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2010年10月 5日 (火)

パキスタン、アフガニスタン戦争の主要補給路を遮断

Keith Jones

2010年10月1日

パキスタン国境警備隊兵士三人を殺害し、更に三人を負傷させた、パキスタン国境前哨基地に対するNATO攻撃を受け、昨日、パキスタンは、重要な米-NATOアフガニスタン戦の物資補給路を閉鎖した。

木曜朝、最初は午前5:30頃、更に約4時間後、連邦直轄部族地域(FATA)の一つ、クッラムの陣地を、米NATO国際治安支援部隊(ISAF)の攻撃型ヘリコプターが二度機銃掃射した。

NATO当局者は、マンダタ・カンダホ前哨基地に対する攻撃は、先週末ヘリコプター攻撃を三回行い、50人以上を殺害したのと同様、“自己防衛”だと正当化した。

パキスタン軍広報担当者によると、マンダタ・カンダホの国境警備隊は、ISAFヘリコプターに対し、パキスタン空域に侵入したことを警告すべく空に向け発砲した。“警告に留意する代わりに”ヘリコプターは“二発のミサイルを発射し、前哨基地を破壊した。”

昨日の攻撃から間もなく、パキスタン当局は、ペシャワル北のトルハムにあるアフガニスタンへの検問所を閉鎖した。封鎖のおかげで、夜までに、150輌以上のNATOトラックや石油輸送車が道路から排除されたと伝えられている。

パキスタン政府も軍当局も、国境閉鎖を、パキスタンの主権侵害と同国民の殺害に対する報復だと公式には言っていない。しかし、火曜日、パキスタン軍は、ブリュッセルのNATO指導者達に、もしNATO軍がパキスタン国内で軍事攻撃を継続するならば、パキスタンは、もはやISAF補給部隊の“安全を保障することはできない”と警告した。

パキスタン政府は、FATAにおけるアメリカの無人機攻撃を、長年暗黙のうちに受け入れては来たものの、アメリカとNATO軍がパキスタンに越境した際には、軍事報復をするという見え透いた脅しを含め常に強硬に反対してきた。

これは決して驚くべきことではない。国際法の下、越境攻撃は戦争行為と等しいのだ。

木曜日の事態についてコメントしてパキスタン内務大臣レーマン・マリクは述べた。“我々は、同盟国なのか、敵なのか、考えなければなるまい。”

外務省広報担当官アブドゥル・バシトは、パキスタン“は、あらゆる状況において、主権を守るつもりだ”と断言した。パキスタンはどのように対抗するつもりかと質問されて、彼は答えた。“想像におまかせしたい。”

米パキスタン関係のこの最新の危機は、アメリカ統合参謀本部議長マイケル・マレン海軍大将が、先週末パキスタン軍のトップ、アシファク・キヤニ大将と、パキスタンへの侵入に関し、“そこそこの合意”に達したと主張した一日後、そしてレオン・パネッタCIA長官が、イスラマバードで、パキスタン首脳と会談していた当日に勃発した。

パネッタとアースィフ・アリー・ザルダーリー・パキスタン大統領との会談後、大統領官邸は、大統領はCIA長官に“パキスタン政府は、パキスタン主権を侵害するいかなる出来事にも強く不同意だ。国際的に合意された原則の侵害は非生産的で、受け入れられない。”と言ったと述べた。

カイバル峠のトルハム国境検問所は、米-NATOの補給用に、飛び抜けて最も重要なルートだ。アフガニスタン駐留米-NATO占領軍が使用する全食料や燃料の半分以上が、この経路経由で輸送されているのだ。

NATO当局は、閉鎖は対反乱戦争に対し何の影響もないだろうと語り、軽く扱った。パキスタン側としては、いつ封鎖を解除するかについて、何も語っていない。これまでのそうした封鎖は、数日以上は続かなかった。

しかしながら現実は、9年間のアフガニスタン戦争で、アフガニスタンを支配し、石油の豊富な中央アジアに、軍事-地政学的橋頭堡を確立しようと目論見の上で、アメリカはパキスタンの兵站支援に大きく依存したままだ。

しかも米パキスタン関係は緊張を伴ったままだが、この緊張はいつ何時、制御不能になりかねない。

過去十年間、パキスタンの軍事・地政学的姿勢を、アメリカの略奪的権益に一層密接に沿わせる為、軍事行動を含めた脅しを使って、ワシントンは、パキスタンに対し繰り返し強い圧力をかけてきた。

ボブ・ウッドワードの新刊『オバマの戦争』によれば、アメリカ、インドいずれかへのテロ攻撃が、パキスタン国内から出撃したことがわかった場合には、ペンタゴンは、テロリストのキャンプと目されるものに対する本格的な爆撃作戦を行うと、アメリカは、イスラマバードに対して言ってある。アメリカが、そのような攻撃が民間人死傷者を招くかどうかに関して、ほとんど無関心であることを、ウッドワードが認めていることは重要だ。“場所の中には、時代遅れになったものもあるだろうが、計画上、一体誰が今そこに暮らしているかは、全く配慮していない。報復計画は、少なくとも150以上の関連したキャンプに対する残虐な懲罰的攻撃を標榜している。”

たとえそれが、パキスタンの広範な地域を内戦に突入させることを意味するのであっても、アメリカのアフガニスタン戦争を支援すべく、“もっと、やれ”と、パキスタンに絶え間なく要求しながら、ワシントンは、イスラマバードの地政学的立場を更に損なうような政策を情け容赦なく推し進めている。かくして、アメリカは、パキスタンの大敵インドとの戦略的提携を強化し、イランからの天然ガス・パイプライン建設や中国からの原子炉輸入を含め、いくつかの主要なパキスタンの構想を阻止することを目指してきた。

パキスタンは、7月以来、洪水による打撃を受けており、2000万人以上、その少なくとも半数以上は子供、が被害にあっている。立ち退かされ、緊急食料・医療支援を要している人数という点で、パキスタン洪水は65年の国連史上で最大の人道的災害だ、と国連は再三述べている。

ところが、この時期に、バラク・オバマ大統領指揮下のアメリカは、パキスタン国内における無人機攻撃を劇的に激化し、先月だけでも20回以上実施した。先週のNATOヘリコプターによる再三のパキスタン主権侵害は、明らかに一層攻撃的なこの新規姿勢の一環だ。

ある匿名のパキスタン軍当局者は、ワシントン・ポストに、無人機攻撃とヘリコプター襲撃は、イスラマバードに、タリバンと連携している北ワジリスタンの集団を鎮圧するための新規軍事攻勢をさせるよう強いるための“圧力戦術”だと語っている。

ヨーロッパでも北米でもアフガニスタン戦争が極めて不人気という状況下、ワシントンは、パキスタン軍兵士にできるだけ多く戦闘し、死んでもらおうと躍起になっている。

パキスタン軍は、反政府ゲリラを支援していると目される村や地域への絨毯爆撃や集団的懲罰を含め、無差別的な暴力の行使で悪名が高いことは言い添えておかねばならない。

昨年、FATAとカイバル・パクトゥンクワ州(元北西辺境州)での、パキスタン軍作戦によって、約200万人が強制退去させられた。この攻勢で用いられたパキスタン軍手法のおぞましい例は、ワシントンによって大いに称賛されているが、アメリカ政府当局すらもが、本物のようだと認めた、インターネット上で表面化した、パキスタン軍兵士が即決で六人の青年を処刑する様子を写したビデオによって証明されている。

何十年にもわたる、ワシントンとイスラマバードと、ペンタゴンとパキスタン軍間の協力関係が、パキスタン国民にとっては悲惨なものであることが証明されている。

アメリカは、国民を容赦なく抑圧してきた一連の軍事独裁政権の防壁役だった。ワシントンの積極的な関与を得て、ソ連を弱体化させる動きの一環として、アフガニスタン・ムジャヒディーンに資金と武器を与え、ジア将軍支配下のパキスタンは、イスラム復興主義者民兵の増大を含め、イスラム教原理主義を積極的に奨励した。

わずか2年ほど前、ジョージ・W・ブッシュの良き友人ペルベス・ムシャラフ将軍が率いた最後の軍事政権は、大規模な大衆の反対の前に崩壊した。

だがアメリカは、軍はパキスタンで一番の組織だと言い寄り、もちあげ続けている。

この支持に支えられ、文民政権の一目瞭然の腐敗と無能を巡る大衆の怒りにつけこみ、アメリカが後援するIMFによるリストラ実行を追求すべく、今やパキスタン軍は、益々直接的に、日々の政治的意思決定で幅をきかせつつある。

火曜日、ニューヨーク・タイムズは、“壊滅的洪水対応策の手際の悪さに怒り、経済の崩壊を懸念するパキスタン軍は、選挙で選ばれた政府の刷新、長期的には、アースィフ・アリー・ザルダーリー大統領と主要な補佐官達の排除を要求しつつある。”と主張する記事を掲載した

同紙は更に“益々ザルダーリー大統領に幻滅しつつある”と“アメリカ当局者も言っている”と補足している。

過去にもあったように、慢性的な飢餓と貧困、益々拡大しつつある社会的不平等、地主制度や、他の様々な封建制度の名残、そしてアメリカ帝国主義にとっての、傭兵というパキスタンの役割に対する反対から生じている大衆の動揺を、軍が鎮圧してくれるのを、欲得ずくのパキスタン資本家階級とワシントンは期待しているのだ。

ここ数週間、洪水救済の欠如、電力平均分配や、約束した公共部門の給料引き上げを取り消そうとする政府の企みを巡り、抗議の波が高まっている。

タイムズ紙の記事によれば、“オバマ政権にとって募る不安の中には、経済が更に悪化した場合の深刻な動揺の可能性もある。一部の予想によれば、次の四半期に、インフレは25パーセントに達するという。”

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/oct2010/paki-o01.shtml

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NATO 輸送車両 襲撃、等のキーワードで、例えばGoogleを検索すると、10月4日付けの記事が各紙に載っている。検問所が封鎖され、前進できなくなった車両が、狙われたのではないだろうか?無人機攻撃で殺害されるパキスタン庶民にとって、アメリカ、もはや敵国だろう。

不思議なことに、というか、当然のことに、パキスタンとアメリカの間の深刻な摩擦によって、アフガニスタンに向かう検問所が封鎖されたことに触れる記事はほとんど皆無。

宗主国のマスコミ、腐っても鯛?ニューズウイーク日本版オフィシャルサイトには、2010年10月1日付けの記事がある。簡潔な日本語?この車列が攻撃されたのだろうか?

無人機空爆にパキスタンがキレた 2010年10月1日

アフガニスタンの警察官育成費用?というような名目で、莫大な「みかじめ料」を支払わされている属国の国民として、また、パキスタン洪水被害支援のため、軍ヘリコプターや軍隊を派遣している国の国民として、血税の行方、もうすこし情報があっても良いだろうと、全く無駄とわかっていても思いたくなる。

テレビ番組欄、眺めてみると、どの局もどうでもよいお笑い番組やら特集番組ばかり。
真実を報道すると暴動が起きるからだろうか。江戸時代の打ち壊し、明治・大正の米騒動、いや、1905年、日露戦争終戦処理をめぐる不満からの、日比谷焼打事件以来、絶えてないだろう。

1960年、安保騒動というものもあったが。背景、どうやら怪しいもののように見える。天安門事件の後、指導者のなかには、アメリカに亡命している人がいる。安保で騒いだ学生幹部の中には、アメリカに留学し、学者になっている人々も多いという。現在の与党の幹部にも、学生運動出身の人はおられないのだろうか?

ヘルメット・ゲバ棒の運動に、大いに違和感を感じながら、せめて、将来、一体どういう人物になるのか、見つめつづけたいと思ったものだ。

そこで一句?

働きたくも働き口もなく当然わが暮らし楽にならざり
家人とキュウリ三本いくらのスーパーびらをじっと見る

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コメント

当該の翻訳記事には関係ありませんが・・・お知らせです。


"アフガンへ防衛医官ら10人 政府、年内派遣へ調整", 2010.10.15, 共同ニュース
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2010101401000957.html

"医療関連の教育訓練"をするそうです。この次は、"警察官の教育訓練"をする自衛官を派遣するのでしょうか。『派兵』に該当しないのでしょうか。

アフガンで大量殺傷を行なっている米軍や傭兵に"保護"されて活動するのは極めて危険だと思うのですが・・。"軍属"である自衛医官よりは、"文民"である民間医師の方がまだ狙われにくいと思うのは素人考えでしょうか・・。

昨日のニュースですが、日本人のいるISAF基地が攻撃されました。狙われたのは占領軍であって民間人である日本人ではないでしょうが、この日本人たちは軍事占領を円滑に進めるためのPRT活動をしています。全てのアフガン人がPRT要員を純粋な"民間人"とはみなしているわけではありません。

"日本人駐在基地に自爆攻撃 死傷者なし アフガン", 2010.10.14, 共同ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/101014/asi1010140938000-n1.htm


最近は、NATO加盟国内に、世論の動きに押されて撤退(オランダ)、あるいは撤退を検討している国がある一方で、途上国のなかには外貨欲しさに軍隊を派遣する動き(ボスニア・ヘルツェゴビナ、バングラディシュ、トンガ)があります。宗主国様に褒めてもらいがために派遣する某属国は・・・。アフガン人は今のところ日本を"敵国"とは呼んでいませんが、そう呼ぶ日は近いように思います。

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