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2013年2月16日 (土)

アジアにおける戦争の危機

wsws.org

2013年2月12日

最近の二つの解説記事は、アジアにおいて吹き出しつつある新たな世界大戦の危機に関し、国際的支配層の中で高まりつつある緊張感を強調している。いずれも、この地域、特に中国と日本との間の極めて緊迫した、海での紛争を指摘し、1914年の第一次世界大戦勃発を容赦なくもたらした、競合する利害と同盟が強化されてゆく様子と比較をしている。

1月30日のフォーリン・ポリシー誌の“ 21世紀の海のバルカン?”と題する論文(訳注:原文メンバーでないと読めない)で、元オーストラリア首相ケヴィン・ラッドはこう主張している。“東アジアはもはや平時ではない。東シナ海と南シナ海では、対立する領土権の主張で緊張が高まり、地域は次第に、一世紀前のバルカンの21世紀海上版としてのよみがえり、海上の火薬庫の様相を呈しつつある。国家主義的な雰囲気が地域全体で高まりつつあり、国内政治で、より対立的でないやり方をとる余地は狭まっている... 安全保障の上、地域は1975年のサイゴン陥落以来のあらゆる時より不安定だ。”

2月4日のフィナンシャル・タイムズの“太平洋に影を落とす1914年の記憶”(注:Japan Business Pressに翻訳記事がある。太平洋に影を落とす1914年の記憶)という記事で、評論家ギデオン・ラックマンも同じ主張をしている。彼はこう書いている。“第一次世界大戦時、強硬手段を取る連中の、ちらつくモノクロ映画は遥か彼方のことのように思える。とは言え、今日の大国が、1914年にそうなったように、戦争に再び巻き込まれることは決してないという考え方は、余りに楽観的過ぎる。中国、日本とアメリカとの間で高まりつつある緊張には、ほぼ一世紀前に勃発した激しい紛争に通じるものがある。”

記事の調子は甲高いわけではない。二人の著者は世界大戦が差し迫っていると考えているわけでもないが、慎重な評価の中で、あり得ないとしているわけでもない。最も差し迫った火種は、日本では尖閣、中国では釣魚として知られている東シナ海の岩だらけの小島を巡る領土問題だ。昨年9月、東京が島嶼を“国有化”して以来、紛争海域と空域における、中国と日本の艦船や航空機による益々危険な作戦行動は、あからさまな紛争を引き起こしかねない衝突の危険性を高めている。

12月の日本の選挙後、危機は悪化した。ラックマンが書いている通り“日本の新内閣には中国との対決を好む強硬派民族主義者が多い”ためだ。最新のエピソードとして、先週東京は、中国海軍艦船が照準用レーダーを日本の標的に二度ロックオンしたと非難し、痛烈な公的否定と非難合戦に、再度火がついた。

ラッドとラックマンは、地政学的緊張の高まりと国粋主義の噴出の本当の原因、つまり深化するグローバルな経済崩壊には一切触れていない。何より、彼等は、日本やフィリピンの様な同盟国に一層積極的に対中国領土権を主張するよう意図的にあおっているオバマ政権の役割と、その“アジア旋回”を糊塗している。ワシントンは、北京を標的として、オーストラリア、インド、韓国と日本を含めた地域全体の、軍事同盟と、基地と、戦略的パートナーシップ体制を作り上げている。

二十年前のソ連崩壊後の、平和と繁栄の新時代に関する、ブルジョア連中の勝ち誇った態度は消え去って久しい。冷戦の終焉は、あらゆる大国の確執や競争心を解き放ち、それが、世界中で、原料、市場や低賃金労働を奪い合う新新植民地主義をあおっている。世界政治最大の不安定化要因は、軍事上の優位性を利用して、経済的衰退を埋め合わせようという必死のあがきで、次から次へと戦争をしているアメリカ帝国主義だ。

オバマの“アジア旋回”は、この地域、特に中国を、世界中で競合しているグローバル企業用の巨大低賃金労働基地に転換することと密接に関係している。中国の影響力を弱体化させようとする、ワシントンのアジア中での戦略的行動は、環太平洋戦略的経済連携協定TPPという集団をまとめあげ、交易条件を支配することで、経済的覇権を維持しようという取り組みと密接に関係している。

1914年の世界情勢に例えてラックマンは書いている。“現在の中国は100年前のドイツ同様、現行の大国[アメリカ合州国]が自国の興隆を妨害することに専念するのを恐れる新興勢力だ。”地球上で原料や市場をあさり回る中、中国がドイツ同様、大国、何よりアメリカと競合するようになるのは事実だ。しかしながら、ドイツと異なり、中国は帝国主義大国ではない。中国のエネルギーや鉱物の膨大な輸入は、グローバル超大企業に所有されていたり、供給したりしている巨大製造会社に向けられている。その規模にもかかわらず、中国経済は外国からの投資、外国のテクノロジーや、アメリカ帝国主義が支配する世界資本主義の秩序に、完全に依存している。

ラッドもラックマンも、合理性と共通の経済的利害が戦争に勝るという希望で、記事を締めくくっている。しかしながら、そうした希望は、ラックマンが引用した、10月に北京と東京へのトップ・レベルのアメリカ派遣団参加者、ハーバード大学教授ジョセフ・ナイの発言で骨抜きにされている。“1914年との類似性について議論した”ナイは語っている。“当事者のいずれも戦争を望んでいるとは思わないが、我々は双方に意思疎通の不良や衝突について警告した。抑止は通常、合理的行為者同士の間で機能するが、1914年の主役達も合理的行為者だった。”

ナイの見解は、戦争は主観的な意図の問題ではなく、客観的な、社会的、経済的な力によって突き動かされるのだという事実を指摘している。1914年の後、当時最も先見の明があったマルクス主義革命家、レーニンとトロツキーは、戦争は、資本主義の破綻と、戦争と革命の新時代、帝国主義の時代が始まる予兆だと判断した。戦争の勃発は初の労働者国家を樹立し、国際的労働者階級の戦いに大きな弾みをつけた1917年10月のロシア革命をもたらした。

20世紀、経済的、技術的、政治的に大きな変化が起きたが、資本主義の基本的矛盾はそのままだ。世界経済と時代遅れの国民国家制度との間の矛盾、社会化された生産と、あらゆる経済活動の、私的利益への従属との間の矛盾。世界大戦と蛮行への落ち込み防ぐことができる唯一の社会勢力は世界の労働者階級であり、自由企業体制の廃絶と、世界規模で計画する社会主義経済の樹立だ。それには、20世紀の労働者階級の戦略的体験の教訓、何よりマルクス主義というプログラムを目指した国際トロツキスト運動の長期戦の教訓を徹底的に吸収することが必要だ。

Peter Symonds

記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2013/02/12/pers-f12.html
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耕助のブログ、2月15日記事、何と、No.1026 1913年との類似化 。シンクロニシティ?

wsws、傍目八目。

大統領が一般教書演説でTPPに触れた日、グアムでの秋葉原事件とそっくり事件。
新聞一面大半がグアム事件。脇に小さく一般教書演説TPP記事。
テレビ報道もグアムばかり。

日本国民全員、そして未来の国民全員に永遠に影響する理不尽極まりないTPP、実態が隠されたまま推進されるのは、更に恐ろしい。属国エリート以外ほぼ全員被害者。

尖閣への中国艦船の動きと、大気汚染だけは詳しく報じてくれる。

宗主国ATM兼、放射能汚染不沈空母、鉄砲玉供給源と化すのだろうか。

「こういう憲法でなければ、めぐみさん守れた」首相発言、壊憲による鉄砲玉供給宣言。いじめを口実に、道徳を教科書化するという。鉄砲玉精神涵養策。

「週刊誌はいい加減」と首相は言ったが、大本営広報部こそいい加減。提灯新聞記事は読まず、提灯TV報道は消している。

とはいえTPP加盟を勧める論説、怖いもの見たさに読んで、時間を無駄にした。
山ほどある問題点の対策も示さず、参加し情報を得て交渉すべきという出鱈目。

TPP・ACTAなりなんなり、該当カテゴリーの記事が自動的に末尾につけられる。的外れではない。しかし本当にお読みいただきたい、例えば下記記事は出てこない不思議。アクセス数に関係するのだろうか? 以前、自分が書いた関連記事リンクを貼った所、ルール違反とかで、このブログが突然閉鎖されたのを思い出す。危険かもしれないが、自分で貼らなければ読んでいただけない。

繰り返すが売国政治家や大本営広報部、御用学者、御用評論家の言辞は下のどちらか。

  • 本気でそう思っているのであれば、度し難いIQ。
  • 本気でそう思っていなければ、詐欺師。
  • イラン核開発計画は無条件に悪で、先制攻撃が必要だ。
  • 北朝鮮核兵器開発、韓国、日本を脅しての属国化、武器売り込みに大切だ。

大本営広報と違う視点を報じている、IWJ Independent Web Journal 2013/02/14 孫崎享氏インタビューをお勧めする。

北朝鮮の核実験をうけて、岩上安身が孫崎享氏へインタビューを行った。米国のターゲットである北朝鮮が、米国の思惑通りに動いてしまっていること、尖閣問題が米国にうまく利用されていることなど、お話は多岐に及んだ。

※掲載期間終了後は、サポート会員限定記事となります。

とある。掲載期間終了後であれば会員になってご覧を。孫崎説、良い情報は只ではない。

  • 尖閣列島や北朝鮮を巡るアメリカの二枚舌、乗る属国政府のひどさ

等について孫崎氏の明快な分析が伺える。孫崎氏、

  • 良い情報は只ではないこと
  • マスコミが劣化している現在、真実を知るには、ソーシャル・メディアしかないこと

も再三強調されている。

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 泥酔姦淫がウヤムヤになってホッとしていた(かどうか知らないけれど)徳之島のドン [続きを読む]

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