“財政の崖”論議の陰で反革命の先鋒を務めるオバマ
2012年12月31日
今これを書いている時点では、いわゆる“財政の崖”を前に、議会共和党とホワイト・ハウスの間で協議が続いている。今後数日で妥協が成立するのか、それとも、でっちあげられた危機感が新年まで続くのかは明らかではない。しかしながら、明らかなのは、アメリカの社会政策全体の方向性と、ワシントンで議論している両者の本当の狙いは、労働者階級だという事実だ。
途方もない度合いの見せかけと嘘を特徴とし、その陰にアメリカ国民に対する陰謀が隠されているプロセス全体を明らかにする必要がある。
“財政の崖”は、以前の協議の一環として設定された、かつては政治的に不可能と見なされたような、不人気な施策を実施する為の条件を生み出すことを狙って、人為的にもうけられた期限だ。
もしワシントンが“崖から落ちれば”、労働者の手取り額を、事実上、7パーセント削減する増税、200万人の長期失業者に対する失業保険の即時廃止と、それに続く更に100万人に対する支給の切り捨てを含め、その影響を最も直接に受けるのは労働者だ。連邦政府職員は、無給一時解雇に直面し、光熱費補助から、育児手当て、教育手当に到るまでの不可欠な社会福祉制度は一律削減に見舞われよう。
これは始まりに過ぎない。財政の崖は、新年に向けて設定された一連の人為的な期限の最初のものだ。2月末には、連邦債務上限引き上げを巡る別の期限が来る。同じ問題が、2011年8月、今後十年で、1兆ドル以上の社会的支出削減についての超党派合意の口実になった。3月に、選挙前に採択された連邦政府支出を六カ月を許可する“継続決議”の期限が切れる。
それぞれの期限が、最も重要な連邦の社会保障制度、退職年金を支払い、何千万人もの高齢者、身体障害者や貧しい人々の為に医療費を支払っている社会福祉、メディケアとメディケイドの削減を狙う機会として利用されるのだ。来年、所得税と法人税を引き下げる為の“包括的改革”によって、すぐに置き換えられるであろう、金持ちに対する非常にわずかな減税を巡るインチキな議論は、この反動的な思惑を隠すことを目的にしているのだ。
支配階級の全体的な戦略は、日曜朝のNBC番組“ミート・ザ・プレス”で放送されたオバマ大統領とのインタビューで明らかだ。大半のマスコミの焦点は、金持ちに対する若干の増税にすらためらう議会共和党を批判する大統領の発言向けられており、オバマが給付金制度の削減を取り入れることについての説明は比較的少なかった。
司会のデイヴィド・グレゴリーに“高齢者にも厳しい話をしてください”と要求されて、オバマは答えた。“しかし私は、もうそうしていますよ”。 将来の社会福祉受領者向け給付金を引き下げてしまう、生活費の増加を計算する為の改訂された公式、いわゆる“連鎖方式による”消費者物価指数、を支持していることに触れた。“民主党員の間では極めて不評です”オバマは続けた。“AARP (アメリカ退職者協会)からの支持が得られるようなものではありません。しかし社会福祉制度の長期的強化の為に、私はこうした決断を厭いません。”
アメリカ政治のオーウェル風言語では、社会福祉制度の“強化”とは、丁度“バランス”と“公平”が、銀行家やCEOに形だけの一時的増税を課して、何千万人もの労働者の状況を破壊した様に、国が支払う給付を恒久的に削減することを意味する。オバマによれば、百万長者と億万長者がもう少し高い税金を払い、空腹な人々が食べる量を減らし、貧しい子供が医者にかかる頻度を減らし、燃料代を払えない高齢者が温度調節器の設定を下げれば、“全員が自分のするべきことをする”ことになるのだ。
インタビューの終わりの方で、オバマは民主党の過去のリベラルな伝統とのいかなるつながりも否定する彼のやり方からはずれた。“私は何らかのイデオロギー的思惑に駆られているわけではありません”と彼は言った。財政の崖にまつわる協議の中での、彼自身の立場としては“98パーセントのアメリカ人の為の減税を維持する”ことを呼びかけると言い、 更にこう付け加えた。“かつては、かなり主流な共和党の狙いと見なされた、いくつかのリベラル左派の狙い…かつては、かなり主流な共和党の狙いと見なされたことを考えてみよう等とは誰も思わないでしょう。”
“ミート・ザ・プレス”でのオバマの発言は、11月の選挙以来、ホワイト・ハウスによる一連の発言と行動の中で、唯一最もあけすけなものだ。民主党大統領は、主要な支持基盤、アメリカの金融特権階級を、ひたすら彼らの利益保護に専念していると安心させているのだ。
大統領選挙の間、ネーション誌等のリベラルな雑誌や、インターナショナル・ソーシャリスト・オーガニゼーション等の一連の偽左翼集団は、オバマ再選を、巨大企業と銀行の右翼的な思惑に対する打撃として描き出していた。真実は、オバマと民主党は共和党に劣らず、金融界特権階級の代表なのだ。実際、10億ドル以上という彼の選挙資金蓄積によって証明されている様に、オバマは支配層エリートの望ましい候補者となっている。
オバマは、ヨーロッパから日本、そしてアメリカに到る全世界の支配階級の共通政策である反革命の先鋒を務めているのだ。あらゆる国で、銀行や投機家を救済する為、国家財政を掠奪した金融資本の代理人達は今や労働者達につけを支払わせることを要求しているのだ。
公式な財政“論議”という枠組みは反動的で偽りだ。それは医療や教育等の社会福祉や、労働者階級にきちんとした賃金や給付を支払う為の金がないという嘘に基づいている。社会的不平等が、これまで前例のない水準に達する中、企業利益や金融エリートの財産は急増し続けている。アメリカ企業には、現在、3兆から5兆ドルの現金準備金があると推定されている。
アメリカが率いる世界政府の行動は、明確な階級利益によって決まる。深まる経済危機という条件の下、支配階級は、大多数の人々の生活条件を歴史的に後退させることで、自分達の富を守ろうとしているのだ。
超党派の緊縮政策と戦う為、労働者階級は民主党と決別し、オバマ政権と資本主義二大政党制度に対する闘争を始めなければならない。つまり、社会主義綱領に基づく、大企業の利益ではなく、雇用、きちんとした賃金、医療、教育や、不安の無い退職後の生活といった、労働者階級の社会的権利を擁護する独立した政治運動の構築だ。
Patrick Martin
記事原文のurl:www.wsws.org/en/articles/2012/12/31/pers-d31.html
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Paul Craig Roberts氏も“財政の崖”について書いている。この国の朝刊も報じている。
政府と大本営広報部が協力し、本当に重要な真実は隠し、自分たちの計略を推進する為の情報ばかり流すのは宗主国も属国も同じ。
福島原発事故発生の理由は地震だったことを大本営広報部は報道しない。
地震大国を原発大国にしたのは、自民党の功績であると大本営広報部は報道しない。
「くろねこの短語」様が纏めておられる重要事実は報じない。
吉井英勝:冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:冷却に失敗し各燃料棒が焼損した場合の復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
吉井英勝:原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測や復旧シナリオは考えてあるのか
安倍晋三:そうならないよう万全の態勢を整えているので復旧シナリオは考えていない
「くろねこの短語」様の情報源は下記だろうか?
2006年12月13日 衆議院議員 吉井英勝
巨大地震の発生に伴う、安全機能の喪失など、原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書
2006年12月22日 内閣総理大臣 安倍晋三
巨大地震の発生に伴う、安全機能の喪失など、原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書
おかしな答弁をする人物が原発再稼働・新設を推進しても、大本営広報部批判しない。
過去原発について出鱈目を言った政治家が、今後まともなことを言う可能性は少ないだろう。政治家をやめて責任をとるのであれば見直すが。無理が通れば道理が引っ込む。まっとうな質問、発言をしておられる吉井英勝氏が引退。
「新しい原発は安全だ」という発言も批判しない。本当なら、なぜ宗主国、事実上の新設中止状態にあるのだろう。
3/11当時、各テレビ局で原発安全論を言いたい放題だった「東大話法」学者諸氏、辞職したという話聞いたことがない。今は登場していないが、これから再登場されるだろう。
原発推進、TPPによる社会的総属国化、集団的自衛権を認める軍事属国深化を推進し、エセ経済学を語る腹話術人形の様な、反革命の先鋒を務めるトップや彼の党が圧倒的多数議席を得たのは、真実支持率とは無関係なことは報じない。
属国政策推進に邁進する自民・公明支配体制、大本営広報部自身が強力にあおって導入が実現した「小選挙区制度」によるトリックの結果であることは報じない。
一方、出身母体がモンサントと契約しているGMO推進の先鋒である、子泣きじじい氏のTPP推進論はうやうやしく掲載する。露骨な利益相反だろうに。
昨年12月「はだしのゲン」の中沢啓治氏が亡くなった。氏は原発反対だった。年末、最後の作品「はだしのゲンわたしの遺書」を買いに行ったがあいにく品切れだった。
- はだしのゲンが見たヒロシマ・原発切抜帖・ひろしま・あしたが消える日
- Peace Philosphy Center「バトンタッチ!」中沢啓治さんを追悼して
日本憲法草案作成に参加したベアテ・シロタ・ゴードンさんが12月30日に亡くなった。
原発推進、憲法破壊に向かうこの国を象徴しているよう 。
軍事属国深化の行く先については、今日の東京新聞「こちら特報部」本音のコラムに「国防民営化の悪夢」という竹田茂夫法政大学教授の必読記事があるのを「くろねこの短語」様のブログで知った。
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