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2011年6月18日 (土)

ウマラ、ペルー大統領選挙でフジモリを破る

wsws.org

Luis Arce

2011年6月7日

日曜日にペルーで行われた大統領選挙の約90パーセントの票が開票された時点で、元軍将校のオジャンタ・ウマラが、完勝者として浮上した。

ペルー国政選挙管理事務所によれば、ガナ・ペルー連合の候補者、ウマラが票のほぼ51.4パーセントを獲得し、ライバル、フエルサ2011の候補者ケイコ・フジモリに対し、2.7パーセント以上の差を享受している。

残りの票の大半は、ウマラが、より多くを得票してきた、より貧困で、より辺鄙な地域のものなので、月曜日、フジモリは差を埋めることはできず、7月28日には、ウマラがペルー次期大統領に就任するだろうことが広く認められた。

ウマラは18地域で、フジモリは8地域で勝利した。アマゾン盆地のマドレ・デ・ディオスが、勝者が未定な唯一の地域だった。10の地域では、ウマラが、20パーセント以上、場合によっては、30パーセント以上の差で勝っている。

リマで、フジモリは、15パーセント未満の差で、ウマラに勝利した。これは、ペルー中でも、最大の得票差による勝利だが、票の差は、予想されていたものより、ずっと少なかった。ウマラは、不規則に広がるペルーの首都で、多くの中流下層、労働者階級、貧困地帯の多くで、一位だった。

選挙結果は、何十年間もの新自由主義経済政策と、ペルーの天然資源を多国籍企業による開発に向けて開放することに対する、大衆の拒否を反映していた。ペルーは、西半球では、最大の成長率を示してはいるものの、2010年には、8.7パーセント、国民の大多数、労働者階級と貧しい人々にとって、慢性的貧困、低迷する給料、上昇する食糧と燃料の価格の中、状況は悪化するばかりだ。

ウマラの勝利は、過去三人のペルー大統領、敗れた候補者ケイコ・フジモリの父、アルベルト・フジモリ、アレハンドロ・トレド、そして、アラン・ガルシアが、20年もの期間にわたって行ってきた自由市場経済モデルの変更を意味するのではないかという懸念を、ペルーの支配階級と外国資本は早々と表明した。

ウマラは、ペルーの富を社会的不平等の改善に使う予定だという、あいまいな約束を基本に選挙活動をしたが、フジモリは、10年にわたる支配期間の汚職と暗殺部隊を使った殺戮で有罪となり、現在25年の実刑判決に服している父親が残したものを擁護する人物、自由市場政策の旗手として立候補していた。

ペルーの株式市場は、月曜日、株価が、ほぼ11パーセント下がった後、二時間閉鎖された。株価急落は、ウマラ政権は、採掘会社が享受した膨大な利益に、超過利得税を課するのではという危惧を理由にした、採掘会社株が引き金となった。2008年10月に、グローバル金融危機が、世界市場を引き下げて以来、最大の一日の下げ幅だった。

ペルー全国私企業団体連合会(コンフェデラシオン・ナシオナル・デ・インスィトゥシオネス・プリヴァダス・デル・ペルー)のウンベルト・スペジアニ会長は、リマの新聞ペルー21に、“選挙過程は水に流し、ペルーを発展の方向に進めるため働き続けることが必要だ。”と語った。

スペジアニ会長は、民間部門はウマラと協力すべく“門戸を開放している”と補足した。彼はウマラに、懸念している感があるこの部門を安心させるための“証拠”を要求した。

ペルー21紙は、スペジアニ会長発言を引用した。“我々は市場を安心させねばならない”、“国内、海外投資家も…彼[ウマラ]は、これまでと同じマクロ経済の方向性を維持し、冷静さを示すべきだ。さもないと、ペルーは苦しむことになる。”

保守派マスコミと既成政治勢力が要求している具体的な“証拠”とは、ペルー金融界、実業界の特権階級の信頼を享受し、彼らの権益を擁護することへの信任が得られる、財政相とペルー中央銀行理事長を迅速に任命することだ。

ペルー政界をとらえている恐怖を示すもう一つの兆候として、元大統領候補のウオール街銀行家、PPKとして広く知られているペドロ・パブロ・クチンスキが、選挙のまさに前日、支持者たちに、ケイコ・フジモリに投票するよう呼びかけている。

あるいは選挙日前24時間の政治宣伝を禁じている法律に違反している可能性がある、PPK支持者のフェイスブック・アカウントへの投稿で、元経済・財政相クチンスキはこう書いた。“心苦しく、不愉快なのは分かっており、ケイコに投票しなければならないのはいやなのだが、バランスとは何かを理解しよう。我々は将来を弄んでいるように思う。”

“虐待と、貧困と暴力を生み出し、ベネズエラで失敗した国家統制主義の軍国主義を代表するオジャンタ・ウマラとは対照的に、フジモリ・ヒグチは、未来を代表しており、ペルーの発展を可能にしてくれる最高の専門家達に囲まれている”とクチンスキはトゥイッターに書いた。

アラン・ガルシア大統領政権は、外国、国内の金融資本による、ペルー通貨ソルと、リマ株式市場攻撃と対決する用意があると宣言した。

イスマエル・ベナヴィデス経済・財政相こう語った。“中央銀行が市場に流動資産を注入するという緊急対応策がある。”

ベナヴィデスは、“ウマラが、4月10日、1回目の選挙で勝利した後、市場が暴落した。”ことを指摘して、ウマラに“投資家やブローカーの不安を和らげる正確な信号を発信すること”も要求した。ベナヴィデスは、エル・コメルシオ紙の読者に、リマ株式市場の時価総額が、4月8日から4月27日までの間に、180万ドル低下したことを指摘した。

ウマラ・チームの反応として、経済顧問フェリス・ヒメネスが、ペルーという国家の安定は確保されていると宣言し、必要となれば介入するよう、中央銀行に呼びかけた。“投機攻撃が起きた場合には、中央銀行は、その仕事をするようにという要請を私は繰り返す。中央銀行には投機を止めさせる手だてがある”とヒメネスは語った。

国際的スペイン語マスコミは、元大統領アレハンドロ・トレドや、ノーベル賞受賞者マリオ・ヴァルガス・リョサが率いる知識人達と彼が連携していること、ケイコ・フジモリが、父親の独裁主義的政権のもとで行われた犯罪と、距離を置くことに失敗したことを強調し、より冷静な調子で、ウマラ勝利を報じた。

スペイン語新聞ABCは、ウマラの勝利に対するマリオ・ヴァルガス・リョサの支持の重要性を強調した。“第2回投票での、知識人の共通戦線を率いたマリオ・ヴァルガス・リョサと、前大統領アレハンドロ・トレドの支持は、彼(ウマラ)にとって、大きな後押しになった”とABCは書いている。

チリでは、ラ・テルセラ紙がこう報じている“ペルーの専門家達は、ケイコが流れを逆転させることは事実上不可能だと語っている。決めていなかった人々が、最終的に、ウマラに投票すると決めたのだと専門家達は言う。フジモリ政権時代の強制不妊手術問題が[有権者]に影響したに違いない。この問題は、広範な女性有権者の拒絶を招き、アルベルト・フジモリの娘への打撃となった。”

作家のヴァルガス・リョサは、当初はウマラとケイコの決選投票を“エイズと末期癌”の戦いと表現したが、金融界エリート内部のウマラを巡る懸念をはねつけた。選挙中滞在していたスペインで発言して、この右派の作家は語った。“ウマラの勝利は、対戦相手の言い分とは逆に、経済発展を危機にさらすことはない。彼は充分に証拠を示していると思う。何よりも、2回目の選挙で、政治的民主主義、市場経済と、私有財産を尊重すると彼は語っている。”

それにもかかわらず、選挙結果が、広範な層の国民の間で変化への期待を刺激した兆しが見られた。リマ中心街、首都を囲む貧しい地域や、主要地方都市で、自然発生的な街路での祝賀が行われた。

南アンデス地域で最大の都市で、ウマラの本拠であるアレキパ、プーノやクスコと同様、アマゾン河沿岸の河港都市イキトスでは、何千人もが街頭に繰り出し、踊り歌った。

リマでは、数百人のウマラ支持者が伝統的な労働者階級のデモの場所、プラサ・ドス・デ・マヨに集まり、勝利を祝い、ウマラが、貧しい人々を救うという約束を守るよう要求した。

対照的に、リマの裕福な地域、ラ・モリナ、サン・イシドロ、モンテリコと、ミラフローレス地域は、ひっそりしたままだ。

国営テレビでインタビューされていた人々が表した、陶酔感と楽観主義から判断すると、多くの人々が、ウマラなら富のより公正な分配をしてくれるという幻想をもっているようだ。少数のエリート連中が、過去十年間にわたり、ペルーの60パーセント成長の不当に大きな分け前をさらうのを見てきた彼らは、変化を求めて投票したのだ。

しかしながら、彼らは意外に早く、痛ましいほど失望することになるだろう。ウマラの“社会的包摂”や“より公正なペルー”という約束よりも、均衡予算を維持し、外国、自国の資本家、投資家を保護し、前任者達が実行してきた自由貿易協定を維持するという、支配層エリートと彼との約束の方が勝っているためだ。

日曜日の投票の準備段階で、ウマラは、ペルー国民にあてた公開書簡を公表したが、その中で彼は、資本主義市場経済を維持し、私有財産を守ると約束した。文書は、事実上、当時ブラジル労働者党の大統領候補者だったブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァが、2002年、大統領選挙で初めて勝利した際、準備段階で発表した同様書簡の引写しだ。

それ以前の二度の選挙で敗北した後、ルラがブラジル金融界エリート連中の、信頼を獲得するのに成功したのと同様に、2006年の選挙で現大統領アラン・ガルシアが勝利し、自分は紙一重で敗れたので、ウマラも意図的に右旋回をすることで克服しようとしたのだ。

この右旋回の本性は、今年早々、ウィキリークスによって公開された、リマのアメリカ大使館からの極秘外交電報によって、一部は明らかにされている。機密文書は、大統領選挙敗北後の、ウマラによる大使館訪問を詳しく述べているが、彼は自分は左翼でも反米でもなく、むしろペルーを“体制に反対する過激派から”救うことができる“現実主義者”だと主張していた。

一方、2006年には、ウマラは、似たような経歴(いずれも軍当局者として失敗に終わったクーデターを率い、民族主義者として大統領選挙に出馬した)を経ているベネズエラ大統領ウゴ・チャベスと自分をしっかり重ね合わせていた。彼は、今回の選挙で、ブラジルのルーラの資本主義寄り政策に忠誠を誓っている。

これは単なる選挙演説という域を超えたものだった。ルーラも個人的関心をもっていたウマラ選挙活動に、最高顧問として、ルーラ労働者党の幹部が送りこまれていた。

この方向性には、しっかりした経済的基盤がある。ペルーの鉱山や、発電プロジェクトに、ブラジル企業が何十億ドルも注ぎ込む中、ブラジルからの直接外国投資は、今後十年間で、300億ドルを超えることが期待されているのだ。

プーノの先住民アイマラ族による最近の蜂起のおかげで、アイマラ族のことは、ペルー国民の記憶に新しい(「アイマラ族抗議者達、ペルーの都市プーノを占拠」(英文)を参照。http://wsws.org/articles/2011/jun2011/Peru-j04.shtml)、ペルーのテレビ解説者や政治評論家達は既に選挙過程で、ペルーが分極化したことを認め、政治的休戦を呼びかけている。

国際的に著名な右派経済学者で、ケイコ・フジモリの顧問であるエルナンド・デ・ソトの言葉を借りれば、エジプトのムバラク、リビアのカダフィ、インドネシアのスハルト等の非情な独裁者達と同様、ウマラは困難な国内状況に直面するだろう。

プーノで、デ・ソトは、たとえば選挙後のテレビ・インタビューで、ウマラは、採掘会社か、農民かのいずれかを選択しなければなるまい、と語っている。

選挙の一週間前に行われた大統領選候補者討論会で、ウマラは、社会的紛争は投資家にとって高くつくと警告した。プーノの事件に珍しく触れ、[プーノの]労働者達に、抗議行動の際に投げた道路の石を片づけて、投票に行くよう呼びかけた。

彼の政権は、社会的葛藤が爆発するのを防ぐため、“対話”と“合意形成”を支持するとウマラは語った。ペルー国内で進展した極端な社会的分極化を考えれば、そのような考え方では、労働者、農民や貧しい人々の権利を、国内、および、外国資本の権益よりも下位におくことにしかなるまい。

17,000人のアイマラ族の人々が、要求が実現しなければ、来週火曜日の深夜までには、闘争を再開すると明言して、大統領選挙が行えるようにするため、占拠した都市プーノから撤退することを決定したことは特筆に値する。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/jun2011/peru-j07.shtml

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コンピュータ監視法案、成立するまで、完全な報道管制状態にあったマスコミ、一斉に、めでたいことが起きたかのように、報道。

「ウイルス作成罪新設」を含む刑法改正案可決

今月の初めごろ、テレビは元大統領の娘の演説場面ばかり流していた。二人の政治的背景、政策の違いをしっかり説明してくれたニュース番組・記事見た記憶皆無。気になる、TPPや、コンピュータ監視法案の話題をそっちのけにして、一体何のために流していた(とうてい報道と呼ぶ代物とは思えない)のだろう?

日系人が当選して、なんの意味があるだろう?遠い国に移民した方の子孫が、その国の国民として出世されていることが、うらやましくて、くさすわけではないが、何が嬉しいのかわからない。

フジモリ大統領や、アメリカのシンセキ元大将や、ダニエル・イノウエ議員、それぞれの国で支配層の一員として、支配層向け政策を推進しているのだろう。

ダニエル・イノウエ議員、有名なアメリカ陸軍日系人部隊、第442連隊の英雄。ヨーロッパでのドイツ軍との戦闘で、右腕を失っている。

「1980年代、日米間の貿易摩擦が政治問題化した際は、リチャード・ゲッパートなどと共に、対日批判の急先鋒として立ち回った」

とWikipediaにはある。

政治家は、「自分の国の」国益を優先する人々だろう。と考えていたが、

日本では、有力政治家は、ことごとく「宗主国の」国益を優先する。

郵政破壊、米軍基地、おもいやり予算、原発推進、TPP。

16日朝刊に、ウマラ関連記事が掲載されたのを読んだが、さっぱり分からない。それで、やむなく、本記事を読んだ。

日本に暮らすメタボ貧乏人にとって、ペルーや日本の大本営広報・大政翼賛マスコミ記事より、アメリカのこの絶滅危惧党派記事の方が、言語は別として、すっと頭に入るようだ。

貧しさには、放射能同様、国境がない?

しかしながら、彼らは意外に早く、痛ましいほど失望することになるだろう。民主党の“国民の生活が第一”や“未来を担う子どもたちへの政策を最優先にします”という約束よりも、均衡予算を維持し、外国、自国の資本家、投資家を保護し、前任者達が実行してきた自由貿易協定を維持するという、支配層エリートと彼との約束の方が勝っているためだ。

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