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2011年7月

2011年7月30日 (土)

福島第1原発・廃炉: 誰も欲しがらない使用済み燃料棒

2011年7月25日

福島第1原発の廃炉プロセスは、大変なコストをかけて進行中だ。しかし、廃棄した核燃料を保管すると手をあげている国は無く、安全に貯蔵できる地域ではない日本にとって、これは重大な懸案事項だ。我々は、使用済み燃料棒貯蔵の可能性を検証し、使用済み核燃料貯蔵を進める上で、もたらされる倫理的なジレンマにハイライトを当てる。

福島第1原発の廃炉、既に進行中

アジア特派員、Paul French

福島第1原発の廃炉プロセスは、既にできる所から進行中だ。これは、金がかかる事業だ。今年5月、3月31日に終わる財政年度で、東京電力は、153億ドルもの膨大な損失を計上した。主に福島第1原発事故によるものだ。東京電力の損失の内、80%は、福島第1原発の原子炉の廃炉による一時的な打撃、3月11日の地震後、原発の放射能を現場で食い止める取り組みによるものだと考えられている。

日本、そして事実上、世界の原子力産業にとって、主要な問題は、廃炉にした福島第1原発の、使用済み核燃料棒を誰が引き取るかだ。現時点では、これが廃炉プロセスを、ひどく行き詰まらせている問題だ。

3月11日の事故後、明らかに多くの燃料棒は極めて放射能が強く、一部溶融しており、中には致死率が高いプルトニウムを含んでいるものもある。コンクリートで埋める前に、7トン以上の使用済み燃料棒を、福島第1原発から取り出し、永久貯蔵施設原子炉に移さねばならない。燃料棒や、他の核分裂性物質を取り出すということは、それを外国に送り出すということだ。不安定で地震に弱い日本の特質からして、耐震性の施設が作れず、長期間の貯蔵には適さないのだ。東京電力は、日本最初の貯蔵施設、5,000トンの廃棄物センターを、福島の北480キロのむつ市に建設中だ。ところが、そこは2013年まで稼働しない。

単刀直入な解決策?

問題に対する、単刀直入な解決策があるに違いない。アメリカで、104基の原子炉によって生み出される高レベル放射性廃棄物用の一連の長期地下貯蔵サイト(35の州に、76カ所)がある。何千本もの使用済み核燃料棒(60,000トン)では、こうした原発で、原子炉から取り出した使用済み核燃料を冷却するため、コンクリートと鋼鉄の中に貯められた水のプールに貯蔵されている。

NPTの下、日本が核兵器能力を開発するのを防ぐため、日本の原子炉の使用済み核燃料は、貯蔵あるいは再処理のため、アメリカに移送すべきことと、アメリカは規定していた。ところが、アメリカの貯蔵サイトは、現在、議員や住民の激論の的となっており、ワシントンは、福島の廃棄物を引き取ることを嫌がっているように見える。事実上、アメリカは、1970年に、元々日本に課した要求を撤回した。そこで問題は、どこに使用済み燃料棒を送るかということだ。

候補地域

日本の新聞報道によれば、三つの候補地域が提案され、東京電力と廃炉事業の提携企業、フランスのアレヴァ社から接触があった。カザフスタン、中国、モンゴルだ。施設が最も高度と考えられ、安全手順がより優れており、また(民主主義で運営する企業にとって、むしろ居心地が悪いことだが)中国なら、日本の使用済み核燃料が道路から到着するのを大衆から隠すことができるだろうことから、東京電力は中国を好んでいるように思われた。

ところが、中国の国民がパニックの兆しを示し、初めて核政策を巡る懸念が表明され、この解決策は間もなく不可能となった。更に 第二次世界大戦以来の日本と中国の歴史や、北東中国での化学兵器廃棄物という、いまだ燻っている問題のおかげで、この解決も、もはや実行不可能だ。

モンゴルは、日本の使用済み核燃料棒のみならず、他のものも引き取るようという圧力を受けている。東京とワシントンは、モンゴルに、使用済み核燃料貯蔵施設を共同で建設したがっていると、毎日新聞は報じている。これで、反放射性廃棄物活動家達が、モンゴルは他国が棄てた核廃棄物のごみ廃棄場ではないと主張しているモンゴルで、論争に火がついた。したがって当面は、ウランバートルも見込みがあるようには思えない。

他の代替案

他の、人口が少く、より発展した、いずれも活発なウラン採鉱産業がある国々、特にカナダとオーストラリアも話題にのぼった。カナダも、オーストラリアも、ウランを日本に輸出しているので、彼らが自分の顧客の放射性廃棄物に対処するのは理屈にかなっていると主張する人々もいる。

元ジャパン・タイムズ紙編集者で、現在は香港を本拠とする環境運動家の島津洋一氏は、このプロセスを、冷蔵庫が壊れた際に、冷蔵庫メーカーが引き取るという、しっかり根付いた慣習になぞらえる。廃品回収だ。とはいえ、おそらく当然、カナダとオーストラリアの反核運動家達は、この発想にはさほど乗り気でなく、カメコ社やリオ・ティント等、これらの国々の大手ウラン供給業者は、追加コストを引き受けることに、ほとんど関心を示していない。

島津洋一氏が指摘している通り、オーストラリアもカナダも、積極的でかなり利益のでるウラン商売をしている国であるにもかかわらず、キャンベラとオタワの議会を、他所に設置するのはいいが、近くではいやだという抗議デモの参加者達が包囲することが予想される以上、いずれの国も、近い将来、日本の使用済み核燃料棒を引き取ると申し出ることはあるまい。

行き先の無い使用済み燃料棒

そこで、原子力産業と天災による、厄介で嫌われ者の副産物、福島第1原発の使用済み核燃料棒は、埋設場が無いままとなる。多くの専門家達は、究極的には、土地が十分に有り、収入が欲しい国、おそらくはモンゴルが、いつかは廃棄物を受け入れるだろうと考えているように見える。しかしながら、先進国が拒否する有毒廃棄物の受け入れを、金に困った発展途上国にたよることは、責任ある道徳的廃炉の未来にとって、良い前兆とは言えまい。

記事原文のurl:analysis.nuclearenergyinsider.com/industry-insight/decommissioning-fukushima-1-rods-nobody-wants

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日本の原発運営を巡る全ての組織の「安全神話」のでたらめさは、社会常識となっているが、記事にあるような、中国の技術への信頼も、高速鉄道事故で大きく損なわれている。

むつ市に建設中の施設、「中間貯蔵施設」ということになっている。青森県広報ページ、使用済燃料中間貯蔵施設の概要

原子力資料情報室通信378号(2005/12/1)

最近出版された『原子力ムラを超えて』ポスト福島のエネルギー政策 (飯田哲也・佐藤栄佐久・河野太郎著 NHKブックス)にあった佐藤栄佐久氏のあとがきの一部を引用させていただこう。佐藤栄佐久氏のような方にこそ、日本の首相なり、福島知事なり、原発事故調査委員長になっていただきたいものだ。

 同じとき、福島県にはSPEEDIがはじき出した、放射性物質の飛散状況予測が入ってきていたが、なぜか公開されず、避難の役に立たなかった。四月になって公開された地図には、町長と町民たちが避難していた場所が真っ赤に染められていたのである。県議会の全員協議会で問いただされた県の部長は、独断で公開しないことに決め、警告もしなかったと答えた。恐るべき不作為である。別の町長は、事故の情報は入ったのかとの質問に「テレビ」、「テレビ」、「テレビ」と何度も答えた。国や県から情報が流れてこない。これは、「棄民」にほかならない。

 海江田大臣の動きは、今度の事故にまったく学んでおらず、むしろ古い原子力政策を強化する方向に作用してしまっている。それが私にとって大きなショックだった。スターリン時代の腐った体質がチェルノブイリ事故を生んだように、人の善意を逆手にとる日本の役所の腐った体質-それは経産省だけでなく、検察、厚労省も含む-が今度の原発事故を生んだと私は思う。「自主・民主・公開」を原子力開発の原則とする原子力基本法の精神は、民主主義のそれと同じであったはずだ。

 日本が当たり前の民主主義の国家に、せめてヨーロッパ並みの民主主義国家に変わるのが、東日本大震災と福島原発事故からの最小限の教訓ではないだろうか。

 どうしようもなく劣化している日本。その体質を本当の意味で変えていかないと、日本からは人も金も脱出していく。三流国から四流国への転落を意味する奈落の底が、口を開けて待っている。

 みなさんは、そこに黙って入っていきますか。

阪神大震災が問う現代技術』星野芳郎・早川和男[編]1996年4月10日発行、にあるお二人の対談「神戸の復興はどうあるべきか」を読んで大いに納得した。佐藤氏のおっしゃる、腐った体質のうまい表現。同書には、「日本の原発は本当に大丈夫か」という記事も当然載っている。150ページ。そのまま、フクシマにぴったりあてはまる、問題提起。

73-74ページの一部を引用させていただく。

 星野 (一部略)行政の集団に入ってしまったら集団意識の恐ろしさでお互いに連鎖反応になってしまうんです。オウム教を見ればわかりますが、あれは典型的な集団意識の連鎖反応なんです。学者もそうです。だからオウム教を笑えないわけです。極端にいえば大企業や行政のサラリーマン集団の大部分はオウム教的存在なんですよ。知識人もオウム教のなかの知識人と同じような人が多いですよ。

 早川 オウム真理教と学者や神戸市政も同じということですね。

 星野 だから神戸市長は麻原のようなもんですね。そう考えればきれいに問題は解けます。麻原はすごくとんちんかんでしょ。神戸市の市長もすごくとんちんかんじゃないですか。まったく同じ存在なんですよ。

(中略)

 早川 神戸市長と麻原が同じだというのは結局……。

 星野 あそこまでいくと脳細胞の構造が違うと思いますね。住んでくれと頼んだ覚えはないとか、防災を考えていたら経済は成り立たないだとか平気でいうわけですよ。そんなことは極めて簡単に論駁できることです。市長は平気でそういう幼児的なことをいうわけです。しかも市長がいうとその幼児的な発言に、高級官僚はへいこらへいこらし、大学教授もとんちんかんなことにへいこらする。それは麻原に対して側近のエリートたちがへいこらするのと同じことです。

 早川 それから神戸市長はものすごく差別するんです。へいこらする役人は出世する。それは麻原も一緒ですね。

 星野 だからオウム教というのはある意味で日本社会の縮図です。

 早川 しかしこれをひっくり返すには、麻原は捕まえて裁判するからいいけれど、市長を捕まえて裁判するわけにはなかなかいかない。どうすればいいでしょうね。

 星野 ささやかでも火を消してはいけないですね。まるで無駄なようにみえますが、火を守る以外に道はないですよ。国際情勢からいっても情勢は非常に悪い。(以下、略)

政府、二大政党と大宗教政党、官庁、学者、企業経営者、労組、マスコミの総暴走・メルトダウン、巨大な「オウム」連中と思えば、異常な言動をする理由がわかる。どの組織も、「オウム」文化に忠実でなければ、出世できない。

経産省大臣や幹部、不安院、御用学者を捕まえて裁判するわけにはなかなかいかない。どうすればいいでしょうね。

この記事の主題に関する下記ドキュメンタリー番組、NHKで放送された。

終わらない悪夢(放射性廃棄物はどこへ)

終わらない悪夢(続・放射性廃棄物はどこへ)

2011年7月28日 (木)

傀儡達、反乱中: アフガニスタン、イラク、パキスタンとアメリカ合州国

Prof. James Petras

2011年7月23日

"Information Clearing House"

帝国は、帝国の支配者の命令通りに行動する現地協力者の昇格と、支援を通して、建設される。現地協力者達は自分がその地位に留まれるのは、帝国のご主人様に許容される限りにおいてであることを理解した上で、権威といううわべの象徴と、財政上のお恵みが与えられる。帝国に協力する連中は、占領された国民や植民地レジスタンス勢力からは、“傀儡”または“裏切りもの”、西欧のジャーナリストや評論家からは、“子分 ”、スポンサーや雇い主に忠実である限り、帝国の書記やら官僚からは“忠実な同盟者”と呼ばれる。

二十世紀中、傀儡支配者には、長く、不名誉な歴史がある。中米とカリブ海地域でのアメリカ侵略後、アメリカ企業や銀行にとって有利な政策を実施し、アメリカの地域支配を支援するため、一連の残忍な傀儡独裁者が権力に据えられた。ハイチのデュバリエ(父と息子) 、ドミニカ共和国のトルヒーヨ、キューバのバチスタ、ニカラグアのソモサ(父と息子)や、他の多数の独裁者達は、経済支配を苛酷に略奪しながら、帝国の軍・経済権益の保護のために役立った。

傀儡を使った支配は、大半の帝国の特徴だ。イギリスは、部族長を、収税官として支えたり、イギリス人将軍の下に仕えさせるため、セポイをかき集めるのに、インドの王族を支援したりするのに優れていた。フランスは、フランス語を話すアフリカ人エリートを育成し、ヨーロッパとアフリカにおける帝国主義戦争用砲弾の餌食要員とした。日本等の“後発”帝国国家は、満州で傀儡政権を樹立したり、ドイツは、占領下のフランスで、ヴィシー傀儡政権を、ノルウェーでは、キスリング政権を推進したりした。

植民地独立後の支配: 民族主義者と、新植民地主義傀儡

第二次世界大戦に続く、強力な民族解放運動、反植民地運動が、アフリカ、アジアと中南米における、ヨーロッパとアメリカの帝国支配に異議を申し立てた。ヨーロッパや日本における再建用の膨大な費用と、植民地戦争継続に反対する国内の大衆運動に直面して、アメリカとヨーロッパは、自分たちの経済的な財産と、軍事基地を‘政治協力者’によって維持することを狙った。そうした連中は、行政、軍事、政治上の責任を負い、公式には独立した国と、その新旧宗主国との間の新たな絆を構築した。植民地時代と、植民地独立後の政権の間の経済的・軍事的構造の連続性は、‘新植民地主義’として定義された。

外国による資金援助は、‘現地’の資源・財源を私物化するブルジョア政治家連中を生み出し、彼らを豊かにし、彼らは、帝国による資源採取を隠すものとして役立った。軍事援助や、教育訓練派遣団や奨学金留学によって、帝国こそ大事という‘世界観’と忠誠心を吹き込まれた新たな世代の軍・民官僚が育成された。新植民地主義の支配勢力の脆弱さ、彼らのわずかな支持基盤や、政治的独立に伴う社会・経済構造の実質的な変化に対する大衆の要求にかんがみて、軍-警察-行政機構が、帝国の支配者達によって、新興秩序の最善の保証人とみなされたのだ。

植民地独立後の時期は、長期的で、大規模な反植民地主義・社会革命(中国、インドシナ)、軍事クーデター(三大陸中で)、国際的内戦(朝鮮半島)や、民族主義・人民主義転換の成功(イラク、インド、インドネシア、エジプト、アルジェリア、アルゼンチン、ブラジル、ガーナ等)の動乱が続いていた。一番最後のものは、非同盟運動の基盤となった。あからさまな‘植民地入植者政権’(南アフリカ、イスラエル/パレスチナ、南ローデシア/ジンバブエ)は例外だった。帝国と現地エリートとの間の特定の勢力関係による複雑な“交際”は、非植民地化し、新たに独立した国家の収入、貿易と投資を、概して増大させた。独立は、大規模な国家介入と混合経済に基づく内部力学を生み出した。

過激な民族主義者や社会主義者の蜂起という植民地独立後の時期は、三大陸の大半で、十年と続かなかった。1970年代末までに、帝国が支援したクーデターが、コンゴ、アルジェリア、インドネシア、アルゼンチン、ブラジル、チリや、他の無数の国々で、民族主義的・人民主義的、社会主義政権を打倒した。旧ポルトガル植民地、アンゴラ、モザンビーク、ギニア・ビサウなどの新たに独立した急進的政権や、アフガニスタン、イラク、シリアや中南米の民族主義者政権や、運動は、ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊と、中国の資本主義転向によって大幅に弱体化した。アメリカは、軍事上、経済上の対抗勢力無しの、唯一の‘超大国’のように見えた。アメリカとヨーロッパの軍事・経済帝国建設者連中は、天然資源を搾取し、何千もの公企業を収用し、軍事基地のネットワークを構築し、帝国支配を拡張するための新たな傭兵軍を徴募する好機を見いだした。

新たな米帝国がとるであろう姿について疑問がわき起こる。つまり、残った民族主義の支配者達を追放する手段だ。同様に重要なのは、ソ連崩壊と中国/インドシナが、資本主義に転向したことで、植民地独立後の帝国建設という強力な推力を正当化するのに、いかなるイデオロギー、あるいは‘議論’が、役に立つのかということだ。

ワシントンの新世界秩序: 植民地主義復興と現代の操り人形製作

国家独立闘争(1945-1970年代)時代の敗北からの、西洋帝国主義の回復には、新帝国秩序の大規模な再建が含まれる。ソ連の崩壊後、東欧を帝国の衛星国として組み込み、その後に起きた、過激な民族主義者(アンゴラ、モザンビーク等)の、資源・財源を私物化できる自由市場への転向により、争う者のない一方的な軍事力の投射に基づく、無限の優勢というホワイト・ハウスの考え方に、強力な推力が与えられた。

アフリカ、東欧、中南米や、アジアの広い地域における日の出の勢いネオリベ支配者による1980年から、2000年までの‘自由市場イデオロギー’の広がりは、前代未聞の略奪、民営化(ほとんど同じことだ)と、富の集中への扉を開いた。略奪と一極軍事力集中に呼応して、超軍国主義的集団、イスラエルの植民地支配心情が深く染み込んだいわゆるネオコン・イデオローグが、ヨーロッパという権力世界、特にイギリスにおいて強大な影響力を持ちながら、ワシントンの戦略的な意思決定をする立場に入り込んだ。

歴史は逆転した。1990年代は、イラクとユーゴスラビアに対してしかけられた植民地スタイルの戦争で始まり、国家崩壊と、(北部イラク)‘クルディスタン’、コソヴォ、モンテネグロとマケドニア(旧ユーゴスラビア)への傀儡政権の押しつけで終わった。軍事的な成功、迅速で安上がりの勝利は、帝国建設は未来の不可避な波だというネオコンとネオリベ・イデオローグの信仰を、立証し、堅固にした。新たな軍主動型の帝国を達成するための財政的、人的資源を動員するには、適当な政治的なきっかけさえあれば良かったのだ。

2001年9月11日の出来事が、植民地征服の順次的な戦争を始めるために、徹底的に利用された。“全世界対テロ十字軍”の名において、一連の植民地戦争を正当化するために計画が立てられ、膨大な予算が割り当てられ、マスコミ・プロパガンダ作戦が開始された。

新帝国秩序は、アフガニスタン侵略(2001)と、(9/11とは全く無関係な)タリバン・イスラム教-民族主義者政権の打倒で始まった。アフガニスタンは、アメリカ、NATO傭兵軍によって占領はされたが、征服はされなかった。アメリカのイラク侵略・占領により、イスラム教徒、民族主義者、労働組合 反植民地勢力の再編が行われ、長引く武力、非暴力レジスタンス運動がひき起こされた。

既存のイラク民政、警察、軍機構内部での、民族主義と反ユダヤ主義の広範な影響ゆえに、ワシントンのネオコン・イデオローグ達は、国家の全面的解体を選択した。宗派指導者、現地の部族長、外国請負業者や、信頼できる亡命政治家を、‘大統領あるいは‘首相’という植民地化された国家に対する、隠蔽装置として、任命し‘承認’することで、植民地国家を改造しようと彼らは試みたのだ。

パキスタンは、傀儡政権を樹立するため、大規模軍事援助、賄賂と腐敗を結びつけた軍事介入と政治操作という帝国進出の特例だ。この傀儡政権は、米戦闘機や(“無人機”と有人機)、特別奇襲隊作戦や、何百万人ものパキスタン‘部族’民を強制退去させた、アメリカの対反乱作戦のための、パキスタン軍大規模動員による、持続的な主権侵害を認可した。

傀儡政権の責務

アメリカとEUのプロパガンダとは逆に、イラクとアフガニスタンの侵略と占領と、パキスタンでの軍事介入は、ずっと不評のままだ。彼らは、積極的、消極的に、圧倒的大多数の国民によって、反抗され続けている。武器の力で押しつけられた植民地の民政官僚が、国を運営しようと努力を始めるやいなや、受け身の大衆的レジスタンスや、散発的な武装レジスタンスが出現した。植民地官僚は、あるがままの存在として認識されている。異質の、搾取的な存在だ。国庫は略奪され、経済全体が麻痺し、基本的公共事業(上水、電気、下水、等々)機能せず、何百万人もの人々が追い出された。戦争と占領は、植民地時代以前の社会を根本的に破壊したために、植民地官僚は、代替物を生み出すべく、四苦八苦した。

何十億も支出した結果、統治を行える行政事務組織を生み出し損ねたのだ。植民地支配者は、技術的、あるいは、行政経験のある熱心な協力者を見つけ出す上で深刻な問題を抱えていた。進んで仕えようとする連中は、わずかばかりの大衆の支持すら欠落していた。

植民地征服・占領では、最終的に、資金援助を得た上で、植民地支配当局に従属する、協力者達による政権を打ち立てることにした。帝国の戦略家達は、連中が‘正統’性と、占領交渉用の政治的なそとづらになってくれるだろうと期待した。協力に対する餌として、民族主義のレジスタンス戦士達による政治暗殺のリスクを埋め合わせるべく、何十億ドルもが、植民地化された国家機構(まやかしの‘再建’プロジェクトで、容易に略奪可能だ)に注ぎこまれた。政権の頂点は、占領国民に対する帝国の支配を維持する上で、その忠誠、奴隷根性と、意欲の点で、CIAからお墨付きを与えられた傀儡支配者だ。連中は、公共企業を民営化しろというワシントンの要求に従い、ペンタゴンが、植民地司令部支配下の傭兵軍を採用するのを手伝った。

ハミド・カルザイは、単に、彼の一家と麻薬密売業者とのつながりと、帝国から食い扶持を得ている軍閥や長老連中との相性だけの理由から、アフガニスタンの傀儡支配者として選ばれた。彼の孤立は、大統領の護衛さえも、アメリカ海兵隊によるものだという事実で、浮き彫りになる。イラクでは、米国の植民地支配幹部は、ホワイト・ハウスと、CIAと相談し、米占領軍を攻撃した容疑のレジスタンス戦士の拷問に、熱心に“実践”従事したことを元にして、ヌリ・アル・マリキを“首相”として選んだのだ。

パキスタンでは、有罪を宣告された逃走中の重罪犯ながら、アメリカの支援を受けた、アースィフ・アリー・ザルダリが、大統領だ。アフガニスタン国境パキスタン側での、米国による大規模な、長期間の航空・地上作戦を承認し、彼は再三協調精神を発揮した。ザルダリは、パキスタン国庫を空にし、アフガニスタンのレジスタンスに共感を持っている辺境地帯の居留区を襲撃し、強制退去させるべく、何百万人もの兵士を動員した。

実戦に参加する傀儡達: 帝国への従属と、大衆からの遊離の間

三つの傀儡政権は、連中が支配する、植民地化したこれらの国々の国民に対する帝国の攻撃を隠蔽する手段になっている。ヌリ・アル・マリキは、過去5年間にわたり、米国占領を正当化しただけでなく、何千人もの反植民地活動家やレジスタンス戦士の暗殺と拷問を積極的に推進した。彼は何十億ドルもの、石油とガスの採掘特権を外国の石油会社に売り渡した。彼は、何十億ドルもの石油収入と、米国の外国援助(アメリカの納税者達から搾り取った)を巡る盗みを主宰した(‘行方不明’または“説明不能”というものだ)。米海兵隊の護衛無しでは、滅多に大統領官邸から出ようとしないハミド・カルザイは、一族郎党を通す以外は、形だけの支持を得ることにさえ役立たずだ。彼の主な支柱は、CIAが保証した護衛隊長によって殺害された、麻薬・軍閥である、弟のアフメド・ワリ・カルザイだった。カルザイの国内的支持は極端にわずかで、彼の主な役割は、国外の資金提供者との会合出席、新聞発表と、毎回の米軍増強(“増派”)の形式的承認などだ。多数の民間人死傷者をもたらした特殊暗殺部隊と無人戦闘機の活用が増大したことで、アフガニスタン人は一層怒っている。名目だけ、カルザイ支配下にある民政・軍機構全体に、疑いなくタリバンや他の民族主義者集団が浸透しており、米軍や、CIAから給与を得ている軍閥や麻薬密売業者に、彼は完全に依存している。

パキスタンにおける傀儡アースィフ・アリ・ザルダリは、軍や諜報機関部門からの強い反対や、85%もの国民的反米感情にもかかわらず、パキスタンを、北東地域のイスラム教地域社会に対する一連の持続的な大規模軍事攻撃へと突入させ、400万人以上の難民を生み出した。タリバンの聖域や、タリバンに対する武装したパキスタン人同盟者に対する戦争をエスカレートしろというホワイト・ハウスの命令の下、ザルダリは‘民族主義的’政治家としてのあらゆる信頼を失った。‘こっそり’アメリカのひどい主権侵害を認め、地方のイスラム教過激派に対する残虐な作戦のために、米特殊部隊がパキスタン基地から出撃することを許し、彼は民族主義者の忠誠心を激怒させた。村の民間人や道路や市場に対するアメリカ無人機による日々の爆撃によって、彼が、傀儡という立場にあるという、全国的な同意ができている。傀儡支配者達は、外部向けプロパガンダ用の便利な外面としては機能しても、帝国による非戦闘員の虐殺が増大する中の従属ゆえに、国内的な、連中の有効性はゼロに低減している。傀儡を“仲間”あるいは“権限分担者”として描く、当初の帝国のプロパガンダ策略は、傀儡支配者には、帝国の悪弊を正すことができないことが明白となった今、信用を失っている。これは特に、まん延する人権侵害と経済破壊にあてはまる。海外援助は、腐敗し、基本サービスに無能な政権に広くはびこるたかりを育てるものと、一般に受け止められている。

国内でのレジスタンスが高まり、十年もの戦争と占領を継続しようという帝国諸国の‘意思’が弱まるにつれ、傀儡支配者達は、少なくとも形だけでも‘独立’の意図を示さざるをえないという強い圧力を感じている。人類に対する甚だしい占領犯罪を巡る大衆の怒りの大合唱に合わせようとて、傀儡は人形つかいに“口答え’をし始めた。植民地占領は、枯渇した国庫からの週に十億ドルの支出という重みの下、沈下し始めた。形ばかりの軍撤退は、きわめて疑わしい‘現地’傭兵軍の重要性と、それへの依存の前兆であり、傀儡連中は、仕事や生活が失われるのを益々恐れるようになっている。

傀儡支配者達は、レジスタンス勢力と取引する可能性をさぐるべき時期を考え始めている。民間人殺害に対する大衆の怒りを表明すべき時期なのだ。何ら重大なことではなく、軍隊の撤退をこそ讃える時期だ。帝国の近衛兵による保護を放棄することは無く、まして最新の海外援助を辞退するなど‘とんでもないことだ’。アリ・ザルダリが、アメリカ軍侵入や、ビン・ラディン殺害を批判する好機だ。アル・マリキが、アメリカに、イラク米軍隊撤退を“履行する”よう要求するべき時期だ。カルザイが、一番抵抗の少ない州(バーミヤン)を、アフガニスタン軍が引き継ぐのを歓迎する時期だ。傀儡は、人形つかいに対して、ある種の‘反乱’をしているのだろうか? ワシントンは、どうやら困っているようだ。より大規模な軍と諜報組織の協力に向けた、8億ドルの対パキスタン援助が、イスラム教レジスタンス戦士の捜索で、地方や都市を懲らしめるため、棚上げ状態だ。カルザイの弟や、傀儡政権におべっかを使う上で重要な手先である最高政治顧問ジャン・モハンマド・カーンのタリバンによる暗殺は、傀儡支配者による、時折の批判的、感情的な叫びが、全国を網羅し、新たな軍事攻勢を準備しているタリバン“影の政府”とは共鳴していないことを示唆している。

傀儡の‘反乱’は、植民地の宗主国に影響することも、植民地支配に反対する大衆を惹きつけることもない。彼らの行為は、米国による植民地主義復興の企みが終焉した印だ。従順な国民大衆に対して投影した見せかけだけの傀儡によって、アメリカ軍勢力は、イスラム世界を、侵略、占領、支配できるという、ネオコンとネオリベ・イデオロギー擁護者達の熱心な信仰幻想の終わりを告げているのだ。イスラエルという植民地の見本、不毛な海岸線の狭い地域は、独立したイスラム教国家と世俗国家の大海中に浮かぶ異形のままだ。イスラエルの相対的な強化を、戦争、占領によって再現しようという、アメリカのイスラエル擁護者連中による企みにもかかわらず、それどころか、傀儡政権はアメリカの破産と、植民地国家の崩壊をもたらそうとしている。傀儡は逃げ出そうとしている。軍は退却中だ。旗は降ろされ、長引く内戦の時代が待っている。民主的な社会革命が、傀儡と人形使いに置き換わることができるだろうか? アメリカ合州国では、右翼過激派連中が最高職責に侵入し、永遠にではないことを願うが、当面は主導権を掌握している、深く、更に悪化しつつある危機の時代に、我々は生きている。海外における植民地戦争は終わりに近づいているが、アメリカ内乱が差し迫っているのだろうか?

ジェームズ・ペトラスは、アメリカ、ニューヨーク州、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校、社会学の名誉教授、カナダ、ノヴァスコシア州、ハリファックス、セント・メリー大学非常勤教授で、中南米と中東の政治問題に関して、多数の論文を書いている。ペトラスは、学士号を、ボストン大学で、博士号を、カリフォルニア大学、バークレー校で得ている。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article28672.htm

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ジェームズ・ペトラス著書『「帝国アメリカ」の真の支配者は誰か』高尾菜つこ訳 三交社刊、第5章 帝国主義体制 ヒエラルキー・ネットワーク・従属国、上記記事とつながっている。

同書75ページ、日本に触れた部分を引用しておく。(郵政破壊をしたあの首相、典型的傀儡としか思えず、このペトラス氏の意見には同意できない。「アフガニスタン・イラク・パキスタン・日本」とあれば!)

頂上に君臨している米国、EU(それ自体が高度に階層化されている)、そして、日本は、米国の主導により、「追随的帝国主義国家」(主に地域的覇権国)や、しばしば彼らの代理軍としての役目を果たす従属国のネットワークを確立している。

中国新幹線事故で、事故の真相を隠蔽しようとしている中国のやりくちを、ワイドショー番組が笑い物にしていた。追突した列車を刻んで埋めたのは証拠隠滅だと非難している。それはその通りだろう。

911の際、驚くべき速さでビル残骸は解体され、証拠として残すべき残骸、再利用か何かの口実で、完全に消滅してしまった。

当時「アメリカ当局が残骸を片づけたのは証拠隠滅だ」と非難した日本マスコミ、記憶にない。

日本のマスコミには政府批判の自由は十分にある。自国と宗主国以外の政府なら。

中国の列車事故を報じるな、と言うわけではない。他国の大事故をあげつらう前に、遥かに深刻な自国の大災害の本質を、今後もおきる可能性がきわめて高い原発災害の根本対策を、論じるべきだと思うだけのこと。情報を隠し続けている政府、経産省、東電、福島県知事、宮城県知事を、ワイドショー番組は決して追求しない。

牛肉のみならず、豚、にわとり、卵、牛乳、水、米、麦、魚、日本の食糧の汚染実態を追求してくれているだろうか?人々の体内被曝の真実を調査しているだろうか。

いつか、ワイドショー番組、そういう報道をするようになるだろうか?

宗主国の違法な侵略戦争に進んで賛成する首相を支持し、侵略継続を推進する同盟を支持し、侵略基地を受けいれている従順な国民の国に、そういう時期が、くるだろうか?

目を疑うような記事を見た。

「日本ブランド」再構築へ=海外風評被害で政府対策会議

政府は26日、東日本大震災や福島第1原発事故に伴う海外での風評被害を払拭するため、関係府省などでつくる連絡会議を設置し、首相官邸で初会合を開いた。政府を挙げて安全性をアピールし、「日本ブランド」の再構築を目指すのが狙い。

東日本大震災や福島第1原発事故に伴う海外での評判低下は、今後延々と続く。観光客も留学生も激減するだろう。住んでいる日本人自身逃げ出したい国に、わざわざお金を払って、やってこられる奇特な方、多くはおられまい。冒険か研究が目的でない限り。

牛肉や椎茸、決して風評被害ではなかろう。セリ見学を再開したマグロとて、どうなるかわからない。

「日本ブランド」を破壊している犯人集団、政府、官庁、大企業、マスコミ、御用学者が何人集まろうと、広告会社がどんな企画をたてようと、フクシマ大惨事を本当に解決しない限り、「日本ブランド」再構築は不可能。殺人犯が安心・安全日本にようこそ、とコマーシャルしても、真に受ける人はまれだろう。「汚染不沈空母・監獄日本にようこそ!」ならわかる。民主党にも自民党にも、カルザイ、ザルダリ、アル・マリキのような御仁、棄てるほどおられる。

真実を隠蔽する経産省、東電、政治家(民主・自民・公明)、マスコミ等の原発マフィアが、万が一崩壊すれば、「日本ブランド」再構築、ある程度進むかも知れない。

傀儡国家に、それを望むのは無理。想像されるのは、牛肉に留まらない、穀物、果物、水、あらゆるものの汚染ゆえ、「TPP参加による日本の完全傀儡化、やむなし」というシナリオ。TPP参加で震災復興促進を 日米経済協議会が共同声明 MSN産経 2011.7.29

TPP、農産物に限らず、日本の構造そのものの完全属国化をはかる仕組み。岩上安身氏の「2011/07/14ジェーン・ケルシー教授インタビュー」でも、その概要はわかる。

何もせずとも20万年先なら確実に再構築可能。ただし、「傀儡日本ブランド」

お客様、それまで、いてくださるだろうか?

2011年7月25日 (月)

破壊された経済: 敵はワシントン

Paul Craig Roberts

CounterPuch

2011年7月22/24

最近、ジャンク・デリバティブにトリプルA評価を与えていた債券格付け会社が、もしホワイト・ハウスと議会が、赤字削減と債務限度引き上げで合意に達しなければ、米長期国債格付けを引き下げると脅した。格付け評価引き下げの脅威などには信ぴょう性はなく、債務不履行の脅威も同様だ。いずれも、メディケア、メディケイドや社会保障の削減を強行するために誇大広告されている架空の危機に過ぎない。

もし格付け機関が米長期国債評価を引き下げれば、ウオール街が世界中に売り歩いたジャンク債権に対して与えていた詐欺的格付けのかどで、格付け機関幹部は逮捕されよう。格付け機関は粉砕され、そうした企業の格付けは信用を失うだろう。米国債は、ギリシャ、スペインや、アイルランドなどの国債とは違い、自国通貨で支払いが可能なので、アメリカ政府は、決して国債の債務不履行にはならない。債務限度が引き上げられるか否かとは無関係に、連邦準備金制度理事会は、米長期国債を購入し続けるのだ。もしゴールドマン・サックスが、大き過ぎて潰せないのであれば、アメリカ政府とて同じこと。

アメリカ政府が、少なくとも六ヶ国で進めている違法な戦争と軍事占領や、66年にもわたるアメリカによる、日本とドイツの占領や、ロシアを取り巻いて構築されつつある軍事基地の輪に関する予算には決して話題が集中していない。

総軍事/安全保障予算は、1.1から1.2兆ドル、あるいは連邦政府財政赤字の70% -75%の付近だ。

対照的に、社会保障は、やっていけるのだ。メディケア支出は、メディケアの原資となっている、2.3%の支払い給与税を超えそうになってはいるが、政治家や評論家が、米財政赤字を“給付金制度”のせいにするのは不誠実だ。

給付金は支払い給与税が原資だ。戦争に財源はない。犯罪的なブッシュ政権は、アメリカ人に嘘をつき、イラク戦争は、最大でもたった700億ドルしか、かからず、イラクの石油収入でまかなえるだろうと主張した。ブッシュの主席経済顧問ラリー・リンゼーが、イラク侵略には2000億ドルかかると発言すると、ホワイト・ハウスの能無しは、彼を首にした。実際リンゼーは、20倍も、はずれていた。経済・財政専門家達は、イラクとアフガニスタンの戦争は、4兆ドルを現金払いで消費しており、未来原価も既に生じていると計算している。言い換えれば、継続中の戦争と占領は、オバマが、今後十年間で削減しようとしている連邦政府支出の4兆ドルを既に食いつぶしている。まず爆撃、費用は後払いだ。

金持ちへの課税は政治的解決の一環ではなく、焦点は、政府が保険料を補助し、メディケアを将来のある時点で民営化し、メディケイドの上限を定め、縮小しつつある中流階級に、社会保障税引き上げ分を負担させて、保険会社に報償を与えることにある。

ワシントンと、その売女マスコミの優先順序は、余りに明白だ。オバマ大統領は、前任者のジョージ・W・ブッシュ同様、議会の二大政党、印刷物とTVマスコミも、公共ラジオ局のナショナル・パブリック・ラジオも、アメリカ人にとって、戦争の方が、医療や老齢年金よりも遥かに優先度が高いことを鮮明にしている。

ワシントンは、アメリカ人と、その欲求や要求を代表しているわけではない。軍/安全保障複合体、ウオール街や強欲な銀行、農業関連企業、石油会社、保険会社、製薬会社、鉱業や林業等の強力な利益集団に、ワシントンは仕えている。戦争犯罪を行い、外国の国民達を、爆弾、無人機や、侵略で脅し、金融部門を規制緩和し、公害を引き起こす組織や略奪者連中から、保護することを拒否して、世界でも最高コストで最高利益の医療制度を構築して、アメリカ人の年金、家、仕事、土地、空気、水、海と、野生生物を盗み取った後で、連中の欲に駆られた過ちから、緊急救済することで、ワシントンは、こうした権益団体に超過利潤を提供しているのだ。

医療費を引き下げる方法は、単一支払者制度導入によって、コストと儲けの塊を一気に片づけることだ。民営医療制度は、そのような制度に支払う余裕がある連中用に運営し続ければよい。

財政を制御する方法は、無用な覇権戦争、核をめぐる対決に終わる戦争をやめることだ。

アメリカ経済の不況は悪化しつつあるが、製造業や専門的サービス分野の、アメリカ中流階級の仕事が、外国に移され、外国人に与えられているので、そこからの回復は不可能だ。アメリカのGDP、消費者購買力も、税基盤も、ウオール街、株主や、大企業のCEO連中がもっと稼げるようにするために、中国、インドや、インドネシアに引き渡されてしまった。

外国で生産された商品とサービスが、アメリカに戻ってくると、それは輸入となる。貿易収支は悪化し、米ドルの交換価値は今後更に低下し、収入が低迷していたり、下落したりしているアメリカ人にとって、物価はあがる。

これは経済的な破壊だ。寡頭勢力が政府を支配した時には、必ずこれが起きる。経済の生存可能性を犠牲にして、有力者連中の短期利潤が極大化されるのだ。

アメリカ経済は、消費者需要で動いているが、22.3%という失業率、給与は停滞、落下し、消費者の債務負担が余りに大きいので、消費者は借金して、消費することはできず、経済を推進するものが皆無となる。

このジレンマへの、ワシントンの対策は緊縮財政の強化だ! メディケア、メディケイドや社会保障の削減、組合を潰し、仕事を海外に外注して(これは、労働力の余剰と、賃金の更なる低下をひき起こす)賃金を無理やり引き下げ、ドルを更に切り下げ、食糧とエネルギーの価格を押し上げれば、消費者の購買力は損なわれる。連邦準備金制度理事会は、札を印刷して、いかさま金融機関を救うことはできようが、アメリカの消費者を救うことはできない。

最後に、“赤字削減”に関しても、だまされているという事実に立ち向かって頂きたい。たとえオバマが、今後十年、4兆ドルの“赤字削減”策を実施したとて、現在の国債が、現在のものより4兆ドル減るということではないのだ。“削減”というのは、そうしないより、国債の増加が4兆ドル少ないということに過ぎない。どのような“赤字削減”をしようと、これから十年後の国債、現在のものよりもはるかに大きいのだ。

ロバーツ博士は、元財務長官補佐、ウオール・ストリート・ジャーナル元共同編集者、六つの大学で経済学教授。彼の新著「HOW THE ECONOMY WAS LOST」は、CounterPunch/AK Pressから刊行された。PaulCraigRoberts@yahoo.comで連絡がとれる。

記事原文のurl:www.counterpunch.org/roberts07222011.html

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アメリカでは戦費削減、決して話題にならない。最重要産業の運営費を減らす訳がない。

日本の政財界では、原発即停止、決して話題にならない。最重要産業運営費を減らす訳がない。もちろん、国民にとってでなく、体制側にとって最重要。自民党への電力会社幹部献金の素晴らしさを見ればわかる。後は軍備と公共事業だろう。

原発安全神話は庶民の頭からは消滅した(と想像する)が、安保神話は無傷のまま。

安保・日米同盟にのっとって、一兆円支払って?購入する戦闘機、現時点では紙の上にしか存在しない。それを最高性能と言って有り難がって購入するのは、絶対に安全だといって、世界最大の大地震源集中地帯で、原発を運用し続けるのと同じか、それ以上の愚行。まだ、「日本アパッチ族」ほどにまで進化はしていない我々、戦闘機を食べて生られるわけではない。それだけの金があるなら、復興に使うべきだろうに。そして、不思議な記事。

除染技術開発で日米共同研究 福島原発視察の米補佐官

2011年7月24日 19時21分(中日新聞)

 米ホワイトハウスで科学技術政策を担当するホルドレン米大統領補佐官は24日、共同通信と会見し、福島第1原発周辺の住民が「できるだけ早く自宅や職場に戻れるよう事故収束と除染について協力する」と述べた上で、効果的で経済性がある除染の新技術開発へ向け、日米で共同研究を進める方針を明らかにした。

 補佐官は23日に福島原発を視察しており、事故後に現場を訪れた最高位の米政府当局者。除染の対象は最終的に数千平方キロメートルにもなり得るとして「こうした規模の除染には膨大な費用がかかる。除染技術を改善するために懸命な努力が必要だ。今回の訪日で、日本側と議論した」と語った。

(共同)

アメリカの核事故、スリーマイルが最大のようだ。

ロシアの核事故、チェルノブイリが最新のようだ。被害規模はチェルノブイリの方がはるかに大きいだろう。除染技術開発も必要だろうが、ロシアの方が、除染対策経験がはるかに多いだろう。しかし、チェルノブイリ事故で汚染された後、多くの人々が、自宅や職場に戻れた地域の話、素人は聞いたことがない。

宗主国、原爆をヒロシマ・ナガサキに投下した後、被害調査のため原爆傷害調査委員会(Atomic Bomb Casualty Commission、ABCC)を設置した。被害調査のためだけに設置したのであって、治療は一切していない。

オトモダチとフクシマを研究、除染技術開発、六ヶ所村核事故に備えるのだろうか?

相撲の八百長はとがめられるが、宗主国との八百長は推奨される。

なでしこ美談は嬉しい。しかし報道すべきは日本を覆う内部被曝だろう。フクシマ市長、宮城県知事らが、安全宣言をしているからこそ。

チェルノブイリ事故の際に、体制側がいかに真実を隠蔽したかを赤裸々に描いた、アラ・ヤロシンスカヤ著『チェルノブイリ極秘』和田あきこ訳 1994/04平凡社刊、なぜか復刊されない。体制側がいかに真実を隠蔽するかを庶民が勉強できる教科書であるため、復刊が禁止されているのだろうかと、勘繰りたくなる。

98~101ページを貼り付けておく。万一再刊された際には、ご購入をおすすめしたい。

秘密にされていた真実は、このようなものであった。放射性核種に汚染された畑は相変わらず耕され、種が蒔かれ、汚染された収穫物が集められていたし、セシウムで汚染された草原には牛や山羊が放牧され、畜産場では子豚が飼育され続けていた(いまも続けられている)。そしてそれらはすべてソビエトの勤労者の食卓に上った(いまも上っている)。汚染されたキノコ、ジャガイモ、肉は全国津々浦々に出荷された(いまも出荷されている)。黒海の保養地にまでも。健康のために出荷されているのである。祖国全体が放射能まみれにされ、今日もなおされ続けている。だが公式の医学界は、われわれすべてを、「放射能恐怖症(ラジオフオービア)にかかっているだけだ」と非難してきた。そうだと主張してやまない教授たちもモスクワからゾーンにやって来るときには、手を洗うためのミネラルウォーターと鶏の肉をビニール袋に入れて持ってきた。それでいて地元の住民たちには、まったく危険はないと信じ込ませたのである。ただ一つのこと、つまり、放射能に汚染された薪を村のペチカで燃やす前に、洗いなさいと彼らは勧めた。これは小話ではない。本当にあったことである。

 情報は普通の人たちや、ジャーナリストたちに届かなかったばかりか、すべての専門家、医学者たちにも詳しく知らされていたわけではなかった。「チェルノブイリに関するデータは、チェルノブイリ事故処理にいささかでも貢献したすべての省庁には完全に届いていた」、「機密扱いをしたのは住民に対してだけである」と、ソ連邦水文気象国家委員会議長Y・A・イズラエリは断言しているけれども。

 ウクライナ科学アカデミー準会員D・M・グロジンスキーの証言がここにある。

「何が起こったのかをわれわれ、放射線生物学者に説明し、事故直後の数時間にいかに適切に行動すべきかを住民に勧告させるどころか、われわれの持っている測定器が差し押さえられた。われわれは言われた。チェルノブイリで起こっていることは極秘だ、と。これをした人たちは、そのことはわかっていなかったが、権力を擁護していたのだし、このような人びとはいつもこう考えるのだ。まわりで起こっていることには目をふさぎ、現実を幻想だと見せかける方がよいのだ、と。これはすべて停滞期〔ブレジネフ時代〕の結果なのだ、と彼らは言ってはばからない。しかしそれなら、同じ人物たちが、いまでは測定器こそは差し押さえないものの、すべての情報、事故の結果に関することを機密扱いにしているのはどう説明されるのか。なぜなのか。この本能的な秘密扱いの波はどこから来ているのか」

「線量測定器、放射能測定器を自由にできた実験室は、当時誰も何も測らないようにするためにひたすら封鎖された。そして起こっている状況を真面目に、わかりやすく、説得的に、客観的に説明する代わりに、そこにあったのは沈黙、黙殺の類、これこれの日にわれわれは完全に状況を把握したといった類の説明であった─これらは、原子炉が燃えさかり、一秒ごとになにか不測の事態、その炉の予測できない結果に見舞われようとしていたその瞬間のことであったのだ─これらすべては、つまり住民に通報する責任を負う行政機関のこのような行動は、絶対にあるまじきものであると私には思われた」

 生物学博士のE・B・ブルラコーワ教授を先頭にした学者グループはこう書いている。

「これらの区域における放射線生物学的な影響を科学的裏付けをもって予測するために必要なのは、ウクライナ共和国、白ロシア共和国、ロシア連邦共和国の汚染区域ごとのあらゆる種類の電離性放射線に関する具体的な線量測定データである。既存のデータでは放射線生物学者にとってだけでなく、ソ連邦保健省および医学アカデミーの大多数の学者にとってさえ不十分である」

 わが国の多くの者がチェルノブイリ事故について知ったのは、外国の「ラジオ放送」からであった。

 最初に警報を発したのはスウェーデンの原子力発電所である。

 最近、自分のチェルノブイリ資料コレクションの中に私は、ソ連邦外務省プレスセンターで行われた一九八六年五月六日の記者会見に関するタス通信の「チェルノブイリ原発における事故について」という報告を見つけた。これはすべてのソビエトの新聞に掲載されたものである。その中でソ連邦外務次官A・G・コヴァレフはこんなことを言っていた。

「われわれのアプローチは、情報が責任のある、客観的な、信用性のある、一面的でないものであるようにすること、ひとことで言えば、誠実なものであることを目指している。信用できるデータが現れればただちに、それについて速やかに知らせた……。われわれは憶測を排し、最良の専門家と測定器が与えてくれる事実とデータに依拠している」。最初の数日にソビエト市民が「敵の」声から知ったチェルノブイリ原発事故の大ニュースを、外務次官は「あるセンター─アメリカ合衆国の─から、明らかに同じタイプのシナリオにしたがって組織され、発せられたいつもの出来事」だと評した。「原子力発電所などまったく関係ない。特定の軍国主義グループが、世界の社会思想の圧力のもとに自分たちの足場がぐらついていると感じているのだ」とも言う。

 まさにこういうことだったのだ! またもやこれらの呪われた軍国主義者どもなのだ!

 次官はさらにこう言っている。「これが嘘、デマ、事実の歪曲、脚色、やすっぽい芝居の洪水を流している張本人たちなのだ」と。なんと恥ずかしいことか! 私たちがすでにあまりに尊い犠牲を払った、偽りの「やすっぽい芝居」の真の偽造者、作者がわかっている。今日では特に。

偽りの「やすっぽい芝居」を我々は3/11以来、毎日無理やり見せられ続けている。そして、これからも無限に。たしかに、破壊された経済: 敵はワシントン

2011年7月23日 (土)

その日(8月2日)に関する所見

その日(8月2日)に関する所見

Paul Craig Roberts

2011年6月29日

"Information Clearing House"

アメリカ人は、色々な理由で、絶望的な国民だ。理由の一つに、アメリカ人が分裂させられ、激しくいがみ合い、ワシントンで推進される暴政に反抗できずにいることがある。

例えば、州境を共有する、ジョージア、アラバマ、フロリダ州政府は、アトランタの数キロ北東にあるジョージア州ラニエ湖の水を巡り、二十年以上争っている。2009年、連邦地方裁判所の裁判官が、アトランタ州300万人住民の需要にあわせて、湖から引かれた水を得ることは違法であると裁定した。裁判官は、三州は2011年7月までに合意に達するべきであり、合意しそこねた場合、アトランタに認められるのは、人口が現在の規模の三分の一以下であった1970年代中期に得ていた量の水に限られると決定した。

明らかに、この裁定こそ、アラバマ州とフロリダ州が妥協したがらない主な動機だ。

裁判官は、この事実を全く考えなかったのか、裁判官は、300万人のアトランタ州民が、渇水状態になるであろうことに無関心だったのかのどちらかだ。

アトランタ州が水供給を断ち切られるまで、後わずか二日の、6月28日という、ぎりぎりの時点で、米連邦控訴裁判所が、連邦地方裁判所の裁判官判決は誤りだと裁定し、米工兵隊が三州に対するラニエ湖の水の配分に関する最終判断をするのに一年の猶予を与えた。

アラバマ州は、アトランタ州在住のアメリカ国民300万人に対する完璧な冷淡さをあからさまにして、この裁定に対して、上訴すると発表し、フロリダ州は“裁定を検討している”としているが、アトランタ州分の水を横取りする方法を探していることは確実だ。

この国がアメリカ「合州国」でないのは実に明白だ。かつての南部連合国でさえ、団結できないのだ。二十年以上、三州は公正な取引をするための交渉の席についていない。その代わり、彼らは、自州の利益を求め、連邦裁判所で訴訟をしているのだ。

カリフォルニアで、水は様々な方向から狙われている。豊かな大企業と投資筋が、水の支配は、生命の支配、つまり究極的権力であることに気づいたのだ。少数の権力者達は、生命を維持する物質に対する支配力を悪用すべく、規制緩和と、カリフォルニアの水道の民営化を目指して動いている。カリフォルニアの日照り続きは大いに喧伝され、激変的危機となって、小規模農家を都市の環境保護主義者と争そわせている。これは、民営化した水は、水債権に変換することが可能で、それによって、デリバティブを生み出し、投機が可能になるという事実から、騙されやすい大衆やマスコミを逸らす為の八百長芝居だ。“民営化した水道”というのは、より多くの人に給水するといった類のことと無関係だ。狙いは、投資関係者に何十億ドルもの金をもたらすことにある。

架空利益について言えば、ギリシャ国民の圧倒的反対にも関わらず、二つの組織の設立趣意書からして、いずれも違法な融資、ギリシャ政府国債を購入した海外の民間銀行に支払うための金を、“民主的”ギリシャ政府が、欧州中央銀行と国際通貨基金から借り入れする為、押しつけられた緊縮政策に合意したというニュースで、今日の株式市場は上がった。民間銀行は、適正評価を行わなかったことに対し、完全に補償されるのだ。

返済できずにいる国債を返済するための、更なる融資を得る為、ギリシャ政府が、ギリシャ経済を更に不況に追いやることに同意したのを、金融市場は、実に愚かなことに、この用語が適切かどうかわからないが、「良いニュース」と見なしている。

ギリシャ政府が受け入れるべき緊縮政策や、公有財産、つまり、水道会社、港、ギリシャの島々、国有電話会社や、国営くじの売却や、給料、職、社会福祉の削減によって、ギリシャ経済が、ドイツ、フランスと、オランダの民間銀行に返済する為の、IMFや欧州中央銀行の新たな融資に対し、債務返済を行うに必要な、収入を生み出せるようになると経済紙は考えているのだ。

ウオール街や金融部門連中、IQが100もあれば、連中全員この“救済措置”は、ギリシャを更に穴の中深く追いやり、ギリシャの支払い能力が衰退することがわかるはずだ。

街頭で抗議運動をしているギリシャ国民が充分この事実を理解しているのに、一体なぜギリシャ政府は、この全く明白な事実を理解できないのだろう? この疑問に対する唯一の回答は、ギリシャ政治家達は、借り方銀行に買収されているということだ。ギリシャ“民主主義”は、ギリシャ国民にではなく、民間の借り方銀行銀行に奉仕しているのだ。

称賛されている金融市場、理性的ではない。実際その逆だ。金融資産価格を上げるため、金融市場は、明らかに悪いニュースを良いニュースに変えてしまう。真実や事実は、金融市場にとって何の意味もない。金融市場は、資産価格を押し上げる嘘、錯覚や、妄想を基盤にしている。ウオール街に投資される際、皆様はそれに投資しているのだ。

現在、アメリカでは、オバマ大統領が“債務不履行の危機”で議会とやり合っている。ここで、アメリカ(小文字)大統領(小文字)presidentというのは、アメリカという国そのものも含め、アメリカの政治制度の空虚さを指す場合に使われる。アメリカを参戦させる前に、議会に対する大統領の説明を要求する、戦争権限法に従うことを拒否している大統領は、若干の特別利益団体向けの優遇税制措置を取り上げない限り、赤字削減の全てのコストを、アメリカの貧困層に負担させるわけには行かないと、議会に語っている。オバマは、彼同様、権益団体に買収された愚か者連中に、裕福な大企業は、たとえば、わずかの優遇税制措置の様に、何か犠牲にしなければならないと語っている。もし議会の間抜け連中が引っかかれば、オバマは、いかに金持ちに支払わせるようにさせたかを強調しながら、負担を、こっそり、貧困層と、破壊された集団、アメリカ中流階級の残党にしわよせをする。

“小文字のアメリカ最初の黒人大統領”と議会間の、債務不履行を巡る“対立”など、丸ごと詐欺だ。もしもリビア攻撃が、国益上、それほど重要なのであれば、オバマは議会に知らせる必要などない。アメリカ政府が債務不履行にならないことが、非常に重大な国益であることは極めて明白だ。

アメリカの債務不履行は、国際金融制度を破壊するだけでなく、アメリカの覇権を崩壊させる。ワシントンが債務不履行にならないこと以上の“国益”は無い。だから、もしも議会が債務限度を上げなければ、連邦準備金制度理事会は、政府が法案に支払いができるよう、財務省証券を購入し続けることは極めて明白だ。ブッシュ政権は、法曹界の保守派団体フェデラリスト協会の突撃隊員連中と共に、戦争中は、アメリカ大統領が専制君主となり、何が国益の為になるかを宣言するのは大統領のみの特権となることを、きっぱり規定してしまった。シーザー支配下のローマ議会同様、議会など不要になった。

アメリカ政府が債務不履行になる可能性など皆無だ。それでも“債務不履行の危機”は、アメリカプロパガンダ省が提供する主な話題だ。

環境問題となると、更なる荒廃がアメリカを待ち受けている。大変現実的になりつつある、洪水による核放射線の問題ではない。ずっと簡単な話だ。米土地管理局も“民営化”され、私益に尽くす政府公務員となったのだ。

土地管理局では、実際、法律の狙いや、公有地の保存を大切にする人々が、クリントンとブッシュ政権によって地位にすえられた、新規被任命者連中によって追われ、“民営化”された。そう、ご想像の通り、土地管理局の幹部には、元企業幹部連中が任命されており、その目的ため、その地位につけられた仕事を、彼らはこなしている。つまり私利の為に公有地を盗んでいる。

馬を愛する人々にとって、これは大打撃となりつつある。この問題に詳しいマリリン・ワーゴによれば、土地管理局は、ネヴァダ州、ワイオミング州、オレゴン州とコロラド州の公有地にいる野生馬の群のうち、三分の二を駆除する予定だ。

この“自由と民主主義”の国における、あらゆる物事と同様、この駆除も、国土安全保障省によって、“動物権利擁護テロリスト”という烙印を押されるであろう市民たちの強力な大衆抗議行動にも関わらず、進められている。

一体誰が利益を得るのだろう? 明らかに、野生生物から放牧権を奪い取る、蓄牛・羊飼育企業だ。ブッシュ政権の業績の一つが、公有財産を保護するべく作られた政府機関を、企業権益に引き渡すことであったことに、アメリカ人はまだ気づいていない。現代アメリカにおける、企業と政府の権益融合は、ファシスト・イタリアにおけるより完璧だ。

ファシスト国家アメリカには、自由も民主主義も政府の説明責任も存在していない。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article28445.htm

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ファシスト国家日本には、自由も民主主義も政府の説明責任も存在していない。

筆者Paul Craig Roberts氏、レーガン大統領時代、財務長官補佐を務めた人物。

牛肉問題、他の肉類、野菜、魚、米、そして、水にまで波及しても不思議はない。3/11以降、この国、本当にゴジラ?が誕生する国になったのだろう。

数日前の金子勝教授twitterをコピーさせていただく。(レイアウトは当方が変更。)

自民党が中長期方針を発表。

    • 安全対策強化で原発維持、
    • 核持ち込みの容認、そして
    • 子ども手当廃止して公共事業拡大です。

これまで失敗してきた政策のオンパレードで、未来を考えず、老害世代が日本を食い尽くし衰退を招いてきた政策です。どうにもなりません。

お説ごもっとも。

こういう状態を招いた連中が全く反省せずに、それを押しつけ続ける。保守回帰だという。

国でなく、企業であれば、長年失策を続けて来た経営陣が退陣し、非主流派の人々が、全く違う方向へと舵を切らなければ、衰亡する。(衰亡を選ぶ企業もあるようだが)

小選挙区導入・二大政党、失策した政党が、一つ前の政権で失策した政党に交替する完璧な制度。毎回どちらにころんでも、衰亡が待っている。

宗主国と属国の支配層、うまい汁を吸い上げられるだけ吸い上げれば良い。後は野となれ。

官庁、企業、政治、学界、司法、マスコミ、あらゆる部分に、健全な新陳代謝・方向転換を許す構造が、始めから存在しない以上、衰亡は保証済み。

この中長期衰亡方針を伝えるMSN産経ニュース末尾に、重要な項目があった。

教育については「戦後の日本教育のあり方を根本的に反省する」として、学校式典での国旗掲揚・国歌斉唱の義務化、教科書採択の改革、家庭教育の支援強化など保守色を打ち出した。

一文字違う。狂育、狂科書採択改革、家庭狂育強化。ファシズム?そこで、「勝ち目のないアフガニスタン戦争をめぐるむなしい言葉」で引用した文章を再度引用させていただく。『強い者は生き残れない』環境から考える新しい進化論 吉村仁著 新潮選書から。著者、強いもの勝ちの資主義推進には批判的でおられる。「強者」もいつかは負けてしまうと。下記は228ページからの引用。

    「自由」という錦の御旗の下に、ナッシュ解を求めていったら、絶滅しかあり得ないことは、約40億年の地球の生物たちの進化史が教えてくれているのである。今、「長期的な利益」のために、「短期的な利益」の追求を控え、協同行動をとるべき時なのだ。

     「強い者」は最後まで生き残れない。最後まで生き残ることができるのは、他人と共生・協力できる「共生する者」であることは「進化史」が私たちに教えてくれていることなのである。

別冊宝島「日本を脅かす原発の深い闇 東電・政治家・官僚・学者・マスコミ・文化人の大罪」を購入した。裏表紙に下記の目次要約がある。

原発は詐欺ビジネス

Part1 隠される放射能汚染

Part2 御用メディアと文化人の罪

Part3 原発利権の深い闇

Part4 原発アンダーグラウンド

Part5 原発推進の陰謀

石橋克彦編「原発を終わらせる」岩波新書も購入。素晴らしい本だ。小生の偏見と疑われる方は、せめて石橋氏の「はじめに」を立ち読みいただきたい。

ラニエ湖の水争いではないが、四国電力の伊方原発を巡る設置許可取り消し訴訟で、安全審査の杜撰さが住民側によって白日のもとに曝されたが、松山地裁は、原子力行政の僕のごとくに、訴えを退け、危険が野放しにされた。一事が万事。腰巻きにこうある。

脱原発以外に道はない。そして、それは可能だ!

2011年7月21日 (木)

大統領が思っていることを、国防長官が口にした

Boris Volkhonsky

2011年7月14日

Voice of Russia

外交政策という意味では、バラク・オバマと彼の前任者の間に大差はない。オバマの“決して存在しなかったチェンジ”政策において暗黙の了解だったことを、パネッタ国防長官が明確に述べたに過ぎない。

新任の米国防長官は、新たな役職で海外歴訪を行った。彼が訪れた二ヶ国が、アメリカが現在戦っている三つの戦争のうち二つのイラクとアフガニスタンであったのは驚くべきことではない。驚くべきことではないが、リビアの話題も折々見られた。

元CIA長官レオン・パネッタは、以前、ビル・クリントン大統領の任期中ホワイト・ハウスで首席補佐官をつとめており、表に出ない人物としては、長らく、アメリカ権力者集団の中でも最も有名な一人だった。今や事態は変わった。国防長官という資格で、彼は公人となり、その発言は、時として彼自身がそうあって欲しいと思う以上に大問題となる。

パネッタ国防長官の、政治家として経験不足に、多くの観測筋が気づいている。イラクとアフガニスタンでの目的は、短い訪問の間に、出来るだけ多くの米軍部隊を訪問し、出来るだけ多くのアメリカ兵に会うことだと語った。歴訪の主目的は、個人的にあらゆる米兵の勇気と犠牲に対してお礼を言うことだと語って、兵士達を称賛するのに、言葉を惜しまなかった。この点で、彼は、米軍の中で依然人気が高く、常々、最も優先していたのが兵士の福祉だった前任者のロバート・ゲーツを模倣しようとしていた。

同時に、観測筋は、パネッタ国防長官の発言に、いくつかの言い間違いや、失言さえあることに気がついている。アメリカ兵に演説しながら、彼らのイラク駐留について、彼は言った“諸君がここにいるのは、9/11にアメリカ合州国が攻撃されたのが理由だ。”そう、これは、2003年当時、ジョージ・W・ブッシュがサダム・フセイン政権を、9/11テロ攻撃と結びつけようとした時の理屈の一部だった。現在のバラク・オバマ大統領を含め、大半の民主党政治家は、このような主張を常に否定している。

またリビアについて語って、パネッタ国防長官は、アメリカの主要目的は“カダフィ政権を打倒するために、我々にできることをすることだ”と語った。これも、対カダフィ戦争におけるアメリカの関与は、ひたすら民間人の保護を目指すものだというアメリカ政府の公式説明に反している。

パネッタ国防長官の演説中の失言には、ある種の個人や現象を表現するのに、辛辣で、場合によっては粗暴な言葉(オサマ・ビン・ラディンを“あの野郎”、イラクを“どえらい量の資源”を有する“とんでもない国”といったりすること)も含まれる。こうした全てが、アメリカ国内の観測筋にとって、新国防長官の性格描写として面白おかしく見える。しかし、外国の観測筋にとって、これらの失言は、実は、現政権の行動を支配している、内部奥深くに隠された傾向を暴露しているのだ。

実際、パネッタ国防長官のような立場と経験の人物が失言や言い間違いをするとは到底考えがたい。だから、それは最高位の代表者自身なら発言しないような、現政権の本当の意図を反映しているのだ。

アメリカが参戦しているリビアでの作戦では、“民間人の保護”という目標など、とうの昔に無くなり、カダフィが権力の座から追放されるまで終わるまいことは明らかだ。しかし、オバマが公然とそう発言することを期待する人はいない。そこで、その重荷は国防長官が担い、彼の発言は、万が一必要とあれば、“経験不足”といって済まされるのだ。

イラクについては、なぜ米軍がいまだに駐留しているのか、なぜイラクを2003年に侵略したのかという疑問には、もっともらしい答えがない。サダム・フセインは、アルカイダとは全く無関係だったし、大量破壊兵器はイラクでは決して発見されなかった。ところが、米軍は依然イラクに駐留している。パネッタ国防長官は単に、少なくとも何らかの説明を強いられたのだ。だから、ジョージ・W・ブッシュの理屈に話が戻ったのも至極当然のことだ。

そこで我々は、これまでかなりの間漂っていた結論へとたどり着く。実際、外交政策という点で、バラク・オバマと前任者との間に、大きな違いは無い。オバマの“決して存在しなかったチェンジ”政策において暗黙の了解だったことを、パネッタ国防長官が、明確に述べたに過ぎない。

記事原文のurl:english.ruvr.ru/2011/07/14/53226872.html

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宗主国、世界に冠たる略奪テロ国家。石油がある国からは石油を、貯金がある国からは貯金を収奪。黙って献上すれば、武力攻撃はしないが、地震・原発被害につけこんで、CSISのジャパン・ハンドラーズ諸氏が、やりたい放題。ショック・ドクトリン発動中。今の政治混乱も、活躍している走狗連中をみると、宗主国のさしがねと思えてくる。残念ながら、被害妄想ではないだろう。

そこで、新党日本webの、田中康夫代表の下記対談番組は必見。27分、決して長くない。こういう本当に重要な話題、決してマスコミに載らない。

元経産省で、小泉改革時に辣腕を振るった人物による、経産省問題の説明。

11/07/16 「電力マフィア」の闇経産省解体!?

guest:岸博幸氏(慶応義塾大学大学院教授)

2011年7月19日 (火)

米国防長官、新たな地位協定を成立させるべくイラク訪問

wsws.org

James Cogan

2011年7月14日

オバマ政権で、最近就任したレオン・パネッタ国防長官は、月曜日、予告なしでイラクに飛び、アメリカ軍によるイラク占領継続を認める正式な条約をまとめるよう、イラク政府に圧力をかけた。

元CIA長官のパネッタは、ヌリ・アル-マリキ首相、ジャラル・タレバニ大統領、クルド自治区のマスード・バルザニ大統領と会談した。論じられた主題は、ブッシュ政権とマリキ政権間で、2008年末に調印した、駐留米軍の地位に関する協定(SOFA)が12月31日に満了する件だ。

SOFA満了5ヶ月前にもかかわらず、アメリカ軍のイラク駐留を合法化する新条約は結ばれていない。

先週木曜日、米統合参謀本部議長、マイケル・マレン海軍大将は、ワシントンで、ジャーナリストに、新たな条約をまとめる交渉が進んでいると自信満々で語った。土曜日、イラク議会指導者の会議後、タラバニは、二週間以内に、米軍駐留を2012年に延長する同意に達するだろうと発表した。しかしながら、マリキのマスコミ対策顧問は、即座にこれを軽んじる発言をした。会議は“党派的、宗派的立場”に偏っており、近い将来に、共通の立場に至る可能性は少ないと彼は不満をいった。

月曜日、イラク指導者達との会談後、パネッタ国防長官は、こう着状態を巡って、マリキ等に明らかに伝えたであろうフラストレーションを公然と発散した。バグダッドでの米兵の集会で彼は言った。“連中は我々の駐留を望んでいるだろうか? 連中は我々の駐留を望んでいないのだろうか? かまわん、決定しろ!”

オバマ政権には、今年末にアメリカ軍を撤退させる意図など皆無だ。8年以上にわたる軍事作戦と、戦争関連としての3兆ドルもの支出をしたワシントンは、2003年の違法な侵略の背後にあった目的を断固、実現するつもりなのだ。イラクの膨大なエネルギー資源を巡る支配と、中東の中心での、従順な傀儡国家の樹立だ。

約46,000人のアメリカ軍要員が、戦略上重要な北部のバラド空軍基地、南部のアリ、またはタリル空軍基地を含めイラク中の53の基地に駐留している。アメリカの飛行機は、西部のアンバル州にあるアル・アサド空軍基地の使用も継続している.

アメリカの当面の目標は、これら基地の長期的使用の確保と、10,000人から、30,000人の兵士による守備隊の維持だ。軍事力が、バグダッド中央の“グリーン・ゾーンを占拠する”アメリカ大使館の政治活動を補完するのだ。バチカンよりも広く、大使館には専用発電所があり、約5,500人の職員、海兵隊員、エリート特殊部隊、諜報機関工作員がいる。50機もの飛行機とヘリコプターが、厳重に防備された壁の内側に駐機している。

ジェームズ・ジェフリー米大使は、今月始め、2012年の大使館活動を維持するため、議会に62億ドル要求した。それに続けて、エネルギー埋蔵量を浮き彫りにして、アメリカにとってのイラクの重要性を強調した。ジャーナリストに、イラクは、劇的に石油生産を増大させるための“滑走路への進入路”に入った状態だと語った。彼は言った。“世界のどこのパイプラインにも、更に数百万バレルの [石油]の供給源はない。 ”

更にジェフリー大使は語った。“アゼリーのガスは充分ではなく、トルクメニスタンのガスは、遠い先のこと”なので、イラクは“ヨーロッパが、エネルギー源を多様化する上で、唯一の充分なガス供給源だ”。ジェフリー大使の発言は、西欧が益々ロシアの天然ガスに依存するようになりつつあることに対するアメリカの懸念を強調している。対リビア戦争も、同様な地政学的な配慮によって、推進されている。

 

 

 

今週、ヨーロッパの巨大多国籍企業ロイヤル・ダッチ・シェルは、南部イラクでのガス生産プロジェクト・ジョイント・ベンチャーに対する125億ドルの投資を発表した。

イラク・エリートのあらゆる部分が、こうした略奪的権益に、進んで仕えることは証明済みだ。 様々な形で、連中全員、石油産業から得られる寄生虫的生活と引き換えに、アメリカ侵略に順応しているのだ。イラクは、世界の中で、最も腐敗した4ヶ国の一つとされている。何十億ドルもの石油収入が毎年略奪され、失業と不完全雇用は、50パーセントにものぼり、貧困はこの国固有のものとなっている。

彼のダーワ党、クルド愛国同盟、ムクタダ・アル-サドルが率いる、シーア派原理主義のサドル運動の不安定な連立によるマリキ政権は、やはり新たな条約締結には神経質で、出来るだけ引き延ばしを計っている。

イラクのエリートは、大多数のイラク人がアメリカ軍駐留の継続に強く反対していることを痛感している。アメリカ占領は、イラクのインフラの大半を破壊し、イラク国民を分割し、支配するため、部族間、宗派間の対立を醸成した。100万人以上のイラク人が命を失い、数百万人以上の人々が負傷したり、心理的に痛手を負ったりしている。侵略後に起きた大規模な抵抗運動は、文字通り血の海で溺れさせられた。

生活水準や民主的な権利を巡る騒動が、拡大する兆しも見られる。一部、チュニジア、エジプト、イエメン、バーレーンやシリアで起きている大衆蜂起に鼓舞されているのが確実な、階級・社会紛争が現れ始めている。

2月の、クルド北部での民主的権利を要求する抗議デモは、専制的なクルド当局によって鎮圧された。南部油田の労働者は、5月に、相当な賃上げを獲得するまで、ストライキをすると脅していた。失業中の若者は、バスラとバグダッドで、抗議デモをした。

発言の中で、パネッタ国防長官もマレン海軍大将も、イランが、シーア派を基盤とする民兵にミサイルや他の武器を供給している、という昔からの非難を蘇生させるのに、米軍に対する攻撃急増を利用した。パネッタ国防長官がマリキとの会談の為に到着した頃、三発のミサイルがグリーン・ゾーンの中に撃ち込まれた。パネッタ国防長官は主張した。“イランと、彼らがイラクの過激派に提供している武器について、我々は非常に懸念している。我々は拱手傍観したまま、これが続くのを認めるわけにはゆかない... これは、正面から取り上げるべき問題だ。”

またもや、きっぱりと否定された、このテヘランに対する非難は、ワシントンとイラクの体制派の中で作り出される議論の主題として注ぎこまれている。イラクを支配しようというイランの企てなるものに対する抑止力として機能すべく、アメリカ軍は駐留を継続すべきなのだ。ミューレンは記者会見で、もしアメリカが撤退すれば、イラク治安部隊は“明白な能力ギャップ”に直面することになり、バグダッドは長年、米空軍と諜報組織の“助力が必要になる”。

パネッタ国防長官のマリキとの会談から24時間内の月曜日、ウオール・ストリート・ジャーナルは、イラク政府が、アメリカのF-16戦闘機を購入しないという年頭の決定を覆したと報じている。イラクは、18から36機の戦闘機を購入する方向で動いている、数十億ドルの商談は、“アメリカ軍撤退後、イランの影響力に反撃し、バグダッドとの長期的な絆を強化する”だろうと同紙は言う。商談には“部品、予備部品、訓練や、関連兵器”が含まれ、アメリカ軍駐留の継続が必要となる。

ウオール・ストリート・ジャーナルの論説は、水曜日、イラクに対する“イラン’の狙い”を封じる為、新たな地位協定の問題を、オバマ政権とマリキ政権が速やかに解決すによう要求した。

論説記事はこう主張している。“アメリカの継続的な軍事駐留は、安全保障のギャップを埋め、イラクと地域において、安定化への影響力となる。アメリカは、韓国と日本に、現地における戦争終了後、60年軍隊を駐留させており、イラクでの同様な駐留は有益だろう... イラクとの長期的な安全保障関係が、過去10年間に生み出された犠牲も、無駄にはならないことを保障するのに最適だ。”

ジャーナル紙の論説は、アメリカ支配層エリートの狙いを要約している。彼らは、イラクを、今後何十年も、事実上のアメリカ植民地にしておくつもりなのだ。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/jul2011/iraq-j14.shtml

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こういう国と、今回の地震・原発災害に対して、「トモダチ基金」とやらを作って、同盟を深化させるというニュースが報道されているので、眉に唾をつけて、聞いている。政府間であっても、あやしいが、まして、民間資金となれば、儲けほうだい。オトモダチの援助、決して被災者のためにならないことは、地震後のハイチを見ればわかるだろう。宗主国・属国同盟は、深化させるべきではなく、終了させるべきだろう。もしも独立国であるならば。

結論部分、そのまま、この国にあてはまるだろう。放射能に、オトモダチは全く役にたたない。厳しい予算から、寄生虫のように膨大な金を吸い上げるだけ。そもそも、オトモダチが大量殺人破壊兵器を編み出し、それを流用した装置を、買わせていただいたシステムが脆弱で、放射能垂れ流しになっているのだ。庶民には、なんのメリットもなかったが、子々孫々、放射能にはつきあわされる。さらにTTPも押しつけてくださるだろう。属国傀儡政治家、企業家は、どこでも、いつでも、自国民の苦しみを、自らの権益増大に活用する。

アメリカと日本のマスコミ論説は、アメリカ支配層エリートの狙いを要約している。彼らは、日本を、更に今後何十年も、事実上のアメリカ植民地にしておくつもりなのだ。

2011年7月18日 (月)

福島事故にもかかわらず、ロシア原子力産業は営業開始

John Daly

oilprice.com - 2011-07-08

3月11日におきた、原子炉6基を擁する福島第一原子力発電所での大惨事は、世界的に影響を与えたが、民間の核エネルギーに、過去50年間にわたって投資された何兆ドルもの資金を考えれば、驚くことではない。皮肉なことに、わずか一年前、原子力業界は、地球温暖化に対する世界的な懸念のおかげで、温室効果ガスを発生しない核エネルギーの利点を、多くの人々に再検討させ、今にもルネッサンスを迎えようというところだった。

日本での出来事が、全てをすっかり変えてしまい、民間用原子発電技術輸出国の"ビッグ・スリー"、アメリカ、フランスと、ロシア連邦を痛打した。

前者の二国は、絶望し、お手上げと、あきらめたように見えるが、モスクワは原子雲には希望の兆しが潜んでいると見て、挑戦しようと立ち上がっている。

論争の的であるイランのブシェール原子炉の完成は全く別として、ロシア原子力産業は、原子力発電所の建設から廃炉までに至る、様々なサービスを提供しようとしている。

先週、チリの上院議員、グイド・ジラルディ、ホルヘ・ピザッロ、フルヴィオ・ロッシと、ゴンサロ・ウリアルテがモスクワを訪れ、ロシアのエネルギー省大臣セルゲイ・シュマトコを含め、様々な政府高官と会見した。シュマトコ大臣は、サンチャゴの"エル・メルクリオ"紙の記事によると、チリに原子力発電所を建設しようと申し出て、代表団を"驚かせた"という。困惑した南米の議員達は、日本での事故後、そういう考えは、"国民の大変な反対"に直面するので、チリに建設することは"思いもよらない"と答えた。協力的にしようと努めて、シュマト大臣は、チリの潮汐エネルギー・パイロット・プロジェクト開発への支援を約束した。

そうした売り込みはともあれ、ロシアの国営原子力企業ロスアトムは、同社の報道担当局によると、企業に、外貨による資金提供をする特殊会社、ロスアトム・ファイナンスを立ち上げた。ロスアトム・ファイナンスは、キプロスで登録され、アトムエネルゴプロム株式会社に完全所有されており、核エネルギー事業に関与しているロシア企業、中でも、外国で原子力発電所建設を行う、非上場株式会社アトムストロイエクスポルト、核燃料メーカーのTVELと、核物質の輸出業者テフスナブエクスポルト等に、財政援助を提供することになっている。

過去4ヶ月の間にずっと大きくなった反原発側と協業しようとして、ロスアトムは、最近ドイツ原子力発電所の廃炉支援を含む、広範な原子力事業について、ドイツのジーメンス社と議論をしている。ロスアトムのキリル・コマロフ副総裁は、"原子炉のみならず、核医学や、原子力発電所の廃炉等、様々な形の協力関係が考えられます"とむしろ楽観的に、記者団に語った。

コマロフ副総裁の楽観的な発言は、2年間以上の関係によって築かれたもので、2009年には、ジーメンス社とロスアトムは、原子炉建設で協力する計画を発表したが、生まれたばかりの協力関係は、ベルリン-モスクワ原子力枢軸提案を、契約の競業制限条項違反と見なした、ジーメンス社の元パートナー、フランスの原子力企業アレヴァ社による反対のおかげで、その後、取りやめとなった。

純情ぶった艶めかしい女性のようなパリのアレヴァ社は、かつての嫉妬にもかかわらず、同社は、実際、ロスアトムのパートナーであり、コマロフ副総裁によれば、ブルガリアにベレネ原子力発電所を提供する共同事業体の一部だという。楽観的な、コマロフ副総裁は、ロスアトムは、"アレヴァ社と、ウラン採掘から、第四世代原子炉に至るまで、新たに広範な協力関係のオプションについて話し合う用意がある"と補足した。

ロシアは、建設から、廃炉に至るまでの全ての提供をすることで、世界中の民間原子力産業のホーム・デポとなる態勢を整えようとしている。モスクワでは、たとえセシウム137を含んだ雲であれ、あらゆる雲には希望の兆しが、というより、少なくとも、ユーロという希望の兆しが、あると見えるようだ。

記事原文のurl:oilprice.com/Alternative-Energy/Nuclear-Power/Despite-Fukushima-Russias-Nuclear-Industry-is-Open-for-Business.html

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フクシマにもめげず、セールス開始のロシアに驚くよりも、フクシマにもめげず、他の原発を安全と強弁する民主党・自民党政治家が圧倒的に多いことに驚いている。そして、各原発や、もんじゅの立地県、町村の首長の皆様の態度に。ことごとく、異常暴走、完全不安員ばかり。

チェルノブイリ事故のみならず、ジョレス・メドベージェフの『ウラルの核惨事』で有名になった、キシュチュムにおける放射性廃棄物爆発の大事故も経験しているロシア、核関連事故と被害規模については、大量の情報をもっていることは想像できる。情報をもっていることと、真実を公表すること、対策をとれることは、今経験している通り全く別の話だろう。

同じジョレス・メドベージェフによる『チェルノブイリの遺産』みすず書房刊、「フクシマの遺産」ガイドというか、予告編のように読める基本図書。ソ連共産党・民主党・自民党、いずれも、どんぐりの背比べと思えてくる。日本の対応の方がまとも、とは言い切れない。

日本の新聞・テレビ情報に振り回される前に、『チェルノブイリの遺産』のような本を読んでおけば、避難問題も、牛乳汚染問題も、肉汚染問題も、どういう展開になるか、おおざっぱな見当はつくだろう。本の価格、6090円、高いといえば高いが、良い情報の入手には費用がかかる。

百聞は一見にしかず。123ページの一部をコピー・転記させていただく。

     酪農への影響

 一九八六年五月、三〇キロ圏から住民が避難させられたとき、八万六〇〇〇頭の牛が汚染地域から移された。なかにはあまりにも多量の放射能(とくにヨウ素131)に侵され、放射線レベルの低下を待つより、屠殺したほうが手っ取り早いと考えられたものもあった。五月になると、干し草やその他輸送可能な、きめが荒く栄養の豊富な飼い葉は、ソ連には貯蔵がほとんどなくなっていて、移動させた牛に、汚染されていない干し草を十分に与えることができなかった。ウクライナ、白ロシア、ロシアの三共和国では、家畜は戸外で飼育される。八六年五月、放射性ヨウ素が放出されたために、かなりの量のミルクが許容レベル以上に汚染されてしまっていた。

「目次」部分を、ご紹介しておく。もちろん、読んだからとて、吸収したセシウムやストロンチウムが即排出され、体内被曝せずに済むという効用は無い。

   緒言と謝辞

 1 チェルノブイリ事故の事後検討………………………………………………1

   はじめに 1 チェルノブイリのRBMK1000型炉 4 設計上の問題点9

      不十分だった初期安全試験 12 事故の背景 20 大惨事 29

   おわりに 37 追記運転員の見解 40

 2 「放射性」火山…………………………………………………………………45

  はじめに 45 消火活動 46 国家非常態勢 51 炉心の二回目のメルトダウン 61

     グラスノスチの最初の兆し73 おわりに 80

 3 環境への影響…………………………………………………………………83

  はじめに83 放射性核種の環境への放出量、構成と動態 85 環境汚染の

  レベルとパターン89 放射能汚染の環境と生態系への影響、および汚染除

  去作業 100

 4 農業への影響…………………………………………………………………116

  はじめに 116 農地の汚染と損害 117 酪農への影響 123 その他の形態

   の農業と農村住民 129

 5 ソ連国内における健康への影響………………………………………………145

  はじめに 145 事故現場での初動救急医療対策 148 現場以外での緊急医療

   対策 152 三〇キロ圏と第二次避難 167 一般民衆のための放射線防護 175

   健康への長期的影響 185 おわりに 210

 6 地球規模の影響………………………………………………………………214

  はじめに 214 北欧諸国  218 欧州中・東部 225 欧州共同体(EC)加盟国233

     世界のその他の地域 245 おわりに 245

 7 ソ連の原子力計画………………………………………………………………251

  はじめにソ連ウラン計画小史 251 RBMK型原子炉 256 加圧水型原子炉 266

  高速中性子増殖炉 272 原子炉による地域暖房 277 原子力論争 280

  おわりに88

 8 ソ連における核事故の歴史……………………………………………………291

  はじめに 291 原子炉事故 294 記録に残っていない原子炉事故 302

  キシュチュム核事故 308 おわりに 316

 9 チェルノブイリ事故後の原子力………………………………………………319

  はじめに 319 エネルギーの分野でのソ連の選択肢 322 チェルノブイリ事故

  後のエネルギー危機 333 新世代の原子力発電所の将来性 338 おわりに 343

訳者あとがき 347

索引 注・参考文献

キシュチュムにおける放射性廃棄物爆発大事故、日本の場合、六ヶ所村で起きれば匹敵するだろう。わざわざ、匹敵するような大量殺人施設を作る政府・業界・学者・マスコミ。

『ウラルの核惨事』、第四章は、湖、水草、魚類の放射能汚染。

ジョレス・メドベージェフ氏が、フクシマについて書いた記事翻訳を下記でご一読を。Courier Japon 6/16

「チェルノブイリより恐ろしい……」旧ソ連出身の科学者が語る“フクシマ”

肝心の日本の魚については、『海と魚と原子力発電所』 水口憲哉著、印刷物は売り切れだが、PDF版は購入できる。1490円(パソコン等で読めるが、プリンタ印刷はできないという。)ただし、読みやすい本、とは言えないように思う。原発推進体制や、それと戦う運動の姿も語られているためだろう。「自分が助かるには」ではなく、既成の原発推進体制を崩壊させないかぎり、汚染は拡大するのだから、そういう記述になっていて当然ではある。

チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクトが、
ゴルバチョフの科学顧問を務めたロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士を中心とする研究グループが2009年にまとめた報告書『チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment)を翻訳中だという。

2011年7月16日 (土)

日本、3基のメルトダウンと、より大量の放射性物質の漏洩を認める。アメリカの放射性廃棄物、破壊的な危険の源。

デモクラシー・ナウ!

2011年6月10日

フアン・ゴンザレス: 地震と津波で、日本の原発事故が起きてからほぼ三ヶ月後、政府当局は、更に放射性物質で汚染された他の町を避難させる可能性があると言っています。新しいモニター・データは、破壊され福島第一原子力発電所から、はるか離れたところでも、高い汚染の"ホット・スポット"があることを示しています。

月曜日、破壊された原子力発電所の危機は、これまで彼らが当初発表していたより、遥かに深刻であったことを当局が認めた後、新たなホット・スポットが発表されました。日本の原子力安全・保安院は、三月の事故時、最初の一週間に原発から漏れた放射性物質量の推計を二倍以上としました。また原子力安全・保安院は、原発の三基の原子炉でフル・メルトダウンが起きたことを初めて認めました。

法科大学院を最近卒業した江藤貴紀氏が、この事故の対応を巡り、初めて日本政府を告訴しました。

江藤貴紀: 政府の原子力政策は、原子炉設置の段階から危険をともなうもので、誤りでございました。また事故後の対応においても、日本国政府は、充分に国民を保護することができていないということです。それならば、私は沈黙を守り続けているのではなく、裁判で、この誤りを明らかにしたいと考えています。(最後の文章、ききとれず。)

エミー・グッドマン: 原発事故の処理を巡り、初めて日本政府を訴えた江藤貴紀氏でした。

ニューヨーク・タイムズは、厳しい経済環境のおかげで、危険にもかかわらず、原発での仕事を求め、労働者は福島に向かっていると報じています。今週早々、福島第一原発に送り込まれたロボットは、事故発生以来、最高レベルの放射能を検知した。アメリカの電力業界が今週開催した原発方針の見直しでは、日本での原子炉事故を受けて、アメリカ国内の原発の安全性強化を熟考することになっています。

日本とアメリカ合州国の原子力発電所の状態について議論するため、ワシントン、D.Cから、元米国エネルギー省長官上級政策顧問で、現在、政策研究所の上級研究員ロバート・アルバレスさんにご参加頂きます。また、東京では、グリーン・アクション事務局長のアイリーン・美緒子・スミスにご参加頂きます。

お二人とも、デモクラシー・ナウ!にようこそ。ロバート・アルバレスさん、現時点で分かっていることから、話を始めたいと思います。今週になって、三基で、メルトダウンしていたと言われている事実があります。これはどういう意味でしょう?

ロバート・アルバレス: 事故は、ずっと早く起き、より深刻だったことを意味していると思います。放射線の影響は、一層深刻な形で進展するでしょう。先に言われた様に、近隣の、あるいは、それほど近くでない場所の土壌汚染は、相当広範囲に及ぶことが明らかになっています。私が見た報道では、土地の汚染は、セシウム137汚染の為、理論的に住めない面積は、約600平方キロ、マンハッタン島の約17倍であることを示していました。

フアン・ゴンザレス: アイリーン・美緒子・スミスさん、この立ち入り禁止区域よりずっと遠い地域へのこの汚染拡大は、ホット・スポットの中とは言え、人々の反応はどうでしょう?政府が、もっと早く、これを明らかにしなかったことに対する反応はどうでしょう?

アイリーン・美緒子・スミス: 特に、福島県在住の親達は、非常に心配しています。しかし、福島から非常に離れた、東京の親たちまでも心配し始めています。特に、起きているのは、市民たちが測定をしているということです。高いレベルを発見した後、彼らは、地方自治体と政府に、こうした汚染地域を調べるよう要求し、政府が調べると、汚染されていたのです。ですから、これは非常に市民中心のものです。終始、人々が参加しています。至る所で、放射能モニタリングがおこなわれています。親たちが測定しています。母親達が測定しています。大学の教授達が週末に測定しています。

エミー・グッドマン: 福島県で新たな研究が行われようとしていますね、スミスさん?

アイリーン・美緒子・スミス: はい。今月末に始まるの健康調査を、非常に懸念しています。これは福島県民に対する影響に関するものです。長崎大、原爆後障害医療研究施設の山下俊一教授が率いています。彼は福島県の放射能健康リスク管理アドバイザーです。彼はNHKにもよく登場します。福島県中で講演し、福島の放射能レベルには全く何の心配もないと、いつも言っています。母親達に、母親達さえも、100ミリシーベルト被曝しても、妊婦達は、健康への影響、何の影響も受けないと言っています。100という数値を覚えておいてください。これと比べて、ソ連では、チェルノブイリ事故の際、5ミリシーベルトで、避難命令がだされました。この教授は以下の様に言ったとされています。"放射能の影響は、実はニコニコ笑っている人々には来ません。クヨクヨしている人に来ます。" これは発言そのままの引用です。しかも彼が研究を率いているのです。そこで、福島県民は非常に心配しています。

エミー・グッドマン: ロバート・アルバレスさん、新しい報告書を書かれましたね。主にどんなことを発見されたのでしょう?

ロバート・アルバレス: 報告書は、アメリカ合州国の原子炉に保管されている使用済み核燃料の脆弱性と危険に関するものです。アメリカ合州国の原子炉構造は、福島第一原発の日本の原子炉と共通の構造です。第一原発で進行中の事故を見ていると、爆発で、基本的に、使用済み核燃料プールが露出してしまっていることがわかります。アメリカ合州国で、アメリカのプールに保管しているものは、日本の約3、4から、5倍の放射性物質があり、安全ではない脆弱なプールで保管している射性物質の量は、地球上で最大の放射性物質集積になっています。

2008年、同僚と私は、9/11攻撃の後に、報告書を、詳細な研究を発表しました。あの攻撃後、こうしたプールの脆弱性が非常に心配になり、万一、誰か、あるいは何かのせいで、水が空になってしまえば、チェルノブイリが引き起こしたより遥かに広い地域が、人の住めない場所になりかねない、壊滅的な放射性物質の火事をひき起こす可能性があると指摘しました。チェルノブイリは、現在、ニュージャージー州の約半分の、人が住めない地域を生み出したのです。

実は、こうした廃棄物のための最終処分場は、アメリカにはないのです。こうした廃棄物の埋め立て地を、過去55年間、我々は探し出そうとしてきたのです。そして現実は、こうした廃棄物は、アメリカの原発に集積し続けており、原子炉を運営している企業は、原子炉と比べれば月とスッポンの防御レベルでしかない使用済み核燃料プールに、それを詰め込み続けています。これらのプールは、車の販売代理店や、大規模小売店のような、構造物の中にあります。そして、例えば原子力規制委員会は、プールには、外部電源を失った場合、非常用ディーゼル発電機が必要だとはしていないのです。プールを冷却しておくのは極めて重要なことで、これは何とも深刻なリスクをもたらします。これが、アメリカ合州国における原子力発電の最も深刻な脆弱性だというのが、私の意見です。

フアン・ゴンザレス: 明らかに、アメリカ合州国政府が、世界中の他のいくつかの政府同様、原子力発電利用を推進し続けようと固く決めているという事実に、どういう代案があるのでしょう? 使用済み核燃料を保管することへの、代案は何でしょう?

ロバート・アルバレス: 違いがあると思います。計画と現実には大きな違いがあるのです。アメリカにおける原子力発電の拡張は、もしあったとしても、むしろ控えめで、小規模でしょう。現在稼働中の約104基の原子炉と、そこから生じる使用済み核燃料についてこそ、心配すべきなのです。ドイツが25年前に行ったことをすべきなのです。つまり、プールを間引いて、本来意図されていた目的の為に、使用済み核燃料を数年間、冷却するために使い、それから、使用済み核燃料を、乾燥して、硬化した保管用モジュールに入れるのです。それで、これら使用済み核燃料プールの危険性は大幅に減ります。

エミー・グッドマン: アメリカ合州国の原発推進で、勧められているものは、比較的些細なものとおっしゃるのですね。ロバート・アルバレスさん、歴代大統領が何十年も推進せずにいたものを、オバマ大統領が推進していることに、多くの人が衝撃を受けていると思います。この国の原子力発電所が建設されたのは、約30か40年前ですね。ゴンザレスさんは、オバマ大統領が、大統領になる前、原子力産業からかなりの支援を受けていたので、彼は原子力を推進しないとは、決して言っていないと書いていましたね。日本での事故以来、彼らは、これに関して、むしろ寡黙ですね。

ロバート・アルバレス: これは、ほとんど言葉のあやだと思います。政治的支援者達に、あるいは、打ち負かしたい政敵に、原子力キャンデーを配るようなものだと思います。現実は、合州国財務省に無制限なアクセスができるようにならない限り、この国では、原子力には全く見込みはありません。そういうことは、おこりません。例えば下院は、最近、2012年財政年度の歳出予算法案を成立させましたが、オバマの融資保証拡大要求を完全にはねつけました。言い換えれば、アメリカ政府が融資を保証しても、融資そのものは、財務省が行います。今、議会は、一基100億ドルもかかるような原子炉のために、国庫を開放する気分だとは思えません。

彼は口では原子力を支持したり、融資拡大を狙ったりもしていますが、原子力産業への支援も急に中止し、ユッカ・マウンテン処分場を中止したことも念頭に置いておく必要があります。そこで、大統領がしている多くのことに我々がしているのと同様、彼が言っていることと、実際に起きていることの違いを、整理することが必要だろうと思います。

フアン・ゴンザレス: アイリーン・美緒子・スミスさん、日本の災害にしばらく話を戻したいと思います。グリーンピースは汚染レベルについて報じています。海の危険な汚染レベルが岸から80キロにまで及ぶことを彼らは発見しました。日本で、漁業に何が起きているのですか。沖の広大な海域一帯の汚染の可能性について、反応はいかがでしょう?

アイリーン・美緒子・スミス: はい。海の汚染は非常に深刻です。チェルノブイリからバルト海に放出されたものと比較して、10倍だという推計があります。ですから大変に深刻です。全国漁業協同組合連合会は、原発事故後、かなり早い時期に、日本中の原子力発電所の閉鎖を要求しています。この業界は、これまで原子力のことを全然心配していなかったので、これは驚くべき発言です。現在も放射能で汚染された水の量がどんどん増え続けているので、東京電力は更に放出するつもりです。漁業業界は、現在それに反対しています。

エミー・グッドマン: ロバート・アルバレスさん、この海洋汚染についてお話しいただけますか?

ロバート・アルバレス: はい。ご存じの通り、日本政府は、国際原子力機関への報告書の中で、一週目に、大気に放出した放射性物質の量を、低く見積もっていたが、放射性物質の量は約4000万キューリーだと言っています。彼らは、同様に膨大な量、約2000万キューリーを大洋に放出したことには触れていません。ここで彼らが計算しているのは、放射性ヨウ素と放射性セシウムです。

半減期が30年なので、放射性セシウムが一番、問題です。潜在的に危険な、物質に貫通する放射能を発し、食物連鎖や、他の生物相に、あたかもカリウムとして取り込まれます。食物連鎖の上にゆくにつれて濃縮し、人々がこうした食べ物を摂取する頃には、最初に環境に放出された元のレベルより、高くなります。原子炉敷地の沖には、幅約300キロでしたか、よく覚えていないのですが、長さ数キロ? 300キロで、幅数キロでしたかの海底が広がっています。そこにセシウム-137です。日本にとって、食糧供給上、海産物は根幹ですから、これは非常に深刻な問題です。

エミー・グッドマン: アイリーン・美緒子・スミスさん、学校での許容放射能上限値と考えられていたものの変更について、お話しください?

アイリーン・美緒子・スミス: はい。大変な戦いがありました。福島県民の親達が、何台ものバスで、3月、すみません、5月23日に上京し、文部科学省と会ったのです。庁舎はすっかり、完全に人々に包囲され、ビル内で交渉が続きました。とても激しい交渉でした。親達は、文科省に、できるだけ、1ミリシーベルト基準に戻すように努めると言わせました。福島県で、子供達に対して許容しているものは、20倍です。文科省が認定したこの基準は、依然として、公式に有効です。これは大変なレベルです。20ミリシーベルトは、原子力発電所内の放射線管理区域のものよりも、ずっと高いのです。例えば、日本では、作業員は、白血病なり、なんなりになった場合、わずか5ミリシーベルト、5ミリシーベルトをごくわずか超えたところで、補償が認められます。ところが、この子供を対象にした基準は、年間その4倍です。ともあれ、できるだけ、1に近づくよう下げて欲しいと要求しているのです。文科省は同意しました。更に、彼らが言っているのは、子供たちが学校にいる時間帯だけのものであることがわかりました。最大の1になり得るのです。もちろん、子供達は、学校でも過ごしますが、学校に行き来もします。ですから、政府は依然、子供たち用に非常に高いレベルを許容しているのです。

フアン・ゴンザレス: ロバート・アルバレスさん、こうした大事故の発生時に、大衆に対して、政府が事実をねじ曲げること、場合によっては、実際には嘘をついているようなものに、大衆が直面しているという問題についてお伺いします。過去をさかのぼれば、スリーマイル・アイランド、チェルノブイリ、最近では、メキシコ湾でのBPの石油漏洩、あるいは、ツイン・タワーの倒壊との、大衆の健康への影響ですが、それが今や、日本でおきているのです。常に、政府の傾向は、彼らが即座に入手した情報を、大衆に隠蔽するというものです。これは、結局、こうした大災害時に、政府が発表することに、人々が不信を抱くことになりませんか?

ロバート・アルバレス: はい。もちろんです。特に原子力業界は、アメリカ合州国でも、ロシア、日本、どこでも、彼らの活動の危険さについて、大衆に、情報を隠蔽し、事実をねじ曲げてきたかについて、大変に長い歴史があると思います。アメリカでは、長年、大気中での核実験計画の実施期間中続いていて、例えば。原子力産業は、核兵器計画から派生したがゆえに、このむしろ独特の地位を享受しています。この業界は、秘密、隔離と、特権という条件の下で育てられたシステムであり、大衆に対して包み隠ししないことが、自分たちのためになるとは考えていないのです。エネルギー省で、六年働いたことがあり、皆さんからすれば、私は元原子力インサイダーです。わたしが、この世界で、出会ったのは、こうした活動による危険の本質について率直な情報を明らかにするのをいやがる人々です。人々を怖がらせるわけにはゆかない、人々を怖がらせることは、真実を語るより悪いことだと。これは、根本的で、基本的に間違った想定だと思います。

エミー・グッドマン: ロバート・アルバレスさん、原発事故の結果、日本人には何の健康問題も無いだろうとアメリカ原子力業界が言っていることに対していかがですか?

ロバート・アルバレス: めくらましでしょう。広報活動としてのめくらましです。今後数十年間は、全ての事実を知ることはできないでしょうから。チェルノブイリのような過去の事故や、この国で、過去50年間、原子力作業従事者の人々が経験してきたこと等を元に分かっているのは、癌やたぶん他の病気の危険性も大幅に増えるに違いないということです。

エミー・グッドマン: 日本は、福島第一原発は、チェルノブイリと同等か、それよりひどいと言われるのですね?

ロバート・アルバレス: その通りです。ソ連とロシアが、約5000万キューリーの放射能が環境に放出されたと主張しているのであれば。これは、ほぼ日本政府が現在認めているものに匹敵します。この原発は、膨大な量の放射性物質を大気中に放出し続けており、一週目か、二週目の間ほど膨大ではないにせよ、やはり膨大です。

もう一つの問題は、現場作業員です。約5,000人の作業員に、放射性物質の内部被曝をしたという肯定的証拠があることを知って驚愕しました。これほど短期間の被曝は、これは膨大な人数です。ほぼ50年間、一種勢い良く動いていた、アメリカの核兵器計画で、内部被曝を受けたと記録されている、あの当時の核兵器工場のあらゆる作業員のものと、ほぼ匹敵します。要員、緊急対応要員に対するこの影響は、大衆にとって、健康上の影響という点で、どういうことが予想されるかの重要な手がかりになりますから、しっかり監視してゆく必要があると思います。

フアン・ゴンザレス: アイリーン・美緒子・スミスさん、手元にあるいくつかの報道、ニュース報道は、明らかに、彼らが支払う高賃金と、津波と原発事故そのものの結果として起きた経済的混乱のため、除染作業をする人々を募集するのは難しいことではないと言っています。

アイリーン・美緒子・スミス: はい、その通りです。作業員の健康も大変心配です。ロバート・アルバレスさんが指摘したように、これほど多数の作業員が内部被曝を受けたとことが分かったことは、大衆にとっても心配で、市民は非常に心配しています。福島県民が内部被曝を受けた可能性を認めることを日本政府は拒否しています。子供達のことについて、私たちは訴えています。住民は、ホール・ボディー・カウントを要求しています。少数の人々は実際に検査を受けることができました。しかし、放射線医学総合研究所(放医研)には、結果を教えてもらえないのです。"問題はありません"と言われただけです。 彼らはデーターをもらえないのです。彼らはデーターを公表するよう要求しています。ですから、これは非常に懸念されます。

もう一つ指摘したいことは、これはまだ進行中の災害だということです。ロバート・アルバレスさんが、アメリカの例であげた使用済み核燃料プール問題は、福島で、第4号炉では、使用済み核燃料プールが露出しています。余震が心配です。原発からの半径20キロ外に住んでいる人々がいます。20、30キロ圏の外部では、ホット・スポットだけが、避難しています。ですから、我々は避難を要求しているのです。要求は非常にはっきりしたものになっており、特に妊婦と低年齢小児で、実現させようと頑張っています。

エミー・グッドマン: ロバート・アルバレスさん、原子力は、世界的に、前進しているとアメリカは言っています。しかし、ドイツでは、アンゲラ・メルケル首相は巻き戻しを強いられ、原子力発電所は推進しないと言っています。スイスも同様です。サウジアラビアは、30基の新たな原子力発電所を建設すると言っています?

ロバート・アルバレス: 申しあげた通り、計画と声明、発表は、多くの場合、実際に起きることとは違うのです。アメリカ合州国の現実は、アメリカには、もはや原子炉を建設する会社も、能力もインフラもないのです。それには日本やフランスに依存しなければなりません。日本が現在、原子炉格納容器用鍛造物の唯一の生産者です。アメリカの国の原子力エンジニアは南北戦争退役軍人並みの絶滅危惧種です。将来性のない職業とみなされているので、実際、原子力エンジニアになろうと、進学するアメリカ人は、ごくわずかです。ですから、アメリカには、実際、インフラはないのです。原子力発電を大規模に拡大するのに必要な熟練した知識基盤は存在していません。

福島原発事故は、世界の原子力産業にとって、大打撃だったと思います。54基の原子炉を持つ日本は、世界で三番目の数の原子炉を持っていることを理解する必要があります。日本は世界第三位なのです。一時的な理由であるにせよ、今、日本が来春までに、原子炉を停止する予定だと発表すれば、大量の原子炉を保有する、あるいはもっと建設しようかと検討中の他の国々にとって、重要なきっかけとなるでしょう。

30基の原子炉を持ちたいというサウジアラビアの願望は、必ずしも簡単に実現するものだとは思いません。アメリカ合州国が、本質的に、そうした問題に対する、ある種の門番役をしていますから。サウジアラビアは、やがて核兵器を所有する能力が持てるようにするため、核インフラの確立を狙っているのだと思います。実際には、ほとんど水がない国、サウジアラビアに30基の原子炉を建設するというのは、原子炉は膨大な水が必要なので、筋が通っていません。そして、価格を、これらの原子炉をサウジアラビアのような場所に建設する費用を考えれば、これを実現するのに、3から5兆ドルあたりの額になります。ですから、こうしたもののあるもの、こうした発表や計画の一部は、まさに発表と計画に過ぎないと思います。

エミー・グッドマン: 最後に、バーモント州ですが、原子力発電所、バーモント・ヤンキー原発を閉鎖するアメリカで最初の州議会となる可能性がありますが、所有者のエンタジーは激しく戦っていて、議会がそうするのを止めさせるため、訴えようとしています。バーモント・ヤンキー原発と、福島原発との比較はどうでしょう?

ロバート・アルバレス: バーモント・ヤンキー原発は、ゼネラル・エレクトリック社の沸騰水型マーク1原子炉で、福島第一原発にある原子炉と全く同じデザインです。あそこの使用済み核燃料の、放射性物質は、福島の4基の壊れた原子炉、破壊した原子炉の全ての使用済み核燃料棒よりも多いのです。建設されて42年です。しかも、これは閉鎖時期に来ている原子炉だと思います。持ち株会社として、出来るだけ多くの金を引きだせるようにしたい、単なるATM装置と見なすべきではありません。この原子炉は、通常の値段よりずっと安い値段で買われました。規制緩和の環境で運営している、エンタジーのような企業は、安全性強化のための大規模改修が必要になるようなことをするのを嫌がります。例えば、もし州が、連中に、冷却塔を建設し、排ガス規制法に適合するようにし、新しい現代的なものを実際に建設するように要求すれば、資本支出だけでも、エンタジーは、この原子炉を閉鎖する方向に向かうと思います。ですから、ここに戦線がひかれているのだと思います。今後、原子力発電の未来を巡って、連邦政府との衝突が必至であるように見える各州と、連邦政府の戦いが激化するのを見ることになると思います。

エミー・グッドマン: ロバート・アルバレスさん、ご出演有り難うございます。

ロバート・アルバレス: 有り難うございます。

エミー・グッドマン: 彼は元米国エネルギー省長官上級政策顧問で、現在、政策研究所の上級研究員です。彼の最新の報告書は「米国の使用済み核燃料プール: 破滅的な貯蔵リスクを軽減するために」"Spent Nuclear Fuel Pools in the US: Reducing the Deadly Risks of Storage"です。democracynow.orgから、それにリンクしておきます。アイリーン・美緒子・スミスさん、ご出演有り難うございます。東京からご参加頂きました。彼女はグリーン・アクションの事務局長です。

番組の長さ:29分 (日本語字幕あり!

スクリプト原文のurlは下記:www.democracynow.org/2011/6/10/as_japan_nuclear_crisis_worsens_citizen

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多少前の放送だが、こうした放送が世界に流されていることは知る意味があるだろう。民放地デジより、はるかに有意義なこともわかるだろう。

デモクラシー・ナウ!会員募集も、ニュース・レター講読もある。素人によるいんちき翻訳ではない良質のものをご希望の皆様は、こぞってご参加いただきたいもの。ただで良い情報を得られるはずはない。

腐敗した政府、原子力完全不安院、福島県や、マスコミが、いくら日本の国民を騙せても、こうして、たとえば、デモクラシーナウ!によって、悪辣さは、英語を解する世界に報道されてしまう。知らぬは日本人ばかり。山下教授のような人物を登用する福島県、それを放置する我々、世界から「尊敬」ならぬ「驚き・不信」の目で見られているだろう。

山下教授のような人物を調査組織のトップにおいてのフクシマ健康調査、ヒロシマ、ナガサキ原爆投下後、データ収集だけが目的で、一切治療行為をしない、宗主国の原爆傷害調査委員会(Atomic Bomb Casualty Commission、ABCC)の現代版だろう。

アーニー・ガンダーセン氏は「三号炉では使用済燃料プールで即発臨界が起きた。」と分析しておられる。一号炉は爆燃。三号炉では、爆燃により、使用済燃料の即発臨界がおきたのだという仮説だ。そして、同じことが、アメリカの原発の使用済燃料プールで起きる可能性があると警告しておられる。一号炉は爆燃。三号炉では、爆燃により、使用済燃料の即発臨界がおきたのだという仮説だ。そして、同じことが、アメリカの原発の使用済燃料プールで起きる可能性があると警告しておられる。

Why Fukushima Can Happen Here: What the NRC and Nuclear Industry Dont Want You to Know

江藤貴紀氏による訴訟、この番組で初めて知った。

集英社新書『原発の闇を暴く』広瀬隆・明石証二郎を読み終えたところだが、広瀬・明石両氏も、訴訟を起こしたという。本の中で、当然ながら、山下教授に留まらず、デタラメ委員長ほか、ことごとく、バッサリ切り捨てられている。

アイソトープ協会や、放射線医学総合研究所などの組織も、ご多分にもれず、安全性を宣伝する為の組織。(176ページ)放射線医学総合研究所におられた木村真三氏が、事故後、即座に放射能調査をしようとして止められ、放医研を退職して、チェルノブイリの際に活躍された岡野眞治氏とともに、彼の装置を使って調査を敢行した結果が、ETV「ネットワークで作る放射能汚染地図」で報じられているのは周知の通り。

198-199ページに、豪腕政治家氏が、六ヶ所村の再処理施設推進の上で、重要な役割を果たしていたとある。また、1980年4月8日の渡部恒三議員による衆院商工委員会での質問と、2011年4月29日、衆院予算委員会における一世一代の大芝居が並べてある。とんでもない黄門。ジキルとハイド一人二役。彼の甥、現フクシマ県知事の言動を連想した。

助さん、角さんが、腕を振るったあと、ご印籠を突き出し、めでたく落着するドラマ、洗脳テレビの中でしかおきないお話、とうとう終了するという。

テレビは詐欺師のような御用学者ばかり重用する。地デジに変わったとて、洗脳プロパガンダ放送、真相報道に変わるわけがない。映像品質のみ向上。

ストレス・テストもなにも、政・官・産・学、労組、マスコミなど、原発を無理やり建設し、動かしている犯人連中が、なんとか原発を動かす為の口実にするテストを考え出して、意味があるだろうか。究極の八百長。相撲にならって、九州電力社長のみならず、関係者全員追放されると有り難い。玄海原発のヤラセ・メール、あらゆるレベルの選挙でも、同じようなことが展開されているのだろう。体制翼賛広報部は、わかっていて、報じないだけ。そのおかげで、小選挙区制やら、政党助成金やら、裁判員制度といった、とんでもないものばかり実現する。

資源エネルギー庁が「平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」の入札を公示しているという。税金悪用の典型。税金によるファシズム。

原子力等に関する、政・官・産・学、労組、マスコミなどの、不正確な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供する

べきだろう。

2020年、果たして東京、オリンピックやら、何らかの国際的イベントを開催できる状況にあるのだろうか?喜んで、やってこられる人がいるのだろうか?まさかガスマスクをつけて競技するようなことはないだろう。自炊覚悟で、食糧と水の持参をお願いするのだろうか?

放射能汚染の牛肉はアブナイので、早急にアメリカ牛肉を輸入しよう、ということになる。狂牛病の危険性のほうが、ロシア・ルーレットとして好ましい、のだろう。

民主党・自民党、どちらか、二大政党選択と同じ。悪化こそすれ、救いにはならない。両方大敗しないかぎり、交替などしても、日本に未来はない。事実上、後退あるばかり。

一億総棄民の国、今後、牛乳は、魚は、一体どうするのだろう?アメリカからサンマや、アジや、サバを輸入するのだろうか?牛乳、昔のように宗主国からいただく脱脂粉乳にもどるのだろうか?刈り取った稲藁は汚染しても、栽培中の稲は汚染しないのだろうか?

2011年7月15日 (金)

“福島-1”原発を巡る状況とは無関係に原発建設は進行中とIAEA事務局長

2011年7月12日

atomic.energy.ru

"福島第一"原発での事故で、日本で起きている惨事にもかかわらず、世界中で原子力発電所建設が続いている。これに関し、南米諸国歴訪の一環として、昨日ボゴタ市を訪問した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長の発言を、ITAR-TASSが報じている。

訪問の際に、国際原子力機関(IAEA)事務局長は、こう語った。“アジアのいくつかの政府、例えばアラブ首長国連邦やベトナムでは、新規の原発建設を計画しており、日本の原子炉事故は、彼らの意図に影響していない。この事象の影響が、社会的に否定的に受け止められたので、世界における原子力の発展のテンポが、多少落ちる可能性はある。疑念を払拭するには、まず“福島第一”事故による結果の除染で、具体的な成果を達成すること、特に放射能汚染水の除染処理を完了することが不可欠だ。そのためには、国際原子力機関(IAEA)と国際社会との”より緊密な協力が不可欠だ。

天野之弥事務局長によれば、平和的な原子力エネルギーを一層発展させるためには、特に国内最初の原発稼働を予定している諸国にとって、原発の安全基準を完成させることが不可欠だ。

国際原子力機関(IAEA)事務局長はこう提案した。“原子力エネルギーの優越性は明らかだ。効率が高く、大気中に、温暖化ガスを放出せず、そこで、気候変動を防止できる。のみならず、原子力技術は他の用途、例えば医療で癌患者治療にも利用が可能だ。”

更に、天野之弥事務局長は、国際的な議題として、発展途上国において、放射線療法を利用した癌治療法の普及を取り入れることを提案した。また、国際原子力機関は、このプロセスに対し、あらゆる協力をする用意があることを表明した。

記事原文のurl:www.atomic-energy.ru/news/2011/07/12/24260

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知人による翻訳。同じ記事の別翻訳は下記ブログで読める。

外国語文字列散策 http://zacfc2.blog20.fc2.com/blog-entry-2192.html

国際原子力機関なる組織、その組織幹部の本質が良く分かる記事。

最後の段落は、できすぎたブラック・ジョーク。癌を発生させる可能性と、治療につかえる可能性、バランスは、既に計算されているのだろうか?彼なら、白血病や甲状腺癌も、治療できるのだろう。

日本では、報道されているのだろうか?

天野之弥氏、Wikipediaによると、「東京大学法学部卒業」「外交官」

原発にまつわる仕事をされている「東京大学卒」「公務員」諸氏、逸材揃い。

「原発、核兵器で金を儲けるマフィア」の一員であればこそ、経済産業省、原子力完全不安院、原子力不安全委員会、御用学者、電力会社幹部、マスコミ、労組など、原発推進派の方々と同じことを、こりずに言い続ける厚顔無恥。福島県の放射線アドバイザー・兼・副学長氏を思い出す。

放射能への耐性が、普通の人と違うのだろう。

少なくとも、神経の太さは、普通の人の100倍はあるだろう。

それとも、核シェルターで暮らしておられるのだろうか?

空気や水や、食糧、どうやって調達されているのだろう?

2011年7月13日 (水)

アフガニスタン: 敗北の中の勝利

Eric Walberg

Al-Jazeerah, CCUN

2011年7月4日

ベトナムとアフガニスタンの間には、多くの類似点がある。最近のアメリカの市長達による「終結を早める努力を支持する」決議と、軍隊が撤退するというオバマ声明は、あらためて思い起こさせてくれるものではあるが、それが語っている話は、厳しいものだ。

バルチモアで、全米の市長達が議論し、年次大会で、「終結を早める努力を支持する」決議を採択した。ベトナム戦争時代の1971年に、同様の決議を採択して以来、戦争に対して、態度を明確にしたのは初めてのことだ。反戦決議は、TVニュースにさえなったが、ニュースは、大多数のアメリカ人が、長年、アメリカの違法な戦争を終わらせたがっているという事実を軽視していた。

40年前、ベトナム戦争時代に始めて政治体験をした人々にとって、郷愁で一杯となる瞬間ではあっても、それから40年後の一般教書演説を評価するのは、到底無理な話だ。リンドン・B・ジョンソン大統領の“貧困撲滅運動(貧困に対する戦い)”は“対テロ戦争”にとって変わられた。今日、アメリカには黒人大統領がいるが、不景気に陥っており、生活水準は下落し、インフラは崩壊し、公民権は侵害されるばかりだ。

ユダヤ系アメリカ人は、はなやかさがより衰え、より無力な、現代の反戦運動の中で、不可欠な部分ではあるが、かつての軍人支持者達とは違って、戦争支持の運動は、声高な親イスラエルだ。これは、イスラエルは、もはや単なる腕白な、パレスチナ人の土地の一時的占領者ではなく、アメリカの最も献身的な協力者で、それ自体、尊敬されている(というより、むしろ恐れられている)帝国主義者で、中東におけるアメリカの戦争を画策する上での中心的存在である新時代の反映だ。

市長達が果てしない戦争を止めるよう呼びかけたのと同じ頃、既に三ヶ月目に入った、宣戦布告なしの新たな対リビア戦争で、議会はオバマを非難したものの、資金支出を拒否するまではしていない。市長決議、国会決議、いずれも有効ではなかった。しかし、将軍達がうるさく付きまとうので、抜け目のないオバマは、この二つの抗議行動を、自らの背後を守るのに利用して、今年末までに撤退させる10,000人を含め、2012年9月までに、33,000人の兵士を、アフガニスタンから撤退させる計画を発表した。“アメリカは、国内での国造りに力を注ぐ頃合いだ。”

オバマの発表は、ベトナム戦争とのもう一つの類似点を想起させる。1972年の大統領再選キャンペーン中のニクソン声明“和平は目前だ”で、彼は、国民が二期目も大統領に選んでくれれば、敵と交渉した後、戦争を段階的に縮小するつもりだと言った。1972年、彼は歴代アメリカ大統領の中でも最大の得票で勝利した。選挙に勝利した後、カルザイ(失礼、チューとキだ)に、タリバン(失礼、共産主義者だ)との取引に合意するよう説得に成功し、その結果、1975年の印象的な、ヘリコプターを使った在サイゴン・アメリカ大使館撤退に至り、ベトナムを、アメリカ人占領者からとうとう解放したのだ。美しい“計画”ではなかったが、ともかく機能した。

1960年代末期には、大多数のアメリカ人が、ベトナムを共産主義者に“明け渡す”リスクを冒しても、東南アジアでの戦争反対へと変わっていたのと同様、現在56パーセントのアメリカ人が、アフガニスタンからの即時撤退を望んでいるが、56パーセントは、安定した政府はできず、タリバンが権力に復帰しかねないと予想している。しかし、40年前と同様、アメリカ人は関心を失っている。

類似は、完璧ではない。オバマは、将軍達が同意さえしていれば、2009年にアフガニスタンから撤退していただろう。“オバマは、実質的に、勝利は不可能だということを証明するためだけに、この18カ月間の増派をせざるを得なかったのだ”ボブ・ウッドワードは、オバマの戦争側近の言葉を引用している。予想通り、増派は驚くほどの失敗で、無防備な標的を増派したようなものだった。スタンリー・マクリスタル司令官は、昨年、面目を失って解任され、彼同様に意欲に満ちた後継者デービッド・ペトレイアスは、CIAへと追いやられ、隠密作戦のみで戦争を継続するようにさせられた。残された将軍達は怒り狂ってはいるものの、平静を装っており、ヒラリーは、タリバンに“働きかける”と語り、彼らの“心”を獲得することを期待しているのは確実だ。

オバマは、彼が龍を退治し、寺院内から両替商を追い出し、地に平和をもたらしてくれることを期待していた連中を失望させてはいても、それでもなお、この狡猾な政治家は、先輩のニクソンにも匹敵する。ニクソン同様、彼もふんぎりをつけるべき時期であることを充分承知しており、観客を沸かすための演技をしたのだ。“我々は、強い立場から、この縮小を開始する”彼はアメリカ人に厳かに語った。この演技と、ビン・ラディン暗殺で、二期目も、ほぼ確実に再選されるだろう。

多国籍軍仲間の離脱が、昨年のオランダから始まり、最終期限 (これも実は、選挙戦略と、アメリカのごり押し次第で、変わるのだが)を設定した、カナダ、ドイツとイタリアが続いている以上、縮小は決して早過ぎることはない。イギリスは既に派遣部隊を削減しており、喜んだフランス大統領ニコラ・サルコジは、フランス軍は来年夏までに帰国すると即座に宣言した。

“戦争に負けているのだ。タリバンに働きかけているのは、決して‘強い立場’の証明ではなく、アメリカの弱さの明らかな兆しだ”オバマが厄介な問題を、巧みに処理していることを認めながら、解説者のボリス・ヴォルコンスキーは、そう書いている。彼はオバマ演説を“現実の明敏な認識”と呼んでいる。実際、オバマに対する唯一の公的批判は、ジョン・ マケイン上院議員のような常軌を逸した連中による、“ボロボロになった敵”を最終的に打ち破れる、アフガニスタン駐留軍司令官達の能力を、オバマは否定しているというものだけだ。ハミド・カルザイ大統領は、アメリカ軍が撤退するという声明を、“アフガニスタンにとって幸福の瞬間”だと表現した。

ベトナムとアフガニスタンの大きな違いの一つは、撤退後もアフガニスタンに基地を維持する計画だ。アフガニスタンの隣人、ロシア(ほぼ隣人)、中国、イラン、パキスタン、カーブルの傀儡政権さえも、そんなことにはさせないと誓っている。まるでタイミングを見計らったかのように、今週、イラン大統領マフムード・アフマディネジャドは、カルザイとパキスタン大統領アースィフ・アリー・ザルダーリーを、対テロ会議と、一対一の対話のためテヘランに招待した。アフガニスタンに対するアメリカの計画とは別に、ザルダーリーの話は、アメリカが強く反対している、イラン-パキスタン石油“平和パイプライン”プロジェクトの完成に関連していた。しかし、アメリカとて、この友情構築に驚くべきことは全くない。増派とビン・ラディン暗殺のマイナス面は、アメリカの徹底的包囲から、パキスタンが、とうとう何の弁解もせずに抜け出せることだ。

カルザイは、予兆に気づきながら、更に今後数年、生き延びたがっており、憎まれているアメリカ人に、とって代わって欲しいと、隣国諸国に言い寄っている。いずれの隣国も、彼を支援する様子を見せている。彼のテヘラン訪問も、決して驚くべきことではない。アフガニスタンを二つに分断するというブッシュ時代の“ブラックウィル計画”の一環として準備された、アフガニスタン北部の舗装したばかりの軍事基地を、アメリカは、ほぼ確実に放棄せざるを得まい。このネオコンの白日夢は、もし、タジク族が多数派を占める北部を、アメリカが取るのを認めさえしてくれれば、タリバンがそこに“大パシュトーニスタン”を作ってもかまわないという条件で、南部をタリバンに割譲するものだ。カルザイも、ザルダリも、こんな案は支持しない。中国も、ロシアもイランも支持しない。タリバンが支持する可能性も、極めて低い。

イランのアフマド・ヴァヒーディ国防相は、先週カーブルを訪問し、アフガニスタンのモハメッド・ファヒム副大統領に、“偉大で勇敢な国アフガニスタンは、地域外部勢力の介入無しで、自国の安全保障を、最善の形で確立することができます。”と語った。二国間安全保障協力契約を、イラン側の相手と署名する際、アフガニスタンのアブドゥッラヒム・ワルダク防衛相は、“イランとアフガニスタンの共同防衛・治安協力は、地域の平和と治安確立上、極めて重要だと確信しています。”とまくしたてた。

最も重要で、非常に気掛かりなのは、これらのアメリカの戦争で、一体誰が“勝利”したのかという認識と現実の類似点だ。一般的な見方は、アメリカはベトナムで敗北し、アフガニスタンでも敗北したというものだ。しかし、それは誤解を招くものであって、アメリカは、いずれの場合も“敗北の中での勝利”を達成していたのだ。

ベトナムの場合、東南アジアの非帝国主義的な転換における触媒として、強力な社会主義国が見事に発展するという、あらゆる可能性を壊滅させた。キューバのフィデル・カストロ同様、ホー・チ・ミンは立派な教育を受けており、国民からも、また重要なことだが、ソ連・中国、両国の指導部にも大いに尊敬されていた。アメリカがベトナム侵略を侵略していなければ、現在、東南アジアの全ての国は、(名前のみではない)共産主義となっていた可能性が極めて高い。世界はもう全く違った姿になっていただろう。

同様に、中東でも、アメリカは、中東を率いるイギリスの帝国主義指導に習って、受動的で内向き思考のワハビ主義で反共産主義のサウジ君主制を育成し、サウジは、帝国主義者達が、一世紀以上、地域中を踏みにじるのにまかせ、貴重な石油を常に西欧に提供してきた。サウジアラビアと共に、帝国は、非宗教的な挑戦者であるイラン、エジプト、アフガニスタン、イラクとリビア(現在、作業進行中)、アルジェリアと革命後イランの、イスラム教の挑戦者を弱体化させ、決して地域のモデルにはならことを許さず、帝国に対する脅威にもならないようにした。

1975年のベトナム同様、イラクとアフガニスタンは現在廃墟となっている。アメリカの後見のもと、40年間の新自由主義と、蔓延する腐敗で、エジプトは致命的に傷つけられた。イランのイスラム教徒は、アメリカの資金提供を受けたイラクとの十年間の戦争を、更に、アメリカ、イスラエル、および他のギャング連中による、20年間の経済制裁と破壊を奇跡的に生き抜いたが、その厳格で陰鬱な政権は、例えば、西欧化したエリートがいて、退廃的な西欧と多数の親密な絆を持つエジプトにとって、大したモデルとはならない。(イスラエルは言うまでもなく)アメリカによる戦争と破壊がなければ、今頃、全中東は現代版イスラム・カリフ統治区として団結し、イスラム教の要求に応じて、石油の富を分け合い、地獄に落ちろと、帝国に言っていた可能性が高い。

だから、たとえ近い将来、カーブルから、カルザイや最後のアメリカ外交官達をヘリコプターで撤退させる羽目になっても、煽動家連中とそのネオコン腰巾着どもは、依然“勝利”を祝うことができるのだ。ある意味で、彼らは正しい。

Eric Walbergは、http://ericwalberg.com で連絡がとれる。彼の著書、Postmodern Imperialims: Geopolitics and the Great Gamesは、http://www.claritypress.com/Walberg.htmで購入できる。

記事原文のurl:www.aljazeerah.info/Opinion%20Editorials/2011/July/4%20o/Afghanistan,%20US%20Victory%20in%20Defeat%20By%20Eric%20Walberg.htm

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この記事、Global Research、CounterPunch等、様々な英語のwebに掲載されている。

Al-Jazeerah掲載日は絶妙!ベトナム戦争遂行に対する日本の貢献、はかりしれないものがある。

2009/3/12掲載の「オバマ、アフガニスタン戦争の戦略を提示」中に、カルザイの弟、麻薬で蓄財とある。護衛に殺害されたと報道されている人物だろう。ヘリコプター脱出、そう遠くはないのかもしれない。

講読紙、朝刊で、明確に脱原発・脱リサイクルを表明したのにびっくり。エープリール・フールではないだろうか?と我が目を疑った。

テレビ、菅下ろしの動きと、セシウム汚染牛肉のニュースばかり。ストレス・テスト、もちろん、八百長テストになるだろう。菅下ろしを進める連中、原発推進派であっても、脱・卒原発ではない。一難去って、また、(あるいは、もっとひどい)一難。

牛乳も、豚・鶏(牧草は食べないが)も、穀物・野菜・茶、果物も、魚も、水も空気も発表しないだけで、おそらく同じ。もちろん一口食べても飲んでも「ただちには健康に影響はない」だろうが、長期的に蓄積した後どうなるかは官房長官も福島県健康アドバイザー教授も保証してくれない。(してくれても、信じない。)御用学者は反論するが、放射能に、しきい値はないだろう。日本中チェルノブィリ状態は長期に続く。期間はチェルノブィリが参考になるだろう。

チェルノブィリ、25年後の今も、崩壊原発、安全解体とほど遠い。アパート群は無人。チェルノブィリ後のソ連・東欧・西欧、牛乳・肉、穀物で似たようなエピソードに事欠かない。癌で亡くなる人が増加しても、体に「チェルノブィリ発」の判子が押してあるわけではない。

フクシマ、25年後も、崩壊原発、安全解体とはほど遠い状態にあるだろう。

フクシマを引き起こしたご本人の、官、学、企業、労組、マスコミ集団が、他の原発の安全性を、調査したり、保証したりするのを、本気にする一般人、おられるのだろうか。(玄海町長氏のように利権をもっていれば、本気にしなくとも、賛成するのはわかる。)この地震国、他にもたっぷり原発はある。「事故は他原発では発生しない」という犯罪人諸氏の保証、詐欺か嘘か夢想でしかないだろう。

(恥ずかしながら名前を知らない)有名男性タレント・グループが、「日本は元気安全ですから、観光においでください」というコマーシャルに登場し、ニュヨークかどこかの大型スクリーンに、その宣伝がうつされるニュースがあった。もちろん、そうあって欲しいものだ。「日本人は、エリート官僚も、政治家も、御用学者も、大企業も、マスコミも、タレントも、信用できない。」とならないよう願たい。しかし、日本全国、風評被害状態ではなく、もはや汚染被害状態。

知人から、観光客ならぬ、留学生が激減していると、数日前に聞いたばかり。学童を、妊婦を、それと知りながら、放射能の中にさらしたままの国に、わざわざお金を払ってやってこられるカミカゼ留学生、まれだろう。深刻な状況に直面しているのは観光業界だけではない。熱烈な日本ファン増加の緊急停止・消滅。留学生十万人計画、たしか、原発導入の張本人、大勲位氏の発想。自業自得。

「日本は安全ではないから、資金さえあれば、どこか安全な海外移住したいものだ」と思いながら、節電上、宅急便配達の方がこられても対応できない「ほぼハダカ状態」でテレビを眺めていた。

2011年7月10日 (日)

ロシア・トゥディ: 新種のメディア?

William Bowles

2011年7月2日

williambowles.info

ロシア・トゥディは、世界のメディア体制に今後新登場するものの先駆け?

グローバルなデジタル・メディアは諸刃の剣だ。「雄のガチョウのソースは雌のガチョウのソースでもある。」ということわざ通り、ルールはフェアでなくてはならない。例えば、リアル・ニューズ・ネットワーク、デモクラシー・ナウ!やgrtvの出現は、わずかな予算でも、どれだけのことができるかを実証している。とはいえ、グローバル・メディアの世界に参入するには‘収束’やら‘市民ジャーナリズム’等と喧伝されはしても、やはり大量の資金が必要だ。

様々な出来事に対するアメリカの国営/民間マスコミの見解とは正反対の別の見方だとはいえ、西欧の視聴者に本物を提供することが、ロシア人に任されているのは皮肉だ。しかし、それも当然のなりゆきで、要は、これは、例え理由は違おうと、西欧において、たまたま、ある種の革新的な見方と一致する、ロシアという国家の見解なのだ。

6月29日、政府の年金/人員削減提案に反対し、組合員がストライキに参加した、公的・民間サービス労働組合(PCS)のマーク・サーウォトカ委員長の詳細インタビューを、イギリスのTVでなく、ロシア・トゥデイで、私は見た。

様々な出来事について、革新的視点で報道するTV放送番組をみられことは、めったにない。‘無料’で‘客観的’だという、あらゆるプロパガンダにもかかわらず、お決まりの西欧マスコミで育った人間が、そのような話題を、ほぼ毎日見るには若干の慣れが必要だ。下記の(やや古い)数字によれば、それも私だけのことではない。

2008年1月、YouTube上でのRTビデオ視聴数総計は、300万を超えており、YouTubeの最も視聴者が多いパートナー評価で、CBS、BBCワールド、アル・ジャジーラ英語版、フランス 24、Press TVに続き、RTは第6位だった。Wikipedia

ロシア・トゥデイ

ロシア・トゥデイ(RT)は、ロシア国営のデジタルTVニュース・チャンネル(スペイン語チャンネルもある)。ロシア・ドゥーマ(国会) から、年間約6000万ドルもの大金を得て、西欧社会の、ごく特定の部門を対象としているが、左翼の人々にとって、RTは、いささか統合失調的に見える(単に左翼の人だけが感じるわけではないかも知れない)。

ノーム・チョムスキー、ウイリアム・ブルム、F. ウイリアム・イングドール、ミシェル・チョスドフスキー等の著名な左翼の面々にインタビューできる一方、非主流派のイギリス独立党のような右翼連中が、移民問題や、EU崩壊歓迎について、わめきちらしたりもしている。あるいは、‘国際テロ’やら、無理からぬことだが、ロシアのヘロインの大半がそこから入っている麻薬国家アフガニスタンに焦点を当てて、ロシアの最近の強迫観念である‘麻薬戦争’を戦ってもいる。

先に私が触れた‘統合失調’は、左翼の人々だけが感じるのかも知れないが、RTの番組は、ロシア国家の外交政策上の懸案、特に安全保障の投影だと見れば、うなずけよう。

弱点は、もちろん、ロシア自身についての報道なのだが、‘微妙な’問題については、ロシアの他のどの国内放送と比べても、より率直であるように思える。概して資本主義寄りの経済・政治姿勢をとってはいるが、例えば、BBCで聞けないようなパネル・ディスカッションでは、RTは社会主義寄りの視点を取っている。

ロシア国内問題の報道では、ソ連時代について、スターリンの犯罪と並んで、業績についても、かえり見るという興味深い傾向が増しているようだ。これはソ連時代の遺産に対する、より深く、複雑な分析が始まっていることを意味する前向きな動きだと思う。結局、ソビエト社会主義共和国連邦の75年間を、あたかも、そんなものは存在せず、前向きの貢献は皆無だったとして片づけてしまうわけにもゆくまい。

もちろん、RTは、主にロシア独特のものごとのPRチャンネル(何十年もの冷戦プロパガンダのおかげで、ロシアとロシア国民について、我々はほとんど何も知らないので、そうしたもののいくつかは実際、面白い)および、ロシア外交政策の投影として機能している。

RTは、これを否定するが、ロシア議会が年間6000万ドルも費やしながら、放送内容にロシアという国家の権益を反映させないと考えるのは馬鹿げたことだろう。NATOの拡張を大いに強調したり、‘大祖国戦争’の記憶を思い起こしたりするのは、それが理由だ。

帝国によって、破産させられ、分割された後の旧ソ連が、最も必要としていないものは、次の戦争だ。結局、ロシアは何であるにせよ、帝国主義国家ではない。

これこそ、RTが、番組に非常に多数の反戦活動家、作家やジャーナリストを起用し、RTの番組に、あきらかな統合失調ぶりが見られる理由だ。

ソ連が、第二次世界大戦の矢面に立ち、2700万人の国民を失ったことからすれば、RTが反戦姿勢をとるのも当然だ。冷戦が、まだ健在で、ワシントンDCやロンドンで生き延びている以上、仇敵とロシアの関係は、RTで提示されているのと同じ一連の対立関係にある。NATOが帝国戦略中で演じている中心的な役割を考えれば、これはまさにその通りだろう。

ソビエト社会主義共和国連邦が破綻し、それとともにワルシャワ条約が破綻した当時は、NATOも、それに続くだろうと誰もが考えていた。ところが、ソ連の内部崩壊から生じた混乱の中で皆が同意したはずのNATO廃止は、どさくさ紛れに都合良く立ち消えになった。

そして、冷戦終了後、平和な世界どころか、対NATOの拮抗勢力がないまま、事態は悪化の一途をたどり、その過程で、NATOは、その発端から(ワルシャワ条約は、NATOへの対抗勢力として作り出された)帝国主義勢力の道具であったし、そうであり続けているという、驚くにはあたらない事実が明らかになった。

しかし、世界二大超大国の一つだったロシアが、経済的にも軍事的にも、明白に不利な中、争いに再度加わる、この立場は、NATOの違法なリビア侵略を巡る優柔不断さで証明されている。どちらの側を支援すべきか?もちろん、勝者側だ。原則的な立場を維持していれば、国連安全保障理事会投票で、拒否権を行使していたはずだ。彼らがそれで何を得ようと狙っていたのかは想像するしかないのだが、ロシアは、そうはせずに、日和見主義にしか見えない態度をとった(ある情報源は、棄権と引き換えに、ロシアに有利な計らいが約束されていたと示唆している。もし、そうであれば、重大な誤算だ。)

“もはやNATOは、“旧ソ連邦諸国”における覇権維持に汲々として、西ヨーロッパに対する脅威ではなくなった、今や従順となったロシアを脅かしてはおらず、東方への拡大はしていない。”‘ロシア、エジプト、リビアには、ある種、明るい希望がある’エリック・ウォルバーグ

そうかもしれない。 しかしロシアが、米-NATO基地のあらゆる面を言い立てていることからすると、決してかつての冷戦時代から変わったようには見えない。だから、私にとっては、一体なぜ中国とロシアが棄権したのかは、ちょっとしたミステリーのままだ。しかし、両国は、少なくとも国連安全保障理事会経由では、シリアに同じ運命が降りかからないよう意図して、教訓を学んだに違いない。

Presstv

RTほど簡単には見られないので、Presstvについては、状況を良く把握できているわけではないことを告白するが、アル・ジャジーラ/RT等と同様の出自で、西欧の視聴者を対象にしているが、出来事に対する視点が、イランという国家のものであるように思える。私はそれでかまわないと思う。視聴者の方々が判断されれば良いのだ。[2]

結論

西欧のマスコミによって、空前の規模でグローバル階級戦争が仕掛けられ、商品化されているのは明白だ。マスコミは、今や、帝国の恐ろしい兵器庫中の不可欠な武器だ。世界的規模で、マスコミは、‘ニュース’の特質のみならず、そもそも何を‘ニュース’とみなすべきかを規定している。あらゆる異なる見解は、西欧による仮定や作り事という津波に呑み込まれてしまう。

ところが、このエッセイを書き終えようとしている今、昨日(11/7/1)表面化した、カダフィ大佐が以下のように発言したと主張する‘ニュース’記事に思いを巡らしている。

“NATOが作戦を停止しない限り、リビアはヨーロッパの“家、事務所、家族”を標的にする。”‘リビア:ムアンマル・カダフィ、ヨーロッパを脅す。‘BBC 2011年7月1日

これは、奇妙で、少なからず出来過ぎに思えたので、少し調べ、大本のロイター記事に行き当たった。

“トリポリ、7月1日(ロイター) 金曜日、ムアンマル・カダフィは、トリポリのグリーン広場に集まった数千人の支持者達に、電話で演説を行い、このまま続けると誓い、NATOが率いる多国籍軍に、航空戦を止めないと“悲劇的な結末”に直面すると警告した。

“悲劇的な結末に直面する前に、撤退するよう忠告する”NATOの支援を受け、カダフィ打倒を目指している反乱者に対し、兵士達は戦っているのだが、緑の旗やリビア指導者のポスターを振る支持者達の群衆に、カダフィはそう語った。”‘反抗的なカダフィ、NATOに“悲劇的な結末を警告“、ロイター、2011年7月1日

次に、この話は、インフォメーション・クリアリング・ハウスに、‘カダフィは、ヨーロッパ攻撃で脅してはいない‘という記事として掲載された。これまで何度も見てきた通り、全て、どのように翻訳されるかにかかっている。

“カダフィは、サルコジ、キャメロンやオバマに、テレビをつけて、群衆を見ろと挑戦していた。連中は、決して勝てない戦争を始めてしまったのだから、自分たちが妄想していることに気づくだろうと彼は語った。もしリビヤの家々を標的にし続ければ、ヨーロッパは、そう遠くないのだから、我々も同じことができるとも語った。だが彼は、そういうことはやめようと語った。”(同上)

予想通り、‘狂犬カダフィ排除’の論理的根拠を正当化する、歪曲された物語が、今や世界を取り巻いている。国営/商業マスコミによる、現実に対する締めつけが、いかに機能するかという申し分のない例だ。RTでさえもが、プロパガンダにだまされ、BBC記事に書かれている主張を、文字通り繰り返している。誤って伝えられていることが指摘される(万一あるとして)頃には、もう手遅れだ。存在しなかったサダムの大量破壊兵器WMDの再演だ。

1. 例えばこれを参照:‘ロシア・トゥディ、アメリカ・メディアを心配し始めた‘(英語)、Disinfo.com

2. ‘司会者のニック・フェラリ、選挙後の‘偏向’を巡り、イランPress TVを退職‘(英語)、2009年7月1日、Times Online. 記事冒頭は以下の通りだ。

“Press TVはイラン政権に資金援助されており、北西ロンドン、ハンガー・レーンにある目立たない事務所から、この24時間放送のニュース局は、イギリス中の家庭に向けて、テヘラン支持プロパガンダを放送していると、敵対する人々は主張している。”

もちろん、PresstvについてのTimesの見解は、帝国が世界中の何十ものラジオやテレビや、ビデオ・プロパガンダ・チャンネルに資金を供給している事実は考慮しない。これは、つい最近まで、イギリス外務省によって資金援助され、継続中の、大量の、反テヘラン政府宣伝攻勢を画策してきたBBCワールド・サービスについても、ぴったりあてはまる。

付録: 字幕入りのカダフィ演説ビデオは下記。

2011年7月2日 Mathaba

メッセージは、国を守り、リビア国民の生命線である石油を守るため、人々は何百万人も、平和裡に行進すべきであり、この紛争で、リビアは優位にあり、NATOの崩壊と撤退は間近だというものだ。

 

 

 

Green Square (Tripoli, Libya) - 1st July 2011 from Libya News on Vimeo.

69年9月革命の指導者、同胞指導者ムアンマル・アル-カダフィは、2011年7月1日、国民に演説し、百万人以上の国民が、トリポリ市中心部に溢れ出て、果敢な抵抗と支持を示し、緑の旗をまとい、協力して、NATO侵略や、他の外国団体が、リビア国民の問題に介入することを拒んでいる。

記事原文のurl:williambowles.info/2011/07/02/russia-today-a-new-kind-of-media-by-william-bowles/

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元二大超大国の一方の広報機関、ならず者国家の公式見解と違う見解を広報できる。

属国の広報機関、ならず者国家の公式見解と同じ見解を広報できる。

2011年7月 7日 (木)

福島後: 原子力産業の大規模な世界的拡大が進行中

wsws.org

William Whitlow

2011年7月6日

 

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの報告は、今後十年、原子力発電の莫大な世界的成長を予言している。現在、史上最悪の産業事故と表現されている福島原発事故の影響は、ごくわずかなものと想定されている。

 

報告書によると、ドイツ国内の原子力発電所を閉鎖するというドイツの決断、他の国々における原子力発電の拡張によって、埋め合わせて、はるかに余りあるのだ。フューチャー・オブ・ニュークリア・エナジーは、2020年までに、発電量が27パーセント増加すると示唆している。中国、インドとロシアで計画されている原子炉で、ドイツの決定によって世界から無くなる原子力発電による電力の5倍の原子力発電能力がふえる。

 

原子力発電所の建設には15年かかるので、想定されている増加は、既に建設中の施設の推計出力を反映している。16基の新原子炉建設が、2010年に開始された。そのうち、10基は中国で、他はロシア、インドとブラジルだ。日本さえ、更なる耐地震対策を実施した後、新原発の建設作業を再開した。2015年までに、毎月、世界のどこかで、一基の新原子炉が稼働すると推測されている。

 

事実原子力発電に、つきものの安全問題の一つとして、対処されていないのに、原子力産業の、この大規模な拡大が進行しているのだ。つい今週にも、フランスの原子力発電所で爆発事故があった。トリカスタン原子力発電所が、最近、フランス政府の原子力安全機関(ASN)に批判されたが、原子力安全機関は、32の安全対策を実施するよう要求していた。施設を運営しているEDFは、爆発は、原発の中でも、原子力と関係ない部分で起きたものであり、いかなる放射能漏れの危険もひき起こさないと主張している。福島の経験で、電源喪失のように、直接原子力とは関係ない部分での事故が、原子炉の危機をひき起こすことが明らかになっている。原子力発電所というのは、複雑な工学システムであり、その中のどの部分とて、軽々しく、重要でないなどと、みなされるべきではないのだ。

福島原発事故後、フランスの原子力発電所の全てが検査を受けることになっている。そのうちの一カ所が、事故後、これほどすぐ爆発し、EDFが、事故を“ただの火事”として片づけたことは、業界は福島から何の教訓も学んでいないことを示している。

 

原子力発電の拡大は、国際的な現象であり、いかなる事故の影響も、国際的なものとなる。ところが、国際的に合意された、法的強制力のある業界安全基準は、いまだに存在していない。それどころか、福島原発事故で明らかになったように、各国政府と原子力産業界は、安全問題を取り繕うため、秘密主義なやり方で、共謀し、協力しているのだ。

 

ガーディアンは、最近、福島原発事故のイギリス政府と原子力産業の癒着を物語る電子メールを暴露した。地震から二日後、イギリス政府幹部が、EDF、アレヴァ、ウェスチングハウスと、業界団体である原子力産業協会に電子メールを送り、福島の状況は、原子力発電に対する信頼を損ないかねないと警告していた。テレビの映像から感じられるほど、ひどくはないと、当局は強調していた。

 

“放出された放射性物質は、管理されていた。原子炉は守られていた。安全システムのあらゆる部分が、このような状況を制御、管理している。”

 

彼らは、政府発表の中に掲載するために、各社のコメントを送るよう、業界に呼びかけている。“マスコミと大衆に我々のメッセージを浸透させるには、我々は共通の資料で作業する必要がある。”

 

真実や、住民の健康を全く配慮しない、組織的宣伝攻勢が計画された。原子力産業とイギリス政府は、日本で進展中の事故の規模と、世界に対する潜在的な影響を抑制するのに協力していた。

 

“ヨーロッパ中の反核活動家連中は、これとチェルノブイリの件との違いを、すぐさま、曖昧にしようと目指している。これをチェルノブイリと比較しようとするような、あらゆる話を潰さなければならない”と、ある電子メールは書いている。

 

数週間のうちに、日本当局は、福島原発事故のレベルを、レベル4から、チェルノブイリと同じ7に上げることを強いられた。

イギリス当局は、閣僚達がイギリスにおける新規原子炉に関する政府計画発表を準備する中、自分たちが、原子力産業を擁護するためのマスコミ戦争を戦っていることを明らかに理解していた。

 

“これは、原子力産業を、世界的に後退させてしまう可能性がある”公開された80通の電子メールのうちの一通には、こうある。“反原発運動の連中が、決して、これで勢いを得ないようにする必要がある。我々は、領土を占拠し、維持する必要がある。我々は原子力の安全性を本当に示す必要がある。”

 

ある元核査察官は、ガーディアンに暴露された電子メールの癒着レベルは“実に衝撃的だ”と語っている。

 

この癒着、イギリスに限られるわけではない。日本では、事故発生当初から、福島原発事故の規模は、首尾一貫して、控えめに発表されてきた。原口一博元総務大臣によれば、日本の放射能モニタリングポストの数値は、公表されたものより三桁高い。

 

専門家達は、住民の健康に対する福島事故の影響を益々懸念しつつある。放射線治療の専門家で北海道がんセンター院長の西尾正道氏は、経済誌、東洋経済で“深刻な懸念”を表している。

 

“福島原発事故における被ばく対策の問題・現況を憂う”と題する記事の中で、彼は原発作業員と、周辺地域住民の、健康上のリスクにかかわる詳細な内訳を説明している。

 

当初“落ち着くよう”にという呼びかけに参加していた健康問題の専門家は、現在、東京電力が、事故の事実を隠蔽し 住民の健康よりも、企業の存続を優先しているとし非難している。政府が、原子力作業従事者の法定年間被爆量を、年間100ミリシーベルトから250ミリシーベルトを上げたことを、彼は非難している。原発の作業員に対して“人間扱いとは思えない”と彼は書いている。

 

車で、わずか30分ほどのところには、被曝にあうリスクを低減できる、空き室のあるホテルがあるのに、作業員は事故現場での寝食を強いられ、汚染物質を、吸い込んだり、摂取したりするリスクを高めている。同氏によれば、会社の重点は、作業員の健康維持より、逃走防止にありそうだ。

 

同社は、作業員に故障した線量計を渡していたと、氏は主張している。同社は、内部被曝レベル・レベルを評価するための、ホール・ボディー・モニタリングも実施していない。他の種類の放射能、プルトニウムのアルファ線や、ストロンチウムのベータ線等も測定されていない。第3号炉で、作業員を、MOX(混合酸化物燃料)から保護するための、特別な対策も採られてはいない。作業員には、ヨウ素が投与されているが、西尾氏によれば、ラディオガルダーゼ(プルシアンブルーの不溶性カプセル)も投与されるべきである。

 

西尾氏は、日本政府が行っている現地住民の健康対策を批判している。半径30キロ内の住民は避難したが、氏は、放射能汚染の危険は、均等なものではなく、地形と天候に依存していることを指摘している。このゾーン外部の一部地域では、高い放射能測定値を示している。

 

汚染数値のあるものは差し止められたと彼は言う。“高度の放射能は、パニックになるのを恐れて、公開されなかった可能性が高い。”

 

日本での放射線被曝の法的許容レベルは、原子力産業で働いていない一般人の場合、年間1ミリシーベルトだ。ところが、日本政府は、福島原発事故後、これを20ミリシーベルトにあげた。西尾氏は、これは“人命軽視の対応”だと語っている。これは子供には高すぎると彼は警告し、骨が成長過程にある子供達に影響しかねない、ストロンチウム・レベルを測定するための対策を要求している。

 

日本の国民には、個人の被曝レベルを測定する手段がない。西尾氏は特に、長期間、高いレベルの放射能に対する内部被曝の危険を強調した。制御された医学的環境での、外部被曝との比較はできないと、彼は警告している。内部の長期被曝による健康への影響は予測不可能で、ほとんど不明なのだ。

 

福島市の住民は300,000人いるが、福島市は避難地域外だ。高い放射能が検知されている地域では、住民達は、放射能除去の対策として、庭を掘り返したり、屋根を洗剤と水でゴシゴシ洗ったりという行動に訴えるしかない。

“ここでは、あらゆること、あらゆる人々が麻痺しています。孤立状態になっているようで、市内にとどまっていて本当に安全かどうかわかりません”と、ある母親はロイターに語っている。

 

当局は学校の校庭表土を除去しているが、公園、空き地、個人の庭から、汚染された物質を除去する総合的な計画もなければ、除去した土を投棄するのに安全な場所もない。福島原発事故によって汚染された地域を安全にするために行う必要がある除染活動の規模は全く前例がない。

 

福島原発事故の世界的な影響は、ようやく、明らかになりつつあるが、公的発言の対象とはなっていない。6月、東京電力は、事故後の最初の一週間に放出された放射能の推計量を改訂した。事故全体で放出された量の前回推測値の倍であることを認めたのだ。

 

放射能の大半は、セシウム、プルトニウム、ウラン、コバルト60や、他の放射性物質の小さな粒子である“ホット・パーティクル”によるものだ。個々のホット・パーティクルは余りに小さすぎて、ガイガー・カウンターでは検知できない。しかし、肺や消化管に留まって、細胞組織の一部を長期間にわたって攻撃するため、癌の深刻なリスクとなるのだ。

 

日本の自動車から外した空気ろ過装置を調査した、無所属の科学者は、事故が始まってから直ぐ、東京都民が、四月中、一日約10個のホット・パーティクルを吸い込んでいたことを示唆している。原発周辺の地域では、レベルは、30から40倍高く、太平洋を超えたシアトルでは、一日5倍のレベルが検知されている。

 

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/jul2011/fuku-j06.shtml

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文中参照されている東洋経済の西尾正道氏記事“福島原発事故における被ばく対策の問題・現況を憂う”のurl:

www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/548a752507bc6c3aa0fd3db058e8098a/page/1/

 

国会討論、大半は、時間の無駄としか思えないが、共産党・笠井亮氏の質問に、海江田経済産業大臣も菅首相もたじたじ。玄海再開推進・八百長放送に合わせて、九州電力が、原発再開賛成のコメントを送るようにと、関連業者に指示を出していたという。

 

こんな情報、民放、地元新聞、大手新聞、簡単に入手できるだろう。皆知っているはずだが、報道すれば、担当者一同が首になるだけの話。それがこの自由・資本主義国における報道・言論の自由。共産党議員が国会で質問してから、ようやく大手マスコミが記事にする。「生肉は危険」というニュースなら、共産党の先鞭がなくとも、日本マスコミも自由に放送できる。しかし生肉は、注文しなければ出てこない。放射能、注文せずとも、突然思いもかけないところから飛んでくる。余りに大きいこの違い、マスコミの方々はそう思われない。マスコミ、暴言で辞任した政治家のビデオは流すが、漁業特区なるものを、どさくさまぎれに導入しようとしている、宮城県村井知事のえげつなさには、決して触れない。大手資本進出を許すネオコン政策なのに(いや、だから触れないのだろう)。マスコミが同じことを言い立ててる時には、ほとんど必ず、隠された悪辣な政策が同時並行している。

 

福島原発、絶対に安全だと、政府、経済産業省、原子力完全不安院、東電が、請け合っていたのだろう。そして見事、世界史上最悪の核事故が進行中。収拾の見込み皆無。何十年かかるかわからない。その同じメンバーが、またぞろ「大丈夫」と平然と言う神経がすごい!頭脳回路が破壊されているか、人格が破壊されているか。ほぼその両方だろう。

 

原発事故直後購入していた、石黒耀著『震災列島』、昨日読み終えた。

 

地震と原発災害、今の状況そのもの。舞台が名古屋なので原発は福島でなく浜岡。ストーリーの中心は、有力政治家と開発業者を背後に持つフロント企業と、町会長との凄惨な戦い・復讐戦なので、女性にはお勧めできないかもしれない。

玄海原発地元の岸本町長は地場ゼネコン「株式岸本組」の第三位の大株主だという。『震災列島』中の、政治家と開発業者の癒着そのもの。

 

    • 玄海原発が停止すれば、「株式岸本組」は崩壊するだろう。
    • 玄海原発が崩壊すれば、ゲンカイ原発周辺の広大な地域が崩壊するだろう。

 

下っぱのモンゴル力士、八百長で首にされたが、米・日原子力マフィア・政府が、モンゴルに核廃棄物を捨てる八百長談合を進めても、権力者は首にならない。最大の原爆・水爆推進国すら、核廃棄物を処理する技術は開発不能。

 

『表現者』7月号、立ち読みも申し訳ないと、読まずに購入して後悔。原発推進一色。

 

第37号 特集:原発、文明、復興――近代の危機にどう向き合うか

国家自立の為の核武装には、原発でプルトニウム抽出が不可欠ということだろうか?

 

未来の人類・生物に害しかもたらさない核、無条件に廃棄すべきだろうに。国家独立のためには、究極の選択を迫られるが、愛国者なら我慢せよということだろうか?

 

    • 放射能を浴びて、独立する
    • 放射能を浴びず、属国のまんま

 

どうやって、IAEA・アメリカの目を盗んで、プルトニウム爆弾を開発、実験するかは、小説世界のおはなしか?

2011年7月 4日 (月)

大胆不敵!フェイスブックのたなぼた

William Bowles

2011年5月26日

williambowles.info and Strategic Culture Foundation

フェイスブックは、ひととなり、好み、嫌いなもの、信念や夢想といった、全てのものを、同社のみが所有する商品、読者や私達、6億人の詳細なプロフィールに変えた。

ずっと昔、ウェブがまだ揺籃期にあった頃、ウェブが発展する過程で、コンテンツであれ、情報へのアクセスであれ、必然的に独占傾向が現れるだろうと私は書いた。草分け時代には、それはポータル、つまり人々がウェブに乗り入れる'場所'で、例えば、ネットスケープ、マイクロソフト、CNNなりなんなりが、'価値'を支配した。成功、つまり暗黙の価値は、 'ヒット' 数によって計られた。有名な表現で言い換えれば、'ページを踏みつけたブーツの数'だ。ユーザーがリンクをクリックし、できるなら、商品を購入してくれることで、広告こそ、収益源となると考えられていた。

90年代当時、旧来の出版社(そうした企業の多くは、Apple用のDTP用標準ソフトであったQuark Xpress(クォーク・エクスプレス)を、いや、電子メールさえも理解していなかった)が、こぞって、ウェブは敵か味方か解明しようとあわてていた。しかし、そもそもの始めから、大手出版社、とりわけマルチ・メディア出版社にとっては有利だった。そうした企業は新しい制作ツール開発に投資する資金を持っていただけではなく、より重要なのは、そうした企業は、既にコンテンツを所有しており、制作して来た。それをウェブに載せるのは、誤解を招くような表現で、コンヴァージェンス=収斂と呼ばれていた、コンテンツを再凍結すれば良いだけのことだった。もしも、特定のマーケット・ニッチを買い占めることができれば、儲かってしようがないのだ(フェイスブックは明らかに6億人の'マーケット・ニッチ=隙間市場'だ!)

全てが数値に帰せられる。例えば、読者の家に送られるダイレクト・メールの成功率は約2% (あるいはそれ以下) だ。つまり、金を儲けたいのであれば、膨大な数のメールを送らなければならない。FB上にいる間に、フェイスブックの6億人ユーザーの1%に、クリックなり、購入なりなんなりしてさえもらえれば、一体何が可能になるかご想像頂きたい。

私がその一員というわけではないのだが、FBに耽溺し、途方もない長い時間を費やして'この場所'で遊びほうけ、FB'のオンライン'文化' 、いや'文化'というより、究極的には、そのユーザーではなく、フェイスブックの株主のものとなる商品を作り上げるのを手伝っている人々がいるのは明白だ。これがソーシャル・メディアか? 私はそう思わない。

だから、例えばFBは同社のサーバー上に人が書いた膨大な内容を削除するのを非常に困難にしている(私は、一日の大半をかけて、FBアカウントを試し、一掃してはみたものの、本当に全てを削除できたのか未だにさだかでない)。インターネットとブラウザーの発明者の一人ティム・バーナーズ-リーは、FBについてこう言っている。

    "バーナーズ-リーは、これらのサイトが、一体どの様に、データを独占してしまうかに注目して、フェイスブック、リンクドインと、フレンドスターに触れた。 "ソーシャル-ネットワーキング・サイトは中核プラットフォームとなっている。閉ざされたコンテンツ貯蔵庫で、しかも中にあるユーザー自身の情報に対して、ユーザーが自在に管理することを認めない代物だ。"" -- 'ティム・バーナーズ-リー、ウェブに対する脅威を警告'、PC Pro 2010年11月22日

FBは格別新しいことをしているわけではなく、(既にある)伝統的な印刷ページを模したニュースやエンタテインメントのサイトより、ずっとうまくやっているに過ぎない。ウェブサイトを使って、事実上、ユーザーには見えずに、人々の仲介者として機能する、インターラクションの特徴が、FB成功の秘密だ。そして、そうしたもののいずれも、ウェブの初期には、政府と大企業以外には存在していなかったブロードバンド無しには、あり得なかったものだ。

だが、ウェブ発展の背後には軍と金融部という原動力があった。終始、銀行、金融サービス会社に加え、最大手のメディア企業、例えばウオール・ストリート・ジャーナル等は、衛星で結ばれた世界中に広がるインフラ構築に忙しく、1970年代以来、それをずっとやってきた。主要な技術的問題が解決すると、この陽気な集団に、メーカーや流通業者、例えば、サプライ・チェーンが参入した。国と軍に加え、こうした連中が、我々がインターネットと呼ぶものの大部分を形作っていた。これは資本主義のグローバリゼーションを可能にした装置でもあった。

小売りがこれほどの重要性を持つようになったのは、比較的ごく最近のことだ。実際の目抜き通りが消滅したこと、ブロードバンド接続が臨界質量に達したこと、また、より信頼できるトランザクション処理にも助けられて、ウェブで金儲けをする楽しみに、連中が参加したのだ。技術が整理された後、本質的に、印刷物の出版社が十年前にしたことと全く同様、既に存在していたインフラと、在庫を巧みに利用し、モール店舗をオンライン化して、大手小売りチェーン業者も参加した。

しかし、ウェブが進化する過程で、ウェブの本当の価値は、ユーザー自身に、というより、マーケティングと、もちろん我々をスパイするためにも利用できる、データとしてのユーザーにあることを多くの人々が理解したのだ。特にほぼ全員が共通のプラットフォームを利用しているのであれば、この用途として、''ソーシャル・メディア'サイトは理想的な道具となる。これこそが、世界中の人間のうち、かなりの比率である6億人のユーザーを有するフェイスブックが、極めて重要な理由だ!

しかし、彼らは、いまでもユーザーに金を使わせる必要があるのだろうか? 直接ではなくとも、あらゆる歳入は間違いなく大歓迎だが、FBの強力な'のれん'価値のおかげで、同社は、ウェブやデジタル・メディア全般にとって便利なツールを制作している実際の企業を買収する現金を集めることができたのだ!この気の利いた動きの背後には、FBに莫大な金を投資した (15億ドル) 人の目を欺く仕掛けには実にさとい、ゴールドマン・サックスがいた。

ウェブ・スペース支配で、FBがなぜこれほど徹底的に成功し、他社が失敗したのかという理由は、単なる資本主義の弱肉強食だ。だがそんなことを誰が気にするだろう? FBの主要な競争相手、 (マードックのニューズ・コープが所有している)MySpace(マイスペース)は、比較すると、ダサく、それほど'ユーザーフレンドリー' でなかったが、Faceliftを盛り込んだ頃には、もう手遅れだった。FBがユーザーの '限界量' に達してしまったのだ。だから今では、ウェブで友達と連絡しあおうという場合には、FBに行くしかない。他社は、リンクドインのように、脇でもぞもぞし、主にビジネス・ユーザーを狙うのだ。

それゆえ、フェイスブックの'価値' (私はこの言葉を故意に使うが)は、500億ドル、あるいは600億ドルだと言われている! 一体何に基づいて? 20億ドルと言われている、総売上高を元にだ。これはもちろん収入ではない。一体何が起きているのだろう? これは、もう一つのドットコム・バブルが破裂しようとしているのだろうか? それとも、うさん臭い抵当や、怪しいデリバティブの、ウェブ版なのだろうか?

    "同社株を10億ドル分売り払おうとした株主達の集団が、売値を下げざるをえなくなった際、ごく最近のフェイスブックの非公開市場評価は、大打撃を受けた。この取引で、フェイスブックの推定評価額は、900億ドルから、700億ドルに下がった。それでも、1月に、ゴールドマン・サックスとディジタル・スカイ・テクノロジーズから、資金を調達した際、このソーシャル・ネットワークにつけられた500億ドルという理論的な市場評価は、依然はるかに上回ってはいるが、この再評価は、フェイスブックの市場評価が、同社の成長を維持できるのだろかという懸念が、株主の間で増しつつあるのを強調している。これは重要な疑問を招く。フェイスブックを空売りできるだろうか?" -- 'ゴールドマン・サックスは、フェイスブックを空売りできるのだろうか?' Wall Street Pit[1]

空売りというのは、ゴールドマン・サックスが非常に得意な分野で、連中はギリシャという国さえ丸ごと空売りしてしまった! 90年代末に最初のドットコム・バブルがはじけた際、全てがだめになる前に、多くの人々が大金を持って立ち去ったことを、我々が忘れてしまっている。別の場所に投資された金だ。現在の危機との類似は、膨大な投機によってひき起こされ、その結果、価値のない紙切れが処分され、投機家連中は、何十億ドルを持ち去った限りにおいて、極めて明白だ。

6年間、私は南アフリカでインターネット開発会社の一社を(1994-2000、最初のバブルがはじけるまで)経営していたので、バブル崩壊の真っ最中(1999年末)、ある夜のCNNビジネス・ニュースでの以下のやりとりが、常に頭にある。それはこんな感じだった。

CNNが経営の権威者に: すると、投資家達には、インターネット関連企業への投資はしないようにと、助言されますか?

経営の権威者: とんでもない!投資を続けるべきです。投資する以外の選択肢はありません

CNN: 一体どうしてですか?

経営の権威者: 技術は発展するものであり、それについて行かなければ、脱落してしまいます。

他のことはさておき、これは本当の豊かさを表現する手段として、お金がどれほど意味のないものになってしまったかを例証するものだが、より重要なのは、人類は、かつて同じことを経験していることだ。これは、マルクス/エンゲルス説の典型だ。これは、マルクス/エンゲルスが、極めて正確に解明したものに比肩する第二次産業革命で、余りに正確過ぎて、150年ちょっとの間、ほとんど何も変わっていないのだ。

マルクス/エンゲルスは、デジタル'製造'の世界で今日起きていることに匹敵する、製造技術の革命が、いかに急速に進んだかを極めて詳細に記述していた。20人の労働者を置き換える装置に投資した工場所有者は、結局、数ヶ月後に、ライバル工場が、労働者100人の仕事をこなす新装置を導入したことに気がつく。最初の工場所有者は、それと同じ装置、あるいはそれより更に良い装置を購入するか、あるいは、倒産するかだ。類似は、確かに明白だ。

財界の第一人者が、投資をしなければ破産しますよと助言するのは、そういう理由だ。装置の中に、益々多くの知的資本が埋め込まれてゆくにつれ、インターネットを基盤とする技術の発展は、マルクス/エンゲルス時代の、度量衡や、一層効率的な自動機器のような、製造インフラの発展と同等のものとなる。

必然の産物: i-Pad

この過程と同時に起きたのが、もう一つの狡猾な発展、i-Padの類だ。最初に登場した時、一体どういう使い道があるのか私には見当がつかなかった。やがて私は悟った。アップルは、今やメーカーであるのみならず、コンテンツ・プロバイダーでもあるのだから、必然的に、基本的にコンテンツ販売用の手段となる製品を製造する。だが、そこでは、無線ネットワーク機能の搭載が決定的に重要なのだ。本質的に、i-padは、電話をするためには使えない電話だ。携帯電話会社が、アップルと収益を分け合おうと、アップルが、i-チューン、書籍、ビデオ、ゲーム、あるいは、アプリケーションで、稼いでいようと、i-padは、コンテンツを消費する装置なのだ。それも全て、ティム・バーナーズ-リーのオープン・プロトコル(そもそも、それが、ウェブがこれほど急速に広まった理由だが)という世界像に反する独自フォーマットだ。

バンド幅の使用、いわゆるネット中立性、というより、その欠如という場で、似たようなプロセスが起きている。

    ""ブロードバンド・データー・キャップ制度の世界では、最近AT&Tによって導入されたキャップ制度は特に積極的だ" と説明されている。"少なくとも名目上は、キャップを、ピーク使用期間中の輻輳に連動させているように見える競合他社とは違い、AT&Tは、キャップを超えたユーザーに追加料金を課することで、キャップ制度を、利益を生むセンターに変えようと狙っている。一般的に、ブロードバンド・キャップに対して提起されている懸念に加え、そうした慣習は、AT&Tに対し、自らの能力を増強しながらも、キャップを上げるのを避けるという、よこしまな動機を与える。"" 'アメリカのインターネット接続の56%は、プロバイダーによるキャップ制度のもとで行われている' -- RT

メーカーがコンテンツ・プロバイダーとなることは、1980年代末という遠い昔、AT&Tが同社の音声回線をほとんど自動化してしまい、もはや音声回線からは、株主を満足させるような充分な利益を生み出せなくなったため、デジタル・コンテンツを買うことで始まった。マイクロソフトも同じ経緯を辿った(同社は、ほぼ同時期に、ルーブル美術館のデジタル権利を購入している。)

i-padは、それこそが宝の山で、長期的収入源となる「フィルムとその現像を販売するための道具」として企画されたコダック・カメラのデジタル版だ。

これら全てのプロセスを一つにまとめているのは、益々独占化が進んでいる、ほんの一握りのコンテンツとプロバイダー超巨大企業であり、彼らはウェブ上で、疑いなく枢要な位置を占めるのみならず、事実上、現代のコンテンツ制作と流通、コンピューター・チップから、DVD、そしてそれに至るあらゆる段階の場面でも、そうなのだ。

i-phoneは、フェイスブックと同様のうさん臭い水の中を進んでおり、現時点でも、i-phoneユーザーに、その全てを知らせぬまま、ユーザーの動きや、ユーザーが何を読んでいるか、何を購入しているかといった、ユーザー情報を吸い上げ続けている。

    "iPhoneが、ユーザーがどこに行ったかを記録し続けており、ユーザーが利用している、電話に同期させる装置の情報蓄積ファイル中に、暗号化無しで、無防備に貯め込んでいることを、研究者達は発見している。なぜアップルがこの情報を集めているのかは不明だ。" -- 'Your iPhone Is Tracking Your Every Move'(=あなたのiPhoneは、あなたのあらゆる動きを監視している)-- Readwriteweb

人々はこうしたことを気にしているだろうか?概して、何か対策をとるには遅すぎるようになるまでは、それに気がつかないので、どうやら、影響を及ぼせるほどの、充分な人々が気にしているわけではなさそうだ。これは、押し付けがましさを益々激化させ、国民をスパイするための、監視用のあらゆる主要部品を含んで既に成立している、いわゆる対テロ法規にも匹敵する。企業は自社サーバーを、あらゆる類の監視に提供し、'対テロ戦争'にひたすら喜んで参加しているのだ。

だが、マーケティングとスパイが提携すると、この侵入が、一体どこまで、まん延しているかに人々はようやく気がつき始める。マーケティング用データと、国家による監視データに境界が無くなれば、企業-治安国家の創生上、一つの画期的な先触れとなるだろう。NSA、あるいは、そのイギリス版のGCHQが、6億のフェイスブック・プロフィールにアクセスしている姿を想像頂きたい。しかし、連中が既にアクセスしているわけではないと言えるような人は、いるのだろうか?

記事原文のurl:williambowles.info/2011/05/26/in-your-face-by-william-bowles/

注の翻訳は省略。

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Facebookなり、Twitterなり、書店では、絶賛する新書が目につく。

一方、負の側面を描いている、Net Delusion 副題: Darkside of the Internet Freedomの翻訳本はみかけない。この本、Net Delusionに関する評論もみかけたことがない。

Net Delusion、アメリカのネット書店では、星四つの評価。

新聞、テレビだけでなく、知りたい情報の本、翻訳もでない。そこで、やや古い記事を翻訳した。

(玄海)原発は安全ですから、再開させてください。といって宣伝して回っている経済産業大臣やら原子力完全不安院のお役人。彼らがいっていることが真っ赤な嘘だったから、安全など確保されていないから、今回の人災が起きていることは明らかだろに。

「安全が確保された」という発言、どこをどうひねれば、出てくるのだろう。

東北の復興などといいながら、その実、農業も漁業も、大企業参入の道を開こうとしている。災害を利用しての、民営化推進、まさにナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」の世界。

さすがに今夜見た民放TV原発再開報道、諸手をあげて賛成する番組ではなかった。

安全だと言い続けて起きた人災、フクシマ大災害のまともな対応もできないまま安全といって回る、役所、企業、マスコミの皆様、正気の人間とは見えない。泥棒が警官役を平然と演じているだけだろう。ことごとく塀の中におられるべき方々だろう。組織自体、原子炉同様、解体しなければならないはずだろう。高級なお役人あるいは、悪の五角形の皆様、恥ずかしくないだろうか?「人を一人殺せば殺人者だが、百万人殺せば英雄だ。」ジャン・ロスタン

さすがに地震の直ぐ後に、メルトダウン状態の原子炉を、大丈夫といっていた厚顔無恥を絵に描いた御用学者諸氏の大多数、出番はもうなさそうだ。今、学校で何を教えておられるのだろう。あの皆様も、塀のあちら側で研鑽を続けられる方が、世のためだろう。

何より普通の人々、彼らの嘘を、まだ信じているのだろうか?泣く子と地頭だろうか?

上も下も、皆様が日頃馬鹿にしている北朝鮮以下に思えてくる。

泥棒・警官役を交互に演じている人々、盛夏に相応しい妖怪。いや(炉心)溶解。

講読している新聞朝刊に、廃炉が近づく原子炉が増えているという記事があった。不思議なのは、その新聞社『廃炉時代がはじまった』という本を出していたのに、今は絶版。ネット大書点では、その古書20000円する。2000円ではない。再刊すれば売れるだろう。

いんちき郵政選挙にならって、原発選挙作戦も選択肢に考えられているようだ。

もし本当なら、言葉のあやで、狙い通り、郵政・経済を破壊し尽くしたと同様、原発、プルトニウム・リサイクル推進で、自然を破壊しつくすだろう。

「民主党はたよりにならない」のは明らかだが、この状況を長年かけて完成させた自民党、もっと宛にならないだろう。理性的に考えれば、どちらも選択対象から外れるはずだが、現実は、二大政党のいずれかが「自由」に選べるマゾヒスト社会。

選挙のたびに自壊の度を深める国。それを言うなら宗主国も同じ。選挙は占拠。

7月4日は宗主国独立記念日。もちろん先住民が独立したわけではない。

2011年7月 1日 (金)

紙とともに去りぬ

Chris Hedges

2011年6月27日

"Truthdig"

高校生時代、ハートフォード・カーラント(新報)を見学したことがある。ニュース編集室に入るのは初めての体験だった。コネティカットの新聞社のニュース編集室は、都市の一ブロックほどの広さで、新聞やノートがうずたかく積まれた金属製の机の列がずらり並んでいた。もつれた電話コード、溢れそうな灰皿、汚れたコーヒー・マグや、多くが、床上の紙束に向かって傾いている紙の山のただ中に置かれた重いタイプライターを、記者連中が猛烈な勢いで叩いている。騒音と叫び声、ひっきりなしに鳴る電話、熱狂的な場所、嗄れた叫び声、大半がだらしないコート、ネクタイ姿の記者達の喧騒と動きの上を漂う、タバコの薄煙や葉巻の煙のおかげで、そこは魅惑的な有機体のように見えた。私は夢中になった。この仲間に入ることを夢想し、結局は実現し、二十年以上、ダラス・モーニング・ニューズ、ワシントン・ポスト、クリスチャン・サイエンス・モニターで記者をし、最後はニューヨーク・タイムズで、同社での経歴を、ほとんど海外特派員として過ごしたのだ。

今日のニュース編集室は、生気のない、わびしい荒れ地だ。最近、フィラデルフィア・インクァライアーのニュース編集室に行ったことがあるが、やはり都市の一ブロックほどの広さの一画、オープンスペースというか、使われていない机の列があるだけだった。こうした組織は、新聞社ビルの奥深いところで、海中の怪物のように潜んでいて、夜になると轟音をたてた、巨大な輪転機が辿った道を進んでいるのだ。たっぷり油を注いだビヒモス、新聞紙のシートを電光石火のスピードで吐き出し、かつて、何十年か儲かる時代の間、売り手を買い手と結ぶのを独占していた新聞発行人に権力を与え、裕福にした装置。この独占が消え失せてしまった今、売り手が、買い手に届ける新聞紙を必要としなくなった今、新聞の運命は、日々の新聞紙のページ数同様、急速に衰退しつつある。

大手新聞社は、横領犯、詐欺師、ペテン師や嘘つきを打倒する記事を書き、戦争や紛争を報道し、アフリカの飢餓や、フランス人の奇習や、アメリカの都会スラムやアパラチアで、貧困で、忘れ去られるというのはどんなことかを教えてくれたI.F. ストーン、マレー・ケンプトンや、ホーマー・ビガートのような、伝説的な記者を抱えていた。こうしたマスコミは、スポーツの得点から株価に至るまで、データの生のリストを量産していた。新聞は、それがなければ、一生見たり、訪れたり、しなかったような世界の都市のあちこちに連れていってくれた。記者や評論家は、映画、本、舞踊、演劇や音楽を批評し、スポーツ・イベントを報道してくれた。新聞は、大統領演説の文章を印刷し、記者を派遣して、市庁舎の内部事情を記録し、裁判所や警察の動向を追った。マフィアによる殺人から、一時の激情に駆られた犯罪に至るまで、身の毛もよだつような、恐ろしいものを報道しようと、カメラマンと記者達は競っていた。

私たちは、特異な文化と倫理を失いつつあるのだ。この損失は、アメリカ市民の論議を不毛にし、我々を囲む都市、国家や世界から、我々は益々切り離されつつある。新聞紙の死は、ある時代の終焉を意味する。ニュース収集は、インターネットによっては、置き換えられない。ジャーナリズム、少なくとも、かつてのニュース編集室のような大規模なものは、もはや経済的に存続不可能だ。報道は、多大な時間を必要とし、労働集約型だ。社外に出て、人々と話す必要がある。これを毎日する必要があるのだ。情報源、ヒント、糸口、文書、情報提供者、内部告発者、新たな事実や情報、裏話やニュースを、絶えず求め続けるということだ。記者たちは、重要なことを、ほとんど、あるいは全く見つけることもできないまま、何日もかけてしまうことが多い。仕事は面倒で、費用がかかる。大手大都市日刊紙の予算が縮小するにつれ、報道という商売そのものが衰退する。大半の大都市日刊紙は、全盛期には数百人の記者と編集者を雇い、何億ドルもの運営予算があった。報道ビジネスの着実な衰退は、アメリカ社会の益々大きな部分が、暗い穴の中へと沈み込み、歯止めのない汚職、偽情報や、権力の乱用の機会が益々増大することを意味している。

国民が、信頼できる、偏らない情報源を利用できる時、国民が嘘と事実を識別できる時、市民の論議が、検証可能な事実に基づいている時にこそ、民主主義は存続できるのだ。そして、報道が絶滅すると共に、こうした情報源は消滅しつつある。ニュースと娯楽の融合が進み、有名人や権力者と話せることが報道だと定義するような、テレビの名士ジャーナリスト連中の勃興、多くの読者が、インターネットのイデオロギー・ゲットーへ引きこもっていること、伝統的なニュース事業を破壊しようという、大企業の冷酷な意図のおかげで、我々は、ものが聞こえず、言えず、見えなくなっている。フォックス・ニュースのような、右翼プロパガンダ番組や、キリスト教右派による“リベラルなマスコミ”に対する容赦ない攻撃は、実際には、検証可能な事実に基づく情報システムへの攻撃なのだ。市民的議論のこの基盤が、根絶されてしまえば、人は、多数の人が既にそうであるように、何でも自分で信じたいことを、自由に信じ、自分達の世界に合っていたり、合っていなかったりする、事実なり意見なりを選択するようになる。この新世界では嘘が真実になる。

ニュースよりも真実を重んじる多くの人々と同様、私が、特に、うるさく、おおやけにイラク戦争に反対していたことから、私もニューヨーク・タイムズから追い出された。これは新しい話ではない。信念体系の正統性に、しつこく盾突いた記者達、常に暗黙のうちに商業マスコミが奉じている支配的な政治情熱を、疑問に感じ、検証した人々は、往々にして追放される。ニュース編集室では、企業の権益や、広告主の要求に仕える管理職と、読者への忠誠を重んじる記者との間で、不断の戦いが行われている。うわべだけの冷笑と俗事で、理想主義を覆い隠している記者達に、私は深い敬愛の念を抱いている。食物連鎖を這い上がって、管理職や編集者になろうとする出世第一主義者に、私は深い不信感と強い嫌悪を抱いている。

シドニー・シャンバーグは、1975年、後にそれでピューリッツァー賞を受けた、クメール・ルージュのプノンペン攻略をニューヨーク・タイムズで報じるため、カンボジアに滞在していた際、すんでのところで殺されるところだった。後に、彼はカンボジアから、ニューヨークに戻り、都市版のデスクになった。彼は記者達に、ホームレスや、貧民や、賃貸料が設定されたアパートから追い立てられる家族、つまり開発業者による犠牲者について記事を書くように勧めた。しかし弱者や貧者に発言の機会を与えるのに良い時期とは言えなかった。ベトナム戦争反対を巡って構築されていた社会運動は消滅していたのだ。一連の暴露記事によって、体制派マスコミ組織を当惑させ、本当の報道をするよう追い込んだ、ランパーツ誌を含む従来の型にこだわらない雑誌は倒産してしまった。

商業マスコミは、またもや昏睡状態となった。パワー・エリートに盾突く意欲を益々失っていった。多くの編集者は、シャンバーグの関心を古代の遺物の如く見なしていた。彼は都市版編集者を解任され、ニューヨークに関するコラムの担当になった。ところが彼は、コラムを活用して、またもや、有力な連中、特に不動産開発業者の悪行を非難した。当時の編集長エイブ・ローゼンタールは、シャンバーグのことを、駐在“共産党員”と辛辣に呼び始め、“聖フランシス”と呼んだ。ほぼ毎週、ウイリアム・F・バックリーや、同紙発行人アーサー“パンチ”ザルツバーガーと一緒に昼食をしていたローゼンタールは、自分たちの有力な仲間達の活動の正当性を疑い続けるシャンバーグに次第に我慢しきれなくなった。シャンバーグは、のけ者となった。ニューヨーク・タイムズの食事会、ニューヨークの記者むけに開催された内輪の晩餐会を、彼は続けて二回すっぽかされた。上級編集者達も発行人も、カンボジアでのシャンバーグの経験に基づいた“戦場”映画の試写会には行かなかった。ニューヨーク・タイムズでの彼の人生は、余命いくばくも無かった。

シャンバーグがコラムで描いていたニューヨークは、ローゼンタールの新ライフスタイル欄や、ニューヨーク・タイムズ日曜版の美麗な広告とは違っていた。シャンバーグのニューヨークは、何千人もの市民が街路で寝ている都市の一つだった。貧困者のための無料食堂に行列がある都市だった。精神障害の人々が、人間のゴミであるかのように、熱い火格子、監獄へと放り投げられる都市だった。家を買えない人々のことを彼は書いた。彼はコラムから追われ、同紙を辞め、ニューヨーク・ニューズデイで、やがてザ・ヴィレッジ・ヴォイスで働いた。

シャンバーグの話は数多くあるものの一つに過ぎない。優れた記者は、ほぼ必ずといって良いほど、上役の保守的な連中と衝突する。この衝突で、彼らは牙を抜かれ、降格されるか、追い出される。従軍記者ホーマー・ビガートが、“ピグミー族”として片づけた出世第一主義者連中によって、彼らは追い出されるのだ。ある晩、ビガートは、現場にいる記者達がくれる情報を元に、ある暴動について書く仕事をさせられた。記者のジョン・キフナーが電話ボックスから電話をしていた時に、暴徒連中が、電話ボックスを揺すり始めた。キフナーが悲惨なニュースをビガートに伝えると、編集者の意地悪さにうんざりしていた彼は、こう言ってキフナーを元気づけた。“少なくとも、君は正気の連中を相手にしている。”

不愉快な真実の報道を主張する人々は、常にこうした組織を支配する出世第一主義者の神経を逆なですることになる。もし余りに頑固だと、大半の優れた記者はそういうものだが、彼らは“問題”と化する。あらゆるニュース編集室に存在しているこの戦いを、ホンジュラス・ニカラグア国境で、地雷で亡くなるまで、中米で一緒に仕事をしていた、ロサンゼルス・タイムズ記者のディアル・トルガーソンが私に要約してくれた。“これだけは忘れるな”彼は、かつて新聞編集者について、私に言ったことがある“連中は敵だ。”

マンハッタンはアッパー・ウェスト・ストリートの彼のアパートで、シャンバーグと会った際に彼は言った。“メトロポリタン美術館の裕福な後援者達が、美術館宛でない、宝石を含む私物の輸入に、美術館専用通関手続きを利用することが良くあったという様々な話を、長年耳にしてきた。私は、これを証明することはできないが、本当のことだと確信している。タイムズ紙はこれを調査するだろうか? 百万年たってもしないな。発行人は当時、美術館理事会の理事長だった。裕福な後援者達というのは彼の友人だ。”

しかし、シャンバーグは、私同様、新聞は、民主的国家にとって、極めて重要なとりでだとも主張している。新聞の無数の欠点や、パワー・エリート達との妥協を非難しつつも、民主主義の維持にとって重要なものとして敬意を払うことも可能だ。伝統的に、もし記者が社外に出て、ある出来事について報じる場合、情報は通常信頼できる確かなものだ。報道は偏向していたり、先入観があったりする可能性はある。重要な事実を除外している可能性もある。しかし、それは作り話ではないのだ。ニューヨーク・タイムズや他の優れた都市紙が死ぬ日、もし、そのような日がくれば、それは国民にとって陰鬱な日だろう。

新聞は“沢山のことを無視してはいるが、誰よりも仕事をこなしている”とシャンバーグは言った。“報道管制リストに載せられている話題もある。だが、新聞が重要なのは、報道すると決めた事柄には金をかけることだ。大手マスコミの、大半の問題は、連中が無視していることにある。しかし、日々の配給記事、報道発表等々はさておき、新聞が行っていることは、民主的なプロセスにとって実に実に重要だ。”

“新聞は、新参者や、移民にとって、何が理念なのか、どういう決まりがあるのか、人はどう振る舞うべきなのか等々の案内人として機能する”シャンバーグは補足した。“それが必ずしも良いこととは言えないのは明らかだ。こうしたものは既存体制派の合意だから。しかし、新聞には、人々が他では読めないような物事を文字にした記事が、今より昔の方が、おそらく、もっとあっただろう。投票をする為に、何をすべきかを語っていただろう。移民の宣誓式のような話題を報道していた。新聞は前向きな勢力だった。ニューヨーク・タイムズが、説明責任を負った新聞たろうとして全力を尽くしていたとは思わない。そういう新聞があるかどうか確信もない。誰がアフガニスタニズムという言葉を作ったのかは知らないが、新聞にはぴったりだ。アフガニスタニズムというのは、アフガニスタンで見つけたあらゆる政治的腐敗は報道することができるが、決して、それを身近な場所でやろうとしてはいけない、ということだ。ワシントン・ポストは、ワシントンのことは報道しない。公式ワシントンを報道しているのだ。タイムズ紙は多くの不作為を無視したし、体制派メンバーによるものは、更にひどかった。”

“新聞が悪い物事を消去するわけではない”シャンバーグは続けた。“新聞は、沼地が更に深くなるのを、深みが増すのを防いでいる。我々は猛烈にそうしてきた。我々は公民権運動を見いだした。我々は女性の権利運動を見いだした。無視され、半市民扱いされている人々について書くのは、とても良いことだから、我々は必死になって取り組んだ。物事が納まった後は、もはや、そういう悪事を働くのが容易ではなくなる。”

新聞の死は、つまりシャンバーグが指摘した様に、大企業の不正行為、権力乱用や嘘の沼を押しとどめる、もう一つの防壁を失うことになるのだ。我々が、錯覚と現実、事実と意見、現実と幻想を区別することが困難になるだろう。もちろん、新聞が、内在的に良かった部分など、あるわけはない。下品なタブロイド紙や、今やテレビ・ジャーナリズムのかなめとなった、スーパーマーケットの無料紙の作り話で、我々は苦しめられてきた。商業新聞は、バランスと客観性の名を借りて、ニュースという名のもとに、常に巧妙に、真実を語らなかったり、覆い隠したりしてきた。しかし、大手新聞、コミュニティーに関与する新聞の消失は、アメリカのオープンな、民主的国家の礎石の一つが失われることを意味する。極めて近い将来、主要大都市で、都市紙が無くなるという可能性に、我々は直面している。新聞の消失は、私たちの内省能力を弱体化させ、身の回りで何が起きているのかを監視するのに必要な重要なツールを奪ってしまうのだ。

公民権運動の指導者達は、マスコミが、彼らの行進に、進んで関心を向け、彼らのコミュニティーから、彼らが非難してきた不正や、彼らが味わった弾圧について、公正に報道してくれなければ、運動は“翼の無い鳥のようなものになるだろう”ことを最初から理解していた。公民権運動指導者で、米下院議員のジョン・ルイスは語っている。

“マスコミが、進んで危険な状況に立ち、運動の出来事が展開する様を、彼らが見た通り、ありのままに報道することがなければ、アフリカ系アメリカ人達が、米国南部の保守的な地域で直面していた恐怖を、アメリカ人は決して理解せず、信じることさえ無かったでしょう。”ジョージア州民主党のルイス下院議員は、2005年、議会が投票権法40周年を祝賀した際に語った。“真実を記事にするという覚悟には勇気が必要でした。闘争の中心地であるミシシッピーや、アラバマや、ジョージアで、メモ帳、ペンや、カメラを持っているのを見られるのは信じられないほど危険なことでした。現地や連邦政府の幹部や、市民達の間には、伝統的な秩序を維持したいという、暴力的な自暴自棄がありました。人々は自分たちの不法行為を秘密にしておきたがっていました。連中は好意的でない世界の批判的な目から、隠れたかったのです。彼らは、自分たち自身の良心による有罪判決から逃れたかったのです 。彼らは、余りにまざまざと掲載される、非暴力の抗議デモ参加者や、カメラによる写真の醜い姿を破壊したかったのです。だから、例えば、1961年に、フリーダム・ライダー運動参加者達が、アラバマでバスを降りた際には、私たちの誰かが、そうされるより先に、殴打され、血まみれになった記者達がいたのです。”

アメリカの政治組織も、情報システムも衰えて、大企業に人質にとられてしまった。わが政府は、もはや国民の要求や権利に応えようとはしていない。私たちは、自分たちの意見を発表する伝統的なメカニズム無しで、力を奪われたままだ。大企業による生態系の破壊と戦い、アメリカの市民社会にわずかながら残されたものを守ろうとしている人々は、またもや街頭で抗議しなければならないのだ。彼らは、市民的不服従の行動をしなければならない。しかし、今度は、マスコミも、通信システムも劇的に変化している。

ジャーナリズムの死、普通の市民の窮状は報道されるべきだと信じていた記者達が、電波や印刷媒体から消滅したことは、普通の人々の声や、異議を唱える人々の意見が、広範な大衆に届くのが、一層困難になることを意味している。ニュースと娯楽への没頭と、持続的な報道の不在によって、自分たちの意見を発言しようとしたり、既成権力に挑もうとしたりする人々は、効果的に隅に追いやられ、沈黙させられる。抗議運動は、1960年代と違い、公民権運動や反戦運動の報道の特徴であって、結果的にパワー・エリートをも脅かした、連日の全国的報道をしてもらえるようにするのに困難を味わうだろう。抗議行動は、もはや報道されず、あるいは滅多には報道されず、離ればなれの野火のように燃えあがるだけで、一層容易にもみ消されたり、無視されたりすることになろう。抵抗運動の指導者達にとって、彼らの主張を全国中で展開し、変化を求める全国規模の運動を構築することは、不可能でないにせよ、より困難になるだろう。新聞の欠点は大きかったが、今後、民主主義を目指す最後の戦いが、反対意見や、市民的不服従と抗議を意味するようになるにつれて、私たちは新聞が無くなったことを寂しく思うようになるだろう。

クリス・ヘッジズは、Truthdigの週刊コラム執筆者で、ネーションズ研究所・特別研究員。彼の新著は“The World As It Is: Dispatches on the Myth of Human Progress”である。

記事原文のurl:www.truthdig.com/report/item/gone_with_the_papers_20110627

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彼の記事、プロの翻訳者の方が翻訳され、本になり、ベストセラーになると嬉しいのだが、「読みづらい」翻訳の見本。『ネット・バカ』を読み始めたが、まだ30ページあたりをうろうろしている。

宗主国では、一時期、大手新聞が比較的良い記事を載せていた時代もあったのだろう。しかし、マスコミ業界が、新大陸侵略という原罪を真面目に扱ったことは無かったろう。真面目に扱っていれば、世界侵略・戦争経済で生きる国、自分で機能を縮小・停止していたかも知れない。国民にとって、つらいことばかり書くジャーナリズムが、生存できたかどうかは疑わしい。結果的に、無反省が、今の世界最大・最悪のテロ国家を生み出している。

属国で、敗戦後、大手新聞が比較的良い記事を載せていた時期はあったのだろうか?日本の大新聞、創設時から、宗主国あるいは属国の大本営広報部だったのだろうか?

宗主国の拡声器として、テレビが導入された事実は、有馬哲夫教授のご本『日本テレビとCIA』や、『原発・正力・CIA』や『昭和史を動かしたアメリカ情報機関』等に詳しい。もちろん、この時、テレビ導入を推進した人物、正力松太郎、 東京帝国大学卒、戦時中は警察幹部。1924年、新聞経営に乗り出し、大成功。巨人軍も創立。同じ人物が、原発推進でも大活躍。そういう出自の大新聞・テレビが、まともなジャーナリズムとして機能する可能性は皆無だろう。洗脳装置として、全力を尽くすだろう。

日本の場合、元々独立した「ジャーナリズム」というものの存在感は薄く、紙のマスコミ新聞が無くなる場合は、その願望を果たして、完全属国化・洗脳が完了した結果、めでたく消滅するのではないだろうか?

そうならない前に、沖縄の新聞、東京新聞、赤旗など、経済的余裕と新聞を置く空間さえあれば、講読してみたい気もする。PDFで講読できるようには、ならないだろうか?それは、もはや紙とは言えないが。大新聞を講読しているのは、何度も書くが、家人がくまなく読み尽くすスーパー・チラシが目当て。今日のトウモロコシもグレープフルーツもキュウリもコシヒカリも、全てそのおかげ。自前は青紫蘇のみ。

ところで、講読中の大手紙に水俣病記事が連載されている。時に価値ある報道もしてくれるのだ。フクシマ現象を考えるのに良いシリーズ。企業、官庁、御用学者、マスコミ、労働組合がスクラムを組んだ、そっくりそのままの無責任体制の前例。

被災の規模、範囲、時間枠は、フクシマ人災の方が巨大。今後あちこちで、再発する可能性が高いという意味でも、はるかに上回るだろう。この国では、滅亡の日まで、この無責任体制が続く。役所発表を読むお役人が変わるだけの話。今回は色恋沙汰が理由で。

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