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2013年2月26日 (火)

ペンタゴンのお役に立つチリ軍

Nil NIKANDROV
2013年2月23日

Strategic Culture Foundation

1990年代、アメリカ国務省は、情報公開法(FOIA)に従って、チリ サルバドール・アジェンデが1973年に打倒されて以来の出来事に関する、新たに機密解除された文書や他の文書を公開した。書類は、ピノチェト政権前と政権下での、チリにおける政治暴力による人権侵害、テロや他の行為に関するものだった。ピノチェトは激怒した。彼の全ての行為は、ワシントンの主導の下、アメリカの支援を得て行ったのに、一体なぜ連中はそんなことをするのだ! 1998年3月まで、軍最高司令官ではあったが、当時ピノチェトはもはやチリ大統領ではなかった。ペンタゴンとの間で確立された円滑な関係は駄目になった。

チリのための同盟(スペイン語: Alianza por Chile)が政権についた後、ペンタゴンは、チリにおける影響力の着実な回復を開始した。共同海軍演習、武器販売、アメリカでのチリ軍将校訓練。現大統領セバスチャン・ピニェラの任期は、アメリカ軍との関係の質的急変時期だ。彼の父親は駐米チリ大使で、兄ホセはピノチェト政府の閣僚で、二人ともアメリカ諜報機関と親しかった。セバスチャン・ピニェラは、ワシントンとの安定した関係が出世の鍵だと考える一家の伝統に忠実だ。

2012年4月 バルパライソ地方、コンコンのフォート・アグアヨで式典が行われた。国際連合平和維持活動訓練センターの開業だ。建設には、アメリカ南方軍が資金を提供した。マスコミの漏洩によれば、センターは、中南米の軍隊が市街戦や対ゲリラ戦技術の腕を磨くために使用される。カリキュラムには対抗議行動訓練も含まれている。

これはチリにとって重要だ。学生、教師や、ホワイトカラー労働者を含め、何千人もが街路に繰り出したことがある。南部のマプチェ・インディアンは、彼等の歴史的な土地と自治体制の為、猛烈な戦いをした。チリの人権闘士が、コンコンをアメリカ陸軍米州学校(現在は西半球安全保障協力研究所と呼ばれている)支部と呼ぶのは誇張ではない。高度な尋問技術コースは今も存続している。CIAの秘密監獄で得られた経験により、現在一層効率的になっている。

ペンタゴンは、チリ(コロンビアと共に)を最も信頼できるアメリカのパートナーと見なしている。チリ海軍は南太平洋の責任を負っている。通常、海軍は麻薬密輸業者を追跡している。しかし、もっと重要な任務がある。ロシアと中国の海上艦船と潜水艦の航路監視だ。アジア太平洋の資源を求める戦いは始まったばかりだが、チリの立場はずっと前から決まっていた。チリの諜報機関は、中南米とカリブ海諸国で活動している。ピノチェット後、チリの秘密機関は、アメリカ中央情報局CIAと軍諜報機関の利益にかなうべく、<ポピュリストの国々>に焦点をあてている。彼等は、国内そして海外で、ロシア、中国とイランの派遣団を監視している。アメリカ合州国軍の最高幹部達は、チリ国軍の戦闘即応性の高さを称賛している。彼等は、チリ軍は、隣接諸国より飛躍的に優れていると常に言っている。考え方は<チリ軍は最高のNATO標準に合致している>ということだ。その結果、チリ軍、空軍と海軍は、アメリカと西欧の兵器体系を有している。ロシアは、サンチァゴ・デ・チリで、軍用、民間用、および、軍民両用可能な技術を展示する航空宇宙展FIDAEに常に参加しているが、本当に成功したことは一度もない。あらゆる商談を破断させるために、ペンタゴンはどんなことでもするのだ。2010年にロスアバロンエクスポルト社が、チリと(政治的決定で)5機のMi-17V5ヘリコプター販売契約を締結した。ところが地震が起きた。地震は、チリが契約を撤回する言い訳になった(上からアメリカ大使館が陰で糸を引いていたのだ)。

チリ軍が長期間にわたり、ボリビア、アルゼンチンとペルーを地域における敵と見なしている事実をアメリカは活用している。ペンタゴンの政策は、チリと隣国諸国を仲たがいさせることに焦点を合わせている。その政策は結果をもたらしている… 一例をあげよう。朝、ヴィニャ・デル・マルの中心から離れた通りに沿って、チリの水兵がジョギングするのは良くある風景だ。都市の住民や外国人の注目を引いたことは無い。水兵は経路を変え、埠頭沿いに、足を踏みならし、リズムを打ち出し、行軍の掛け声を唱えながら、多くの観光客達と行き違う。あるアルゼンチン学生はビデオ録画する時間があり、彼はそれをyoutubeに投稿した。ビデオは大当たりし、大騒ぎとなった。水兵がこう掛け声を唱えていたのだ。<アルゼンチン人を殺し、ボリビア人を射撃し、ペルー人の喉を掻き切るぞ。>

アルゼンチン、ボリビアとペルーは公式な抗議を始めた。セサール・ナバロ、ボリビアの社会運動・政府調整担当副大臣が最初に反応した。彼は中南米に、軍隊に隣国に対する憎悪の精神を教育しているかどで、チリを非難するよう呼びかけた。ペルーとアルゼンチンも同様な対応をした。

チリ国防大臣は、水兵が実際に隣接諸国に対する<敵対的で、攻撃的な>侮辱行進の掛け声をうたっていたことを認めざるを得なかった。海軍長官エドムンド・ゴンザレスと、国防副大臣アルフォンソ・ヴァルガスは、関与した者は罰せられると述べた。彼は、チリも"他の国々で、同様な状況の犠牲者となっており、好ましいとは思っていない"と述べた。掛け声は、チリの平和な隣国関係と合致しないと、彼は付け加えた。チリ政府は、海軍士官訓練生が、隣国三カ国を傷つけた問題のビデオの迅速な調査を約束した。 "疑う余地なく、これは恥ずべき映像です"とチリ政府広報担当官セシリア・ペレスは述べた。"この種の行動は、わが国が掛け声の中で触れている国々と維持している良い関係や、チリがこの地域で、常にその実現と維持を望んでいる平和を現すものでもない。" だがこれはもみ消し策以上の何ものでもない。現在のチリ政府は、隣国との永久的緊張関係にこそ関心があるように見える。政府は恐らく、この方針は内政面で、<国をまとめる>目的に役立つと考えているのだろう。つい最近、セバスチャン・ピニェラは、FALライフルで武装した三人のボリビア兵がチリ国境を超えた事実を、深刻な国家間紛争と化すべく最善を尽くした。彼等は盗難車の密輸業者を追跡し、捕獲したのだ。アタカマ砂漠は、はっきり国境が見えるような場所ではない。密輸業者の一人が信号を送った。兵士達は逮捕され、イキケに連行され、民事裁判所で裁判にかけられることになった。

13年2月8日、ボリビアン・ラ・ラゾンは、隣国に対する敵意は、チリ国軍にとって、ある種の原則のようなものだと書いた。実際、それはピノチェト独裁政権時代以来変わっていない。交替する民主政府は、ことごとく軍を劇的に作り替えることに失敗してきた。チリ国軍は国家中の国家で、団結した、エリート主義の、反動的な権力集団で、チリ政府は軍を完全支配したことがない。

現在国防省を率いているのは、ロドリーゴ・インツペテルだ。前の職務で、彼の評判はひどく損なわれた。アメリカ中央情報局CIAと、アメリカ司法省下の連邦取締機関、麻薬取締局(DEA)による、エクアドル政府に対する破壊活動をもみけしたかどで、訴えられたのだ。新たな職務でも、彼がそういうことをする同様な機会があるだろう。運が良ければ、限定的な、勝てる対ボリビア戦争の火付け役になれるだろう。通常、それはいつも小規模な挑発で始まるが、チリ軍には示威行動の歴史が長いのだ。

記事原文のurl:www.strategic-culture.org/news/2013/02/23/chilean-military-on-pentagon-service.html
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地球の裏側の出来事ながら、どこかそっくりの景色。固有名詞を置き換えれば、そのまま。

現首相安倍晋三の任期は、アメリカとの関係の質的急変時期だ。彼の祖父は元首相で、大叔父も元首相で、二人ともア メリカ諜報機関と親しかった。安倍晋三は、ワシントンとの安定した関係が出世の鍵だと考える一家の伝統に忠実だ。

ロシアと中国の海上艦船と潜水艦の航路監視だ。アジア太平洋の資源を求める戦いは始まったばかりだが、日本の立場は第三次ナイ・アーミテージ報告で、ずっと前から決まっていた。

日本軍が長期間にわたり、中国、韓国・北朝鮮とロシアを地域における敵と見なしている事実をアメリカは活用している。

韓国を軍事的不安で脅し、韓国には不利益山盛りの米韓FTAを結ばせた。そして、

この国を、尖閣問題で脅し、国民にとって、不利益山盛りのTPPに加盟させる。

その構図を分析した記事翻訳「日本に、中国との対決をけしかけるアメリカ

岩月弁護士のブログで、韓国議員が韓米FTA国際投資紛争解決手続について検討された冊子wordがダウンロードできる。ISD条項の恐ろしさがわかる。

ISD条項の罠5 韓国朴チュソン議員の発行冊子全体版

朴チュソン議員の冊子。
TPPの賛否を問わず、絶対に参考にしなければならない必読文献である。

「投資家対国家紛争解決手続 法律機関の検討」(仮訳)

首相訪米、土下座外交の歴史的見本。TPPに加盟して、売国し、自治領になるのだから、宗主国のやりたい放題。これ以上の土下座外交、将来二度とないだろう。今の国が終わってしまうのだから。

祖父の安保改訂時を越える、本当の庶民の合法的TPP反対デモで国会が取り巻かれ、参議院選挙で、絶滅危惧種、TPP反対派が多数を占めれば...と最後の夢を見る。大本営広報が全て倒産しなければ、そういうことは起きない。

下記ブログ記事でも、プロのジャーナリストが大本営広報を批判しておられる。

本澤二郎の「日本の風景」(1241)<安倍支持率のカラクリ?>

最近コメント欄に「ブログ紹介」の書き込みを頂いて「WJFプロジェクト」を知った。
コメント欄は「ブログ紹介欄」ではないと思い、公開せずにいたが、下記記事、しっかり拝読させていただいた。おっしゃる通り、西田という人、国会質問を見るのが楽しみだったが、最近信じられなくなってきた。

余りに陳腐な筋書きを、平然とくりかえす大本営広報プロパガンダ機関。先例はあり、そして成功してきた。壊滅的崩壊までは。

日本原子力文化振興財団の「世論対策マニュアル」と全く同じ手法だ。実態などなくとも、御利益などなくとも、意味ありげに繰り返せば、異神でもTPPでも、支持率はあがる。

繰り返し繰り返し広報が必要である。新聞記事も、読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る

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コメント

米国はピノチェト以降もチリ国軍を支援し、隣国との軍事的緊張を保とうとしているのですね。「国境あるところ緊張あり」。隣接する国同士が親密であるほど米国(の軍需産業)にとって不都合である、ということでしょうか。
悪行が目立ちすぎるとピノチェトのように梯子を外されるのですから、傀儡政権を率いる首魁者も楽ではない、ですね。

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