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2010年7月22日 (木)

ブルガリア: ヨーロッパ実業界、より過酷な施策を要求

Markus Salzmann

2010年7月20日

ボイコ・ボリソフ首相の政党“ヨーロッパ発展のためのブルガリア市民”(GERB)が率いる、ブルガリアの右派政権は、政権獲得以来、一年になる。ボリソフ当選後、ヨーロッパの実業界から支持が表明されたが、政権に対する批判は増大しており、ずっと厳しい緊縮政策の実施要求に集中している。

GERBは、2009年の議会選挙で楽勝した。ブルガリア首都ソフィアの元知事だったボリソフは、長年の間に、全く信頼を失ってしまった、いわゆるブルガリアの社会主義者や保守派の政党への支持が下降した恩恵を享受したのだ。1990年代初め、スターリン主義政権が崩壊した後、こうした諸政党は過激な自由市場改革を導入し、壊滅的な経済的、社会的結果をもたらした。

2009年選挙キャンペーンで ボリソフは、広範な腐敗や貧困の惨禍と戦う覚悟のある大衆の味方を装った。同時に、2008-2009金融危機の後、ヨーロッパのエリートに対し、前政権の新自由主義経済政策を強化することを目指した、過激な緊縮策を実施すると彼は請け合った。

ボリソフはその約束を守った。10パーセントという均一税率を導入して以来、ブルガリアは、全欧州連合加盟諸国の中で、最も税率が低い。危機のコストは、もっぱら労働者階級が支払うべきなのだ。

昨年、平均収入は、月に約300ユーロに落ち込んだ。この数値は極めて信頼できず、本当の失業は遥かに高いのだが、失業は公式で既に10パーセントもある。昨年エネルギー価格が20パーセント上昇して以来、国民の生活条件も悪化した。6月、政府は、更なる施策を採用し、特に公務員の環境は、大幅に悪化している。

GERB政府の政策で恩恵を受けた階層が、最近ブルガリア中央銀行が刊行した研究で明らかになった。

過去三ヶ月だけで ブルガリアでは、新たに35人のユーロ百万長者が生み出されたが、百万長者の人数は、前年比で、三倍増えている。裕福なブルガリア人が、高金利を保障する銀行に、彼らの資金を大量に投資したことが統計にもあらわれている。今年の第一四半期、個人投資総額は、5億ユーロ、つまり12パーセント増加した。

ヨーロッパのエリートは今や、この裕福なエリートの利益と特権を増大することを目指す更なる施策を要求し、ボリソフが、ルーマニア、ハンガリー、ラトビアや他の東欧諸国には既に導入された過酷な削減を実施するよう主張している。

有名なブルガリア日刊紙SEGAで、最近、リューベン・オブレテノフが、政府は積極的に国民の間にある親“共産党”感情に反対し、あらゆる種類の社会的責任から国家を解放するよう要求した。国家の任務というのは、“社会秩序と治安”を保障するだけに過ぎないと書き、更に“現時点で、北東部地方の人々は、洪水の結果、苦しんでいる…テレビで彼らが国家の支援不足に苦情を言っているのが映されている。しかし、彼らは何故、財産に保険をかけておかなかったのだろう?”

最近の洪水災害以前から、既に生存のために苦闘している広範な一般国民に対する、これ以上あからさまな、ブルガリアのエリート層からの蔑視表現はあるまい。

政権初年度のバランス・シートとして、経済誌カピタルは、経済危機に対する“優柔不断な”対応を批判した。多くの局面で、政府は、第一歩の対策すらとりそこねたと、同誌は書いている。一方、BusinessNewEuropeは、ボリソフに、最終的に“不人気な施策”を、特に既にギリシャで実行されたのと同様の公共部門の“改革”を実施するよう要求している。

ドイツの国際放送事業体ドイッチェ・ヴェレのブルガリア版編成局長アレクサンドル・アンドレーエフは、もっと無遠慮だ。アンドレーエフは“延び延びになっている医療、年金改革の局面では、ごく僅か、あるいは、全く何もなされてこなかった”事実を批判している。

これはボリソフ自身“穏やかなポピュリスト”で“読唇術ができる人”になろうとして、国民との対決から後ずさりしている為なのだというのが、彼の意見だ。“ポピュリズムと、本格的な改革抜きの一年間は、従って、マイナスと採点されるべきだ”とアンドレーエフは結論付けている。

今月始め欧州委員会は、ブルガリアに、財政赤字を約3パーセントにとどめるよう、あからさまに要求した。政府は間もなく、大幅な削減を含む、3.8パーセントの赤字を基にした予算を承認した。

世界銀行と国際通貨基金も、財政強化に向けた更なる“困難な措置”をとることを条件に、政府が合意した当初の施策を評価した。

一方、ブリュッセルのEU官僚機構は、ソフィアが提示した経済数値は信頼できないと懸念しており、EU統計局に、ブルガリア債務の本当のレベルを確認するよう命じた。

ボリソフが、大企業や金融界が提示した要求に従うだろうことは確実だ。GERBは、国会での絶対多数を持っていないが、より小さな、いわゆる“青い連立”という超保守派政党の支援を得て、あらゆる施策を実施することができている。

しかし今や、ブリュッセルと、一部マスコミからの批判後、保守派諸党は、ボリソフとは距離をおいており、彼の辞任と新たな選挙を求める声さえ上がっている。

ボリソフは、今ネオ-ファシスト政党アタカと一層緊密な協力に向かっている。アタカは既に国会におけるいくつかの政府施策を支持し、最近ではこの極右組織のトップ、ヴォレン・シデロフは、ボリソフをお世辞たらたらで称賛している。

“ボリソフは良い仕事をしている。彼は学びつつあり、彼は権力の地位にとどまることができる”とシデロフは、ノヴァTVインタビューで断言した。シデロフは経済危機に対処するため削減の必要性に賛同した。

アタカは、ユダヤ人や同性愛者のような少数派に対する一連の攻撃に関与している、ブルガリアのファシスト集団と強いつながりをもっている。シデロフは、ユダヤ人と“ジプシー”に反対する公的演説で有名だ。

これは深刻な警告だ。ハンガリーのオルバン政権は、緊縮政策を実施するための最高の条件を作り出すべく、ファシスト政党ヨッビクといちゃついている。今、ボリソフは、ブルガリアで、同じ道を辿りつつあるのだ。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/jul2010/bulg-j20.shtml

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今日は豊真将に勝った琴欧州、ブルガリア・ヨーグルトの化粧回しをつけ、取り組みには通常ブルガリア・ヨーグルトの懸賞がかけられる。世界中の香水で、ブルガリアの薔薇が使われている。そちら全く無縁だが。その御国も大変なようだ。あちらは元ロシアの属国、現在は、ヨーロッパの属国、こちらはアメリカ属国という違いはあれど、属国は大変だ。ブルガリア政権は、ヨーロッパ実業界には逆らえず、属国日本政権はアメリカ政権には逆らえない。

拉致をした北朝鮮、ひどい国だが、65年間、占領を続けている宗主国のひどさ、北朝鮮との比ではあるまい。テレビ報道は元死刑囚の話題ばかり(らしい)。

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