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2011年1月18日 (火)

たとえ敗戦でも大企業は儲かる

Chris Hedges' Columns

2011年1月10日投稿

AP / Petros Giannakouris

2007年の反戦集会時、アテネ中心部でデモする顔を塗った若い抗議デモ参加者。

Chris Hedges

権力は、選挙民にあるのではない。権力は、二大政党のいずれかにあるのではない。マスコミが権利を代表しているわけでもない。権力は、略奪者達から我々を守ってくれる司法組織によって裁定されるわけではない。権力は大企業にある。しかも、大企業は、たとえ戦争には勝てる可能性が全くなくとも、戦争で非常に大きな収益を得られるのだ。公式の権力体制に対する、あらゆる礼儀正しい懇願では、イラクとアフガニスタンでの戦争を終わらせられないのだ。我々は戦争機構を物理的に妨害するべきであり、さもなくば我々は戦争の共犯者という役割に甘んじるしかない。

2004年に、反戦抗議行動が一時停止したのは、民主党の大統領候補ジョン・ケリー上院議員を大統領にするのを支援しようとして考えられたものだ。それは馬鹿げていて、屈辱的な妥協だった。ケリーは指名されるや否や、からくり人形のように、パッと敬礼した。イラクでの勝利について、止めどなく語った。自分ならファルージャからは撤退しないと国民に請け合った。そしてジョージ・W・ブッシュが、もう一期勤めるべく選出される頃には、反戦運動は勢いを失っていた。議会を民主党支配に変えて、イラク戦争を終わらせようという、2006年の試みは、もう一つの不信の体験となってしまった。民主党は、多数派になるや、イラクとアフガニスタンの戦争に資金を出し、拡大した。そして、2008年のバラク・オバマも、企業・軍エリートの為のもう一つの広告宣伝の道具に過ぎないことが証明された。こうした戦争を止めるべく、政治プロセスの枠組みの中でなんとかしようという我々のあらゆる試みは、絶望的で、惨めな失敗だった。そして、我々が時間も無駄にしている間に、何万人ものイラク、アフガニスタンやパキスタンの民間人もアメリカ兵や海兵隊員も、心の痛手を負わされ、重傷を負わされ、殺されている。

人は、戦争に反対か、そうでないかのどちらかだ。人は、体を張って、戦争が終わるまで、d戦争を挑発する連中や兵器製造業者に盾突くか、そうでないかのどちらかだ。人は、オバマを含め、自分の核となる道徳的信条をあざ笑ったり、無視したりする連中を糾弾するだけの品位と性格の強さをもっているか、そうでないかのどちらかだ。人は、何かのために戦うか、そうでないかのどちらかだ。だが、2004年、2006年、そして、2008年に、反戦運動をしていた、余りに多くの人々は、弱く甘かったことが立証されているので、我々は一から始めるしかない。今度は、堅持できる反戦運動を立ち上げなければならない。我々は制度全体に挑まねばならない。民主党が選挙に勝つのを助けるのは我々の仕事ではないことを認めねばならない。働く男女のために立ち上がろうとし損なったこと、ウオール街への卑屈さ、これらの戦争を止めることを拒否したことから、もはや信頼に値しないことを、民主党は十分に証明してくれた。我々は我々自身を信じるしかないのだ。だから我々は制度そのものを崩壊させなければならない。読者が前回参加され損ねた場合、こうした戦争に抗議する次の機会は、3月19日、土曜日のイラク侵略八周年だ。街頭デモが、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴや、ワシントン、D.Cで予定されている。詳細は、www.answercoalition.org/national/index.htmlでお読み頂ける。

アメリカは、主として赤字の山を作り出すことで、年に約1兆ドルもこうした戦争に支払っている。戦争をするために、赤字を跳ね上げている一方、アメリカでは、3000万人以上の人々が失業し、約4000万人が貧困な生活を送り、更に何千万人もが、婉曲的に“近貧困”と呼ばれる範疇にある。兵器製造業者と民間契約者の利益は、アフガニスタン侵略以来、四倍になった。しかし、企業の強欲のための慢性的コストとして 長期失業があり、不完全雇用があり、連邦や州の公共サービス事業は大幅に削減されている。大企業は、戦争がどれだけ不利になろうとも、紛争から膨大な利益をあげるのだ。連中には金を稼ぐ装置を止める意図など皆無だ。イラク人など死ぬにまかせろ。アフガニスタン人など死ぬにまかせろ。パキスタン人など死ぬにまかせろ。アメリカ国民など死ぬにまかせろ。そして、議会やホワイト・ハウスの高級官僚は、テレビのニュース番組に登場する、支配者の太鼓持ち連中と一緒に、冷笑的に“我々の痛みを感じ”大企業の分厚い札束と引き換えに、我々国民を裏切っている。

イラク戦争を経験した退役軍人で、マーチ・フォワード!共同創立者の一人、マイケル・プリスナーは理解していた。彼のグループは3月19日の抗議デモに参加する団体の一つだ。2001年6月、プリスナーは高校を中退して、軍に入隊した。彼はイラク侵略軍の一員だった。彼はイラク戦争中、標的を監視し、空爆や集中砲火を要求していた。イラク人の家の夜間家宅捜索にも参加した。尋問者も勤めた。地上監視任務も行い、車列を防衛した。2005年、戦争とそれを維持するための嘘に愛想をつかして、軍を辞めた。以来、彼は高校や街頭抗議デモで反新兵募集運動をして、軍を辞めさせる運動に携わっている。彼は、平和を求める退役軍人の会が組織した12月16日の反戦デモ時に、ホワイト・ハウスの前で他の130人と共に逮捕された。

“戦争をする理由、我々があそこに行く理由は、イラク国民を助け、大量破壊兵器を見つけ出すためだと信じていました”数日前に話した際に彼は言った。“しかし、戦争のこの二つの理由は全くでたらめであることが間もなく明らかになりました。大量破壊兵器の話題を、諜報部員に言えば、笑い物にされましたよ。そうしたものを探すことは、任務の一部でさえありませんでした。もしも、それが任務の一部であったなら、イラク北部で唯一の諜報部隊の隊員だった私も知っていたはずです。イラク国民を助けるために、ここにいるのかもしれないと思ったのですが、あの国に居た時に見た全ては、イラク人が残忍な仕打ちを受け、彼らの生活条件は劇的に悪化することだったのです。イラク人は私に、アメリカ兵はサダムよりひどいと言っていました。戦争には別の狙いがある、我々は永久軍事占領の準備をしているのだということに、間もなく気がつきました。派兵されていた間の実体験のおかげで、イラク戦争の現実が見え、アメリカの外交政策に疑問を持ち始めたのです。総じてアメリカ外交政策とは一体何なのか疑問に思い始めたのです。イラクは小宇宙だと思いました。色々な国を金持ち用に征服するために、ウオール街のために、マーケット、土地、資源と労働力を奪取するために、アメリカ軍は利用されているのです。これがアメリカ外交政策を動かしているのです。”

“2008年にオバマが選ばれた時、国の大多数がイラク戦争に反対になったのです”彼は言う。“イラク戦争には反対だとリップ・サービスをしなければ、大統領立候補する民主党議員にはなれませんでした。人々が戦争に反対していた理由は、アメリカ軍兵士やイラク民間人の絶えざる無意味な死があるからです。戦争はアメリカの資源の浪費です。占領の商標を変更したとて、これは変わってはいません。アメリカ兵は依然として、殺害され、負傷させられ、心理的に心の痛手を負わされています。特に、前回の派遣時に、心の痛手を負わされ、再度心の痛手を負わされる三度目、四度目あるいは五度目に派遣される人々が。数日前、イラクで、二人のアメリカ兵が死亡した。2003年に人々を戦争に反対するようにさせた原因は、今もそのままです。唯一変わったものはと言えば、最前線に配備して、数歩後ろにいるアメリカ兵と共に、戦闘作戦の矛先を担うだけの十分なイラク人をアメリカが採用できていることだけだ。アメリカ兵は依然として、戦闘に関与しているのだ。私たちのグループに一ヶ月前に参加した[マーチ・フォワード!]メンバーの一人は、今イラクにいます。彼は昨日私に言いました。前に9ヶ月派兵されていた時より大きな衝撃を受けたと。戦闘は依然として現実です。人々は今も殺害され、重傷を負っています。”

“戦争は以前として続いています”彼は嘆いた。“戦争は、やはりアメリカ兵にとっても、ひどいもので、イラクは完全に破壊されました。イラク国民にとって戦争は大惨事です。この現在の作戦を‘新たな夜明け’と呼ぶこと、こんなものが、イラク国民にとって、新たな一日だなどと言うのは、イラク人は電気も使えず、耐えざる武力衝突の中で暮らし、政府は機能しておらず、占領軍は依然居すわり、劣化ウランや他の原因によってはびこる先天異常に苦しんでいるという事実を無視しています。イラクの‘新たな夜明け’はひどいものです。イラクが正当に扱われる迄、つまり、全ての占領軍の完全かつ即時の撤退と大量の賠償金がイラクに支払われるまでは、イラクはこのままでしょう。”

サダム・フセインの残忍さにもかかわらず、戦争前、イラクは非常に教養の高い中流階級がいる豊かな国だった。イラクのインフラは近代的で、効率的だった。イラク人は高水準の生活を享受していた。イラクは、文明の利器にも事欠かなかった。うまくいっていたのだ。だから、ニューヨーク・タイムズの中東特派員だった頃に、何度も経験しているが、イラクで暮らすことは、国家の抑圧があるので、やる気をなくさせるものではあったものの、決して困難ではなかった。アメリカによる占領以来、イラクは機能不全に落ち込んだ。工場、病院、発電所、通信、下水道も、配電網も機能していない。運が良ければ、イラク人は一日に三時間、電気が使える。43度という暑さの中で、これを体験して頂きたい。貧困はこの国土着のものとなった。百万人以上のイラク民間人が殺害された。約五百万人が自宅から立ち退かされたか、難民だ。昨年、マーサー生活環境調査は、バグダッドを、諸都市の最後に位置づけた。地球上、最も居住に適さない都市だ。かつては自国の石油を支配していたイラクが、石油採掘権を外国企業に引き渡すことを強いられている。イラクに残されたものはといえば、それだけだ。暴力、窮乏と窃盗。

イラク戦争もアフガニスタン戦争も、大衆の支持を得ているようには見えない。最近のCNN/オピニオン・リサーチ社の世論調査は、アメリカ国民の63パーセントが、アメリカのアフガニスタン介入に反対していることを示している。更にイラクでの戦争を巡る不満の度合いは一層高い。にもかかわらず、我々は、破綻したリベラルな機構の二枚舌や、 来る年も来る年も我々を裏切り続けている、腐敗した政治プロセスを受け入れ続けている。世論は我々の側にある。反撃の為に、我々は世論を動員すべきなのだ。私や他の抗議デモ参加者、12月16日に、ホワイト・ハウスの外にいた時に、アフガニスタンやイラクに兵士として派遣されたことがある警官の何人かは、退役軍人達に手錠をかけながら、戦争については、お前たちが正しいとつぶやいた。反戦感情は広まっている。だから、我々は反戦の声が聞こえるようにするための勇気を見いだす必要があるのだ。

“雇用状況は底知れずひどく、授業料は上がる一方なので、こうした人々全員が、軍に入隊しているのです”プリスナーは言う。“多くの若者達は、大学教育からはじきだされています。生計をたて、家を買い、医療、子供を育て、十分な教育を受けさせたくて、人々は、軍へと向かうのです。もしも、イラクとアフガニスタンの戦争に使われる金のごく一部が、人間的なニーズに使われていれば、子供たちも、手の届く学費で大学に通えるでしょう。彼等が高校を卒業する時には、若者用の仕事を作り出すこともできていたでしょう。我々が生み出す膨大な額の富は、こうした戦争や軍にどっと注ぎこまれ、アメリカの国民は、一層の困難に直面しています。私たちは、変化を求めるのではなく、変化を要求し、そのために戦わなければなりません。”

“我々は、久しぶりに、最も進歩的な大統領を選出したはずなのに、そして、民主党が、下院と上院の主導権を握ったのに、戦争は拡張し、激しくなるばかりです”プリスナーは言う。“戦争は、現在、他の国々、特にパキスタンとイエメンに拡大しています。民主党は、議会で、議事進行を妨害されないような大多数を獲得していまする。我々は、一見したところ進歩的な大統領を選びました。しかし、我々が得たものは、益々多くの戦争、更なる軍事支出、外国における無辜の人々への更なる爆撃、柩で帰国するアメリカ軍兵士の増加に過ぎません。これで、民主党は我々の味方で、何かをやり遂げてくれるのだ、というような考え方は、絶たれ、粉砕されます。このままにしておけば、ワシントンの装置は戦争推進を継続するでしょう。ワシントンの装置は、こうした国々を支配し、そうした国々を、他の国々を侵略するための足場として利用し続けます。アメリカの外交政策には本当のチェンジなどありませんでした。もし我々が、現時点で民主党を傷つけられていれば、結構なことです。我々は既存体制の外に、独立した政治運動を作り上げる必要があります。それが、アメリカ史上、我々が本当の勝利を勝ち取る唯一の方法です。”

Chris Hedgesは、ネーション・インスティテュートの上級研究員。彼の新刊は“Death of Liberal Class”

記事原文のurl:www.truthdig.com/report/item/even_lost_wars_make_corporations_rich_20110110/

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そのまま、日本の民主党にもあてはまりそうな文章?

中学校か高校か覚えていないが、生物でヘッケルの法則を習った記憶がある。

『個体発生は系統発生を繰り返す』というあれだ。政治に置き換えると、
『属国の政治プロセスは宗主国の政治プロセスを繰り返す』のだろうか。

我々は既存体制の外に、独立した政治運動を作り上げる必要があります。

頻繁に翻訳させて頂いているwswsのいつもの結論そっくりなのにびっくり。

エセ二大政党のまやかしに、いまだにしっかり取り込まれている
『属国の政治プロセスは宗主国の政治プロセスを周回遅れで繰り返す』
もののようだ。

Chris Hedgesのような人々やwswsのような団体に活躍頂いて、宗主国の政治を変えて貰わない限り、イラク統治の手本とされる属国の政治、あと百年は良くなりそうもない。

追記:1月17日、宗主国では祝日。下記記事をどうぞ。

キングの夢を悪夢に変える-Chris Hedgesのコラム

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