アメリカの戦犯連中、WikiLeaksとマニング上等兵を脅迫
2010年8月5日
WikiLeaksとブラッドリー・マニング上等兵に対する弾圧と暴力の声高な呼びかけは、民主的な権利に対する重大な脅威だ。アメリカ既成政治勢力のあらゆる党派が、民主党も共和党も、リベラル派も保守派も、アフガニスタンとイラクにおけるアメリカ軍による残虐行為を暴露する人々に対して報復し、アメリカ帝国主義によるこの二つの侵略戦争を批判する人々全員を恫喝しようと狙っている。
最も大げさな言辞は極右によるものだ。ミシガン州選出の共和党下院議員マイク・ロジャーズは、下院諜報委員会の一員である元FBI職員だが、彼は、月曜日にある地方ラジオ局で もしもマニングが、軍の機密文書をWikiLeaksに漏洩した罪で有罪判決を受けるのであれば、死刑こそマニングにとってふさわしい罰だと思うと語った。
イラクの陸軍諜報部門に勤務していたマニング上等兵は、現在、バージニア州のクワンティコ海兵隊基地に監禁され、2007年にバグダッド郊外で、米軍武装ヘリコプターがイラク民間人を無差別に殺す場面の機密ビデオをWikiLeaksに提供した罪での裁判を待っている。ペンタゴン当局は、2004年から2010年の、何百人ものアフガニスタン民間人殺戮を記録している92,000件のアフガニスタンにおける作戦の機密戦闘報告漏洩の“容疑者”としてもマニングの名を挙げた。
8月2日、ラジオ局WHMIでの放送で、ロジャーズは断言した。“ここでは明白に死刑が検討されるべきだと申しあげたい。彼は明らかに敵を支援しており、アメリカ兵や、協力している人々の死を招く可能性。もしもこれが死刑に相当する罪でないのなら、一体何が死刑に相当する罪だろう。”
WikiLeaksによって公開されたファイルの中で、彼らの氏名が暴露されたなら、アメリカ軍を手助けしているアフガニスタン人密告者やスパイは、タリバンの報復対象になりかねないという、ペンタゴンのプロパガンダをオウム返ししているマスコミの主張にロジャーズは言及した。“この情報が公開されてしまったために、こうした人々が殺される可能性があるということを我々は確実に理解している”彼は更に続けた。“これは実に深刻だ。もしも政府が彼を反逆罪で告訴しないなら、彼らは彼を殺人の罪で告訴すべきだ。”
右翼の評論家連中は、アメリカ政府による、WikiLeaksに対する直接攻撃を呼びかけている。日曜日のフオックス・ニューズで、解説者で前副大統領の娘であるリズ・チェイニーは、(恐らくは)ペンタゴンのサイバー戦争能力を使って、このインターネット上の組織を閉鎖するよう、オバマ政権に要求した。
火曜日、ワシントン・ポストのコラムで、元ブッシュ・ホワイト・ハウス側近で、現在同紙に毎週寄稿している、マーク・A・ティーセンは、政府はWikiLeaksの共同創始者ジュリアン・アサンジュを拉致し、監禁すべきだと述べた。
“WikiLeaksは報道機関ではない。犯罪組織だ”とティーセンは断言している。“その存在理由は、機密の国家安全保障関連情報を入手し、それを、アメリカ合州国の敵を含む、出来るだけ広範囲に広めることにある”。“テロに対する物的支援”に関与した連中に対してCIAが行ったように“特例引き渡し”権限を活用するのに十分な先例があると、彼は主張している。
“アサンジュは、アメリカ合州国領土の外で動いているアメリカ国籍でない人物だ”彼は書いている。“これはつまり、政府には彼と対処するのに幅広い選択肢があるということだ。政府はアサンジュを処罰し、彼の犯罪的組織を廃業に追いやるためには、警察のみならず、諜報関係や軍の工作員も活用できる。”
ティーセンはこう主張する。 もしも、アイスランドや、ベルギーが彼の引き渡しを拒否したならば“アメリカ合州国は、こうした国家の承知、承認なしに、現地でアサンジュを逮捕できる。” 彼は主張している。現行のアメリカ法のもとで、“世界のどこにいようと、アサンジュや彼の共謀者を逮捕するのに許可など不要だ。”
Wikileaksを標的にした提案を携えて、リベラルな民主党議員が加わった。水曜日のニューヨーク・タイムズ記事によると、二人の民主党上院議員、ニューヨーク選出のチャールズ・シューマーと、カリフォルニア州選出のダイアン・ファインスタインは、現在、議会で審議されている記者が情報源を秘密にすることを認める法律“マスコミ・シールド”法案で、“法案による保護は、従来のニュース収集活動にのみ適用するものであり、秘密文書の大量流布用ルートとして機能するウェブ・サイトには適用しないことを明確にする”ような修正案を起草しているという。
法案は、もともとは、訴訟において、判事、検察官あるいは原告に情報源を開示することを拒否したため、記者が投獄された一連の事件を受けて起草されたものだ。WikiLeaksが、そうした記者が情報源を秘密にするのを認める法律を駆使するのを避けるため、シューマーとファインスタインは、内部告発サイトを、明確に除外したがっているのだ。
タイムズ紙は、この種の米憲法修正第1条で保障された表現の自由の権利保護を“アメリカ法に従い、編集権と、ニュースの判断という点で実績がある従来の報道機関”のために用意しておくという政策を支持する、業界団体であるアメリカ新聞協会の公益担当上級副理事長ポール・J・ボイルの言葉を引用している。言い換えれば、そのような安全装置は、アメリカ支配層エリートと資本主義国家に忠実な人々によって経営されている、大企業が支配するメディアのためだけに、とっておかれるというわけだ。
政府内部文書の漏洩が、過去そして現在のアメリカ政府幹部の戦争犯罪訴追を正当化する証拠になってしまうことが、WikiLeaksとマニング上等兵を標的にしている連中の、主な懸念なのだ。彼らは自分の保身だけをはかるため、残虐行為そのものでなしに、こうした残虐行為の暴露を、刑事罰の対象にしたいのだ。
マスコミや官界で使われている言語は、危険で恐ろしいものだ。9年間という不断の軍事侵略が、アメリカ合州国における民主的な権利に対する本格的攻撃と、一層あからさまな独裁的支配の準備の根拠となっているのは明らかだ。
9/11テロ攻撃と、“大量破壊兵器”の危険とされるものに関する計画的な嘘を基にして始められた二つの戦争は、言葉のあらゆる意味において、犯罪的だ。石油の豊富なペルシャ湾と中央アジアにおいて、アメリカ帝国主義の権益を促進させるために、数百万人が殺害され、障害者にされ、家を追われ、五千人以上のアメリカ人が亡くなった。
ニュルンベルク裁判における、ナチス告訴の核心であった、侵略戦争を始めたことから、イラクとアフガニスタン両国での、反対する人々の計画的暗殺に至るまでのあらゆる戦争犯罪のかどで、ブッシュとオバマ政権の幹部は明白に有罪だ。WikiLeaksによって立証された、アフガニスタンにおける米軍タスク・フォース373の活動という計画的暗殺行為は、ベトナム戦争でも主な戦慄的事件の一つ、ベトナム民族解放戦線支持者とされる20,000人を殺害した、CIAのフェニックス作戦の本格的再演にほかならない。
フェニックス作戦が、ペンタゴン・ペーパーの公開を含め、アメリカのメディアによって暴露されて以後、政府が主催する暗殺は、政治的に信用を失い、公的に違法とされた。“対テロ戦争”の開始までは。今やそうした手法は事実上合法化され、マスコミの擁護者連中の支援を受けて、二大政党の政治家達が、爆弾、ミサイル、あるいは直接的な至近距離での暴力を用いて、反対する人々を“抹殺する”権利を豪語するにいたっている。
卑劣で腰抜けのマスコミが実行するのを拒否していることを、つまり、アメリカ帝国主義の犯罪にまつわる真実を語ることを、彼らが行ったがゆえに、WikiLeaksとマニング上等兵が標的にされているのだ。アメリカ合州国と世界中の労働者は、WikiLeaksに対するあらゆる脅迫と告訴の撤回、内部告発者に対する政府によるいやがらせを止めさせること、ブラッドリー・マニング上等兵の即時釈放、を要求するべきだ。
Patrick Martin
記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/aug2010/pers-a05.shtml
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マスコミは、広島での平和記念式典への国連事務総長やら、宗主国大使様参加を報じる。
宗主国の帝国主義戦争のために、「あやまちをくりかえし」思いやり予算をつけて基地をお使いいただき、理不尽で残虐なアフガニスタン侵略・支配用の警察費用?を献上し、凍結したイラク資金を宗主国の「イラク開発資金」なるものに渡したら使途不明になってしまったことは、ほとんど報じない。
属国民にとって、一番大事な話題は、関取の野球賭博であり、行方不明高齢者と異常な暑さだ。
素人にはとうていまねのできない、イラク侵略戦争の暗部を探る連載が某紙に載っている。一歩すすめて、安保・米軍基地廃棄を主張してくれたなら、チラシの包装紙という失礼な表現、すぐに撤回させていただく。
2010/8/15追記:
WikiLeaksについて、根本的疑問を呈する意見があり、それを翻訳しておられるブログがある。為清勝彦氏のBeyond 5 Senses。
題して 怪しい臭いがするウィキリークスのジュリアン・アサンジ
むしろ、こちらの意見の方が納得して読める。ならずもの帝国の情報攪乱工作、実に巧妙。
英文原題は下記の通り。
Hidden Intelligence Operation Behind the Wikileaks Release of "Secret" Documents?
The real story of Wikileaks has clearly not yet been told.
by F. William Engdahl
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=20580 他に、原文あり。
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