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2012年7月29日 (日)

シリア: ワシントンの最新の戦争犯罪

2012年7月26日

Paul Craig Roberts

リビア“反政府勢力”同様、“シリア解放”を誓う“反政府勢力”が、国家崩壊の道へと進んでいるシリア人は、一体何を考えているのだろう?石油収入を、サウジアラビアでのように王族階級で独占する代わりに、カダフィの下、リビア国民の中で分け合い、うまく運営されていた国リビアは、今や政府が無く、権力を狙う派閥が抗争し、無秩序状態にある。

アルカイダ分子が紛れ込んでいたとされるが、リビア“反政府勢力”が一体何物だったのかを誰も知らないのと同様、シリア“反政府勢力”が一体何物なのか、あるいは実際、彼らが反政府勢力であるのかさえ誰も知らない (Antiwar.com)。“反政府勢力”の中には、略奪、強姦をする機会を手に入れ、自ら村や町の政府になりすまそうとしている悪党集団もあるようだ。アルカイダとおぼしき連中もいる。(Antiwar.com)

“反政府勢力”が武装しているという事実は、外部介入のあらわれだ。ワシントンが、サウジとバーレーンの傀儡政権に“反政府勢力”に兵器を供給するよう命じたという報道もある。シリア国防相や政府の危機管理責任者を殺害した爆発は、自爆攻撃犯の仕業ではなく、サダム・フセインを虐殺しようとして失敗したワシントンの企てに良く似た、米無人機またはミサイルの仕業だと疑う人々もいる。にもかかわらず、ワシントンはテロ攻撃を成功と見なし、これは反政府勢力が“本格化”していることを示すものだと宣言し、シリア政府に、攻撃に対し退陣で答えるよう要求した。(reuters.com)

“我が国の政府は決してそんなことはしない”とお考えになる純真な読者がおられる場合を考え、シリアにおける、これまでの欧米テロリストの介入について記述した漏洩諜報文書を下記にあげておく。

“解放(原文のまま)軍の活動を促進するためには、…特定の主要人物を抹殺するべく、特別な努力を払わねばならない。 …蜂起と介入の途上、初期に、遂行されるべきこと…

シリア国内での混乱を進めるという政治的決断に達しさえすれば、個々人との接触を通した工作によって、シリア国内で小規模な破壊工作や奇襲(原文のまま)事件をしかける用意がCIAにはあり、SIS(MI6)もそうしようと試みるだろう。…出来事はダマスカスだけに集中してはならない …

更に: “必要な程度の恐怖 .. 国境紛争や(やらせの)国境紛争”、“介入の口実になるだろう… CIAとSIS [MI6] は、緊張を増大させるために… 心理的、および戦闘場面、双方における能力を活用すべきである。” (米英統合漏洩諜報文書、ロンドンとワシントン、1957) (globalreasearch.ca)

オバマは、なぜ彼の政府がシリア政府を転覆したくてたまらないのか説明したことがない。現シリア大統領はロンドンで眼科医をしていたが、亡くなった父親、大統領の後を継ぐべくシリアに連れ戻されたのだ。ワシントンは、仰々しい人道的理由の言辞で覆い隠している本当の動機について話したがらないが、ワシントンの動機は見え透いている。

一つ目の動機は、シリアにあるロシア海軍基地を追い払い、ロシア唯一の地中海基地を奪うことだ。

二つ目の動機は、南部レバノンを占領し、水資源を獲得するというイスラエルの企みが成功できるよう、ヒズボラに対する武器と支援の源としてのシリアの抹殺だ。南部レバノン侵略し、占領しようとするイスラエル軍の企みを、ヒズボラ戦士は二度も打ち破った。

三つ目の動機は、ワシントンがリビアとイラクを破壊した様に、宗派抗争によって、シリアの結束を破壊し、シリアを宗派抗争にまかせ、国をばらばらにし、こうしてワシントンの覇権に対するもう一つの障害を取り除こうというのだ。

イラクがそうであった様に、非宗教的なアラブ国家であるシリアは、おおまかに言って、シーア派イスラム教である、アラウィー派で構成される政党によって支配されている。アラウィー派はシリア人口の約12%を占めるが、シリア人口の約74%を占めるスンナ派イスラム教徒からは異端者と見なされている。かくして、うまく仕組まれた“蜂起”は、それを取って代わる好機と見る多くのスンナ派の関心をひけるのだ。(イラクでは多数派のシーア派を支配していたのは、少数派のスンナ派だったが、シリアでは状態は逆だ。)

アラブ人の間の分裂のおかげで、アラブ人は欧米の介入と支配を受けやすい。スンナ派-シーア派という分裂が、アラブ国家が侵略者に対して団結したり、あるアラブ国家が他のアラブ国家を助けにいったりするのが不可能になっている。1990年、第一次イラク戦争で、スンナ派イラク政府に対し、シーア派シリア政府はアメリカと組んだ。アラビアのローレンス、ナセルも、カダフィも、アラブという意識を生み出すことには成功しなかった。

他国政府の暴力的な転覆を、ワシントンは、決まって道徳的な言い回しで言い繕う。まず最初に、標的国家は悪魔化され、次ぎに、ワシントンのむき出しの侵略が“自由と民主主義をもたらす”“残虐な独裁者の打倒”“女性の権利保護”という類で表現される。もったいぶった言葉や句のどんな組み合わせでも機能しそうに見える。

ヒラリー・クリントンは、シリア政府転覆を唱える上で特にどぎつい。この愚かな女性は国連決議をシリア侵略の隠れ蓑として利用しようとするワシントンの企みを妨害しようとしたことで、ロシアと中国を脅迫した。シリア政府が転覆されるのに抵抗しているのを、自国民に対しテロを行っている政府だと、ワシントンは偽って表現している。だが、ワシントンは、自国によるものであれ、シリア政府高官を殺害した自爆攻撃犯であれ、テロ攻撃を決して非難していない。ワシントンの二重基準が、ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフをして、ワシントンを“腹黒い立場”をとっていると非難させるに至った。

実際、ワシントンはそうしている。しかし、イラク、アフガニスタン、リビア、ソマリア、イエメンや、パキスタンの後で、ワシントンは腹黒い立場だといって驚くべきことなどあるだろうか? シリアが転覆された後、ワシントンは疑うべくもなくイランへと進むだろう。ロシア自身既に米ミサイル基地によって包囲されており、ロシア政府には、アメリカ資金の援助を受けた、不忠で裏切り者の政治的敵対勢力がいる。中国は、太平洋における、アメリカ空軍、海軍、軍事基地の急速な強化に直面している。中国政府に対する、ワシントンが資金援助する不忠な政治的敵対勢力ができるまで、あとどの位かかるのだろう?

覇権国は前進しており、シリアのスンナ派が見ているのは、アラウィー派・シーア派を打倒する好機だ。ワシントンがイラクのスンナ派を転覆させたという事実にもかかわらず、シリア・スンナ派はワシントンと組むだろう。何十億ドルもくれる外国政権の傀儡となることをいやがるアラブ人は極めてわずかなようだ。

ワシントンは、シリアのアサド大統領のことを、漫然と“独裁者”やら“残虐な独裁者”やらと呼んでいるが、もしアサドが独裁者なのであれば、その役を演じる上で、明らかに、さほど効果的なわけではない。普通、独裁者は政治的敵対勢力の台頭を許さず、まして武装などもっての他。与党は独裁的だが、与党は、新憲法で民主主義の要素を導入したというのが、より正確だろう。

イラクが証明したように、自国内のスンナ派とシーア派の国民が絶えず内戦をしないようにしておくには、アラブ政府独裁主義的とならざるを得ないのだ。ブッシュもオバマも、ワシントンは“自由と民主主義”をイラクにもたらしたと主張する。ところが、現在イラクで継続している武力攻撃は、アメリカ占領下と同じくらいか、それより激しいのだ。過去三日間の報告はこうだ。

7月23日: “バグダッドと首都北部で相次ぐ爆弾攻撃と銃撃で、少なくとも107人が死亡した。少なくとも216人が負傷した。”

7月24日: “攻撃激化の二日目には、少なくとも145人のイラク人が死亡し、379人が負傷した。”

7月25日: “イラク中で攻撃は続いている。: 17人が死亡し、60人が負傷した。”

これこそが、ワシントンがイラクにしたことなのだ。“自由と民主主義”をもたらすどころか、ワシントンは果てしない破壊行為と死をもたらしたのだ。そして、これこそまさに、今ワシントンが、シリアにもたらそうとしているものなのだ。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2012/07/26/syria-washingtons-latest-war-crime/

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラム www.paulcraigroberts.orgは世界中の支持者が読んでいる。

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同じ話題で、とんでもない記事をトーマス・フリードマンが書いている。シリアはイラクだ。

オスプレイは、日米同盟なるものの属国的・犯罪的性格の象徴。

オスプレイ「危険だから配備するな!」という主張は当然だろうが、そもそも、日本の安全を守るどころではなく、いつものワシントンの戦争犯罪のための道具でしかないだろう。日本はその戦争犯罪練習場に過ぎない。

大本営広報部、別名マスコミ、安全無害?オリンピック報道には金と時間をかけるが、庶民生活に大きく影響するであろう話題は何であれ、詳しく報じないのが仕事だ。

大阪市の職員規制条例成立 政治活動の制限を強化

採決では、市長与党の大阪維新の会と、公明党がいずれも賛成。自民党も2条例案で賛成に回った。

という記事、オリンピックの陰にすっかり隠れている。

地方選挙結果を見る限り、大多数の有権者の生活を破壊するのを仕事にしている連中、民主、自民、公明やら異神を支持する不思議な国民の皆様が圧倒的なようだ。

原子力規制委員会予定メンバー、原子力推進に邁進しているコアな方々。委員長は猛者だ。

泥棒の親玉が十手の親玉になる茶番。どんな規制をするか、今から予想可能。

原子力寄生委員会、又は「原子力を規制しろ」という意見を規制する委員会と呼びたい。

小出裕章助教『騙されたあなたにも責任がある 脱原発の真実』という著書がある。編集部、なんとも刺激的な書名を思い付いたものだ。

アメリカ先住民の方々が現在悲惨な境遇にあるのは、公平平等な選挙で、悲惨な境遇になりたいといって、彼らが、自分たちを虐待する議員を選び続けた結果ではない。

アメリカ先住民の方々の苦境、「騙された彼らにも責任がある」わけはない。藤永茂氏の著作を読めばあきらかだ。

アメリカインディアン悲史

アメリカン・ドリームという悪夢 建国神話の偽善と二つの原罪

アメリカン・ドリーム、アメリカ先住民の方々にとっての悪夢の上に作られている。

著者ご自身による紹介はこちら。拙著『アメリカン・ドリームという悪夢』

新聞書評には決して載らないが、事実上のベストセラーになっている孫崎享著『戦後史の正体』の362-363ページに驚くべき記述がある。上記藤永茂氏とほとんど同じ趣旨の理解を外務省OBが公表しているのだ。『霞が関会会報』2012年1月号。詳細は孫崎氏の本をお読み願いたい。それは直接TPPとつながっているのだ。

この国では、原発事故後も、消費税増税があっても、自分の首を絞める議員を選ぶ方が多数派。自分で自分の悪夢を呼び寄せる国民が多数おられる、実に不思議な属国。

『騙された国民にも責任があった お隣の植民地の真実』あるいは『属国日本悲史』という本、何十年か後に、中国あたりで刊行されるだろうか。

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コメント

原発も、消費税増税も、現実主義故の選択かも。
原発にしがみついておけば、とりあえず地位もお金もそこにある。
消費税にしても国民としては厳しいかも知れませんが権力者側からすれば自分たちを
守る現実的選択肢かも。消費税増税するとうれしい、もしくはこうするとうまく行くと
思える人は多分権力者側の立ち位置の人で、そうでない人は権力のお零れに
預かれない人でしょうかね。

戦争も原発も、目先の現実主義の産物じゃないでしょうか。
自分の生活を考えるなら、とりあえず目に見えている物に
すがるのが人間の心理ではないでしょうか。

理想主義者は現実の人間の弱さを見ず、現実主義者は目先に囚われ
先の破綻を招くように思います。

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