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2011年11月12日 (土)

ある退役軍人が思い出すこと

ハワード・ジン

11/12/06

"Information Clearing House"

退役軍人の日の起源に立ち戻ろうではないか。もともと停戦記念日だったのだ。1918年の11番目の月の11番目の日の11時に、第一次世界大戦が終結したためだ。

我々はあの戦争を忘れてはならない。主張が、どれほど"正しかったり"  "人道的だったり"したとて、全ての戦争の決して消すことのできない核心が、国家指導者達が嘘を使って仕組む、無辜の人々の大量殺りくである、という戦争の本質、あらゆる戦争の本質を、あの戦争が暴露したのだ。将軍連中と政治家連中が、わずか数キロ、あるいはわずか数メートルを獲得するため、恐ろしい程の犠牲を払って、塹壕の中から、銃剣を付けて、若者を前進させた第一次世界大戦は、その典型だ。

1916年7月、イギリスのダグラス・ヘイグ元帥が、イギリス軍の11師団に、塹壕を這い出て、ドイツ軍戦線に向かって前進するよう命じた。ドイツの6師団が機関銃射撃を開始した。攻撃した110,000人のうち、半数以上が亡くなるか負傷し、遺体は、無人緩衝地帯、戦う両軍塹壕間にある、幽霊が出そうな地域に散乱したままとなった。こういう状況が何年も続いた。最初のマルヌ会戦では双方で500,000人、計100万人が死傷した。

兵士達は、兵士ができることの中で最も英雄的なことなのだが、それで勲章を貰えるはずの行為に対し、反乱を始めたのだ。フランス軍では、112師団のうち、68師団で反乱が起きた。50人の兵士が、銃殺隊によって射殺された。

これら銃殺刑のうちの三件が、亡くなった映画監督スタンリー・キューブリックの反戦名画『突撃』(原題Paths of Glory=栄光への道)の基になった。映画の中で、尊大な将軍が、指揮下の兵士が退却したのを激しく非難し、 "愛国心"について語る。自分の部下達を擁護する中佐のカーク・ダグラスが、サミュエル・ジョンソンの有名な言葉を引用して、将軍を激怒させる。"愛国心は悪党の最後の避難所。"

あの戦争の道徳的正当化と考えられていたもの(邪悪なドイツ皇帝、ベルギーの赤ん坊達)は、フランスの泥の中で1000万人が死に、毒ガス攻撃され、砲撃で神経症を病み、手足を失った退役軍人が、世界に直面しているという突然の自覚で戦争が終わった後、あっと言う間に崩壊した。

あの戦争の醜悪さは、第二次世界大戦以後の戦争を、私たちの記憶の中でおとしめられないもの、あるいは少なくとも容認できるものにしてしまった、道徳的な正しさによって、分かりにくくされることはなかった。ベトナムは著しい例外だ。しかし、そこでさえも、アメリカの指導者連中は、 "ベトナム症候群"と呼んだものを、もみ消そうと必死に努力した。連中は、ベトナム戦争終結時に我々が学んだことを忘れて欲しかったのだ。指導者達を信じてはいけないこと、現代の戦争は必然的に、一般市民、とりわけ子供達に対する戦争であること、政府が大量虐殺に乗り出した際に、政府を止められるのは、断固決意した国民しかないことを。

退役軍人達の辛い経験に感謝しようという我々の素朴な感情が、少数者の権力と利益以外には、全く正当な大義無しに、彼等が亡くなり、身体障害者になったという事実を見えなくさせるのに利用されて来たのだ。退役軍人の日は、戦争を非難するのにふさわしい機会とはならず、国旗、軍服、軍歌、偽善にまみれた愛国演説を持ち出す絶好の機会となった。祝日を決定する連中は、退役軍人に対する我々の心からの感情につけこみ、恐怖の終わりを慶賀した日を、軍国主義を讃える日に変えてしまった。

私自身、対ファシズムの"良い戦争"の戦争経験者として、自分が兵役で表彰されたことを戦争賛美に利用されたいとは望まない。5000万人が亡くなった、あの戦争が終わった時、世界中の人々が "もう沢山だ!"と叫んでいたに違いない。あの瞬間以後ずっと、我々は、戦争を放棄すると決断しているべきだったのだ--そうすれば、朝鮮戦争、ベトナム戦争、パナマ戦争、グレナダ戦争、湾岸戦争、バルカン戦争はなかったろう。

そのような決意の理由は、現代の戦争は--政治指導者たちが、どのような"人道的な"動機を主張しようとも--必ずや子供達に対する戦争だからだ。我が国のユーゴスラビア爆撃によって生み出された、手足を切断した子供達、戦後の経済制裁の結果殺害された何十万人ものイラクの子供達。退役軍人の日を、全国的な誓約をする機会にするべきだ。相手側に、これ以上の戦争犠牲者は生み出しません。我々の国に、これ以上の退役軍人は生み出しませんと。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article15587.htm

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故ハワード・ジンの昔の記事。もちろん内容は全く古びない。

「退役軍人の日」、66年占領下にある属国傀儡首相が永久植民地になることを表明した。土下座外交の総決算、「第三の壊国の日」、死ぬまで忘れまい。

国会論議で、加盟の利点を全く説明できず、完全に論破された傀儡首相が。自分が宗主国のために政治屋をしていることを宣言したが、属国戦線異常無し。

飛んで火にい入る冬のブタ。

共産党・社民党は当然厳しく追求したが、佐藤ゆかり自民党議員による、知的財産権と、ISD条項に関する鋭い追求、想像もしなかった。質疑の文字おこしは、ここで読める

最後に質疑に立った社民党福島みずほ党首の追求が普通の庶民の声だろう。

今回のTPP論議により、日本で発行されている商業新聞も放送局も、宗主国の大本営広報部であることが証明された。日本語で書かれ、話される宗主国の宣伝だ。テレビに出る評論家の皆様、日本語は達者だが日本国籍ではないのだろうか?テレビを見ながら、我慢できずに、「馬鹿野郎!」と怒鳴っているので、声がかれそう。

オリンパスの損失隠しやら、巨人軍問題(個人的に、野球を全く知らないので、何が問題なのかわからない。ナベツネという名詞が出た瞬間、読む意味はないと断定している)の方を詳しく報道して、永久植民地化のためのTPP加盟声明の影を薄くしようというのだろうか?そもそも商業マスコミなるもの、ドジョウの「加盟」発表まで全くと言って良いほど、不利なことについて触れてこなかったではないか?いまさら、アリバイ造りをしてどうする?

みんなの党の売国ぶりは当然だが、ジャパン・ハンドラーに育てられた小泉進次郎、きちんと活躍して、父親に恥じない売国行為実績をあげた。

小泉進次郎を育てあげたジャパン・ハンドラーの皆様、まるで松下政経塾の黒幕のように、傀儡首相の声明直前、大挙して日本に押し寄せた。属国経済新聞、ご丁寧に、声明直前に、ジャパン・ハンドラーご一行様講演会を開催している。

あのキッシンジャー様まで押し寄せ、傀儡首相を恫喝激励したという記事、 孫崎享氏のtwitterや、ブログではみかけるが、大本営広報部として活躍する大手新聞やテレビでは、全くみかけない。「モロ属国」である指標を隠すのは、不思議なことだ。

民主党、自民党の議員諸氏の反対行動、ただの「ガス抜き」作業だったのではないだろうかと今になって思う。期待の豪腕氏、本来新自由主義ゆえ、今回も当然全く動かない。

松下電気が不買運動で潰れないのは、日本人が奴隷集団である証明だろう。

新聞社、放送局が不買運動で潰れないのは、日本人が奴隷集団である証明だろう。

何度も拝読している藤永茂氏の『インディアン悲史』、また読み直そうかと思っている。

どこまでも白人の要求を受け入れ続けたチェロキー族、最後は居住区で金鉱が見つかったため、部族大移動を強いられた。「涙の踏み分け道」の描写、今日の日本人の窮状そのままに思えてならない。

どこまでも宗主国の要求を受け入れ続けた日本人、最後は、居住区で、農業、医療、保険、特許他、24分野の金脈ビジネスが見つかったため、奴隷化を強いられた。

『インディアン悲史』について触れているブログの例

もちろん、縁日の香具師も顔負けの弁舌で、今年の流行語大賞が確実な人物の迷言通り、国民の福利厚生に「ただちには影響はない。

やがて社会制度を強引に改悪される激烈な痛みに気づいても後のまつり。ゆでカエルは、生きたまま、煮られる。国際条約は国内法より優先する。奴隷民族が生き続ける限り、窮状は未来永劫続く。

「退役軍人の日」の傀儡首相の声明の帰結は単純だ。

宗主国の侵略戦争の片棒をかつぎ、全く無辜である相手側に、これ以上の戦争犠牲者を生み出します。我々の国に、これから大量の戦争経済犠牲者と退役軍人を生み出します。

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コメント

こんにちは。
いつも本当に参考になります。

キョウ様のコメントのように
お一人様で「独裁」は成り立たず
多数様のお一人様「独裁」という当たり前のことが
自覚できませんね。

大阪のハシシタにしても
世界が一人の人口だったら
お一人様で「独裁」は独裁ではないわけで、
支える多数が独裁をつくっている事実。
悲しいです。


非難するばかりでは芸がないのでアメリカを持ち上げることも書いておきます。
例えば映画「アダムス・ファミリー2」ではホラー映画ながら、もろにインディアンの悲劇を作中で描いていたり、「ゼイリブ」では格差問題をエイリアンのせいにはしているけれどあれが何の例えになっているかなんて言うだけ野暮です。
両方とも娯楽作品ながら強烈に皮肉っていて痛快ですよ。秋の夜長のお供にいかがでしょうか。

結局同じことなんですよね。
インディアンに対するやり方にせよ、海外侵略行為(傀儡政権樹立行為)にせよ。
それが彼らの本質で、それぞれの局面でその性質が出てきているだけ。
その性質が国内で自国民に発揮されると例の極端な格差問題に繋がる。

アメリカの上位1%は今度は自国の下層をインディアンに近い状態に追いやったと
いうことでしょうか。問題を引き起こす連中が仕切り続ける以上これから先も
似たような現象が出てくるのでしょね。もっともその1%を支えている自覚のない
連中の存在がさらに厄介だったりしますね。
独裁は独りでは出来ず、独裁者を立てることで得する連中とそれに従う人間が
いて初めて成立しますが表面的な表現形態が独りでも上位1%でも意味合い的には
大差ないですね。

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