CIAかCKA"中央殺人局"か
ボリス・ヴォルホンスキー
2011年9月2日
ヴォイス・オブ・ロシア
9月6日、デービッド・ペトレイアス大将が、公式に新CIA長官として就任する。彼は一体どのような財産を受け継ぐのだろう?
偶然か否か、9月1日木曜、ワシントン・ポストは、中央情報局(CIA)の新たなプロフィール概要を詳細に書いた長大な記事を掲載した。世界のあらゆる場所、特にイエメンに特に焦点を当てた中東の、無数の例を分析し、諜報情報を収集するのではなく、現在、CIAは主として、容疑者を見つけ出し、裁判無しで殺害することに従事していると同紙は結論している。
中央情報局は、機関の中の機関、世界中のテロリストを追跡し、抹殺する任務を課された特殊部隊「対テロ・センター」を設置した。
同紙によると、変化は“その規模を把握するのが困難な程、緩やかだった”だが、事実そのものが物語っている。
創立時、CTCの職員は、およそ300人だったが、現在は総員約2,000人(CIA総職員数の約10パーセント)で、アルカイダの全人員を超えている。
CTCができた当初の段階に用いられた戦術は、思いも寄らぬ、未来的なものに思われていたが、今や日課のようなものとなった。これは主として、2,000人以上の戦闘員と民間人を殺害し、パキスタンのような、過去のものとなった同盟国とアメリカの関係を、取り返しがつかないほど駄目にしてしまった、悪名高い無人機攻撃にかかわる。
実際、公式的に、CIAの主な狙いは、データを収集し、為政者の用の助言を作り上げるというものだったが、今や“勝手気ままな実施”官庁と呼べるような、人狩りを主要業務とする、ある種、準軍事部隊へと変化している。
変容は、国内的にも世界的にも、既に影響を与えている。
“典型的な”諜報職員達は、CIA業務が純粋に分析的なものだった頃を懐かしんでいる。
人権活動家達は、無数の人権侵害と無差別殺人を指摘している。
アメリカ、そして海外の非常に多くの人々が懸念しているのは、 監督当局に対する、いかなる透明性のある報告も無い方法で、CIAが“殺人装置”として機能しているという事実だ。二十世紀SF最悪の悪夢の実現だ! しかも、CTCの幹部たちは、その事実を誇りにしているかのようだ。ワシントン・ポストは、CTCのトップが、“我々は今、こいつらを、連中が育てられるよりも早く、殺害している。”と語っているのを引用している。
グローバル地政学からして、最も深刻なことは、最近のCIAの活動が、世界の指導者としてのアメリカの立場を台無しにしたという事実だ。中央情報局は、パキスタンとの関係を駄目にしてしまった。多数の死傷者を出しているにもかかわらず、アフガニスタン国内では、なんの目的も達成できていない。逆に、アフガニスタンからアメリカ軍が撤退する前に、事態は悪化しつつあり、8月は、10年戦争全体の中でも、最悪の月となった。主要な焦点であるイエメンを含めた、民主的というよりは、過激なイスラム教的な革命が、今や、不可避に見えるアラブ世界における、広範な党派と、CIAは疎遠になってしまった。
移行が可能となった理由の一部には、元CIA長官レオン・パネッタが、こうした制度の部外者であり、諜報には経験がさほど詳しくなかったという事実もありそうだ。従って、情報部員達が、文民統制を超えるようなシステムを構築しても構わないと思えたのだ。
ここで新長官が着任する。37年の軍経験を持ってはいるが、諜報という点では、ごくわずか、または、全く経験がない。次第に変身しつつある準軍事的な怪物にとって、それは一体どのような意味をもつだろう?
一方では、CIAと軍とのより密接な協力ということも意味し得る。だがそれは、やがて、外国領土での、無人機攻撃や、特殊部隊の急襲(2011年5月、パキスタンでネイビー・シールズが実行した)等の作戦範囲を、強化、拡張し、何であれ新たな方法が今後開発されるだけのことにもなりかねない。しかし、それで文民統制が強化されるのだろうか? 答えられる人がいるだろうか?
CIAを、CKA(中央殺人局)と改名する頃合いではなかろうか。
記事原文のurl:english.ruvr.ru/2011/09/02/55566607.html
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野田佳彦首相が10日発売の月刊誌「Voice」に、外交・安全保障や財政に関する基本的な考えを記した「わが政治哲学」と題する論文を寄稿していることが6日分かった。外交面では「日米同盟を堅持していく」と重ねて強調した上で「いま、この時期に東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はない」として、鳩山由紀夫元首相が掲げた「東アジア共同体」構想に否定的な見解を表明している。(2011/09/06-18:37)
手回しのいいことだ。結局、我々は、政界、財界、官界、マスコミ総ぐるみの、下手な茶番芝居を見せられているだけのこと。ねじれは支配階級と支配される国民との間にあり。日本は二つ、売国二大政党と属国奴隷。ただし、奴隷が暴動など起こさず、進んで売国奴を支持する美しい属国日本。
現総理、財務省、つまり宗主国東京派出所の傀儡であることを益々露骨にしている。先のことを想像するだけで、つらくなる。
増税、TPP、電力値上げ、そして、水、魚、米を含め汚染食品まみれの生活が、ほぼ永遠に続く。汚染不沈空母の片隅で暮らす庶民の生活、益々困難になる。決して暴動がおきないこの国の為政者、世界で一番幸せな為政者に違いない。
それでも、二大政党なる虚構に夢を見続けられる皆様がおられる。うらやましいことだ。
外では、宗主国、内では、松下の二重傀儡。
本澤二郎の「日本の風景」(871)<松下政経塾内閣の二重権力>
政治改革の失敗によって自縄自縛となった日本政治 (五十嵐仁の転成仁語)というだけのこと。もちろん、小選挙区・二大政党プロパガンダを推進したマスコミ、永遠にこの話題にはふれない。小選挙区制度の悪に触れないことこそ、彼らの仕事。
原発安全神話の修復と、米日安保・同盟神話の維持・強化が大本営広報部の本務。
ヴォルホンスキー氏の文章にある通り、無法な組織的侵略・殺害をすすめる宗主国と「同盟を堅持していく」国、イスラム原理主義者による原発テロではなく、オウン・ゴール国家テロによって、決定的な国家衰退を開始した。国というもの、いつかは衰退・滅亡するのだろうが、この国では、属国化の程度が激化すると同時に、衰退・滅亡の速度が劇的な超高速早回しとなった。愛国教科書という、宗主国に跪きながら、歪んだ民族主義を煽る売国洗脳教科書で、いくら子どもをゆがめても、なだれのような衰退の勢いは止まるまい。
参勤交代ででかける宗主国とこの属国、どういう共通価値を持ち得るのだろう。
宗主国支配者と属国支配者であれば、国民から一層搾取し、自分たちの懐に入れるという共通価値、確かにあるだろう。
もちろん搾り取った金の多くは宗主国に献上し、残りを、悪代官・悪徳商人連中が「お主も悪よのう」と山分けする。
宗主国と属国の庶民にも、さんざん搾り取られ、最後は棄てられる、という共通の運命はあるだろう。決して共有したいものなどでは無いのだが。
そこで、とりあえず、一句。
一筆啓上火の用心汚染撒かすな馬肥やせ
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エリート層をもっとも無能にするには現場から遠ざけることです。また例え現場視察に来てもきれいな部分しか見せないことです。これで幾ら能力があるものでもまともに判断出来なくなる。例えばマスコミ。現場取材に行かない連中が社の方針を決めたり、お役所クラブからデータをもらって発表するだけなら実態社会とのリンクは切れます。役人も下の方はともかく上に行くほど実態から乖離します。格差社会というより分断社会とでも言うのでしょうかね。いや、むしろ「エリート層の引きこもり現象」でしょうか。現実を狭い範囲しか見ることが出来ない引きこもりが指示を出すので世の中無茶苦茶になっていきます。
例えば太平洋戦争時に現場の指揮官は優秀だった話を聞くこともありますが、その上は次々無駄に自分の兵隊を殺す指示を出していたわけです。要するに上を甘やかして役立たずにしてしまっている現象です。上に立つということは当然下の立場まで包括して考えられなければその役割を果たせません。ましてや上に立って身勝手な指示を出して自己責任なんて言う大将は存在するだけ害悪ですのでさっさと潰した方が下々のためになります。もっとも民衆の方にその判断能力があるなら自浄作用が働いたでしょうから人類が最初から持っている欠陥構造なのでしょうね。
投稿: キョウ | 2011年9月11日 (日) 22時20分
「東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はない」という野田さん。
小ビジョンくらいはお持ち合わせでしょうか?。
投稿: 野次 | 2011年9月 8日 (木) 08時36分