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2010年10月26日 (火)

ヨーロッパにおけるストライキの波と"民主主義"の崩壊

Barry Grey

World Socialist Web Site

2010-10-20

大量失業や政府の緊縮政策に反対する、ヨーロッパや、国際的な労働者階級の戦いの増大によって、ブルジョワ民主主義という見せかけの背後にある現実が暴露されつつある。あらゆる国で、保守であれ、名目上“左派”であれ、政府は国民の圧倒的な反対を完全に無視して、仕事と賃金を減らし、社会保障制度を削減している。

選挙、国会の論戦は、政策に何の影響も持たない。国家は金融界特権階級の命令に従い、経済危機に対する責任がある銀行家連中の権益のために、大衆の生活水準をボロボロにしている。賃金引き下げ、労働者階級の搾取強化による、大量失業や社会的苦痛の増大につけこんで、資本家や大企業幹部は、これまで以上に儲けている。

労働組合による最大限の努力も、労働者を制止するには十分ではなく、資本家達の計画に異議を申し立てる闘争が激発していくが、最も顕著なのはフランスとギリシャで、国家はストライキや抗議デモを粉砕するため、鎮圧部隊を導入している。フランスでは、サルコジ政府が、労働者による石油精製所封鎖を破るのに、機動隊を導入し、抗議する学生を、催涙ガスと、ゴム弾で攻撃し、国中で何百人も逮捕している。

ギリシャでは、労働組合の支持で当選した社会民主党PASOK政権が、8月、トラック運転手によるストライキを破るために軍隊を展開した。先週、同じ政府が、大量解雇に反対するため、アクロポリスを占拠している文化省職員に対して、機動隊と催涙ガスを用いた。

こうした攻撃にもかかわらず、労働者階級の抵抗は高まっている。フランスにおける現在のストライキと抗議デモの波は、国際的な階級闘争における新段階の最も進化した表現だ。それは、歴史的な規模での、世界の政治的状況の変化を示しているのだ。労働者階級は、再び資本家に対する戦いに突入しつつある。

最近フランスでは、ストライキ運動が広がっており、ギリシャでのストライキ勃発は、ギリシャ鉄道網を麻痺させ、そして、ローマでは、ベルルスコーニ政府の政策に反対する何十万人もの抗議デモだ。

スペイン、ポルトガルやアイルランドで、一日ゼネストや、大規模な抗議デモがあり、ルーマニアでも、労働者によるストライキが、中国において自動車労働者による強力なストライキ、そしてインド、カンボジアや、バングラデシュの労働者によるストライキだ。

イギリスでは、保守党-自由民主党連立政権が、歴史的に前例のない総計830億ポンドもの削減を強行しており、これは公共部門で、少なくとも500,000の仕事が、更に民間部門で、500,000の仕事が失われることを意味している。

イギリス労働者は、政府-企業による猛攻撃に繰り返し抵抗しようとしてきたが、現時点に至るまで、あらゆる真面目なストライキ行動や社会的動員に反対する労働組合の裏切りによって、邪魔されてきた。ロンドン地下鉄労働者は、民営化と大量解雇に反対して、ストライキし、政府に反ストライキ法案の起草を促すこととなった。BBCとブリティッシュ・エアウエイズ労働者はストライキ行動に賛成投票したが、組合幹部はストの呼びかけを拒否した。

アメリカで、ブッシュと共和党による、企業寄りの軍国主義的政策に対する、労働者や若者達の間の強い嫌悪感に訴えて、権力の座についたオバマが、同じように、右翼的、反労働者階級政策を遂行して、彼に投票した何百万人の期待を粉砕した。大企業-金融エリートから、決して距離をおくことができないホワイト・ハウスと民主党の無能さが、過去数週間、議会選挙のわずか二週間前における政権の行動によって浮き彫りにされている。

政権は、メキシコ湾での石油掘削の一時停止を解除し、社会保障受給者の生活費は増加しないと発表し、自宅差し押さえの一時停止措置に対する要求をはねつけた。

アメリカ労働者階級の反対の高まりは、昨年、自らが練り上げた、新規に雇用された労働者の50パーセントの賃金引き下げをたくらんでいる自動車労働者組合に対する、労働者の初期反乱という形になって現れている。自動車業界のボスと、オバマ政権が設定した自動車産業の基本線。

国民の民主的な意思に対するアメリカ支配階級による軽視は、フランスの出来事に関する論説記事に要約されている。“自由”民主党支配者集団の主要機関であるニューヨーク・タイムズに火曜日に掲載された論説は、退職年齢を引き上げるサルコジの計画に反対する、ストライキや抗議デモに対するフランス国民の広範な支持があることを認めている。同紙は書いている“広範囲におよび不便さや経済的損失にもかかわらず”“世論は労働組合に同情的だ。” (フランスの世論調査では、70パーセント以上がストライキ参加者を支持している)。

そうした事実も、タイムズ紙が“今週フランス議会は退職年齢改革法案を最終的承認すべきだ”と主張し、更に“たとえ年齢が62歳に引き上げられても、この十年間の終わりまでには、更に痛みをともなう調整が必要になるだろう。”と言うのを止められはしない。

世界中の何億人もの人々が今、資本主義制度と、自分達の最も基本的ニーズとは、両立不可能だということを味わっている。ブルジョア民主主義というものが、経済的・政治的生活を巡る銀行と大企業による独裁を覆い隠すためのものに過ぎないことを、階級闘争の増大が暴露している。

政治的な結論を出さねばならない。職、適切な生活水準、住宅、教育、医療や他の全ての社会的権利を求める戦いは、資本主義国家に対する政治的な戦いだ。国家を左側に寄せたり、改革したり、あるいは、あるブルジョア政府を別のブルジョア政府で置き換えたり、という問題ではなく、労働者大衆の革命的な動員を通して、生産手段の社会的所有と労働者の民主主義に基づく労働者の国家に置き換えるということなのだ。

労働者の権力を目指す戦いは、根本的に、必然的に、ブルジョアジーによる攻撃に対する、労働者階級の闘争から現れる。労働組合、公式“左翼”政党や、フランスの反資本主義新党等のように、労働者階級を、既存政治体制に縛りつけたままにして、自立した権力闘争を開始するのを妨げることを狙う、様々な中産階級の疑似左翼組織に反対して、闘争は、意識的に行われる必要がある。

この戦いは、さよに、国際的な闘争だ。ヨーロッパ中、そして世界中の労働者が同じ攻撃に直面し、同じ敵と戦っている。様々な国家の支配層エリート同士の対立がどれほど激しいものであるにせよ、危機のあらゆるコストを、労働者階級に負わせようとして、彼等は団結している。国際金融資本は、労働者に対し、組織的攻勢を遂行している。彼等は国境を越えて、闘争に団結し、世界社会主義革命という計画を目指して戦い、反撃しなければならない。

記事原文のurl:wsws.org/articles/2010/oct2010/pers-o20.shtml

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フランスのストライキについて、もちろん日本のマスコミは素通りしている。

外国では様々な記事が書かれている。

Mike WhitneyによるThank God for France

読者投稿も多い。現時点で82。

「わずか二年の引き上げというなかれ、これを認めれば、政府は更に、二年、三年とのばすだろう。労働者から奪い、悪徳資本家に与えるたくらみだ。サルコジを断頭台に送り込め!」というような読者投稿もある。

ガーディアン紙記事

Sarkozy Should Retire, says France

これまた、大変な数の興味深い読者投稿がある。上記文章、多少もじるとこうなる。

選挙、国会の論戦は、政策に何の影響も持たない。日本政府は、宗主国の支配者や金融界特権階級の命令に従い、経済危機に対する責任がある宗主国の銀行家連中や、死の商人たちの権益のために、大衆の生活水準をボロボロにしている。

"民主主義"など無関係なのが「民主党」で、自由も民主主義もないのが「自由民主党」だと日頃思っているが、衆院北海道5区(札幌市厚別区、石狩管内)補欠選挙で、自民党が勝った。

二大政党定着めでたし、めでたしと、両二大政党、マスコミは喜んでいるだろう。

彼が自民党官房長官の時代に書かれた、興味深い記事がある。

小林多喜二ら『特高』犠牲者の血と町村信孝官房長官の父 [政治・雑感なぞ]

そして、

民主党、企業団体献金を一部再開。

議員歳費を削減するために、まもなく比例区を一気に削減するが、それよりはるかに、大きな経費である政党助成金は、決して削減しない。おまけに企業団体献金を再開。

「比例区議員削減で33億円節約するより政党助成金320億円廃止の方が効果が大きい」のだが。もちろん民主党・自民党の本当の狙い、経費節約ではなく、少数意見の圧殺。やがて必ず実現する。皆様が、そうした一番大切な問題をさておき、領土紛争デモに勢力を注いでおられる以上、当然の帰結。

しつこく書く。小選挙区制度も政党助成金も、あの豪腕政治家氏が導入した制度。

日本をひどく劣化させる制度を導入したご本人を、「救国を実現する唯一の政治家」と多数の皆様がブログで支持しておられるこの属国に、一体出口はあるのだろうか。

そうしたブログの動向で、ある本を思い出した。民主党・自民党の政治家が熟読し、身につけているであろう、ギュスターヴ・ル・ボンの名著『群衆心理』(講談社学術文庫)だ。当惑しながら、また読み返している。

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コメント

選択肢が少ないのは金権腐敗の破廉恥選挙以下ですよ。

通りすがりさんのコメントには吹き出してしまう。

>冷静に動乱の歴史から、学ぶことができない人は、

日本に民主主義を確立させる動乱など日本史上にかつて一度たりとして存在しなかった。
歴史に学んでごらん。ちょうどいま明治維新でいかに民主主義が新政府の謀略家たちに踏みにじられたかがよくわかる連載を載せているブログがあるから。
>>http://electronic-journal.seesaa.net/

自民か民主の選択肢の無い制度など、まっぴら御免。
政党助成金、300億あれば、可視化法案の財源は、即時解決。

衆参、過半数を維持しながら、財源の必要も無い、記者クラブ開放も
クロスオーナシップ規制も実行できず、あまつさえ
前総務相原口大臣は、地方議員年金存続容認とは、これ如何に。

金権選挙は、金を払って票を買う。
企業団体献金は、金を貰って、尚、票も貰う。
こちらの方が、なお悪質だ。

少数意見の圧殺には異論がある。
7割の日本国民の意見の圧殺と考える。

通りがけさんの日本の歴史の不勉強と言う意見には、呆れて
ものも言えない。

冷静に動乱の歴史から、学ぶことができない人は、
その原因を、冷静な目で見抜くこができず、群集心理の中に
埋没する。

>しつこく書く。小選挙区制度も政党助成金も、あの豪腕政治家氏が導入した制度。
>
>日本をひどく劣化させる制度を導入したご本人を、「救国を実現する唯一の政治家」と
>多数の皆様がブログで支持しておられるこの属国に、一体出口はあるのだろうか。

明治以来いや奈良時代以来いちども民主主義が存在しなかったわが国の歴史をご存じないようですな。小選挙区制度も政党助成金も、導入以前の当時の日本で連綿と横行していた金で票を買う最低最悪の破廉恥選挙を浄化する実効があったことも知らないとは、あきれるほどの無教養。歴史も環境も異なる外国の政治を言葉面だけ「しつこく」並べ立てても肝心のわが国の歴史について何も勉強していない事実は隠せませんね。劣化はそういう無知無教養を恥じないで居座るマスゴミの責任です。

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