デア・シュピーゲル
Global Research
2012年12月16日
シュピーゲル・オンライン
Nicola Abe
ある兵士がクラス一番で卒業することを目指した。彼は成功し、ニューメキシコにあるアメリカ合州国空軍の特殊部隊に勤務する無人機パイロットになった。彼は何十人もの人を殺害した。ところが、ある日、もうこれ以上できないことに気がついた。
ブランドン・ブライアントは、エアコンで摂氏17度に保たれ、治安上の理由でドアを開けることができない長方形の窓のないトレーラーほどの大きさのコンテナの中で5年以上働いていた。ブライアントと同僚達は14台のコンピュータ・モニターと4つのキーボードを前に座っていた。ブライアントがニューメキシコでボタンを押すと、地球の裏側で誰かが死んだ。
コンテナは、コンピュータのブーンという音で満ちていた。それは空軍用語で言うコックピットとして知られている無人機の頭脳なのだ。だがコンテナの中にいるパイロットは空を飛んでいるわけではない。彼等は操縦席に座っているだけだ。
ブライアントはそうした人々の一人で、プレデター無人機が10,000キロ以上も離れたアフガニスタン上空で8の字型を描いて旋回していた時の、ある出来事を非常に鮮明に覚えている。陸屋根の泥作りの家のヤギを入れておくのに使われている小屋が標的になっていたとブライアントは回想している。砲撃命令を受け、左手でボタンを押し、屋根にレーザーで標識を付けた。彼の隣に座っていたパイロットがジョィスティックにある引き金を押し、無人機にヘルファイア・ミサイルを発射させた。命中するまでには16秒かかる。
“この瞬間はスローモーションのようなものです”と彼は言う。無人機に取り付けられた赤外線カメラで撮影した画像が衛星で送信され、2から5秒の時間差で彼のモニターにあらわれる。
あと7秒という時点では、地上には誰も見あたらえかった。その時点であれば、ブライアントはまだミサイルをそらすことができる。あと3秒になった。ブライアントは、モニター上のピクセルを一つずつ数えなければならないように感じた。突然、一人の子供が角をうろついていたのだと彼は言う。
ゼロ秒に、ブライアントのデジタル世界が、実世界のバグランとマザリ・シャリフの間の村と衝突した。
ブライアントは画面上で閃光を見た。爆発だ。建物の部分が崩壊した。あの子供も消えた。ブライアントは胃がムカムカした。
“俺達は子供を殺したのか?”と彼は隣席の男に尋ねた。
“ああ、あれは子供だったと思う”パイロットは答えた。
“あれは子供だったのか?”二人はモニターのチャット・ウィンドウに書きこんだ。
すると、二人の知らない人物が答えてきた。世界のどこかにある軍司令部に座っていて、彼等の攻撃を観察していた人物が。“違う。あれは犬だった”とその人物は書いた。
二人はこの場面をビデオで見直した。二本足の犬?
見えない戦争
その日、ブライアントはコンテナを出ると、いきなりアメリカに踏み入った。乾いた草原が水平線まで拡がり、畑と液肥の香り。数秒毎にキャノン空軍基地のレーダー・タワーの光がたそがれの中で点滅していた。そこでは何の戦争も起きてはいない。
現代の戦争は思想のように目には見えず、距離によって、その意味を奪われている。それは自由な戦争ではなく、世界中の様々な場所にある小さなハイテク・センターから制御される戦争だ。新しい戦争(の遂行方法)は旧来のものよりも正確だと見なされ、それゆえに“より人間的”と呼ぶ向きすらある。それは知性の戦争で、アメリカ合州国のバラク・オバマ大統領が、彼の前任者の誰よりも推進している戦争だ。
この戦争の計画が行われているペンタゴンの廊下は、壁は暗色の木製パネルで覆われている。空軍幹部たちのオフィスはここにある。プレデターの絵画、キャンバス上の無人機が、軍指導者の肖像画の隣に掛けられている。軍の視点からすれば、“対テロ戦争”において近年のプレデター発明ほどの成功は他にない。
米軍は、アメリカ合州国内のいくつかの空軍基地と、東アフリカの国ジブチの一つも含めた海外の場所から、無人機を制御している。バージニア州ラングレーの本部で、CIAはパキスタン、ソマリアとイエメンでの作戦を制御している。
‘我々は命を救っています’
淡い色の目ながら敵の明確なイメージを持った人物、ウィリアム・タート大佐は、無人機を“距離が自然に発展したもの”と呼んでいる。
数カ月前、ラングレーのアメリカ空軍遠隔操縦航空機(RPA)タスクフォース司令官に昇進するまで、タートはラスベガスに近いネバダ州のクリーチ空軍基地の司令官で、そこで彼は無人機作戦を指揮していた。自分で無人機を操縦する時にはいつも、モニター脇のチェック・リストに妻と三人の娘の写真を貼っていた。
彼は航空機に意志や自我があるような含みがあるので、ドローン(無人機)という呼び方は嫌いだという。彼は“遠隔操縦航空機”と呼ぶのを好んでおり、飛行の大半は情報収集が目的だと指摘した。ハイチでの地震後、無人機を人道的任務に用いたことや、リビア戦争での軍事的成功について彼は語った。彼のチームが、いかにミスラタを標的にしたロケットを載せたトラックを攻撃したか、元リビアの独裁者モアンマル・カダフィと彼の側近が逃亡していた車列をどのように追跡したか。彼はアフガニスタン現地にいる兵士達が空からの支援に対して常に感謝の意を表している様子を説明した。“我々は命を救っているのです”と彼は言う。
彼は標的殺害については余り話さない。彼はクリーチでの作戦司令官としての二年間で、非戦闘員が死ぬのは見たことがないし、無人機は女性や子供がいない建物だけ攻撃するのだと主張した。指揮命令系統について質問すると、タートは3-09.3と呼ばれる275ページの文書に触れた。その書類は、要するに、空軍による他のあらゆる攻撃と同様、無人機攻撃は承認されることが必要と述べている。作戦が行われる国にいる将校が、作戦を承認することが必要なのだ。
“臨床的な戦争”という言葉を使うと彼は怒りだす。その言葉で、あなたは泥の中を歩いて渡ったことなど無いだろうとか、血の匂いを嗅いだこともないだろうと非難し、あなたが言っていることなどさっぱりわからないといったベトナム戦争退役軍人を思い出すのだ
それは本当ではないとタートは言い、仕事からラスベガスまでの一時間のドライブを仕事から離れるために使うことが良くあると言う。“我々は人々を何カ月も観察します。彼等が犬と遊んだり、洗濯をするのを見ています。我々は隣人の暮らし方と同様に、彼らの暮らし方も知っています。葬式にさえ行きます。”いつも簡単なわけではありませんと彼は言う。
無人機の逆説の一つは、標的への距離を広げるにつれ、近接さをかもし出すことだ。“戦争はどことなく、個人的なものになるのです”とタートは言う。
‘男達、女達や子供達が死ぬのを見ました’
モンタナ州の小さな町ミズーラのはずれに、山々や林や霧の塊を背景に、一軒の黄色い家が立っている。大地はこの季節最初の雪に覆われていた。現在27歳のブライアントは母親の家の居間で長椅子に座っていた。彼は軍を除隊し、今は故郷で暮らしている。彼は頭を剃り、3日間の無精ひげを生やしている。“四カ月も赤外線の夢をみていません”あたかも彼にとって、ちょっとした勝利であるかのごとく、彼は微笑みながら言った。
ブライアントは6年間の空軍生活で、6,000飛行時間を積んだ。“当時、男、女や子供が死にました”とブライアントは言う。あれだけ多数の人々を殺そうとは思ってもいませんでした。実際、私は人など殺せないと思っていました。”
不人気な職務
高校卒業後、ブライアントは調査ジャーナリストになりたかった。日曜には教会に行き、赤毛のチアリーダー達が大好きだった。大学の前期の終わりには、既に何千ドルもの借金を背負っていた。
彼が軍隊に入ったのは偶然だ。ある日、陸軍に入隊する友人に付き添った際、空軍には自前の大学があり、無料で大学教育も受けられると聞いたのだ。ブライアントは試験の成績が非常によかったので、情報収集部隊に配属された。無人機にとりつけられたカメラやレーザーの制御方法や、地上画像、地図と気象データ分析を学んだ。彼はセンサー技師となったが、これはおおよそ副操縦士に相当する。
イラク上空で最初の飛行任務を果たしたのは20歳の時だった。ネバダ州では暑い晴れた日だったが、コンテナ内は暗く、イラクは夜明け前だった。米兵の集団が前進基地への帰途にあった。ブライアントの任務は空の“守護天使”として道路を監視することだった。
彼はアスファルトの中に目の形を見つけた。“訓練で目の形がわかったのです”と彼は言う。道路に簡易爆発物を埋めるために、敵戦闘員は道路上にタイヤを置き、アスファルトを柔らかくするためにそれを燃やすのだ。その後は、上空から見ると、目のような形に見えるのだ。
兵士の車列は、目の形からまだ何マイルも離れていた。ブライアントは上司に報告し、上司は司令部に通知した。車両が現場に近づいて行くのを、彼は数分間じっと見つめていることを強いられたのだと、ブライアントは言う。
“何をすべきだろう?”と彼は同僚に尋ねた。
だが、そのパイロットも新人だった。
ジャミング機能の送信機を使っている地上の兵士達とは無線では連絡ができない。ブライアントは最初の車が目の上を越えるのを見た。何事も起きなかった。
すると二台目がその上を越えた。ブライアントは地上での閃光と、続いて車両内の爆発を目にした。
5人の米兵が亡くなった。
以来、ブライアントはその五人のアメリカ人のことが頭から離れない。彼はプレデターとミサイルのマニュアルを含め全てを記憶し始め、あり得るあらゆるシナリオも理解した。このようなことが二度と起きないようにすべく、最高の兵士になると固く心に決めたのだ。
‘人類から断ち切られたように感じました’
勤務時間は12時間にわたった。空軍ではイラクやアフガニスタンのリモコン戦争は要員不足のままだった。無人機パイロットは臆病なボタン押し係と見なされていたのだ。仕事があまりに不人気なので、軍は退役軍人まで引き入れざるを得なかった。
ブライアントは最初にミサイルを発射した時、二人の男を即死させたのを覚えている。ブライアントが見つめると、三人目の男が断末魔の苦しみにあるのが見えた。男の足は無く、男は足の付け根を両手で抱え、暖かい血が二分もの間地面に流れていた。ブライアントは彼は帰宅しながら泣いて、母親の家に行ったと言う。
ミズーラのシナモンとバターの香りが空気中に漂っているお気に入りのコーヒーショップに座って、“ほぼ一週間、人類から断ち切られたように感じていました”と彼は言う。人々を眺め、ニーチェやマーク・トゥエインの本を読んで、そこで長い時間を過ごし、時々立って席を変えた。もはや同じ場所に長時間座り続ける事ができなくなったのだという。そうしていると神経質になるのだという。
彼女とは最近分かれた。彼が抱えている苦悩について彼女が尋ねたので、彼はそれを話したのだ。だがそれは、彼女には対処することも、共有することもできない困難だった。
地元をドライブする時、ブライアントは操縦士用サングラスをかけ、パレスチナ風スカーフを着ける。クライスラーの内部は彼の飛行中隊のワッペンで覆われている。彼のFacebookページにコインと授与された非公式メダルの写真アルバムを作った。彼が持っているものは、この一つの過去だけなのだ。彼はそれと苦闘しているが、それは自尊心の源でもある。
2007年にイラクに派兵された時には、自分の略歴に“戦闘準備よし”という標語を掲げた。バグダッドからおよそ100キロの米軍基地に配属され、無人機を離着陸させるのが任務だった。
無人機が飛行高度に到達するとすぐに、アメリカ合州国のパイロットが引き継ぐ。プレデターは一日中滞空していられるが、非常に速度が遅くもあり、作戦地域の近くに駐留する必要があるのだ。ブライアントは砂色のオーバーオールを着て、防弾チョッキを着けて、無人機にもたれた写真用ポーズで写っている。
二年後、空軍は彼を特殊部隊に採用し、彼はニューメキシコのキャノン空軍基地に配属された。トレーラー、給油所と福音派教会ぐらいしかないクローヴィスというほこりっぽい町で、彼と仲間の兵士達はバンガローで共同生活をした。クローヴィスは一番近い町から何時間もかかるところにあった。
アフガニスタンでは昼にあたるので、ブライアントは夜勤が好きだった。春には、雪に覆われた山頂や緑の渓谷の景色が、生まれ故郷のモンタナ州を思い出させた。人々が畑を耕し、男の子達がサッカーをし、男達が妻や子を抱きしめるのを見ていた。
暗くなると、ブライアントは赤外線カメラに切り換えた。夏は暑いので多くのアフガニスタン人は屋上で眠ります。“連中が妻とセックスをするのも見ました。二つの赤外線の点が一つになるんです。”と彼は回想した。
武器を隠しているタリバン戦士や、軍、諜報機関や現地の情報提供者達が何かを知っている為に、リストに載っている人々を含め、何週間も人々を観察していた。
“連中を知っておかねばなりません。命令体系の上層にいる誰かが射撃命令を出す前に。”彼が父親を奪った子供達に、彼は良心の呵責を感じていた。“彼等は良い父親達でした”と彼は言った。
自由な時間には、ブライアントは、テレビゲームやインターネットの“ウォークラフト”で遊んだり、友人と飲みにでかけたりしていた。TVなど、もう興味がそそられたり、刺激的だったりしないので見てはいられないのだ。最近彼は睡眠障害を味わっている。
‘感情が入り込む余地はありません’
本名は黒いテープで覆われているバネッサ・マイヤー少佐はニューメキシコのホロマン空軍基地で無人機パイロット訓練用プレゼンテーションをしている。空軍は、2013年までに、需要を満たすだけの十分な要員を育成する計画だ。
34歳のマイヤーは、リップ・グロスを塗り、指にはダイヤを付けており、無人機パイロットになる前は、貨物機を操縦していた。緑色の空軍オーバーオールを着て、訓練用コックピットに立ち、シミュレーターを使って、アフガニスタン上空で無人機をどのように操縦するかデモをするのだ。モニター上の照準線は、泥小屋の集団にたどり着くまで、白い自動車を追従する。無人機の方向を定めるにはジョイスティックを使い、無人航空機の速度を下げたり上げたりするレバーを左手で操作する。コンテナの背後にある飛行場で、マイヤーは、細身で輝くプレデターと、四機のミサイルと爆弾を装備する兄貴分のリーパーを見せてくれた。“偉大な飛行機です”彼女は言った。“ただ天気が悪いときには動きませんが。”
マイヤーはラスベガス近くの、若者達がスポーツカーで出入りし、山脈が砂漠上を巨大な爬虫類の様にずっと連なるクリーチ空軍基地で無人機を操縦していた。ネバダ州で無人機パイロットをしていこ頃のことを説明して、マット・マーティン大佐は彼の著書“プレデター”の中で“時に、自分が遥か彼方から雷電を投げつける神の様に感じた。”と書いている。マイヤーはここで働きながら最初の子を産んだ。妊娠九カ月でも、彼女はおなかをキーボードに押しつけて、コックピットに座っていた。
攻撃準備をしている時には“感情が入り込む余地はありません”と彼女は語っている。もちろん、心臓がより早く鼓動し、アドレナリンが体中を駆け巡るのは感じたという。だが彼女は厳格に規則を守り、飛行機の位置調整に集中した。“決定がなされ、相手が敵で、破壊する価値がある法律上の標的だと判断された場合、発射するのにためらいはありませんでした。”
世の中の悪が入り込む余地無し
仕事の後、彼女はハイウエイ85を通り、ラスベガスに向かって、カントリー・ミュージックを聴きながら 見ることもなく平和活動家の横を通り過ぎて、家に向けてドライブする。コックピットで何が起きたかを考えることは滅多にない。だが時には、成績を上げたくて、頭の中で個々のステップを検討することもある。
彼女は買い物にもでかける。時にレジの女性がこう質問するのが奇妙に感じられる。“ご機嫌いかが?”彼女はこう答える。“いいわ。あなたは? さようなら。”落ち着けないと感じると、走りに出掛ける。地上の兵士達を助けられることが、毎朝起きる励みになっていると彼女は言う。
マイヤー家の世界には悪がつけいる余地はない。彼女と無人機パイロットの夫は仕事については話さない。彼女はパジャマを着て、TVでアニメを見るか、赤ん坊と遊ぶ。
現在マイヤーには二人の幼い子供がいる。“お母さんは働いて、良い仕事をしている”ことを子供に見せたいと思っている。自分が見た、従順で頭から爪先まで覆われたアフガニスタンの女性の様にはなりたくないと思っている。“アフガニスタンの女性は戦士ではありません”と彼女は言う。マイヤーは現在の教師としての仕事には非常に満足しているが、いつか戦闘任務に戻りたいと考えている。
‘すぐ切り換えて、普通の生活に戻ることができないんだ’
ある時点で、ブランドン・ブライアントは仕事を辞めて、何か他のことをしたくなった。彼は海外、今度はアフガニスタンで更に数カ月過ごした。だが、ニューメキシコに戻ってから、突然汗の匂いのするコックピットがいやになったのに気がついた。彼は悪臭を消すために芳香剤を撒き始めた。命を奪うのではなく、何か命を救う仕事をしたくなっているのにも気がついた。友人達は彼を思いとどまらせようとしたが、彼はサバイバル訓練のトレーナーとして働くのが望みにかなうのかも知れないと考えた。
そこでクローヴィスのバンガローで彼が毎日始めたプログラムは、パワー90エクストリームというブート・キャンプ式フィットネス計画だ。計画にはダンベル・トレーニング、腕立て伏せ、懸垂と腹筋運動が含まれている。ほぼ毎日バーベルも挙げた。
コックピットで平穏無事な日々には、こんな風な走り書きで日記を書いていた。“戦場に終わりなどなく、流血あるのみ。総力戦。あらゆる恐怖を目の当たりにした。目が腐って欲しいと思う。”
彼は考えた。体調さえ良くできれば何か違うことをさせてくれるだろう。問題は、彼は仕事が良くできたことだった。
ある時点で、友人と会うのを楽しめなくなった。女性とも出会ったが、彼は機嫌が悪いと文句をいわれた。“すぐ切り換えて、普通の生活に戻ることができないんだ”と彼は恋人に言った。家に帰って眠れない時には、運動をした。上官に口答えをし始めた。
ある日彼は仕事中に倒れ、体をよじって血を吐いた。医師は、家にいて、連続二週間、毎晩四時間以上眠れるようになるまで仕事に戻らないように命じた。
“半年後、コックピットに戻り、無人機を操縦していました”とミズーラにある母親の家の居間に座ったブライアントは言う。犬がくんくん鳴いて、頭を彼の頬に置いた。当面、彼は自分の家具を使えない。家具は保管されていて、保管料を支払う金がないのだ。彼に残されているのはコンピュータだけだ。
ブライアントは、インタビューの前の晩、Facebookに絵を投稿した。緑の草地に立って、手をつなぎあって、空を見上げているカップルが描かれている。一人の子供と犬が二人の横の地面に座っている。だが草地は世界の一部に過ぎない。その下には、最後の力を振り絞って体を起こそうとしている死につつある兵士達の海、死体と血と四肢の海がある。
退役軍人健康庁の医師達は、ブライアントを心的外傷後ストレス障害と診断した。心の傷無しに行える快適な戦争という一般的な希望は実現していない。実際、ブライアントの世界はアフガニスタンの子供の世界と融合してしまったのだ。無人機の頭脳で起きた短絡のようなものだ。
なぜ彼はもう空軍にいないのだろう? ある日、次回の契約には署名しないだろう気がついたのだと彼は言う。ブライアントがコックピットに入り、自分自身が同僚達にこう言っているのが聞こえた日のことだ。“おい、今日はどんな馬鹿野郎が死ぬのかな?”
クリストファー・サルタンによるドイツ語からの翻訳
記事原文のurl:www.globalresearch.ca/the-woes-of-an-american-drone-operator/5315869
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ベストセラーの一冊(2012/10/25は一位)、The Pantherという最近出た小説、イエメンで、無人機が影の主人公?として大活躍する。625ページにおよぶ長編。トレーラーのような管制室も登場する。宗主国最大の国営事業虐殺すら人気小説になるお国柄?
そういうお国に、いよいよ完全属国化して組み込まれる。「発言権を持つ州」の一つとしてではない。発言権皆無で、孫子たちの金と命を無条件で永遠に差し出す完全属国として。
最近書店で見かけ、二度目の購入をした本(一冊目は行方不明)、世代の近さゆえか納得して読んだが、最後の言葉に大いに共感しながら、むなしくなった。はかなく消えた美しい夢に。もちろん著者が悪いわけではない。あとがき217-218の最後の文章を引用させていただこう。カリスマ首相については、終章180ページあたりで触れられている。
『マルクスの逆襲』三田誠広著、集英社新書 2009/5/20第一刷発行
革命や武装蜂起がなくても、マルクスの夢は実現できる。経営者から労働者まで、すべての国民が良識をもち、共通の理念をもつということは不可能ではない。もしそれが実現できれば、いまのままの民主主義のシステムで、国家のあり方を修正することも可能だ。
ただし、規制緩和や構造改革をスローガンにして選挙で大勝利した、あのインチキなカリスマ政治家に騙されてしまうような国民が今後も大多数を占めるのであれば、この国に未来はない。
もちろん、今回の選挙結果、決して、騙されてしまうような国民が大多数を占めたわけではなく、小選挙区制度によって歪曲されたがゆえに得られた結果だ。しかし、小選挙区制度はもちろん、衰勢の中にあって、主導権の維持と、属国体制恒久化を狙った宗主国・属国支配村の強い意志と権力と金力によって実現されたもの。豪腕政治家主導のもとで。
そこで再度、五十嵐仁の転成仁語 12/20小選挙区制にこのような害悪があることはとっくの昔から分かっていた
追記: 2015/7/31
英語学者で、実際に翻訳書も何冊もだしておられる方が、この拙劣な翻訳文章について、丁寧な批判を書いてくださっている。具体的な模範翻訳も提示してくださっている。
上記翻訳文の読みにくさにあきれた方あるいは、他記事の翻訳のひどさにあきれた方は、是非、この記事を味読頂いた上で、それぞれ翻訳をされるよう、お願いしたい。
ご専門が素人には理解困難なので、残念ながら、翻訳書は購入できないが、今後、先生が、同じような趣旨の記事や本の翻訳を刊行されたら是非購入させて頂きたいと思っている。
メモ:ちょっとした翻訳処理の TIPs: 情報提示の順番を保とう
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