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2012年5月20日 (日)

消えたテロリスト事件

Paul Craig Roberts

2012年5月14日

もし本当にテロリストがいたら、ホセ・ロドリゲスは今頃死んでいただろう。

ホセ・ロドリゲスとは一体何者だろう? CIA拷問プログラムを運営している犯罪人だ。彼の犠牲者の大半は、テロリストではなく、武装反抗勢力ですらない。大半は軍閥の長達に誘拐され、懸賞金目当てに、“テロリスト”としてアメリカに売られた哀れな人々だ。

ロドリゲスの正体がかつては秘密だったとしても、今はそうではない。彼はCBSの“60ミニッツ”に出演し、イスラム教徒を拷問し、得られたとされる情報をアルカイダ指導者達の殺害に使用したのは自分だったと言った。もし国土安全保障省、FBIやCIAが主張している通り、テロリストが本当に問題なのであれば、ロドリゲスの名前は、テロリストの殺害予定者リスト上の抹消済み項目になっていただろう。彼は今頃墓の中だったはずだ。

だから、アメリカ法も国際法も拷問を禁じているにもかかわらず、拷問に公式許可を与える司法省メモを書いた、ジョン・ヨーも同様だ。どうやら、カリフォルニア大学バークレイ校法学部教授のヨーは、アメリカ法にも国際法にも無知だったもののようだ。アメリカ司法省もそうだった。

“イスラム教徒を拷問をする連中”ロドリゲスは隠れなくとも良いことに注目願いたい。彼は全国網のテレビ番組に出演し、正体を現し、イスラム教徒の拷問や殺害で自分が成功したことをさらけだすことが出来るのだ。ロドリゲスにはシークレット・サービス護衛はなく、9/11を首尾よくやってのけたとされるほどの能力があるテロリストによる暗殺の格好の標的のはずなのだ。

ポール・ウォルフォウィッツやダグラス・フェイス等の後に、イラクとアフガニスタン侵略を正当化するためのえせ情報をでっち上げたネオコン戦争挑発者連中でペンタゴンを膨れあがらせた元国防長官ドナルド・ラムズフェルドも、もう一人の暗殺の好餌だろう。ラムズフェルド自身、アルカイダ・メンバーは地球上で最も悪質で危険な殺し屋だと宣言している。ところが、ラムズフェルド、ウォルフォウィッツ、フェイス、リチャード・パール等は、ウィリアム・クリストルやマックス・ブート等のネオコン・メディア布教者連中と同様、1,000,000人ものイスラム教徒の死に責任を負っている連中への報復、仕返しを狙っているテロリスト連中に悩まされることなく、何年も無事に歩き回っている。

イラク侵略開始の嘘演説を国連で行ったコンディ・ライスもコリン・パウエルも、断固たる決意の暗殺の企みに耐えられそうもない最小限のシークレット・サービス警備しかないディック・チェイニーも、テロリストに煩わされることなく、人生を謳歌している。

ブッシュ政権がイラクの面々に対して用意した一組のトランプを覚えておられるだろうか『イラクおたずねものトランプ』? もしテロリストにも同じような一組のトランプがあったなら、先に名前をあげた連中全員が“高付加価値標的”になっていたはずだ。ところが彼らの誰一人に対しても一件の企みも起きていない。

上記の連中誰一人として、テロの脅威に直面していないというのは奇妙ではないか?ところが、オサマ・ビン・ラディンを殺害したとされている、タフで、マッチョなネイビー・シールズは、テロの標的とならない為、自らの正体をずっと隠し通さねばならない。こうしたアメリカのスーパーマン諸氏、高度に訓練された殺し屋があえて自分の顔をさらそうとしないのに、ロドリゲス、ラムズフェルドやコンディ・ライスは、仮面もつけずに歩き回れるのだ。実際、シールズの生命が非常に危険にさらされているので、オバマ大統領は、英雄的なネイビー・シールズとのホワイト・ハウス式典という、政治的にうまみのある大変な広報活動をあきらめた。政治家としては実に奇妙な行動だ。ラディン殺害とされる出来事から数週間後、シールズ部隊あるいはその大半が、アフガニスタンでのヘリコプター事故で全滅した。

もし読者が、ワシントンの犯罪に対して報復の機会を伺っているイスラム教テロリストだとすれば、ワシントンの対イスラム教徒戦争に対する唯一の責任と言えば、ワシントンの宣伝にだまされたことだけという人々を吹き飛ばすために、下着やら靴の中に爆弾を隠して、飛行機の中に持ち込もうとするだろうか? 無辜の人々を吹き飛ばしたいのであれば、空港の安全検査を受けるのを待っている大量の人々の真ん中に爆弾を置いて、乗客もとろもTSA職員も殺した方が良いではないか? テロリストは、アメリカ中の多数の巨大空港を、同じ瞬間に狙うように、攻撃を計画できるはずだろう。これが本当のテロだろう。しかも、そうすれば、TSAにとって解決不能な問題をもたらすことができる。一体どうすれば検査を受ける前の人々を検査できるだろう?

ショッピング・モールや、スポーツ・イベントを狙った攻撃も計画可能だ。

テロリストが、もし存在しているのであれば、人々を殺害せずに、簡単に破壊活動をひき起こせるのに、一体なぜわざわざ人々を殺そうとするのだろう? 警備員がいない大量の配電所がある。事あれば地域全体、停電しかねない。最も簡単な破壊的行動は、膨大な量の屋根釘を、ボストン、ニューヨーク、ワシントン DC、アトランタ、ダラス、シカゴ、ロサンゼルスやサンフランシスコで、ラッシュアワー時に道路にばら蒔くことだろう。どうなるかおわかりだろう。それこそ何千台もの自動車がパンクで身動きできなくなり、交通の大動脈を何日もふさぐことになるだろう。

どなたか読者が、小生はテロリストにいいアイデアを教えていると非難される前に、9/11を計画し、実行したとされるほど賢い連中が、これほど単純な戦術を、警備の裏をかく必要もなければ、無辜の人々を殺害することなしに実行できる陰謀を、本当に思い付かないのだろうかと自問していただきたい。小生が申しあげたいのは、テロリストが存在するのだとしたら、一体何をすべきかということではない。簡単に実行できるテロ行為が実際には行われていないということからして、テロの脅威というのは、現実というよりも、誇大宣伝ではないのかと申しあげたいのだ。それなのに、アメリカ国民に対して権力を行使する以外は、まるで本当の機能などないように見える、金のかかる差し出がましい治安機構がしつらえられている。

簡単な策謀を実行する本当のテロリストの代わりに、FBIやCIA調査官達が考え出し、哀れな、ぼけたカモをリクルートし、金を渡して、英雄になれると吹き込み、策謀を教え、偽爆発物を渡してやる“テロ”策謀があるのだ。こうした物事は“おとり捜査”と呼ばれるが、そうではない。こうした出来事は、ニセのテロ策謀を生み出し、その策謀を企んだ治安機関自身によって“くじかれる”よう、アメリカ自身の治安機関によって画策されているのだ。ワシントンの発表はいつもこうだ。“国民は決して危険にひんしてはいなかった。”またもやテロ策謀! どの件によっても、アメリカが絶滅の危機にひんしたことなどないのに、空港は11.5年間にわたり、二番目に危険度が高いオレンジ・レベル状態のままだ。

連邦の司法制度も、洗脳された陪審員団も、国民は決して危険にひんしてはいなかったという政府発表にもかかわらず、実際にこれらでっち上げられた策謀をアメリカの治安に対する本当の脅威として扱っている。

“くじかれた”策謀を発表することで、侵害的捜索、令状無しの盗聴、責任を負わない警察国家と、果てしない戦争の進展に対し、洗脳された国民を御しやすく従順な状態におきつづけることができるのだ。

“対テロ戦争”は、アメリカ憲法を破壊し、法律を、国民を守る盾から、国家の手中にある武器へと変えるため、まんまと利用されてきたいかさまだ。人身保護令状、適正手続きや無罪推定を破壊することにより、“対テロ戦争”はアメリカの治安を破壊したのだ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

igroberts.org/2012/05/14/the-case-of-the-missing-terrorists/

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まったくお説の通りと思うが、売女マスコミは絶対に彼のような正論を広めず、彼の足を引っ張るたいこもち連中しかテレビにださない。(その点、MX-TVが、孫崎享氏の国境問題論議を二度にわたって放送したのは快挙、驚き。)

世間の目を、原発推進と、消費税増税に向けている間に、ちゃっかり、TPP加盟推進体制が構築されつつある。担当窓口の人物、属国窓口省の官僚だ。アルルの男ヒロシ氏の記事「TPP政府代表に外務官僚が就いた意味―政治家はプランCを用意しているか?」を読むかぎり、永久属国化の大筋は決まっているとしか思えない。

“小選挙区・二大政党”は、日本国憲法を破壊し、法律を、国民を守る盾から、国家の手中にある武器へと変えるため、まんまと利用されてきたいかさまだ。原発を推進し、基地を強化し、思いやり予算を増大し、日米同盟を深化させ、消費者増税を強行し、TPP加盟を推進することにより、“小選挙区・二大政党”は日本の治安を破壊したのだ。

かき終えて公開した後で、五十嵐仁の転声仁語を拝読。まさに小選挙区制度の話題で、国会で参考人として意見陳述されるそうだ。「常識的な意見」が通じる国・国会であって欲しいものだ。

5月19日 国会の衆議院倫理選挙特別委員会から参考人として声がかかった

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コメント

裸の王様の話そのもの。
「王様は裸だ。」と子供が叫ぶが、大人たちは「シーッ、黙ってなさい。」と。
さて、大人たちに「シーッ」と言わせているものは何でしょう?

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