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2010年8月 4日 (水)

ソマリアへの更なる派兵計画をアメリカが支援

Ann Talbot

2010年8月2日

カンパラでのアフリカ連合サミットにおいて、アフリカ諸国の指導者は、イスラム教徒民兵のアル・シャバブと戦う暫定連邦政府を支援するため、ソマリアに更なる兵士を派兵す ることに同意した。

アフリカ担当国務次官補のジョニー・カーソンは、この決定を歓迎している。“更に多くの兵士を現地に派兵する必要があると確信している”と彼は語った。“我々ワシントンの人間は、既存のブルンジとウガンダ軍兵士を支援したのと同じように、現地の追加兵士を支援することを確約する。”

カーソンは、ワシントンは、アフリカ連合ソマリア・ミッションに、更なる技術的、財政的支援を行うだろうと語った。彼は、更にアフリカの三カ国がミッションへの参加に同意したと主張したが、国名をあげることは差し控えた。

追加の兵士は、ギニアとジブチから派兵されると言われている。アメリカはソマリアのイスラム教徒を懐柔するのに、キリスト教徒ではない兵士を派兵したがっている。

7月11日、ウガンダ首都カンパラでの二度の自爆攻撃後、更なる兵員を派兵するという決定が行われた。キャドンド・ラグビー・クラブと、カンパラ郊外カンバランガのエチオピア・レストランでの二回の自爆攻撃は、南アフリカでのワールド・カップ決勝戦を見ていた群衆を標的としていた。この攻撃は、これまでに85人の命を奪っている。

アル・シャバブは自爆攻撃の犯行声明を行ったが、攻撃は、ウガンダ軍のソマリア駐留にたいする反撃だという。アフリカ連合ソマリア・ミッション、AMISOMは、現在、ウガンダとブルンジ6,000人の兵士で構成されている。両国は更に兵員を増派することに同意しており、総計9,500人になる予定だ。

カーソンはAMISONに対する国際的支援を呼びかけた。これは“アメリカのプロジェクト”として見なすべきではないと彼は語り、カンパラでの自爆攻撃は、アル・シャバブが、ソマリア国外でもテロ攻撃を行えることを実証したと警告した。

自爆攻撃と悲劇的な人命の損失が、AMISOMを強化し、アメリカにとって破滅的で、ソマリアの民間人にとって一層残虐であることが分かっている介入に対する、国際的支援を誇大宣伝する理由となっている。今年早々、暫定連邦政府(TFG)とAMISOMがしかけた主要な攻勢は、首都モガディシュの民間人に対する激しい砲撃をともなっている。これは武器と訓練を提供しているアメリカとヨーロッパ同盟諸国によって資金援助を受けている。

“これはアメリカの攻勢ではない”当時カーソンはこう語った。“アメリカ軍はソマリア現地にはいない。以上終わり。”彼は補足した。“外部から関与には限界があり、この事業の為に現地購入するのに、膨大な金額が必要だろう。”

ところが、全ての攻勢はアメリカの無人偵察機によって支援されていたのだ。アメリカの特殊部隊が、ソマリアにおけるアルカイダのトップだといわれている、アル・シャバブ指導者サレフ・アリ・ナブハンを殺害した初期の作戦後、この無人機偵察が行われていた。彼の自動車は、ソマリア沿岸沖のアメリカ海軍艦船から発進したヘリコプターによって、吹き飛ばされたのだ。攻撃ヘリコプターは、死体を回収するため、一時的に着陸した。この要人殺害のテクニックは、オバマ政権下での、この地域におけるアメリカ作戦の顕著な特徴となっている。

ハイテク暗殺も、地上戦も、モガディシュ国内のTFG居留地を見つけ出すという目標には成功していない。アル・シャバブ勢力は今や国の大半を支配し、大統領官邸から300メートルの範囲に迫っている。大統領護衛官メンバーを含む数百人のTFG兵士が、武器を持って、アル・シャバブに亡命したと言われている。

AMISOM部隊は、官邸と、アメリカの兵器と弾薬が入ってくる港を守る以上のことはほとんど出来ずにいる。彼らは過去9ヶ月給料を貰っておらず、栄養失調の為に死亡したものもいると言われている。

TFGの崩壊を期待して、プントランドの半自治的地域の武装反抗勢力集団を率いるシェイク・モハメド・サイド・アトムは、最近アル・シャバブと同盟した。

AUサミット後、アメリカは次の増派を準備しているように見える。アメリカが、ソマリアの傀儡政権に押しつけようとして、再三失敗していることで批判を招いており、アメリカ戦略に関する世間の議論がより盛んになっている。必然的に、アフガニスタンとの比較がされつつあり、イエメンについての疑問が提起されている。

“西欧はアフガニスタンで対テロ戦争を戦っている。しかしテロリストは、どこか他のところにいる”とギデオン・ラックマンは、最近フィナンシャル・タイムズで語っている。彼は二つの選択肢をあげた。

“第一はアフガニスタン・モデルをソマリアに適用することだ。つまり現地に大規模介入して、テロと戦い、機能する国家の建設を支援することだ”と彼は語っている。“二つ目の選択肢は、ソマリア・モデルをアフガニスタンに適用することだ。これはつまり、外国の軍事介入は往々にして逆効果であり、人的損失は余りに大きく、国家建設は、機能しそうもなく、西欧は、戦場で打倒しようとするのではなく、テロリズムを封じ込めることに集中すべきであることを受け入れることだ。”

ラックマンの記事は、フォーリン・アフェアーズ誌を発行しているアメリカのシンクタンク、外交問題評議会(CFR)の最近の報告書と、エコノミスト誌が主催した、ロンドンのチャタム・ハウスで行われた討論を反映している。CFRのソマリア特別報告書: 新たな手法の著者ブランウイン・ブルートンは、彼女がソマリアからの“建設的撤退”と呼ぶものを主張している。

“外国はソマリアに介入すべきではないのです”とチャタム・ハウスの聴衆に向かってブルートンは語った。“国際的な取り組みは、過激派を活性化させ、ソマリアの苦難を長引かせるためです。”

“アフガニスタン同様、状況を良くするための安価な方法はありません。実行可能な対反乱作戦には、何十年もの取り組み、何十億ドル、何百人、あるいは、何千人の人命が必要です。”彼女はこう付け加えた。“武器輸出と外交的な身振りでTFGを支援するという、さほど包括的でない取り組みは、測り知れない損害をもたらし、弱体な政府と、ライバルの過激派間の危険なこう着状態に油を注ぎ、何十万人もの人々を住まいから追い出し、ソマリアを紛争でひき起こされた飢餓の寸前にまで追いやりました。”

彼女は、アル・シャバブの手中に落ちる可能性があるという理由で中止されている人道的支援の出荷を、アメリカは再開すべきだと主張している。しかし彼女はオバマ政権が要人暗殺を行うことは明確に支持している。

“アルカイダ工作員サレフ・アリ・ナブハンに対する、2009年9月の攻撃は、完璧なモデルです。辺鄙な地方で、民間人死傷者なしで、実行されたので、抗議行動の気配すらもおこしませんでした。ソマリアから、国内の紛争につけこもうとする外国の寄生虫を追い出すための賢明な国際的支援に対しては、無辜の人々が面倒なことに巻き込まれない限り、現地住民は反対しないという、断固とした手がかりです。”

この“賢明な国際的支援”というのは、パキスタンの部族地域で実践され、何百人もの民間人の死をもたらしているものと同じ戦術だ。この戦術は、実際には、アメリカ軍の威力を見せつけて、一般市民をおじけづかせるよう仕組まれたテロ戦術なのだ。

CFRの新たな手法には、人道的であったり、上品であったりするものは皆無だ。ニューヨーク・タイムズ特派員のジェフリー・ゲトルマンは、ブルートンの意見が、ある派から別の派へと続く、長期化した内戦をもたらすことを明らかにしている。

“多くの専門家が、長期的には、全ての平和維持軍兵士を撤退させ、暫定政府を倒壊させ、シャバブに国を支配させ、そして部族民兵やビジネスマンが立ち上がり、シャバブを打倒するのにまかせるほうが良いだろうと主張している”と彼は書いている。“最終的な結果は、より自然発生的で、それゆえ、その存続を外部勢力に依存している政府よりも、ずっと永続的な政府ができるだろうと、専門家は主張している。”

一般市民は、結果として起きる権力闘争の影響を負担させられることとなる。アメリカのマスコミが、ほぼ9,890,000人もの人々の未来を、こうした酷薄な言葉で論じることができるという事実が、マスコミの完璧な道徳の破綻を示している。議論は、第二次世界大戦以来、比類のないグローバル侵略戦争を受けた後、アメリカの支配層エリートの間に広がった態度を反映している。

“これより被害の少ない戦略は考えられない”とブルートンはタイムズに語っている。

ソマリアにおける状況が悪化するにつれ、政界エリート内部では、最善の方法に関し意見の相違がおきている。アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンは、ソマリアから発するアメリカに対するテロの危険を警告する13人の民主党下院議員の書状を最近受け取った。

文書は述べている。“ソマリアで、アル・シャバブが支配する領土は世界中のテロリストにとっての安全な隠れ場となりつつある。アメリカ合州国は座視していてはならない....ソマリアにいる過激派は、既に我々に危害を加える意図を明らかにしており、もしも彼らが既に危害を加えていないのであれば、彼らは間もなく、アメリカ合州国で攻撃を実行する能力を得ようと努めるだろう。”

文書は、アル・シャバブを鎮圧するため、アフリカ軍に対する“大規模な財政、物資および兵站支援”を要求している。

一層感情的なのが、アメリカン・エンタープライズ研究所客員研究員のマーク・A・テイッセンだ。ワシントン・ポストに書いた論説記事で、“国境を越えた新たなテロリスト・ネットワークが、東アフリカで姿を現わしはじめている。この組織は、アメリカ合州国をもその視野に入れている可能性がある。”と彼は警告している。

アル・シャバブの為に戦おうとソマリア旅行を試みたノース・バージニアの男、ザカリー・アダム・Chesser起訴を指摘して、テイッセンは、約20人の若いソマリア系アメリカ人が、アル・シャバブに加わるべく、ミネソタを立ったと主張している。

“アルカイダの新たな東アフリカ支部が、アメリカ人を採用しようとしているという事実は、不吉な徴候だ。要するに、アフリカの中でだけ作戦を遂行するつもりであれば、アメリカ・パスポートを持った戦士など必要ないのだ。”

サレフ・アリ・ナブハンを、捕獲し、尋問するのではなく、殺害してしまった際、将来起きかねないアメリカ本土攻撃に関する機密情報を収集する機会を逸したとして、彼はオバマ政権を非難している。テイッセンによると、軍幹部はナブハンを生きたまま捕獲したいと考えていたが、オバマが暗殺を選んだのだ。

ブルートンにとって、対テロ作戦として、完璧なモデルは、テイッセンにとっては、責められるべき失敗なのだ。不一致の口調には激しいものがある。だが、アメリカ支配層エリート内部にある二派の本質的な差異は、即座に敵対者を処刑するのが好ましいのか、それとも彼らを秘密監獄に移し、長期間にわたって拷問するのかということなのだ。いずれの手法も、国際法の規定など抜きして、進んで違法な方法を用いようという意欲に関する、アメリカ社会上層部の意見の一致を表している。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/aug2010/soma-a02.shtml

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ソマリアではないが、最近、ホルムズ海峡を航行中の商船三井のタンカーに、好都合な?事件がおきた。普天間基地移転・撤去問題の期限近くにおきた、韓国哨戒艇の沈没も、実に好都合なタイミングだった。

商船三井タンカー爆発、米第5艦隊が周辺警戒

カイロ=田尾茂樹】ホルムズ海峡を航行中の商船三井のタンカーで起きた爆発を受け、中東一帯の海域を管轄する米海軍第5艦隊司令部(バーレーン)は28日、周辺海域の警戒を強化、アラブ首長国連邦のフジャイラ港に向かったタンカーが安全に航行できるよう監視を続けるという。

と、報じられたが

商船三井タンカーにへこみ、米「攻撃情報ない」

【ワシントン=本間圭一】クローリー米国務次官補(広報担当)は28日の記者会見で、原油タンカー「M・STAR」の右舷後部がホルムズ海峡を航行中に爆発したとされることについて、「現時点でタンカーが攻撃されたことを示す情報はない」と語った。次官補は、「事故以外(の要因)を示す情報はない」とも述べた。

日本海軍が建設中の、ジブチ基地も、明らかにこうした大戦略の一環だろう。

GNP規模だけは突出していても、所詮、属国。外交・軍事・財政、アフリカ小国と大差ないことしか実行できないのだろう。

大澤真幸 THINKING 4号特集 対談ゲストが辻井喬氏というので読んでみた。もちろん、テーマである1Q84を全く読んでいないので、断定はできないが、お二人の御意見、しごくもっともに思える。

104ページの辻井喬氏発言、小生に都合の良いところだけ、転記させていただこう

 いま日本が本当に独立国家であるのか、ぼくはしばしば疑問を感じます。日本が独立国家であるということ自体虚構ではないのか。たとえば徳之島のことを考えでも、基地が来ることには反対するのは当然だと思います。

繰り返しておこう。

行方不明高齢者の年金を話題にする暇があるなら、イラク開発基金の行方不明をこそ追求したらどうだろう。行方不明高齢者という話題も実に好都合な話題。宗主国による膨大な猫ばばという極めて不都合な話題のほうが問題だろう。電気、紙、人的資源の無駄。

アフガニスタン復興支援という名目でむしられる献上金、やがて同じ目にあうのだから。

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