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2013年2月28日 (木)

‘アルゴ’の近視眼的史観

2013年2月25日

独占記事: オスカー作品賞は、ベン・アフレックの「アルゴ」、革命後のイランで起きた脱出スリラーが受賞した。この映画はドラマを誇張し、プロパガンダの域に入り込んでいる。だがもしアフレックが、1953年のCIAクーデターか、1980年の共和党のごまかしを選んでいたら、アメリカ人はずっと多くを学ぶことができただろうとロバート・パリーは語っている。

Robert Parry

リンカーン」のように、奴隷制を終わらせた第13修正条項の成立という事実をかなり忠実に描こうとするものであれ、「ジャンゴ・アンチェインド」のように、歴史を単に奴隷制に関する想像物語の為の、生き生きとした背景として利用するものであれ、いくつかの作品賞ノミネート作品が歴史を主題にしているのは、ある意味で心強い。

アメリカ映画芸術科学アカデミーが、作品賞として、アルゴを選んだことは、それほど心強いことではない。実際の出来事に基づいているとは言え、これは1979年、CIAが仕組んだ、イランのアメリカ大使館職員6人の脱出を巡るベン・アフレックの映画の出来事の前後に起きていた、より重要で、より論争を呼ぶような出来事に取り組むのに、ハリウッドが臆病であることを浮き彫りにしている。

2009年、フリー・アメリカの集会で話す俳優/監督ベン・アフレック。

このストーリーの前に起きていた一つの出来事に、カーミット・ルーズベルトが率いた伝説的な興味深いアメリカ人スパイ達がからむ話、1953年にCIAが仕組んだイランのモハマド・モサデク首相打倒がある。アルゴの出来事より後に起きたものとして、1979年に捕らえられ、444日間拘留された52人の大使館職員を解放しようするジミー・カーター大統領の必死の努力への共和党干渉のミステリーがある。

確かに、この物語の前と後の話は、ずっとささやかなアルゴの物語より、遥かに不確実さに覆われたままであるとは言え、劇的な扱いを正当化するには十分な情報がわかっている。1953年のクーデターと、1979-81年の人質危機に関わっていた人々は、迫力満点の映画脚本を作るのに十分な程詳しく、出来事について語っている。実際、1953年のクーデター時に仕事をしていたCIA職員マイルズ・クープランドは、1980年頃年、頓挫したカーターの人質交渉を巡る共和党の活動に特別出演し、再登場さえしていた。[Robert Parryの「America’s Stolen Narrative」を参照]

敵対関係にある二国間の理解を深めることがハリウッドの主要関心事ではないのは分かっている。しかし、1953年のクーデターや、1979-81年の人質危機の舞台裏で起きていたこと、どちらについての映画も、アメリカ合州国とイランの間に存在する複雑な関係について、アメリカ人に情報を与える役にたっただろう。単なる善人対悪人の話ではない。

もちろん、それこそが、なぜハリウッドが、ほとんど知られていないアルゴの話は人の心をつかんで放さないが、他の有名な話は成功の見込みがないと考えた主要な理由なのかも知れない。アルゴの語り口の多くは、白黒の強いプロパガンダ調で、現在の核計画を巡るアメリカ合州国とイランの間の対立を煽っている。

短いドキュメンタリー形式の冒頭で、1953年のクーデターと、1979年までのイランのシャー独裁支配には触れるものの、素早くアルゴは、共感を引き起こすCIA職員が、不快なイランの革命派を出し抜こうとし、最後は全くでっち上げの脱出スリラーで終わる型通りのお話になってしまっている。

アフガニスタンについての虚報

その意味で、アルゴは「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」を思い起こさせる。ソ連のアフガニスタン戦争についての危険なほどの虚偽説明映画だ。“単なる映画”とは言え、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」の筋は、アフガニスタンでの歴史的難題に関するアメリカ人の認識の、ある種の基準になっている。

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」はCIAが支援したアフガン聖戦戦士(またはムジャヒディーン)を高貴な自由の戦士として、カーブルの共産党政府を守ろうとしているソ連人パイロットや兵士達を紛れもない戦犯の怪物として描いている。微妙なニュアンスはすっかり失われている。

例えば、共産党政権は多々欠点はあったものの、アフガニスタンにいくつかの現代化策をもたらしている。女性の権利は尊重された。少女達は学校に行くことを許され、厳格な性別隔離の規則は緩和された。実際、本当の歴史では、CIAが支援した聖戦戦士の動機の多くは、こうした女性の権利改革を巡る怒りだった。

言い換えれば、CIAが支援した聖戦戦士は、映画の中で描かれているような高貴な“自由の戦士”ではなかったのだ。彼等はアフガニスタン女性を無慈悲に征服するために戦っていたのだ。聖戦戦士は、捕らえたソ連やアフガニスタン政府兵士を拷問し、処刑する残虐さでも悪名が高かった。

ところが、その残酷さは、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」では描かれず、アメリカの戦争遂行の取り組みにおける主要な政策の過ちとして提示されてもいない。映画によれば、アメリカの大きな過ちは、アフガニスタン計画を最後まで面倒を見ず、ソ連軍が撤退した1989年始め、すぐのアフガニスタン放棄と言われるものだとされている。

映画中で、アフガニスタンの“自由の戦士”に対するアメリカの支援を組織した功績があるとされている民主党テキサス州選出下院議員チャーリー・ウィルソンが、ソ連撤退後、更なる資金を乞い求めるが、うまく行かない姿が描かれる。

本当の歴史は劇的に違う。1988末と1989始め、CIA副長官ロバート・ゲーツや他のジョージ・H.W・ブッシュ大統領新政権の主要幹部は、内戦を終わらせ、アフガニスタンの暗黒時代への逆転を防げる統一政府を望んでいたソ連大統領ミハイル・ゴルバチョフの和平構想をはねつけた。

そうはせず、41代大統領ブッシュ政権は、聖戦戦士とCIAのかくかくたる勝利を求めた。そこで、ソ連撤退後に資金を断ち切ったという映画の描写とは違い、アメリカ合州国は実際には、カーブル奪取を願って、更に数年、秘密の戦争資金提供を続けたのだ。

ゴルバチョフの構想を拒否したことで、アフガニスタンは、全くの混沌状態となり、最後に、1990年代中頃、パキスタンが支援したタリバンが勃興した。タリバンは仲間のイスラム過激派オサマ・ビン・ラディンと彼のアルカイダ・テロリストを受け入れた。

トム・ハンクス主演の「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」は“単なる映画”だったがロバート・ゲーツやレオン・パネッタ国防長官を含め、為政者によって、アメリカ軍のアフガニスタン駐留継続の正当化として、繰り返して引用されてきた偽りの説明を、アメリカ人の心に刻み込んだのだ。

同様に、アルゴは、悪で無能として描かれるイラン人の理不尽さを、多くの平均的アメリカ人に確認する。もしイランの核計画を巡る交渉が失敗した場合、イラン人についてのこのプロパガンダ・イメージは、アメリカ世論のバランスを戦争に向けるのに役立とう。

これと対照的に、1953年のCIAのクーデターや、1980年のカーターの人質交渉への共和党の干渉についての映画なら、どの話にも、二つ、あるいはそれ以上の側面があることをはっきり示していただろう。確かに、そのような映画は、強力な反対勢力に直面するだろう。映画制作者は“アメリカがまず悪いという非難”だと責められるかも知れず、アカデミーも、論争を前にしては、オスカーを手渡すのにしり込みするだろう。

しかし、アルゴをはさむ前後の物語のいずれも、今年の作品賞よりずっと重要な真実に至っていただろう。そうした二つの物語なら、アメリカが、いかに外国で政治を操つっているか、そしてそうした行為が、いかに我が身に跳ね返ってくるかを示しただろう。

[期間限定で、これらの虚偽物語についての詳細な説明も書かれているRobert Parryのブッシュ一家三部作を、わずか$34でお求めになれます。詳細はここをクリック。]

調査記者Robert Parryは、1980年代、多くのイラン-コントラの話を、Associated PressやNewsweekで発表した。彼の新刊、America’s Stolen Narrativeの印刷版は、ここで、またe-book (Amazonbarnesandnoble.comで)も購入可能。

記事原文のurl:consortiumnews.com/2013/02/25/the-shortsighted-history-of-argo/
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ハリウッドは、強烈な赤狩りによって、気骨ある反対派を完全に排除した結果、現在の実質的CIA広報部となった。『レッドパージ・ハリウッド』という大部な本がその詳細を記している。
隙だらけ 好きだらけ日記~映像 写真 文学 そして風景~の記事上島春彦さん」『レッドパージ・ハリウッド』で、その概要が紹介されている。

「自民調査会、TPP交渉を容認」。「政府は国益をどう守るか明確な方針をしめすべきだ」参加しておいて国益を守れる方策などあるわけがないだろ う。加盟即隷属だ。

「国益を守るためには、加盟してはならない」という簡単な事実あるのみ。

独立派官僚・政治家、いるのかも知れないが、権力の場から完全に排除されている。まともな交渉できる人材いるはずがない。ハリウッドの赤狩りに対応する活動は日本にもあった。そして今も、隠微な差別・排除は徹底して継続されている。

プロパガンダンの低劣さを競う「ゼロ・ダーク・サーティ」は受賞しなかった。取り上げると、拷問問題に注目が集まりそうなので避けたのだろうか?大統領選、作戦のおかげで、無事勝てたから用済みなのだろうか?

作戦を縮小するアフガニスタンやパキスタンと、これから作戦を本格化する対イラン、重要さは比較にならないので、広報作戦として役立つ方に受賞させたのだろうか。

1980年のカーターの人質交渉への共和党の干渉とは、1980年大統領選挙で、カーターを落とし、レーガンを大統領にすべく、共和党が人質解放妨害を仕組んだもの。

TPPを巡る商業マスコミの言語道断デタラメ・プロパガンダでわかるように、映画を含め「商業マスコミ」は、本質的に大本営広報部。筆者の主張は正論だが、それゆえ実現可能性は皆無だろう。

大本営広報部は、ご主人である宗主国・属国政財界のご意見を国民に告知、洗脳、浸透させることが職務だ。

中国侵略時も、太平洋戦争中も、まさに大本営の提灯をもって、国民を砲弾の餌食、鉄砲玉にした業界だ。流れに逆らう者は非国民として排除され、時には小林多喜二のように虐殺された。

記事で触れられている通り、ソ連寄りアフガニスタン政権、女性に良いことをしていた事実、下記記事にもある。

「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」、たまたまテレビで見てデタラメさに驚いた。ひどさを説明する記事があったたので翻訳しておいた。

アフガニスタン: チャーリー・ウィルソンとアメリカの30年戦争

記事中に、ブレジンスキー氏の重要発言がある。つい最近、米中日関連で、ブレジンスキー氏が重要な発言をしていることを孫崎享氏がIWJインタビューで指摘しておられる。

2013/02/23 「TPPについて、自民党が掲げた公約は守られない」 ~岩上安身×孫崎享 特別対談!

大本営広報部が隠している傀儡総理訪米の実態、TPP植民地条約の実態をこの中身の濃い対談でご覧頂きたい。約2時間。

有料会員にならないと全部は見られないが、日本が存亡の危機にある今、有料会員になってご覧いただくべき価値がある重要な対談だ。

皆様毎月代金をお支払いの、大本営広報部のプロパガンダ新聞、テレビとは全く違う情報がある。

特別対談、岩月弁護士の衆議院講演、TPPは日本国憲法違反 第44回 TPPを慎重に考える会 勉強会と、ぴったり繋がっている。

TPPのひどさ、大本営広報部は報道管制して伝えないが、問題は関税に留まらない。

岩月弁護士が「街の弁護士日記」TPPと自動車安全基準2 マスコミの大罪で指摘しておられる通り、TPPの基本形、米韓FTAを既に締結した韓国で実害が起きている。岩月弁護士は「何か空恐ろしいことがこの国では、起きている。」と末尾で書かれている。

韓国で‘低炭素自動車協力金’制度の施行にブレーキがかけられているのだ。

大本営広報部、エジプトの熱気球事故やJR駅傷害事件しつこいほど伝えるが、国民全員に未来永劫影響する重要問題は、報道管制して伝えない。

報じているのは日本農業新聞と赤旗のみ。たしかに「何か空恐ろしいことがこの国では、起きている。」

熱気球操縦士の責任問題を論じる暇があるなら、日本人全員を地獄に引きずり込む輩の責任を問え!

先に部分訳したアメリカ議会図書館の報告書にあった

デトロイトのビッグ・スリー自動車メーカーが製造した自動車の輸入を冷遇していると長年主張してきた。自動車メーカーは、特に輸入自動車を差別する日本の税体系と安全規格に言及している。

という発想を理由に行われる干渉は壮絶だ。
競争上、自分にとって邪魔なもの、かなわないものは、手足を縛って作らせない。

大昔アメリカで、自動車排気ガス規制のマスキー法案が成立した際、規制に最初に合致したのはホンダの自動車だった。アメリカの自動車会社ではない。

手を縛られず、公平に、実力で戦えば、勝てる可能性があったのだ。それが消滅する。

オリンピックのスキー・ジャンプやレスリング、日本が勝つたび、ヨーロッパ勢に有利なようにルールが変えられる。

米韓FTAもTPPも究極のルール変更、「三発目の経済原爆」永久植民地化条約。

TPP、あらゆる国家活動に対する究極の縛り、アメリカ大企業・組織が日本を完全支配する為に練り上げられたものだろうこと、疑問の余地はない。

1986年チェルノブイリ原発事故後、負担の衝撃もあってか、1991年ソ連は崩壊した。

2011年福島原発事故後二年目、日本は宗主国大企業連合に大政奉還する。しかし、この国、数千年前に、宗主国の領土だったことはあるのだろうか?

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