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2010年6月 4日 (金)

パレスチナ支援船団殺戮事件:皆が海に

Yvonne Ridley

2010年6月1日

 

"Information Clearing House"

 

(原題の"All at sea"、「皆途方に暮れて」の掛詞だろうと想像している。)

 

一体どれだけの方が、はるか昔1985年10月のイタリア・クルーズ船アキレ・ラウロ号ハイジャックを覚えておられるだろう?

パレスチナ解放戦線のメンバー4人が、エジプト沖で、アレクサンドリアからポート・サイドに向け航行していた客船を乗っ取った事件だ。

 

身体障害者のユダヤ系アメリカ人乗客レオン・クリングホーファーをハイジャッカーが殺害し、遺体を海に投げ込んだが、不首尾に終わった作戦だ。

 

この事件は世界中で大きく報道され、パレスチナの大義を巡り、人々は二極化した。

 

それが立法者たちに、力ずくで船を乗っ取る行為を国際犯罪にする新たな法律を制定するよう促したのだ。

 

これこそが簡潔な歴史の教訓の根拠だ。1988年制定の海上航行の安全に対する不法な行為の防止に関するローマ条約の第3条によれば、いかなる人物でも、力ずくで船をだ捕、あるいは支配しようとするのは国際的犯罪であり、その過程で、いかなる人を負傷あるいは殺害することも犯罪だ。

 

条約は必然的に厳格な手法を採用している。船を攻撃した側は、違法な暴力の行使に対して、もしも船に乗っていた人々が抵抗したとしても、自衛だなどと主張できないのだ。

 

言い換えれば、国際法によれば、イスラエル軍の行為は法律の枠を超えており、関与した連中は、やはり、力ずくで乗船する習性をもったソマリア海賊と全く同様に取り扱われるべきなのだ。

 

こうした劇的な状況における自己防衛のあらゆる権利は、あくまでも乗客と乗組員の側にある。国際海事法の下、人は違法な、だ捕、拉致、拘留に抵抗する権利を有している。

 

フリーダム船団の船上にいた人々がしたことは全く合法的なものだった。重装備をしたイスラエル国防軍突撃隊員をものともせず、彼らは大いなる勇気をもって行動したのだと私は思うが、彼らの行動は無鉄砲だと考える方々もおられよう。

 

読者のお考えがどうであれ、死者・負傷者は国際的抵抗権のために究極的な代償を支払ったのだ。

 

いまやイスラエルは事実上孤立し、自ら世界の、のけ者国家であることをさらけ出した。

 

昨年、連中が他の支援船に違法にも乗り込み、乗組員や乗客を拉致した後、彼らを地中海の海賊と呼ぶ記事を私は書いた。

 

ここで、読者の皆様には以下を自問していただきたいと思う。もしも、あるソマリア海賊集団が西欧からの6隻の人道的支援船に無理やり乱入し、9人なり10人の人々を虐殺し、更に数十人を負傷させたら、一体どのような国際的な反応をひき起こしたとお考えだろう?

 

私から申しあげよう。数機の無人飛行機や、出来事を記録するための様々な報道陣をともない、NATO機動部隊がアフリカの角に向かって急行していただろう。(肝心のアキレ・ラウロ号は、1994年、インド洋ソマリア沖で火災を発生し、放棄され、沈没した。)

 

そこで何故イスラエルは何をしても許されるのだろう? この計画的行動によって、シオニスト国家は、またもや人命や国際法に対する無関心を明らかにした。

 

ガザの人々のために、セメント袋や、電動車椅子、おもちゃ、医薬品や浄水器を運搬していたこれらの船には、年金生活者や、女性や子供たちが乗船していた。

 

イスラエルが、自ら災いを招いたことをさとるや否や、下劣な国家指導者ベンヤミン・ネタニヤフは、言葉による攻撃を開始した。

 

彼は、我々にイスラエル兵士たちが自衛のため行動していたと信じるよう要求した。そして、24時間後、世界に更なる嘘を思いつく時間を得て言った。兵士たちは塗料入り弾丸で武装しており、武器を使用することは予期していなかった。我々の知性を侮辱するだけではあきたらず、素晴らしく、可愛いイスラエル国防軍連中が検査と積み荷調査を行うだけの目的で船に乗船したと語った。

 

そこで彼の支持を買って出たのが、シオニスト国家の政治的ピノキオ、マーク・レゲヴだ。船上にいた悪事を働く連中が、イスラエル国防軍の銃を強奪し、兵士たちを射撃するのにそれを利用した、と彼は考えているのだ。

 

彼らは、エリートの、高度な訓練を受けている、突撃部隊の兵士だ … レゲヴ氏よ、それが本当なら、積み荷調査をするだけのために、イスラエルはわざわざ特殊部隊を送り込んだのだろう?

 

また、もしも彼らがそれほど素晴らしい分隊なのであれば、一体なぜ民間人集団が、分隊を圧倒することができ、分隊をこらしめることができたのだろう?

 

あるいは、ヒズボラはそうだと言うのだが、イスラエル人兵士は、老婆集団のような戦い方をして、他の平和活動家が決してガザのパレスチナ人を救おうという企みに参加しないよう、船上にいた人々を虐殺するつもりだったのだろうか。

 

もしも、それが狙いだったのであれば、それは失敗だった。私がこの記事を書いている今も、フリー・ガザ運動をしている何人かの大胆な友人たちが、いかにもふさわしく名づけられたレイチェル・コリー号に乗船して、ガザに向かっている。

 

何千人も、何百万人も … いまや私たちは皆パレスチナ人だ。

 

ジャーナリストのイヴォンヌ・リドリーは、国際イスラム女性連合のヨーロッパ代表で、2008年にガザ包囲攻撃を破った最初の船に乗船していた熱心な平和活動家。

 

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article25592.htm

----------

 

さすがに、この事件、イスラエルやアメリカ国内でさえ、反対デモが行われている。

 

1979年生まれのアメリカ人反戦活動家レイチェル・コリーは、2003年3月16日、ラファで、イスラエル国防軍武装ブルドーザーを止めようと立ちはだかり、イスラエル武装ブルドーザーDR9によりひき殺された。

 

彼女の最期については、レイチェル・フォー・エバーという日本語webページがある。衝撃的な写真があるので、ご注意を。

「アンネの日記」、今後「レイチェルの手記」※にその席を譲るかも知れない。

 

※「レイチェルの手記」は存在しないが、彼女が書いたものをまとめた本"Let me stand alone"と、書いたものをもとに作られた芝居"My Name is Rachel Corrie"がある。

 

小鳩退陣。「天に向かって唾する」都知事や小泉元首相発言、読むだけで悪寒を催す。

 

マスコミによる宗主国・属国政府プロパガンダ、例によって全開。

 

A. 911小泉郵政破壊選挙で、マスコミは小泉一派をもてはやした。

   小泉首相、自民党のみならず、アメリカの指示通り日本をしっかり破壊した。

B. 2009年、衆議院選挙で、マスコミは民主党をもてはやした。

 

   民主党、自民党別派閥でしかないこと、普天間基地問題以外でも明白になった。(と個人的には思うが、いまだに民主党・大幹事長ファンは多い。いつ葵の紋の印籠を取り出すか、わくわくして待っておられるのだろうか?)

 

C. 2010年参院選挙、マスコミ、今度は、第三の極だといって、やつらの党、こけろ日本等、新自由主義分派をもてはやしている。毎回、ほとんど詐欺行為と思うのだが、メーカーと違い、欠陥記事は責任をとらなくても済むようだ。

 

   民主、公明、やつらの党や、はたまた自民、さらには家電メーカーが製造した、環境にも庶民にも優しくない欠陥政治家たちによる大連立政権で日本崩壊は一層進むだろう。

 

小泉元首相お得意のセリフ、全て有権者の皆様の「自己責任」。

 

ところで哨戒艦「天安」沈没、韓国与党に有利な風でなく、逆風になったようだ。

 

韓国でもマスコミの宗主・属国政府公報プロパガンダは全開だったろうに。韓国の方々の民度、日本人の民度と、比べたくもなるというもの。

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過去のイヴォンヌ・リドリー(Yvonne Ridley)記事の翻訳には下記がある。

 

アメリカの司法に関する真実

ごう慢と無知

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コメント

日本人がイスラエルの言動に驚愕してそれを非難するとき、イスラエルが鏡に映った自国の姿なのかもしれないと考える人はどれくらいいるのでしょうか。

「国家安全保障」の名の下に、パレスチナ人に対する長きに渡る弾圧を正当化するイスラエル国民と、何十年も沖縄県民に米軍基地の苦痛を負わせ続けることを正当化し、そこから出撃する米兵が無辜のアフガン人を虐殺することを黙認する日本国民の違いは何でしょうか。両国民は、他国が犯す人権侵害や戦争犯罪(実際は、"沈黙"という形の共犯者である場合が多い)の被害者に対して深い同情を示しますが、自国が犯すそれには見ざる聞かざる言わざるに徹します。

偏狭的プロパガンダ満載のイスラエルメディアを真に受けるイスラエル国民と、沖縄県民・アフガン人の苦闘や日本国民の自由が圧死されつつあることを自主検閲で報道せず、代わりに世界のエリート層の言い分を垂れ流す日本メディアを真に受ける日本国民の違いは何でしょうか。両国民は、同じくらいの歳月をプロパガンダの洪水に身を任せており、メディアリテラシーは非常に未熟です。

蛇足ですが、第二陣のレイチェル・コリー号も拿捕されちゃって、アジアじゃインドネシアのユドヨノ大統領も「頼む!入れてくれ」みたいな事を言ってたんだけど。
今は怒ったトルコ大統領が「次は俺が行く!」と言い出しちゃって、流石にトルコ軍が蒼くなってる所です。

そう言えばガザ沖強襲テロで、いきなり唐突に頭撃ち抜かれたカメラマンとか、殴る蹴るの暴行を受けた突入特殊隊員を介抱したら射殺とか、9人に30発の弾痕は一斉射撃処刑モデルとか、遺体を一旦海に遺棄しちゃったりとか、アカラ様に軍隊教育がレイシズムに彩られたナチス・レベルっぽい事を露呈しました。
憎しみの余り過去の敵に似るのは恐ろしい…。
もしや日本共産党の自民寄り言動も…?
兎に角、陸山疑獄は農地を宅地転用前提で購入する際の標準的手続きを違法と言い張る非常識で、韓国天安沈没は演習中な所為で熱線画像がバッチリ映り海軍から流出し捲った不自然な経緯を韓国人は周知徹底済み、今慌てて綱紀粛正中です。

小沢一郎陸山疑獄について、何か勘違いされてる様ですが、小沢一郎が神の如き完全な人格者として崇拝されてるのは、寧ろ敵対者からでしょう。
神格化大好きの新興宗教が、靖国原理主義派の本質なので。
ソレより、本気で「既得権益を冒しそうになれば、一国の与党幹事長が冤罪を被ればヨい」と信じてられるなら、ソノ方が法治国家ならぬ痴呆国家容認姿勢であって拙いでしょう。
婉曲に自民党や経団連、天下り官僚の援護射撃になって仕舞って居ます。
折角、世界的に注目を集めた政権交代でしたのに。
狂信的な祈りに答えて、いきなり唐突に、理想的な神の国が地上出現したりはしませんよ?
段階を追って、僅かづつでも良くしようと努力するのが人間でしょう。
因みに、韓国天安沈没は余りに稚拙な謀略で、昔の米国J.F.K.暗殺に例えれば、サプルーダーフィルムが1ヶ月全家庭にABCから放送され続け、その後にオズワルドが登場した様なモノ。
しかも、うちの息子に限って~!と泣く母親もなければ、本人も口を開かない金属の固まり(魚雷)。
騙される方が不思議君・不思議ちゃんです。
逆に若くして亡くなった天安乗員は親御さんがどんなに泣いた事か。
そう言えばガザ沖強襲テロで

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昨日、京都市内で行なわれたガザ支援船へのイスラエルの武力行使に対する抗議行動に参加してきました。三条大橋という人通りの多い橋の上で、通りかかる人たちにビラを配ったのですが、受け取り率がとても高かったのに驚きました。こんなに受け取ってくれたのは、イラク開戦のころ以来じゃないかなあ。 多くの人が関心を示してくれるのはうれしいのですが、よく考えると、みんながショックを受けるようなひどいことが起こったからビラが受け取られるわけで、道行く人の反応がいいのは、実は悲しむべきことなのかもしれません。 昨日はい... [続きを読む]

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