を利用することだと考えている。また、TPP交渉は、交渉のパートナー達から譲歩を得ることで、日本が貿易構造改革の恩恵を得られるようにする可能性がある。
    • TPP加盟は、日本のアジアにおける戦略的な立場に役立つという希望。TPP加盟は、アジア地域内と周辺のミドル・パワーと東京との関係を強化することで、米日同盟を補強するという近年の日本の動きを補完する。この活動の背後にあるのは、中国の勃興が日本の影響力を衰退させており、いずれは安全保障と経済的利を脅かしかねないという懸念だ。

日本がTPP交渉に参加するかどうかを巡る交渉事前の時点では、日本政府が、アメリカ合州国に、何らかの譲歩を要求した様には見えない。日本が交渉
に入るのを、政治的により容易にする為、恐らくアメリカ合州国が日本に提供することができるものがいくつかありそうだ。こうしたものの中で、最も重要なも
のは、最終的な協定では、米等いくつかの例外が認めらるだろう、という理解だろう。そのような約束は、全ての項目が“検討対象だ”というTPPの運用前提
の違反とはなろうが、多くの人々が究極的には、最終的な協定は、少なくとも少数の“聖域”を残すことを認めるだろうと考えている。

日本政治とTPP

日本がTPP交渉に参加すべきか否かという問題は、一面記事となることが多く、参加可能性についての真面目な議論が、2009年と2010年に始まって以来、大きな政治論争がまきおこった。与党の民主党も、最大野党の自由民主党も、TPP問題を巡って党内は分裂している。頻繁な首相交替で、現首相は5年で6人目で、二党を超えたTPP賛成派を団結させるような指導力を生み出し損ねている。こうした政治的弱さが、首相の権力の伝統的、制度的な制限を増幅させ、本気の利益集団が政府の行動を効果的に止める可能性を高めている。その結果、日本の指導者は、交渉に参加するつもりだと断固発言したり、TPPに伴って起きる変化に対する反対を乗り越える政治力があるのを行動で示したりもしていない。30

大半の観測筋は、野田首相が日本をTPP交渉に参加させたがっていると考えている。とはいえ、2011年9月の首相就任以来、野田首相の長期在任は、ほとんど常に疑問視されており、彼がTPP問題で攻勢にでるのを困難にしている。更に、野田首相は、消費税増税法の成立、2011年3月11日の地震と津波の余波を受けた経済再建と改革の推進、新たな日本のエネルギー供給対策を含め、他の項目を優先リストの上位においている。

2012年の大半、野田首相の戦略は、日本がTPP交渉に参加する為に必要な支持を取り付ける前に、これら問題全てではないにせよ、大半を解決しようとしているように見えてた。TPPを無理押しすれば、野田民主党から離党者を出し、首相を選出する衆議院での多数派の立場を失いかねない。2012年8月、自民党とその盟党が、野田首相に、消費税増税案成立と引き換えに、衆議院選挙を約束するよう強いて、2012年中にTPPに参加する可能性は伸びてしまった。大半の専門家は、選挙は2013年早くに行われると予想している。民主党は振るわない結果になり、恐らく首相の座を失うだろうと広く予想されている。自民党は公式に、いくつかの例外を認めないのであれば、協定への参加には反対だとしていた。31

日本の強力な農業団体、とりわけ全国規模の農業組合組織JAは、事実上、日本が過去40-50年間、求めてきた全ての貿易自由化協定についてそうであったように、TPP加盟に対する最も強い反対勢力だ。日本の農業部門は、農村地域が国会議員の人数が多すぎる事実に乗じている。その結果、農業ロビーは、与党の民主党と、自民党の両方に大きな影響力を持ち、農業部門が恩恵を受ける一連の政策を支持してきた。例えば、多くの農産品は、高い関税障壁の背後
で保護されて続けている。(表4を参照)
更に、他の様々な政策が、日本の農業が、益々高齢化する兼業農家に担われ、他の大半の国々の農業と比較して、一般に生産性が低い小規模のままでいられるよう保証している。日本政府は、農業世帯への直接収入として、毎年約1兆円(約120億ドル)支払っている。32
TPP参加に対する反対をなだめる取り組みの一環として計画された、2011年秋、野田政権は農業改革政策を発表したが、日本農業政策専門家オーレリア・ジョージ・マルガンによれば、わずかな暫定対策を越えるものではないという。33

JAは他の様々な有力な利益団体と連携して、積極的なTPP加盟反対のキャンペーンを行っている。こうした他の組織の中で最も重要なのは、TPPは薬品と医療機器に対し、より高い費用の支払いを強いるので、日本の国民皆保険制度を消滅はさせないにせよ、弱体化させると主張している日本医師会かも知れない。多くの専門家は、日本の伝統的農業利益団体、医療ロビーや他のTPP反対勢力が、日本国内でのTPP議論をうまく支配したと主張している。彼等は“TPPを慎重に考える会”に参加している約100人の民主党議員集団を含め多数の議員の支持を得ている。TPP反対論者の多くの主張の中には、アメリカ合州国が、野田政権に交渉参加を検討するよう強いているというものがある。

松岡正剛の千夜千冊『グローバリズムという妄想』記事を拝読すると、まるでTPP詐欺予告。

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一番ぴったりの項目をコピーさせていただく。太字は小生が加工。

(4)グローバル資本主義の生みの親は、どう見てもアングロサクソンによるものだ。アングロサクソンは「合意」のための「契約」が大好きな民族だから、その合意と契約による経済的戦略を非アングロサクソン型の国々に認めさせるためには、どんな会議や折衝も辞さない。その象徴的な例が、たとえば1985年のプラザ合意だった。
 こういう合意と契約が、各国に押しつけがましい構造改革を迫るのは当然である。ニュージーランドやメキシコや日本が、いっときではあれそのシナリオに屈服しようとしたのは、不幸というしかない。

固有名詞と年号を入れ換えれば、現状そのまま。

グローバル資本主義の生みの親は、どう見てもアメリカによるものだ。アメリカは「合意」のための「契約」が大好きな民族だから、その合意と契約による経済的戦略を非アングロサクソン型の国々に認めさせるためには、どんな会議や折衝も辞さない。その象徴的な例が、たとえば2013年のTPPだ。
 こういう合意と契約が、各国に押しつけがましい構造改革を迫るのは当然である。ニュージーランドやメキシコや日本が、そのシナリオに屈服しようとしているのは、不幸というしかない

「Brezza di Lago」『グローバリズムという妄想』ジョン・グレイ 2012/12/21はTPPにも言及しておられる詳細な紹介。

「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」吉岡斉氏講演「なぜ脱原発なのか」

1. なぜ脱原発なのか

(1)絶対に起こってはならない超過酷事故が、実際に起こった。
超過酷事故は巨大で修復不可能の損害をもたらす。まさに人道上発生させてはならない損害である。
原子核エネルギーのコントロールに失敗し、超過酷事故を起こすリスクを、無視できるほど小さくできるならば、原子力発電を続けるという選択肢もありうる。だが、福島事故はその反証となった。

(2)原子力発電は発電手段として供給安定性、経済性、環境保全性のいずれにおいても重大な困難をかかえている。それは総合的にみて劣ったエネルギーである。ましてや過酷事故リスクをおかしてまで守り育てる価値はない。
(3)原発のエネルギー全体に占めるシェアは低い。また自然減や省エネルギーにより、エネルギー需要を大幅に減らせる。それゆえ化石燃料や再生可能エネルギーなどにより大幅に代替できる。

2. 脱原発の2つの路線

脱原発政策には、2つの路線(選択肢)がある。
(1)ハードランディグ路線: 原発の新増設はもとより、既設炉の再稼働も認めない。(2013年8月にゼロとなる)
(2)ソフトランディグ路線:
新増設は認めない。一定の基数の既設原発の再稼働を認めるが、一定の移行期間の中で計画的に廃止を進め、最終的に全廃に持って行く。ドイツと同様の方式
(ドイツでは2022年に原発ゼロとする。)なお、ソフトの度合いは、幅広いスペクトルをなす。
日本では、2つの路線を合わせると、脱原発支持者が、国民世論の多数派を占める。一千万署名市民の会は、どちらの路線も排除しない。
両者は必ずしも排他的でない。たとえば、ドイツ方式を支持し、再稼働を認めつつ、非常に厳しい条件を要求する者は実質的に、即時・無条件再稼働反対論者に近い。大同の方が小異よりも重要である。

3. 2つの路線の利害得失

ハードランディグ路線のメリットは、過酷事故リスクがほとんどなくなること、(ソフトランディグ路線では、過酷事故リスクが残る。)
しかし、ハードランディグ路線には3つのデメリットある。
(1)電力需給逼迫が避けられない。電力消費の多い夏・冬において、電力供給システムに異変が生じた場合、大規模停電や供給制限(電力制限令、計画停電などの)リスクが発生する。
(2)火力発電と原子力発電の燃料費の差額が莫大となる。とくに石油火力をフル稼働させると、天文学的な追加費用が発生する(札束発電)。それを電力会社だけでなく、消費者(企業、家庭など)も、支払わねばならない。それがマクロ経済にも悪影響を及ぼす。
(3)立地地域の経済・財政・雇用に、ショックが及ぶ。また電力会社の経営破綻リスクにも、配慮する必要がある。(資産から負債へ)。
ソフトランディグ路線では、この3つの副作用を緩和できる。

4. 秩序ある撤退か、なし崩しの衰退か

脱原発政策(ソフトランディグの様式を問わず)を進めるための法律(脱原子力基本法)を制定することが、秩序ある撤退の大黒柱である。それに基づいて脱原子力基本計画を策定し、それにそって原子炉廃止を進める。
日本では政府が「国策民営」で原子力を推進してきた。したがって脱原発についても、「国策民営」で進めるのが、最も無理のない方式である。とはいえ、バックエンド以外については、政府が新増設を禁止し、かつ廃止条件を明確化した上で、細部は電力会社の事故決定・事故責任に委ねる方式もありうる。その場合、電
力会社の自由裁量の余地は大きくなる。
秩序ある撤退をためらっていても、原子力発電の衰退は止められない。つまり一部の炉しか再稼働できない。
せっかく再稼働した炉も、事故・事件・災害に極めて脆弱となる。多くの炉は再稼働できず、無期限スタンバイを強いられ、やがて朽ち果てていく。なし崩しの衰退は、秩序ある撤退と比べ、公共の観点からも、電力会社の観点からも、副作用が大きい。

5. 省エネルギーと自然減による脱原発

日本の一次エネルギー消費は、戦後半世紀にわたり、右肩上がり(2度の石油危機の時代のみ、わずかに低下)。だが、1997年から2007年までは、ほぼ横ばい状態となった(約22~23EJ台の水準)

しかしリーマンショックにより、大幅にエネルギー消費が低下した。2007年から2009年の間に、約1割(9.1%)の減少を記録した。

2010年に6.4%盛り返した。2011年に東日本大震災の影響を受けて、5.1%下落し、ほぼ帳消しとなった。(2007年比7.8%減)

今後のトレンドとして、さらなる大幅減少は確実。人口の減少と高齢化、脱工業化の着実な進行、省エネルギー(節約含む)の進展など。

脱原発は困難ではない。省エネルギーと自然減だけで十分カバーできる。原発の一次エネルギー供給シェアは、事故前は10%前後、事故後は8%程度。それゆえ無理の少ない脱原発シナリオを描くことが可能。再生エネルギーがさほど伸びなくても問題はない。

6. ポスト脱原発の諸課題

原子力発電の「負の遺産」処理のためには、以下のような課題例がある。(解決できない課題例も少なくない。)
(1)福島第一の全ての原子炉の損傷箇所の密閉: 現在は冷却水を垂れ流す「寛解状態」にとどまる。
(2)原子炉施設の解体・処分:心臓部は不可能となる公算が高い。
(3)汚染地域の除染:不可能となる地域が多い。金の切れ目が除染の切れ目となるだろう。巨額の無意味なコストが負債として残る。
(4)被害者の健康管理と生活再建:数十年の歳月は必要。
(5)事故廃棄物の処分:発生地点で無期貯蔵(?)。
(6)使用済み燃料の処分:原則的に各サイトで無期貯蔵(?)。
(7)余剰プルトニウムの処分:処理国に引き取ってもらうか、国内で「密封処理」。又はブルサーマルにより消去(?)。
(8)廃炉(福島第一以外):数十年は必要。解体廃棄物の行方(?)。
(9)高レベル核廃棄物処分:百年単位の年月が必要。

後の二枚の書き写しは省略。

A1 原子力規制委員会
A2 小手先の改革にとどまるか

(本質的に顔ぶれが変わらない原子力規制委員会にも、改革にも期待はできないと、小生が思うので。)

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「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」での吉岡斉九大副学長講演で使用されたパワーポイントをテキストにしたもの。講演の書き起こしではないので、ご注意を。

「クールヘッド、ワームハートといわれた。たしか、ケインズのセリフ。

吉岡氏の講演「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」二時間半のうちの一部。

IWJ Independent Web Journalで拝聴した。時期が過ぎると、会員限定になる。

吉岡斉九大教授は政府事故調のメンバーだが、事故調の姿勢、報告書などについては、批判的。

最近いただいたコメントで紹介されている、3月10日放映のETV特集。「何が書かれなかったのか 〜政府原発事故調査〜 」という良い番組の中でも、正論をいっておられる。

下記三冊の著書は必読。

原発と日本の未来――原子力は温暖化対策の切り札か」については、「地球を賭けた博打」の末尾でごく簡単に触れた。コンパクトにまとめられ、わずか500円。事故直前に刊行されているが、今回の講演と趣旨が首尾一貫しているところが、彼の主張の正しさを証明しているだろう。安全神話をまきちらす御用学者の対極。

新版 原子力の社会史 その日本的展開は、旧版に、福島の事故を受けて、大幅に増補されたもの。客観的な史観に納得。

講演「脱原子力国家への道」のエッセンスのようにも思える。本では「日米原子力協定」という脱原発への重大な障害についても詳細に書かれている。

地震から二年 北東日本は未だ災害地域

wsws.org
Peter Symonds

2013年3月11日

二年前の今日、北部日本が壊滅的なマグニチュード9.0の地震に襲われ、それで起きた津波が、多くの沿岸の町や村を壊滅状態にし、福島第一原発の危機を引き起こした。公式数値では、約19,000人の方々がなくなったり、行方不明になったりしている。

再建は多くの地域で、ほとんど始まっておらず、東北地方は被災地域のままだ。100万人の避難者の三分の一が今でも仮設住宅で暮らしているが、仮設は二年間の利用しか意図しておらず、早急な再定住の見込みもない。原発周辺の立入禁止区域は長年そのまま残る可能性が高い。破壊された第一原発の廃炉には40年以上かかると考えられている。

東日本大震災の犠牲者の運命は資本主義を告発している。日本は技術先進経済で、世界第三位だが、再建進行は遅々としている。予定された再建資金25兆円のうち、わずか8兆円しか使われていない。そのうち半分しか使われておらず、場合によって用途は、災害と無関係なプロジェクトだ。

二周年を前にしたマスコミ報道は、生き延びた人々が直面している厳しい状況の寸描だ。地震前でさえ、東北は経済的に不況地域だった。

APは、沿岸の都市、陸前高田について報じている。住宅8,000軒の約四分の三が、企業やインフラと共に、地域を襲った13メートルの津波で壊滅状態になった。恒久的なものは何も作られていない。2月末、初めての公共住宅プロジェクトがついに始まった。町で再開した企業は稀だ。事業の多くは牡蛎養殖、魚加工と観光だった。戸羽太市長は述べている。“もし10年後に、2,000人しかここで暮らしていなければ、たちゆかないだろう。”

ある独立オンラインの記事は沿岸の都市石巻住民の約40パーセント、74,000人が、いまだに仮設住宅に住んでいると書いている。高齢の生存者達はボランティアと寄付の食料に頼っている。アル中と鬱が増えている。市に未来が無いため、多くの若者が出ていった。

福島では状況はもっとひどい。朝日新聞によると、立入禁止区域からの避難民、約54,000人、約60パーセントが、継続している放射能汚染の為、自宅には少なくとも更に四年は帰れない。それには原発に近い大熊と双葉や浪江と富岡も含まれる。

ディー・ヴェルトのインタビューで、グリーンピースの核専門家ハインツ・スミッタルは除染の公式評価は余りに楽天的だと語っている。住民達が非常に汚染された地域への帰還に“大きな懸念”を表明し、帰る事を認められない可能性の方が高いと述べている。

ジャパン・タイムズが、仮設住宅で暮らしている浪江町から避難した人々と話したが、全員が放射能レベルが心配なので帰りたくないと言っている。ところが、政府当局は、町の再建計画を進めており、外に出たい人々には何の支援もしていない。

原発所有者、東京電力による補償も決まっておらず、被害者達は不安定な状況に置かれている. 昨年、同社は、浪江から避難した人々に対する毎月100,000円の困難手当てを半減すると脅したが、抗議行動を受けて、撤回を余儀なくされた。

そもそもの始めから、東京電力は、六基の原子炉の内、三基が部分メルトダウンした事故のひどさを隠蔽しようとしてきた、。十分に保護されていなかった非常用補助発電機を地震と津波が襲い、原発への電源は消失した。炉心の温度は急上昇した。水素爆発が原子炉建屋を破壊し、使用済み燃料冷却プールを露出した。仮の冷却装置を設置することで、もっと酷い大災害が、すんでのところで避けられた。

二年を経て、原発の後片付けと廃炉は始まったばかりだ。最近、高橋毅所長は取材陣にこう語っている。“損傷し破壊した核燃料を安全に隔離し、保存する必要があります。作業完了までには30から40年かかるでしょう。”

日本政府は、2011年12月、三基の破壊した原子炉が“冷温停止”状態になったと発表した。しかし、破壊された核燃料を除去する前に、まずそれを見つける必要がある。炉心の部分的メルトダウンからして重要課題だ。三棟の原子炉建屋内の状態は危険すぎて、作業員がはいれない。3号炉の場合、極めて有毒なMOX(プルトニウムとウランの混合物)を核燃料に使用している為、作業はさらに大変だ。リモコン・ロボットを使用する必要がある。

冷却するため炉心に注入されている莫大な量の水も大問題だ。通常運用では、原子炉冷却用に使用された水は、閉鎖系で循環される。原子炉が損傷していて、水が漏出するので、継続して供給しなければならない。東京電力は、260,000トンもの高度に汚染した水をタンクで保管しているが、残りの容量は約60,000トンで、水を処理、廃棄するシステムは動いていない。数カ月で保管容量が一杯になる。

廃炉工程の長さを考えれば、もし原発が再度地震に見舞われれば次の大惨事がおきる懸念もある。原発のある原発技術者がオーストラリア人に語っている。“事故後残っている部分は極めて脆弱で、次[地震か津波]がくれば崩壊します。[原発]は実に脆いのです。”

福島原発事故にまつわる多数の疑問にもかかわらず、新たに選ばれた安倍晋三首相政権は、原子力の安全性に対する恐れが広がり、全てが停止された原発を更に再稼働しようとしている。この危機で、東京電力の長年の安全違反や隠蔽の実績や、電力会社と原子力規制当局の間の親密な関係を暴露した。

野田佳彦前首相は、54基の原発中の二基を再稼働した際、大きな抗議行動を引き起した。2月28日、安倍首相は、国会で、新たな安全基準に合格した原子炉は一年以内に再稼働できると宣言した。安全性に“妥協はしない”と彼は宣言したが、安全改良には限界がある。過去60年の大半、日本を支配してきた、安倍首相の右翼自由民主党に、福島の惨事を招いた、原子力の安全規制緩和の責任がある。

記事原文のurl:wsws.org/en/articles/2013/03/11/japa-m11.html
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政府が、2011年12月、原子炉が“冷温停止”状態になったと発表しても、真実は英語で世界で報じられている。

「嵐が来ると、砂に頭を埋めるダチョウ」の状態が、敗戦後、ずっと続いている。

自分の国の実情を知ることができないのは、北朝鮮国民だけではない。

原発も、安保も、必要なものとして教え込まれてきた。TPP、宗主国大企業永久植民地化条約も。

正確には、原発も安保もTPPも、宗主国・属国の支配層1%にとって必要なもの。

自民党、公明党、維新、みんな、そして民主党TPP参加派、日本人の顔をしたエイリアン。

日本の首相、訪米中に、軍事力強化を示唆

wsws.org
Alex Lantier

2013年2月26日

2月21-22日のワシントン訪問で、新たに選出された日本の安倍晋三首相は、アメリカ帝国主義と日本の軍事協力を強化し、ワシントンが計画している環太平洋戦略的経済連携(TPP) 自由貿易圏プロジェクトに参加すると約束した。これは、労働者階級への攻撃強化と、f帝国主義戦争と陰謀の世界的強化の約束だ。

12月に就任した右派の国粋主義政治家、安倍首相は、訪米前のインタビューで、ワシントン・ポストに、“日本とアメリカ合州国との間の信頼と信用”を回復することを目標にしていると語った。彼は、米日安全保障同盟と、日本経済を復活するための米日貿易の役割を強調した。特に、安倍首相は、日本が管理しているが、中国が所有を主張している、戦略的位置にある尖閣諸島(中国語では、釣魚)を巡る危機に言及した。

昨年、極右の東京都知事、石原慎太郎が諸島を巡る紛争を意図的に煽った。アメリカで、右翼のヘリテージ財団を訪れた際、島を一般の日本人個人から購入するよう、日本に求めたのだ。紛争は、中国と日本当局の、反動的・狂信的愛国主義な訴えの真っ最中、両国が艦船と戦闘機を諸島に配備するという危険な軍事的こう着状態へとエスカレートした。

アメリカ当局者は、米日同盟の条件の下で、アメリカは、諸島を巡る戦闘が勃発した場合、日本を支持して、介入すると述べた。

安倍訪米では、アメリカのバラク・オバマ大統領との会談もあり、その後、短時間の共同写真撮影、そして、戦略国際問題研究所(CSIS)で講演した。軍事問題に関する、影響力の大きい、ワシントンのシンクタンクCSISは、昨年8月、より緊密な米日軍事協力を要求する報告書を発表した。報告書は言う。そうしなければ、日本は“一流”国家であることを止めるだろう。

会談後、安倍首相とオバマ大統領は、“日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上、微妙な点が存在する”ことを認め、日本は“TPP交渉に参加する”という声明も発表した。この譲歩は、右派の安倍の自由民主党の主要な政治基盤である、日本の農業ロビーのTPP反対をなだめるのが狙いだ。

とは言え、オバマ大統領は、中国との関係について触れることはしなかった。安倍首相は、先月アルジェリアのアメナス人質事件で、10人の日本人が亡くなった後、日本はアメリカの“対テロ戦争”に、さらに肩入れするつもりだと手短に述べた。

CSISで、安倍首相は、アメリカに足並みをそろえる外交政策を、非常に詳しく述べた。米日同盟に関する2012年のCSIS報告書に明確に言及し、彼はこう約束した。“日本は、二流国ではなく、今後も決してそうなりません。重ねて 申し上げますが、私は戻ってきました。日本もそうなります。”

安倍首相は、日本は、特許や労働者の権利“規則”等を推進し、アメリカ軍が“世界的共有地(グローバル・コモンズ)”(海上交通路、国際空域や他の戦略的資産支配を指す婉曲表現)を確保するを支援し、アメリカ“対テロ戦争”の、より“堅固なパートナー”になると誓った。

安倍は“日本は強くあらねばなりません”と強調し、“それだけのために”日本の国防予算を増やしたと指摘した。実際、安倍政権は、10年以上ぶりに、初めて軍事支出増加を承認し、日本軍とアメリカ軍が、アジアでも世界中でも、より緊密な協力を可能にすべく、日本のいわゆる平和憲法の改訂に向かって動いている。

安倍首相は、尖閣/釣魚諸島は日本の主権領土だと、挑発的に主張した。“我々は、現在も将来も、いかなる異議にも決して我慢はしない。いかなる国も、我々の決心の固さに対して見込み違いをすべきではない”と彼は警告した。

首相は、金融マスコミによって“アベノミックス”と名付けられた、右派的経済政策概要も簡単に説明した。積極的な政府支出と、円価値を引き下げ、日本の輸出をより競争力のあるものにすることを狙った紙幣印刷と“構造改革”の組み合わせだ。ワシントンでは触れなかったが、日本の政治エリート全員が支持している、非常に不人気な計画、老化しゆく国民の年金と、社会支出削減が含まれている。

ワシントンは、TPPと、安倍の反動的、反労働者階級的な社会政策を支持しており、特に、インドとオーストラリアを含む、広範なアジア同盟の一環として、中国封じ込めを狙った日本軍国主義を推進するよう、一貫して努めてきた。とはいえ、日本の帝国主義が確実に“一流国”であり続けるようにする為の安倍首相の狙い全体を、どれほど積極的に支持するかを巡っては、多少別れている。

安倍訪米についてコメントして、ウォール・ストリート・ジャーナルは、安倍首相は“万一[尖閣諸島]を巡って継続しているいざこざが、暴力化した際、日本をアメリカが防衛してくれるよう、日本当局が求めていた様な強力な公的約束を、オバマ大統領から引きだすことはできなかった”と書いている。ジャーナル紙は、これは“日本の悪名高い政治的不安定さで、一年以上、首相として留まれないような、もう一人の首相にすり寄るのを渋ったことを”反映している可能性があると憶測している。

安倍首相の政策は、他の帝国主義大国の反対を引き起こした。彼が円の価値を引き下げる動きを呼びかけたことで、各国が、通貨価値を低下させ、他国を犠牲にして、輸出競争力を高めようとする、世界通貨戦争の恐怖をかきたてた。

商業マスコミは、尖閣/釣魚諸島に対する、強硬な日本の姿勢をアメリカが支持することは、日本をつけあがらせ、中国との戦争を挑発させ、アメリカを引き込んで、第三次世界大戦へとエスカレートしかねないという懸念も示した(“アジアにおける戦争の危険”参照)。フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ギデオン・ラックマンは、アジア-太平洋の状況を、第一次世界大戦開始時の1914年の状況と比較している。

たとえ全面戦争を引き起こさないにせよ、日本の政策は、地域における、アメリカの重要な同盟国で、元日本植民地、韓国を疎んじるものだ。韓国にも、竹島(韓国では独島)を巡る日本との領土紛争がある。CSISで、安倍首相は、どのようにして韓国、右派の韓国次期大統領朴槿恵と良い関係を維持するつもりかと具体的質問をされた。

安倍首相は、見解の相違はうまく処理し、朴との良い個人的関係を維持すると主張し、質問をかわした。彼女は、1961年から暗殺された1979年まで、アメリカが支援した韓国の独裁者で、安倍首相の祖父、岸信介首相の良き友だった朴正煕の娘だ。1930年代、日本が支配した満州国の幹部で、第二次世界大戦後、戦争犯罪容疑でアメリカ占領軍によって、短期間拘留された岸は、自民党による戦後日本政治の支配と、不人気な1960年の米日安保条約の主要立案者となった。

しかしながら、ワシントンと安倍との意見の相違にもかかわらず、安倍訪米は、結局、この地域でのアメリカの帝国主義政策と、東京とソウルというアメリカの右翼同盟者の、腐敗と破綻を証明している。

オバマは、安倍の攻撃的な対中国対立を全面的に支持するのを避けたとは言え、この対立は、彼の政権の“アジア回帰”による論理的結果だ。ワシントン政策の重要な部分は、アジアの安全保障において、日本がより大きな役割を演じるよう奨励すること、つまり日本の再軍備と、中国との競争を促進することだ。

これは、完璧に度を失った支配階級の政策だ。商業マスコミが、そう認めることを強いられたように、これは必然的に、アジアと世界中の主要大国間の戦争という方向へと導く。それにもかかわらず、太平洋両岸の帝国主義支配層エリートは、この方向へと、まっしぐらに進んでいる。日本帝国主義に、中東を含め活動を拡大し、世界の海上交通路での警察活動を奨励することで、ワシントンは、より広範で、より壊滅的な紛争の種を蒔いているに過ぎない。

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/02/26/japa-f26.html
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医師免許がないのに、医師を装って、25,000人の健康診断をし、収入を得ていた人物がつかまった、のだそうだ。取り返すことができない深刻な被害があったとは報じていない。

国民生活を良くする政治力皆無なのに、政治家を装って、一億二千万人、そして未来世代を、永久に植民地の窮地に陥れ、宗主国大企業を助け、代々収入を得る国家反逆罪の売国奴はつかまらない。

4・28 主権喪失記念祝典敢行。屈辱の日を祝う異常な精神。宗主国に思いを寄せる政権。

大本営広報部記事は真面目に読んでおらず、テレビ報道もほとんど見ないが、こういう英語記事、読んでしまう。大本営は訪米時の「聖域なき」部分のみ繰り返し刷り込むのが任務。彼がCSISで、軍事面で踏み込んだ発言をしたことには決して触れない。

第三次ナイ・アーミテージ報告書を昨年8月に刊行したCSISにおいて、彼氏は、その報告書、つまり命令書の内容を復唱しただけの事実、大本営広報部、報道しただろうか?

Paul Craig Roberts氏が、わざわざ前書きをつけて、彼のブログに掲載した、(日本を、一流国家でありたいなら、さらなる軍事協力をしろと恫喝する)第三次ナイ・アーミテージ報告書の誘いにのるなという記事日本に、中国との対決をけしかけるアメリカと、この記事、イデオロギーは全く違っているのだろうが、内容は繋がっている。

日本に、中国との対決をけしかけるアメリカが危惧していた結果になったわけだ。百害あって一利ないTPP参加も含めて。

大本営広報部テレビで、TPP反対デモの光景が珍しく映されている。

あくまで農業・関税の話題に意図的に誘導。参加者コメントも、もっぱら関税。

(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある (米国議会図書館議会調査局文書)

という公表されている事実には決して触れない。報道機関ではなく、犯罪組織。

山田正彦 前衆議院農林水産委員会委員長 元農林水産大臣/衆議院議員のブログ、重要なことが書かれている。彼の様に、国民生活を良くする政治家が落選してしまう国!

安倍、オバマ会談を受けて米国労働総同盟はTPPに反対する 2013/3/8

後半だけ引用させていただこう。太字は当方で加工。

日本では、安倍政権になって全く情報も開示されず、メデアの意図的な誘導もあってか、国民の5割から6割はTPPに賛成している。
 自民党の反対議員も黙ってしまった。この2年余、必死に日本の交渉参加を阻止してきた私としては残念でならない。
 さらに心配なのは、昨年12月米国議会の公聴会でマランチェスが「TPP参加国の中では、すべての環境基準や労働基準は同じものとする」と述べています。今年になってワイゼル主席交渉官も同じようなことを述べています。

 そうなると米国ではILOの基本条約8項目の中で強制労働禁止と児童虐待労働禁止の2項目しか認めておらず、スト権も団結権も批准されていない。
 日本では解雇権の乱用が判例によって積み上げられ、4条件が満たされる場合、例えば会社の賞与とか余剰資産などを売却したうえで、やむを得ない場合、すべての労働者を平等に扱うとされてき場合だけ解雇が認められるとした判例法が意味をなさなくなる。
 事実、安倍政権の下で竹中平蔵、財界人らによる競争力会議でも企業は金銭の賠償さえすれば自由に解雇できることが真剣に話し合われている。

 こう考えると日本の労働者にとってはTPPに交渉参加することは、大変深刻な状況に立たされるといわなければならない。

連合は何をしているのだろう。労働者から組合費をとり、労働者をアメリカに売る組織。

(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある とは、こういうことだ。

街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋 2013年3月12日の記事は衝撃的。前原議員の質問だ。これは必読。

天木直人氏のブログでもこの件について書かれている。

これだけ重要な国会論議が完全に報道管制されている。北朝鮮も顔負けの大本営報道。

1999/9刊『「ひとり勝ち社会」を生きぬく勉強法』中山治著を久しぶりに読み返した。

第二章 良質で役に立つ情報を集めるかしこい方法

  • 日本社会は「大本営発表」体質 35ページ

この記述が頭に刷り込まれて、毎回の「大本営広報部」という表現になった?

第六章

    • 海外における、信じがたいほどの「いくさ(戦争と外交)下手」が日本の特徴 169
  • おろかな人を指導者に選ぶという愚を繰り返す日本人 173

ともあった。まさに、今のおろかな首相によるTPP植民地化のことではないか?

第二章 良質で役に立つ情報を集めるかしこい方法 には

    • 非公式メディアと外国メディアを上手に活用するのがかしこい人 37
  • 情報分析は必ず異なる視点からの分析と対立させる 45

という項目も!残念ながら、この本、絶版なのか、購入できないようで残念。

2013年3月12日 (火)

天然ガス業界 水圧破砕の破壊的影響を記したオスカー候補ドキュメンタリー映画『ガスランド』を攻撃

水平掘削や水圧破砕法(フラッキング)を使った天然ガスの採掘に伴う環境汚染や人間の健康被害の危険性は米国ではこれまで何年もほとんど知られることがありませんでした。そこにこの問題を全米レベルで明るみに出したドキュメンタリー映画が登場しました。ジョン・フォックス監督のGasland(『ガスラン
ド』)は、フラッキングが行われている土地のコミュニティーが壊滅的影響を受けている様子と、この工程で使われる技術や化学薬品の規制に対する天然ガス業
界の影響力を描いています。同業界はこの映画を徹底して攻撃しました。その攻撃は2011年のアカデミー賞にノミネートされてからは特に激しくなりまし
た。

と日本のDemocracy Now!の番組紹介ページにある。天然ガスとはシェールガスのことだ。

残念ながら、この番組、日本語版字幕がないので、内容書きおこしを翻訳した。

2011年3月4日金曜日

エイミー・グッドマン: この素晴らしい映画でこの論議を引き起こした「ガスランド」の監督ジョシ・フォックスさんにも参加頂いています。ジョシさん、あなたのお話を伺う前に、あなたのドキメンタリー映画の一部をご覧頂きたいと思います。この映像はコロラド州出身下院議員ディアナ・ディゲットの質疑場面です。

    ディアナ・ディゲット議員: ここ西部では、様々な種類の採掘技術が、人の健康リスクや深刻な環境被害を引き起こした多くの経験があります。ジョンさん、あなたは水圧破砕は決して飲料水にとって危険ではないとおっしゃいますね。もしそれが本当なら、破砕プロセスで使用される化学物質の飲料水安全法の下での開示になぜ反対するのですか?

    マイク・ジョン: 先に述べた様に、我々が提出した情報パックは

    ディアナ・ディゲット議員: いいえ。なぜ反対するのですか? もし完全に安全なら、なぜ使用している化学物質の開示に反対するのですか?

    マイク・ジョン: 今日この聴聞の前に我々は公開したと私は申し上げたのです。

    ディアナ・ディゲット議員: どんな科学物質が使用されていますか?

    マイク・ジョン: はい。

    ディアナ・ディゲット議員: それぞれのプロセスで?

    マイク・ジョン: チェサピーク社が提出した破砕報告書に挙げてあります。

    ディアナ・ディゲット議員: その場合、私の法案に反対はしませんか。

    マイク・ジョン: 我々は、一部として、その情報を出しました

    ディアナ・ディゲット議員: 私の法案に反対しますか、既に情報を提出されたので?

    マイク・ジョン: 私はあなたの法案には、個人的に詳しくありません。

    ディアナ・ディゲット議員: その法案で、水圧破砕で使用されている化学物質は、飲料水安全法の報告要求の対象になります。

    マイク・ジョン: 先に申し上げた通り、現在の規制の枠組みは

    ディアナ・ディゲット議員: はい、ですか、いいえ、ですか?

    マイク・ジョン: 現在の規制の枠組みは

    ディアナ・ディゲット議員: すると、飲料水安全法の下で報告する必要があるとは思わないので、たとえ化学物質は安全だと、あなたが考えていても、あなたは私の法案には反対なのですね。そうですね?

    マイク・ジョン: そうです。

    ディアナ・ディゲット議員: OK、ケルさん? 水圧破砕用の液体は、国中で起きている水質汚染の原因となりえるはずはないとおっしゃっていますか?

    スコット・ケル: 6つの州に関してあるマスコミが報じた疑惑。石油とガス採掘活動のあらゆる状態を調査したわけではないので、誰もそうではないという声明はしません

    ディアナ・ディゲット議員: OK、議長、有り難うございます。

エイミー・グッドマン: コロラド州選出下院議員ディアナ・ディゲットさんでした。ジョシ・フォックスさん、彼女は誰に質問していたのですか。

ジョシ・フォックス: 彼女はチェサピーク・エナジー社のマイク・ジョンと、石油とガス業界から、様々な結果を分析して、莫大な金を得ている非営利団体、地下水保護委員会のスコット・ケルです。二人揃って水圧破砕は水に対し決して脅威ではないと言っているのです。

エイミー・グッドマン: ジョシさん、ところで、オスカー・ノミネーションお目出度う。アカデミー賞に出ておられたと思いますが。あなたの功績は国中にこれを知らしめたことですね。あなたが、国中で破砕(フラッキング)についての論争を引き起こしたのです。このニューヨーク・タイムズの暴露記事や、ウォルター・ハングが我々に語ってくれたことを全国的に伝えられますか? あなたは、そうしたわけです。"フラッキング"という言葉さえ聞いてもいないうちに、突然あなたが住んでいる所で、それをするつもりだと、彼等が言い出した、あなたの家の裏庭の懸念から、あなたは国中を回ったのですね。

ジョシ・フォックス: こうしたニューヨーク・タイムズ記事が出て、とても嬉しく思います。アカデミー賞ノミネーションを受けたことで、天然ガス業界がひたすら映画を攻撃し、映画の信頼性に疑念を投げ掛けていた時、必要だった大きな支援になりました。

しかし、この記事でわかるように、繰り返し繰り返し、科学が、現地の市民達が語っていること、言っていることを裏付けているのです。市民は、科学データの第一レベルなのです。タイムズがここで示しているのは、今起きていると思っている全てについて、市民達は間違ってはいないということです。こうした廃水は違法に河川に廃棄されていたのです。住宅付近の道路上に撒き散らされていたのです。EPAのエイミー・バーグデールはこれを良く知っていて、「ガスランド」を司法省の環境関連全部局向けに上映した際、彼女は実際にプレゼンテーションしました。EPA第3地域のエイミー・バーグデールが現れて、ニューヨーク・タイムズで読めるのとまったく同じプレゼンテーションをしたのです。

これは実に憂慮すべき情報ですが、明らかにこうした行為は、ペンシルバニアで見た、ペンシルバニア環境保護局長ジョン・ハンガーがしているように、かたくなに隠蔽されているように見えます。しかし、我々は、これと同じ類の行為が、コロラド州でも、ワイオミング州でも、テキサス州、ルイジアナ州で行われているのを見ています。アメリカ中で行われているのです。これは実に恐ろしいことです。

河川に投棄されているのは単に廃水だけではないことを補足したいと思います。この廃水は逆流してきた水です。頁岩層や、硬質砂岩や、炭層を破砕するため、最初に井戸の地下深く注入される調整された水なのです。この有毒物質の50パーセントから85パーセントは、実際は土壌中に残されます。彼等はそれ取り出せないのです。ですから、問題は、実際に廃棄すべき廃水だけでなく、その有毒物質が、こうしたガス井戸それぞれの土壌中に残されたまま、地表に注入されたまま、恐らく時間とともに移動してゆくことです。ニューヨーク州環境保護局の「環境に対する影響調査」のある検討によると、何十年もすると、[聴取不能]に残された液体が、 [聴取不能]に移行することを示しています。

エイミー・グッドマン: 我々はあなたと特別なコネがあるわけではありませんが、お聞きしたいと思うのですが、あなたの映画について、石油とガス業界が、あなたの映画は嘘のかたまりだといって、アカデミー賞委員会に訴状を提出しているという噂が広がっています。あなたのご感想は?

ジョシ・フォックス: げんこつを振り回すような、子どもじみた組織的中傷です。天然ガス業界は、映画をなんとか思い付くまま中傷しようとして、文書をアカデミー賞tに送りつけて、今回は本当にやり過ぎていると思います。連中は、これを一年やってきましたす。私たちのウェブ、gaslandthemovie.comに、我々の映画に関する連中の嘘のそれぞれに対する我々の反論を載せています。連中がしようとしてきたのは、地球温暖化現象に疑念を抱かようとする人々がしてしてきたことと非常によく似た戦術です。

連中がしているのは、極めて明白に虚偽であることが証明できる事を言っているのです。連中はたとえばこう言うのです。“我々は、飲料水安全法から免除されてはいない、だからジョシの映画は間違えで、皆が言っていることは間違いだ。”あるいは、“連中は、我々がたどり着く前に、水に火をつけることができたろう" 全く馬鹿げたことで、事実を見て、法律を見て、科学を見れば、簡単に誤りであることが証明できるのです。連中は、何の対策もとられないようにしようとして、マスコミで、我々に対する疑念を作り出そうとしているのだと思います。

しかし明らかに、ウォルター・ハング(訳注:全米で環境汚染物質の漏出や放出を追跡している調査会社トクシックス・ターゲティングの社長)が言っている通り、あなたが先に紹介された、私の偉大なヒーローの一人、ティム・クリストファー(訳注:ガス掘削を止めさせるため、入札でユタ原野を買い占めて妨害し、裁判にかけられている)が言っている通り、EPA内で、議会内で、経営幹部レベルで、また確かに国民の間でも、まさに今こそ行動すべき時なのです。

エイミー・グッドマン: ガスランドの監督、ジョシ・フォックスさん、ご出演ありがとうございます。アカデミー賞ノミネーション、あらためてお祝い申し上げます。

ジョシ・フォックス: エイミーさん、有り難う。出演できて光栄です。

エイミー・グッドマン: サンダンス映画祭で、ドキュメンタリーで、特別審査員賞を受賞されました。

記事原文のurl:www.democracynow.org/2011/3/4/natural_gas_industry_attacks_oscar_nominate

日本版デモクラシー・ナウの紹介ページ:http://democracynow.jp/dailynews/20110304
残念ながら、この番組、日本語字幕にはなっていない。
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Paul Craig Roberts氏の記事「汚染されたアメリカ」の中で、フラッキングによる被害として紹介されているのは、このことだろう。

この「ガスランド」BSドキュメンタリーで、何度か放送されていた。

「ガスランド」本編ではなく、二分ほどの宣伝トレーラーなら見られる。日本語字幕つき。

台所の流しに火をつけると燃えあがり、住民達はひどい健康被害を訴える。

超強力宗主国ガス村。トップが9/11で陣頭指揮をとったあの元副大統領とは知らなんだ。
日本の原発再開も、宗主国原発村からのご命令。シェールガス輸入命令も。先日首相が大演説を行ったCSISの第三次ナイ・アーミテージ報告に明記されている。

 

BSをご覧になった方々の感想、色々書かれている。例えば下記。

ブログ竹林軒出張所 『ガスランド』(ドキュメンタリー)

そして、藤永茂氏の「私の闇の奥」Idle No More (6) 2013/02/09、アメリカのシェール・ガスではないが、カナダのオイルサンドと、先住民にたいする被害について。両国で、全く相似形のできごとが起きていることがわかる。

あなたの抗議行動は殺人ロボットで息の根を止められるのだろうか?

2013年2月25日

Paul Craig Roberts

最新のビッグ・ビジネスは殺人ロボットだというのはご存じだろうか? 無人機を昆虫サイズで破壊的にできるのみならず、誰が生き、死ぬのかを決める権力をもったターミネーター型装置もあるのだ。もちろん、殺人ロボットと、もはやアメリカ軍も、実際の戦闘員と、巻き添え被害を区別しないので、ロボットによる不可避の過ちへの道筋は準備されている。

“対テロ戦争”が政府を乗っ取るまで、かつてアメリカ合州国によって支持されていた、ジュネーブ諸条約や国際法など、アメリカ政府はもはや一切気にしていない。ブッシュとオバマの政権が、全体の光景から、道徳規範を消滅させたのだ。あらゆる入手可能な証拠が示しているように、降伏する戦闘員、あるいは捕獲された者全員が、違法に拷問される可能性が高い。降伏する権利がある中で、殺人ロボットを解き放った場合、人はどうやって殺人ロボットに降伏するのだろうか? もしロボットが戦争犯罪を犯したら、そのロボットは、どうやって責任を問われるのだろうか?

こうしたことは深刻な問題だ。シェフィールド大学のロボット工学と人工知能の専門家、ノエル・シャーキー教授は“アメリカでは、既に実際の航空機のパイロットより多くの無人機パイロットを訓練している”と言う。

ブッシュとオバマの政権が実現した道徳規範の崩壊も、自分達を待ち受けている暗い奈落の底も、大多数のアメリカ人は全く分かっていない。大抵のアメリカ人は、不幸にして米国自由人権協会ACLUさえ、妊娠中絶を受ける権利や、同性愛者の権利という道徳問題が、政治的・法的注目に値するのだと考えている。国中が、こうした二つの付随的な問題のどちらかに行列している間に、権利章典は撤廃されてしまう。

大半のアメリカ人は、決められつつある自分達の未来に気付いてさえいない。彼等には、スポーツ・イベントやナスカー自動車レースや、何であれ当面必要と思っているものを購入する為にどうやってローンを組むかということ以上に重要なものは見えない。

アメリカ国民の大部分が、権利を失ったことにすら気がつかないまま、完全にあらゆる市民的権利を失いかねない。

我々の市民的生存の基盤たるアメリカ憲法を破壊するのに、ブッシュとオバマは、わずか十年しかかからなかったということは、実に驚くべきことだ。

議会は次の大統領に(初代ローマ皇帝)アウグストゥスという称号を与えるのだろうか?

トレーシー・マクヴェインの、殺人ロボットと、それを止めようとする取り組みについての記事をThe Guardianでお読み頂きたい。

http://www.guardian.co.uk/technology/2013/feb/23/stop-killer-robots/print

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/02/25/will-your-protest-be-terminated-by-killer-robots/

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終日、3/11関連番組一色。式典、もてる力を全て、売国に注ぐ人物が、冒頭に誓いの言葉をのべた。「宗主国ジャパンハンドラーをお助けします。」といっているように聞こえた。空耳であって欲しい。

大半津波被害の番組が続く。ごくまれに原発事故原因の分析。涙もろくなっていると痛感させられる構成が多い。津波被害、悲しいことに、甚大な人的被害は取り返しようがない。物的被害は、いつか必ずなんらかの対策はとれるだろう。

原発事故被害は、そうではない。対策のとりようがないのが実態だろう。事故原発の状態悪化をくい止めるだけでも、大変な国家的事業だろう。

たまたま見たものは、消防車による注水が、意図しない方向にいってしまったというもの。原発事故原因、地震ですでに冷却系が破壊していた可能性について検討した番組、あったのだろうか?ありうるのだろうか? 決して扱わないことになっているのだろう。

「地震ですでに破壊していた」ことが明らかになれば、日本中の原発の再稼働、永久に不可能になる。そうなると、宗主国核兵器村のご命令を実行できなくなってしまう。首相がCSISで、ジャパン・ハンドラーの皆様にしたお誓いが実行不可能になっては困る。一方、国民の生活などどうでもよい。どんな目にあっても、いつでも、律儀に、自民党、公明党、維新゛みんな、体制派民主党に投票してくれるのだから。

というわけで岩波書店の月刊誌、『世界』4月号を購入。洗脳解除の必需品。定価840円

    • 特集1 終わりなき原発災害
    • 特集2 アベノミクスと日本経済
    • 最悪の選択肢・ TPP 鈴木宣弘・孫崎享

孫崎享氏、「国家主権を投げ捨てる安倍政権」

鈴木宣弘東大教授、「許しがたい背信行為-この国に未来はあるのか」

宗主国の展望、暗いようだ。かつてレーガン政権幹部だった彼の意見は重い。
TPP加盟で主権を放棄して、自治区になるこの国、さらに憲法破壊、集団侵略権そして、原発再稼働。宗主国より、もっとひどいことになる。

大半の日本人は、決められつつある自分達の未来に気付いてさえいない。彼等には、オリンピック招致や相撲、何であれ当面必要と思っているものを購入する為にどうやってローンを組むか、株価がいくら上がったかということ以上に重要なものは見えない。

日本国民の大部分が、権利を失ったことにすら気がつかないまま、完全にあらゆる市民的権利を失いかねない。

我々の市民的生存の基盤たる日本国憲法を破壊するのに、民主党と自民党、わずか数年しかかからなかったということは、実に驚くべきことだ。

2013年3月11日 (月)

規制撤廃が、いかにしてアメリカの経済的不安定をよみがえらせたのか

Paul Craig Roberts

2013年3月6日

アメリカは大恐慌にあるわけではないかも知れないが、それでも経済的不安定がアメリカに戻ってきている。

著名な知識人でロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの政治哲学名誉教授ジョン・N.・グレイは“歴史の終わり”が人類を倫理的・経済的進歩への道を進ませているという見方には不同意だ。歴史は、より高度な段階へと進歩してはいないとグレイは考えている。そうではなく、人類は同じ愚行を繰り返しており、同じ災難に耐え忍ぶ運命にあるのだ。囲い込み、穀物法の廃止や、1834年の救貧法の繰り返しだ。

問題は、人間そのものにある。人間は探求的存在ではない。“人間は、既に抱いている価値観と目的を主張し、擁護するために、科学知識の力を利用する。”現在、我々は知識の増大と共に、倫理と政治が進化する代りに、ワシントンが、無人機と、7ヶ国への侵略で、人々を殺害し、他の国々を脅す中、国家テロと未曾有の規模の殺人を経験しているのだ。アメリカは、民主的な“世界への明かり”で、“欠かすことのできない国”だと主張しているが、自国の法律にも国際法にも違反して、中世ヨーロッパの、責任を負わない政府の拷問地下牢をよみがえらせたのだ。

アメリカの善に関するプロパガンダと、政府が行っている悪の間のずれが見えている人はまれだ。拷問は禁止された。そうした慣習は、戦争犯罪政府の行いということになった。だが、ブッシュとオバマの政権は、国家の犯罪を暴露した国民や、国家の武力攻撃に抵抗する人々に対して、国家を擁護する為、拷問をよみがえらせた。

アメリカ政府がアメリカ法と国際法に違反して拘留者を拷問していることを暴露したCIA職員ジョン・キリアコウは不法告訴をされ、実刑判決を受けた。拷問を承認した議員や拷問を行った人々は、あらゆる告訴から逃れたまま、再度拷問するにまかせている。

軍法の義務を果たし、上司達が無視したアメリカの戦争犯罪を暴露したアメリカ人兵士ブラドリー・マニングは憲法上のあらゆる権利を侵害され、現在、でっちあげられた冤罪で裁判されている。アメリカ政府は、マニングは真実を語ることによって“アメリカ合州国の敵”を助けたと主張した。

アメリカ政府は余りに腐敗していて、真実を宣言するのを自ら非難することが、自分に不利になることさえ理解できないのだ。ワシントンは何かしらの“世界に対する明かり”なのだろう。

アメリカ人が受け入れている神話が、アメリカ人の社会的、政治的、そして経済的破滅をもたらしている。『グローバリズムという妄想』という本の中で、ジョン・グレイは自由市場イデオロギーの破壊的な結果を説明している。

政府が、自由市場を抑圧し、我々から奪い去っているというリバタリアンの信念は、“自由市場は、国家権力が生み出すもので、自由市場は、安心と経済リスクの管理を求める人間の欲求が政治的表現の場を見いだすのを、国家が妨害し続けられる間しか持続できないという歴史的事実と矛盾する”ことをグレイは実証している。

自由な野放しの市場は、野放し市場の過大な要求を、国家権力と経済条件が助長するような、歴史上、極めて短い期間だけ存在した。野放しの市場は、ビクトリア朝時代のイギリスの一時期と、クリントン、ブッシュ、オバマ、サッチャーと、オーストラリアとニュージーランドの政治家達が、1980年代から現在まで、様々な経済活動から規制を取り除いてしまった間、存在している。

証拠は存在し、日々増大している。不安定性は増大しつつあり、それと共に、経済的不安定も増大した。ホームレスは増えつつある。過去十年で、ニューヨーク市ではホームレスが73パーセント増加しているのに、市長の収入は、270億ドルにのぼる。http://www.salon.com/2013/03/05/new_york_homelessness_sees_unprecedented_rise/singleton/ 金融制度の規制撤廃が、連邦準備金制度が、銀行に16兆ドル(アメリカの国家債務に等しい金額)貸し出さねばならない程巨大な不安定を生み出した。連邦準備金制度による毎年の米国債の1兆ドル購入は四年目で、ドル切下げとインフレの不安を高めている。かつては偉大な製造業の都市であったデトロイト等は激しく衰退している。本当の金利はマイナスで、退職者から利子収入を奪っている。経済回復とされるものにもかかわらず、最近の大学卒業生の高い失業率が、教育がもはや答えでないことを証明している。何百万もの雇用が消滅した。失業率は高い。食料配給券を受給するアメリカ人の人数とともに、貧困は増大している。かつて活気があったアメリカ中流階級は消え去りつつある。ブルー・カラー労働者階級はプロレタリアート化されつつある。国境を超えた労働の鞘取りが、何百万ものアメリカ製造業や、ソフトウエア・エンジニアリング等の専門サービス雇用を破壊した。かつては、何百万人ものアメリカ人の収入だったものが、中国人、インド人の収入、株主のキャピタルゲインや、アメリカ人の仕事を海外移転し、より安い労賃を利益として蓄えた大企業CEOの何百万ドルものボーナスへと変わってしまった。一つの結果は、アメリカの収入と富の不平等の膨大な拡大だ。現在のアメリカは、あらゆる先進国中で、最悪の経済的不平等で、世界中でも最悪の一つだ。この6分のビデオが、それをありありと示してくれる。http://www.youtube.com/watch?v=QPKKQnijnsM&feature=youtu.be もう一つの結果は、アメリカ消費者市場の縮小と、経済を回し続ける為の、所得収入でなく、借金への依存だが、この手段も、アメリカ家庭の多額の借金水準のおかげで、もはや枯渇した。

今や海外外注による税収入の喪失が、経済的安定を引き下げ、社会的一体性を強化するため何十年も前に作られた社会組織を脅かしている。社会保障とメディケアは攻撃を受けているが、アメリカの覇権と“民主的資本主義”を広めるための手段である戦争は攻撃されていない。経済的不安定さのペースのおかげで、失った仕事の代りを見つけられ次第、違う仕事に移るよう強いられるようになった為、職業キャリアという概念すら消滅しつつある。自由な野放しの市場は、経済活動を人間の幸福から切り離してしまう。グレイが言う様に、本来、人が市場が人の為に尽くすべきなのではなく、市場が人の為に尽くすべきなのだ。

アメリカだけに“民主的資本主義”の唯一本当の形があるというネオコンの信念は妄想だ。グレイは“民主主義と自由市場は仲間ではなく、ライバル”であることを示している。 自由市場は、安定性、安心と社会的一体性をむしばむので、自由市場は民主主義の中では持続可能ではない。“参加できる人々はわずかで、圧倒的大多数の国民が政治参加から排除される”ため、自由市場は、ビクトリア朝時代のイギリスで短い期間存在しただけだ。民主的政府の時代に、世界規模の自由市場を構築すという、アメリカのプロジェクトは、自由市場が生み出す不安定さと不安が、民主的な政治から守られ、修正や改革から隔離されることを必要としていると、グレイは結論している。

欧米のあらゆる場所で、支配している国民から、政治過程を隔離しようとする企みを、我々は目にしている。アメリカでは、二大政党は、選挙資金を提供している少数の強力な私的利益団体の代表だ。EUでは、ブリッセルが、公的債務危機を利用して、加盟諸国の主権をむしばみ、国民に対する諸国の責任を取り除いている。アメリカでは、国土安全保障省が10億発もの弾薬と、3,000輌の戦車を購入した。こうした購入は、稀だったり、存在していなかったりするテロリスト用ではなく、アメリカ国民用だ。購入は、規制撤廃がその舞台を作った社会的・政治的不安定度へのワシントンの対応なのだ。

グレイは、グローバル自由市場というのは、失敗する運命にあるプロジェクトで、その犠牲者名簿は長大なものになると結論づけている。あらゆる場所で、いかなる国も、組織も保存する責任を負っていない、減少しつつある天然資源を支配する為の、地政学的な相互の戦いへと、グローバリズムが、国々を向かわせるにつれ、不安定度は高まろう。歴史は巡り、ネオコンは、もし記憶されるとすれば、もう一つのユートピア運動、残忍な阿呆集団として記憶されることになろう。

グレイの結論は、ジェラルド・セレンテの予想傾向と一致している。通貨戦争、貿易戦争、政治的混乱、武力に訴える戦争。

縁故資本主義、悪徳資本家と経済的不安定の再来は、四半世紀の規制撤廃の直接結果であることを、リバタリアンは一番最後に理解する。新刊書、The Failure of Laissez Faire Capitalism And Economic Erosion Of Westで、私が明らかにした様に、これは我々に縁故資本主義を背負わせた、最新の自由放任主義実験の失敗だ。リバタリアンの涅槃ではなく、独占集中と少数による支配こそ、規制撤廃と見境のない貪欲が生み出すものなのだ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/03/06/how-deregulation-resurrected-american-economic-insecurity-paul-craig-roberts/

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3/11。原発:「ごみ問題、未来への投棄だ」 脚本家・倉本聰氏インタビューの一部を引用させていただこう。

毎日新聞 2013年03月04日 東京朝刊

◆原発にはいろいろな視点がありますが、ごみ問題が最大のテーマでしょう。事故が起きなくても使用済み核燃料の問題があるし、40年で廃炉にする場合も大量にごみが出る。廃炉に使うロボットも高レベルの放射能に汚染されたごみになる。処分については何も決まっていない。これからアジアで原発の新設が相次ぎ、日本がビジネスチャンスとばかりに参入しようとしているが、許されるのかという気がします。核のごみが出る責任を誰が取るのか。私たちは資本主義の中で、ごみを出すことに慣れきり、反省がなくなった。

 −−私たちは電力を使っているのに、核のごみの処分はひとごとで、誰かがやってくれると思っている面があります。

 ◆未来というごみ箱に核のごみを捨てているわけです。それでは我々の子孫はたまらない。そもそも、そこまで人間という生き物は持たない仕組みになっているのでしょう。

 −−世の中はアベノミクスを歓迎し、多くの人々は景気回復を期待しています。経済成長を中心に考えると、原発は必要だという意見も出てきます。

 ◆安倍さんには、核のごみの問題をどうするのか、しっかり答えてほしい。経団連の会長さんにも。何の返答もなく、次のステップ、その次のステップというのはおかしい。便槽のあふれ出した家に住んでいるようなものなのに、どんどん原発を動かしていこうというのは理解できない。

 −−震災直後の夏は東京でも省エネ意識が進み、明かりが消えましたが、昨年の夏は違いました。

 ◆日本人は忘れっぽくなってしまった。私自身は、資本主義的な考え方とは決別しなければいけないと考えています。」

見るだけで不快な政治家、「憲法は独立国でない時に作られた。今は独立国家なのだから、戒厳令を作らなければならない。」と真っ赤な嘘を語っていた。実際は、もちろん、戒厳令とはいわず、「非常時に国民の権利を制限する緊急事態条項」と言っていた。連中にとって、不都合な言論・活動の完全統制を狙ったものに過ぎないだろう。

真っ赤な嘘を垂れ流す東大話法御用学者連中、大本営広報のデタラメを暴く活動を封鎖するものだろう。Independent Web Journalや、たねまきジャーナルでの小出裕章助教や、各所での、石橋克彦氏、後藤政志氏、田中三彦氏や、広瀬隆氏の発言、ETVで、現地の放射能を徹底的にしらべて地図化した「ネットワークでつくる放射能汚染」の木村真三博士や岡野眞治博士の活動、あるいは原発事故の政府事故調査委員会メンバー吉岡斉九大学副学長らの発言を封じる為の。

今はまだ属国なのだから、戒厳令を作ってはならない。憲法をいじってはいけない。」のが正解。下さった宗主国の暴虐への楯に利用するべきだ。

    • 本当に独立国家なら、国内に外国軍隊は駐留させな
      い。
    • 百害あって一利ないTPPなどに参加しない。

「耕助のブログ 賀茂川耕助のブログです」にもある。No.914 日本はアメリカの植民地

政府はTPPメリット説明に足る統計が出せないといっている。メリットが皆無なのだから、いくら頭の良い官僚が、いくら時間をかけても出せるわけがない。

歴史は巡り、傀儡支配層連中は、もし記憶されるとすれば、もう一つのユートピア運動、残忍な阿呆集団として記憶されることになるのだろうか?それにしては、余りに、連中の支配期間が長すぎ、人数が多すぎる。

アフガニスタンや、イラクや、リビアや、シリアの無辜の国民のみならず゛自国民を悲惨な状況においやり続けている国、破綻した国内、海外政策ばかり推進する、ならずものテロ警察国家の命令を、どうしていつまでも聞き続けなければいけないのだろう。

この文章の種本、『グローバリズムという妄想』は翻訳が出ている。

松岡正剛の千夜千冊『グローバリズムという妄想』を拝読すると、まるでTPP詐欺予告。

一番ぴったりの項目をコピーさせていただこう。太字は小生が加工。

(4)グローバル資本主義の生みの親は、どう見てもアングロサクソンによるものだ。アングロサクソンは「合意」のための「契約」が大好きな民族だから、その合意と契約による経済的戦略を非アングロサクソン型の国々に認めさせるためには、どんな会議や折衝も辞さない。その象徴的な例が、たとえば1985年のプラザ合意だった。
 こういう合意と契約が、各国に押しつけがましい構造改革を迫るのは当然である。ニュージーランドやメキシコや日本が、いっときではあれそのシナリオに屈服しようとしたのは、不幸というしかない。

固有名詞と年号を入れ換えれば、現状そのまま。

グローバル資本主義の生みの親は、どう見てもアメリカによるものだ。アメリカは「合意」のための「契約」が大好きな民族だから、その合意と契約による経済的戦略を非アングロサクソン型の国々に認めさせるためには、どんな会議や折衝も辞さないその象徴的な例が、たとえば2013年のTPPだ。
 こういう合意と契約が、各国に押しつけがましい構造改革を迫るのは当然である。ニュージーランドやメキシコや日本が、そのシナリオに屈服しようとしているのは、不幸というしかない。

末尾の一部も引用せていただく。同じことを、いつも妄想ししている。

グレイは日本が幕末維新で開国したことをもったいながっていて、江戸社会こそは「ゼロ成長経済が繁栄と文化生活を完全に両立させた希有な例」だとみなしたのである。なるほど、ゼロ成長モデルがこんなところにあったかと思わせた。

是非、記事全文をお読み頂きたい。本一冊丸ごと読んだような気になれる。

「内田樹の研究室」の二つの記事も、この英語記事と繋がっている。

貧しいメタボおやじも、両氏お勧めの『グローバリズムという妄想』を読みたくなった。

2013年3月10日 (日)

NAFTAを再交渉し拡張する為にTPPを利用

2012年6月25日、月曜日

Dana Gabriel

既にアジア太平洋地域における通商と経済的な繋がりを深化させる交渉に参加している他の国々と共に、カナダとメキシコも加わる様、アメリカから招かれた。このような交渉は、規模においても、範囲においても、NAFTAをしのぐものだ。秘密主義的性格を批判されてきた、アメリカが率いる交渉は、加盟諸国との既存の通商協定の様々な点を更新するのに利用されかねない。これは、公式に再開すること無しに、裏口からNAFTA再交渉を開始する絶好の機会となろう。

2011年11月に参加通商交渉への関心を表明した後、NAFTA加盟諸国は、アメリカが後押しし、オーストリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポールとベトナムも加わっている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加するよう招かれた。アメリカ通商代表ロン・カークは、TPP集団へのメキシコカナダ両国の参加を歓迎した。彼はこう述べた。“メキシコは、アメリカ合州国に対し、北米自由貿易協定(NAFTA)では対象ではない課題も含む高度な水準の協定を締結する用意があることを保証した”。彼は更につけ加えた。“カナダをTPP交渉参加するよう招くことは、アメリカ合州国にとって、この既にダイナミックな通商関係を生かす、またとない機会だ。TPPによって、最大の貿易相手国との関係を21世紀へと移行するのだ”。アメリカとカナダの共同声明はこう認めている。“TPPは、NAFTAへの参加に積み上げて、より高い水準の協定を締結する好機だ。”

NAFTAや、同じ欠陥のある定型書式に則った他の通商交渉に強く反対し続けている団体、カウンシル・オブ・カナディアンズは、カナダのTPP加盟に強く反対している。この団体の全国議長モード・バーロウは、これは“全て正規の議会の手順を経ること無しに、医薬品政策、著作権政策、環境や保健法規の変更をカナダに強いかねない”と警告している。この団体は“TPP交渉は、アメリカがTPP加盟諸国に対して相当強い要求をしている、多国籍薬品企業が利益を増やせるようにする為、極めて重要な薬の入手を損なってしまう知的財産権を含め、多数の分野で、前もって譲歩することになりかねない”と警告している。“非輸出部門の農民に公正な賃金と安定価格を保証するサプライチェーン・マネジメントは、カナダが交渉の場で犠牲にすることができない程貴重なものだ”と彼等は強調している。それは国産品購入プログラムとしても、カナダの食料安全保障と食の主権としても重要だと指摘する人々もいる。カウンシル・オブ・カナディアンズは“TPPというのは概して、NAFTAの再交渉だが、アメリカのオバマ大統領が決めた条件での交渉なのだ”と主張している。

カナダ大企業を代理して対政府ロビー活動する団体カナダ経営者評議会CCCEが、カナダがTPP交渉に参加するよう招かれたという発表を歓迎したのは驚くべきことではない。会頭兼CEOのジョン・マンリーはこう述べている。“TPPに加入することで、連邦政府は、アジア太平洋地域で、カナダの長期的な戦略的利益の確保に向かって、歴史的跳躍をした。”全米商工会議所も、カナダとメキシコのTPP加盟を称賛した。全米商工会議所会頭兼CEOのトーマス・ドナヒューはこう主張している。“共にTPP交渉をするというのは、北米にとって素晴らしい戦略的決断だ” 1月、アメリカ評議会COAは“潜在的に極めて重要なものとなる可能性がある太平洋地域の国々との通商協定に、我々のNAFTAパートナー無しに入ることは、アメリカ合衆国にとってほとんど意味がない”と述べた。彼等はTPPを“北米内の我々の二国間、三国間通商関係を、21世紀の自由貿易協定の高い水準のものに更新するのを支援する有望な手段”と見なしている。

TPP交渉への招待は、NAFTA 2.0へ至る道か?」と題する論文中で、カナダの主要な国際通商戦略専門家の一人ピーター・クラークはこう結論している。“上首尾のTPPというものは、実質的に、そうとは見せずにNAFTAを再開し、実際再開されてしまうようにするものだ” 彼は更にこう述べている。“TPPがカナダとメキシコを招待することへの強力な支持者であるNAFTA加盟の三カ国全てのを財界首脳達は、ほぼ20年たって、NAFTAの近代化が必要だということ理解したのだ。原産地規則、サプライチェーン・マネジメントや生産統合等で。”クラークはこう強調した。“カナダ国民は明確に理解しておく必要がある。TPPというのは、NAFTA 2.0交渉であり、加米通商関係に重大な影響を及ぼす可能性がある。”また両国は「ビヨンド・ザ・ボーダー(国境を越えた)」国境保障構想と、NAFTA以来、米加協力上で最も重要な一歩前進と言われている国際競争力強化アクションプランを実施している。ハドソン研究所のクリストファー・サンズは“TPP交渉計画は、カナダとアメリカ合州国が追求している二国間目標と同じものであると同時に、更に野心的な多国間のものである”と見ている。

5月にTPPの第12回目の交渉が行われ、次回交渉は、カリフォルニア州、サンディエゴで、7月2日-10日に開催される予定だ。これまでのところ、透明性は実に欠如しているが、明らかなことは、TPPが他の通商協定の先を狙っていることだ。パブリック・シチズンによって漏洩された文章によれば、NAFTAにあった大企業に更なる権力を与え、加盟諸国の主権を一層脅かす投資家の特権を、更に拡張するようになっている。一方アメリカは、増大しつつある中国の影響力に対抗する手段として、TPP交渉の陣頭指揮状態にある。他の国々にも加入する門戸は解放されており、それが、この協定が、アジア太平洋での、より大きな自由貿易圏へのの足掛かり、国際的な大企業によるグローバル化策の重要な一環と見なされている理由だ。

NAFTAや現在のTPP等の通商協定は、多国籍企業の新たな一連の権利を、こっそりと通し、国家を条約の蜘蛛の巣の中に閉じ込め、各国の法律を更にやっつけるのに利用されているのだ。こうした協定、大抵は繁栄の約束を果たし損ねがちで、経済的奴隷状態への道を加速するのに役立つに過ぎない。グローバリゼーションとは自給自足と主権を犠牲にした外国への従属を意味し、それは確実に世界政府への道筋だ。

Dana Gabrielによる関連記事(全て英語)
Canada and Mexico to Join U.S. in NAFTA of the Pacific
Building Blocks Towards an Asia-Pacific Union
NAFTA Partners Take Steps to Boost Trilateral Relationship
U.S. Economic、Political and Military Expansion in Asia-Pacific

Dana Gabrielは活動家、独立研究者。貿易、グローバリゼーション、主権、安全保障等について書いている。連絡先: beyourownleader@hotmail.com. 彼のブログはBe Your Own Leader

リンクは原文通りゆえ、リンク先は全て英語原文。

記事原文のurl:beyourownleader.blogspot.ca/2012/06/using-tpp-to-renegotiate-and-expand.html

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テレビは、もっぱら震災二周年関連番組。

NAFTAのカナダ、メキシコ、TPP参加にあたって、屈辱的密約を結ばされていたことを東京新聞が暴露した。屈辱的なNAFTAから、更に屈辱的なTPPに昇格。

NAFTA改訂と同じ効果。強大な国家の隣人は大変だろう。引っ越し不可能。遥か対岸で、ずっと属国のまま、環太平洋と訳される、太平洋横断植民地条約に入る国もある。

国会質問を見る度に、根拠なく、TPP加盟をあおる「やつらの党」に、一体誰が投票しているのだろうと不思議に思う。「宗主国にとっての非関税障壁」が取り除かれた後の殺伐たる社会にどう責任をとるつもりなのだろう。

「国家を条約の蜘蛛の巣の中に閉じ込め」という表現、大本営広報による洗脳から抜け出る為の必読書本当は憲法より大事な「日米地位協定入門」を思い出す。

様々な密約で、この属国政府、蜘蛛の巣の中に閉じ込められている様を詳細に解説してくれている。TPPの危険性についても明確に書かれている。

記事の日付は、2012年6月25日、かなり前。ここでも、あのパブリック・シチズンによる漏洩文書への言及がある。パブリック・シチズンのワラックさん、「天木直人のブログ」で最近ビデオが紹介された方。以前から、TPP問題に取り組んでおられ、何度か来日、講演もされている。

「TPPに反対する人々の運動」に、文中で触れられている漏洩文書の「パブリック・シチズンによる分析」の翻訳文章がある。

TPP投資条項に関するリーク文書を米国パブリックシチズンが分析!(その1)

以下は、これまで翻訳した記事の例。

2013年3月 9日 (土)

貿易関係の管理 米国議会図書館議会調査局文書(4)

貿易関係の管理

長年にわたり、米日経済関係は、 時には同盟の安定性を脅かす程にまで至る、様々な摩擦を経験してきた。第二次世界大戦後、長年、アメリカ合州国が 、日本との経済関係を支配していた。アメリカ合州国は、圧倒的な世界最大の経済であり、日本は安全保障をアメリカ合州国に依存していた。アメリカ合州国が議題を設定し、この議題に上げられる問題は、アメリカ合州国への輸出、および/あるいは、アメリカの輸出と投資に対する障壁 を取り除くという、日本に対するアメリカの要求によって決められていた。

1960年代と、1970年代、主要な問題は、高関税や、国境での制限を通して実施していた、他の日本の保護貿易主義的経済政策と認識されるものであった。日本経済が次第に発展し、競争力を増すにつれ、関税および貿易に関する一般協定(GATT)、現在の世界貿易機構(WTO)、の他の加盟諸国と、日本が関税引き下げを交渉した際に、表向きは保護貿易主義ではないが、貿易を制限するような形で適用され得る政府規制等の“国内” 施策を含む非関税障壁に、アメリカ合州国は焦点を当てた。ある種の施策はWTO協定の対象ではなく、それが非¬貿易的な機能である為、現在、貿易交渉中では容易には対処されずにいる。そのような施策の例には下記のようなものがある。

    • 輸入車販売に対する差別と言われている自動車購入に対する国内税や他の規制
    • 特定の国内建設サービス企業をひいきする政府契約入札制度
    • その保護を意図して作られた小型店より、輸入製品を販売する可能性の高い大型小売店の開店を阻害する区画規制
    • その多くが輸入である、 新規で最先端の医薬品や医療機器の購入を阻害する政府の健康保険診療報酬支払い規制; そして
    • 半導体製造に対する政府助成金

これらの非関税障壁に対処するため、日本とアメリカ合州国は、主としてアメリカによる教唆により、政府対政府の経済関係を行う特別な二国間の枠組みと取り決めを導入した。これらの取り決めの中には下記がある。

    • 市場志向型分野別 (MOSS) 協議 1985年開始;
    • 構造障壁協議; (SII), 1989年3月開始;
    • 米日包括経済協議、1993年開始;
    • 日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく年次改革要望書(改革要望書)、1997年開始;
    • 成長のための日米経済パートナーシップ(経済パートナーシップ) 2001年開始; および
    • 日米経済調和対話、2010年開始、現在二国間協議用の主要な二国間フォーラムとして機能中。

二国は、自動車と半導体を含む特定製品の日本の貿易慣行に関するアメリカの懸念に、日本が対処することに同意するという二国間の取り決めや覚書(MOU)も締結した。
こうした取り決め の手法は様々だった。しかしながら、これらは、いくつかの基本的特徴を共有している。これらは二国間のものだった。規制や他の基本的障壁に焦点を当てることで、米日貿易問題を解決するように設計されていた。そして、主にアメリカ合州国側が提案していた。しかしながら、それが対処すると期待された問題の多くが、そのまま残っている事実から判断して、これらの方策の効果は限定されていた。

Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implicationsの部分翻訳 「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」5-6ページ。

「はじめに」の貿易関係の管理部分の翻訳

2012年8月24日付け 米国議会図書館議会調査局文書

ここからpdfファイルをダウンロード可能。

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先の米国議会図書館議会調査局文書記事、翻訳の続編。

3/7、衆議院予算委員会で、民主党、原口一博議員がTPPの質問をする際、この米国議会図書館議会調査局の公開文書を使ったのを見て、ネット検索したもの。

「除染が遅れている」やら「困難」やらの見出し。そもそも「除染」なるもの、原発建設した業者への資金注入か、政治資金捻出か何かの工作だろう。ロシアやウクライナ、ベラルーシで、除染作業が成功したという話、聞いたことがない。成功していれば、各国の企業が、指導に来ているだろう。罪なことだ。除染費用を、直接、被害者の方にお渡しすれば、目減りなし。有効に使っていただけるだろう。

「除染作業するから、そこで暮らせ」というのはムゴイ。原発村の幹部全員、自民党や、指導官庁、マスコミ、企業幹部、労組、御用学者、即時、家族揃って、被害地域の方と、住宅を交換すべきだろう。

ところで、上記文章のどこに、関税や、聖域品目の話題があるだろう。そういう特殊な項目なのだ、とおっしゃる方も中にはおられるだろう。
素人には、どのように読んでも非関税障壁こそが対象である、としか解釈できない。

非関税障壁の例として、輸入車販売に邪魔な税制が筆頭にあげられている。軽自動車排除。

  • 輸入車販売に対する差別と言われている自動車購入に対する国内税や他の規制

非関税障壁の次の例、除染に邁進している建設産業を狙ったものだろう。

  • 特定の国内建設サービス企業をひいきする政府契約入札制度

効果のない除染をしている暇があったら、ゼネコンの幹部諸氏、TPP反対官邸前集会等に参加すべきだろう。

この文章の含意、内閣参与になった藤井聡教授の『 コンプライアンスが日本を潰す』にはっきりかいてある。

帯にこうある。

服従から抵抗へ
アメリカ発のイデオロギーに毒された
日本の歪んだ法令システムを
国民の手に取り戻そう

絶対阻止と「談合」の合法的復活へ

  • 第2章 巨大産業の崩壊 ~建設産業を潰す「コンプライアンス」~

論理的に、必然的に、

    • 第4章 最後の攻防、TPP ~日本を潰す最強のコンプライアンス装置~
    • 第5章 私たちに法令をコンプライアンスさせるべし

この部分ではないが、米国議会図書館議会調査局文書の始めのほうには「これは事実上の米日FTAだ」という表記もある。

悪名高い、年次改革要望書もあげられている。これまでの、あらゆる非関税障壁排除の試み、取り決め、協定の集大成、究極の強引こじ開け、参入承認協定というのが正しいTPPの理解だろう。第二だか、第三だかの、そして最後の敗戦。

大本営広報部月刊誌心中の広告、売国経営者・学者、身中の虫コンビによる

本丸は規制緩和だ

つまり、宗主国大企業が「非関税障壁」と思うものの撤廃だろう。連中は、ことの始めから、売国をたくらんでいる。裏切り者達による、トロイの木馬導入。

文書の12ページに「アメリカのステークホルダーの意見」という項目がある。各界から、コメントを求めた結果の概略がかいてある。外務省のウェブにあるPDFと関連しているように思える。

TPP 協定(日本との協議に関する米国政府意見募集の結果概要:主要団体の意見詳細)

1945年3月10日、東京大空襲
TPP、永久的日本大空襲

日本政治とTPP 米国議会図書館議会調査局文書(3)

日本がTPP交渉に参加すべきか否かという問題は、一面記事となることが多く、参加可能性についての真面目な議論が、2009年と2010年に始まって以来、大きな政治論争がまきおこった。与党の民主党も、最大野党の自由民主党も、TPP問題を巡って党内は分裂している。頻繁な首相交替で、現首相は5年で6人目で、二党を超えたTPP賛成派を団結させるような指導力を生み出し損ねている。こうした政治的弱さが、首相の権力の伝統的、制度的な制限を増幅させ、本気の利益集団が政府の行動を効果的に止める可能性を高めている。その結果、日本の指導者は、交渉に参加するつもりだと断固発言したり、TPPに伴って起きる変化に対する反対を乗り越える政治力があるのを行動で示したりもしていない。30

大半の観測筋は、野田首相が日本をTPP交渉に参加させたがっていると考えている。とはいえ、2011年9月の首相就任以来、野田首相の長期在任は、ほとんど常に疑問視されており、彼がTPP問題で攻勢にでるのを困難にしている。更に、野田首相は、消費税増税法の成立、2011年3月11日の地震と津波の余波を受けた経済再建と改革の推進、新たな日本のエネルギー供給対策を含め、他の項目を優先リストの上位においている。

2012年の大半、野田首相の戦略は、日本がTPP交渉に参加する為に必要な支持を取り付ける前に、これら問題全てではないにせよ、大半を解決しようとしているように見えてた。TPPを無理押しすれば、野田民主党から離党者を出し、首相を選出する衆議院での多数派の立場を失いかねない。2012年8月、自民党とその盟党が、野田首相に、消費税増税案成立と引き換えに、衆議院選挙を約束するよう強いて、2012年中にTPPに参加する可能性は伸びてしまった。大半の専門家は、選挙は2013年早くに行われると予想している。民主党は振るわない結果になり、恐らく首相の座を失うだろうと広く予想されている。自民党は公式に、いくつかの例外を認めないのであれば、協定への参加には反対だとしていた。31

日本の強力な農業団体、とりわけ全国規模の農業組合組織JAは、事実上、日本が過去40-50年間、求めてきた全ての貿易自由化協定についてそうであったように、TPP加盟に対する最も強い反対勢力だ。日本の農業部門は、農村地域が国会議員の人数が多すぎる事実に乗じている。その結果、農業ロビーは、与党の民主党と、自民党の両方に大きな影響力を持ち、農業部門が恩恵を受ける一連の政策を支持してきた。例えば、多くの農産品は、高い関税障壁の背後で保護されて続けている。(表4を参照) 更に、他の様々な政策が、日本の農業が、益々高齢化する兼業農家に担われ、他の大半の国々の農業と比較して、一般に生産性が低い小規模のままでいられるよう保証している。日本政府は、農業世帯への直接収入として、毎年約1兆円(約120億ドル)支払っている。32 TPP参加に対する反対をなだめる取り組みの一環として計画された、2011年秋、野田政権は農業改革政策を発表したが、日本農業政策専門家オーレリア・ジョージ・マルガンによれば、わずかな暫定対策を越えるものではないという。33

JAは他の様々な有力な利益団体と連携して、積極的なTPP加盟反対のキャンペーンを行っている。こうした他の組織の中で最も重要なのは、TPPは薬品と医療機器に対し、より高い費用の支払いを強いるので、日本の国民皆保険制度を消滅はさせないにせよ、弱体化させると主張している日本医師会かも知れない。多くの専門家は、日本の伝統的農業利益団体、医療ロビーや他のTPP反対勢力が、日本国内でのTPP議論をうまく支配したと主張している。彼等は“TPPを慎重に考える会”に参加している約100人の民主党議員集団を含め多数の議員の支持を得ている。TPP反対論者の多くの主張の中には、アメリカ合州国が、野田政権に交渉参加を検討するよう強いているというものがある。

Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implicationsの該当部分翻訳 「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」14-16ページ。

2012年8月24日付け 米国議会図書館議会調査局文書

ここからpdfファイルをダウンロード可能。

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先の米国議会図書館議会調査局文書記事、翻訳の続編。

3/7、衆議院予算委員会で、民主党、原口一博議員がTPPの質問をする際、この米国議会図書館議会調査局の公開文書を使ったのを見て、検索したもの。いくら、あちら発の文書とはいえ、漫然と読んでいると、日本側のメリット、全くわからない。

あちらは全てしっかり把握。お釈迦様の手のひらの上の孫悟空の話を思い出す。

ゲームをする時と同じで、相手の手を読みつくしている方が強い。そもそも、TPPそのものが宗主国が新規設計しているゲーム。絶対に勝てない。カジノは、客ではなく、カジノが儲かる。まして最近、東京新聞が報じた様に、後から参加した国は、それまで決まったことを丸飲みする条件をつけられるのだという。

農業、経済性だけを追求するものではないだろう。
健康保険・医療についても冷たい記述だ。「根拠のない懸念をしている。」とでも書いてあれば、多少は気休めになるだろうに。宗主国式、利益至上主義になってはたまらない。

国会中継。みんなの党、こわいもの見たさで見た。この文書そのもの?

    • 「早くTPP参加を発表せよ」
    • 「株式会社による農地購入を可能にせよ」
    • 「株式会社による病院経営を推進せよ」

大資本の走狗、筋は通っている。1%が儲かり、99%が苦しむ体制を作るこうした政治家達に、どうして票を入れるのだろう、といつも不思議に思う。自民、みんな、維新、公明等も。

消費増税亡国論』植草一秀著 2012/4/23 に、みんなの党質問への回答?がある。価格952円+税とは思われない分厚い内容豊富な本。是非ご一読を。

『消費増税亡国論』植草一秀著 飛鳥新社

339ページ
日本の市場をこじ開け、米国企業が日本で自由に活動できる状況を生み出す。これが第一の狙いである。

TPPは単なる関税率の引き下げだけではなく、各国の制度や規制にまで干渉するところに大きな特徴がある。

340ページ
第一は、日本政府が国内基準として設定している、国民の生命や安全、あるいと環境を守るための仕組みが破壊されかねない点だ。
輸入牛肉のBSEの危険性。遺伝子組み換え食品の危険性に対する対応、あるいは排ガス規制がある。中略
米国は軽自動車の生産を行っていないため、軽自動車に対する税制上の優遇措置が米国企業に不利益を与えているという主張をしている。

第二に、日本の公的医療保険制度にひびが入りかねないという問題である。
中略

341ページ
第三の問題は、日本の農業の激変である。中略

342ページ
そして、農業の問題は単なるGDPの比率の問題ではなく、日本の国土と文化の問題である。

その後、国会中継は、共産党笠井議員の鋭い質問で、TPPに参加すれば、むしられるだけだろうことが明らかになった。と思う。常識で判断すれば。恐ろ
しい組に、加入後の条件をほとんど知らず、お願いして入る馬鹿がいるだろうか。あとからのこのこ入って、重要な規定を変更できるはずなどあるだろうか。

NPJで、
3/9(土)JCJ 3月集会 「安倍ブラック政権の正体」13時半~17時 という案内を見た。説明文が、ごもっとも。

3/9(土)JCJ 3月集会 「安倍ブラック政権の正体」

「経済成長」 「給料アップ」 という幻のニンジンをぶら下げながら、陰では憲法改悪と国防軍の創設、
さらには集団的自衛権の名のもとで米軍と一体でアジア・中東で市民殺害の戦争ができる軍事国家を狙う。
表面は笑顔を装うが、裏では生活保護の削減や非正規雇用の容認、教育現場での君が代・日の丸の強制など人権侵害を進める。
財界の言いなりに原発の再稼働を認め、事故多発機オスプレイの沖縄配備も問題なしとする。まさに人々をだますブラック企業のような政権だ。

13時半~17時

講師:石川康宏・神戸女学院大学教授
   桂 敬一・元東大新聞研究所教授
場所:日比谷図書文化館・大ホール (旧都立日比谷図書館)

3/9(土)は、「つながろうフクシマ! さようなら原発大集会」もある。

3/9(土)、「つながろうフクシマ! さようなら原発大集会」
会場:東京・明治公園
14:00~15:00 集会
発言者:内橋克人さん、大江健三郎さん、落合恵子さん、鎌田慧さん
    澤地久枝さん、広瀬隆さん(作家)、福島から

2013年3月 8日 (金)

TPP参加の日本の狙い 米国議会図書館議会調査局文書(2)

日本が交渉に入るのを、政治的により容易にする為、恐らくアメリカ合州国が日本に提供することができるものがいくつかありそうだ。こうしたものの中で、最も重要なものは、最終的な協定では、米等いくつかの例外が認めらるだろう、という理解だろう。そのような約束は、全ての項目が“検討対象だ”というTPPの運用前提の違反とはなろうが、多くの人々が究極的には、最終的な協定は、少なくとも少数の“聖域”を残すことを認めるだろうと考えている。

前回翻訳記事に習って、ポイントらしき部分を先頭に貼り付けた。以下は、原文の順序の通り。

日本の狙い

日本のTPP交渉参加の背後にある根底的な論拠は、二十年間、相対的に伸び悩んだ後、中国や、韓国の様なミドル・パワーと比較して、日本の経済的、政治的影響力が低下しているという、多くの日本人の間で増大しつつある感覚だ。急速に高齢化し、次第に減少しつつある日本の人口のせいで、生活水準を上げるのではなくとも、維持する為には、成長の新たな源を開発する必要があるという感覚が、多くの人々の間で強くなった。日本のTPP支持派は、消極的なものもあれば、積極的なものもある、様々な重なり合った理由から、交渉参加を訴えている。

    • 特に急速に成長しつつあるアジア太平洋地域に日本の輸出を拡大することで、日本の成長を促進し、日本の空洞化を、つまり他の国々への日本企業移転防ぎたいという切望。WTOの貿易交渉“ドーハ・ラウンド”の10年間にわたる行き詰まり、プラス、過去十年間の二国間、多国間FTA爆発的増加により、日本も慎重にFTA締結を目指すようになった。27 先に触れた通り、日本はアジアのグローバル・サプライ・チェーン中の重要なリンクであり、TPPはサプライ・チェーン内の運用を促進する可能性がある。逆に、より大きな環太平洋経済統合は、こうした製造・輸出ネットワークにおける日本の立場をむしばむ可能性がある。28
    • 日本がFTA交渉で立ち遅れているという感覚。日本は、13のFTA、経済連携協定(EPA)と呼ばれるものを締結しているが、主要経済大国とのものは、恐らく、2011年の日印EPAという例外の他にはなく、そうしたものの多くは、農産物貿易を除外している。(表3を参照) 対照的に、多くの日本人が、今では自らを比較するようになっている国の韓国は、アメリカ合州国や、欧州連合(EU)とFTAを締結し、2012年には、中国と交渉を開始した。もし日本が、FTA競争に遅れをとれば、日本の企業は競争上、不利なまま取り残されてしまうという感覚だ。29 日本は遅ればせながら、EUとのFTA交渉を開始するかどうか論議し、中国と韓国との三国間FTA交渉を開始することに合意して、格差を埋めようとしてきた。実際、この二つの交渉-とりわけ“CJK”(中国-日本-韓国) FTA交渉を、TPP参加の代替案と見る日本人もいる。
    • TPP参加は、日本国内の経済改革を推進するのに役立つという考え方。長年にわたり、多くの専門家や政府幹部は、経済を刺激するには、日本には構造改革が必要だと主張してきた。多くの日本人評論家や当局幹部は、改革に対する既得権益からの反対を克服する一つの方法は、(真の狙いを隠す)政治的大義名分として、改革志向の集団や個人の助けになる、TPPの様に、包括的で高い水準のFTA交渉を利用することだと考えている。また、TPP交渉は、交渉のパートナー達から譲歩を得ることで、日本が貿易構造改革の恩恵を得られるようにする可能性がある。
    • TPP加盟は、日本のアジアにおける戦略的な立場に役立つという希望。TPP加盟は、アジア地域内と周辺のミドル・パワーと東京との関係を強化することで、米日同盟を補強するという近年の日本の動きを補完する。この活動の背後にあるのは、中国の勃興が日本の影響力を衰退させており、いずれは安全保障と経済的利を脅かしかねないという懸念だ。

日本がTPP交渉に参加するかどうかを巡る交渉事前の時点では、日本政府が、アメリカ合州国に、何らかの譲歩を要求した様には見えない。日本が交渉に入るのを、政治的により容易にする為、恐らくアメリカ合州国が日本に提供することができるものがいくつかありそうだ。こうしたものの中で、最も重要なものは、最終的な協定では、米等いくつかの例外が認めらるだろう、という理解だろう。そのような約束は、全ての項目が“検討対象だ”というTPPの運用前提の違反とはなろうが、多くの人々が究極的には、最終的な協定は、少なくとも少数の“聖域”を残すことを認めるだろうと考えている。

Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implicationsの該当部分翻訳 「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」12-14ページ。

2012年8月24日付け 米国議会図書館議会調査局文書

ここからpdfファイルをダウンロード可能。

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先の米国議会図書館議会調査局文書記事、翻訳の続編。

3/7、衆議院予算委員会で、民主党、原口一博議員がTPPの質問をする際、この米国議会図書館議会調査局の公開文書を使ったのを見て、検索したもの。

詳細、的確な分析に感心する。こういう分析力、判断力で拮抗できる組織、人、そもそも、意志、この国にあるだろうか。こうした分析に対応する方針を練ってから、参加不参加を決めるのが道理だろう。

首相の不思議な「聖域」呪文、恐らく下記の一節からひねり出したのだろう。「聖域」、原文はsacred cows、牛をうやまうヒンズー教からの言葉だそうだ。

日本が交渉に入るのを、政治的により容易にする為、恐らくアメリカ合州国が日本に提供することができるものがいくつかありそうだ。こうしたものの中で、最
も重要なものは、最終的な協定では、米等いくつかの例外が認めらるだろう、という理解だろう。そのような約束は、全ての項目が“検討対象だ”というTPP
の運用前提の違反とはなろうが、多くの人々が究極的には、最終的な協定は、少なくとも少数の“聖域”を残すことを認めるだろうと考えている。

「サンフランシスコ講和条約発効日の4月28日に「主権回復の日」として政府主催の式典開催を検討していると明らかにした。」というのを聞いて目が点?

13日?に売国策TPP加盟を発表し、主権放棄する御仁が平然とマッカーサーな嘘。

サンフランシスコ条約で、決して主権回復などしていないこと、TPP加盟でさらにひどいことになる、のは、本当は憲法より大事な「日米地位協定入門」を読めば高校生にもわかる。

68年間の戦後傀儡政治をになってきた連中、自民、公明、みんな、維新、民主は、式典芝居で茶番「独立」を言祝ぐだろう。絶滅危惧種政党はどうするのだろう? 出席すれば、売国奴のインチキ芝居幇助、出席拒否すれば、独立を祝わない異端として叩かれる。

これから国家主権を投げ捨てる歴史的売国行為をしようとする人物が、「主権回復の日」を祝うというのは、余りに低劣なブラック・ジョーク。支配構造は完全崩壊済。

(TPPでの)アメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある 米国議会図書館議会調査局文書

市場アクセス

TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資における機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本が
TPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

上記項目は、この文書の大分下の方にでてくるが、お時間とお手間をとらせないよう、一番先に貼り付けておく。

以下は、原文の通りの順序。該当文書の6から11ページの部分訳である。(文章末にある数字は、原文中で、原典を示す注番号。)

残された課題とTPP

米日経済関係をいらだたせ続けてきた問題の多くは、TPPの枠内で対応可能かも知れない。アメリカの議員や他のステークホルダーは、もし解決ができれば、日本をTPPにとりこむことへの、アメリカの支持を強化しうる“信頼構築の施策”と見なすことができるであろう、三つの点を特定している。問題点は以下の通り。アメリカ牛肉に対する日本の制限、デトロイトを本拠とするアメリカ自動車メーカーが製造した自動車の日本での市場アクセス、そして、国営の日本郵政の保険と宅急便子会社の優遇措置だ。

アメリカ牛肉の市場のアクセス

2003年12月、ワシントン州で、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる“狂牛病”)のアメリカ最初の事例が発見されたことに対応して、日本は、他の多数の国々と共に、アメリカ牛肉輸入禁止を課した。2006年、多数の交渉後、日本は20カ月以下の牛の牛肉を認めるよう制限を緩和した。(韓国や台湾等、他国の中には、30カ月以下の牛のアメリカ牛肉輸入を許可している) アメリカ牛肉生産業者と一部の議員は、国際的監視機関が牛の年齢とは無関係にアメリカ牛肉は安全だと宣言しているので、日本は制限を完全に解除すべきだと主張している。アメリカと日本の当局者間の交渉は、この問題を解決できていない。

2011年11月12日、ハワイ、ホノルルでのAPEC指導者フォーラム会合前の、オバマ大統領との会談で、野田首相は、日本の牛肉輸入規制を改訂し、アメリカ牛肉の市場アクセスを拡大する取り組みが進行中であることを示した。ホワイト・ハウスによれば、“大統領は、こうした初期対策を歓迎し、科学に基づく、この積年の問題を解決することの重要性に言及した。野田首相によって行われている迅速な対策に励まされる思いであり、 こうした構想で彼と密接に仕事をすることを期待している。”14 2011年11月17-18日の東京での日本の当局者との会合で、デメトリオス・マランティス米通商部(USTR)次席代表は、アメリカ牛肉に対する制限解除の問題を話題にした。15 2011年12月、日本は、日本に輸出するアメリカ牛肉用の牛の最高年齢を20カ月から30カ月に上げるという目的で、BSEに関連する規制を見直していると発表した。

2012年4月24日に、アメリカ農務省(USDA)検査官が、中部カリフォルニアのレンダリング施設で、この病気のサンプリングをしたものの中で、牛のBSE症例を発見した。USDAは、 この牛は、人間の消費用に屠殺したものではないので“食品供給や、人間の健康にとって、決してリスクにはならない”と述べた。16 日本当局者は、最近BSEが発見されたが、アメリカ牛肉の輸出に対する政策は変えていないと発言した。17

アメリカ製自動車の市場アクセス

自動車と自動車部品関連の貿易と投資は、米日経済関係の中で、非常に微妙な問題であり続けてきた。問題の根は、1970年代末と、1980年代初期、主としてガソリン価格急速な高騰に対応して、アメリカ消費者の小型車需要が増加した結果、アメリカの日本製自動車輸入が急増したことにある。

一方、アメリカ製の自動車の需要は急落した。日本製の自動車輸入制限という形での、アメリカ自動車業界の圧力と、議会からの圧力に直面して、1981年に、レーガン政権は、自発的輸出制限に合意するよう、日本を説得した。日本の自動車会社は、制限に対応して、アメリカ合州国内に製造工場を建設し、高価値の乗用車を輸出することにした。アメリカのメーカーは、日本国内での外国製自動車販売と、アメリカ合州国で製造された日本車でのアメリカ製部品使用を制限する為、日本は様々な手段を使っていると主張した。これらの問題は、1990年代中、二国間交渉と合意の対象とされた。合意は、概して、政府規制が、日本でのアメリカ製自動車の販売を決して妨げないようにするという日本政府の約束と、アメリカ合州国で製造される自動車で、アメリカ製自動車部品の使用を増やすという日本メーカー側の自発的努力という形のものだった。アメリカ政府は、日本へのアメリカ製自動車の輸出促進プログラムを実施すると約束した。

デトロイトに本拠を置く三社の自動車メーカー-クライスラー、フォードと、ゼネラル・モーターズは、日本がTPPに参加する可能性に対し、日本政府の規制が、日本国内の自動車売り上げ中で、彼等が応分のシェアを得るのを妨げ続けていると非難している。彼等は日本の全自動車売り上げ中の、伝統的に小さな輸入車のシェア、約5%に触れている。対照的に、2010年の輸入は、アメリカでの軽自動車の売り上げの26%を占めている。18アメリカ・メーカーはまた、2010年の総売り上げ中の、アメリカ製自動車の0.2%という小さなシェアを指摘している。

とりわけ、アメリカ自動車メーカーは、安全規制と、車検規制と、そうしたものの進展と実施での透明性の欠如が、アメリカ製の車の輸入を妨げていると主張している。アメリカの自動車メーカーは、日本で、自分達の車を販売するディーラーを設立する障壁にも言及した。19 日本側の業界は、アメリカ・メーカーが、日本で需要がある小型エンジン車両を十分な量、製造していないのだと主張している。対照的に、ヨーロッパ・メーカーは、そうしたモデルを多く製造しており、2010年の日本国内販売中で、彼らのシェアは、2.9%である。20

保険、宅急便と、日本郵便

日本は、アメリカ合州国に次いで、世界で二番目に大きい保険市場である。アメリカに本社を置く保険会社は、市場参入が困難であることに気がついた、特に、生命保険と年金保険。彼等は、日本の国内の保険市で大きなシェアを有する国営郵便制度の保険子会社、日本郵政保険に政府が与えている有利な規制の扱いを憂慮している。日本郵政は、他の業務からの収入で、保険業務を補助している。また、日本郵政の保険は、他の国内、外国、両方の民間保険会社に対するのと同じ規制を受けずにいる。同様に、アメリカの宅急便会社は、日本郵政の宅急便運送会社は、国有の親会社から補助を得ており、それが、競争上の不公平な優位性を与えていると非難している。

日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい

2007年10月1日、当時の小泉純一郎首相政権は、日本郵政の改革と民営化を導入し、彼の政権の主要目標とした。ブッシュ政権と多くのアメリカ企業、特に保険会社は、こうした改革を支持した。しかしながら、民主党が率いる後継政権は、改革を巻き返す措置を講じた。2012年3月12日、政府は規制の要求を緩和する法案を提出し、2012年4月27日、日本の議会が、法案を法律として成立させた。業界報告や他の意見によれば、法案は小泉政権が導入した改革を逆転するものだ。21 法案は、与党の民主党と、二大野党、自由民主党 (自民党)と公明党議員達による妥協パッケージだとされている。22

アメリカの全体的目標

日本のTPP参加の可能性は、様々なアメリカの貿易、外交政策目標に関わっている。アメリカ合州国は、2011年11月のTPP参加の可能性を追求するという野田首相の声明を積極的に歓迎した。しかしながら、USTR ロン・カークは下記のように明記している。

交渉に参加するためには、日本は貿易自由化のTPPの高い水準に合致する用意ができていて、農業、サービスと、製造業に対する非関税施策を含む障壁について、アメリカ合州国が関心を持っている特定の問題に対処しなければならない。日本のTPPへの関心は、この構想の、この地域に対する経済的、戦略的重要性を実証している。23

市場アクセス

TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資のおける機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本がTPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

ルールに基づく貿易の枠組みと、公平な紛争処理

アメリカ合州国と日本が過去に使ってきた二国間の枠組みの欠点の一つは、そこに正式な紛争処理機構がないことである。例えば、アメリカ製自動車と自動車部品の日本市場アクセス、半導体の日本の貿易慣習や、建設サービスの日本市場アクセスを含む1980年代と、1990年代の、多数の貿易紛争は、アメリカによる一方的な行動の脅しをともなう、全体的な関係をむしばみかねない、深刻な政治問題と化した。

紛争は通常、瀬戸際で解決されたが、日本の貿易慣習の意味ある変化や、対象になっているアメリカの製品輸出の大幅な増加をもたらさないことが多かった。TPPは、WTOを越えるが、問題解決において、1対1の対決の役割を小さくするよう、WTOで用いられているような、公平な複数メンバーの紛争調停機構を用いる可能性の高い、相互に合意した一連の規則を提供することとなろう。

TPPの強化

アメリカから見て、日本は、TPPの経済的重要性を増すだろう。TPP(オリジナルの9ヶ国プラス、カナダとメキシコ)がカバーするアメリカ商品の貿易額を、2011年データに基づく、34%から、39%に増大するだろう、また、TPP内でのサービス貿易と、外国投資活動も増大するだろう。(図1参照) 日本は、TPP加盟国(カナダとメキシコを含む)占める世界経済でのシェアを、約30%から、38%に増大させるだろう。

日本の参加は、TPP内の多くの問題で、アメリカの立場を強化する可能性がある。アメリカ合州国と日本は、以下を含む目標を共有している。知的財産権の強力な保護、外国投資の保護、貿易を促進する明確な原産地規則、サービスの市場アクセス。

Japan's Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implicationsの該当部分翻訳 「日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい」

2012年8月24日付け 米国議会図書館議会調査局文書

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3/7、衆議院予算委員会で、民主党、原口一博議員がTPPの質問をする際、この米国議会図書館議会調査局の公開文書を使った。時間不足だったのか、一番肝心な所の質問はされていなかったように記憶している。ともあれ、あわてて読んで驚嘆。

はっきり明記してある。

アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。

これが書いてあるのは、下記項目の中。

市場アクセス

TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資のおける機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。
在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本が
TPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

「聖域なき関税撤廃を前途とする限り、TPP交渉には参加しない」云々という傀儡の国内向けマヤカシ呪文などどうでもよい。大本営広報部は決して報じない。交渉に関与している日本政府の担当者も、閣僚も、こういう文書があるのは知っているはずだ。

TPPルール作り、日本に利益…首相

2013年3月8日(金)0時47分配信 読売新聞

 安倍首相は7日の衆院予算委員会で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加の意義について、「日米が世界に広がる自由貿易圏のルール作りを行うメリットはある。日本の知的財産が参加国で保護されるし、工業製品を世界に出すことで日本が利益を得ていく」と述べた。

ただ驚くしかない。

いつもの言い方を、しつこく繰り返す。この人物、確実にこのいずれかだ。

    • 非関税障壁解除の明記を知らなければ、参加を言い出す資格の無い低能
    • 非関税障壁解除の明記を知っていれば、単なる嘘つきの売国奴

2013年3月 7日 (木)

女性を脅かす、アメリカによるTPP通商協定での大企業権利の要求

2013年3月4日
AFTINET

オーストラリア、アメリカと、9ヶ国のアジア太平洋諸国の間の環太平洋戦略的経済連携協定の16回目の交渉が、今週シンガポールで始まるが、学者と健康推進団体が、大企業の更なる権利を求めるアメリカの要求の、女性の暮らしに対する潜在的影響と、法的に強制し得る労働者の権利の欠如について論議する。

女性を脅かす、TPP通商協定での、アメリカによる大企業権利の要求

オーストラリア、アメリカと、9ヶ国のアジア太平洋諸国の間の環太平洋戦略的経済連携協定の16回目の交渉が、今週シンガポールで始まるが、学者と健康推進団体が、大企業の更なる権利を求めるアメリカの要求の、女性の暮らしに対する潜在的影響と、法的に強制し得る労働者の権利の欠如について論議する。

このTPPと女性の権利についてのセミナーは、3月5日火曜日午後12:15、シドニー、ニュー・サウス・ウェールズ国会議事堂、ワラタ・ルームで開催される。

“最近の連邦裁判所裁定で、私企業が乳ガンに関連する遺伝子を特許にできることが確認されました。これは、20年間の特許有効期間の為、大半の女性にとって、乳ガン検査が、高過ぎて手が届かなくなる可能性を意味しています。TTPで、もしアメリカ政府が、診断テストを含め、更に強い特許権の要求を通すことに成功すれば、この悪いニュースは一層ひどいものになってしまいます。これによって、特許法を、より一層、オーストラリア政府が変えることができない国際条約に縛りつけてしまうでしょう”オーストラリア公正貿易投資 ネットワークAFTINの議長で、セミナーの講師パトリシア・ラナルド博士は語っている。

“アメリカは、薬品会社が医薬品に高い独占価格をつけられるようにするためのより強力な特許権を要求し、より安価なジェネリック薬品が入手可能になるのを遅らせようとしています。アメリカは、オーストラリアの医薬品給付・償還システムPBSによって実現されているような形で、政府が医薬品価格を規制するのも防ぎたいのです。出産と育児という役柄上、医療を受ける度合いが高い女性が最も被害を受けます”と、ラナルド博士は語っている。

“アメリカは、もし法律や政策が外国人投資家の投資を‘損なった’場合、外国人投資家が、政府に対して損害賠償を訴える特権も望んでいます。有毒廃棄物投棄の規制や、危険な化学物質の規制や、タバコ規制の様な、女性や子供達の健康を保護する法律をめぐって、政府は訴えられてきました。女性や、他の弱い集団を犠牲にして、投資家にこうした特権を与えることに反対しているオーストラリア政府を、我々は支持します”とラナルド博士は説明する。

“大企業の更なる権利を要求するアメリカとは対照的に、他のTPP加盟国は団結権や団体交渉権、強制労働や、児童労働や、職場での差別禁止等、法的に強制し得る労働者の基本的権利の導入に、まだ合意していません。子供のいる女性は賃金労働につきにくく、家庭で無給の仕事をすることが多く、女性は交渉力が弱く、より低賃金の仕事についていることが多いのです。法的に強制し得る労働者の権利無しでの通商と競争の拡大は、こうした権利に対する底辺への競争をもたらすでしょう。賃金労働で、女性はより弱い立場にあるので、女性が最も深刻な影響を受けるでしょう”とラナルド博士は付け加えた。

“女性にとって重要な社会政策の分野で、規制する力を弱めるようなアメリカの要求に抵抗し続け、協定の一環として、法的に強制し得る労働者の権利を含めるのを支持するよう、我々はオーストラリア政府に強く要請します” とラナルド博士は最後に述べた。

終わり

コンテンツの元はscoop.co.nz
元のurl

記事原文のurl:www.itsourfuture.org.nz/us-tpp-trade-demands-for-corporate-rights-threaten-women/

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まともな方々・団体は、大本営広報とは違って、「聖域」などという馬鹿なことを問題とはとらえていない。

オーストラリア政府、さすがにISD条項は反対のようだ。ISD条項は憲法を超越する。職の問題は深刻だが、食の問題も深刻だ。是非、下記をお読み頂きたい。

大本営広報部、論説で「交渉を主導するくらいの勢いであたれ」という趣旨のオトボケ記事を書いていた。デタラメさに驚いて読んでしまった。

いつものことだが、正気と思われない。基本的に、大本営広報部主張の逆こそ、正しいだろうと思っている。

    • 交渉を主導するくらいの勢いで、オスプレイ問題にあたれただろうか?
    • 交渉を主導するくらいの勢いで、首相は、大統領と話せただろうか?

属国が、宗主国との交渉で、めざましい主導力を発揮した例をズラリ挙げてくだされば、へそ曲がりにもわかる。具体例が書かれておらず、残念。

相手からの譲歩がないまま、自動車問題で譲歩をしてしまっているではないか?これこそ、属国による交渉主導の例だろう。

一票の格差判決、違憲だが、選挙結果はそのまま。もし、絶滅危惧政党が多数当選していたら、選挙結果も無効になっていただろう。美しい国だ。

国会で、「中国の脅威」をいう安倍首相。生活の森ゆうこ氏、共産党の山下芳生氏、みどりの党亀井氏のまともな質問に、はぐらかした答え。

首相の話をきいていると、頭がおかしくなってくる。善悪の基準が、小生とアベコベ。日本の庶民にとっての脅威は、中国ではない。庶民を搾取し、宗主国大企業に売り渡す、日本の支配者あなたたちだ

そこで一句。

売国とアメリカ語で書く三代目

2013年3月 6日 (水)

米EU自由貿易協定は新世界経済秩序の基盤

Dana Gabriel

2013年2月25日

Be Your Own Leader

アメリカとEUは、世界最大の自由貿易協定となるであろうものの交渉を始めることに合意した。そのような協定は、経済版NATO創造の基盤となるだろうし、通商の中には、商品、サービスと投資と知的財産権が盛り込まれよう。こうした交渉を、遺伝子組み替え作物や食品に対する規制をEUに緩めさせるのに、アメリカが利用しかねないという懸念がある。更に、この協定は、昨年ヨーロッパ議会で拒否されたACTAを実施するたの裏口手段として機能する可能性もある。米EU大西洋通商協定は、中国の増大する勢力に対抗する一つの方法であり、新たな世界経済秩序の基盤と見なされている。

最近の一般教書演説で、バラク・オバマ大統領は、アメリカせ、欧州連合(EU)と、包括的な大西洋通商・投資パートナーシップについての交渉を開始すると正式発表した。ホセ・マヌエル・バロッソ欧州委員会委員長、欧州理事会議長ヘルマン・ファン・ロンパイと、アメリカのオバマ大統領が発表した共同声明はこうだ。“この交渉を通して、アメリカ合州国と欧州連合は、機会 大西洋を越えて貿易と投資を拡大するのみならず、多国間貿易制度を強化できる世界的ルールの開発にも貢献できるだろう。”別の演説でバロッソ欧州委員会委員長はこう強調した“世界の最も重要な二つの経済勢力間での新たな協定は大きな変革をもたらすものとなろう。我々は協力して世界最大の自由貿易圏を形成するつもりだ。だから、この交渉は、規制の問題を含む将来の双方二者間の貿易と投資に対してのみならず、世界的な通商ルール開発に対しても、基準をうちたてるものだ。”

自由貿易協定を推進するという決定は、米EU経済統合を深化するために作られた「雇用と成長に関する米欧ハイレベル作業部会」によって提出された勧告に基づいている。作業部会は最終報告書で、“包括的通商投資協定交渉を開始するのに必要な正式な国内手順をできるだけ早く開始する”よう双方の指導者達に呼びかけた。アメリカとEUの当局者によれば、交渉は2014年末までに協定をまとめるのを目標に、6月にも開始予定だ。提案されている通商条約は、輸入税撤廃、商品、サービスと投資取引に対する障害の除去、規制と基準の調和を盛り込むだろう。また、知的財産権保護と実施も盛り込むだろう。これは偽造品の取引の防止に関する協定(ACTA)を裏口から実施する好機として利用されかねない。ACTAが2012年7月、ヨーロッパ議会によって否決されることになったのは、インターネットの自由とプライバシーに対するリスクにまつわる世論の圧力の結果だった。ACTAの一部を忍び込ませるために、カナダ-EU貿易交渉を利用しようとする企みが実際にあったのだ。

パブリック・シチズンのGlobal Trade Watchディレクター、ロリ・ワラックは、米EU交渉の狙いが“多国籍企業は"貿易の目の上のこぶ"と呼ぶが、一般市民は厳格な食品安全、環境、健康上の安全対策と考えている基準のリストを消滅させるのが狙いなのだ。”であることを警告している。彼女は更にこう言っている。“ヨーロッパの企業はアメリカの金融規制体制、アメリカの厳しい医薬品や医療機器の安全基準や、試験基準等々という面を標的にしている。”ワラックは更につけ加えている。“メリカ企業は、ヨーロッパに、その優れた化学製品規制体制、厳しい食品安全規則、遺伝子組み換え食品の表示、厳格な環境政策を棄てさせたがっている。”プレス・リリースで、アース・オープン・ソースはこう警告した。“EU米自由貿易協定は、遺伝子組み換え(GM)作物と食品に関する健康と環境の為のEUの予防措置を消し去るだろう。” リサーチ・ディレクターのクレア・ロビンソンは次のように指摘している。“もしこの新たな通商協定が成立すれば、世界貿易機構WTOの規則の下では、GMOに対して、アメリカの制度より、EUの規制制度が厳しいのは違法になってしまうだろう。”多くの場合、アメリカでは、GM食品は特別な規制監督や安全性検査が必要ではないことを考えると、これは憂慮すべきだ。

提案された米EU貿易協定のせいで影が薄くなったのが、現在行われているカナダ-EU包括的経済貿易協定(CETA)交渉だ。交渉が最終段階であるにもかかわらず、協定をまとめる為には、依然、双方に埋めるべき重要な溝がある。トロント・スターのトーマス・ウォルコムはこう認識している。“オタワとの通商協定交渉に対するヨーロッパの本当の関心は、大西洋自由通商条約が可能であることを、アメリカに実証することなのだ。” 彼は言う。“EUの交渉担当者は、アメリカに対する交渉力が弱体化するのを恐れ、カナダに譲歩するのを非常にいやがるだろう。”ウォルコムは、こう主張する。“ヨーロッパ側はそれ程でないのに、カナダ側は、協定をまとめようとして、より強い圧力下にある。” 彼の結論はこうだ。“カナダ-EU協定は不可避のものに思える。しかし当面、アメリカが加わったので、カナダに対する条件は、期待したよりも更に不利となり得る。”グローブ・アンド・メイルは最近、EUは、いかなる協定を署名する前に、カナダから更なる譲歩を要求していると報じた。事をまとめる為に必死のカナダが更に譲歩してしまう可能性がある。そもそも、でだしから損な協定なのだから、CETAから撤退してしまうのが一番の得策だろう。

今後数カ月のうちに、大西洋の両岸で、米EU通商協定反対に結集する反大企業グローバリゼーション運動が起きるだろう。健康、環境や食品安全基準を脅かす、この規制撤廃計略を推進しているのは、大企業と金融機関だ。NAFTA同様、提案されている米EU通商協定には、大企業に企業利益を制限する政府の政策に異議を申し立てる権利を与えてしまうISD手順が盛り込まれる可能性も高い。アメリカとEU間の通商協定は新たな世界通商体制の構成要素だ。NAFTA、環太平洋戦略的経済連携協定と、米EU大西洋通商協定を一緒にすれば、グローバル自由貿易地域の手だてが整うことになる。

Dana Gabrielによる関連記事(全て英語原文):
Deepening the U.S.-EU Transatlantic Trade Partnership
Growing Opposition to the Canada-EU Trade Agreement
Advancing the Transatlantic Agenda
From NAFTA to CETA: Canada-EU Deep Economic Integration

Dana Gabrielは活動家、独立研究者。貿易、グローバリゼーション、主権、安全保障等について書いている。連絡先: beyourownleader@hotmail.com. 彼のブログはBe Your Own Leader

記事原文のurl:beyourownleader.blogspot.ca/2013/02/us-eu-trade-deal-is-foundation-for-new_25.html
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電子白痴製造装置、たまたまた見たところ、国会中継。
聞き応えのある質問は、日本共産党の志井書記長と、生活の党の青木愛のお二方のみ。他は実際は与党も同じゆえ、聴取していない。
二人の質問にたいする首相回答、はぐらかしの見本。

太平洋で隔てられてはいても、この国、実際は宗主国の飛び地、天領、直轄自治区。

この記事、巨大企業という国家をのっとった怪物吸血鬼が、その触手を、隣国二国、さらに韓国、日本、そしてヨーロッパに刺し込もうとしているおぞましい姿をみている気分。エイリアン。

「自動車関税で宗主国に譲歩」し「参加表明」するという。「日本を取り戻す」のは宗主国で、こちらは「日本を差し出す」のだ。

文中にあるパブリック・シチズンのGlobal Trade Watchディレクター、ロリ・ワラックさん発言部分の元記事「一般教書、TPP、TAFTA -- WTF?」として訳してある。

米国市民団体がTPP秘密交渉を告発した驚愕の報道内容 2013年03月02日という
「天木直人のブログ」記事のおかげで、デモクラシー・ナウ!でのロリ・ワラックさん発言、注目が高まっているようだ。デモクラシー・ナウ!、今週の人気動画1位は、
該当番組 TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具 2012/6/4

デモクラシー・ナウ!にお断りなしに番組の書き起こし文翻訳「TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具」を当ブログに掲載したのは、2012/8/26のこと。

2/20の「TPPを慎重に考える会学習会第44回」岩月弁護士講演の中に「宗主国の身勝手さ、属国の無防備さを」説明する項目がある。第7 不平等条約。これも極めて重要な点だ。

TPP条約で、

    • 宗主国は、属国を自在に経済侵略できるが、
    • 属国は、宗主国にはとうてい攻め込めないよう

宗主国は、しっかり法制度で防御している。属国にはそうした構えはない。こうした物事、先にルールを決めて、押しつけた側の勝ち。アメリカ200年の歴史が、彼らのその道での卓越性を示している。「属国は自治領化する」以外の結果はおきない。一方通行で宗主国大企業にまきあげられる。

講師の岩月弁護士、ブログ記事を書かれている。「ISDの罠 番外 TPPを慎重に考える会学習会(第44回)」の冒頭リンクで、当日配布されたレジメが、また末尾のリンクでは、資料のダウンロードが可能。是非、レジメをダウンロード頂きたい。

レジメから、不平等条約の部分を引用させていただく。読みやすくするため改行挿入した。

第7 不平等条約
1 アメリカ合衆国のISDSの国内的受容 米国の徹底した保護主義
(1)合衆国憲法の「条約」
条約の受容は、各国の憲法体制によって決まる
アメリカ合衆国憲法は、上院の3分の2で可決する合意のみを狭義の「条約(treaty)」とする。狭義の「条約」は直接国内法的効力を持ち、法律と同等の効力を有し、法律と条約が矛盾する場合は、後法優先の原則が判例。

その他の国際協定(international agreement)は大統領限りのものとして「行政協定 (exective agreement)」と呼ばれる。国内法的効力を有するが、国会の承認がないものは法律に劣後する。承認立法がなされた行政協定は法律と同等の効力を有する。

しかも、アメリカ憲法では、「関税を課し、徴収する」権限、「外国との通商を規制する」権限は議会に属する(1条8項)
通商行政協定が、自動執行力を有するか否か、どのような範囲•内容で国内法化するかはすべて議会にゆだねられる。

なお、2002年「貿易促進権限法」

cf日本
日本は憲法98条2項により、「条約及び確立された国際法規」の誠実遵守義務を規定し、原則として条約に国内法的効力を認め(直接受容•但し自動執行力ある条約の範囲は極めて狭いと解釈されている)、かつ条約が法律に優位する憲法体制となっている。
(2)    米国のISDSの国内的受容(WTO、NAFATA、韓米FTA)
①連邦法、州法に反する協定の無効
②協定に反する連邦法•州法の有効
③協定に基づく i )攻撃防御方法の不発生、ii)連邦法、州法、行政当局の作為-不作為に対する訴訟提起(challenge)の不可能
④履行法の規定は以下の米国法の解釈を変更するために用いられない

「猿の惑星」を「すばらしい新世界」を「華氏451度」を思う。

「独りファシズムVer.0.1」、鋭い分析を拝読している。ここで、

2013/02/27の記事の、TPPに触れた一部を引用させていただこう。

TPPによる経済発展という美麗なキャッチが喧伝されているが、おおよそ近代において自由貿易の受け入れとは、IMFや世界銀行が対外債務を抱える破綻国家群へ強制する融資条項なのであり、多国籍企業が金融を武力として、経済市場と国家資源を略奪するという王道的スキームに他ならない

市場が完全なものに近づくほど、市場は暴力性を帯び、生活世界が破壊されるというのは経済学の基礎的概念であるにもかかわらず、この社会では建前と本音という二重構造が執拗に秘匿されているのだから、あらゆる報道は幻覚的な見世物であり、文明の麻酔であると捉えなくてはならない。

原発事故によって東北・関東圏の食糧生産が壊滅状態に陥り、つまり都市国家のロジスティクス(兵站線)が破壊され、すでに安全な生鮮食物の入手が困難化している状態で自由貿易を推進し、残された貴重な生産者を抹消しようというのだから、その狙いが穀物メジャーによる市場創出であることは子供が考えてもわかることだろう。

さらに被爆地児童から膨大な甲状腺異常が報告されているとおり、今後は世代間にわたる爆発的な疾患の勃発が不可避であるにかかわらず、保険・医療分野という国民生命に直接かかわる分野で市場原理主義を導入しようというのだから、行為は一条約の締結ではなく、一国家の終焉なのだと思う。つまり、この国ではリスクの定量化という概念すら成立しないわけだ。

70年代に壮絶なレッセフェール(企業利潤主義)が席巻したブラジルでは、保守系新聞が「改革を促進するためには国民精神の浄化が必要である」と論説し、思想統制を率先したのだけれど、破滅的な自由貿易を称揚するこの国のメディアも等しく狂熱に犯されているのであり、つまることころ彼らが唱導する未来像とは、自身の特権階級的な属性は担保されながら、失業や自殺あるいは児童買春が蔓延し、市民は安全な食料も適正な医療も得ることができず、貧困のドン底で死に絶えるような荒廃世界なのだろう。

最近の朝刊、「衆院比例30減」やら「憲法96条見直し」という見出し。

いずれも宗主国の侵略戦争に派兵できる、美しい一流ファシズム属国を完成する方策の一環。一方天の声、武器輸出解禁について「堤防もアリの穴から」と珍しく正論にビックリ。

武器輸出解禁にだけ正論を載せても、小選挙区を推進し、属国化の旗を降り、TPP加盟を言い立て、衆院比例減を進める連中の罪、決して消ない。

まに受ける人々にも、小生のように文句をいっている連中にも、そしてあらゆる未来世代にも永遠の地獄が待ち受けている。

そもそも、でだしから損な協定なのだから、TPPから撤退してしまうのが一番の得策だろう。

2013年3月 5日 (火)

ヨアニ・マリア・サンチェス - 国務省とCIAのお雇いブロガー

Nil NIKANDROV
2013年3月1日
Strategic Cultural Foundation

欧米のあらゆる報道機関は団結して、キューバ出国の許可を得た37歳のキューバ人ブロガー、ヨアニ・マリア・サンチェス・コルデロのニュースを報じている。彼女は5年間の出国許可を得ようしていたが、ようやく取得したのだ。サンチェスは、自分の出国が衆目を集める出来事とほど遠いことにいらだっているようだった。劇的な動きは皆無だった。尋問もなく、検査もなく、<カストロ兄弟政権>を中傷するのに利用できるものは皆無だった。

ヨアニの80日間歴訪先はスペイン、スイス、ドイツ、イタリアとアメリカ合衆国を含む10ヶ国だ。ブラジルが最初の訪問国で… 現地での初舞台は失敗だった。<独裁政権>に支配されている国々における言論の自由の抑制に専念する<キューバ-ホンジュラス・コネクション>と題する誹謗中傷ドキュメンタリー上映に、左翼の抗議参加者の集団が、反対デモをした。ヨアニ・サンチェスは役に立つのだ。彼女は、キューバにおける民主主義の為の戦い、若者を結びつける為のソーシャル・ネットワーク活用について語る人物だ。彼女は、キューバでの生活と、<全員の為の本当の民主主義>という夢を嫌悪しているのだ。

ブロガーは、<ブラジル国内のカストロ兄弟政権支持者達>が上映を妨げた事実にいらだっていた。彼女は、ディルマ・ルセフ政権に、ラウル・カストロ政権の人権問題に対処すべく、<より精力的>で<断固とした>姿勢をとるよう呼びかけた。彼女によれば、<キューバの人権の話題を語る際、タフさや率直さが足りない。皆沈黙しすぎている。人々は忘れない>。最初の出来事の後、彼女の警護は強化された。ブロガーのツアーを妨害するためなら、ハバナはどんなことでもする用意があるとマスコミは報じた。ブラジル外務大臣パトリオタは噂を否定した。彼はブラジル訪問に何の障害もないと述べた。ヨアニは、アメリカ国民にとって最も安全なホテルという評判の、最も人気のあるホテルに滞在した。彼女の滞在はブラジル・ホテル協会の(無償受け入れ)負担によるものだ。

ソーシャル・ネットワークのおかげでヨアニが獲得した名声は入念な検討に値する。一体どのようにして、ハバナの地域社会のサービスや運輸問題に批判的な普通のブロガーに過ぎない人物が、アメリカ国務省とCIAが、キューバで立ち上げた宣伝攻勢の重要人物になれたのだろうか? 彼女は2002年に偽装結婚した後、スイスに移住した。恐らく、そこで、アメリカの諜報機関が、有望な影響力工作員として、彼女に目をつけたのだ。スイスで暮らす中南米の人間は多く、CIAは現地では常に強いコネを持ち、非常に強い立場にある。彼女は、この仕事に必要な全ての素質を持っていた。哲学科を卒業した彼女は大志に満ち、分析と即興の特別な素質があった。ブロガーは、肉体的魅力の欠如を、優れた知的能力、政治とジャーナリズムでの実績で補おうとした。CIA工作員はこうしたこと全てを利用し、<順調な出世街道>、国際的名誉と、キューバ政府による<弾圧>からの保護を彼女に約束した。

彼女は、スイスでコンピューターに精通するようになり、プログラミングや他の技術を学んだ。研修は後に役立った。数々の機会に、外国人向けのホテルで、インターネット接続をするのに、ドイツ人旅行者のふりをしたと彼女は語っている。パーティーで、必要な情報を得る為に、一度ならず、見分けがつかない程変装したことがある。このブロガーは、監視されたり、尾行されたりした場合、アメリカ合衆国ハバナ公館の連絡相手と会う為、姿を消す名人だ。だが彼女は、アメリカ人との運営会議に、いつも謀略を弄するというわけではない。多くの場合、彼女は白昼、自分のアパートで会う。<私には何も隠すものはないので、堂々と行動する>振る舞いだ。

サンチェスは2004年の夏、キューバに戻った。2007年4月、彼女は、キューバ生活についての単刀直入な思いを書く、Generation Yブログを立ち上げた。(発音はヘネラシオン・イグリエガ、だと思う)ブログは最初から主に若者向けだった。ヨアニは自分自身を<困難な生活>条件で、善悪の問題をあれこれ考える若いキューバ人だとしている。彼女は、かつて、あるインタビューで、自分には<新聞やテレビでは決して論じられない多くの問題や話がある。それは皆、懐疑心と強く混じっている …、ブログで、多くの悪魔を乗り越えることができるようになった。無気力、恐怖、不活性。ブログ・セラピーは、同じ悪魔にとりつかれた多くの人々の心をつかむ方法を編み出したのだ>と語っている。

国務省とCIAは、できるだけ短期間でブログを宣伝するよう最善を尽くした。ブロガーの投稿記事は20の言語に翻訳された。文章はまとめられ、話題別に分類され、本として刊行された。四冊の分厚い本が2010-2011年に刊行された。

網羅された多くの問題は、時と共に大きくなった。キューバの経済状態、世論、トップ交替の可能性似ついての噂。欧米マスコミによって、このブログは最も信頼できる情報源だとされた。ハフィントン・ポスト、マイアミ・ヘラルド、ニューヨーク・タイムズ、スペインのエル・パイスや、アルゼンチンのクラリンが彼女に協力しはじめた。高名な国際的な賞を続々受賞するようになった。2008年4月、彼女は、スペイン語日刊紙エル・パイスのオルテガ・イ・ガセット・ジャーナリズム賞を得た。短期間の内に、彼女は、約20の賞、合計25万ドル以上を得た。アメリカのタイム誌は、すぐさま、その年の地球上で最も影響力のある100人のリストに彼女の名前を載せ、フォーリン・ポリシーは彼女を、主要な中南米知識人の一人と呼んだ。

WikiLeaksによって公にされた、アメリカ・ハバナ公館の報告は、カストロ兄弟が去った後、キューバの社会的・政治的生活に影響を与えることができる、ヨアニ・サンチェスのような有望な若い<従来とは異なる反体制派>に触れている。それこそが、なぜオバマ大統領が、サンチェスの振る舞いに、それ程気を配るのかという理由だ。2007年に、彼はこのブロガーの7つの質問に回答した。一見そう見えるようにできている。アメリカ・ハバナ公館は、質問を得て、大統領の名前で回答した。彼等は国務省とホワイト・ハウスの承認を得るため、それをワシントンに送付した。その後、文書はアメリカ・ハバナ公館に返送され、サンチェスに再送されたのだ。

2011年、サンチェスは、アメリカ国務大臣・国際的に勇敢な女性賞を受賞した。ミシェル・オバマと、ヒラリー・クリントンが式典に出席した。彼女によれば、キューバ当局にどのように迫害されようと、他の人々が語ろうとはしないことを語るという自分の道を進むつもりだ。

2012年、このブロガーはスペインの進歩民主連合党(スペイン語ではUnion Progreso y Democracia)によって、ノーベル平和賞にノミネートされた。賞は欧州連合が受賞した。間違いなく、彼女はまたノミネートされるだろう。キューバ政府が弾圧すれば、彼女が受賞する可能性は高くなろう。だが、このブロガーから、間欠的な情報戦争をけしかけられても、キューバ指導部は控えめだ。彼女はキューバで支持を得ているのだろうか? たいしてありはしない。キューバ人は社会主義を否定した他の国々の例を良く知っている。

記事原文のurl:www.strategic-culture.org/news/2013/03/01/yoani-maria-sanchez-blogger-on-state-department-and-cia-service.html
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ニュース、オリンピックIOCの開催国選考委員来日の話題。揃い踏み英語演説。

福島の被災者の方々のお世話を済ませ、無限にたまる水を含む事故をなんとか収束した後、孫の世代に、招致をすべきだろう。

深刻な事態が続いているのに、報道管制で、情報だけもみ消しても、放射能は消せない。日本全国の原発、停止していても、大地震がおこれば、同じ事故が起きる。そういう所にお客様を呼んではいけない。マイケル・サンデル教授、なんと答えるだろう。福島での講義番組で始めて彼の授業を見た。質問が仮定の設定ではないので。

全く知らず興味もない人の話。読みとばして頂きたい。題名には共感した。
大本営広報部の力で簡単に人気者が作り上げられる見本に思える。つまりこの属国の

xxxx - 国務省とCIAのお雇い政治家

xxxxには、お好きな名前を。ソ連ジョークがそのまま流用できる国になった。

ある男が赤の広場で、「スターリンの大馬鹿野郎!」と叫んだ。
早速秘密警察に逮捕され、強制収容所送り。刑期は二十五年。その内訳は
国家元首侮辱罪で五年。国家機密漏洩罪で二十年。

ある男が皇居前広場で、「xxxxの売国奴野郎!」と叫んだ。
早速警察に逮捕され、刑務所送り。刑期は二十五年。その内訳は
国家元首侮辱罪で五年。国家機密漏洩罪で二十年。

しかし

ブロガーは、肉体的魅力の欠如を、優れた知的能力、政治とジャーナリズムでの実績で補おうとした。

とは、余りに手厳しい。

この国の傀儡与党や野党を装う与党分派の人気者皆様、製造工程、ヨアニ・マリア・サンチェス・コルデロと同じだろう。宗主国留学経験者の皆様、特にあてはまるだろう。あの方も、この方も。

政治家は、劣った知的能力と、政治での実績の欠如を、肉体的魅力で補おうとした。

方が多数に見える。肉体的魅力も欠如している方もおられる。「みこしは軽くて」。

彼・彼女は日本で支持を得ているのだろうか?

かく言う小生、肉体的・性格的魅力の欠如では、決して人後に落ちない。

宗主国なり、属国なりの支配層のご下命・お支払いで、大本営広報部が一斉宣伝すれば、人気者、たい焼きのように簡単にできる。ただし資金元は国民の税金。
60年の歴史を誇る電気装置の、唯一証明された機能。

欧米のあらゆる報道機関は団結して、キューバ出国の許可を得た37歳のキューバ人ブロガー、ヨアニ・マリア・サンチェス・コルデロのニュースを報じている。

というが、関係の薄いこの国で、記事はなかろうと思ったが、さにあらず。
几帳面に報じている大本営広報機関いくつかある。見出しは、

反体制ブロガーが出国=政府が海外渡航認める-キューバ

たい焼きのように皆同じパターン、サンパウロ発。リンクが消えているものも多い。
皆様の時間を泥棒したくないので引用しない。報じるべき大事な話があるだろうに。彼女のブログ、日本語版もある!

真摯なブログの方が的確な記事を書いておられる。

「キューバ研究室」反体制派ブロガー、ヨアニ・サンチェス 2010年4月18日 (日)

そして、尊敬する藤永茂氏のブログ「私の闇の奥」
2011/05/04 ものを考える一兵卒(a soldier of ideas)(2)

2013年3月 4日 (月)

汚染されたアメリカ

Paul Craig Roberts

2013年2月24日

アメリカ合州国では、あらゆるものが汚染されている。

民主主義は、既得権益連中や腐敗した政治家で汚染されている。

責任は、法律や憲法から免除される行政府や、大企業がアメリカの選挙を金で買う権利を最高裁判所によって認められている類の、大企業に対する特別な法的特権によって、汚染されている。

憲法は、憲法の禁止事項を行政府の権利へと転換した腐敗した法律解釈と、法律を国民を保護する楯から、政府手中の武器へと転換した、ブッシュとオバマ政権によって汚染されている。

水は、有毒廃棄物流出、油流出、化学肥料流出で汚染され、赤潮や酸欠海域を生み出し、鉱山から放出される酸のおかげで、プリムネシウム藻等の有害な藻が生まれ、フラッキングで使用される有害化学物質や、フラッキングによって井戸や帯水層に放出されるメタンのせいで、フラッキング作業場近隣の家庭には、シャワーを浴びる際、窓を開けるよう警告する結果になっている。

土壌の肥沃さは損なわれ、作物には大量の化学肥料が必要だ。土壌は、果てしない種類の毒物で汚染されており、今やGMO作物に噴霧する、モンサントのラウンドアップ除草剤の主成分グリホセートもある。グリホセートは今や井戸、川や雨にも出現している。

空気は、様々な物質で汚染されており、幼児、老人や、喘息を患っている人々は家の中に留まるよう警告される日がある多くの大都市が存在する。

こうした費用を考慮に入れないことで得られる利益を積み上げている大企業によって、こうした費用の全てが、社会や一般市民に押しつけられている。規制されない資本主義はそういう形で機能する。

我々の食べ物そのものが、抗生物質、成長ホルモン、殺虫剤やグリホセートで汚染されている。

グリホセートは、これまで開発されたものの中で最も危険なものかも知れない。科学者の中には、グリホセートは主要穀物を絶滅させる可能性があると考える人々がいるが、今やオバマの農務長官トーマス・ヴィルサックが、遺伝子組み換えラウンドアップ・レディー・アルファルファを承認してしまったので、持続可能な乳と肉用の家畜の群れを維持することが不可能になりかねない。

アルファルファは、乳製品用、肉用家畜のための主要飼料作物だ。遺伝子組み換えアルファルファは、動物用の餌として安全ではない可能性があり、牛乳や肉などの畜産物が、人が食べるのに安全ではなくなる可能性がある。

2011年1月17日、ドン・ヒューバー博士は、ヴィルサック農務長官宛の書簡で、ラウンドアップ・レディー・アルファルファを承認する危険性の概要を述べている。ヒューバーは、承認を独立した研究でリスクを評価できるまで延期するよう要求していた。ヴィルサックは、ヒューバーの書簡を無視し、ラウンドアップ・レディー・アルファルファ承認による、アメリカと世界の農業への種子供給を支配しようという同社の意欲から来る、モンサントの独占利益への欲望に合わせて、十日後の1月27日に、ラウンドアップ・レディー・アルファルファを許可した。

ドン・ヒューバーとは一体誰で、なぜ彼の書簡が重要なのだろう?

ヒューバーはパーデュー大学.名誉教授だ。彼は半世紀、植物病理学者、土壌微生物学者だ。彼には権威者として国際的な評判がある。アメリカ軍で、細菌戦や病気の大発生等、自然と人工の生物学的脅威を研究し、大佐の地位で退役した。アメリカ合衆国農務省の為に、新興感染症・病原菌委員会の取りまとめ役をしている。言い換えれば、彼は科学者という専門職のお偉方だ。

ヒューバーが農務長官に伝えた内容はオンラインで読むことができる。手短に言えば、長年のラウンドアップ・レディー・GMOコーンと大豆の結果、栄養価が低下し、新たな植物の病気の大発生により、大規模な作物の不作や、家畜の深刻な生殖問題を引き起しており、群れの中には、利益があがる事業を維持するには自然流産率が高すぎるものがある、ということだ。

グリホセートは強力な殺微生物剤だ。それが、有益な土壌生物を損ない、土壌中の自然のバランスを変え、作物の病気耐性を弱め、コーン、大豆、小麦の収穫に大きな打撃を与える病気を解き放ち、動物の早すぎる老化と不妊に関係する新たな病原体を生み出した。ヒューバーは農務長官に、こうした展開は“作物農家、畜産農家、双方の経済的生存能力を脅かす”と述べている。遺伝子組み換え作物が、かつては決して脅威ではなかった病気に対する遺伝的抵抗力を失ったという証拠は本当のようにに思える。

新しい病原体が、人の不妊症の増加に関係しているという証拠もあり、我々にはまだ分かっていない、人の健康に対する悪影響がある可能性もある。フッ化物同様、グリホセートも、様々な形で我々の食事に入り込む可能性がある。例えば、ビタミンD錠剤のビンのラベルにはこうある。“その他の原料: 大豆油、コーン油”

モンサントは、ヒューバーの主張に異議を唱えており、イオワ州大学と、オハイオ州大学の農業エクステンション・サービスから、その立場の支持を得ている、その。だが、こうしたものが、独立の資金援助によるサービスなのか、企業が支援したものかという問題があり、特に、主にアグリビジネスからの資金提供では、常に専門的なライバル関係の要素があるのだ。

パーデュー大学エクステンション・サービスは、より慎重だ。一方、それはヒューバーの主張を支持する証拠があることを認めている。“グリホセート等の除草剤が、植物を病気にかかりやすくする可能性があるという主張は、全く取りえがないわけではない。 研究は、グリホセートや他の除草剤の噴霧を受けた植物が、より多くの生物学的、生理的障害をもちやすいことを示している(Babiker他、2011; Descalzo他、1996; JohalとRahe、1984; Larson他、2006; MeansとKremer、2007; Sanogo他、2000; Smiley他、1992). . . . 研究の中で  グリホセートがある場合に、植物の病気のひどさが増しても、必ずしも収穫に影響があるのを意味するわけではないことが示されてはいるが。”

一方、パーデュー・エクステンション・サービスは“雑草管理用の慎重なグリホセート使用”勧告を主張している。ところが、ヒューバーの主張の一つは、雑草がラウンドアップ耐性をもち始めていることだ。使用量は“慎重な”レベルを越えており、グリホセートが土壌中に蓄積すると、その悪影響は増大する。

26人の大学の昆虫学者による、アメリカ合衆国環境保護庁への提案は、独立した科学者が客観的研究を行う能力に対し、アグリビジネスが押しつけている制限について述べている。資金提供を止められる脅威がある為、科学者達がそこに名前をだすことを恐れている提案には、書誌参照の一項目として、下記が書かれている。声明は以下の通りだ。

“事実上、我々全員が研究を行う為には、ある程度業界の協力が必要なので、明細書に科学者の名を載せることは控えた。声明: 遺伝子組み換え種子の購入に必要とされるテクノロジー/責任契約は、あからさまに、研究を妨げている。こうした契約は、研究が業界によって承認されない限り、公的な科学者が、課された役割を公益の為に追求することを禁じている。アクセスが限定されている結果、テクノロジー、その性能や、経営上の意味、IRM、そのテクノロジーと昆虫生物学との相互作用等々に関する多くの重要な疑問に関し、本当に独立した研究を合法的に行うことは不可能だ。結果的に、公的部門から、アメリカ合衆国環境保護庁科学諮問委員会へ入るデータの流れは不当に制限されている。”

モンサントは資金を提供して購入する研究以外のあらゆる研究を防ぐに十分強力なだけでなく、モンサントは、昨年、資金とプロパガンダによって、カリフォルニアでのGMO表記法案成立阻止に成功した。病気や不妊にしてしまいかねないので、食べ物には気をつけるようにと申し上げたいが、何を食べているか調べることさえできないのだ。

“自由と民主主義”と“責任ある”政府と”責任ある”大企業があるアメリカに皆様は暮らしておられる。心配には及ばない。政府と責任ある大企業が、十分国民の面倒を見てくれる。特にオバマ、ヴィルサックと、モンサントが。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/02/24/polluted-america-paul-craig-roberts/

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「マスコミも汚染されている」と書いてないのは不思議な気がする。大本営広報部、別名マスコミ、放射能を浴びた残骸・石綿が混じった瓦礫以上に危険な、存在してはならない洗脳機関に思える。

2013年03月03日本澤二郎の「北京の空」(友好の旅)4回目も、日本の大本営発表報道を批判しておられる。

ただし、100%洗脳記事のみではなく、もちろん、たまに素晴らしい番組がある。例えば、国営放送のEテレ、深夜の再放送「アンコール大震災発掘・埋もれた警告」は必見の番組。危険を予見する人々は存在するが、体制側が排除し続けていることがわかる。驚いた。

国名を入れ換えるだけで、そのまま。「汚染された日本」。
残念なことに、日本の場合、更に原発村・自民とお仲間政党・政府・大企業が進めた結果の原発事故による放射能汚染が加わる。安保村・米軍基地が加わる。
更に、汚染された宗主国の企業によるTPP国家改造・搾取が加わる。

経団連会長氏の出身企業はモンサントと提携している。TPP推進は重要な業務。

フラッキング、日本語で「水圧破砕」、これから宗主国から輸入させていただくシェール・ガス採取の技術。
「シェール・ガス」が大賛美される理由、素人には良くわからない。

岩波書店の『世界』2013年3月号に、下記記事がある。

食糧供給システムを脅かすフラッキング
──シェールガス・ブームの影で──
エリザベス・ロイト、訳=宮前ゆかり・荒井雅子

     安価なシェールオイル・ガスは、米国内のエネルギー自給率を高め、中東・アフリカ外交政策を改善するために必須であるという振れこみである。2010年におけるシェールガス生産量は米国天然ガス生産量の23%、2035年には46%にまで上昇するだろうと予測されている。しかし、地元経済や自治体そのものを容赦なく破壊し、地震を起こし、大気・水源・土壌汚染などの環境問題を拡大し、深刻な健康被害が報告されている掘削方法 (フラッキング) をとるシェールガスは本当に米国の国益を高めるのだろうか。
     大都市ニューヨークの水源地帯であり、農業・畜産の盛んなマーセラス・シェール地域で、フラッキングによって何が起きているのかを伝える渾身のルポ。訳は宮前ゆかり・荒井雅子 (TUP)、解説は宮前ゆかり。本稿は、アメリカの雑誌The Nation (2012年11月28日号) に掲載された“Fracking Our Food Supply”?の翻訳である。

2万年だか、10万年、滞留しないだけ、原発の放射能より良しとすべきなのだろうか。

最近新聞を読むのが非常に早くなった。速読力向上ではない。記事がない為だ。
企業広告か大本営広告どちらかしかない。人生に洗脳広告を楽しむ時間は無い。

テレビ、北朝鮮よりチャンネルが多いのは確実だが、情報統制は同水準。
出演者が美男・美女で、解像度が良いという違いは確かにある。
家人の好む相撲と歌謡曲はみるがニュースになると消している。あるいは画面に向かって怒鳴っている。

大本営広報の連日の強烈下劣なプロパガンダで、昔読んだ本を思い出した。
ギュスターブ・ル・ボン『群衆心理』講談社学術文庫

群衆の精神に思想や信念を沁みこませる場合、指導者たちの用いる方法は、種々様々である。指導者たちは、主として次の三つの手段にたよる。すなわち、断言と反覆と感染である。これらの作用は、かなり緩慢ではあるが、その効果には、永続性がある。

与党二党、みんな・維新・民主の政治家連中・広告代理店、本書を肌身離さず、実践中。

2013年3月 3日 (日)

再度辱しめを受けたアメリカ:植民地国民

Paul Craig Roberts

2013年2月17日

アメリカ人は、臆病にも既得権者連中に屈し、アメリカ国民を裏切る議員達によって辱しめを受けてきた。しかし、アメリカ人を辱しめたという点で、上院議員チャック・ヘーゲルの国防長官指名承認公聴会における共和党上院議員連中の振る舞いに匹敵する恥ずべき振る舞い、過去に存在しない。

40人の共和党上院議員が、彼等はイスラエルへの奉仕より、アメリカへの奉仕を優先することを拒否したのみならず、イスラエルへの奉仕と同じレベルで、アメリカへの奉仕をしようとさえしないことを明らかにしたのだ。アメリカ人にとって実に恥ずかしいことだが、共和党議員は、世界中に、自分達がイスラエル・ロビーの完全子会社であることをさらけだした。(イスラエル・ロビーだけが彼らのご主人ではない。彼等は、ウォール・ストリートや軍/安保複合体等、他の有力利益団体の下僕だ。)

中でも最も当惑する振る舞いは臆病者リンジー・グラハムのものだ。イスラエル・ロビーの前で腹這いになり、徹底的な卑屈さを実演し、ヘーゲルに、アメリカ議会でイスラエル・ロビーを恐れている人物の名をあげるよう迫ったのだ。

私がヘーゲルだったら、指名を放棄して、こう答えていたろう。“あなた、グラハム上院議員と、あなた方、40人の臆病な同僚諸氏だ。”

実際、ヘーゲルはこう答えることもできたろう。「そうではないふりをしているものの、恐れているランド・ポールを含む、アメリカ議会全てだ」と。

本当に問われるべき疑問はこうだ。アメリカ議会の中でイスラエル・ロビーを恐れていないのは誰か?

ヘーゲルに対する悪意に満ちた中傷は、イスラエル・ロビーへの恐怖心が動因だ。

恐らく、アメリカ議員に対するイスラエルによる最悪の侮辱は、1967年のイスラエル空軍機と魚雷艇による米軍艦リバティー号攻撃の隠蔽工作だろう。イスラエルの攻撃は、リバティー号を沈没させることには失敗したが、乗組員の多くを殺傷した。生存者は沈黙するよう命じられ、その一人が12年後にはっきり物を言い、何がおきたかを暴露した(James Ennes、Assault On The Liberty)。海軍作戦部長で統合参謀議長トーマス・モーラ海軍大将ですらワシントンに事実を調査させることもできなかった。

事実は今では良く知られているが、ワシントンに関する限り、それも空文だ。出来事全て丸ごと、別世界に移されてしまっている。

なぜ共和党上院議員連中、イスラエルの為にヘーゲルを潰そうとしているのだろう?

答えは、まずヘーゲルがアメリカ上院議員だった時、イスラエル・ロビーに恫喝されるのを拒否して、“私はアメリカ上院議員で、イスラエル上院議員ではない”と宣言したことだ。言い換えれば、ヘーゲルは容認できないことをしたのだ。彼は、イスラエルの利害ではなく、アメリカの利害を代表していると言ったのだ。ヘーゲルの姿勢は、二つの国の利害関係が全く同じではないことを示唆しているが、これは異端派だ。

答えのもう一部は、ヘーゲルが、対イラン戦争を始めたり、イスラエルがそうするのをアメリカが認めたりするのは、アメリカにとって良い考えだとは思っていないことだ。

だが、アメリカの対イラン戦争こそ、イスラエル政府やそのネオコン工作員達が、オバマ政権に押しつけようとしてきたものだ。イランが南部レバノンのヒズボラを支援していて、イスラエルがその領土と水資源をを併合する邪魔をしているので、また、イランが、ハマスに有効な兵器を供与したことは決して無いにもかかわらず、イスラエルのパレスチナ窃盗に反対しようとしている唯一のパレスチナ人組織ハマスを支援しているので、イスラエルは、イランを処分してしまいたいのだ。

イスラエルの領土拡張に反対する二つの組織ヒズボラとハマスは、多くのアラブ人を代表している。にもかかわらず、この二組織は、イスラエルの命令で、イスラエルの利害より、アメリカの利害を優先したことなどないので実態は完全なイスラエル国務省と呼ばれるべき、卑屈なアメリカ国務省によって“テロ組織”だとされている。

言い換えれば、ヘーゲルは屈伏しなかったのだ。どれほどイスラエルを愛しているか、イスラエルの利害の為に、他の全ての利害を犠牲にすることが、彼にとってどれほどの名誉か、アメリカ国防長官として、イスラエルの為に仕える機会を人生ずっと待っていましたとは言わなかったのだ。

ヘーゲルはイスラエルの敵ではない。彼は単にこう言っただけだ。“まず私はアメリカ人です。” 彼が臆病なほど卑屈でないことが、彼に“反ユダヤ主義者”の烙印を押したイスラエル・ロビーにとって受け入れがたいのだ。

対照的に、リンジー・グラハムは、アメリカ国防長官として、イスラエルにとって完璧な選択となる全てを備えている。

グラハムなら、イスラエル・ロビーを喜ばせるよう格別な努力をするだろう。アメリカ合州国大統領と、彼が指名した、アメリカ議会と行政府は、アメリカの利害を優先すべきだと素朴に考えた退役軍人で、元アメリカ上院議員を困らせようと狙って、彼なら全力を尽くして、外国権力に対し、最大限卑屈に振る舞うだろう。

上院多数党院内総務レイドは上院規定を利用し、ヘーゲルの指名を有効のままにした。
もしリンジー・グラハムが、イスラエル・ロビーの汚れ仕事に成功していたら、イスラエルの命令通り、イランを攻撃しないアメリカ合州国大統領をおとしめた、イスラエル首相に、アメリカ大統領の敗北を差し出したことだろう。

アメリカ人は植民地国民だ。アメリカの政府は植民地勢力を代表している。ウォール・ストリート、イスラエル・ロビー、軍/安保複合体、アグリビジネス、医薬品、エネルギー、鉱業、そして材木業界の利害。

アメリカ国民の代理になろうとつとめた二人の議員、ロン・ポールとデニス・クシニッチは、代議政治というのは、アメリカ国民の利害を代表しようとつとめる少数の人々にとって住みにくい場所であると悟ったのだ。

ロン・ポール、デニス・クシニッチや、ジェラルド・セレンテ同様、アメリカが外国での戦争に関与するのに反対した我が建国の父たちを、私は支持する。関与を防ごうとして、建国の父たちは、宣戦布告の権力を議会に与えた。年月とともに、議会は次第に、この権力を大統領に譲り、とうとう議会の権力として、もはや存在しなくなってしまった。戦争は戦争ではなく、“時間限定、規模限定の動的軍事行動”だと単に宣言するだけで、大統領は、どこでも、いつでも戦争を始めることが可能だ。あるいは彼は何か他の馬鹿げた言い回しを使うことも可能だ。

21世紀の最初の数年間、行政府は二つの国を侵略し、軍事作戦で他の5ヶ国の主権を侵害し、中国のアメリカ大陸への経済進出に対抗し、アメリカとヨーロッパの大企業に資源を確保する為、アフリカに軍事基地を設置し、将来の戦争の可能性を高めている。もし共和党議員達がヘーゲル承認妨害に成功すれば、イランとの戦争の可能性は高まるだろう。

宣戦布告の権力を放棄したことで、議会は財政も制御できなくなった。議会の監督委員会に対し、行政府が益々多くの情報を隠すにつれ、議会は益々無力化してゆく。ワシントンの戦債が増大するにつれ、社会保障制度に対するワシントンの攻撃は一層激化するだろう。益々多くの税収が既得権益団体や外国での紛争関与へと向けられるにつれ、アメリカ国民に福祉サービスを提供する政府機関は萎縮する。

アメリカ政府と国民の利害の間の希薄な関係は、完全に断ち切られようとしている。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/02/17/america-shamed-again-a-colonized-people-paul-craig-roberts/

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ヘーゲル国防長官が、2006年のインタビュー中で、「親イスラエル派ロビーが議会の多数の人々を脅している」と発言したのに揚げ足をとって、「脅された人の名前を一人あげろ」「イスラエル、あるいはユダヤ・ロビーの圧力で、我々がさせられた馬鹿なことを一つあげてみろ」と迫ったのだ。答えは「知らない。」「特定の個人を意図していたわけではない。」だった。そこで更に、「馬鹿なことを言ったと思っているか」と畳み込み、「そうだ」「私は既にそう言った」という答えを引きだした場面だ。

この国で「ジャパン・ハンドラーに脅された人の名前を一人あげろ」「ジャパン・ハンドラーの圧力で、我々がさせられた馬鹿なことを一つあげてみろ」と迫る場面はありえまい。TPP推進議員連なる、とんでもない傀儡集団が堂々出現する国だ。

本当に問われるべき疑問はこうだ。国会の中でジャパン・ハンドラーを恐れていないのは誰か?

チャック・ヘーゲル国防長官の政策想定については下記記事を翻訳してある。

オバマの閣僚任命が意味するもの: 軍は人員削減されるが... 秘密作戦は強化される

3月3日のひなまつりは忘れないが、3月1日ビキニの日であるのは忘れていた。韓国三一節を忘れていた。三一書房、そこから名前をとったと聞いたことがある。その三一書房から、田中正造翁余録上・下が今月再刊されるという。

「アメリカはイスラエルの植民地」ということであれば、「日本はイスラエルの植民地であるアメリカの植民地・属領」ということになる。

第一湾外戦争当時、莫大な戦費をまきあげられた時には、宗主国から相当な圧力があっただろうと想像した。しかし、宗主国は直接前面には出てこなかったような気がする。

小泉政権時代、中曽根政権をも越える属国政権と思ったが、宗主国は、ことさら目立つ行動をとっていたようにも思えない。背後であやつっていたように見える。

しかし、原発事故以来の属国支配層のまだるこしさにあきれたか、宗主国、とうとう傀儡支配層を利用した間接支配をやめ、直接支配に乗り出したように見える。完全属国化。

黒船時代、テレビも新聞もインターネットもないので、属国傀儡支配者の服従ぶり、一般人の目には見えなかったろうが、今は素人にも見える。

原爆を落として平然としている支配者、日本国民がかわいそうだ等思って直接支配に乗り出すわけはなく、単純に直接支配、搾取したほうが効率的という判断だろう。

傀儡青年政治家達が、傀儡ぶりをいくら露骨にしても、国民の多数、喜んで傀儡政治家を支持する不思議な皆様。

秘密保全法案、そして、マイナンバー法案、続々と警察国家、ファシズム体制への準備が整いつつある。究極のショック・ドクトリン。Paul Craig Roberts氏、宗主国はすっかり警察国家、ファシスト国家になっていると毎回のようにおっしゃる。第一属国も当然そうなる。

CSISでの首相演説、昨年夏に発行された第三次ナイ・アーミテージ報告書の棒読み。「一流国家でありつづける」という出だし、まさに報告書の引写し。完全属国であることを、見ている日本人にはっきり示すことを狙っているだろう。

Independent Web Journalがその報告書翻訳を公開している。属国政治理解用の必読文書。これを読んでいれば、原発再開も、集団的自衛権も、TPP加盟も全てとっくに指示されており、決まったコースの通り進んでいることがわかる。

2013/02/03 【ブログ記事】「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載

傀儡であれ、何であれ、首相が、主要政治家でもないジャパン・ハンドラーの皆様のお名前をあげて、報告書よるご指導・ご鞭撻のお礼と、誓いの言葉をのべた悲しいセレモニー。小学校時代の総代答辞を思い出した。傀儡ロボット宣言。恥ずかしいにも程がある。

ともあれ、彼が名前をあげた皆様が事実上の日本支配者。

第三次ナイ・アーミテージ報告書で、重要な政策が明確に指示されているのに、大本営広報部は決して第三次報告書の詳細を論じない。政策を手取り足取り指示される国が一流国家のはずはない。一流自治領。TPPで、日本の自治領化改造が一気に進む。

これから我々や子孫が投げ込まれる地獄世界、知らないで投げ込まれるより、知って投げ込まれた方が、楽になるとは思わないが、地獄の概要、多少とも想像できるだけましだろう。ご命令の項目には、下記が含まれている。

    • 原発再開の支持
    • 集団的自衛権
    • 宗主国軍への協力強化
    • TPP参加
    • シェールガス購入

第三次報告書と、対中国包囲網でもあるTPPとの関連については、Paul Craig Roberts氏が紹介してくれた興味深い記事を翻訳してある。

日本に、中国との対決をけしかけるアメリカ

与党自民党、公明党、そして、維新、みんな、民主等の諸氏、すべてリンジー・グラハム議員クローン人間。

TPP推進議連なるものがあるらしく、大本営広報部は、野党議員による議連と報じているが、与党が推進するTPP加盟という売国政策を推進する連中が「野党」のわけはないだろう。虚報。与党分派売国議員連盟。

チャック・ヘーゲルのように、“まず私は日本人です。” といったり、
「アメリカの利害でなく、日本の利害を代表している」と発言する政治家、首相になれない。

日本人は植民地国民だ。日本の政府は植民地勢力を代表している。ウォール・ストリート、イスラエル・ロビー、軍/安保複合体、アグリビジネス、医薬品、エネルギー、保険、鉱業、そして材木業界の利害。

自民党、公明党、そして、民社党、維新、みんな等の議員ことごとく、世界中に、自分達がアメリカ政財界の完全子会社であることをさらけだした。(アメリカ政財界だけが彼らのご主人ではない。彼等は、属国の原子力ムラ、兜町、国内の軍/安保村等、他の有力利益団体の下僕でもある。)

宗主国の戦債が増大するにつれ、社会保障制度に対する属国政府の国民攻撃は一層激化するだろう。益々多くの税収が宗主国の大企業や外国での紛争関与へと向けられるにつれ、日本国民に福祉サービスを提供する政府機関は萎縮する。

日本政府と国民の利害の間の希薄な関係は、完全に断ち切られようとしている。

2013年3月 2日 (土)

左翼と右翼が戦っている間に勝利する権力

Paul Craig Roberts

2013年2月14日

私は、アメリカの左翼と右翼との体験から、左翼は、民間権力を抑圧の源、政府をその拮抗力、是正力と見なし、右翼は、政府が抑圧の源で、自由で規制されない民間部門を拮抗力、是正力と見なしているという結論に至る。いずれも、抑圧しようとする権力を制限することに配慮してはいるが、抑圧的な権力の源とその対策の点で立場は逆だ。

政府権力が問題だという右翼は正しく、私的権力が問題だという左翼は正しい。だから政府内にあろうと、民間部門にあろうと、権力は弱めたり、制限したり、最小化したりできない。

進歩的なオバマ政権は、減税と規制撤廃のブッシュ/チェニー政権とどう違っているだろう? いずれもが、行政府権力の最大化と、国民の市民的自由の、つまり国民の権力の最小化に共謀している。進歩派オバマは、果たして、右翼ブッシュの、人身保護法と法の適正手続き破壊を、改めただろうか? そうではない。オバマは更に国民の権力を最小化した。ブッシュは、理由の証明無しで我々を終身刑にできた。オバマは理由の証明無しで、我々を処刑できる。彼等は我々をテロから守るという名目でこれを進めたが、彼等のテロから守りはしない。

専制政治の経験も知識もないアメリカ人は、歯止めのない国家権力を味わうのはテロリスト連中だけだと思い込んでいる。それが自分達、或いは彼等の子供達、あるいは友人達に降りかかるまで、彼等はそう思い込んでいる。

右翼と左翼が抱いている人間の本性の見方は、人間の本性が、民間部門、政府部門(“公共部門”)どちらにあるかに依存している。右翼にとって(リバタリアンの場合も)、民間部門の人間の本性は、善で、公共の為になる。政府部門では、人間の本性は悪で、抑圧的だ。左翼にとっては、それは逆だ。同じ人々が、片方の部門から別の部門へと移動する際の、彼らの性格と道徳の変容には驚かされる。活動をする場所によって、善人が悪人になり、悪人が善人になるのだ。

私の教授の一人で、ノーベル賞を授賞したジェームズ・M・ブキャナンは、権力が民間部門にあろうと、政府にあろうと、人は身勝手なものだと指摘していた。問題は、政府と私的権力を、できる限り最大限、いかに制約するかなのだ。

建国の父達の解決策は、政府の権力を最小化し、競い合う私益集団の党派に、小数独裁権力集団の登場を阻止させようとするものだった。競い合う私益集団が失敗した場合でも、政府を掌握した小数独裁権力集団はさほどの権力を行使できまいというのだ。

建国の父達の設計は、内戦と経済危機の間を除き、冷戦が政府権力を強化し、クリントンとブッシュ大統領の規制撤廃が、私益権力を強化するまで、それなり機能していた。テロリストから国民を保護すという名目の下で、行政府に、新たな独裁的権力が集中し、 規制撤廃で“大きすぎて潰せない”強力な大企業が生み出されて、それが一体化したのだ。

今存在しているのは、軍/安保複合体、ウォール・ストリートや金融部門、イスラエル・ロビー、アグリビジネス、医薬品や、エネルギー、鉱業や材木事業から構成される民間の小数独裁権力集団の世話になっている連中が、選出され、役職につく政府であり、連中には、悪徳資本家や政府による搾取に対する、国民の抗議行動を潰す権力があるのだ。

軍/安保複合体とイスラエル・ロビーしか恩恵を受けない戦争をする為に、莫大な金額の国債が膨れ上がり、納税者の負担になっている。納税者に、金融部門の無謀な賭博のかけ金の尻拭いをさせる為、更に莫大な金額が積み上げられる。腐敗した金融部門の貸借対照表を守るべく、納税者は預金利子を無視される。合法的な抗議行動参加者は、警察によって残忍な扱いを受け、国土安全保障省によって、テロリストと密接な関係にあるとして定義される“国内の過激派”扱いされる。

現代、アメリカ人は、政府、民間いずれの権力からも安全ではなく、両方に苦しんでいる。

何ができるだろう? 国内でできることはほとんどあるまい。右翼は左翼を非難し、左翼は右翼を非難する。両者はイデオロギー闘争で膠着状態にあり、その間に、民間部門でも、政府部門でも、権力は増大するが、それは、両方のイデオロギーが想定しているような慈愛に満ちたものではない。その代りに、双頭の権力の怪物が興隆する。

アメリカ国民の上に打ち立てられた権力が打ち砕かれるべきだとすれば、それは外部から起きるだろう。ワシントンが進めている、連邦準備銀行による、赤字解消の為の通貨増発継続は、ドルの交換価値を破壊し、金利上昇、債券や株や不動産市場を崩壊させ、歴史的高水準の失業と、ホームレスの多い状態で、アメリカ人が貯金を使い尽くし、重い借金を負っている中、経済を深刻な不況へと落ち込ませかねない。ドルの交換価値の低下による輸入品価格の上昇で、国民の大部分にとって、生き延びることが大問題にる。

アメリカは、一夜にして、超大国から、後悔の念を浮かべ、救済プログラムを請い願う第三世界に変容しかねない。

誰がそれを与えてくれよう? ロシア人は、アメリカ軍基地によって包囲されており、ロシア国家を不安定化する取り組みで反政府集団向けに流入するアメリカ資金によって、国内の平静は乱されている。中国政府は、お決まりの様に:偽善的ワシントンによって、人権侵害を非難され、新たに建設した軍事基地や、ワシントンの弾圧に長らく苦しんできた犠牲者南米や、紛争で疲弊し、ワシントンによって傀儡国家に仕立て上げられ、ワシントン覇権戦争の傭兵として利用されるヨーロッパの兵士や海軍艦船の新規配備で、ワシントンは中国を包囲している。

恐らくは、買収された傀儡たるイギリス、カナダ、オーストラリアと日本を除き、ワシントンを支援する国などないだろう。

次の崩壊で、ワシントンの権力と、悪徳資本家の権力は消滅するだろう。アメリカ人は苦しむだろうが、彼等は、自由な人々を搾取される奴隷に変えてしまった、彼等の上に確立された権力から解放されるだろう。

これは多分楽観的な結論だが、目覚めている比較的少数のアメリカ人にとっては多少の希望が必要だ。これが私ができる最善のことだ。大半のアメリカ人は気付かない状態のままで、これはつまり暗い未来を意味する。アメリカ国民の無関心がその没落の元なのだ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/02/14/while-left-and-right-fight-power-wins-paul-craig-roberts/
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とんでもない施政方針演説をする方、それをそのまま報じる大本営広報部。
大本営広報部、決して「王様は裸だ」とは叫ばない。

自民党・政府、原発、安全だと真っ赤な嘘で推進し、事故が起きても、全く責任をとっていない。国民にしわ寄せし、棄民するだけ。安保も地位協定も。

TPPも良いことだと真っ赤な嘘で推進し、国民が塗炭の苦しみを未来永劫味わっても、もちろん責任は全くとらない。のらりくらり押しつけてしまうのが仕事。

傀儡首相の施政方針演説。正しい解釈編。

「皆さん。今こそ、世界一の属国を目指していこうではありませんか!」だ。
強靱な属国づくりが急務で「世界一安全・安心な属国をつくる」ありえないホラ話。

「エセ原子力規制委員会の下で、新たなエセ安全文化を創り上げ、安全が確認されたことにする原発は再稼働し、同じ大事故の危険を冒す」と明言。

「常識では、力の行使による現状変更は何も正当化しないが、力の行使による現状変更をするため、宗主国の命令一下、いつでも、どこでも鉄砲玉の国防軍を派兵する」と、英国のサッチャー元首相が1982年のフォークランド紛争を回顧した言葉を引用した。

ご託をならべていないで、いつの日か、宗主国をけん制してほしいもの。

サッチャー元首相についての映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』に関する下記記事を翻訳した。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』: 何を考えて制作したのだろう?

サッチャー役を熱演したメリル・ストリープ、プルニウム汚染問題で事故死?した『カレン・シルクウッド』も演じている。見るべきは『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でなく『カレン・シルクウッド』ただし、DVDはほとんど入手困難。

「武器輸出大幅に緩和。ステルス戦闘機F-35の部品輸出を容認」という夕刊記事。

菅義偉官房長官は「テロとの戦いもある。国際社会の平和と安定のために取り組まなければいけないということで表現を変えた」と述べるにとどめた、という。

「テロとの戦いという名の理不尽なテロ戦争がある。その廃絶こそ、国際社会の平和と安定のために取り組まなければいけないことだ」ろう。

日本で作られた部品を組み込んだイスラエルの戦闘機がアラブやイランの無辜の人々を殺戮する可能性は高い。

9/11が

    • もし宗主国政府の言う通り「宗主国の暴虐に怒ったアラブの人が起こした」のであれば、彼等が日本で同じことをした場合、「テロ」といって一方的に非難できるだろうか?
    • もし多数の人々が主張しているように、宗主国自身によるヤラセであれば、日本でも、同じヤラセを起こす理由になるだろう。いずれにせよ、果てしない悪循環。

アルジェリアのテロ、まったく理不尽な行為だが、公式報道?通り、特に「日本人」が狙われたのであれば、日本にとって一種の9/11。腰巾着で、派兵や、資金提供、基地提供、武器輸出を推進していなければ、他に、攻撃される理由少なかったろう。

著者の文を読むと、鉄砲玉化も壊憲も、皆宗主国への追随と思える。ジャパン・ハンドラー様ご指示の振り付け通り。

日本では、右翼と右翼の茶番問答を見せながら、権力が勝利し続ける構図。

絶滅危惧種政党を除いて、TPP、壊憲に反対する政党はない。

野党は連合して戦わないと勝てないという言説があるようだが、TPP・壊憲に反対する野党は絶滅危惧種だ。大本営広報部が宣伝する名前だけの「野党」は実質与党別動隊。

岩月弁護士の記事、ISD条項の罠8 朝日の解説に寄せて1にあるが、朝日のISD解説記事、国連機関に訴えることが可能なような記述になっている。利益を強欲に追求する企業による無茶な対政府訴訟、決して公的機関で公平に裁定されないから問題なのだ。

こうした誤説明、間違いというより意図的虚報としか思えない。

とんでもない虚報を大々的に報じ、周知徹底した後で、虚報とバレると、数行の小さな訂正記事を載せる。虚報は皆が読み、信じてしまうが、訂正記事は誰も読まず、虚報を刷り込まれたままになる。宗主国・属国の大本営広報部いつもの手口。

衆議院選挙で、自民、公明、民主、維新、みんな等、今回TPPに賛成したことで、売国奴であることをはっきり宣言した連中に投票し、この状態をもたらした皆様、反省して、参議院選挙では、絶滅危惧種に投票する可能性あるのだろうか?JA、自民党首相を信じるだけで良いのだろうか?

現代、日本人は、宗主国、属国いずれの権力からも安全ではなく、両方に苦しんでいる。

何ができるだろう?
国内でできることはほとんどあるまい。売国奴は独立派を無視している。絶滅危惧種は滅亡の瀬戸際にあり、その間に、民間部門でも、政府部門でも、権力は増大するが、それは、売国奴が宣伝しているような慈愛に満ちたものではない。その代りに、双頭の権力の怪物が興隆する。

日本国民の上に打ち立てられた権力が打ち砕かれるべきだとすれば、それは外部から起きるだろう。東京が進めている、日銀による貨幣発行増は、円の交換価値を破壊し、経済を深刻な不況へと落ち込ませかねない。円の交換価値の低下による輸入品価格の上昇で、国民の大部分にとって、生き延びることが大問題にる。

次の崩壊で、ワシントンと東京の権力と悪徳資本家の権力は消滅するだろう。日本人は苦しむだろうが、彼等は、自由な人々を搾取される奴隷に変えてしまった、彼等の上に確立された権力から解放されるだろう。

これは多分楽観的な結論だが、目覚めている比較的少数の日本人にとっても多少の希望が必要だ。

「希望が必要」と言えば、昔訳したハワード・ジン演説末尾を紹介してくださるブログがあるのに気がついた。そのハワード・ジン演説、このブログで最初に掲載した記事。

我々がすること全てが大切です。
私たちがする、あらゆるささやかなこと、私たちが張るあらゆるピケライン、我々が書くあらゆる手紙、我々が参加するあらゆる市民的不服従の行動、誰か兵士採用担当者に私たちが話しかけること、誰か両親に私たちが話しかけること、誰か兵士に私たちが話しかけること、あらゆる若者に私たちが話しかけること、教室の中で我々がするあらゆること、教室の外ですること、違う世界になるように我々がすること全てが大切なのです。
たとえその時点では無駄なように思えても。
そういう方法によって変化がおきるからです。
何百万人もの人がささやかなことをすると変化が起きるのです。
歴史のある時点で、こうしたことが一つにまとまり、そして何か良いこと、何か重要なことが起きるのです。

ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る 長文だが乞うご一読。

2013年3月 1日 (金)

もし~だったら?

Paul Craig Roberts

2013年2月21日

“もし~だったら”という歴史は読み物として面白い。面白く、考えを刺激し、想像を促してくれる。歴史の転換点で、もし違う判断、決断や状況が勝っていたら、世界はどのように変わっていただろう。確かに、(ヘイスティングの戦いで)もしハロルド王の兵士達が命令に従って、敗北し丘を下って逃げるノルマン人を追いかけなければ、イギリス史は変わっていただろう。これで難攻不落のサクソン人の防御壁が崩れ、ハロルド王がノルマン人の騎馬隊にさらされたのだ。http://www.newworldencyclopedia.org/entry/Battle_of_Hastings

もしツァーリが第一次世界大戦に参加せずにいたら、ソビエト連邦は成立していたろうか?

もしイギリス、フランスとアメリカ人政治家が、ヴェルサイユ条約は第二次世界大戦をもたらすだろうというジョン・メイナード・ケインズの警告に耳を傾けていたら、第二次世界大戦は起きなかっただろうか? 休戦協定と引き換えに、賠償はせず、領土喪失も無し、という違う結果がドイツに約束されていたならば。ケインズが理解していた通り、平和という期待が裏切られて、次の大戦を招いたのだ。

歴史学者が検討してくれるのを待っている「もし~だったら」というのがいくつかある。歴史学者はどなたも挑戦してくれないので、自分でやってみよう。もし~だったら、の結果は、必ずしも良い結果ではないことに留意願いたい。悪い結果になる可能性もあるのだ。もし~だったらというのは実際には起きておらず、もし~だったらの歴史は存在しないので、判断する方法は無い。

チャーチルが、ドイツ侵攻が起きた場合、ポーランドに対するイギリスの援助を保証して、ヒトラーとポーランド人大佐(外務大臣)との交渉に介入するようチェンバレンを説得し損ねていたと想像してみよう。第二次世界大戦は起きていただろうか、それとも違う戦争になっていただろうか?

イギリスの援助保証はポーランド人大佐を大胆にし、ベルサイユ条約によって解体されたドイツを復興するというヒトラーの企みをいらだたせた。その結果がヒトラーのスターリンとのポーランド分割秘密条約、厳密にはモロトフ・リッベントロップ協定として知られているものだ。

援助保証を与えたことで、イギリスは名誉にかけて、ドイツに宣戦布告をせざるをえなくなり(幸いなことに、ソビエト連邦に対してもではなかった)、対ドイツ英仏同盟ゆえに、フランスを引き込んだ。

イギリスの保障がなければ、ポーランド人大佐によるヒトラーの要求の黙認によってドイツ(1939年9月1日)とソ連(1939年9月17日)のポーランド侵略は防ぐことができ、イギリスとフランスがドイツに宣戦布告を招いたり、第二次世界大戦を始めることになったり、フランス敗北と、イギリスが大陸から追い出され、アメリカの利害と何ら重大な関係の無い外国の戦争にアメリカが関与するとルーズベルトが決断するという結果にはなっていなかったろう。

歴史学者は、ヒトラーの野望は東方にあり、西方はなかったと書いている。イギリスとフランスが宣戦布告しなければ、戦争は二つの全体主義大国の徹底的な闘いに限定されていたかもしれない。

あるいは、ヒトラーとスターリンが協力を継続し、共に石油の豊富な中東を掌握していたかも知れない。イギリス、フランスと、アメリカは、ドイツ軍とソ連軍には到底かなわなかったろう。最高のアメリカ人司令官パットン将軍は、ドイツ国防軍を粉砕した赤軍に、いつでも相手になってやれると思っていたが、傲慢さの余り大部分のドイツ軍を打ち負かした、東方戦線に配備されていた赤軍司令官達を懸念せずに、アメリカは、燃料切れになったドイツ機甲化部隊に助けられて、バルジの戦いで、わずかなドイツ軍を封じ込めようと苦闘していたかも知れない。今日我々はドイツ/ソ連コンソーシアムから石油を購入していただろう。

この結果は異なる中東の歴史を意味するが、他の「もし~だったら」も同じだ。もし9/11委員会が、日和見の政治家連中でなく、専門家で構成されていて、もし委員会に、行政府に言われた通りの報告は書かない程の誠実さがあったならば? アメリカ国家安全保障のあらゆる機関のありそうもなく、受け入れがたい失敗が調査され、自由落下速度でのWTC 7崩壊が報告書中で認められ、説明されていたら、どうなっていただろう。全く別の説明が現れていたろうし、そういう説明が、アメリカを益々多数の国での永久戦争と、国内の警察国家化とに陥らせていた可能性は少ない。

アメリカ人今でも自由な国民であれたかも知れない。そしてアメリカの自由は、世界にとって、未だに希望の星であり続けたかも知れない。

一方、政府が9/11に共謀していたことが明らかになっていたら、強力な利権を脅かし、暴力的紛争と戒厳令という状態になっていた可能性もある。

「もし~だったら」というのは刺激的で、それゆえに面白い。考えることは、アメリカの国民的障害だ。アメリカ人に考えるよう促すものなら、何でも大歓迎だ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2013/02/21/what-if-paul-craig-roberts/

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「日露戦争は避けられた」という話を聞いた。一度もそういう可能性、考えたことがなく、この記事を読んだ後に聞いたので、驚いた。

もし、日露戦争をしていなかったなら、「血の日曜日」は起きず、ロシア革命も起きなかったのだろうか?

もし、日露戦争をしていなかったなら、日本は戦争に邁進せず、アメリカとの無茶な戦争もせず、独立国家でいられたのだろうか?

現在の状況、日露戦争にふれて漱石が「三四郎」中で書いた文を思い出す。高校生時代に読んだ際、漱石の慧眼に驚いた。太字加工は当方のもの。

「どうも西洋人は美しいですね」と言った。
 三四郎はべつだんの答も出ないのでただはあと受けて笑っていた。すると髭の男は、
「お互いは哀れだなあ」と言い出した。「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一(にほんいち)の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。だからことによると自分の年の若いのに乗じて、ひとを愚弄(ぐろう)するのではなかろうかとも考えた。男は例のごとく、にやにや笑っている。そのくせ言葉(ことば)つきはどこまでもおちついている。どうも見当がつかないから、相手になるのをやめて黙ってしまった。すると男が、こう言った。
「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓(ひいき)の引き倒しになるばかりだ」

「日露戦争は避けられた」は、下記対談の最後の方で孫崎氏が語っておられる。

2013/02/23 「TPPについて、自民党が掲げた公約は守られない」 ~岩上安身×孫崎享 特別対談!

大本営広報部がひたらす隠している傀儡総理訪米の実態、TPP植民地条約の実態を語る対談。約2時間。

TPP加盟後の未来の恐ろしさ、お二人の話を伺っていて、慄然とする。

有料会員でないと全部は見られないが、会費、月々1000円。年間まとめれば10,000円。

「もし大本営広報が壊滅し、IWJが興隆したら」、この国は助かるだろう?

戦争についての、待望の本が出た。「戦後史の正体」と同じ双書。

本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (「戦後再発見」双書)
前泊 博盛 (編著)
出版社:創元社
税込価格:1,575円
honto には、取扱開始日:2013/02/27とある。

 

原子力村神話は崩壊した。それでも彼等まったくこりず、罰されることもなく元気。
安保村神話も崩壊すべきだが。張りめぐらせた支配網、強化されるばかり。
その核心となる地位協定から、この属国の支配構造を説明してくれている。素晴らしい必読書だが、内容は恐ろしい。TPPもこの文脈で見ると、驚くほど良くわかる。

政治、司法、マスコミ、ことごとく安保村。

65ページ

「戦後日本」とはそもそも安保推進派がつくった国なので、「安保村」とは日本そのものであり、その言論統制は大手マスコミを中心に、ほぼ日本全土におよんでいます。

35ページ

米軍関係者にとって「日本の国境」は存在しない。

それに、
米企業関係者にとって「日本の国境」は存在しない。
を加えるものがTPPなのだ、と読みながら思う。

167-168ぺージ (太字加工は当方によるもの)

結局TPPとは、いままで安全保障の分野だけに限られていた、そうした「アメリカとの条約が国内の法体系よりも上位にある」という構造を、経済関係全体に適用しようという試みなのです。
中略
さも対等に協議しているようなふりをしながら、実際には密室でアメリカ側がすべていいように決めてしまう。そうなることは火をみるよりもあきらかです。

岩月弁護士の記事、ISD条項の罠8 朝日の解説に寄せて1にあるが、朝日のISD解説記事、国連機関に訴えることが可能なような記述になっている。素人には犯罪同然に思える。間違いというより、意図的な虚報としか思えない。極悪人とはこのこと。

とんでもない虚報を大々的に報じ、周知徹底した後で、虚報とバレると、数行の小さな訂正記事を載せる。虚報は皆が読み、信じてしまうが、訂正記事は誰も読まず、虚報を刷り込まれたままになる。宗主国・属国の大本営広報部いつもの手口。

53ページ TPPを彷彿させる秘密主義 都合が悪いから秘密にする。

サンフランシスコ講和条約は豪華なオペラハウスで、48ヶ国の代表との間で華々しく調印されたのに対し、日米安保条約はどこで、いつ結ぶのか最後待て教えてもらえなかった。あまりにアメリカにとって有利な特権を認める条約であること、逆に日本にとって売国的な条約であることが、アメリカ側にはよくわかっていたのです。

55ページ

吉田はだれに聞かれても、安保条約は「交渉中」として国会でまともに議論させませんでした。中略
先に引用した著書の中で三浦陽一教授は、こうした国際社会への復帰というきわめて重大な局面において、「国会や世論のチェック機能にたよることを自分から拒否した吉田内閣は、アメリカ依存の秘密外交の坂道を転がっていった」と書いています。というのも吉田外交の国会軽視、世論無視は、それだけですまつなかったからです。安保条約という密約の裏に、さらにもうひとつの密約があった。それが日米行政協定だったのです。

形だけの相互防衛条約の日米安保条約(176ページ)は岸信介によるものだ。

そして今、この二人の、孫二人が日本のトップ。この顔ぶれからすれば、おのずと秘密TPP協定の性格、推測できるだろう。

フィリピン、イラクでは、米軍は常時駐留していない。交渉し撤退させた。
イラクの地位協定はまともなため、米軍はい続けられなくなった。
イラクの交渉担当者は、交渉前に訪日し、5日間地位協定を勉強して帰ったという。
筆者は、213ページでこう言っている。

今度は、日本政府がイラクにいって、地位協定と外国軍の撤退について勉強をしてきたらどうでしょうか。

本書⑤⑥で解説されているオスプレイ、「岩国でも低空訓練というニュース」。今起きているのは日本の沖縄化。もし本土のマスコミが、沖縄の実情を忠実に報道していたなら、そういう結果にはならなかったろう。安保村広報部は植民地化促進部門。

首都圏にある「横田ラプコン」という米軍の支配空域。福生にある横田基地が管理している。属国状態を放置して、宗主国ネオコンの本拠で「尖閣」を叫んだ売国政治家のインチキさ。大本営広報部、決して下記事実には触れない。

首都の主権侵害から目をそらし、尖閣を叫ぶ老害政治家、福島第一原発から出た・出ている大量放射能に全く触れず、中国大気汚染を云々して人心攪乱するマスコミと一心同体。安保村・原発村住民のお手本。

71ページ

日本の首都である東京は、こうした巨大な外国軍の支配空域によって上空を制圧されています。

72ページ (太字加工は当方によるもの)

こうした世界的に見てきわめて異常な状態にある首都東京の知事が、そのことも解決できないうちに、なぜかはるか遠くの東京都とはなんの関係もないような小さな無人島(尖閣島)の件で「愛国心」をあおって自分の政治的立場を強化する。私たちはそうしたことのおかしさに、すぐに気づくことができるようになる必要があります。本当の愛国者なら、すでに自国が現実に支配(実効支配)している無人島について問題を提起するよりも、まず首都圏全域の上空に広がる外国軍の支配空域について返還交渉を片づけることのほうが、もちろん優先順位が高いはずだからです。
これからは首相であれ、東京都や沖縄であれ、そうした異常な状況の解消に努力する人でなければ当選しない。そのような投票行動が日本人の常識になって欲しいと思います。

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