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2012年6月

2012年6月27日 (水)

漏洩したオバマ貿易交渉文書、大企業新権力と選挙時の約束破棄を暴露

ザック・カーター

zach.carter@huffingtonpost.com

2012年6月16日

"Huffington Post"

ワシントン

水曜朝早く、オンラインで漏洩された、太平洋諸国8ヶ国とのバラク・オバマ大統領の自由貿易交渉の重要文書は、以前の約束とは矛盾して、政権が、多国籍企業に、過激な新たな政治力を与えるつもりであることを暴露している。

漏洩した文書は、政権の通商方針を以前から批判してきたシチズンズ・トレード・キャンペーンのウェブ・サイトに投稿された。新たな漏洩文書は、交渉の秘密主義を巡ってかなりの論議を引き起こしており、議員の中には、大企業幹部達が享受しているのと同じような、貿易交渉文書を見る機会が与えられていないと不満を漏らす人々もいる。

"この漏洩文書中の言語道断な代物では、アメリカの貿易担当当局者が、過去二年間の[貿易]交渉に関し、あれほど極端に隠し立てするのも当然です"パブリック・シチズンの世界貿易担当ディレクター、ロリー・ワラックは声明書で述べている。

ロン・ワイデン上院議員(民主党-オレゴン)は、法案を提出するのに、情報入手が全くできなきいことにいきり立って、更なる公表を要求した。下院監視・政府改革委員会委員長ダレル・アイサ(共和党-カリフォルニア)は、自身のウェブサイトで交渉の別文書を漏洩さえしている。他の上院議員も、オバマの首席通商交渉担当者ロン・カーク宛に、更なる公表を要求する手紙を書くことを検討している。

新たに漏洩した文書は、TPP太平洋横断戦略的経済連携協定の中でも、最も論議を呼ぶものの一つだ。文書は、国際投資を管理する規制の大規模一掃に取り組むものであり、現在国内法にある主要な保護をむしばむとして、環境保護運動活動家や、金融改革を主張する人々や、労働組合が長らく拒否してきた政策を、オバマ政権が擁護しているこを暴露している。

現在オバマ政権が主張している条約の下では、アメリカ企業は、国内法や環境、金融やその他の規制に従い続けることになる。しかし、アメリカ国内で活動している外国企業は、重要なアメリカの法や規制を、国際法廷に訴え出ることが認められるのだ。この国際法廷はアメリカの法律を覆す権力を与えられ、裁定を順守しそこねたかどで、アメリカ合州国に通商経済制裁を課することができるようになる。

条項は、2008年の大統領選挙キャンペーンに際し、オバマと民主党が発表した選挙キャンペーン時の約束と正反対だ。

"我々は、政府が、環境、食品安全や国民の健康を保護するのを押しとどめるような、アメリカの投資家に対するよりも、外国人投資家により大きな権利を与えるような、アメリカの極めて重要な公益事業の民営化を要求するような、あるいは、開発途上国の政府が、命を救う医薬品を入手しやすくするための人道的な使用許諾方針を採用するのを妨げるような、二国間通商協定は交渉しない"と選挙キャンペーン文書には書いてある。

ところが、こうした誓約のほとんどすべてが、漏洩したTPP文書によって、破られている。現在の文書で破られていない一つ、「命を救う医薬品の入手に関して」は知的所有権標準に関して以前に漏洩した文書と矛盾する。

医薬品規制に触れて、"この点については、ブッシュのほうがオバマよりましでした"と国境なき医師団の医薬品入手容易化キャンペーンのアメリカ担当者ジュディト・リウスは語っている。

ハフィントン・ポストに提供された声明の中で、アメリカ通商代表部はこうした懸念を実際より軽く扱っている。

"この政権は、強い環境保護、公衆衛生や安全法規の確保に尽力している"とアメリカ通商代表部広報担当Nkenge Harmonは語った。"我々のTPP投資提案の中には、公衆衛生、公衆の安全と環境を保護する対策を含め、合法的で、差別のない公益規制を推進する我が政府の能力を損なうようなものは、何もない。"

これまでの貿易協定によれば、イルカに危害を与えない方法で漁獲されたマグロにつけることができるアメリカのラベルと、対十代禁煙策は、通商に対する不公正な障壁だと最近裁定した国際法廷では、"合法的"やら"差別のない"といった言葉は柔軟な解釈をされる余地がある。新たな投資規則は、例えば、政府契約交渉にまで及び、いわゆる"米国品優先購入"、アメリカの製造業の為の優先策を廃絶してしまうのだ。

以前、アメリカ通商代表部は、漏洩したとされる文書の条項についてコメントすることはしないと述べている。

アメリカ通商代表部は、広範な標準は、多くの医薬品特許と知的所有権標準規則を必要とし、薬剤価格を上昇させるかねないが、アメリカは、協定が命を救う医薬品へのアクセスを決して制限しないよう、太平洋横断協定交渉に参加している諸国と協力するつもりであると主張している。

他の国際交渉で、命を救う医薬品に対する長期間の独占を大企業に認めるという、論議の的の医薬品特許を成立させようとする最近のアメリカの活動によって、この声明は、いささか偽りであることが示されている。こうした独占は薬品価格を上昇させ、それにより、とりわけ発展途上国において、医薬品の入手を妨げることになる。世界保健機関や多くの非営利の公衆衛生団体は、オバマ政権が狙っている標準に反対している。国連の二つの組織は、最近そのような規則が公衆衛生を損ないかねないという理由から、現在オバマ政権が主張している通商条件に同意せぬよう、各国政府に強く要請した。

そのような外国投資標準も、民主的に選出された指導者達が導入したアメリカ国内の優先度を妨げる可能性について、アメリカ国内で保守派の主権純粋主義者達と、進歩的な活動家達の双方による非難の的になっている。1993年、議会で可決した北米自由貿易協定や、それに続く一連の貿易協定は、それまでは主権国家だけのものであった新たな権力を大企業に与え、様々な問題を巡って、企業が国家を直接訴えることを可能にした。

現在の貿易協定文書は、アメリカの主権に挑戦を突きつける可能性があるが、アメリカに本社を持つ大企業も、まさにその同じ外国政府の法律に反対する条項を用いることで恩恵を受ける可能性もある。交渉に参加している太平洋諸国8ヶ国のうちの一国が、アメリカ企業が反対する新たな法律を可決した場合、そのアメリカ企業が、その国を直接国際法廷に訴えることが可能になる。

パブリック・シチズンは、協定の文章によれば"法廷には、'裁判官'役と、政府を訴える投資家の弁護士役"を、交替して演じる民間部門の弁護士達が配属されることになるだろうとして、こうした国際法廷の独立性に疑問を投げかけている。

6月始め、カトリック教会や環境保護活動家達による反対を理由に、エルサルバドルが、シアン化物を用いる金鉱採掘を禁止したという、同様な外国投資標準にまつわる訴訟事件を審理することに世界銀行の法廷が同意した。もし世界銀行がエルサルバドルに不利な判決を下せば、外国企業の要請を受けて、エルサルバドルの国内法を撤廃するということになりかねない。

漏洩した文書によってひき起こされた環境問題にまつわる懸念については、自然保護団体シエラクラブの労働・貿易担当ディレクター、マルグレーテ・ストランド・ラングネスは"投資条項を巡る、私達の最悪の恐れが、この漏洩文書によって確認されました... この投資条項は環境保護法や政策を強化しようという努力をひどく台無しにしてしまう。"

基本的な公衆衛生や土地利用法規は、銀行取り付け騒動や、金融危機を阻止するために使われる可能性がある資本レベルでの銀行規制と同様に、国際法廷という難題に直面させられることとなる。IMFでさえ、そのような資本規制の利用を推奨しているのに、漏洩した現行版貿易協定の下では、それが禁じられてしまう。パブリック・シチズンによれば、幾つかの国が投機的な金融バクチを国が規制するのを可能にするような例外を提案しているが、アメリカは、こうした提案に反対している。

TPP交渉は、オバマが大統領職について以来、継続している。最大のアメリカ企業ロビー活動団体、アメリカ商工会議所がこの協定を強力に支持している。2012年大統領選挙におけるオバマの競争相手、共和党のミット・ロムニーはアメリカが出来るだけ早く協定をまとめるよう促している。

記事原文のurl:www.huffingtonpost.com/2012/06/13/obama-trade-document-leak_n_1592593.html

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『選挙時の約束を踏みにじる』のはどじょう氏の得意技にあらず。宗主国でも。

オウム報道洪水の後、属国大政翼賛連合による悪法悪行推進が一挙に進んでいる。オウムより政府がこわい。

  • 原発再稼働
  • 消費税増税
  • ダウンロード禁止法
  • 未亡人製造機オスプレイ配備

放射能で汚染した不沈空母での庶民生活、日々暮しにくさがつのるばかり。

TPPの問題点を分析、批判した『異常な契約?TPPの仮面を剥ぐ』(農文協)著者の一人、ニュージーランド・オークランド大のジェーン・ケルシー教授が先日来日し、講演され、この漏洩文書の話題にも当然ふれられている。翌日、早稲田大隈講堂でもTPPに関して講演された。

「メキシコ、カナダが参加表明」をだしに、早く参加希望を表明しないとまずいとあおる記事を報道してくださる大本営広報部で、この漏洩にふれる記事を拝見した記憶がない。STOP TPP!!でしっかり翻訳してくださっている。

2012年6月22日 TPP投資条項に関するリーク文書を米国パブリックシチズンが分析!

6.21 STOP TPP!! 市民アクション・ケルシー来日イベントのビデオがみられる。

日比谷図書館 6:30-9:00

以下は、ジェーン・ケルシー教授と大妻女子大学・田代洋一教授のご講演、ビデオから書き起こしたごくおおざっぱなメモ。正確な内容はビデオをご覧頂いて把握していただくように。重要な誤りなどご指摘頂ければ大変有り難い。

ジェーン・ケルシー教授講演

カナダ、メキシコ参加表明の意義

現行の交渉中での問題点

国際キャンペーン

カナダ、メキシコ参加表明の意義は、即交渉の席につくというわけではない。二国と交渉すべきか否か、90日議会で協議する。議会がどういう意見かは不明。

次回の7.2のサンディエゴ・ラウンドに、二国は参加できない。

二国は、これまでの公式文書もみられない。

ところで、カナダはなんら事前の約束はしていない。

一方、日本は事前の約束を要求されている。

カナダ、メキシコは、日本とは違う。別扱い。カナダ、メキシコは、アメリカにとって、政治的に論議を呼ぶ国ではない。

二国が交渉参加を認められても、それで自動的に日本が参加できることを意味しない。

日本にとっても、さらに3ヶ月、90日必要。

その頃までにはすでに重要な話題は皆決まってしまい、日本が影響を及ぼすことはできない。

参加を決断しても、既に日本は影響を及ばせない。

ニュージランド貿易大臣もアメリカ議員も、日本は事前にコミットしろと言っている。

なぜ二国は参加が許されるのか。と日本の国会議員に訪ねられた。

オバマ大統領は「交渉が進んでいる」といいたいので、その目玉話題だと答えた。

交渉参加者からはおおくの問題、対立が聞こえてくる。

交渉をまとめろという政治的な強い圧力によって、問題だらけの最終文章を認める危険性がある。アメリカがコントロールする。

会合の場所も、ダラスが前回。次がサンディエゴ。

議題もアメリカが設定し、論議の方向を強くコントロールする。

ロシアでのAPEC、貿易大臣の会合。工程表が持ち出された。

それまでにまとめるよう圧力がかかっている。

アメリカでは大統領選挙。選挙時期には何がおきるかわからない。

APECと大統領選挙までにできるだけ進展させないようにするのが大事。

アメリカも反対運動を認識して、力をそごうとしている。

先週投資にかかわる漏洩文書を暴露したので、ますます怒っている。

諸国に対する契約の影響の真実を政府が語っていないことがばれる。

投資に関係する漏洩文書。

オーストラリアのみ、投資訴訟に反対。

各国政府はオーストラリアを責めて、めげさせようとしている。

投資に、国家債務を含めるべきかどうか。

スペイン、ギリシャ、イタリアは、国債を返せない。買った側が、返せといえるか?

アルゼンチンでは、2000年に、国債価値を引き下げた。

投資には、国家債務を含めるべきではないというのが重要。

TPPでは、投機資金の出入りは規制しないことにしているが、保守的なIMFですら、規制は妥当だと言いだしている。

例外条項、環境、公共医療などについても適用されない。

TPPは、外国企業にとっての権利章典のようなもの。

訴訟の例三件

ローンスター対韓国:

つぶれそうな会社を買って転売してもうける企業である同社が、外為銀行を買って中国に売ろうとした。そこで、韓国が法律を作ってとめたら、同社が訴訟。

スイス企業とドイツ:

スイス企業ヴァッテンフォール社が、ドイツの原発停止による利益の減少を訴えた。

当初期待された正当なる利益がえられなくなる、と。

フィリップ・モリス対ウルグアイ、オーストラリア:

タバコの無印パッケージは、商標への投資に対する侵害だとして訴えている。

私企業が政府決定に圧力をかけられる。

企業は、政府には規制をさせない。補償を求めるというより、政府が、そういう決定をするのを恐れるようにしたいのだ。

国民の利益ではなく、企業の利益を目指すものだ。これは民主主義ではない。

知的財産権。医薬品メーカー。

ほかの国がノーといったので、アメリカは書き直しを強いられた。

ISPの犯罪扱い

図書館などの利用者にとってのコスト。

チリ、ニュージーランドは代替案を提出。

タバコの妥協的な例外措置をアメリカは提案。

農業では、アメリカは自国市場の解放を拒んでいる。

ニュージーランドは、酪農製品を解放しなければおりるといっている。

国有企業。

アメリカ提案。ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイで、優先扱いの否定。

日本郵政、銀行、保険、クーリエ

アメリカ自身の国営企業には同じ規則を適用しない。

非常に微妙な話題において交渉は難航している。

元気な時には、「決して交渉は妥結しないだろう」と思う。

TPPが「ドーハる」ために。(結局行き詰まったドーハ・ランウドを動詞化した表現)WTOのDohaラウンドのようになってしまう。

しかし、悲観的な時には、「強行するのではないか」と思えたりする。

秘密主義にもかかわらず、アメリカ、ニュージーランドでは暴露、漏洩に成功している。それが議会、マスコミの話題になっている。

政治家、省庁、企業が守勢に回らされている。

マレーシア、オーストラリアでも議論が始まっている。

アメリカが情報を隠そうとしているので、情報を得るのは非常に困難。

一部の交渉者とうまく連絡してきたが、そうした人々も、投資文書漏洩の後は、反対運動の人々と接触しているのをみられるのを恐れている。

各国別の動きがより重用。

労組、農民、教育、IT、図書館、農家、鉱山、先住民。

より保守的なセクターにも働きかけている。

弁護士。元検事。議員。100人の署名。意志決定者に影響を与えられるメンバー。

日本の弁護士があちらの弁護士の手紙を翻訳してくれた。

結論としては、勝ちつつある。

勝てる。

政治家に、国民の利益に反する行為を裏取り引きさせないようにする

確信をもち、警戒をおこたらずに。本腰を入れて、反対運動の国際連帯をしよう。

田代洋一教授講演:

植民地、治外法権。ISDSのリーク。消費税上程。原発再稼働。

やぶれかぶれTPP。

なぜ参加しようとするのか?

はじめにTPPありき。

条件反射的にとびついた。

13% 食料不足になる。最大の貿易相手は中国。

ISDSでますます空洞化する。

飛びついた原因は、経済ではなく、安保である。

東アジア共同体で、鳩山首相が逆鱗にふれた。びびった管首相はTPPに走った。

日米同盟強化だ。軍事同盟と通商問題を混同している。

尖閣列島で、アメリカは中立を明言している。

アメリカが自国を犠牲にして日本を守ることなどありえない。

安保はアメリカの世界戦略のツールと化している。

米中対立時代に、一方だけに荷担するのは得策ではない。

軍事面でも中国に抜かれるアメリカのねらい。凋落傾向の中で戦略再編の上で中国封じ込め。防衛の肩代わりをさせること。強固な親米経済圏を創り出すこと。

知的財産権は、アメリカにとって農業より大きい。

バイラテラルでは勝手放題を言うアメリカ。

アメリカ流資本主義を環太平洋に及ぼす。

投資所得だけはアメリカが儲かっている。そこでISDSで、その儲けの阻害要因を排除する。投資家、個別企業の利益を最大限にするのがアメリカの目的。日本も加害者になりうる。アメリカと一緒に加害者になる。

日本の参加はルールをすべて決まってから。

東アジア共同体でゆくのか?

TPPと安保はリンクしている。

何度でも書く。
マスコミが一斉同一報道をするのは、99%の人々の関心が、より重要な他の話題に注意が向かないようにするための、1%の連中による、1%の連中のための煙幕作戦。そして、

オウム報道洪水の次ぎは造反茶番報道洪水。我々が本当に考えるべき根本的問題は、マスコミのいう、決められる政治や、造反有理・無理やらでは決してない。国民の意思から遊離した議員配分を実現している、ゆがんだ小選挙区制度だ。

そもそも、1%の連中が周到に準備して仕組んだ小選挙区制度は、二大政党制度を強引に導入する為のトリックだ。それは造反茶番主人公の主導で成立した。造反の主人公氏が「小選挙区制度は間違えだった、廃止したい」と言ったという話、小生聞いたことがない。

宗主国の走狗による国策捜査は、もちろん大問題だ。しかしご本人のこれまでの長期的な政治方針、実績、今後を考える上では更に重要だろう。

彼の政治方針についての本『悪魔の使者小沢一郎』、皆様はお読みになったことがあるだろうか? せめて 『悪魔の使者小沢一郎』書評 をお読み願いたい。際物とは思われない内容だ。

マスコミ、次回選挙の選択肢に異神の怪と造反議員諸氏を担ぎ上げている。
大本営マスコミお勧め選択肢の結果は、常に、地獄への急降下策。

郵政改革をマスコミがあおり、宗主国の走狗達が大量当選した911選挙
「政権交替」をマスコミがあおり、民主党が政権についた選挙
確かに、与党名は変われど、政策は属国自民・公明政策の強化・継続。

二度あることは三度ある。

造反諸氏、果たして、

  • 原発の危険性を、事前に国会で指摘し、再稼働に反対しているだろうか?
  • 理不尽なTPPに反対しているだろうか?(この点に関しては、民主党の中にも、まっとうな論理で反対している山田正彦議員等がおられることは承知している。)
  • 日米宗主属国同盟強化、地位協定、米軍基地に反対しているだろうか?

この地獄への急降下に対する歯止め、大本営マスコミが決して勧めない絶滅危惧種政党勢力を1/3以上に増やす策以外、素人には思い付かない。

せめて金曜官邸デモに参加してみるか?

2012年6月15日 (金)

資本主義: ある怪談

Corbis (From Outlook, March 26, 2012)

ムケシュ・アンバニの住む27階建てビル、近隣の人々は、ビルのまばゆい灯で夜を盗まれたと言っている。

ロックフェラーから、マンデラ、ヴェーダーンタからアンナ・ハザレに至るまで.... 大企業福音書の枢機卿連中は、一体いつまで我々の抗議運動を買収し続けられるのだろう?

2012年3月26日

アルンダティ・ロイ

(原文は四倍ほど分量があることをお断りしておく。いつものように素晴らしい記事と思うが、インド事情にもアメリカ財団事情にもうとい素人には容易に翻訳できない。いつか全部訳を掲載するより、一部だけでもお読みいただきたくて掲載する。例によって実に読みにくい翻訳。読むに値する記事と思われる方は原文をお読み頂きたい。)

住宅、住まいなのだろうか? 新しいインドの寺院、あるいはその幽霊の為の倉庫だろうか? アンティラが、神秘的雰囲気とひっそりとした脅威を発散しながら、ムンバイのアルタモント・ロードに出現して以来、様子は変わってしまった。“さあ着きました”私をそこに連れて行った友人は言った“我が新支配者に敬意を表してください。”

アンティラは、インド一番の金持ち、ムケシュ・アンバニのものだ。27階建て、三つのヘリパッド、9基のエレベーター、空中庭園、舞踏場、人工気候室、体育館、駐車場が6階あり、600人の召使がいるこれまで建設されたものの中で最も高価な住居について読んだことがあった。垂直な芝生に出くわすなどとは想像していなかった。聳えたつ27階という高さに巨大な金属の格子に草の壁が取り付けられていた。草は所々乾燥していた。綺麗な長方形の小片が剥がれ落ちていた。明らかに「トリクルダウン」は機能していなかった。

だが「噴出」は確かに機能してきた。それが人口12億人の国インドで、最も裕福な100人がGDPの四分の一に相当する資産を所有している理由だ。

巷のうわさは(ニューヨーク・タイムズ紙も)、あるいは少なくともそうだったものは、大変な労苦と庭造りにもかかわらず、アンバニ家はアンティラに暮してはいないという。誰も確かなことは知らない。人々は依然として幽霊や災難やインド風水のヴァートゥについて、ひそひそ話をしている。これも全てカール・マルクスのせいかも知れない。(悪態ばかり。) 彼は言った。資本主義は“余りに巨大な生産と交換の手段を呼び出してしまい、自分が呪文で呼び出した地獄の力をもはや制御できない魔法使いのようなものだ”。

インドでは、新たなIMF“改革”後の中流階級、市場に所属している3億人が、死んだ河川、干からびた井戸、はげ山や、裸にされた森林の冥土の霊魂、ポルターガイストと一緒に暮している。250,000人の借金に苦しんで自殺した農民の幽霊や、8億人の貧困化され、我々に道を譲るために土地を取り上げられてしまった人々。そして一日20ルピー以下で生き長らえている人々。

ムケシュ・アンバニは、個人で200億ドルの資産を持っている。彼はリライアンス・インダストリーズ・リミテッド(RIL)、つまり市場資本、470億ドルの企業の多数支配の株を所有している。石油化学製品、石油、天然ガス、ポリエステル繊維、経済特区、生鮮食品小売り、高校、生命科学研究と幹細胞保存サービスを含むグローバルな企業権益。RILは最近、CNN-IBN、IBNライヴ、CNBC、IBN LokmatやETVを含む27のTVのニュース、娯楽チャンネル、ほとんど全て地方の言語で支配しているTVコンソーシアム、インフォテルの株の95パーセントを購入した。インフォテルは、もしその技術が機能すれば情報交換の未来となりうる4Gブロードバンド、高速“情報パイプライン”の全インド運用の唯一の認可を得ている。アンバニ氏はクリケット・チームも所有している。

RILはインドを動かしているほんの一握りの大企業の一社だ。そうした企業の例は、タタ、ジンダル、ヴェーダンタ、ミッタル、インフォシス、エサールや、ムケシュの弟アニルが所有する他のリライアンス(ADAG)だ。彼等の成長競争は、ヨーロッパ、中央アジア、アフリカや中南米へとあふれ出ている。彼らの網は広く投じられている。地上でも地下でも、彼らの存在は目立っていたり、見えなかったりしている。例えばタタ財閥は、100以上の企業を80ヶ国で経営している。彼等はインドで最も古い最大の民間電力会社の一つだ。彼等は、鉱山、ガス田、製鉄所、通信、ケーブルTVやブロードバンド・ネットワークを所有し、小都市を丸ごと運営している。彼等は自動車やトラックを製造し、タジ・ホテル・チェーン、ジャガー、ランド・ローバー、大宇、テトリー紅茶、出版社、書店チェーン、ヨウ素添加食塩の大手ブランドや化粧品の巨人Lakmeを所有している。連中の宣伝スローガンがこうであっても不思議はない。『わが社なしには、生きられません』。

噴出による福音書の規則によれば、より多く所有すればするほど、より多くを所有できるようになる。

あらゆるものを民営化する時代のおかげで、インド経済は世界でも最も早く成長するものの一つとなった。とは言え、あらゆる古き良き植民地同様、主要輸出品の一つは鉱物資源だ。インドの新巨大企業、タタ、ジンダル、エサール、リライアンス、スターライト等々は、地下深くから金を絞り出し、噴出する蛇口に、まんまと強引にたどり着いた連中だ。買わなくとも良いものを売れるようになることは企業家にとって夢の実現だ。

中略

1950年代、幾つかのNGOや国際的教育機関に資金を供与していたロックフェラーとフォード財団は、当時中南米やイランやインドネシアで民主的に選出された政府を転覆するアメリカ政府の準延長として機能し始めた。 (当時、非同盟でありながら、明らかにソ連の方に傾斜していたインドに参入したのも、ちょうどその頃だ。)フォード財団は、アメリカ式の経済学コースをインドネシア大学に設置した。アメリカ将校によって内乱鎮圧作戦訓練を受けたエリート・インドネシア人大学生が、1965年のCIAが支援し、スハルト将軍を権力につけたインドネシアでのクーデターで決定的な役割を果たした。スハルト将軍は何十万人もの反抗する共産主義者を虐殺して恩師に報いた。

8年後、後にシカゴ・ボーイズとして知られるようになった若いチリ人学生達が、、CIAが支援して、サルバドール・アジェンデを殺害し、ピノチェト将軍と、17年間続いた暗殺部隊による支配と、行方不明とテロをもたらした1973年クーデターの準備として、シカゴ大学のミルトン・フリードマンによる新自由主義経済(J.D. ロックフェラーから寄贈された)教育を受けるべくアメリカに連れて行かれた。(アジェンデの罪は民主的に選出された社会主義者であり、チリの鉱山を国有化したことであった。)

1957年、ロックフェラー財団は、アジアの地域社会の指導者向けにラモン・マグサイサイ賞を設置した。賞は、フィリピン大統領で、東南アジアにおけるアメリカ反共産主義活動で極めて重要な同盟者だったラモン・マグサイサイにちなんで名付けられた。2000年、フォード財団はラモン・マグサイサイ新興指導者賞を設けた。インドでは、マグサイサイ賞は芸術家、社会活動家や地域活動家達から権威ある賞と見なされている。M.S. スブラクシミとサタジット・レイが受賞し、ジャヤプラカシ・ナラヤンと、インドで最も優れたジャーナリストの一人、P. サイナスも受賞した。しかし、彼等のマグサイサイ賞への貢献の方が、賞が彼等に貢献したものより大きい。概してこの賞は、どのような類の活動が“許容され”、どのようなものがそうでないのかを穏やかに裁定する仕組みとなった。

チーム・アンナ。彼らは本当は誰の声を代表しているのだろう?(撮影、サンジャイ・ラワト)

興味深いことに、昨夏のアンナ・ハザレの反汚職運動では、三人のマグサイサイ賞受賞者、アンナ・ハザレ、アルヴィン・ケジリワルとキラン・ベディが先頭に立った。アルヴィン・ケジリワルの多くのNGOの一つはフォード財団からふんだんに資金を得ている。キラン・ベディのNGOはコカ・コーラとリーマン・ブラザーズから資金を得ている。

アンナ・ハザレは自らをガンジー主義者と呼ぶが、彼が提唱した法律、ジャン・ロックパル法案はガンジー的ではなく、エリート主義で危険だった。24時間対応の商業マスコミ・キャンペーンが、彼は“人々”の声だと主張した。アメリカのウオール街占拠運動と違って、ハザレ運動は、民営化、大企業権力や経済“改革”への反対はおくびにも出していない。逆に、ハザレ運動の主要なマスコミ後援者連中は、まんまと大規模な企業汚職事件(有名なジャーナリスト達までも曝しだした)に脚光が当たらなくするのに成功し、政治家達に対する酷評を、政府から更に自由裁量権を奪い、更なる改革、更なる民営化を進めるのに利用できたのだ。(2008年、アンナ・ハザレは極めて優れた公共サービスに対し、世界銀行賞を受賞した)。世界銀行はワシントンで、この運動はその政策と“ぴったり符合する”という声明を発表した。

あらゆる良き帝国主義者達同様、慈善団体職員は、資本主義を信じ、アメリカ合州国の覇権を拡張することが自己の利益にもなる国際的な幹部を生み出し、訓練することを自分の仕事としている。彼らは、現地エリートが常に植民地主義に仕えるような形で、グローバルな大企業政府の運営に役立つのだ。こうして、海外、国内経済政策に次ぎ三番面の勢力圏となる、教育と芸術への財団の進出が始まった。彼等は学術機関や教育に何百万ドルも費やした(し、費やし続けている)。

ジョーン・ロウロフスは名著『財団と社会政策: 多元論という仮面』の中で、財団が政治学の教え方という古いアイデアをいかに改造し、“国際”と“地域”研究分野を構築したかについて述べている。アメリカの諜報・治安機関にとって、そこから人々を採用する外国語と文化の専門家のプールとして機能している。CIAとアメリカ国務省はアメリカの大学の学生と教授と協力を続けており、奨学金の倫理について深刻な疑問を引き起こしている。

UIDプロジェクト‘CEO’で独自な立場にあるナンダン・ニレカニ。(写真:ジンテンデルグプタ)

自分たちが支配している国民を管理するための情報収集は、あらゆる支配権力にとって必須だ。中央インドにおける全面戦争の危険にさらされて、土地買収と新経済政策に対する抵抗がインド全土に広がると、封じ込めの手段として、政府は多分世界で最も野心的で費用のかかる情報収集プロジェクトの一つである固有ID番号(UID)という大規模な生体認証計画に着手した。国民は清潔な飲料水やトイレや食料や金はもらえないかわりに、有権者証とUID番号を与えられる。これは元インフォシスCEOのナンダン・ニレカニが進めている、表向きは“貧しい人々に、サービスを提供する”ためとされているUIDプロジェクトと合致し、金やや苦境にあるIT業界に莫大な金額を注入するものだ。(控えめなUID予算推計ではインド政府の対教育年間支出を越える。) これほど大半が非嫡出で“読み書きできない”人口の多い、国民の大多数が、土地記録の無いスラム住人、行商人、インド先住民という国で、“デジタル化”すれば、彼らを刑事罰の対象とし、非合法から、違法な存在へと変えてしまう。入会地囲い込みのデジタル版をうまくやおおおせて、強大な権力を、益々強固になりつつある警察国家の手に引き渡すのがその狙いだ。世界の飢餓の原因が、植民地主義や、負債や、歪曲された利益指向の企業方針ではなくまるで情報の欠如でもあるかのような、ニレカニの技術系管理者的なデータ収集へのこだわりは、ビル・ゲーツのデジタル・データ・ベース、“数値目標”、“進歩の得点票”へのこだわりと一致している。

大企業から寄付を得ている財団は、“開発学”、“コミュニティー研究”、“文化研究”、“行動科学”や“人権”といったテーマで講座や学生奨学金を提供しており、社会科学や芸術への最大の資金提供者だ。アメリカの大学が外国学生に対して門戸を開放するや、何十万人もの学生、第三世界エリートの子供達が押し寄せた。学費を払えない人々は奨学金が与えられた。現在、インドやパキスタン等の国々では上流中産階級でアメリカで学んだことがある子供のいない家族はほとんどない。こうした階層から、優れた研究者や教育者だけでなく、自分たちの国の経済をグローバル企業に対して開放するのを手助けする首相、蔵相、経済学者、企業弁護士、銀行家や官僚達も生まれる。

    企業の社会的貢献活動はコカ・コーラ同様、我々の生活の一部になっている。国際金融体制はNGOを経由して抗議運動に金で取り入るのだ。ある地域が問題を抱えれば抱えるほど、より多くのNGOが入り込む。

財団に好意的な経済学や政治学をする研究者達には、特別研究員資格、研究費、助成金、寄付や職が与えられる。財団に好意的でない考え方の研究者達は資金援助を受けられず、隅に追いやられ、ゲットー化され、彼らの講座は廃止されてしまう。次第に、一つの特別な想像の産物、、もろい寛容と多文化主義という表面的見せかけ(即座に人種差別、過激な国粋主義、人種的愛国主義や、戦争を挑発するスラム嫌悪に変身しかねない)が、単一の、包括的な、とうてい複数的と言えない経済イデオロギーの屋根の下で、議論を支配し始める。その余りの規模ゆえ、イデオロギーとして感じられることさえなくなってしまうほどだ。それが基本的な立場、自然なあり方になってしまうのだ。それが正常性に侵入し、普通のものごとを植民地化し、それに異議を申し立てることは、現実そのものに異議を申し立てるのと同様、不条理、あるいは難解にすら見える様になり始めた。ここから‘選択肢無し’となるまでは、あと一歩だった。

ようやく今、占拠運動のおかげで、アメリカの街路とキャンパスに別の言葉が出現した。学生達が‘階級戦争’あるいは‘あんたらが金持ちなのはかまわないが、我々の政府を買ってしまうのには反対だ’という横断幕を掲げているのを見ていると、圧倒的に不利な形勢を考えれば、それ自体で革命のようなものだ。

始まって以来一世紀、企業の社会的貢献活動はコカ・コーラ同様、我々の生活の一部になっている。今や何百万もの非営利組織があり、その多くは複雑怪奇な金融の迷路経由で、巨大財団とつながっている。彼らのこの“独立した”部門は約4500億ドルもの資産を有している。その最大のものは、ビル・ゲーツ財団で(210億ドル)、リリー財団 (160億ドル)とフォード財団 (150億ドル)が続く。

    ニレカニの、まるで情報の欠如が世界の飢餓を引き起こしているかのような、データ収集への技術者的こだわりは、ビル・ゲーツのこだわりと一致している。

IMFが構造調整を押しつけ、政府に医療、教育、児童保護、開発への公共投資削減を無理強いすると、NGOが入り込んでくる。あらゆるものの民営化は、あらゆるもののNGO化をも意味している。仕事や生計手段が消滅すると、NGOの本質がわかっている人々にとってさえ、NGOは重要な働き口となる。そして確かに彼等がすべて悪いというわけではないのだ。何百万ものNGOの中には、画期的、先鋭的な仕事をしているものもあり、全てのNGOを一括りに同罪とするのは曲解だろう。とは言え、大企業や財団から寄付を得ているNGOは、文字通り株主が企業の株を購入するように、抵抗運動に金で取り入り、やがてそうした運動を内部から支配するための、国際的金融組織の手先だ。NGOは、それに沿ってグローバル金融が流れる経路の中枢神経系上の結節のような位置を占めている。彼らは自分たちの受入国の政府を決して苛立たせることのないよう十分配慮して、あらゆるインパルスに気を配る送信機、受信機、緩衝装置のように機能する。(フォード財団は、資金を提供する団体には、この趣旨の誓約に署名するよう要求している。) 気づかずに(そして時には、意図的)、彼等は聴音哨として機能し、彼等の報告書や研修会や他の伝道活動feeding益々強固になってゆく国家の、一層攻撃的になってゆく監視体制に、データ。ある地域が抱えている問題が多ければ多いほど、その地域のNGOの数は多くなる。

意地の悪い事に、政府なり商業マスコミの一部なりが、ナルマダ・バチャオ・アンドランや、クダンクラム原子炉反対運動等の、本物の民衆運動に対する中傷キャンペーンを展開したいと考える場合、彼等はこうした運動が“外国の資金援助”を受けているNGOだと言って非難する。彼等は、大半のNGO、特にふんだんに資金を得ているNGOの使命は、大企業によるグローバリゼーション・プロジェクトを邪魔するのではなく、推進することであるのを十分わかっているのだ。

何十億ドルもの金を用意し、世界中で、これらNGOが、革命家になりそうな人々を給料を貰う社会活動家に変え、芸術家、知識人や映画制作者に資金援助し、先鋭的な対立から彼らを穏やかに引き離し、多文化主義、ジェンダー、地域開発、ディスコースという言葉で表現されるアイデンティティ政治や人権の方向へと彼らを導くことを開始した。

公正という考え方の人権産業への転換は、NGOや財団がそこで重要な役割を演じた、ある種、概念上のクーデターだった。人権に焦点を絞ることで、残虐さにに基づく分析が可能となり、その中で全体像は遮断されてしまい、紛争中の両者、例えば毛沢東主義者もインド政府も、あるいはイスラエル軍もハマースも、いずれも人権侵害者として訓戒されるべき存在とされてしまう。採鉱企業による土地収奪や、パレスチナ人の土地のイスラエル国家への併合の歴史は、論議上ほとんどわずかな意味しかない脚注と化してしまう。人権は大事ではないと言いたいわけではない。人権は大切だが、人権は、それを通して私たちが暮している世界における重大な不正行為を見たり、ほんの僅かでも理解したりするのに優れたプリズムではないのだ。

‘採掘の幸福’ドングリア・コンダ族が聖なるものとしてきたあらゆるものを、イギリスの鉱業大手ベダンタ・リソーシズタがはぎ取っている。(写真:サンディパン・チャッタルジー)

もう一つの概念上のクーデターとして、フェミニスト運動への財団の関与がある。インドの大半の“公式”フェミニストや女性団体は、例えば自分たちのコミュニティーにおける家父長制や、ダンダカラニヤ森林における鉱山会社による強制退去と戦っている、90,000人もメンバーがいるクランティカリ・アドヴァシ・マヒラ・サンガサン(革命的インド先住民女性連合)の様な組織から、一定の距離を置いているのは一体なぜだろう。自分たちが所有していて、そこで働いている土地から、何百万人もの女性が追い立てられ、立ち退かされることが、フェミニスト問題と見なされないのは一体なぜだろう?

草の根反帝国主義や反資本主義の民衆運動からのリベラルなフェミニスト運動の分封は、財団の悪意ある狙いから始まったわけではない。こうした運動が、60年代と70年代に起きた女性の急速な先鋭化に適応し損ね、取り込み損ねたことから始まっているのだ。伝統的社会においても、また左翼運動の進歩的な指導者と見なされる人々の間にさえある、暴力や家父長制度にしびれを切らしている女性達を見いだし、近づき、支援と資金援助を与える上で、財団は有能さを示した。インドの様な国では、農村・都市間にも断絶は存在している。最も先鋭的な反資本主義運動は、家父長制社会が大半の女性の暮らしを支配し続けている地方にこそ存在している。こうした運動(ナクサル運動等)に加わった都会の女性活動家達は、西欧のフェミニスト運動に影響を受け、刺激されており、自分たちの解放を進める活動の中で、男性指導者達が‘大衆’にうまく溶け込む為の自分たちの義務と考えていることと相いれないことが多かった。多くの女性活動家は、自らの同志達によるものを含む、日常の抑圧と生活上の差別を終わらせるため、もはや“革命”を待とうとはしなかった。女性達は、ジェンダーの平等が、単なる革命後の約束でなく、革命プロセス中で、絶対で、緊急を要する、譲ることのできない部分であるよう望んでいた。知的で、怒って、幻滅した女性達は、そうした運動から離反し、支援と生計の他の手段を探し始めたのだった。結果的に、80年代末インド市場が開放される頃までには、インドの様な国のリベラルなフェミニスト運動は、過度なまでにNGO化していた。こうしたNGOの多くは、同性愛者の権利、家庭内暴力、AIDSや売春婦の権利などの上で重要な役割を果たした。だが重要なのは、女性がそれで最も苦しめられているにもかかわらず、リベラルなフェミニスト運動は、新経済政策に対する異議を申し立ての最前線に立ったことはないということだ。資金支払いを操作することで、政治”活動とは一体どうあるべきかという範囲の境界線を引くことに財団は“大成功した。今やNGOの財政支援応募要綱が、何が女性“問題”として重要で、何が重要でないかを規定している。

女性運動のNGO化は、西欧のリベラル・フェミニズムを、それこそフェミニズムの旗手だと規定するようになった(最もふんだんな資金援助を得たブランドのおかげで)。戦いは、一方ではボトックスを、もう一方でブルカを追い出すことで、例によって女性の体を舞台に展開された。(そしてボトックスとブルカの二重苦を味わう人びともいた。)最近フランスで起きたように、女性が自分がしたいと思うことを選べるような状況を創り出すのではなく、女性にブルカを脱ぐよう強要する試みがなされる場合、それは女性を解放するのではなく、裸にするのと同じことだ。それは、屈辱と文化的帝国主義の行為る変化する。それはブルカ問題ではない。無理強いだ。女性にブルカを脱ぐよう強要するのは、ブルカを着けろと強要するのと同じ位悪いことだ。このようにしてジェンダーを見ると、そこから社会的、政治的・経済的文脈を剥奪し、アイデンティティや小道具や衣装の戦いの問題にしてしまっている。それこそが、2001年のアフガニスタン侵略の際に、アメリカ政府が西欧フェミニスト集団を道徳的偽装として利用することを可能にしたのだ。アフガニスタン人女性は、過去(そして現在も)タリバンの下で大変な状況にある。だが巨大デイジーカッター爆弾を連中の上に投下したとて、彼女達の問題を解決するわけではなかった。

奇妙な鎮痛剤的な言葉を案出するNGOの世界では、あらゆるものが、個別の、専門化された、一部団体のみが取り組む“主題”となる。コミュニティー開発、リーダーシップ育成、人権、医療、教育、子供を生む権利、AIDS、AIDSに感染した孤児等は、精緻化した緻密な財政支援応募要綱によって、全てそれぞれ個別サイロの中に密閉されてしまった。財政支援は、弾圧では決して出来なかったようなやり方で連帯を断片化したのだ。貧困も、フェミニズム同様、アイデンティティーの問題という枠にはめられてしまう。まるで貧しい人々は不公平によって生み出されたのではなく、たまたま存在していた失われた部族のようなもので、短期的には、苦情救済システム(個人的な、個人対個人ベースで、NGOによって与えられる)によって救える可能性があり、長期的復興は良き統治によるのだと。グローバル大企業資本主義支配の下では、それが当然のこととしてまかり通る。

中略

プロレタリアートは、マルクスが見ていた通り常に絶え間なく攻撃されてきた。工場は閉鎖し、職は消滅し、労働組合は解体された。プロレタリアートは長年にわたって、ありとあらゆる形でお互いに戦うよう仕向けられてきた。インドでは、それはヒンズー教徒対イスラム教徒、ヒンズー教徒対キリスト教徒、不可触民対インド先住民、カースト対カースト、地域対地域だ。それでも世界中でプロレタリアートは反撃しつつある。中国では無数のストライキや反乱が起きている。インドでは現地で、世界中で一番貧しい人々が、最も裕福な企業の何社かを押しとどめるために反撃している。

資本主義は危機的状況にある。トリクルダウン理論は失敗だった。今や噴出もまた危うい状態にある。国際的な金融メルトダウンが迫りつつある。インドの成長率は6.9パーセントに急落した。外国投資は撤退しつつある。主要国際企業は、どこに投資すべきかわからず、金融危機がどのように展開するかわからず巨大な金の山の上に座り込んでいる。これはグローバル資本というジャガノート、止めることのできない巨大な力の大規模な構造的亀裂だ。

資本主義の本当の“墓堀人”は、イデオロギーを信仰に変えた妄想的な枢機卿達自身ということになるのかも知れない。素晴らしい戦略的才気にかかわらず、彼らは単純な事実を理解できずにいるように見える。資本主義は地球を破壊している。資本主義を過去の危機から救い出してくれた二つの古いしかけ、戦争と買い物が、全然機能しないのだ。

太陽が沈むのを見ながら、私は長い間アンティラの外に立っていた。タワーは高さと同じくらい深いのではないかと想像した。地下深く蛇のようにうねうね続く、27階もの深さの主根が、大地の滋養を煙と金に変えながらガツガツと吸い上げているのだ。

アンバニ家は、なぜ彼らの建物をアンティラと呼ぼうと決めたのだろう? アンティラは、8世紀イベリア伝説にまでさかのぼる物語の神話上の島名だ。イスラム教徒がスペインを制服した際、キリスト教西ゴート族の6人の司教と教区民達が船に乗って脱出した。何日も、あるいは何週間も海上を漂った後、彼等はアンティラの島々にたどり着き、定住し、新たな文明を起こすことに決めた。野蛮人に支配された祖国との絆を永遠に断ち切るため、彼らは乗ってきた船を焼き払った。

彼等のタワーをアンティラと呼ぶことによって、アンバニ家は祖国の貧困とみすぼらしさとのつながりを断ち切り、新たな文明を立ち上げようと願ったのだろうか? 中流と上流階級を宇宙空間へと分離するという、インドにおける最も成功した分離主義運動の最後の行動なのだろうか?

ムンバイに夜の帳がおちると、アンティラの人を寄せ付けようとしない門の外に、パリッとした麻のシャツを着て、ガーガー言う携帯無線電話機を持った守衛達があらわれた。恐らくは幽霊を追い払うため、灯があかあかと灯された。近隣の人々はアンティラの明るい光が夜を奪ってしまったとこぼしている。

恐らく我々は夜を取り戻すべき頃合いなのだ。

記事原文のurl:www.outlookindia.com/article.aspx?280234

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帝国の両刃の剣: グローバル軍 + NGO』の記事と、もろに連続する記事。

大企業から寄付を得ている財団は、“開発学”、“コミュニティー研究”、“文化研究”、“行動科学”や“人権”といったテーマで講座や学生奨学金を提供しており、社会科学や芸術への最大の資金提供者だ。

学会なるもの、素人には、有り難く、近寄りがたい神聖なものに見えるが、彼女の言うとおり、資金源や人脈には注意を払う必要があるだろう。

大企業関連財団から寄付を得ている学会は...xxx、○○といったテーマで講座や教育を行っており、社会科学や芸術最大の歪曲者なのかも知れない。

xxx、○○にはご存じの名詞があてはまるかも知れない。原子力学会なるもの、大事故後も真っ当な発言がないところをみれば、典型的な御用学者・優良社員ムラだろう。まともな学会であれば、原発推進、核燃料リサイクルやら、プルサーマル、もんじゅ推進に反対していたろうし、せめて、これからは反対するだろう。もちろん、飼い犬は飼い主を噛まない。

こうした方針に反対してきた小出氏、30年前に?この学会を辞められたそうだ。日本原子力学会という責任を逃れようとする話にならない人たち 小出裕章(たね蒔きジャーナル)有罪判決から逃れる方法の研究会ではと勘繰りたくもなる。

国会が混迷の度を深める中、東電女性社員殺害事件で獄中にあった方が帰国し、更に実に見事なタイミングで、オウム容疑者が逮捕された。逮捕記事の方が、国民生活にはるかに大規模、深刻な影響を及ぼす「今夕にも、民自、消費税増税案合意」記事の何倍ものスペース。

オウム残党より、我々と子々孫々の生活を平然と踏みにじる二大政党・コウモリ政党、高級官僚やマスコミの方々の方が小生にとって、はるかに恐ろしい。(沖縄並の与野党議席比率が国会で実現していれば、今ほど暴走はなかったろう。本土の絶滅危惧種政党、沖縄では絶滅危惧種政党でないようだ。沖縄では新聞にも本土の大半のプロパガンダ紙より良い記事がある。)

  • オウム残党二人逮捕の現在・将来の日本国民に対する影響
  • 今夕にも民自消費税増税案合意の現在・将来の日本国民に対する影響
  • どちらが深刻かわからなければ、知性に重大な問題があるだろう。
  • どちらが深刻か知りながらアンバランス報道するなら、倫理に重大な問題があるだろう。

またもや墜落したオスプレイの恐ろしさ。宗主国によれば運転ミスだという。オスプレイの日本語はミサゴ。鳥ならば再三墜落していれば絶滅。一面記事に載るべきは、オウム容疑者でなく、民自消費税増税案合意とオスプレイだろう。

タイミングで言えば、水俣病研究を進められた原田正純氏、関係機関の原発事故対応のひどさを追求してこられた日隅一雄弁護士(NPJ編集長)のお二人が亡くなられた。オウム容疑者のような宣伝は皆無。マスコミが人の幸せを願う業界であれば、お手本として、お二人の業績を紹介すべきだろう。知性・倫理、いずれか、またはその両方に、重大な欠陥があるマスコミ、決してそうしない。

国民に大影響がある国会論議つまり、原発再稼働、消費税増税、比例議席削減、TPP加盟推進等については何ら有意義な報道をせず、お上発表を垂れ流すマスコミ。大事なことを隠す目くらまし業は楽だろうが、楽しくはなかろう。

あまりばかばかしいニュースだらけゆえ以前録画した番組を見た。『非暴力革命の勧め』

ユーゴ解体、カラー革命、アラブの春の背後にジーン・シャープ博士の編み出した戦術があったというお話。オウム容疑者逮捕ニュース同様気味悪い番組。

  • 昔『武器なき民衆の抵抗』の訳本があったが、現在は入手困難。
  • 『非暴力行動の198の方法』─全訳は、『夏の扉へ』にある。
  • 『独裁政権から民主主義へ』(瀧口範子訳)は2012年夏筑摩から刊行されるという。

もう一つマスコミの話題、大阪異神の怪暴走と対をなす老害知事がさわいでいる尖閣購入問題。沢山の募金が購入資金として寄せられているという提灯報道に、高校時代に習った日露戦争時の提灯行列、戦勝祝賀会を思い出している。真実を何も知らないままの、余りに無責任な付和雷同。

「ちょっと待て 右と左をもう一度」

威勢が良さそうな発言、格好よく見えるものだろうか?小生には宗主国の「オフショア・バランシング」戦略を喜んで推進するポチ老人にしか見えない。

賛同しておられる皆様、例えば孫崎享著『不愉快な現実』現代新書や、『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』ちくま新書等をお読みになった上での賛同だろうか?それぞれ1000円でおつりが来る。読んでから寄付しても遅くはあるまい。読んでから、事実を知ってから、「それでも寄付をする」という不思議な方もきっとおられるだろう。大いなる暗愚。つける薬はない。

不思議なことに孫崎享氏、国営放送でも民放ニュース、討論番組でも、ほとんどおみかけしない。そういうプロパガンダ番組を見ないので、余り強くは言えないが。ご本人が出演を忌避しておられるはずはありえない。

孫崎氏新刊『戦後史の正体』2012/7/28 創元社刊。創元社webで立ち読みできる。(もちろん、立ち読みは全文ではない。)

追記:

2012/11/11

アルンダティ・ロイの本が、8月末岩波書店から刊行された。

民主主義のあとに生き残るものは』1,600円

小生のこのインチキ翻訳訳記事も、正しい翻訳で読める。感激!

2012年6月11日 (月)

欧州議会委員会の重要な投票でACTA否決される

公開: 2012年5月31日、14:51

編集: 2012年5月31日、22:05

Reuters / Yves Herman

欧州議会では、有力な委員会の三つがこの条約は否決すべきだとして、議論の的になっているACTA条約に反対した。

法務委員会(JURI)、産業・研究・エネルギー委員会(ITRE)と、市民的自由・司法・内務委員会(LIBE)のいずれもが、今年幾つかのヨーロッパの国々で大規模な抗議運動を引き起こした条約の施行に反対投票した。

ITREでは投票は別れ、ACTAを否決するよう議会に要求する草案に31人が賛成で、12人が反対だった。一人が棄権した。

JURIでは、ACTA草案支持が10票で、反対12票で、2人の委員は棄権した。僅差の勝利ではあれ、条約反対であることにかわりはない。

LIBEも条約反対側にまわり、36人がACTAに対する否定的な報告書を支持し、1人が反対で、21人が棄権した。

通商条約に対する冷水を浴びせる様なニュースが、その運命を決定したわけではない。国際貿易委員会(INTA)による欧州議会の次の投票が6月21日に行われる予定だ。この投票が四つ目で、またACTAが7月始めの本会議で採決される以前に提出される最終的な委員会ということになる。

火曜日、オランダ政府は決して署名しないと主張して、オランダの国会議員達がACTA廃案投票をした。たとえ欧州議会が条約を承認しても反対するつもりだと彼らは言っていた。

模倣品・海賊版拡散防止条約 (ACTA)は、ソフトウェア工学から農業に至るまで、多くの産業の著作権を保護することを狙うものだ。条約に反対する人々は、自国に条約の条項を適用するには、各国政府はオンライン・プライバシーに対し過酷な攻撃を強いられるだろうと語っている。

欧州連合は、2月、人権活動家達による抗議の嵐のさなか、条約批准の試みを中断した。EU中で何千人もが、ACTAと、この条約が大企業に与えるであろう膨大な権力に対して抗議行動を行った。

‘ACTA三振’

ACTAを推奨する欧州議会の有力な三つの委員会で拒否され、この議論の的になっている著作権侵害対策条約は決定的な打撃を被ったと、スウェーデンの海賊党創立者リック・ファルクヴィンゲは考えている。

RT:ACTAを批准するか否かの最終決定は7月に行われます。あなたは最近の展開を喜んでおられるのではと思いますが、何が起きたのだとお考えでしょう?

RF: これは、7月始め欧州議会議場での最終投票に至る、長い連鎖の最初の出来事三件に過ぎません。最初の三件は基本的にACTAの三振でした。明らかにこの新旧勢力間の対立は、インターネット活動家達の側に有利に始まりました。

RT:するとACTAは廃案になる可能性があります。何か他の条約を構想する余裕はあるとお考えですか?

RF: その通りです。ACTAは改革への扉を閉ざしてしまうものなので、これに反対するのはもっともなことです。ヨーロッパにおいて、経済のデジタル化へと益々移行するにつれて、大企業独占と特許独占からの改革が早急に必要なのです。ですから、私は大企業独占と特許独占それぞれの改革が不可避だと思いますが、それはかならずしも仲介者連中が望んでいるような方向ではないでしょう。

記事原文のurl:www.rt.com/news/acta-eu-parliament-internet-670/

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当然のことながら、日本のマスコミ全く報じないようだ。国民の注意をそらせるのに便利な、オウムや通り魔殺人は詳しく報じてくださるが。多数の国民に直接影響が及ぶ話題ほど報じようとしない。

内容を一般に知らせることなく、業界メンバーだけで、大手企業・大国だけが有利な条約を通してしまう方式、まるでTPP予行演習。

英文記事には、模倣品・海賊版拡散防止条約 (ACTA)とTPPの仕組み、発想の類似性・危険性を指摘するものが色々ある。詳細を比較したページもある。

Where TPP Goes Beyond ACTA -- And How It Shows Us The Future Of IP Enforcement

この模倣品・海賊版拡散防止条約 (ACTA)、日本が提唱したことになっている。

宗主国の意を汲んで提唱させて頂いたのだろうとメタボ属国民は想像してしまう。

模倣品・海賊版拡散防止条約 (ACTA)推進に賛成する日本の弁理士、弁護士の先生方、なにを考えておられるのだろう。

本件の話題、指摘しておられる専門家は山田奨治教授のみ?

ACTAに対するEUの懸念とは

宗主国と属国の1%の支配層の生活を守る視点からの判断で、模倣品・海賊版拡散防止条約を批准し、TPP加盟を推進し、原発再稼働してしまうガラパゴス属国。

オウム捜査に5000人投入という。

原発ムラや売国政治家調査に同じエネルギーをそそいで欲しいものだが無理な夢。

比例代表議席削減の記事を新聞でみかけた。オウムや通り魔殺人報道の洪水、比例代表議席削減強行の煙幕であるのかも知れないと疑い始めた。

どうでも良いニュースの洪水、本当の目的、素人にはわからないが、大事な問題から「注意をそらさせる」狙いで洪水をおこしていることだけは確実だろう。

『マトリックス』から属国民を解き放さないために。

2012年6月 6日 (水)

『マトリックス』からアメリカ人を解き放つ

『マトリックス』からアメリカ人を解き放つ

Paul Craig Roberts

2012年4月19日

アメリカ人、イギリス人や、西欧諸国の人々は、自分達のことを世界における自由、民主主義と徳性の代表だと考えることに慣れている。西欧は、あたかも西欧が神で、それ以外の国々は折檻や侵略や占領が必要な野蛮人だという具合に他の国々を評価している。読者の皆様は御承知の通り、西欧の極端な思い上がりの妥当性について、小生は時折疑問を呈してきた。(例えば以下の記事をご覧頂きたい。「ワシントンの無頓着男に敵無し(英語原文)(拙訳)」と「西欧民主主義は現実か見せかけか?」(英語原文))

中国という国に対してワシントンの道徳家連中は往々にして高飛車に出る。ところがアメリカの“選挙で選ばれた民主的な”政府より、中国の“専制的”政府の方が、実際は自国民に良く対応しているのだ。しかも書類上、中国国民の市民的自由がいかに不完全であれ、中国国民が持っているどのような権利をも、大手を振って侵害することができるなどと中国政府は宣言していない。しかも世界中で拷問監獄を運用しているのは中国ではない。

この二国を、一般によくあるプロパガンダ用比較でなく、現実的に比較してみたいものだとかねがね考えていたが、その点、ロン・アンスには脱帽せざるを得ない(「中国の勃興、アメリカの没落、そして中国のメラミンとアメリカのVioxx: 一つの比較」を参照=英語原文)。アンスはいい勉強の機会を与えてくれている。お見逃しのないよう。

アンスは素晴らしい仕事をしてくれた。しかも彼は賢明にも熱狂的な愛国主義者を過度に刺激しないよう、中国の例は控えめに語り、アメリカの例は誇張している。それでも結論ははっきりしている。アメリカ人が収奪エリート連中に脅かされているほど酷く、中国人が中国の“収奪エリート連中”に脅かされているわけではない。

しかも、よその国を爆撃し、占領し、無人機攻撃しているのは、中国ではなく、アメリカの収奪エリート連中だ。バンパー・ステッカーに書いてある通り“アメリカに良くしないと、お前らの国に民主主義をもたらしてやるぞ。”

経済運営について言えば比較にすらならない。過去30年間、中国は人類の歴史で最も急速な経済発展を実現したとアンスは報じている。しかも新たな収入の大半は、1パーセントではなく、中国人労働者のポケットに流れ込んだのだ。アメリカの本当の平均収入が何十年も停滞している一方、中国人労働者の収入は30年間、10年ごとに倍増してきた。最近の世界銀行の報告書は、世界の貧困率が100パーセント以上も低下したのは中国の成長によるものだとしている。

過去10年間で中国の工業生産は四倍になった。中国は今やアメリカと日本を合わせたよりも多くの自動車を製造しており、過去10年間の世界の自動車製造増加の85パーセントを占めている。

1978年、アメリカの経済規模は中国の15倍だった。今後数年以内に中国のGDPはアメリカのGDPを追い越すと予想されている。

アメリカのエリート連中がアメリカ国民をいかに手ひどく扱っているかについて驚くべき詳細を書いた大した記事だ。

政治エリートが“議員”の政治活動に資金を出すのと引き換えに、アメリカの法律を作っている強力な特別利益団体の権益の代表でしかないがゆえに、アメリカは駄目になったのだ。自分たちの失敗から人目をそらすため、アメリカのエリート連中は外部のスケープゴートに責任をなすりつける。例えば中国は通貨を操作しているとして非難されている。アンスの言う通り、スケープゴートに罪をなすり付けるのは無知でだまされやすい連中向けの政治茶番だ。

アメリカの経済学者達、あるいは彼等の大半はすっかり身売りしていて、プロパガンダが知恵と化している。もし中国が、ドルに対し通貨価値をより急速に上昇させさえすれば、アメリカの経済苦境は終わるだろうと大半のアメリカ人は信じている。すっかり依存している中国製商品の価格が急騰することで、収入が低迷気味で下落しつつあるアメリカ人の暮らしが楽になるだとか、そのようにして中国の経済的優位性が明らかになっても、アメリカの権力の主要な根源である、準備通貨としての米ドルの役割が存続可能だと信じられる経済学者が居ようなどとは、ほとんど信じられない。

アメリカ人は、無法さを、責任を負わない政府に結びつけがちで、中国政府を責任を負わないものと見なしている。ところが、アメリカの法律と国際法のいずれにも責任を負わないと宣言しているのはブッシュ/オバマ政権なのだと、アンスは指摘している。

戦争権限法とジュネーブ協定の崩壊や、裁判や告訴無しで投獄したり、行政府が“国家安全保障上の脅威”である可能性を認めたアメリカ人なら誰でも殺害したりする行政府の権力の主張は、責任の所在を明らかにする民主主義になりすましている完全な警察国家を示唆している。アメリカでは学校で悪さをした6歳の少女が手錠をかけられ、投獄され、重罪で告発される。(「幼い学童が警官に逮捕され、手錠をかけられ、残忍に扱われる10の最悪例」を参照(英語原文)) ヒトラーやスターリンですら、ここまでひどくはなかった。

アメリカ国民は政府を制御できなくなっており、国民に制御されていない政府は民主主義ではない。今日のアメリカでは、戦争で儲け続けたい兵器関連財閥連中や、強欲な銀行幹部連中の無能と詐欺のつけを一般国民に押しつけようと固く決心した金融機関やらの声高な要求によって、社会保障や、メディケア、食料配給券やあらゆる社会保障が危機に瀕している。

中国のマスコミと政府が、メラミン、あるいは調製粉乳スキャンダルにどのように対処したか、そして、アメリカのマスコミと政府が、メルク社のVioxxスキャンダルにどのように対処したかに関するアンスの比較は実に痛烈だ。乳幼児用ミルクで悪事を働く連中を罰したのは中国の管理されたマスコミと責任を負わない政府で、一方、アメリカの自由なマスコミと責任を負う政府はメルク社を放置している。

アンスの結論は、人命が安いものと見なされている国は中国でなくアメリカだ。

ロン・アンスはアメリカの英雄で、しかも非常に勇気がある。ジョージ・オーウェルがいった通り“虚偽がまかり通る時代には、真実を語ることは革命的行為だ。”

誰も真実を聞きたいとは思っていない時に、それは実に勇敢な行動だ。フランツ・ファノンが言った通り、"時として、人は極めて強固な中核的信念を持っている。そうした信念に不利な証拠を示された場合、その新たな証拠は決して受け入れられない。それは認知的不協和と呼ばれる、極めて不愉快な感情を生み出しかねない。そして中核的信念を守ることが非常に重要なので、人々は自分を正当化し、中核的信念と合わないあらゆるものを無視し、否定さえする。"

あるいは映画中でネオに対する説明にあるように、"マトリックスというのは体制だ、ネオ。その体制は我々の敵だ。しかし体制の内部にいる場合、周囲を見回して見えるものはビジネスマン、教師、弁護士、大工。まさに我々が助けようとしている人々の心だ。だが我々が助けるまでは、そうした人々は依然その体制の一部なのだから、彼らは我々の敵のにままだ。こうした人々の大半は、まだプラグを外す覚悟がないということを理解しなければならない。しかも彼らの多くは余りに慣れすぎていて、どうしようもない程、体制に依存しているので、それを守るために彼らは戦うだろう。"

小生が個人的に知っている方々の大半はプラグを外されたいと思っておられない。読者の皆様はプラグを外されたいと思っておられると推測しているので、プラグを一層外せる好機を捕らえ、ロン・アンスのアメリカと中国との比較をお読み頂きたい。

その後で、他の人々をプラグから外すために、ご自分でできることをして頂きたい。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラム www.paulcraigroberts.orgは世界中の支持者が読んでいる。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2012/04/19/unplugging-americans-from-the-matrix/

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Paul Craig Roberts氏、マトリックス・システムと、それからの解放(unplugging)という表現を使い始めたのはこの記事だろうか。あげられているミルク問題やメルク薬害に馴染みがないので、翻訳する順序がずっと後になった。

アメリカ人をシステムから切り離すことは可能だろうか? 2011年5月18日が最初の記事?

映画中でネオに対する説明というのは、モーフィアスがネオに説明する話のことだろう。

中国のスパイとされる人や、属国版911、属国版アルカイナ、オウム指名手配犯より、素人には、消費税増税とTPPを推進して、宗主国の1%に奉仕するどじょう氏や改造改悪で登場した戦争大臣や、強引に再稼働に猛進する原発ムラの皆様や、それを支援するマスコミの方々や、全ての茶番の背後に控えておられるジャパン・ハンドラー様の方が遥かに恐ろしい。

オウム女性よりも、消費税増税や、原発や、TPP加盟の方が、大半の皆様にとっても、恐ろしいのではなかろうかと、メタボ老人は愚考する。

つい最近、洗脳国営放送で、何やら長いオウム特集が放送されたばかり。奇異なことだと不思議に思っていた。「この出来事を話題にする」という壮大なRed Herringだったのだろう。時々感心する地震・津波被害者のドキュメンタリーや、原発 ドキュメンタリーを放送してくれるが、ニュースは耐えられない。アナウンサーが北朝鮮の放送より美女・美男なのに過ぎない。

マスコミはいかにして世界が戦争をするように仕向けているのか:報道のふりや、WikiLeaksを巡る疑念はてんこもりでも書いたが、毎回同じことを書く。

マスコミが一斉にどうでも良いことばかり垂れ流しにする時はいつも、国民が大損害を与えられる法律が決められたり、物事が起きるように思えてならない。個人的には、そういう話題に関するTV報道も記事も見ない。代わりに本当の狙いは一体何かを想像している。

  • 消費税増税から目をそらさせるためだろうか?
  • 原発再稼働から目をそらさせるためだろうか?
  • TPP推進から目をそらさせるためだろうか?
  • 集団的自衛権という集団的先制攻撃から目をそらさせるためだろうか?
  • 異神の怪から目をそらさせるためだろうか?

駅のキオスクで、オウム女性の下半身記事見出しが踊っていた。タレントと生活保護問題より、消費税増税や、TPP加盟推進や、原発再稼働の方が、庶民にとって大問題なのではあるまいか?
国民からまきあげる資金を宗主国にいくら奉納しても叱られず、出世・昇進し、あがめられる。一方、庶民がわずかでもかすめようとすると、大懲罰を食らう。属国とはそういうもの。

パンとサーカスというが、
アンスの言う通り、スケープゴートに罪をなすり付けるのは、無知でだまされやすい連中向けの政治茶番に違いない。

2012年6月 3日 (日)

いかにして自由が失われたのか

Dr. Paul Craig Roberts

2012年4月24日

paulcraigroberts.com

アメリカの調子がおかしくなったのはいつからなのだろう?

“始めからだ”と答える方々がおられる。18世紀末期と19世紀のアメリカ人が、彼ら自身イギリスの王に支配されていたイギリスの入植者達が、アメリカ・インディアンを絶滅させ、彼らの土地を盗んだのだ。1948年以来、イスラエルがパレスチナ人をその土地から追い出したのと全く同様に、三世紀にわたり、アメリカの先住民達は追い立てられてきた。

悪魔化が常に重要な役割を演じてきた。アメリカ・インディアンは野蛮人で、パレスチナ人はテロリストだ。こうした説明さえ支配できる国ならどんな国でも悪と呼ばれずに切り抜けられる。

あらゆる国と文明には多くの悪があると小生は思う。善と悪との戦いで、時として宗教は悪の側につくことがある。しかしながら、道徳的進歩という概念はそう容易には放り出せない。

例えば奴隷制度を考えてみよう。1800年代、平等の権利を主張していた国々においても、奴隷制度は依然存在していた。自由な女性達でさえ平等な権利はなかった。今日では、人の所有やら、結婚時、女性の財産の夫への引き渡しを、あからさまに許容する西欧国家などあるまい。

西欧政府は、所得税を通して国民の労働に対する所有権を持っているというのは事実だ。一種緩和された形の農奴制として残っているわけだ。とは言え今の所、人間そのものを巡る所有権を主張している政府は皆無だ。

時折読者の方々から、エリート連中は常に支配的なのだから、小生の努力は無意味で、唯一の解決策は、結婚するか、彼らの権益に奉仕するかして、小さなコネをもったエリートの小集団に入り込む方法を見つけ出すことだというご意見を頂く。

これは一見、皮肉な助言のようだが、多少の真実がないわけではない。実際、ワシントンとニューヨークはそうして機能しており、国中益々そういう形で機能するようになりつつある。

ワシントンは公益ではなく、強力な私益に奉仕している。大学の学部における研究は益々私益に奉仕するようになっており、真実に奉仕することは少なくなっている。アメリカでマスコミはもはや人々の声でも人々を守るものでもない。アメリカでは、エリートに奉仕する体制側の連中とのコネ無しには良い仕事に着くことが益々不可能になりつつある。

この“あきらめ”の姿勢で小生が問題と感じるのは、小生の人生にわたり、また、より広範に、二十世紀の間、改善によって多くの前向きの変化が起きたことだ。善意無しに、改善を実現することはできないのだから、エリート達でさえ自分たちの権力を制限するような改革を受け入れたのも、道徳的進歩の一環だった。

労働組合は大企業経営幹部やウオール街への拮抗力となった。

労働条件は改良された。公民権は拡大された。体制によって排除されていた人々が、体制の中へと組み込まれたのだ。二十世紀に育った人であれば誰でも、ご自分の経験を付け加えることができよう。

進歩は遅々としていた。改革をする人々の目からすれば不当なほど遅かったし、誤りもあったが。それでもなお、適切なり不適切なりに行われたにせよ、市民的自由を拡大するという約束はあったのだ。

この約束は2001年9月11日に突然終わった。国民を守る盾として法律を確立した、800年にわたる人類の優れた成果は、ブッシュ/オバマ政権の11年間で廃止され、代わりに、法律は政府手中の武器に転換された。今日、アメリカ人も、他の国々の国民も、アメリカの行政府の意思だけで、適正手続き無しに、あるいはいかなる裁判所への証拠提示もなく一生にわたって拷問牢獄に閉じ込められたり、路上で射殺されたり、あるいは無人機ミサイルによって絶滅させられたりしかねない。

自国の臣民にも他の国々の国民対しても行使するアメリカ政府の権力は無制限だ。レーニンは、無制限の力を“何物によっても、いかなる法によっても、あらゆる独裁的支配によっても制限されない、力に直接依拠する”権力だと述べている。

ワシントンは自らが、並外れた国民を代表する、欠くことのできない政府であり、従ってその意思と“正義”をアメリカ以外の世界の国々に押しつける権利があり、ワシントンに対する抵抗は、可能なあらゆる手段によって絶滅されるべきテロになる。

かくして、アメリカのネオコンは、アメリカの覇権からの独立や、イランも調印国の一つである不拡散条約下での原子力発電の権利を行使することを主張するイランを核攻撃すると語っている。

言い換えれば、ワシントンの意思が、ワシントン自身が世界に押しつけた、法的効力を持つ条約、国際条約より優先するのだ。ネオコンとワシントンによれば、イランは、イランが不拡散条約に調印した際に、イランがワシントンとおこなった法的契約によっては保護されないのだ。

イランは自分が、ワシントンD.Cを支配する悪の力によって、諸権利を剥奪され、絶滅させられる、17世紀や18世紀のアメリカ・インディアン部族の現代版のようなものであることに気がついている。

圧倒的大多数の“超大国”アメリカ国民は『マトリックス』につなぎこまれており、ワシントンと、その売女マスコミによって頭脳に注入される偽情報に満足していて、小生が申しあげる真実に直面するより、ためらってしまうのだ。

そこで疑問が提起される。一体どうすれば人は、また他の人々を『マトリックス』からプラグをはずせるのだろう? 読者の方々は質問されるが、小生には完璧な答えはない。

色々な形でおきるもののようだ。後釜として、より低い賃金で働くH-1Bビザの外人のおかげで首にされる、犯していない犯罪で有罪宣告され、スポーツによる痣が児童虐待の証拠だとされて、児童保護局によって自分の子供達が奪い去られる、詐欺を基にした抵当が法的効力を与えられているために人びとの自宅が奪い去られる、人は年をとり、企業提供医療保険の保険料が高くなると、“自由市場資本主義”によって解雇される、従軍ジャーナリストではなく、アメリカの海外での振る舞いに関して正直に報道するがゆえに、アメリカ再入国時に、国土安全保障省に嫌がらせを受ける。“自由と民主主義”というウロコが目から剥がれ落ち、現実をじっくりと考えるようになるアメリカ人の例は数多い。

『マトリックス』からプラグを外せるようになるのは、注意を払うごく少数の人々にとっての、緩やかな生涯にわたる体験なのかも知れない。長生きすればするほど現実は政府とマスコミの説明と矛盾することに気がつく可能性が高まる。重要なことを覚えていることができる少数の人々は、のぞき見テレビや、ひいきのスポーツ・チームや、空想映画を見た後で、外国に引き渡されてしまった製造業の経済にとって変われる“ニュー・エコノミー”などないことを次第に悟るようになる。“爪が汚れるような仕事”を首にされた後、自分たちを雇ってくれる“ニュー・エコノミー”などないことが分かるのだ。

ベトナム戦争敗戦を今だに憤り、反戦抗議運動参加者に対して怒りながらも、熱狂的愛国者達の中には、意見を異にする人びとや、米国憲法修正第1項「言論の自由」の行使を犯罪扱いしたことの報いを次第に認識し始めている人びとがいる。“味方か、さもなくば敵だ”という表現は、彼なり彼女なりの口を開き、いかなる反対意見を語る人は誰でも“国家の敵”へとすり替えられることを暗示し、安心させるような含意でなく、威嚇的な含意を帯びつつある。

益々多く、とはいえ、とうてい十分とは言い難い人数のアメリカ人が、1993年、ウェーコでのブランチ・ダビディアン虐殺は、児童虐待や、銃の密輸入、虚偽の嫌疑で悪魔化された民間人の殺人を、大衆も議会も受け入れるであろうということを確認するための試運転だったのを理解するようになっている。

次ぎの実験は1995年のオクラホマ市爆破だった。一体誰の説明が勝利を得ただろう。政府の説明か、それとも専門家の説明か? 爆発物に関する最高の専門家、パーティン空軍大将は、決定的に議員全員に配布された多くの証拠を示す報告書で、マラー連邦ビルは肥料トラック爆弾で外部から爆破されたのではなく、内部から外部へ爆破されたのだということを証明した。だがパーティン大将の真実は、政府のプロパガンダと、議会が認知的不協和を避けたことによって破れ去った。

自分達の発表や売女マスコミの発表の方が、専門家達が提示する事実よりも影響力があることを、“国家安全保障”政府が学んでしまえば、ノースウッズ作戦のような陰謀が実践に移されかねない。9/11のような出来事が可能になる。

ペンタゴン、CIAと軍/安保複合体は、存在しなくなった“ソ連の脅威”に置き換わる新しい敵を必死に求めていた。軍/安保複合体と議会内の彼らの召使達は、冷戦から得られる儲けを、他のもので置き換え、ペンタゴンとCIAに集積する権力を保持し、増大することを固く決意していたのだ。ソ連の脅威唯一代用品として可能性があるのが“イスラム教テロリスト”だった。かくして、“アルカイダの脅威”を生み出し、この新たな脅威を、イスラム教主義者達の本当の標的であるイラクやシリアの様なアラブの非宗教政権に結びつけたのだ。

サダム・フセイン政権のような宗教的でないアラブ政府は、イスラム過激派に反対する同盟者なのだという専門家達が提示する証拠にもかかわらず、宗教的でないイラク政府を、イラクの敵であるイスラム教革命家達とを結びつけるプロパガンダをアメリカ政府は行っている。

アメリカ国民が、きわめて無知で、しかも自分たちの暮らしを変え、生存を危うくしてしまうような物事に注意を払うことにも全く怠慢であることを、ワシントンが確認してしまった後に、あらゆる物事が続いて起きた。愛国者法、憲法の停止と市民的自由の破壊、国土安全保障省はそのゲシュタポ勢力範囲を、空港から、鉄道の駅、バス・ターミナルや、道路へと素早く拡げ、反対意見の人びとの犯罪者扱い、政府を批判する人びとのテロ支持者との同一視、反戦抗議運動参加者の家宅捜査や、 起訴陪審での罪状認否手続罪状認否手続、政府の犯罪を暴露する内部告発者の訴追、WikiLeaksのようなジャーナリズム組織をスパイと同一視する等々。リストは延々と続く。

アメリカとその傀儡諸国における真実の崩壊は、真実と善意こそが悪に打ち勝てる力だという小生の見解に対する最大の問題だ。西欧文明の様々な時期に起きた道徳的進歩という小生の認識は、『マトリックス』から進歩的にプラグを外すことを反映しているという可能性もある。私が改革として記憶している出来事は『マトリックス』のバラ色のガラスを通して経験したものなのかも知れない。

だが小生はそう思わない。理性は人間存在の重要な一部だ。

そうすることができる人びとはいるのだ。

想像力と創造力で鉄鎖から抜け出すことは可能なのだ。

善は悪に持ちこたえることができる。

驚くべき映画『マトリックス』が人々がプラグを外すことができることを示してくれた。

アメリカ人でさえプラグを外すことができると小生は確信している。小生はこの信念をあきらめた際には、書くことを辞めるつもりだ。

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラム www.paulcraigroberts.orgは世界中の支持者が読んでいる。

記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2012/04/23/how-liberty-was-lost/

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アメリカ・インディアン悲史  朝日選書や、アメリカン・ドリームという悪夢 建国神話の偽善と二つの原罪 三交社(いずれも藤永茂著)を読んだ後は、“始めからだ”としか思えなくなるだろう。藤永茂氏のブログ「私の闇の奥」を参照。

Paul Craig Roberts氏の記事、最近『マトリックス』とプラグを外す(unplugged)という表現が頻出する。『マトリックス』とプラグを外すことに触れたこの記事、二本目のようだ。(最初の記事4/19のものだろう。)

Matrix

個人的には、『マトリックス』より、『トゥルーマンショー』や『スライブ』、そして、つい最近公開された『タイム』のほうがよほど、現代社会の寓話としては優れていると思うのだが。

『タイム』: 我々は将来の99%だ。

  • 中国大使館員が属国で情報収集?活動すると、スパイ事件になる。
  • ジャパン・ハンドラーであれ、タレントであれ、アメリカ人が属国の政治を自由に動かし、財界幹部やマスコミ幹部が協力しても問題にならない。

最近の東京電力組合幹部発言とされるもの、本当とは信じがたい。

裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう

真実であれば、現代の大労組の、大労組幹部の腐敗極まった本質露出。

労働組合は大企業経営幹部や金融資本の一部、あるいは走狗となった。

労働条件は改悪された。原発は再稼働する。消費税は増税する。TPPには加盟する。体制に組み込まれていた人々も、体制から排除されるようになった。二十一世紀に暮らす人であれば誰でも、ご自分の経験を付け加えることができよう。

悪化は目まぐるしいものだ。悪化の影響を受ける人々の目からすれば不当なほど早かったし、誤りだらけだ。それでもなお、適切なり不適切なりに行われたにせよ、属国政策を推進するという約束、60年以上強化され続けている。

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