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2011年3月13日 (日)

ルーマニア労働者階級にとっての民営化の帰結-近うて遠きもの・遠くて近きもの

Diana Toma

2011年3月11日

昨年末、共産党犯罪調査・亡命ルーマニア人記録研究所によって行われた“ルーマニアにおける共産党政権に関する態度と意見”と題する全国的調査で、ニコラエ・チャウシェスク独裁政権の崩壊から20年後、回答者の45パーセントが、暮らしは、現在より、1989年以前の方が良かったと感じていることが判明した。調査は資本主義の復興にともなって、ルーマニアにもたらされた社会的・経済的条件に対する批判だ。国民はより大きな表現の自由を享受することとなったが、ルーマニアの生産基盤は崩壊し、生活水準は急激に低下した。

1989年以来、国営企業の民営化が、ルーマニアの市場改革の主要な特徴だ。過去20年間、ほとんど全ての主要産業、工場、研究所、炭鉱が閉鎖された。1990年代中期に始まった工場の売り出しは儲かる取引で、僅かな金額で民営化が遂行された。工場を買収して、生産能力を継続すると約束した連中は、間もなく、工場を倒産に追いやり、バラバラにして売り払った。一例だけあげれば、1989年に存在していた14の製鋼所のうち、今日も稼働しているのは、わずか1箇所だ。

石炭産業も同様な運命を甘受している。1997年の130,000人という炭鉱労働者と比較すると、今日炭鉱でいまも働いている人々は、わずか21,000人だ。1990年には、鉱業で、350,000人が直接、更に700,000人が間接的に雇用されていた。生産崩壊は事故の急増がともなっていた。1989年12月以来  50件以上の激甚な鉱山事故がおきており、最悪の事故は、2001年8月に、ヴルカン炭鉱で発生したもので、14人が死亡し、4人が負傷した。また、2008年11月にはペトリラ炭鉱で、13人の炭鉱労働者と救助隊員が死亡し、17人が負傷した。

ジウ渓谷では、鉱業のリストラで、何千人もの人々の唯一の収入源が消滅した。このプロセスは、今や全国規模に拡大される予定だ。2011年1月から始まり、ルーマニアの既存鉱山の半数は、ルーマニアを、最近承認された、EUにおける採算の取れない鉱山を、2014年10月までに閉鎖するという欧州委員会の目標に沿わせるべく、閉鎖計画の対象になる予定だ。もしも、この法規が、現状の姿のまま、国会で承認されれば、現在も国営石炭会社(CNH)で働いている約8,800人の従業員の多くが、増大する失業者の大群に加わることになろう。

農業の話題となると、ルーマニアは矛盾した国だ。ルーマニアの耕作に適する土地は、全土の39.5パーセントにおよぶ。ルーマニアは、世界でも主要な穀類輸出国だった。1990年、穀物輸出はほぼ完全に崩壊した。以来、多少は回復したものの、地方の生活水準は極端に立ち遅れている。地方に暮らす人々のわずか33パーセントしか、水道が使えない。10パーセントのみ下水が使える。満足な品質の道路はわずか10パーセントに過ぎない。

ルーマニア農業破綻の主要指標は、農産物輸入のレベルだ。その価格が280万にも上った、2010年農産物輸出の35パーセント増加にもかかわらず、輸入は依然として、かなり大きく、350万にものぼる。

公共サービス部門では、国際通貨基金が、電気、ガス、水道や、固定電話等、一連の元国家による独占事業の徹底的な民営化を強いた結果、消費者にとっては価格が上昇した。近い将来の民営化候補は、CEC銀行、タロム(国営航空)と、ルーマニア郵政事業だ。公的医療制度もリストラ過程にある。

厚生省は現在何十もの病院の再編・合併を準備している。現在合計435の国立病院のうち、111が合併し、71は介護施設に変わる。首相は、聾唖児童向けのリハビリテーション・サービスを提供するためには施設を閉鎖する必要があると主張して、ブカレストの唯一の耳鼻咽喉病院も解体しようとしている。

長年の不完全な経営、腐敗と大幅な財源不足の結果として、国民の一部は、病院民営化が消滅から救う唯一の方法だと確信している。同時に、リストラの取り組みに反対する一連の抗議も行われている。

市立病院が介護施設に変更される予定の住民45,000人の小さな市ババダグで、デモが行われた。タンデレイ(東部ルーマニア)では、厚生省にリストラ決定を破棄するよう要求して、市庁舎の前で300人が抗議した。イアシでは、救急病院の前で、その医療部門が他の施設と合併されることを怒って、何十人もの人々がデモをした。病院閉鎖によって、30,000人の住民が医療を受けられなくなるアグニタ(シビウ県)でも、数百人が街頭に繰り出した。住民の中には最寄りの施設が70-90キロ先になってしまう人々もいる。

決定発表の報道発表で、厚生省は、ルーマニアの病院のリストラは“保健所や地方自治体と、数ヶ月間協力した上で実行された”と主張している。現実には、査定は、何と一日に10病院という勢いで、三チーム、二週間の性急な評価でおこなわれた。いかなる形でも、地方自治体は相談を受けていない。

公共サービスが破壊されるなか、労働生産性を増加させ、労働者の権利を奪うために、労働法規は書き換えられつつある。IMFと多国籍企業の命を受けて、3月8日に、ルーマニア完成する必要がある注文や、プロジェクトがある場合には、雇用者が、一日の労働時間を、8から12時間に延長することを許可する新たな労働法が成立した。休暇日数も、連続15日から10日へと減らされ、特定の従業員の病欠が多すぎると思える場合、雇用者が休暇をなくすことが認められる。健康問題のある労働者も法的保護をはぎ取られる。現在、企業側は、労働者がストライキをした場合、労働者を解雇する権利を得ようと狙っている。

今年早々、ガラツィ、アルジェシュ、ゴルジュ、コヴァスナ、シビウ、ビストリツァ各県で、この“奴隷への回帰”に反対して、数千人が街路に繰り出した。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/mar2011/roma-m11.shtml

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査定は、何と一日に10病院という勢いで、三チーム、二週間の性急な評価でおこなわれた。

B層向けパフォーマンスとしての事業仕分け・規制仕分けの「モデル」そのもの、ここにあり!

報道で吉里吉里という地名を聞いて、井上ひさしの傑作『吉里吉里人』を思い出した。

この地方が独立してしまうという奇想天外な話だが、医療や農業についても頭の体操になる話だったと記憶している。

日米属国保障条約のもと、思いやり予算(重い槍予算)をユスりとり、侵略用の海兵隊基地を強化し、郵政預金横取りをはかる、最強で最も密接な同盟国宗主国、本当に無心で援助をしてくれるだろうか?戦争が目的の世界最大の組織、どれだけ復興活動に役立てるのだろう?素人にはなんとも不思議な論理。ハイチをみればおのずと答えはでそうだ。(下記をどうぞ)

藤永茂先生の『私の闇の奥』の例えば、2011/01/12ハイチの今とこれから

拙訳記事:ハイチから一年

既に、やなぎ様がコメントされている通り、「公正」「人道」「正義」とは対極にある宗主国からの不気味な申し出。属国政権は喜んで受けるだろう。

3/10、『知の巨匠加藤周一』刊行。世田谷文学館で開催された講演シリーズ、知の巨匠-加藤周一ウィークをまとめた本だ。時節柄、大江健三郎講演「いま『日本文学序説』を再読する」の41ページを引用させていただこう。加藤周一は血液学の専門家であり、原爆投下のすぐ後、広島で調査をしている。加藤の「近うて遠きもの・遠くて近きもの」自体は、自選集第10巻に収録されている。

 「もし清少納言が今日の日本に生きていたら「遠くて近きもの」として原子爆弾と原子力発電所を挙げるだろう」と加藤さんはいう。「核戦争のおこる確率は小さいが、おこれば巨大な災害をもたらす。原子力発電所に大きな事故のおこる確率は小さいがゼロではなく、もしおこればその災害の規模は予測し難い。一方で核兵器の体系に反対すれば、他方で原子力発電政策の見なおしを検討するのが当然ではなかろうか。東海村に事故がおこれば、「ヒロシマ」を思い出すのが当然であろう、と私は考える」、というのがその正確無比な結論です。
 広島と同じようなことが、今の日本の各原子力発電所で起こり得る。しかもその規模は、広島核爆発を大規模に超えるものである。そうなる前に私たちは、核兵器と原子力発電所は「近うて遠きもの」ではない、「遠くて近きもの」だと考えなくてはならない。

「地震予知」なるものが、ニセ学問であることが、今回の大地震でもよく分かる。浜岡原発の近くでおきる東海地震は「予知できる」ことになっているが、真っ赤な嘘だろう。東海地震は浜岡原発倒壊地震。

島村英紀著 『地震予知はウソだらけ』講談社文庫を、お読みいただきたい。良心的な学者が、良心に基づいて行動すると、冤罪の罠にはめられ、投獄される。『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか』はその記録だ。そもそも世界的に通用する「ツナミ」なる科学用語の本家日本の沿岸に「トイレのないマンション」原発を無数に建設することに無理がある。「地震予知」研究とは、それを安全だと言うための行為だろう。安全なら是非『東京に原発を』。

本を読む暇がない方も島村英紀先生のホーム・ページをお読みいただきたい。

また、名著『大地動乱の時代 地震学者は警告する』(岩波新書)の著者、石橋克彦先生の迫り来る大地震活動期は未曾有の国難である」衆議院予算委員会公聴会で石橋克彦教授が原発震災を強く警告(全文)も、是非ご一読を。

商業マスコミに、下記のような記事が掲載されるだろうか?弱小政党の機関紙でないと重要な真実は知ることができない見事な例のようだ。

チリ地震が警鐘 原発冷却水確保できぬ恐れ 対策求める地元住民
2010年3月1日(月)「しんぶん赤旗」

メルトダウン炉心溶融については、現在、世界最先端を進んでいる日本。TPP加盟により、例えば、医療制度も、アメリカ人もうらやむ医療制度を捨て、ルーマニアに続くだろう。いや、金持のみ生き残れるアメリカ医療制度に続くか?

我々は、果たして数十年後、小泉政権時代を懐かしむようになるのだろうか?なんとも恐ろしい未来。

ルーマニアの労働者の運命、日本人にとって、原発同様、遠くて近きものだろう。

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