« "反対派をでっちあげる": 大企業が資金援助する抗議運動 | トップページ | カダフィの死でリビアの戦争は終わらないと専門家 »

2011年10月23日 (日)

歴史の終わり

Paul Craig Roberts

2011年10月20日

"Information Clearing House"

CIA代理部隊によるカダフィ殺害後、リビアの次はどこだろう?

もしワシントンの計画が成功すれば、リビアはアメリカのもう一つの傀儡国家になる。都市、町、インフラの大半は、アメリカとNATO傀儡諸国空軍の空爆によって破壊された。これで、アメリカとヨーロッパの大企業は、リビア再建に、アメリカの納税者の金でまかなわれる、もうけの多い契約を得られるのだ。新たな不動産は、ワシントンが選んだ新たな支配階級を懐柔すべく、彼等に入念に分け与えられる。これでリビアは、ワシントンに首根っこを押さえられるわけだ。

リビアを征服したので、AFRICOM(アメリカ・アフリカ軍)は、中国がエネルギーや鉱物に投資をしている他のアフリカ諸国に取りかかるだろう。オバマは既に、終身独裁者に反対する小規模な反政府部隊である「神の抵抗軍」を打ち破ることを口実に、米軍兵士を中央アフリカに派兵している。共和党議員で下院議長のジョン・ベイナーは、米軍兵士を中央アフリカに派兵することは“アメリカの国家安全保障の利益や外交政策の推進になる”と発言し、更なる戦争の可能性を歓迎した。共和党上院議員ジェームズ・インホフは、この上院議員が、リビアや、パレスチナや、イラクや、アフガニスタンやパキスタンの子供達に対しては感じていなかった懸念、“ウガンダの子供たち”を救うのだと、道徳的饒舌を付け加えた。

ワシントンは、大パワー・ゲームを復活させて、中国と張り合っている。中国はアフリカに、投資とインフラという贈り物をしているが、ワシントンは軍隊と爆弾と軍事基地をもたらしている。遅かれ早かれ、中国とロシアに対するワシントンの攻撃性は、もろに炸裂するだろう。

ワシントンのアフリカ帝国に資金を供給する金は一体どこから来るのだろう? リビアの石油からではない。その大部分は、むき出しの侵略である、ワシントンによる最新の戦争に隠れ蓑を与えてくれたお礼として、フランスとイギリスに、既に約束済みだ。正確に計れば、失業が23パーセントという、崩壊しつつあるアメリカ経済の税収からではない。

これだけ膨大なワシントンの年間財政赤字であれば、金は印刷機で生み出す他はない。

ワシントンは既に印刷機をしっかり稼働しており、全ての都市消費者の消費者価格指数は(CPI-U)年間、3.9%(9月末時点で)に、都市の給与生活者や事務職労働者にとっての消費者価格指数(CPI-W)は、年間4.4%に、生産者価格指数(PPI)は年間、6.9%に上がっている。

統計学者のジョン・ウイリアムズ(shadowstats.com)が示している通り、公式インフレーション指数は、社会保障受給者の生活費調整コストを低く抑えて、ワシントンの戦争用の金を工面するために、不正操作されているのだ。正確に計算すれば、現在のアメリカにおけるインフレ率は、11.5%だ。

貯蓄者が、ギリシャ国債の膨大なリスクをとらずに得られる利子率はいったいいくらだろう? アメリカの銀行は、連邦預金保険会社によって保証された預貯金には、0.5パーセント以下しか利子を払わない。短期アメリカ政府国債に至っては、金利は事実上ゼロだ。

かくして、公式アメリカ政府統計によれば、アメリカ人貯蓄者は、その元本の3.9%から4.4%を、年々失っている。ジョン・ウイリアムズの本当のインフレ率推計によれば、アメリカ人貯蓄者は、積み立てた貯蓄の11.5%を失っているのだ。

退職したアメリカ人達は、貯金に何の利子も得られず、資産を食いつぶすしかない。受け取る利子はマイナスで、受領するあらゆる年金がインフレで目減りするので、積立てた資産を使い尽くしてしまえば、最も用意周到な退職者が生き延びる能力さえ、終わってしまうのだ。

ワシントンごひいきのメガ・リッチ、近年の所得の全てをぶんどった1パーセントの連中を除けば、他のアメリカ人は、ごみ箱行きの運命を割り当てられている。2007年12月に金融危機がおきて以来、彼等のためには一切何もなされていないのだ。ブッシュやオバマ、共和党や民主党は、1パーセントを救うことに注力し、 99パーセントの人々に向かって、中指を突き立てて、侮辱している。

十分な人数とは言えないが、とうとう一部のアメリカ人は、自分たちを歴史のごみ箱に追いやる、国旗を振り回す熱狂的“愛国心”の正体に気がつき始めた。彼等は戦うことなく屈服はせず、街路に繰り出している。ウオール街占拠運動は広がっている。この運動の運命やいかに?

冬の雪と氷で抗議行動は終わるのだろうか、それとも抗議参加者達は公共建築に入り込むのだろうか? ワシントンに従順な現地当局は、国民が、もはや政府を全く信頼していないという明白な兆候に、一体どれほどの期間耐えることができるだろう?

もし抗議運動が続けば、特に運動が拡大し、衰退しないのであれば、当局は抗議行動参加者の中に、警官に対して発砲する警察側工作員を潜入させるだろう。これは抗議行動参加者を射殺し、生き残った人々を“テロリスト”やら“国内の過激派”として逮捕し、アメリカ政府が、チェイニーのハリバートン社との契約で、3億8500万ドルをかけて建設した収容所におくる口実となるだろう。

全体主義的アメリカ警察国家は、全体主義的アメリカ強制収容所国家へと至る次のステップに進むだろう。

一方で、忘却された保守派は、同性愛者の結婚、妊娠中絶や、“リベラルなマスコミ”による国の没落を嘆きつづけている。アメリカ自由人権協会等の、市民的自由の擁護を誓うリベラル団体は、アメリカ憲法を擁護しながら、妊娠中絶という女性の権利を非難し続けている。アムネスティー・インターナショナルは、オバマ大統領の戦争犯罪を見て見ぬふりをしながら、ワシントンが次の軍事攻撃標的を悪魔化するのに手を貸すだろう。

ワシントンに金を払って得た保護の下、イスラエルが、処罰を免れて、行っている物事の数々、戦争犯罪、子供達の殺戮、国際法を全く無視した、先祖伝来の家からのパレスチナ人の立ち退き、狂信的な“入植者”を入居させるために、彼らの住宅をブルドーザーで押し潰し、彼等のオリーブ園を根こそぎにする、レバノンとガザの残虐な侵略、一般市民の大量殺人等を考えれば、イスラエルを好きなままにさせているワシントンは、益々多くの悪事を逃げきれるだろうと結論せざるを得ない。

21世紀初頭の数年で、ワシントンは、世界に対する覇権を獲得するため、アメリカ憲法、権力の分立、国際法、政府の説明責任をぶち壊し、あらゆる倫理基準を犠牲にしてきた。このワシントンの野心的計画は、異常に巨大な強欲の本拠地ウオール街を巡るあらゆる規制を取り払い、アメリカ経済を破壊するというウオール街の短期的展望を許し、ワシントンによる世界への攻撃の経済基盤を破壊しながら、同時に企てられているのだ。

アメリカは、世界を支配する前に、経済的混乱の中で崩壊するのだろうか?

Paul Craig Roberts博士は、レーガン大統領により財務次官補に任命され、アメリカ上院によって承認された。ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者、コラムニストであり、ジャック・ケンプ下院議員とオリン・ハッチ上院議員の個人的スタッフの一員を勤めた。元下院国防歳出小委員会スタッフ・アソシエート、元上下院合同経済委員会スタッフ・アソシエート、下院予算委員会チーフ・エコノミスト、共和党スタッフ。ケンプ-ロス税率削減法案を起草し、サプライ・サイド革命のリーダーだった。六つの大学で経済学教授を勤め、多数の本と学術論文の著者である。議会委員会で、30回証言している。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article29468.htm

----------

さすがの筆者も、帝国延命の為、日本を永久属国にするTPP作戦、ご存じないのだろう。

講読している新聞に、「カダフィ死亡」という見出しがあった。婉曲語法・歪曲の極み。

常識的には「カダフィ殺害」が適切だろう。結果としては、死亡ではあるが。

それをにんまり報じる宗主国幹部の笑顔。どちらが、人類に、より大きな不幸をもたらしているか、考えるまでもない。そのより大きな不幸を推進することが、属国政治家、官僚、マスコミの業務。

イスラム教徒の人々、本当に、アメリカ、西欧によって、カダフィ体制が破壊されたことが嬉しいだろうか?イラクの広場で、フセイン銅像を引き倒す光景は、後にヤラセであったことが明らかになった。あの時も、歓呼して、倒された銅像を靴でたたく連中が映った。

911が、本当にアメリカの暴虐に対するイスラム教過激派による報復なのであれば、侵略戦争推進に、資金、兵站、ハイテク武器開発で大いに貢献しているこの国に、真っ先に報復をしていて不思議はない。なぜか、いまだに報復がない。

首相インタビューのヨイショ番組をゴールデン・タイムに放送する国営放送も、アルカイダの格好の標的になるはずだろう。スカイ・ツリーは、理想的な的かも知れない。

この属国の二大政党政治家、財界幹部、高級官僚が、あられもない従米政策を堂々と推進できるのは、アル・カイダなぞあるかいな、と分かっていればこそに違いない。

日経にも、とんでもないTPPプロパガンダ記事が載っているようだ。属国大本営広報部のマスコミより、次のネット記事のほうが、はるかに小生の実感に近い。アラブの春に希望を見ておられるところには、賛同しかねるが。

本澤二郎の「日本の風景」(900)<独裁者の殺害>

« "反対派をでっちあげる": 大企業が資金援助する抗議運動 | トップページ | カダフィの死でリビアの戦争は終わらないと専門家 »

アメリカ」カテゴリの記事

チュニジア・エジプト・リビア・アルジェリア」カテゴリの記事

カラー革命・アラブの春」カテゴリの記事

ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 歴史の終わり:

« "反対派をでっちあげる": 大企業が資金援助する抗議運動 | トップページ | カダフィの死でリビアの戦争は終わらないと専門家 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ