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2010年6月

2010年6月29日 (火)

ホンジュラス・クーデター一周年

2010年6月28日

民主的選挙で選ばれたホンジュラス大統領マヌエル・セラヤを追放した軍事クーデターで、今日まで続く同国労働者階級に対する弾圧的暴力の時期が始まって以来、今日で一周年だ。

ポルフィリオ・ロボ・ソサ大統領政権と、同政権による、半球と世界との関係正常化キャンペーンを、オバマ政権が擁護していることが、ワシントンによる暗黙のクーデター支援の頂点を象徴している。

2009年6月28日、重武装した兵員がテグシガルパの大統領官邸に突入し、セラヤに銃をつきつけて、追い立て、縛りつけて飛行機に載せて、国外追放した。この作戦は、二十世紀大半の期間にわたって、アメリカが支援する軍事独裁政権が国々を支配してきた地域、中南米における、21世紀初めての成功したクーデターだ。

クーデターの表面上の目的は、1982年に、退陣する軍事独裁政権と、アメリカ大使館によって決定された退行的憲章であるホンジュラス憲法を、書き改めるための憲法制定会議を招集することに対する国民の支持を判断すべく、セラヤが計画した諮問的な国民投票を中止させることだった。

クーデターを正当化するにあたり、ホンジュラス寡頭支配層内部の支持者達は、セラヤが、三期目の任期という超憲法的権力掌握をしかけたと非難していた。セラヤの後継者を選ぶ投票前に、憲法制定会議を招集する投票など仕組まれようがなかったのだから、アメリカのマスコミによって律儀に繰り返されたこの非難は、そもそも馬鹿げている。

ホンジュラスを支配している“10家族”も、ワシントンのオバマ政権にも、セラヤ打倒を狙う別の理由があったのだ。

ホンジュラスの低賃金労働の超搾取に対する多国籍企業への協力を通して築き上げた財産を、多少侵害しかねない、最低賃金引き上げの類の改革をしたがゆえに、裕福な地主で材木王であるセラヤを、現地の寡頭支配層は裏切り者と見なしはじめていた。

ワシントンにとって、安価な石油と債権の見返りに、セラヤが、ベネズエラ大統領ウゴ・チャベスと親密なつながりを築き上げることが、アメリカ帝国主義が長らく自分の“裏庭”と見なしていた地域の支配に対する潜在的脅威に見えていた。中南米におけるあらゆる米軍基地で最大のものが、ホンジュラスに存在していることを考えれば、これは特に警戒心をもってみられていた。昨年エクアドルのマンタ空軍基地を追い出されて以来、ホンジュラスのパルメロラ基地の利用が拒否されるであろうという見込みは、ペンタゴンにとって、戦略的に受け入れられないものだった。

オバマは、セラヤの現職復帰を公式的には支持しながらも、政権そのものは、クーデター指導者に対するいかなる行為をすることも、クーデターに反対する人々への弾圧を非難することも拒否していた。真実は、ホンジュラスへの投資と貿易の圧倒的な部分を占めるアメリカに、経済的に依存しているホンジュラスの支配階級が、ワシントンからの許可なしに、そのような手段をとったはずが無かろう。基本的にアメリカによって訓練され、助言を得、武器を得ている軍が、ペンタゴンの承認なしで実行したはずもありえない。

一年後、バルメロラの基地は、クーデターの日以降、そうであったように、通常に機能している。先月、アメリカ南方軍司令官ダグラス・フレーサー大将が、クーデター以来初めてホンジュラスを訪問し、ホンジュラス軍と“協力する機会は多数ある”と宣言した。ワシントンからの軍事援助も再開された。

軍部による打倒を仕組んだ金融寡頭勢力は、ロボ大統領政府を依然しっかりと掌握している。昨年11月に行われた、事実上の戒厳令という条件下での、半数以上の有権者が投票を棄権した茶番選挙で、彼は勝利者とされた。

クーデターと、それに続く残酷な弾圧をたくらんだ連中は、絶対的な刑事免責を享受している。クーデター政権の政治指導者、ロベルト・ミチェレッティば、彼が議員不逮捕特権を決して失わぬよう、終生議員資格を与えられた。クーデターの軍指導者、ロメオ・ヴァスケス将軍は、ホンジュラスの電話会社ホンジュテル総裁の地位に据えられた。

弾圧は、ホンジュラスで、長く暗い歴史を持つ、特に残虐な方法で続いている。暗殺部隊による虐殺だ。ロボが大統領に就任して以来、9人のジャーナリストが殺害されており、この職業にとって、ホンジュラスは世界で最も危険な国となっている。

労働組合指導者や、2009年6月クーデターの反対派と目された人々も、政治暗殺の対象となっている。人権団体は、ロボが大統領に就任して以来、14件のそうした殺人を確認している。

こうした殺人、そしてクーデターの後におかされたあらゆる犯罪のいずれも、それを理由に逮捕された人間は皆無だ。恣意的拘留、打擲、拷問、反対派マスコミの閉鎖を含む、他の手段による弾圧が、衰えることなく続いている。

ロボ政府は、2月に破産を宣言し、逆累進税の引き上げと、政府支出の20パーセント一括引き下げを含む、一連の過酷な緊縮政策に取りかかった。まったくこうした削減に会わないのが、ホンジュラス軍で、予算は増加した。こうした政策は、グローバル資本主義が生み出した危機と、昨年のクーデターに対する反対を弾圧する経費を、ホンジュラスの貧しい大衆に支払わせることを狙っている。

既に西半球でも最も貧しかった、ホンジュラス労働者の生活条件は、悪化するばかりだ。ホンジュラスの統計局によると、労働年齢人口の51パーセントが失業しており、若手労働者の大半が労働市場から締め出されている。

国民のほぼ60パーセントが貧困の中に生きており、36パーセント以上が、極端な貧困ライン以下で生活している。失業は、雇用主と政府が賃金引き下げを迫り、労働法の大規模な廃止を促進するための、労働者階級に対する破壊用の槌として利用されている。

一年をへて、ホンジュラス・クーデターの主要な政治的教訓が明らかとなった。

第一の点は、バラク・オバマ選出は、アメリカの外交政策が“相互尊重”と、特に中南米における平和的な国際協力へと移行することの前兆だという主張が誤っていることが証明されたことだ。ホンジュラスの出来事には、コロンビアへの基地確保、ハイチへの軍事介入、メキシコにおける麻薬戦争に対するアメリカの支援強化が続き、西半球のワシントンによる支配を回復するためには、オバマ政権は反革命的な暴力と軍事力の使用も辞さないことを、はっきりと示している。

アメリカ資本主義は、長引く経済的衰退に直面して、中南米の労働者階級による抵抗や、ヨーロッパや中国を含む、有力なライバルたちの、この地域への食い込みの増大によってもたらされる難題を受けて立つため、こうした手法に走りつつある。

二つ目の教訓は、権力の座をおわれた元ホンジュラス大統領の行動によって実証されたように、ブルジョア国粋主義の破産だ。ワシントンの顔色を窺い、自分を打倒した連中との、アメリカが仲介した和解によって大統領復帰を実現しようという無駄な企みよりも、クーデターへの抵抗を、セラヤは終始下におき続けていた。

ホンジュラスの出来事は、労働者階級の独立した政治動員以外に、帝国主義者の介入、クーデターや独裁に、有効に対抗することが、不可能であることを再度確認するものだ。ホンジュラスの労働者は、ことの始まり以来、昨年据えられたクーデター政権に対して英雄的に抵抗しているが、彼等の戦いは、セラヤとミチェレッティ双方が所属する党である、ブルジョアの自由党とつながった指導部によって、消散され、かわされてしまった。

ホンジュラスと全ての中米諸国を支配している現在の危機を前にして、火急に必要なものは、アメリカ社会主義共和国連邦を目指す戦いの一部として、すべてのブルジョア政党から独立し、ホンジュラスのみならず、地域全体の社会主義的変革という計画を持った、労働者階級の新たな革命的政治運動の構築だ。

Bill Van Auken

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/jun2010/pers-j28.shtml

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当然、本日のマスコミ、この件に全くふれない。属国の不都合な真実。見なおすべきは、消費税ではない。憲法ではない。見なおすべきは、安保、基地。普天間基地のつながりで、本来、解説すべきだろう。戦時報道管制。エクアドル・マンタ基地についても報道は全くないも同然。

日米ならずもの同盟強化でトップ合意の茶番や野球賭博、道路無料化試験は報じる。

天木直人氏の新刊『さらば日米同盟』には、2007年9月の日本でのセミナーにおける、アーミテージによる身も蓋もない発言が引用されている。同書202ページ。

セミナーの基調講演で彼はこう話した。

「米国にとって日本との関係が世界でもっとも重要なのは、日本が世界第二の経済大国であるためなどではない。日本の人々が政府を通じて米軍基地の使用を認め、安全保障上の(米国の)守備範囲を広げてくれるからだ」

 これほど明確に米国の本音を日本人の前で認めた米国政府関係者がいただろうか。

 在日米軍は米国のために日本に駐留していると言っているのだ。日本人もなめられたものだ。

1Q84の100分の一でも良いから、『さらば日米同盟』売れて欲しいものだ。天木直人氏ブログには「相撲賭博・過剰報道があぶりだす権力者の巨悪」という記事もある。

ロメオ・ヴァスケス将軍、西半球安全保障協力研究所と改名された、中南米の軍人に対し、拷問・殺害技術を訓練する有名な施設、スクール・オブ・アメリカ卒業生であることは周知の事実。

沖縄のみならず、軍隊が一般国民に何をしてくださるかは明白。韓国哨戒艇事件を報じる熱意で、ホンジュラス・クーデターを、マスコミが報じることはありえない。政府広報プロパガンダにならないためだろう。

日本では、さすがにパジャマ姿で拉致されることはなく、首相は自ら辞任したが、結果の類似は、驚くばかり。

安保・地位協定は見なおさず、日米軍事同盟を強化、基地も軍事予算も、思いやりみかじめ予算も、事業仕分けなどせず、消費税増税、企業税減税に取りかかろうとしている。

ホンジュラスでは押さえ込まれたとはいえ広範な反クーデター国民運動が存在した。

一方こちら、それにもめげず、民主党、自民党、公明党、彼らの党他竹の子を支持し、自らの首を絞め続ける世にも珍しい「美しい国」。

6/28のホンジュラス・クーデター一周年に一切ふれないマスコミの中にも、7/5のウイグル暴動一周年については、ふれるものがある。アメリカ属国には、同じ海外問題でも、実は一番身近なはずの問題を報じる「自由」はないが、中国の圧政を浮かび上がらせるウイグル暴動ならふれる「自由」なら捨てるほどあるのだ。

相撲界に未来はあるのか?、あるいは、サッカーはどうなるのか?などという目くらまし、テレビ番組も新聞記事も、極力読まないことにしている。

属国日本に未来はあるのか、あるいは、属国日本はどうなるのか?という真面目な記事があれば、もちろん読みたいと思っているが、あるはずはないだろう。

追記:2010/17/16

「野中広務が再び爆弾宣言」で、鳩山退陣は、アメリカに命じられたことだという。やはり、属国の首相の就任も、退任も、宗主国が決めている。原理的には、ホンジュラス・クーデターと同じことだ。道理で、大手マスコミ、ホンジュラス・クーデターのことを全く報じないわけだ。

米国が内政干渉で鳩山道連れ辞任を命令!!!?~日米首脳会談を拒否して、普天間の問題は辺野古と決めろと米国がニホンの首相に命令!!!?~

2010年6月27日 (日)

ワールド・カップと南アフリカ

2010年6月26日

サッカーと、ごみごみしたスラム街、決して互いになじまないものとは言えない。ほこりの中でゲームをしている多数の裸足の子供たちにとって、ボールを扱う技能は、貧困から脱出する方法の一つと考えられている。ゲームを見ている多数の人々にとって、ゲームは、日々の困難や、生活上の欲求不満に対する束の間の休息になる。

選手やファンは、改装されたケープタウン空港から贅沢なホテルまで、高速道路を疾走する際に、百万人以上が暮らす無断居留地を通り過ぎるが、この富と貧困の不毛な対比にはなんら新しいものは存在しない。新しいものと言えば、切符売り上げ、テレビ放映権、スポンサーから、ワールド・カップが生み出す収益の規模と、政治家や実業家たちが、ファンの情熱を利用する、ひねくれた態度の規模だ。

世界サッカー運営組織のFIFAは、トーナメントで、30億ドルの純益を生み出せると期待している。この金の一銭たりとも、開催国の国民に還流することはない。南アフリカ人は、トーナメント実現にかかった推計40億ドルを、今後長期にわたって支払うのだ。もしこの数値が曖昧に見えるのであれば、提案書を作成する経営コンサルタントが、こうしたイベントの経費をいつも過小評価するためだ。

同様に、収益も過大評価されるのが普通だ。FIFA会長のゼップ・ブラッターは、ワールド・カップを主催することで、何百万人ものアフリカ人の暮らしが変わるだろうと主張している。イベントは、国際的レベルのスポーツ・スタジアムという遺産、新たな職、より良い交通機関を残すものと期待されている。

南アフリカ人間科学研究会議のウデシ・ピリーは、建設で、わずか150,000の職が生み出されたと推定している。それも短期的なものでしかない。長期的な職は全く生み出されておらず、多くの交通機関も、基本サービスが欠如しているスラム街ではなく、裕福な地域がその恩恵を受けるのだ。

期待されていた観光の嵩上げすら実現していない。当初予想では、75万人の客がやってくるだろうと考えられていた。現在その人数は、200,000人程のようだ。

対照的に、アメリカ企業が新たなバイヤーとして出現し、FIFAはテレビ放映権だけで、35億ドルを得る。全世界では260億人が見るものと予想されている。ウォルト・ディズニーが所有するESPNとABCは、2010年と2014年ワールド・カップのアメリカでの放送権に、1.5億ドルを支払い、アメリカ国内のスペイン語放送権として、ユニビジョンは、3.25億ドル支払った。

サッカー・ビジネスは近親相姦的なことでもある。ゼップ・ブラッターの甥、フィリップ・ブラッターは、マッチ・ホスピタリティーという企業の主要投資家だ。この企業は、トーナメント前に、入手可能なあらゆるホテル宿泊設備の三分の一を予約した。同社は、期待された多数のサッカー・ファンに、10倍の価格で部屋に宿泊させようと計画していたのだ。

売り上げが期待していた数値よりも少ないことが判明すると、同社は400,000室以上を返却した。その頃には、もはやホテルが他から予約を受けるには遅すぎた。

公式にワールド・カップと提携しているナイキやマクドナルド等の世界的企業は、膨大な利益を得る立場にある。目抜き通りに店舗をかまえる高級品店やオンライン小売業者やスーパーマーケット等の直接関係していない企業すらもが、収益増加を享受している。

南アフリカの企業は、素早く一枚加わった。南アフリカの化粧品会社オプティファイは、イギリス選手の夫人やガールフレンドを、慈善イベントに招待した。お返しに、金遣いの荒さで悪名高い女性たちは、全員デザイナーブランドの服、靴、化粧品やサファリのセレクションを貰えるのだ。

“イギリスに対する南アフリカのもてなしを示したいのです”と同社広報担当者は語っている。“ですから、イギリス選手のパートナーの方は全員、弊社のカクテル・イブニングで、100,000ランド(13,000ドル)の価値がある品物が入ったお楽しみ袋を受け取れます。”

ワールド・カップ施設建設にまつわる賄賂についての申し立てがなされている。南アフリカサッカー協会副会長ジミー・モフララは、ムボンベラ・スタジアム建設をめぐって疑問の声を上げた後、自宅で射殺された。

基本的には、5つの新スタジアムが、維持費ばかりかかる無用の長物として残されることになる。準決勝会場となる予定のグリーン・ポイント・スタジアムは60,000席の収容力を誇る。しかし普通の南アフリカ・リーグのゲームは10,000人程度の観客しか集められない。これには6億ドルもの経費がかかっており、現地の人々はFIFAが町を去ったずっと後もつけを払いつづけるのだ。

近傍のアスロン黒人居住区のスタジアムを改装するという、より経費の安い案は、テレビ放映の際に、テーブル・マウンテンを背景に入れることができるという理由で、FIFAがグリーン・ポイントを主張して外された。アスロンは練習設備として使われてきたが、新たな交通手段は皆無だ。

わずか0.5パーセントの切符がアフリカ人に販売されたに過ぎない。FIFAの公式切符販売システムにアクセスできる、インターネット接続や、クレジット・カードを持っているアフリカ人は稀だ。

サッカーが国技のようなナイジェリアでは、わずか700枚の切符が売れたに過ぎない。一番安い切符で20ドルだ。3月に市場調査局が発表した数値は、75パーセントの南アフリカ人は、収入が一日20ドル以下であることを示している。非公式経済で働いている人々や失業者の収入はもっと低い。ギャラップ調査では、35パーセントの南アフリカ人が、2009年のどこかの時点で、十分な食べ物なしで過ごしていたことが明らかになった。

ワールド・カップは、新たな仕事を生み出すどころではなく、南アフリカ経済で最も大きな部分である非公式経済で働いている人々の多くの暮らしを脅かしているのだ。通常は、南アフリカにおける都市交通手段の大半を提供しているタクシー運転者は、特別高速バスによって、行き場をなくされた。市場は、モールに場所を譲るべく、取り壊された。露天商は、会場近辺での営業を禁じられている。FIFA公認商品だけが販売可能だ。FIFA私服警官が絶対命令が守られていることを確認してまわっている。

FIFAゾーンは、国の中の国といった性格を帯びている。トーナメント期間中、ゾーンは南アフリカ国旗に対してさえ、権利を主張した。

そうした企業や関連企業の活動は、大半が南アフリカの法律から免れる。公認された企業は、売上税、所得税、為替規制や関税から免除されるため、“税金バブル”がワールド・カップ会場周辺で起きている。

スタジアムのどれかで群衆が殺到し、ファンがおった負傷のようないかなる法律上の要求についても、FIFAは責任を負わない。国家資金は、莫大な儲けを生み出す事業に振り向けられている。約40,000人の警官が追加採用され、警官は新たな武器と、戦闘車輛を与えられている。

テロ攻撃等の事態が起きた場合、必ず病床が使えるようにするため、病院はカラにさせられた。BBCは、ケープタウン、サマーセット病院の産科病棟屋上に100万ポンドのスタジオを建設した。

このビルの一部は文字通り崩落している。新スタジアム、最先端のスタジオと、崩壊しつつある病院との対比は、余りに歴然としている。

会場最寄りのスラム街やホステルは立ち退かされ、住民たちは、ティン・キャン・タウン(空き缶町)として知られている、ブリッキースドープ等の臨時収容所に囲い込まれている。そこでは、一つの家族がトタン葺きの小屋に押し込まれている。

ケープ・フラッツにある現場は、砂だらけで、吹きさらしの荒れ地で、掘っ建て小屋は極端な暑さ寒さをほとんど防げない。水道やトイレは四家族共同だ。

そこに仕事はなく、ケープタウンまで、32キロも通勤できるような人はほとんどいない。夜には警官が居留地を見回り、屋外にいるのが見つかった住人を威嚇する。

ブリッキースドープは、厄介な連中を捨てるごみ廃棄場として描かれてきており、虚構の『第9地区』にさえなぞらえられている。ワールド・カップが行われている、贅沢な閉ざされた世界の反転画像なのだ。

南アフリカにおけるワールド・カップの興行全体が、資本主義というものは、人間の生存にとっての基本的必需品さえ、提供することはできず、スポーツや他の文化的活動を、儲けのためにだけ利用するものであることを、はっきりと示している。

Ann Talbot

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/jun2010/pers-j26.shtml

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不思議なナショナリズムを生みだすイベントの一つ、FIFAサッカー報道の中、日露戦争当時、夏目漱石が書いた『三四郎』にある、上京する列車の中で出会った男との対話ハイライトを再度引用しておこう。

    「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、「滅びるね」と言った。

江戸の仇を長崎で、というわけでもあるまいが、宗主国に恫喝され、基地問題を放置したままサッカー勝利でつかのま我を忘れても、属国状態は65年間深化し続け、ねじれるばかり。

確かに、

ゲームを見ている多数の人々にとって、ゲームは、日々の困難や、生活上の欲求不満に対する束の間の休息になる。

のだろうか?スポーツに関心がない小生には、残念ながら分からない。そこで、サッカーもお好きであろうと思われる方(本田成親氏)が書かれた「マセマティック放浪記」記事の中から以下、一部を引用させていただこう。

斜めから見たサッカー観

もう何十年も前のことだが、サッカー先進国イギリスの作家ジョージ・オーウェルは、サッカーに熱狂する人々の心理背景を鋭く分析した「The Sporting Spirit」という一篇のショートエッセイを発表した。名作「アニマル・ファーム」において、ロシア革命と革命政権の悲惨な前途を強烈かつ的確な風刺をもって描写し予測してみせたこの作家ならではのサッカー観が、そこには皮肉たっぷりな筆致で語り綴られているのである。ずいぶん昔の作品であるにもかかわらず、昨今のワールドカップ狂騒劇にもそのままぴったり当てはまり、なるほどと納得させられるところも少なくないので、そのサッカー観をすこしばかり紹介してみることにしたい。
  あるとき、旧ソビエト連邦のサッカーチーム、ダイナモスが親善試合のために渡英し、イギリスの名門チーム、アーセナルやグラスゴーと対戦したが、アーセナルとの試合では途中で両チームの選手同士で殴り合いとなり、観客のほうも騒乱状態に陥った。また、グラスゴーとの試合は最初からなんでもありの凄まじい乱闘模様となり、友好親善どころの騒ぎではなくなった。
  さらに、ソ連人たちは「アーセナルは事実上全英チームであった」と主張し、いっぽうの英国人たちは「アーセナルは全英チームなどではなく一リーグチームに過ぎなかった。ダイナモスが予定を切り上げ急遽帰国したのは、全英チームとの対戦を避けようとしたからだ」と主張した。そのため、こころある人々は、このようなサッカー親善試合は尽きることのない憎悪の根源となるばかりで、英ソ関係をますます悪化させ、両国間に新たな敵対意識を生みもたらすだけだと蔭で囁き合ていたという。
  そんな状況下にあって、オーウェルは、「サッカーのようなスポーツは国家間の友好と親善を深め戦争を回避するのに役立つ」などと真顔で唱える人々の気がしれないと公言してはばからなかった。国家や民族の威信がかかる関係上、相手を完膚なきまでに打ちのめして勝つことにこそ意義があり、敗れたら体面を失い屈辱をこうむることになるとするスポーツでは、必然的にもっとも野蛮な人間の闘争本能が喚起される。だから、国際間でおこなわれるサッカーのようなスポーツは擬似戦争そのものにならざるをえないというのである。
  オーウェルはまた、ほんとうに問題なのは、試合における選手たちの野蛮な行為そのものよりも、見方によっては馬鹿げてもいる試合に熱狂興奮し、たとえ一時的ではあっても、懸命にボールを追いかけそれを相手ごと蹴りまくることが国家美徳の証であると信じてやまない観衆や、その背後にある国民のほうだとも述べている。

2010年6月26日 (土)

マクリスタル大将はなぜ更迭されたのか?

2010年6月25日

wsws.org

スタンリー・マクリスタル大将の更迭に対するアメリカ支配体制内の反応は、ローリング・ストーン記事に掲載された、オバマ大統領や他の文民幹部に関するマクリスタルと彼の側近の軽蔑的な発言が、更迭の主な原因ではなかったことを示している。

それよりむしろ、記事はアメリカ軍が、ワシントンの植民地戦争に対するアフガニスタン大衆の抵抗を鎮圧しそこねていることからもたらされた深化する危機を明らかにしたのだ。2月に実行されたマルジャー攻勢の失敗以来、マクリスタルの指導力に対する不満がオバマ政権内で高まっていた。今月早々発表された、カンダハル攻撃を少なくとも3ヶ月延期するという決定は、厄介な失敗だと広く見なされている。

何千人ものイラク人の殺害に関与した、対反乱戦の無慈悲な熟練者というマクリスタルの評判にもかかわらず、将軍は、最近アフガニスタンにおける作戦の有効性が、民間人死傷者にまつわる彼の過剰な配慮のおかげで、弱体化させられているという高まる批判の対象となっていた。

この懸念は人道的配慮とは全く無関係だ。そうではなく冷徹な計算に基づいているのだ。ローリング・ストーン記事は、無辜の人が一人殺害されるたびに、十人の新たな敵が生み出されるという、マクリスタルの"武装反抗勢力方程式"に言及していた。

マイケル・ヘイスティングスが書いた記事は、在アフガニスタン・アメリカ人文民幹部に関する、マクリスタルや彼の側近の発言については、比較的あっさり扱っている。そうした発言は、粗野であろうことは分かりきっており、オバマに、ましてペンタゴンにとって、驚くべきものであったはずがない。彼等はマクリスタルの取り巻きのファシスト的で、低劣な特質を良く知っているのだ。ヘイスティングスは、この将軍の幕僚を“厳選された、殺人者、スパイ、天才、愛国者、政治工作員、完璧に凶暴な連中の集団である。”と簡潔に書いている。

オバマ大統領、ジョセフ・バイデン副大統領や、リチャード・ホルブルック特使についてのマクリスタル発言が、マスコミの注目を引いている。しかし、ヘイスティングスは、潜在的な民間人標的に対する空爆と迫撃砲砲撃の使用を制限し、アフガニスタン民間人の家に押し入るアメリカ兵の能力を制限する交戦規則を施行することで、マクリスタルが、自分たちの手を縛ろうとしているという、アメリカ兵士の苦情に、より多くの場所をさいている。

ヘイスティングスは書いている。“マクリスタルは、民間人死傷者を避けるため、アメリカ軍がこれまで戦闘地帯ででくわした中でも最も厳格な命令を発していたのだ。”彼は続ける。 “しかし、いかに戦略的なものであったにせよ、マクリスタルの新たな進軍命令は彼自身の兵士達の間で激しい反発をひき起こした。砲撃を抑制するように命じられたため、兵士たちは、より危険にされされるようになったと不平を言っている。イラクとアフガニスタンで何年も過ごしたある元特殊部隊隊員は語っている。‘結論かい?’‘マクリスタルのたまを蹴飛ばしてやりたいね。やつの交戦規定のおかげで、兵士の命は益々危険にさらされるんだ。本物の兵士なら同じことをいうはずだ。’”

カンダハル近郊での、マクリスタルと、不満を抱いた兵士たちとの会合を描いて、ヘイスティングスは書いている。“破壊的な武器の使用を禁じられることに、自分たちが拘束した武装反抗勢力が、証拠不足を理由に解放されるのを見守らされることに、兵士たちは文句を言っている。彼等は、イラクでそうしていたように、マクリスタルの着任前に、アフガニスタンでそうしていたように、戦いたいのだ。”

こうした見解が兵士の間で広く共有されているものかどうかは不明だ。しかし、この主張は、ワシントンで政策決定をするエリートや、マスコミの間で支持を得ているように見える。“アフガニスタンに関する限り、歴史はマクリスタルの側にない。アフガニスタンで何らかの成功をした唯一の外国人侵略者はジンギスカンだが、彼は人権、経済発展や、報道陣による吟味といった類のことには束縛されてはいなかった。”と断言して、マクリスタルにを批判する多くの評論家と同じ立場を、ヘイスティングスは彼自身の立場をより露骨に明らかにしている。

水曜日、将軍が辞表を提出することとなった、オバマとマクリスタルのホワイト・ハウス会談の前に、“戦士、交戦規定に悩まされる”という見出しの同紙アフガニスタン戦争特派員C・J・シバーズの記事を掲載して、ニューヨーク・タイムズが論争に加わった。

記事は、アメリカ“本気で立ち向かい”アフガニスタン国民に対する攻撃を劇的にエスカレートしろと主張している。シバーズは、空爆や砲撃の使用を制限しているとして、マクリスタルを非難する匿名の兵士たちの言葉を引用して、“アフガニスタンにおける武力衝突のレベルが高まる中、いかに戦争を進めるかについて、破壊的な武器を、いつ、どのように使用すべきかという、最も困惑する疑問の一つを巡り、兵士の間で顕著な不安感が高まりつつある。”と断言している。

彼は更に続けている。“規則は、アフガニスタン民間人から、西欧の戦闘員へと、リスクを移してしまった… 若手将校、志願兵や海兵隊員たちは…‘手錠をかけられたようなものだ…’と語っている”

“更に民間人が殺されることになるよう、規則を緩和しろとは誰も主張したがらない”と彼は書いている。しかしこれこそニューヨーク・タイムズが要求していることなのだ。

木曜日に掲載した“マクリスタル後のアフガニスタン”と題する論説の中で、タイムズは“今、軍事、民間戦略の本格的な評価”を要求している。さらに、身も凍るような言葉でこう書いている。“武装反抗勢力は、本当に血まみれにならない限りは、連中の圧政的権力の完全回復を主張し続けるだろう。国務省幹部の中にも、タリバンと迅速に協定を結ぶことを支持する人々がいるという報告は気掛かりだ。”[強調は筆者による。]

リベラルな民主党の政策決定力をもった体制側による、この高圧的な発言は、マクリスタル更迭にまつわる深層をかいま見せてくれている。明白に、タイムズにとっては、8年以上も続く戦争で、外国による占領に抵抗するアフガニスタン人の連中を“ひどく血を流させる”仕事を、アメリカ合州国は十分な迫力で続けていないのだ。

既に何万人のアフガニスタン人がアメリカとNATOの軍によって殺害されたのか、ワシントンは犠牲者の数などわざわざ数えるつもりがないので、大虐殺の全貌を知っているものは皆無だ。更に何万人もが負傷し、アメリカの拘置所で拘留され、拷問されている。

この殺戮とテロという作戦は、植民地占領者に対する民族解放というアフガニスタン国民による全く正当な戦いを、血の海で溺死させることを狙ったものだ。アメリカが直面している主要な問題は、8年間の戦争と、30年間以上にわたるアメリカの破壊と挑発の後、アメリカ帝国主義に対するアフガニスタン国民の大衆的抵抗が増大しているということだ。更に多数のアフガニスタン人を殺害するというのがアメリカ支配層エリートの答えなのだ。

アフガニスタン戦争は人類に対する犯罪であり、それを永続させている連中は戦犯だ。

アメリカ合州国内でも、国際的にも、労働者階級の反対を引き起こす戦いを更新しなければならない。

Barry Grey

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/jun2010/pers-j25.shtml

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テレビ・新聞をみると気が滅入る。

病院外の世界の方が荒涼としている?『6号病棟』の話を思い出す。

日米同盟維持の重要性を確認 6月25日  13時34分 NHK ニュース

記事の前半を引用させていただこう。ならずもの同盟は国民より大切だ。

ワシントンを訪れている自衛隊トップの折木統合幕僚長は、アメリカ軍の制服組のトップ、マレン統合参謀本部議長と会談し、強固な日米同盟を維持していく重要性を確認するとともに、韓国の哨戒艦沈没事件では日米両国が緊密に連携して対応することで一致しました。

「沖縄の米軍駐留受け入れに謝意」 米下院が決議採択

決議に金は一銭もかからない。

宗主国の侵略戦争を幇助する優秀な属国と褒められても自慢にはなるまい。

「衆院比例80削減」民主、参院選後の臨時国会に提出へ

どんなにひどいことでも、トンチン菅首相なら実行してくれるだろう。

基地は無視しながら、消費税増税と比例削減。

右翼たけのこ政党を含め、ほとんどの党が比例削減を言う。少数反対派の完全抹殺。大本営広報部隊は、相撲賭博はまずいこととして報道するが、消費税増税と比例削減については、決して解説しない。どちらが、庶民生活への影響甚大だろう?

ブッシュより、オバマはましだったろうか?

オバマを支持した人々は、判断するのはまだ早いと見守っているのだろうか?

自民党より、民主党はましだったろうか?

民主党を支持した人々は、判断するのはまだ早いと見守っているのだろうか?

宗主国のさらに忠実なコピー・ファシズム傀儡体制へと、この「ゆでガエル」国はまっしぐら。

2010年6月24日 (木)

アフガニスタンは無意味?

アフガニスタンは無意味?

Patrick J. Buchanan

2010年6月18日

"語り口が … 余りに否定的に過ぎる。"

アフガニスタン戦争にまつわる政治・報道コメントに関し、ロバート・ゲーツ国防長官がそう言ったのだ。語り口は、2007年6月、イラク増派が成功し始める前の悲観主義を思い起こさせるとゲーツ長官は語っている。

だが今や戦争を批判する人々からだけでなく、熱烈な支持者もそうした語り口で発言している。ジョン・ マケインが、戦争遂行の努力は"危機"へと向かっており、オバマ大統領には来年夏に開始するという撤退予定を発表した責任があると述べたのだ。

だが、先月、9年にわたるアメリカ最長の戦争の中で、アメリカの野戦指揮官スタンリー・マクリスタル大将が、タリバンとの戦いは引き分けだと語っているのに、アメリカ人は一体どうして楽観的になれよう。

8年前、タリバンは終わったように見えた。

それ以来、アメリカは何千人もの兵士を送り込み、3000億ドルを費やし、1,000人の兵士を失い、何千人もが負傷している。それなのに、タリバンは益々強くなり、より広範に活動している。

残念ながら、ペンタゴンが非難している語り口は、現実に根ざしているのだ。

6月に予定された決定的に重要なカンダハルの戦いの最終的リハーサルだと言われているマルジャーの戦いは喧伝されたような勝利ではなさそうだ。アフガニスタン政府と警察は、アメリカの後を受け、マルジャー地区の支配権を握ることに失敗したのだ。タリバンはアメリカに協力する人々を殺害し続けている。

カンダハルには住民が800,000人おり、マルジャーの10倍の人口で、タリバンの精神的首都だ。

そして、カンダハルの戦いは、6月には行われないことがわかった。

実際、それは全く戦闘ではなく、国民に、タリバンに抗して立ち上がり、アメリカに協力し、カーブルとハミド・カルザイ大統領に忠誠にするよう説得する、人心獲得の戦いだ。

カンダハル住民は、都市での戦闘も、アメリカの保護ももはや望んでいないように見える。麻薬密売組織ボスである弟のワリ・カルザイが、カンダハルのアル・カポネなのに、大統領が一体どうして忠誠心を勝ち取れよう?

カルザイ大統領自身について言えば、今月、国民大会議、ロヤ・ジルガに対するタリバンによるロケット弾攻撃の後、彼は内務大臣と、諜報機関のトップ、アムルッラー・サレフを首にしたが、これは彼が大統領となって以来、最大の刷新だ。二人ともアメリカとは太いつながりを持っており、二人は何よりアメリカに忠誠だろうと疑っているとカルザイは語っていたという。

ロヤ・ジルガ攻撃におけるタリバンの役割の証拠を見せられて、アメリカが背後にいると考えているとカルザイは語った、とサレフはいう。

サレフによれば、アメリカ合州国とNATOには、戦争を最後までやり抜く忍耐力があるという確信を、カルザイは完全に無くし、彼は秘密に裏ルートでタリバンと協定を結ぼうと動いているのだ。

ロンドン大学経済学部のハーバードの研究者マット・ウォルドマンが、ロンドン・テレグラフに書いた記事には、パキスタン諜報機関は、現在タリバンと全面的に協力しているという劇的な嫌疑が書かれている。

6月16日、ムンバイ虐殺の背後にいた集団、ラシカル-エ-タリバがアフガニスタンで活動しており、インド人の援助活動家を攻撃しているとニューヨーク・タイムズは報じた。タリバン同様、ラシカル-エ-タリバも、パキスタン諜報機関による支援を初期から受けている。

アフガニスタンでは一体何が起きているのだろう?

パキスタンは、タリバンとラシカル-エ-タリバとの関係を維持することによって、オバマ大統領が来年7月に撤退を開始するつもりだと語っている通り、万一アメリカが撤退した際、アフガニスタンが、ニュー・デリーではなく、イスラマバードの軌道に確実に乗るようにしたいと考えているように思われる。

とはいえ、アメリカ合州国とNATOにとって、死傷者は、この戦争でも最高レベルに増えている。6月はこれまでで最も血まみれの月となりつつある。

バラク・オバマ大統領は、12月にアメリカの戦略と政策を見直すと約束しているが、現在の率では、更に数百人のアメリカ人の若者が、それまでに命を失うこととなろう。

何の為に?

アフガニスタンに、タリバンが権力から永久に追放され、アルカイダが戻る可能性がない国家を生み出すのに成功するには、アメリカ軍の勝利を受け、支配権を握り、国民を保護し、社会改革を実現するカーブル政府やアフガニスタン軍と警察が必要なのだ。

今あるのはそういう政府ではない。そうではなく、今あるのは、アメリカは最後までやり抜くとはまるで信じておらず、従って、アメリカの背後で、アメリカ兵を殺害している敵と交渉している政権だ。

アメリカ合州国とそのオランダのように撤退した国もあるNATO同盟諸国が、この戦争で12ヶ月の間に、優勢になり、オバマが進んでアフガニスタンを見限らない限り、オバマが約束した通りにアメリカが撤退可能になるとは、到底信じがたい。

もしも、見限るのであれば、今そう発言して、アメリカ兵の命を救うべきだ。

もし彼がアフガニスタンが陥落するのを見たくないのであれば、この戦争で敗北を避け勝利するのに、一体何が必要か、一体どれだけ時間がかかるのか、彼は国民に語るべきだ。

過去8年間、膨れ上がる人的犠牲と経費をもってしても実現しそこねたことを、アメリカが今後12ヶ月間で成功できると語っても、信じることはできない。

記事原文のurl:original.antiwar.com/buchanan/2010/06/17/what-price-afghanistan-2/

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マクリスタル大将、舌禍事件を理由に、あっけなく解任された。

毎回の選挙、庶民の冥土の旅の一里塚、めでたく思えたことはなし。

普天間・安保廃棄を論ぜず、議員削減と消費税増税の大合唱。

枝野幹事長、憲法調査会を、参院選挙後に復活すると発言している。

庶民派宰相という、いい加減な言葉を、新聞という名の有料官報でみかけた。

庶民破壊宰相だろう。政治家、大切なのは出身でなく、言動・行動だ。

軍事クーデターで追放されたホンジュラス元大統領セラヤ、与党の資産家だった。

貧乏人ではないが、ソトカノ米軍基地を廃止し、植民地憲法を変えようとしていた。

国政選挙の際、憲法制定会議を開設することの賛否も国民投票で問おうとした選挙直前、ホンジュラス軍に拉致され、ソトカノ米軍基地経由で追放された。

宗主国と仲良しの国軍や首都圏の外国軍基地が、何に役立つか示した事件だった。国家独立抑止。確かに「抑止力」であるにちがいない。

本当の独立を目指したホンジュラス庶民やセラヤの夢は挫折したが、この政治家と余りに対照的なのが、こちらの民主党・自民党・たけのこ政党政治家諸氏。日本を壊した首相のセガレを重用する自民党、日本を壊した反省の色皆無。民主党と共に破壊・隷属に邁進。

彼等が大きな顔をしていられるのは、セラヤとはしっかり逆の隷属推進派だからだ。

憲法を宗主国に都合良く変えるため、小選挙区・政党交付金制度を導入、議員削減をし、砲弾の餌食になる貧乏人の声を消し去り、憲法を破壊する。宗主国の侵略戦争で、傭兵として戦い、武器を輸出できるようにするために。希望は戦争。日本の政界・財界、広報部、基地・安保廃止とは言わない。庶民は野球賭博の話ばかり読まされる。

相撲世界と暴力団の癒着よりはるかに恐ろしいのは、政治家と宗主国の癒着だろう。ところが、ブログは国民を救ってくれる辣腕政治家の都市伝説だらけ。救国どころか今の閉塞状況を生み出したご本人だろう。「黄門様」は庶民のガス抜
きテレビ・ドラマ。ありえない英雄を求めるところに、ファシズムは確実にやってくる。

平凡社新書新刊『夏目漱石と戦争』を読んで、森鴎外は好きになれず、漱石を読み続けた理由がわかったような気がした。

『三四郎』にある、上京する列車の中で出会った男との対話部分を忘れられないが、何と日露戦争当時の記述だった。

「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。

貧乏人である小生、選挙のたびに「滅びるね」の言葉を思い出している。

ヴォネガットの傑作『ホーカス・ポーカス』翻訳文庫本131ページに下記がある。

メンテナンスがお留守なので、橋がつぎつぎに落ち、水道本管が破損していることも語った。原油流出と、放射性廃棄物と、帯水層の汚染と、銀行の横領行為と、会社の倒産のことも語った。「そして、だれもまったく罰を受けないのです」と彼はいった。「アメリカ人であることは、すみませんという必要がないことを意味するのです」

『スローター・ハウス5』で、自軍の絨毯爆撃を受ける体験を味わったドレスデン爆撃について書いたヴォネガット、『ホーカス・ポーカス』終末では広島原爆に触れてている。

小説ほとんど読まないのに、ヴォネガットなら読める理由がわかったような気がした。彼の影響も受けている?とされる、壁に卵作家の本が読めない理由も?

2010年6月22日 (火)

キルギスタンにおけるウズベク系とキルギス系の民族紛争: 1990年オシ事件の再演

Aleksandr Shustov

Strategic Culture Foundation

2010-06-17

ソビエト連邦共和国崩壊時に起きた一連の血みどろの紛争中でも最悪の一つ、1990年のオシにおける異人種間衝突から二十年後に、現地のウズベク系人とキルギス系人コミュニティー間の戦いの再発に、我々は直面している。事態の進展がソ連崩壊後の地域における、もう一つの独立国家崩壊の前兆となる可能性は高いのだろうか?

キルギスタン政権は、オシとジャラル・アバド州で非常事態を宣言したが、共和国暫定政権が独自で暴動を鎮圧できないことは明白だ。敵意と死亡者数の規模から判断して、現在キルギスタンは、フェルガナ盆地全体に容易に広がりかねない紛争の瀬戸際にある。

銃器を用いた武力衝突は、6月10日深夜オシ市のクラブでのキルギス人とウズベク人の若者の間の喧嘩が口火となり、すぐさまより広範に展開した。政権は、共和国警察と軍隊に厳戒態勢をとらせ、オシ知事のメリスベク・ミルザクマトフが、テレビ放送された演説で、平和と自制を呼びかけたが、衝突のエスカレーションを防ぐ対策は失敗に終わった。オシでは、銃砲と鉄棒を持った若者の一団が市内中を歩き回り、住宅、店舗、自動車、レストランやガソリン・スタンドに放火し、学校や国家機関は閉鎖を余儀なくされ、公共交通機関は止められた。政権は市内へのガス供給も停止した。

昼までには、オシ中心部での戦闘と放火は鎮圧されたが、騒乱の中心点は市郊外のチェリョームシキ地区へと移り、地区は後に警察によって封鎖された。チェリョームシキに武装した人々が多数集まっていることが報告されており、ある衝突では、暴徒たちは、地域周辺の警戒線に立つ兵士たちから武器を取り上げるのにさえ成功した。キルギスタン政権は、支配を取り戻すべく、チェリョームシキに、装甲車で追加警察部隊と、軍特殊部隊を派遣せざるを得なくなった。

オシ住民は都市の街路にバリケードを築いていた。市の空港にはキルギスタンを脱出しようとする多数の人々が殺到した。オシのあらゆる店は閉鎖し、住民は食料や必需品を入手できなくなり、うろつきまわるギャングたちは無防備な地区で略奪をした。目撃者の説明によれば、オシ市内の交通は完全に麻痺し、暴徒はバリケードで止まらされた車から人々を引きずり出し、車をひっくり返して放火した。

6月11日の夜にはバクテント地区で緊張が高まった。200人程の攻撃的な若者がバクテントの中心街に集まり、オシに向かって、自民族の同胞を保護しようと計画した。活動家たちは現地警察署とその武器庫占拠さえ主張したが、最終的には状況はおさまった。キルギスタンの首都ビシケクが、次の大規模な混乱に見舞われ、約500人が議事堂前に集まり、バスでオシまで自分たちをつれて行くよう要求した。要求が拒否されると、彼等は何十台ものタクシーを捕獲し、警察が群衆を追い払わねばならなかった。

6月12日には、バクテントとジャラル・アバド州で暴力行為が発生し、バクテントのいくつかの地域では暴動が起こり、ある集団がジャラル・アバド州のクガルト地区にある軍事基地を攻撃し、何台かの車輛と多数の銃器を捕獲し、スザク村に向かった。スザクでの銃撃戦がそれから間もなく始まった。ジャラル・アバド州のアクシ地域でも騒乱が始まった。若者達が集まり、ジャラル・アバド市で銃声が聞こえた。

オシは大惨事に直面していた。暴徒が何台かの装甲兵員輸送車両を捕獲し、それ利用して非武装の人々に発砲をはじめた。Fergana.ruが提供している情報は、まだ完全ではない可能性があるが、それによれば、死亡者数は1,000人を超え、犠牲者の大半はウズベク系だ。キルギスタン南部からの難民が隣国のウズベキスタンに流入し始め、ウズベキスタンは両共和国間の国境に特殊部隊を配備した。キルギスタン政権は公式に、ロシアに介入を要請したが、今のところモスクワは、キルギスタンにおける平和維持活動には及び腰だ。秩序を回復しようとして、キルギスタン政権は、予備兵を動員し、必要があれば取り締まり機関が発砲することを許可した。

6月13日には、オシでの暴動の波はおさまったが、激しい戦闘がジャラル・アバドで再開し、若者の集団が、ウズベク人が居住する地域を攻撃し、銃撃戦を始めた。市内の銀行、店舗や、住宅は放火され、ビシケクから特殊部隊が配備されることになった。ロシアは、軍の施設の安全確保と、ロシア国民保護のため、第31空挺団の大隊をカント空軍基地に配備した。

6月16日朝の時点で、公式な死亡者数は187人にのぼった。1,928人に医療が必要だったが、うち902人が入院した。ただし本当のところ、殺害された人々の総数に関して信頼できる情報はない。Fergana.ruは、戦闘で1,526人が死亡したが、その大半がウズベク系人だったとオシ自治政府当局が語ったと引用している。何万人ものウズベク系人が自宅からの退去を強いられた。国際連合難民高等弁務官事務所によれば、6月15日に難民となった人数は275,000人だ。大半は女性、子供と老人だが、約100,000人がウズベキスタンに殺到した。

大多数の専門家が、オシの虐殺は打倒されたキルギスタン大統領K. バキーエフ一派が組織した挑発の結果だと確信している。6月14日、ジャラル・アバド州司令官で、国家保安庁のクバトベク・バイボロフ副長官は、騒乱に油を注いだ責任は、キルギス系人やウズベク系人に無差別発砲を始めたタジク系住民集団にあると非難した。タジク人はバキエフ一派に雇われていたとも彼は発言した。タジキスタンはバイボロフ副長官の発言に激しく反応し、キルギスタンは、その主張を証明する証拠を示すか、謝罪すべきだと要求した。

言うまでもなく、この紛争をひき起こした勢力の主な狙いは、キルギスタン暫定政権の立場を承認するはずの、6月27日の国民投票を頓挫させることだ。キルギスタンの多数の国民が現在難民となってしまっているため、国民投票結果は信頼性に欠けることになるので、この連中は、一定程度、狙いが既に成功したと誇れる状況にある。ウズベキスタンとタジキスタンも、やはり紛争という軌道に引きずりこまれてしまった。前者は多数の難民を受け入れねばならず、後者は自国民が武力衝突の勃発を幇助したという申し立てに直面している。キルギスタンにおける紛争のエスカレーションは、もし実際におきれば、ウズベキスタンとタジキスタン双方に更なる影響を及ぼすのは確実だ。カザフスタンもキルギスタンと国境を接していることを考えれば、現在、中央アジア全体が、深刻な脅威にさらされていることは明らかだ。

記事原文のurl:en.fondsk.ru/article.php?id=3104

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過日、郵便局窓口で、見てはいけないものを見た。

お年寄りの女性が、「郵便局員?か誰かに、うっかりして、通帳と印鑑を全部預けてしまった」と、郵便局の窓口の方に相談していたのだ。

「預かり証はありますか?」等、郵便局の方は落ち着いて尋ねていたが、もちろんそのようなもの、貰ってはいないようだった。

まさか、話を終わるまで横で聞いているわけにも行かず、用件を済ませて、郵便局を出たので、あの後どうなったのか全く分からない。

あのおばあさま、全財産を身ぐるみはがれてしまったのだろうか?詐欺師が金をおろす前に、口座を無事、停止できたのだろうか?

考えてみると、毎回の選挙でも、大多数の皆様、あのお年寄りの女性のように素朴に、相手の善意を信じる行動を長年とりつづけ、結局すっかり身ぐるみはがれているような気がしないでもない。ボケ中高年の錯覚であって欲しいものだ。

選挙時期になると、あの宗教政党支持者の知人が必ずやってくる。元隣人だったのだが、かなり昔に転居してからも、投票依頼にやってくる。論争するのも面倒なので「はい、投票します」と答えているが、もちろんその人物の希望に沿って投票したこと等皆無だ。後にお礼の電話がかかってくるので、「おめでとうございます」と心にもないことを毎回言っている。

票数にカウントされているのだろうか?

2010年6月19日 (土)

有名ハッカーのラモ、機密情報の漏洩を当局に密告したため蔑視される

SAM STANTON

2010年6月14日、 "サクラメント・ビー"

カリフォルニア、カーマイケル

週末の午後、エイドリアン・ラモは、スーパーマーケットのセーフウェイにあるスターバックス・コーヒーの片隅に静かに座り、起動するのに親指の指紋認識が必要なラップトップ・パソコンを使いながら、携帯電話に答えている。

最初の電話は、ラモが受けた殺しの脅迫について尋ねるFBI調査官からの電話だったと彼は言う。

二番目はドミノ・ピザからだった。新たな多くの敵の一人が、にせの注文をして彼の名と電話番号を使ったのだ。

三度目は、軍の防諜機関員からだったと彼は言った。

他の状況であれば、彼の言い分など妄想だと即座にはねつけられただろう。

彼は控えめな29歳の人物で、カーマイケルの袋小路で、両親と暮らしているが、最近、医者が彼の奇妙な振る舞いがアスペルガー症候群に起因するものだと発見するまで、短期間収容されていた精神病院を退院したばかりだ。

だが、ラモは現在、国家安全保障論議と国際的論争で話題のまとになっている、世界でも最も有名なコンピューター・ハッカーでもあり、かつて彼を称賛したハッカー・コミュニティーの冷笑のまとになっている。

ラモが最初に有名になったのは、2003年、基本的に、彼ならできるということを証明するために、ニューヨーク・タイムズのコンピューター・システムにハッキングをしたことで告訴された時のことだ。

彼は、今年の5月、連邦捜査員に、イラクに駐留しているある陸軍兵士が軍事機密を漏洩していると信じるに足る理由を話すと決断し、再度脚光を浴びた。

ラモは、匿名の個人が投稿した、政府や企業に関する情報を公開するスウェーデンを本拠とするウェブ・サイトWikiLeaks.orgに、情報を渡すと言っていた。

バグダッドに近くに駐留している22歳の諜報アナリスト、ブラッドリー・マニング上等兵はyクウェートで陸軍に拘留されており、事件は捜査中だと報道されている。

マニングは、ラモの彼のプロフィールを、マニングの逮捕とラモの関与を最初に報道したwired.comで読んだ後、オンラインで接触してきたのだと、ラモは語っている。彼の説明によれば、マニングは、2007年の、バグダッドにおける米軍ヘリコプター攻撃で、数人の一般市民を殺害した、いわゆる"巻き添え殺害"ビデオを含め、機密軍事情報を、WikiLeaksに漏らしたことを自慢したという。そのビデオは4月にWikiLeaksで公開された。

このウェブサイトには、260,000通のアメリカの機密外交電報を含め、他の情報も漏らしたと、マニングが主張していたとラモは言う。

"生命が危険にさらされているのを知りながら、座視していることはできませんでした"とラモは語っている。 "それは機密情報ですか、ロシアン・ルーレット遊びをする時、一体どうやれば、次の弾倉には銃弾が入っていないとわかりますか?"

"私は内通者ではありません"と彼は言う。"また内通者など決して匿ったりしません。"

ラモの申し立てに政府は迅速に対応した。FBIや国家安全保障局職員や陸軍捜査官と何回か会い、スターバックスや、軽食レストランや、地元の他の場所で話をしたと彼は語っている。

国務省スポークスマンのP.J. クロウリーは、先週の記者会見で、捜査官たちは電報漏洩の影響は一体どのようなものかを見極めようとしているのだと語った。

当局に密告するというラモの決断を、英雄として称賛する向むきもある。とはいえ、そうした反応は全員一致というわけではな。

WikiLeaksは、Twitterで、彼を"悪名高い" 重罪犯人、密告者、不正操作をする人物と呼んで、非難している。

WikiLeaksのウェブは、マニングが260,000通の機密電報を提供した主張とされるもの"は、我々が言える限りでは正しくない"と、ツイートしている。

この話題が公表されて以来、ラモは下品なオンライン書き込みの標的となっており、多数の殺しの脅迫がきていると彼は言う。長年、功績を、オンライン、印刷、映画で詳しく語られてきたラモにとっては意外なことだ。

彼は人生の大半、放浪生活を送っており "ホームレス・ハッカー"とレッテルを貼られることが多い。

ワシントンD.C.、Va.アーリントン郊外に生まれたラモは10歳の時に父親の母国コロンビアに移住した。一家は数年後にアメリカ合州国に戻り、サンフランシスコでしばらく暮らしていた。

"彼は物事がどうやって動くのかについて大変な好奇心をもっています。"と、元サクラメントのローウェル高校で、コンピューター科学の教師をしていて、教育教室のパソコンに頑固なウイルスを感染させたために追い出すまで、ラモに、最初で、しかも唯一の正式なコンピューター教育をした人物、ダグラス・キーチーは語っている。"私の言えるかぎりでは、彼は公的には称賛されていない英雄です。"

7歳の頃に父親が買ってくれたコモドール64から始めて、コンピューターについて彼が知っていることは大半自学自習だと、ラモは語っている。

高校卒業後、1990年代のドット・コム・ブームのさなかには、ベイ・エリアで、月に2,000ドルのアパート家賃を支払いながら、法務援助団体に、コンピューター・セキュリティー・サービスを提供していた。

ラモは自分の居場所を誰にも知らせずに移動することを楽しんでいた。"最初は単なるパラノイアから。そして、後には正当化できるパラノイアから。"

移動生活の間、彼は飽くことのない好奇心で、世界最大企業のいくつかのコンピューター・システムに侵入することに熱中し、それを、相手企業が脆弱であることを伝えるため、企業側に知らせていた。

弱点を特定するのを手助けする上で、彼は決して金は要求しなかったと彼は言う。"そうすれば、道徳上の一線を越えてしまうでしょう"と彼は語っている。"それは決して正しいこととは感じられませんでした。"

やがて彼は、2002年2月に、ニューヨーク・タイムズのコンピューター・システムに入りこんだ。サクラメント中心街にあるキンコーズのコンピューターから入り込んだのだと彼は語っている。ニューヨークの連邦検事は、ラモをコンピューター不正行為で告訴したが、これは彼が15年の懲役をうけかねないものだった。

ラモは最終的に司法取引をし、30ヶ月の執行猶予と64,938ドルの罰金を課された。

現在ラモは自らコンピューター保安システム・コンサルタントと称し、大半の時間をセーフウェイにあるスターバックス店内でラップトップ・パソコンを触って過ごしている。

"'ハック価値のある' 興味のある仕事しか、私はやりません。"と彼は言う。

彼の人生を、"ハッカー"として要約されると、その表現では、"社会的なものであれ、環境上のものであれ、人間関係上のものであれ、複雑なシステム"に対する自分の好奇心をうまくとらえていないと彼は憤慨する。

"何にもまして、私は観察者なのです"と彼は語っている。

(E-mail記者サム・スタントン、アドレスはsstanton(at)sacbee.com.)

(Scripps Howard News Service、www.scrippsnews.comによる配信。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article25715.htm
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机の上の空 大沼安史の個人新聞 の2010-06-19付け記事も是非どうぞ。

〔いんさいど世界〕 「米軍ヘリ虐殺ビデオ」をウィキリークスへ漏洩したとされる米陸軍情報アナリスト、ブラッドレイ・マニング氏(22歳)をめぐる「点と線」 誰がこの内部告発の「英雄」を嵌めたのか? フリー記者、グレン・グリーンワルド氏の調査報道レポートから浮かび上がった疑惑

商業マスコミの大本営記事がひどいと、繰り返し書かせて頂いているが、もちろん、そうではない記事も時にはある。目に触れにくい為、全てそうだと思い込んでしまいがちだが。

沖縄・長崎・神奈川新聞三社合同企画 安保改定50年 2010/6/19の元沖縄県知事・太田昌秀さん。記事末尾は、

軍事条約は平和条約に変えるべき時代だ。

そして、選挙については、森田実の時代を斬る 2010.6.17(その1)
森田実の言わねばならぬ、 の冒頭を引用させて頂く。

菅民主党は議会制民主主義を踏みにじった。多数の力で国会を破壊した。2007年夏の参院選と2009年夏の衆院選で民主党に多数を与えた国民の選択は裏切られた。民主党は「数の力」を独裁権力樹立のために使っている。許すことはできない。ただ選挙に勝ちたい一心で、国会における議論を抑えてしまった。本会議で採決すべき議案を議院運営員会で否決して、本会議への上程を止めるとは、ひどすぎる。民主党はファシストの党に変質した。これは明らかに数の暴力だ。許してはならない。

2010年6月16日 (水)

WikiLeaksに干渉するな!!

2010年6月14日

イラクでアメリカ軍が行った虐殺を写した、政治上不利なビデオが公開されたのがきっかけとなって始めた取り締まり強化の中で、ペンタゴン当局は、ブラッドリー・マニング陸軍一等兵の拘留と、WikiLeaksウェブ・サイトの創始者ジュリアン・アサンジの居場所を見つけ出すための取り組みを強化することを発表した。

6月7日、国防省当局は、“軍事機密を漏らしたとされている”かどで、マニングがクウェートで監禁状態にあることを発表した。三日後、ペンタゴン捜査官は、マニング捜査に関連して、アサンジを探していると、ウェブ・サイトのデイリー・ビーストに語った。オーストラリア生まれのWikiLeak創始者は、先週ニューヨーク市とラスベガスで講演会出演を予定していたが、“警備上の配慮”を理由にキャンセルした。

世界中から、政府や企業の犯罪行為の情報漏洩を求め、そうした情報をインターネットで世界中の人々に公開しているWikiLeaksが、今年四月、暗号を解読し、編集したビデオを“巻き添え殺人”と名付けた特別ウェブ・サイトで公開した。オリジナルのビデオは、2007年に、ロイター社のジャーナリスト二名を含め、およそ15人が殺害された、東部バグダッドでのヘリコプター攻撃中にアメリカ軍が撮影したものだ。

ビデオと、イラク人をせん滅しながら、米兵たちが話しているジョークが入った無線通信の音声は、広範な国際的憤激と、アメリカ軍/諜報機関の強烈な反撃をひき起こした。ロバート・ゲーツ国防長官は、ビデオはアメリカ軍が撮影したものであり、改ざんはされていないことは認めたものの、ビデオ公開を非難した。

マスコミ報道によれば、マニングは、オンラインで知り合ったベテラン・ハッカーのエイドリアン・ラモを信用して秘密を打ち明けるというヘマをした後、5月26日に拘留された。バグダッド東部のハマー前進作戦基地で、陸軍の軍事諜報アナリストとして働く間に、それを基に“巻き添え殺人”が製作されたオリジナルのビデオを含め、軍内部や国務省の文書や通信の膨大なデータを取得することができたと、マニングはラモに語っていた。ラモはマニングを軍とFBIに密告した。

伝えられるところによれば、マニングはクウェートにある軍施設に留置されている。彼から没収された数台のハード・ディスクが木曜日ワシントンに届いており、どのような文書をマニングがダウンロードし、彼がそれで何をしたのかを判断するため、政府のコンピューター専門家たちが現在分析中である。

マニングは、2007年に陸軍に入隊し、極秘/特別隔離情報(TS-SCI)の取り扱い許可資格を持っていた。軍と政府ネットワークを一年以上調べてきたが、“ワシントンDCの薄暗い部屋におかれたサーバーに格納されているのではなく、公のものとなっている、信じがたい物事、とんでもないこと”を発見したと、彼はラモに話したと報じられている。

“巻き添え殺人”として有名になったビデオ以外にも、多数の子供を含め100人以上の人々が殺害された、2009年5月のアフガニスタン、ガラニ村近傍での米軍空襲を撮影した二本目のビデオもWikiLeaksに渡したとマニングは言っている。

“ほとんど犯罪的な政治裏取引”を示していると彼が表現したという、およそ260,000通のダウンロードした秘密外交電報とマニングが主張するものが、軍/FBI捜査の焦点だ。ラモに送った電子メールで“ヒラリー・クリントンや、世界中に駐在している何千人もの外交官が、朝目を覚ますと、機密外交政策の宝庫が丸ごと、検索可能なフォーマットで一般人が入手できることに気がついて、心臓麻痺になるぞ。”とマニングは書いていた。

WikiLeaksは、260,000通の秘密電報は所有していないとしている。アサンジは、マニングの法的防御への財政的支援を申し出たと報じられている。

民主的な権利を擁護するあらゆる人々は、マニングの拘留とアサンジの追跡に反対するべきだ。アメリカ人、そして世界中の人々には、アメリカ大統領の命令のもと、アメリカ軍/諜報機関によって犯された犯罪を知る権利があるのだ。

WikiLeaksとその協力者に対する攻撃は、オバマ政権による、より広範な取り締まり強化の一部だ。ニューヨーク・タイムズが今週報じている通り、ホワイト・ハウスは、バルチモア・サン紙の記者に情報を提供して、NSAにおける財務不正を暴露しようとした国家安全保障局の内部告発者トーマス・ドレーク訴追を進めることを決定した。

タイムズ記事によると、“ドレーク氏訴追は、無許可情報漏洩の処罰を狙うという点で、オバマ政権が、ブッシュ政権よりも、遥かに攻撃的であることを証明する最新の証拠だ。就任以来17カ月で、オバマ大統領は、情報漏洩に対する訴追遂行という点で、これまでのあらゆる大統領を既にしのいでいる。”

情報漏洩に対するこの取り締まり強化は、CIAで働く医師たちが囚人への拷問を行った尋問者に協力していたことに関する、人権のための医師団(PHR)による報告書発行と同じ週に起きた。尋問や拷問を更に継続できるようにすべく、決して囚人が死なないよう、また利用する手法を、更に辛く、効果的なものに洗練すべく、医師たちが拷問を観察していたのだ。報告書の題名が雄弁に物語っている。“拷問における実験: ‘強化’尋問プログラムにおける被験者研究と実験の証拠。

オバマ政権が情報漏洩を防止しようと躍起になっているのは、彼等が常習的に主張している、アメリカ兵士の生命が危機にさらされるなどと言う懸念からではなく、ブッシュ政権を突き動かしていたのと同じ理由からなのだ。ペンタゴン、CIA、NSA、そしてホワイト・ハウス自身の政府首脳たちが、そうした暴露によってもたらされた証拠に基づき、アメリカ合州国国内なり、国際戦争犯罪法廷なりで、戦争犯罪の嫌疑を受けかねないからだ。

イラクにおける武装ヘリコプター攻撃で殺害された人々の肉親たちは、マニング拘留を批判している。ロイター社社員の一人として兄弟のナミールを攻撃で殺害された、ナビル・ヌール-エルディーンは報道陣にこう語った。“人類に対するこの犯罪を暴くという、この米兵の行為こそが正義だ。アメリカ軍は彼を逮捕するのではなく、褒賞すべきだ。”

マニングは犯罪人ではなく、疑いようもなく“彼”が務める軍と“彼”の政府が犯した犯罪に対する嫌悪感に動機づけられた立派な人物だ。World Socialist Web Siteは、いかなる告訴もなしに、マニングを釈放することを要求している全ての人々と共にある。我々は更に、ジュリアン・アサンジや他のWikiLeaks活動家たちの活動を捜査し、弾圧するあらゆる取り組みの中止を要求する。

Patrick Martin

著者お勧めの記事:

流出ビデオ、アメリカ軍による二人のイラク人ジャーナリスト殺害を明らかに

英語原文

[2010年4月7日]

イラクでの米軍による虐殺暴露を受け、ニューヨーク・タイムズ、WikiLeaksを指弾(拙訳)

英語原文

[2010年4月8日]

WikiLeaks虐殺ビデオに映っていた米兵: “毎日これを思い出している”

英語原文

[2010年4月28日]

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/jun2010/pers-j14.shtml

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全く別の記事Daniel Ellsberg Fears a US Hit on Wikileaks Founder Julian Assangeでは、かつてベトナム戦争を止めさせようとして、秘密文書ペンタゴン・ペーパーズをマスコミに暴露したダニエル・エルズバーク氏が、この件に深い憂慮を示している。

彼に協力し、政権の意思に反抗して記事を掲載してくれた当時の新聞と、Wikileaks、同じような立場にあるという。しかも現政権、「テロと通じている国民を国は暗殺する権利がある」と考えているだけ、始末におえない。

60/70年安保のころより、厳しく締めつけられている日本は、その第一の子分。

1960年6月15日の「安保闘争」、安保改定阻止国民会議の呼びかけにより、全国で580万人が参加したストが行われ、11万人が国会周辺につめかけた。

夜全学連主流派学生が国会構内に突入、警官隊と衝突、東大生の樺美智子が死亡した。

「普天間基地問題を5月末までに決着させる」といって、ぎりぎり最後までひっぱって投げ出し、幹事長と共に辞任。三流雑誌のごとく、表紙だけ取り替えた。

基地問題、安保問題を、従米度がひどかった自民党・公明党政権時代より、更に悪化させておいて、「表紙を変えて、けじめをつけた」というインチキに、手も無くだまされる人など本当にいるのだろうか?政治家・官僚・財界・マスコミ連合、昔の縁日の香具師さんより、はるかに上手。

国会で何の議論もせず、御祝儀相場の支持率で選挙に逃げ込む、これ以上絶妙な選挙タイミングはありえない。

小泉911郵政破壊選挙も上回る巧みな日程・舞台設定。

微調整はあったにせよ、こうした粗筋は始めから全て決まっていたのだろう。

しかも、実に好都合なことに、マスコミは、

    • 口蹄疫
    • 小惑星探査機「はやぶさ」、そして
    • FIFAサッカー
    • 大相撲・野球賭博

報道一辺倒。すべて、Red Herring・争点のすりかえ。目くらまし。

本土マスコミ脳内には、安保条約・普天間基地などこの世に存在しないがごとし。

宗主国・属国支配層の為の広報紙、貧乏人の「声なき声」など聞く耳は持たない。

宗主国・属国支配層の為の広報紙、宗主国・属国支配層の声を伝えるのが仕事。

森田実の時代を斬るの2010/6/14記事 森田実の言わねばならぬ【527】に、全くごもっともな意見があった。

私の友人は、「朝日新聞とテレビ朝日は菅政権の広報部であり政権の用心棒的存在になっているような気がする。朝日新聞には気をつけた方がよい。最近、菅政権擁護が露骨になっている」と言う。調べてみなければならぬ。朝日は戦前も軍部の手先になった。

戦前どころか、今や「永久対テロ戦中」。永久に、金も血も吸い取られる。

今日の同紙、「天声人語」でこそ「安保闘争」に触れているものの、論説では、アメリカ支配層と親しい主筆氏が様々な外国人の意見を駆使して、同盟深化をうたっている。

ねじれた論説、意味がわからなかった貧しい一読者は属国深化と読み変えた。別のページにあった基地問題放置を批判する大江健三郎氏の文章は、すっと頭に入った。

主筆氏のような文章、いまでも大学入試に使われるのだろうか?そういう入試を受けずにすんだことだけは幸に思う。

2010/8/15追記:

WikiLeaksについて、根本的疑問を呈する意見があり、それを翻訳しておられるブログがある。為清勝彦氏のBeyond 5 Senses。

題して 怪しい臭いがするウィキリークスのジュリアン・アサンジ

むしろ、こちらの意見の方が納得して読める。ならずもの帝国の情報攪乱工作、実に巧妙。

英文原題は下記の通り。

Hidden Intelligence Operation Behind the Wikileaks Release of "Secret" Documents?
The real story of Wikileaks has clearly not yet been told.

by F. William Engdahl

http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=20580 他に、原文あり。

2010/11/4追記:NHK、7:30『クローズアップ現代』でWikileaksについて報道。BSでも放送するようだ。

政治家マスコミ連合を、「政治家・官僚・財界・マスコミ連合」とした。

2010年6月14日 (月)

南部キルギスタン: 来るべき紛争の震源地?

2010年5月25日

Aleksandr Shustov

Strategic Culture Foudation

4月7日のクーデター以来、キルギスタン南部では動揺が長引いている。最近、ジャラル・アバド州で、現地のキルギス人とウズベク人住民が衝突したが、免職されたキルギス大統領K. バキエフが暴動を仕組んだのだと広く疑われている。

5月19日未明、最大3,000人がジャラル・アバド市の競馬場に集まった。抗議デモ参加者はこの地方の知事ベクトゥル・アサノフに対する不満を表明し、地域における民族間の緊張をかき立てたかどで、現地の少数派ウズベク人指導者カディルジャン・バティロフの逮捕を要求した。後に群衆はジャラル・アバド中心街に向かって行進した。

途中で、抗議デモ参加者たちは、警察と治安特殊部隊に止められた。人びとは、バキエフ家邸宅があるテイト村の、彼の隣人たちの家、特に打倒された大統領の親戚であるというだけで標的にされた第二次世界大戦に従軍した90歳になるバキエフの伯父の家を焼き討ちしたことに激怒していた。抗議デモ参加者は、住宅はウズベク人であるK. バティロフの命令で焼き払われたのだと信じているが、彼は出来事と一切無関係だと主張している。

ジャラル・アバドの中心街にたどりつけず、知事に訴えそこねたため、群衆はウズベク人のコミュニティー・センターとして機能している現地の大学に向かった。道中、抗議デモ参加者の数は5,000-7,000人にまで増えた。昼までには、群衆が大学のキャンパスに侵入しようとして、治安部隊に投石する中、大学近辺で発砲音が聞こえた。警察は、警告として、空に向けての発砲を余儀なくされ、後に、疑いなくショットガンで武装していた一部の抗議デモ参加者との銃撃戦になった。

5月19日の正午までに、抗議デモ参加者は、K. バティロフの事務所を占拠したが、彼らに対して催涙ガス弾を使用した警察により、速やかに追い出された。同日夜には、抗議デモ参加者2人が死亡し、74人が負傷したことが判明した。暫定政権の代理人で国防相のイスマイル・イサコフは、紛争当事者の双方との交渉を開始し、現地の長老たちの助力を得て、大半の抗議デモ参加者に帰るよう説得するのに成功したが、治安部隊が、従うことを拒否した連中を追い払った。

翌日、ウズベク人コミュニティーは、5月19日の出来事に関し、バキエフ支持者と治安部隊を非難する声明を配布した。治安部隊は、業務を群衆の行進が大学地区に向かうのを防ぐのではなく、キャンパス周辺の警備に限定したことと、キャンパスから、攻撃してきた連中を追い出そうとしていたウズベク人に対して武力を行使したことを批判されている。スザクにおける二人のウズベク人殺害は、ウズベク人による現地警察署の攻撃を誘発する狙いの挑発だと説明されている。暴動は、前政権のもとで、ジャラル・アバドの影の知事役を務めていた元大統領の弟、アフマトが仕組んだもので、彼らが暫定政権を支持しているので、ウズベク人を標的にしたのだと、ウズベク人コミュニティーは考えている。

ジャラル・アバドにおける緊張のおかげで、暫定政府は緊急措置に訴えるよう駆り立てられた。5月19日に非常事態が宣言され、20:00-6:00 夜間外出禁止令が、ジャラル・アバドとその近辺に課された。内務相バキト・アリンベコフが、ジャラル・アバドと、スザク地区の司令官に任命され、国防相イスマイル・イサコフは、暴動を終わらせるのに必要なあらゆる策を実施するよう指示された。暫定政権は、暫定指導者ローザ・オトゥンバエワを、2011年12月31日までのキルギスタン暫定大統領とする布告も発令した。彼女は2007年憲法に従い、選挙が行われるまで、共和国の首相兼大統領としてつとめ、その後は、国民投票によって採択される新憲法に規定されている通りに行動することとなる。彼女がその職に就くにあたって要求されたのは、六月の国民投票における承認待ちであるが、彼女がいかなる政党の党員資格からも離れ、2011年大統領選挙には出馬しないと約束することだ。

もしも暫定政権が、キルギスタン南部における部族間紛争をひき起こそうとする企みを無力化しそこねれば、緊張は内戦に近い性格の紛争へと発展する可能性が高い。1990年のオシ州におけるキルギス人とウズベク人住民の衝突では、数百人が死亡した。万一新たな紛争が勃発すれば、ウズベキスタン、そして、多分、キルギスタンのバトケン州に飛び地ヴォルフを持つタジキスタン共和国も必然的にその紛争に引き込まれるので、ジャラル・アバド地区の紛争のエスカレーションは、中央アジア共和国五ヶ国のうちの三カ国の間で広範な敵意をひき起こし、地域全体の安定性に対する深刻な脅威となろう。

記事原文のurl:en.fondsk.ru/article.php?id=3047

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2010年5月25日記事の翻訳であることをお断りしておく。さすが旧宗主国の分析。(現宗主国が、現属国を分析し、支配する力のすごさが容易に想像できる。)

5月25日に読んでいたが、事態それほど深刻とは知らなかった。

日本では、こうした民族間の衝突は幸にして決して起きない。

とはいえ、来る参院選、前門の虎、後門の狼。

民主党も、自民党も、公明党も、みんなの党、いずれでも、安保堅持、基地堅持、新自由主義、対米従属、消費税引き上げしか選べない。

富裕層への増税や、法人税増税という話題、決してマスコミには載らない。

安保見直し、思いやり予算見直しという話題、決してマスコミには載らない。

既に、日本もアメリカ式二大政党、その実一党独裁国家ではないだろか?

山梨で進次郎対小沢ガールズという見出し。世界に冠たる民度の国を実感する。

どっちもどっち。そうした人びとを選ぶ有権者のすごさに驚嘆!

マッカーサーは帰国後、日本人は12歳の少年のようだと米上院公聴会で証言したそうだが、タイム・マシンで、日本はそのまま止まっているのだろうか?

2010年6月13日 (日)

ヘレン・トーマス、反ユダヤ主義発言で記者クラブ追放

Patrick Martin

2010年6月9日

 

日曜日の反シオニスト発言後、ホワイト・ハウスのベテラン記者ヘレン・トーマスが追放されたのは、ワシントン当局者連中が、政治的に卑劣で、全く体制順応的な環境であることの実物宣伝例に他ならない。彼女の発言がマスコミで広く報じられた翌日、月曜日、ハースト新聞社は、トーマスの“辞任”を発表した。

 

5月27日、ユダヤ人による貢献を記念する月間を祝う式典のためホワイト・ハウスを訪問していたラビのデイビッド・ネセノフに質問されて、89歳のベテラン記者トーマスが発言した。イスラエルについてどう考えているかと質問され、トーマスは答えた。"パレスチナからとにかく出て行くよう言ってください。いいですか、あそこの人々は占領されていて、あそこは彼らの土地なのです。あそこはドイツではありません。あそこはポーランドではありません。" それなら、どこに行くべきなのかと聞かれ、彼女は言った。"祖国に帰れます…ポーランドなり。ドイツなり。そしてアメリカに。そして、どこにでも。それまで何世紀もそこに暮らしていた人々をどうして追い出すのでしょう?"

 

トーマス発言は明白に誤ってはいたが、高齢の記者がちょっと気を許した隙の発言だ。ホワイト・ハウス記者としての何十年もの仕事の上で、アメリカの戦争とイスラエル政策に反対であることで有名な彼女トーマスが反ユダヤ主義者だと言った者など皆無だ。

 

その結果起きたマスコミの騒ぎは予想通り最低だった。トーマスのユダヤ人はドイツやポーランドに帰れという彼女の発言というより、むしろ、パレスチナ人が何世紀も暮らしてきた土地で、占領の下で苦しんでいるという彼女の発言によってひき起こされたのだ。

 

イスラエル権力階級やパレスチナ人の追い立てに内在する基本的な不法行為を巡り、トーマスは怒りをあらわした。それゆえに彼女は、事実上、イスラエル国家の正統性に対するいかなる異議申し立てを禁じるのみならず、アメリカ外交政策の略奪的動機に対するいかなる詮索も認めないという、アメリカ主流マスコミの自己検閲規制を破ったのだ。

 

記者団の古参会員に対するホワイト・ハウス記者団の敵意は、ワシントン・ポストのコラムニスト、ハワード・カーツによるオンライン記事で明らかにされた。“米国政府の中心部では、彼女のイスラエルに対する敵意は、皆が知っていた。彼女は記者職を十年前に辞めているにもかかわらず、記者会見室の最前列席を保ち続けており、同僚記者たちですら、時には、彼女の露骨な偏見にあきれていた。”とカーツは陰険な書き方をしている。

 

カーツが引用した、2006年のニュー・リパブリック記事で、ジョナサン・チェイトは、トーマスをブッシュに尋ねた奇想天外な質問で“錯乱したようにわめきたてる”と罵倒している。(以下の質問だ)“何故アメリカはイラクで人々を殺害しているのですか? イラクでは男性、女性、そして子供が殺され続けています… 非道なことです。”

 

CBS記者のマーク・ノーラーは、トーマスに対するマスコミの敵意の理由について、最も明瞭な発言をし、カーツにこう語っている。“彼女は、どんな硬派記者もしないような、隠された意図や彼女のものの見方を反映した質問をしていた。中には不適切だったと感じていた記者もいた。彼女はコラムニストとして、同室していた他の記者全員が、固守する義務があると感じている、通常の客観性という原則に一切束縛されないと考えており、彼女の質問は時として、他の記者達にとって当惑させられるようなものだった。”

 

彼女がブッシュやオバマ政権の嘘とプロパガンダの実態に対して異議を申し立てた際、彼女の同僚記者達が当惑したのは確実だ。ヘレン・トーマスは自尊心のあるジャーナリストならすべきことをしていたのだ。ホワイト・ハウス記者会見室に居並ぶ、金のために何でもやる連中やサクラ連中には、あえてそんなことをするメンバーなどいまい。

 

トーマスはアメリカ合州国で最も古いアラブ系アメリカ人のコミュニティーであるデトロイト東部のレバノン人移民家庭に生まれた。彼女は中東におけるイスラエルとアメリカ軍の介入に長らく批判的だった。彼女は、大手通信社、放送局や新聞の社員としては、女性ジャーナリストの草分け、最初の女性ホワイト・ハウス記者で、ホワイト・ハウス記者クラブ会長をつとめた最初の女性でもあった。2000年に長らく勤務していたUPIが極右の「統一教会」に買収された際、抗議としてUPIを辞め、ハーストで働くようになった。

 

ワシントン界でも、最も憎むべき二人の人物、元ブッシュ政権スポークスマンで、現在スポーツとエンタテインメントの会社で働いているアリ・フレイシャーと、クリントン政権時のホワイト・ハウス側近で、昨年ホンジュラスの臨時軍事政府のため、ワシントンにおけるスポークスマンとして働いたラニー・デイビスが反トーマス・キャンペーンの陣頭指揮を執った。

 

彼女の辞任が発表された後、右派ブルジョア世論に順応するという彼一流の直感で、オバマ大統領は反トーマス感情のうねりに加わり、イスラエルに関する彼女の発言は“攻撃的で”あり、彼女がハースト社を辞職したのは“正しい判断”だと述べた。

 

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/jun2010/thom-j09.shtml

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記者クラブのお手本ここにあり!

 

アメリカ・イスラエル、よく似た出自の国は、強い絆で結ばれている。

 

自国成立の「基本的事実」に、アメリカ・マスコミは決して触れない。

安保条約下の属国状態に、日本・マスコミは決して触れない。

属国マスコミの方針は宗主国マスコミの方針を模倣するだろう。

属国マスコミの品質は宗主国マスコミの品質を超えないだろう。

 

とは言え、マスコミが言わず・書かないからとて、描かれない事実が存在していないということにはなるまい。

 

この頃、講読を申し込んでいない新聞が、連日、新聞受けに投入される。

 

金を払えと恫喝に来たら、ドアは開けないよう家人にきつく言ってある。

 

もしも裕福であれば沖縄の新聞を購読しているところだ。

2010年6月12日 (土)

1953年のCIAによるイラン・デモクラシー打倒から、イラク戦争、メキシコ湾の犯罪的惨事と死に至るまで、BPは現場に居合わせた

Mark Karlin

Buzzflash

2010-05-30

1901年、中東で始めて、イギリスによって石油が採掘された時(当時、世界を支配していた海軍艦隊を石炭から石油に転換させる過程にあり、石油が欲しくてたまらなかったのだ)から、1953年、イランの非宗教的な民主的指導者モハメド・モサデクの打倒、更にはイラク戦争、そしてメキシコ湾の犯罪的な環境大災害に至るまで、線を引いたとすると、BPは、いつもそこに居合わせることとなる。

だが、世界で四番目に巨大な企業は、ずっとBPと呼ばれてきたわけではない。この会社はかつてはイギリス政府に所有されていた(海軍の無敵艦隊は石油が不可欠であることを想起されたい)。西欧風のイラン指導者モサデクが、イギリスが100%所有し、経営していたイランにおける巨大石油利権会社を国有化し、西欧が会社を全く所有できなくなるよう望んでいた為、CIAがイギリスと協力した際に、同社はアングロ・イラニアン・オイル・カンパニーと改名した。そこで、アイゼンハワーは"アイアス(英語ではエイジャックス)作戦" を承認し、イランのシャーが権力に据えられ、常に完全にアメリカによって支援され、恐れられたSAVAKを用いて強権支配し、それが今も我々が直面している過激な神権政治革命を招いたのだ。1954年正式に現在の社名を採用したBPは、いつもそこにいた。

西欧に石油を供給するための、中東の事実上の植民地化をしている間、ずっとBPは居合わせたのであり、手に負えない国家を、行儀良くさせておく上でイギリスとアメリカは強力なパートナーであり続けている。これがイラク戦争をひき起こし、イラク油田を捕獲するという、チェイニーの秘密石油委員会による計画や、戦争は聖書上、正当化できるというブッシュの信念に、トニー・ブレアが余りに熱心に協力するのに、多くのアメリカ人やイギリス人が当惑した理由なのだ。BPはイギリス最大の企業であり、世界で三番目に大きいエネルギー企業だ。何か他にご質問はお持ちだろうか?

BPとアメリカにおける同社の片割れは、エネルギー政策について、政府を支配している企業寡頭勢力の一部なのだ。連中は主権国家の命令を聞くことはしない。連中が国家に命令するのだ。彼らは選挙で選ばれるわけではないが、何千億ドルもの収入と利益があるので、石油政策に関しては彼らが取り仕切れる。そして、利潤第一だ。命や、自由や、幸福の探求などどうでもよい。石油が彼らの金(きん)なのだ。我々は、いつでも他の消費者と置き換えることができる消費者で、石油会社という世界の覇者の奴隷に過ぎないのだ。連中の違法行為、強欲と犯罪的行為、国々に戦争をさせ、民主的に選出された指導者を打倒し、想像を超える規模の公害をひき起こしても、のうのうとしていられる連中の能力に歯止めをかけるものなど存在しない。

一世紀以上にわたり、アメリカやイギリスの兵士たちが石油の為に死んだ際、公害や毒物が解き放たれて、海岸を破壊した際、住民たちが石油精製の過程や石油流出によってひき起こされた癌で亡くなった際、議会とホワイト・ハウスが規制を緩和し、向こう見ずで、甚だしく害を及ぼすような行為ができるようにした際には、必ずやBPはアメリカの相方と共にあった。こうした企業は余りに巨大で、法律や政府による規制の適用を受けない。

ほとんどのアメリカの大統領と議会 -- とりわけブッシュ/チェイニー大統領府は、石油会社と石油資源の支配は、アメリカ経済の存亡にとって絶対に手放せないものだと考えている。その結果、石油会社や、石油会社を支援する二次的な企業、つまりハリバートンやトランスオーシャン等が支配をし、アメリカとイギリスに競争させることが可能になるのだ。イギリスでは、外交政策、掘削や、石油にまつわる全てに関する限り、BPこそがイギリス首相官邸の黒幕なのだ。それが、なぜトニー・ブレアがブッシュ/チェイニー(そしてラムズフェルドの)イラク攻撃への参加を拒否できなかったかという理由だ。

それがメキシコ湾における大事故を招いたのだ。もちろん、油井が爆発した場合の対策を考えるには余りに深すぎる沖の海底で、BPは掘削していた。もちろん、命や環境よりも儲けが大事だと連中が考えていることを示すメモがあった。 もちろん、油井が爆発し、10人以上が亡くなった瞬間から、石油汚染の規模や、惨事を修復する能力について、連中は嘘をつき続けてきた。それが彼らの仕事なのだ。連中の前の会社がイランで探鉱を始めた1901年以来ずっとのことなのだ。鉄の女、マーガレット・サッチャーが"君臨" していた間にBP民営化を認めると、同社は素早く、まるでパックマンのように、AMOCOを含め、いくつか他の石油会社を飲み込んだ。

一世紀以上にわたり、自らの国の運命は国民が決定するという民主的原理で創設された国家の民である我々は、石油があろうと、見つかろうと、石油獲得を巡る戦争の将棋の駒に過ぎないのだ。

石油による統治から国民による統治への権力移行の見込みは、日々、暗くなりつつあるようだ。

記事原文のurl:blog.buzzflash.com/editorblog/312

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遠い昔高校時代、地理の授業で、石油やBPに繰り返し触れられたのを思い出した。webで検索した所、先生の名前が見つかった。いつかご著書を読んでみたいものだ。

亀井辞任はあっても、連立は続ける国民新党。小泉元首相が官僚と推進した郵政破壊、とめられるのだろうか?いくら、市民運動出身の首相といっても、日本の市民運動の主張は無視し、宗主国支配層のお言葉を実行するだけのことだろう。

アメリカ、イギリスの石油確保作戦の軍隊支援(普天間基地・安保問題)のみならず、戦争資金もよこせということで、郵政破壊が継続推進されるのではないだろうか?と貧乏人は心配になる。

ところが、商業新聞、民主党絶賛一辺倒、普天間基地・安保問題など解決したがごとく、口蹄疫か、ネルソン・マンデラの国で開かれるサッカー大会記事しかない。

一方、ブログは偉大な元幹事長が復帰すれば、全て解決するかのごとき「奇跡願望」だらけ。デウス・エクス・マキナ。現実社会、水戸黄門テレビではないだろう。

政権の首のすげ替え、テレビや新聞を真面目に読まない素人には、元幹事長による選挙目当ての芝居としか思えない。

多数さえ確保できれば、また安心して、従米・日本破壊政策を更に強力に推進してくださるに違いない。

屁理屈「抑止力」ではないが、人はどうして幻・夢のような話に憧れるのだろう?

そもそも、小選挙区制度を導入して、小泉郵政911選挙やら、この状況を、狙い通りに実現したご本人に、皆様一体何を期待しておられるのだろう?

ヒトラーを選んだドイツの状況が、この国で繰り返される。二度目の茶番として。

ところで、アメリカ、イギリスの石油確保作戦の軍隊支援ということで、前の記事で触れた伊勢崎氏の発言に関しコメントをいただいた。転記させていただこう。

私も半年ほど前から伊勢崎氏を警戒しています。それまでは、アフガニスタンで武装解除を成功させたという実績と、伊勢崎氏の「紛争の実態と反戦の論理」(『「いのち」から現代社会を考える』所収)という論文に感銘を受けていました。

きっかけは『平和構築』(東大作著)でした。彼が指揮したDIAGは旧国軍だけが対象で、無数にある地方軍閥の解体はおこなわれなかったということを知り、彼の業績は誇張されているのではないかという疑いを持ちました。その後に読んだ『知ってほしいアフガニスタン』(レシャード・カレッド著)のなかにも「DDRの想定期間中に6万人が武器供出...しかし登録されていない人々がまだその倍もいる現実では成功したとは言えない」との記述がありました。

それで、ネットでアフガニスタンに関する彼のインタビューVTRや記事に目を通してみたのです(彼の書籍は読んでいません)。具体的な内容は覚えていませんが、情報の偏りにすぐ気づきました。ネット上のアフガン情報を読むだけの私よりずっと良質な情報を数多く入手できる立場なのになぜ? 情報操作だと思いました。政府寄りの見解を発信するためでしょうか。

分かりやすい例は給油活動。伊勢崎氏はマガジン9条「アフガニスタン問題は、今。」のなかで、「インド洋で給油活動はやっていたけど、それはまったく知られていないし」とおっしゃっていますが、ジャーナリストの西谷文和氏は2009年6月13日付のブログで「米軍に給油していることは、ほとんど全てのアフガン人に「ばれてしまって」いる」と(彼が取材した人の殆ど全員は知っていたという意味だと思われます)。中村哲氏は『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』のなかで、「おそらく次の世代のアフガン人は、欧米人と日本人を同じと見る」と。自衛隊がアフガニスタンに行っても攻撃されないという神話を日本に根付かせる意図でもあるのでしょうか(この記事では、タリバンに関する説明にも腑に落ちないところがあります。)

私はDIAGが十分な成果を上げなかったことを批判するつもりはありません。困難なプロジェクトですから。しかし、成功したかのようにご本人が振る舞っておられることには違和感があります。加えて、私は伊勢崎氏の一般論としての平和構築プロセスは必ずしも間違っているとは言えないとも思っています(ケースバイケースで)。ただ、宗主国好みの"国際貢献"をしたい日本政府や伊勢崎氏の野心を満足させるための"アフガニスタン"とやらは、現実のアフガニスタンではありません。"アフガニスタン"をベースにして組んだ"平和構築プロジェクト"は、たとえそれが緻密なものであっても、みんな(少数の利害関係者を除く)を不幸にする砂上の楼閣で終わる気がするのです。

伊勢崎賢治氏の新刊『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』はmedia debugger氏が「伊勢崎構想」とは何か――「平和国家」日本にしかできない「対テロ戦争」で、厳しく批判しておられる。読まずに文句を言うのも気が引けるので、購入してみたが、media debugger氏がおっしゃる通りだ。「かもがわ出版」という、加藤周一本を多数だしている出版社からこういう本がでるというのは、出版界も末期症状なのだろうか?

上記コメントの他にも、「伊勢崎氏個人が現場に入るのと、自衛隊が現場に入るのでは、状況は全く違うだろう」と懸念される、事情通の方からもメールを頂いている。

『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る――アフガンとの約束』中村哲・澤地久枝著を読んで、精神のバランスを回復しようと試みている。(こちらは素晴らしい本だ。)

アフガン支援策立案、伊勢崎氏ではなく、中村哲氏にお願いしたいと思う。

2010年6月10日 (木)

アフガニスタン: チャーリー・ウィルソンとアメリカの30年戦争

Stop NATO

2010年2月15日

Rick Rozoff

2月13日、アメリカ合州国とNATOは、15,000人の西欧、及びアフガニスタン政府軍兵士によって、ヘルマンド州にある人口75,000人の都市マルジャへの攻撃を開始した。民間人5人あたり、兵士一人だ。攻撃に参加したNATO分遣隊には、イギリス、カナダ、デンマーク、エストニアとアメリカの兵士がいた。

大規模攻撃、“多国籍軍によって行われるアフガニスタンで最大規模の空爆襲”開始早々 [1] NATO高機動ロケット砲システムが発射した二機のロケットが、マルジャ外にある家に命中し、12人の民間人を殺害した。アフガニスタン駐留アメリカおよびNATO全軍の指揮者スタンリー・マクリスタル大将は、事件は“残念なことだ”と語った。

あるイギリス新聞の記事は攻勢開始後の町の状況をこう書いている。“人口の多いタリバンの牙城マルジャはゴーストタウンと化した。店舗は閉じられ、通りは人っ子一人なく、大半の住民は、一体自分たちの‘運命の日’はいつやってくるのかといぶかりながら泥れんが造りの家に引きこもっていた。” [2]

2001年10月始めに、アフガニスタン戦争が開始されて以来、アメリカとNATO同盟諸国が行うものの中で最大の作戦だ。アメリカのバラク・オバマ大統領が昨年12月3日に、ウエストポイント陸軍士官学校で発表した、アフガニスタンでの対内乱戦争、エスカレーション計画の中で、火蓋を切る攻撃ご。[3]

オバマの戦略は、2009年8月30日に刊行されたマクリスタル大将のCOMISAF(国際治安支援部隊司令官)初期評価に基づいている。文書で、元アメリカ統合特殊作戦軍司令官の地位から、アフガニスタン駐留アメリカ軍とNATO軍の責任者となったマクリスタルが、対テロ戦略として指定されていたものを、対内乱戦略へと移行させる為の青写真を提示していた。

敵がいない戦争というものは存在せず、マクリスタルは、150,000人以上のアメリカとNATOの兵士が間もなく遂行するはずの作戦の標的を明らかにした。“任務に対する脅威の大きさの順位で、主要な武装反抗勢力集団をあげると以下の通り。クエッタ・シューラ・タリバン (05T)、ハッカニ・ネットワーク(HQN)、そしてヘズブ-エ・イスラミ・グルブッディーン(HiG).” [4]

最後の二つの集団は、それぞれその創始者・指導者であるジャラルディン・ハッカニ、グルブッディーン・ヘクマティヤールにちなんで名付けられている。

ハッカニとヘクマティヤールは、旧友・仲間を、2月10日、に失った。12期つとめた元アメリカ下院議員チャーリー・ウィルソンだ。2007-2008年で最も当たったアメリカ映画の一つ『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』のヒーローである彼は、マスコミや、ハッカニやヘクマティヤール等、更にはオサマ・ビン・ラディンを武装させ、訓練する上での元のパートナー、1986年から1989年まで、中央情報局副長官をつとめ、現アメリカ国防長官ロバート・ゲーツによって、絶賛されている。彼は、1999年のある演説で、“CIAには秘密行動で、重要な成功をしている。全ての中でも、おそらく最も重大なものはアフガニスタンで、CIAがトップの指揮下、ムジャヒディン用の備品と兵器に何十億ドルもそそぎ込んだ件だ…”と語っている。[5]

ゲーツはCIAによって遂行され、実際、あらゆる機関や国家の作戦として最大の秘密作戦であるオペレーション・サイクロンのことを言っていたのだ。ジョージ・クライルの映画『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』が基にした本の完全な原題は『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』: 歴史上最大の秘密作戦の並ならぬ物語。

パキスタンを本拠とするムジャヒディンを武装させるために提供したとゲーツが自慢する何十億ドルの大部分が、グルブッディーン・ヘクマティヤールとジャラルディン・ハッカニに向けられていたのだ。この二人は現在、同じペンタゴンによって、ゲーツが率いる世界最大かつ最長の戦争の、三人いる標的の二人として特定されている。

チャーリー・ウィルソンが亡くなった日、ゲーツは彼を“ソ連占領からアフガニスタンを解放した”“類まれな愛国者”だと讃えた。 [6] 2月23日、ウィルソンはアーリントン国立墓地で軍葬の礼を受ける。

ゲーツが元の同僚を、ヘクマティヤールとハッカニの軍勢を武装させ、訓練する上で、決定的な役割を果たしたと称賛している通り、ウィルソンはこの二人を感情むき出しにして讃えていた。

1979-1992年の第一次アフガニスタン戦争の間、ウィルソンは1987年に東部アフガニスタンで、ジャラルディン・ハッカニの客人となり、もてなし役のことを“親切の権化”だと表現した。2001年9月11日の後、アメリカの最重要指名手配者リスト中で、ハッカニが、オサマ・ビン・ラディンとムラー・ムハンマド・オマールに次ぐ三番目に載せられた際、ウィルソンは言った。“少しは考える機会になった。しかしハッカニは私の世話をしてくれたし、私は決してそれを忘れない。是非また会いたいものだ。私は彼にタリバンは破壊勢力だと説得したいものだが、彼は決してそうではなかったのだ。” [7]

旧交こそ最も堅固。

ウィルソン逝去から二日後の、ロンドンのタイムズ紙論説は、アメリカのマスコミの、異口同音に称賛する死亡記事や賛辞よりもずっと慎重だった。1950年代の朝鮮とマレー以来、どの紛争よりもアフガニスタンで、より多くの兵士を亡くしているイギリスは、“ソ連の脅威を打ち破るのを助けるため、チャーリー・ウィルソンは怪物を解き放った。アフガニスタンで彼が提供した資金を使って戦った聖戦の司令官達は、この下院議員のことを懐かしく思い出している。彼の同胞アメリカ兵は、ウィルソンが武装するのを支援したゲリラと現在戦っており、彼らによって苦しまされている民間人は、彼の業績をより控えめに評価するだろう。”と読者に指摘している。[8]

記事には更にこうある。

“ウィルソンは、かつて軍閥のジャラルディン・ハッカニを‘親切の権化’だと表現した。現在この古参司令官は、アメリカの最重要指名手配テロリストの一人だ。

“1980年代には、オサマ・ビン・ラディンと密接なつながりをもった自称聖戦士たちが、アラブ人とアフガニスタン人の志願兵を対ソ連軍の戦闘に送り込むために、何百万ドルものアメリカの税金を得ていた。CIAは彼の盟友だった。グルブッディーン・ヘクマティヤールも、ウィルソンの資金を供給されていたイスラム教徒の司令官だ。現在、二人とも、アメリカ、アフガニスタンと多国籍軍に対する無数の攻撃を行っている過激派ネットワークの責任者だ”

タイムズ紙はヘクマティヤールの元同僚がチャーリー・ウィルソンのことを、“彼は本当にムジャヒディーンを助けてくれた。”と語っているのを引用している [9]

別のイギリス日刊紙、テレグラフも、ウィルソンの死去について、2月12日にこう書いている。“『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』は、オサマ・ビン・ラディンをまずパキスタンのペシャワールに、更にアラブ人聖戦戦士とともに、アフガニスタンへと呼び入れた。主要な受益者の一人は、グルブッディーン・ヘクマティヤールで、彼のヘズブ-イ-イスラミ戦士が、現在タリバンが率いる武装反抗集団の中でも最も破壊的な派閥の一つを形成している….” [10]

2003年、アメリカ国務省は、アメリカの過去最大の軍・諜報秘密作戦の主要受益者ヘクマティヤールを“特別指定グローバ国際テロリスト”に指定した。 [11]

チャーリー・ウィルソンとロバート・ゲーツが何十億ドルを費やし、“解放する”ため、兵器備蓄を提供したハッカニはいまでもアフガニスタンで活動している。

インドのある通信社は年頭にこう書いた“今週、東部アフガニスタンで、7人のCIA職員が死亡した自爆攻撃は、驚くべきことに、軍閥でかつての主要なCIAの同盟者だったジャラルディン・ハッカニが陰で糸を引いていたことがわかった。”

“1980年代、ハッカニは、アフガニスタンで、西欧の支援を得て、ソ連に対して戦う尊敬すべき司令官だった。ソ連撤退後、彼は占領後の政府を構成した、アメリカに承認された連立政権のメンバーになった。” [12]

彼らの子分であるムジャヒディン連中が、1992年にアフガニスタンを支配するのをアメリカが支援したすぐ後の、1993-1994年、グルブッディーン・ヘクマティヤールは、かろうじて残っていたアフガニスタンの首相となった。

過去30年間で、アメリカが、アフガニスタンで犯した唯一の過ちは、ごく大雑把に表現すれば“仕事をやり遂げるまで、居続けなかったことだ”という、チャーリー・ウィルソンや、最近ではヒラリー・クリントン国務長官が繰り返している発言に関連して、アフガニスタン民主共和国崩壊の後におきた内輪同士の虐殺や、暴力的な無政府状態の首謀者としての、ヘクマティヤールとハッカニの役割は想起する価値がある。ワシントンが現在“是正しつつある”行為は、まさにこの過失に他ならない。ウィルソンが思い描いていた事後の補足作業は、1992年以後アフガニスタン政権の指導者となったヘクマティヤールやハッカニの類への武装、資金提供の継続だった。

アメリカとNATO軍が、それに対し8年以上の戦争を遂行している現代の主要武装反抗勢力三集団中、二つの軍事力を築きあげる上で、ウィルソンの主要パートナーだったガスト・アブラコトスも、2007年の映画『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』中で現代アメリカの“欠点はあるが愛すべき”型破りなヒーロー/アンチヒーローとして称賛されている。

2005年に亡くなった“CIA史上最大の秘密作戦を行ったアブラコトスは、倫理的に曖昧な任務を進んで扱うことから‘ダーティ博士とあだ名をつけられていた…。テキサス州選出の元民主党下院議員チャールズ・ウィルソンと共に、アブラコトスは結局CIAの秘密作戦用年間支出の70パーセント以上を支配し、代理人を経由して、その資金をムジャヒディーンに注ぎ込んだ。” [13]

彼とウィルソンがパキスタンを本拠とする彼らの同盟者たちに渡した兵器は、“後に、タリバンが支配を確立する前に、アフガニスタンでの同胞相争う戦争で使用された。

“アメリカ合州国が、2001年に、アフガニスタン戦争を始めた際、アメリカ軍支援用でも、反米闘争用でも、これらの兵器は恐らく、いまだに使用されていると評論家は語っている。” [14]

ジョージ・クリルの本は、グルブッディーン・ヘクマティヤールとジャラルディン・ハッカニは、ウィルソンと、ロバート・ゲーツを含むCIA内での彼の相手役が確保した、アメリカ軍からの援助の主な受益者であることを書いているのだが、映画版では、いずれも触れられていない。

映画評論の一つは指摘している“制作者たちは…ならず者の勢力がアフガニスタンを支配したことからソ連・アフガニスタン戦争後に生じたアフガニスタンでの混乱をほのめかしてはいるが、CIAが彼らに(高性能爆弾の専門技術を含む)テロ手法訓練を施したことによる影響を無視している。” [15]

2008年のU.S.ニューズ&ワールド・リポートのある号は、ウィルソンと、ヘクマティヤール、ハッカニの二人との関係と、この二人の現在の活動について詳細を報じていた。

“ここ数週間、ヘクマティヤールは、パキスタン人過激派にアメリカの標的を攻撃するよう呼びかけており、ハッカニ・ネットワークは、三件の大規模車輛爆破や、4月の[アフガニスタン大統領ハミド・]カルザイ暗殺未遂事件を実行したとして非難されている…。現在、アフガニスタンにおけるアメリカの最重要指名手配者リストのトップにあるこの二人の軍閥は、アメリカが最も高く評価した同盟者たちだった。”

“1980年代、CIAは、彼らがソ連軍と戦うのを支援するため、兵器と弾薬に何億ドルも注ぎ込んだ…。ヘクマティヤールは、当時ワシントンによって、信頼に足る対ソ連反逆者として広く認められており、1985年、CIAによってアメリカ合州国まで飛行機で連れてこられさえした。

“‘彼は過激派中の過激派だった”と元下院議員チャーリー・ウィルソンは回想している…”

“アメリカの当局者達は、ハッカニを更に高く評価しており、彼は最も有能な反逆者軍閥だと見なされていた。‘私はハッカニが大好きだった。私がアフガニスタンにいた間、ハッカニが私が確実に脱出できるようにしてくれていた。’とウィルソンは語っている。‘彼は素晴らしい指導者であり、彼の領土では、大いに愛されていた。’

“ハッカニは、いわゆるアラブ系アフガニスタン人の主要な提唱者の一人でもあり、ソ連に対する聖戦を遂行するためにやってくるアラブ人義勇戦士を手際よく組織し、将来のアルカイダ指導者オサマ・ビン・ラディンを守るのを助けた。” [16]

これまでに見た通り、“並外れた愛国者”ウィルソンは、終生ジャラルディン・ハッカニが大好きだった。先に引用したタイム紙の死亡記事が書いている通り、“ウィルソンの友人の一部が、間もなくまたもやアメリカの友人となる可能性もある。” [17]

ウィルソンのもう一人のパートナー、グルブッディーン・ヘクマティヤール“は…有名なアヘン密輸業者・軍閥で、ベールを被らない女性たちの顔に酸を噴きつけたとも言われている。カザフスタン、アゼルバイジャンとウズベキスタンで、共産主義を撃退するために、対ソ連戦争を、中央アジアにまで拡げたいと望んで、CIA(彼の性格の一部をさらけ出して)を感心させたと言われてはいるが、[ヘクマティヤールの]仲間の一人は、彼のことを‘本物の怪物と呼んでいる。

“あるCIA幹部は語っている。‘できるだけ多くのロシア人を殺したかったのだが、ヘクマティヤールはそれをしてくれそうな男に見えた。’” [18]

最後から二つ目の段落は、ソ連軍をアフガニスタンから追い出し、アフガニスタン政府を打倒し、CIAの子分であるムジャヒディンを権力につけるというだけでなく、戦争をソ連国内にまで拡張するという、第一次米・アフガニスタン戦争のもう一つの側面を明らかにしている。

映画『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』が、2007年末に公開された後、アフガニスタンにおける、アメリカに対する現在の敵対者を武装させるのに尽力した、別のアメリカ人当局者による説明があらわれた。ポール・ケンゴールとパトリシア・クラーク・デルナーが書いた本『ザ・ジャッジ: ウイリアム・P・クラーク、ロナルド・レーガンの右腕』は、1982年-1983年、ロナルド・レーガン大統領の国家安全保障顧問だった人物の役割と“アフガニスタン人の反逆者たちから、ポーランド人の反逆者、更にはニカラグア人の反逆者、その他諸々の連中に成り代わっておこなった彼の仕事”の詳細を描きだしている。

この本についてのある書評は、“クラークとレーガンが、 [ムジャヒディーンの]反体制派に、アフガニスタンとソ連邦のウズベキスタン共和国との国境であるアムダリヤ河を渡ることを秘かに承認し、この反体制派はソ連領土内でソ連と戦った…。特別に訓練され、CIAから入手したハイテク爆弾を装備した反体制派部隊は、ソビエト連邦内で活動し、ソ連の標的を破壊した。連中は列車を脱線させ、国境駐屯地を攻撃し、地雷を敷設した。”ことを明らかにしている。[19]

本から一部を引用するとこうだ“こうした活動は際立って大胆で危険な動きで、40年間の冷戦史上で、最も危険な行動の一つ…。”[20]

ウィルソンの活動に関する別の説明にはこうある。“パキスタン野営地のムジャヒディンは、自動車爆弾、自転車爆弾、ラクダ爆弾や暗殺に関する教育を受け、都市型テロ戦争を遂行するよう訓練されていた。チャーリー・ウィルソンによれば、これは倫理的には曖昧な現代の聖戦だった。” [21] (ウィルソンの名前と、倫理に関するさりげない言及が、同一文章中で結びつけられているのは驚くべきことだ。テキサス州の貧しい下院の選挙区から選出されていたにもかかわらず、ウィルソンが、世界中を物見遊山し、愛人をとっかえひっかえし、アルコール、コカインと、ありとあらゆる種類の放蕩に何百万ドルも費やしたことを思い出せば十分だろう。)

強烈なアメリカ愛国者で映画のヒーロー、ウィルソンは、1980年代の自分の取り組みについてこう語っている。“これは、やつらが我々の若者を遺体袋で送り帰したように、ソ連の若者を遺体袋で送り帰してやる好機だ。これをソ連のベトナムにしてやろう。” [22]

ハリウッドがウィルソンを名士扱いした数週間後、1981年に始めてアフガニスタンの首都に入ることを認められたアメリカ人ジャーナリストで、後に『見えざる歴史:アフガニスタンの語られざる歴史』の著者となった、ポール・フィッツジェラルドとエリザベス・グールドは、広まるウィルソン神話の偽りを暴く手紙をボストン・グローブに書き送った。

二人の著者は言う。“ソ連のアフガニスタン侵略を巡って練り上げられたアメリカの偽情報宣伝工作が、いまだに生き続けていることに私たちは驚かされどおしでした。

“事実: ムジャヒディンへの秘密資金供給は、ソ連侵略後ではなく、そのずっと以前から始まっていたのだ。

“事実: この秘密援助は、ウィルソンが主張しているように、ソ連を追い出すのではなく、連中をアフガニスタンという罠に引きずり込み、そこに貼り付けておくことを意図していたのだ。

“何十億ドルもする、イスラム・テロ用の頑丈な技術訓練基地を提供し、歴史的な規模での、ヘロイン産業の民営化のための舞台を用意して、ウィルソンの戦争が、アフガニスタンの苦悶を更に6年間引き延ばしたことがしっかり実証されている。

“問題は、そもそもアフガニスタンを今日に至るまで、壮絶な流血の場所にしてしまった、アメリカの冷戦政策立案者達が策定した概念的枠組みにあった。” [23]

この二人の2009年の著書『アフガニスタンの語られざる物語』に対するある批評には下記のような詳細が描かれている。

“そもそもアフガニスタンに引きずり込むためには骨身を惜しまない(1973年という早い時期に始まっている)アメリカは、連中の代理人であるムジャヒディンが‘悪の帝国’に対し致命的な一撃を食らわせることができるよう、ソ連に居ついて欲しかったのだ。

“冷戦が深化し、アフガニスタンがソ連に近寄ると、同国へのアメリカの関心は、それに比例して深まった。間もなくアフガニスタンは、そこでワシントンの冷戦政策立案者達の白日夢が展開される戦場となる。

“見えざる歴史は、アメリカによる秘密の介入が、1973年という早い時期に、どのように、ニクソン大統領の下で始まり、モハンマド・ダウドによるザヒル・シャー王追放が続いたかを示している。ソ連に連中のベトナム戦争をくれてやるためのそのような計画が、‘中国-イラン-パキスタン-アラビア半島枢軸’の一部として進行している中、アメリカはベトナム戦争から抜けだせてさえいなかった。” [24]

1999年のル・ヌーベル・オブゼルヴァトゥールの、アメリカのアフガニスタン介入を構想した本人、元カーター政権の国家安全保障顧問、ズビグニュー・ブレジンスキーとのインタビュー記事の、ウイリアム・ブルムによる翻訳はフィッツジェラルドとグールドの主張を裏付けている。

彼は以下のことを認めている。

“公式説明によれば、ムジャヒディンに対する、CIAの支援は1980年、つまり、1979年12月24日に、ソ連軍がアフガニスタンを侵略した後に、始まったことになっている。しかし、本当はこれまで秘密に保たれてきたが、全く逆なのだ。実際、1979年7月3日に、カーター大統領は、カーブルの親ソ連政権に反対する連中への秘密援助の、最初の命令に署名した。そしてまさにその日、この援助はソ連の軍事介入をひき起こすだろうと私は考えていると説明するメモを大統領に書いた。

“あの秘密作戦は、素晴らしい発想だった。ロシアを、アフガニスタンという罠に引きずり込む効果があったのに、後悔しろというのか? ソ連が公式に国境を越えた日、私は、カーター大統領にメモを書いた。ソビエト社会主義共和国連邦に、自前のベトナム戦争をくれてやる好機です。”

“世界史にとって、何が一番重要だろう? タリバンと、ソ連帝国の崩壊? 熱狂したイスラム教徒連中、中欧の解放と、冷戦の終焉?” [25]

公開から数ヶ月後、数千万人のアメリカ人が鑑賞し、鑑賞した人々のほぼ全員が大なり小なりその作品を認めた、チャーリー・ウィルソンを有名人にした映画の中で、ウィルソンは、“他のやり方をしたであろうようなことは何一つ思いつけない。”と語っていた。

彼にインタビューし、発言を引きだした新聞は、こう書いた。“テキサス州選出の元アメリカ国会議員が、武装を支援したムジャヒディーン・ゲリラの多くが…まさにタリバン指導者となり、暴力的で過激なイスラム原理主義を形成し、アフガニスタンを支配した…などどうでもよい。タリバンやアル-カイダの勃興などどうでもよい。” [26]

2006年始め、ユニバーサル・ピクチャーズが、『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』の映画化権を獲得したという発表に関するニュース記事は、“CIAによって武器を与えられた連中の多くが、やがてタリバンの用心棒やオサマ・ビン・ラディンの保護者になった”と、ついでのように言及していた [27]

ウィルソンはブレジンスキー同様、後悔はしていない。彼が1980年代にパキスタンで、その訓練と武装を手配した残虐なゲリラが、アフガニスタンとその国民に対して行ったことに何の後悔もしていない。彼等の中にいた外国人戦士達が、中央アジア、カフカス、バルカン半島、北アフリカ、中東や東南アジアに散会したことに何の後悔もしていない。

帝国の建設者たちには、後悔などする暇も趣味もない。大量破壊兵器、麻薬、そして今度は海賊行為等と、曖昧かつ都合良く関連したテロ/対テロ戦略によって、過去十年間だけでも、アメリカとNATO同盟諸国は、軍事基地と野営地を、アフガニスタン、パキスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、フィリピン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦、イエメン、ジブチ、セーシェル、ウガンダ、マリ、ブルガリア、ルーマニアやコロンビアに獲得した。

アフガニスタン駐留のアメリカおよびNATO軍兵士の人数は、間もなく1980年代のソ連軍兵士の数を越えることになる。50ヶ国からの150,000人だ。西欧の軍隊は、いかなる政府や、政治派閥によって、アフガニスタンに招かれたわけではないのだ。連邦議会には、外国占領軍の強制的排除を要求するチャーリー・ウィルソンなどおらず、外国軍の平和的撤退さえも要求する議員すらいない。

しかし、二つ目のベトナム型戦争を生み出すという、ウィルソンの計画は実現されたといえるのかも知れない。アメリカにとって二つ目のベトナムが。

1) AFP/ロイター、2010年2月14日

2) インデペンデント、2010年2月15日

3) ノーベル賞委員会、戦争を平和だとして祝賀 Stop NATO、2009年12月8日

http://rickrozoff.wordpress.com/2009/12/08/nobel-committee-celebrates-war-as-peace

5) ワシントン・ポスト、2009年9月21日

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/09/21/AR2009092100110.html

5) BBCニュース、2010年12月1日

6) アメリカ国防省、2010年2月11日

7) The Times (ロンドン)、2008年1月12日

8) The Times、2010年2月12日

9) 同上

10) テレグラフ、2010年2月12日

11) アメリカ合州国 国務省、2003年2月19日

12) Asian News International、2010年1月2日

13) ワシントン・ポスト、2005年12月26日

14) 同上

15) ジェレミー・クズマロフ、『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』、帝国主義文化と歴史の歪曲 History News Network、2007年12月31、

16) U.S. News & World Report、2008年7月11日

17) タイムズ、2010年2月12日

18) History News Network、2007年12月31日

19) ヴィレッジ・ニューズ(カリフォルニア)、2008年1月10日

20) 同上

21) Myra MacDonald、アメリカのアフガニスタン戦争再訪

ロイター、2008年9月26日

22) 同上

23) ボストン・グローブ、2008年1月11日

24) Anthony Fenton、アフガニスタン・プロパガンダの陰に Asia Times、2009年5月2日

25) http://www.globalresearch.ca/articles/BRZ110A.html

26) ソルト・レーク・トリビューン、2008年4月23日

27) ロイター、2006年1月11日

記事原文のurl:rickrozoff.wordpress.com/2010/02/15/afghanistan-charlie-wilson-and-americas-30-year-war/

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アフガニスタンで開催されていた、和平ジルガが終わった。タリバンは参加していなかったという。

興味深いこの記事、長文の為、チャーリー・ウィルソン没後すぐには翻訳できずにいた

偶然、テレビでこの映画を見て、余りにお気楽な映画であるのに驚いた。

国会法改悪、こういう背景がある場所(これから益々増えるだろう)に、日本軍を派兵するためになされるのだろう。

従米政党である、民主・自民・かれらの党・公明党や他のたけのこ党も、確実に賛成するだろう。

最近、伊勢崎賢治氏「憲法9条の精神で、丸腰でアフガニスタン派兵せよ」と言い出している。正気だろうか?宗主国アメリカ軍がいるところに、属国軍を派兵してはいけない。丸腰でも同一視されるに違いない。戦闘に巻き込まれるための、そして、本格的派兵のための憲法破壊工作だろう。(髭のナントカ氏が、イラクでそれを期待していたと発言していた記事を読んだ記憶もある。)

米軍基地をおいているだけで、日本は既に侵略戦争のコラテラル(共犯)だが、侵略戦争への派兵、直接の戦争犯罪に他ならないだろう。

週刊誌ではあるまいに、表紙の顔写真が変わったら、民主党の支持率がアップしたと報じられている。本当だろうか?大手マスコミの中には、表紙だけではない、目次まで変わったなどと暴論を書くものまで現れている。正気だろうか?

いつもの悪質プロパガンダとしか思えない。生活に欠かせないスーパの安売りビラを講読すると、オマケに新聞がついてくるのだからやむを得ない。

沖縄基地はそのままに、さらに消費税の増税を、自民党やその他たけのこ政党と一緒になって押しつけてくる。顔がチェンジすると、政策までチェンジするのだろうか?小鳩の表紙が変わっただけで、同じ従米政権のままではないか。閣僚もほとんど同じ。大脇道場では「居抜きの民主党食堂」と表現しておられる。

食堂であれば、店名は同じ、従業員もほぼ同じで、名目上の経営者だけ変わっても、メニューも味も変わらないだろう。「まずい」と客が文句をいったら、店主が客は「聞く耳をもたない」と文句を言った欠陥レストラン、まずいままだろう。そこにお客が殺到するのであれば、そうした客はことごとく味覚音痴だろう。まあ、たで食う虫も好き好き。

こうした意見、(沖縄を除く)マスコミでは見られない。森田実氏の時代を斬るや、天木直人氏のブログは、至極当然の意見を書いておられる。

閑話休題。映画の話。

『グリーン・ゾーン』: こわごわと提示された余りに遅すぎる疑問 で、映画『ユナイテッド93』を、政府広報プロパガンダと書いたところ、批判のコメントをいただいた。一部だけ引用させていただく。

『ユナイテッド93』を“エセ広報ドキュメンタリー”と決めつけてる点はいただけないと思います、映画を観てないか観たとしてもあまりにもピントが外れているとしか言えません。

コメントをお書きになった方と同じような御意見の皆様、中田安彦氏の下記記事をお読みだろうか?コメント欄に、遅ればせながら、お答えしておいたが、繰り返させていただく。

ユナイテッド93は最新型の心脳コントロール映画である (1)

ユナイテッド93は最新型の心脳コントロール映画である (2)

中田安彦氏記事の末尾を一部引用させていただく。

だから、このユナイテッド93は非常に危険な映画である。そのように意識して見た私自身が、非常に気分を悪くし、吐き気を催し、自分の頭の中がぐるぐると回り始めた。何も意識しないで感情移入してみた観客に与えられる刺激は相当なものだろうと思う。

映画もプロパガンダの一種である。日本映画はノー天気でいい。ハリウッド映画自体が巧妙な権力者の道具になっているのだ。

沖縄基地問題で積極的な発言をされているアメリカ人の学者、チャルマーズ・ジョンソン氏の文章に、以下のものがある。(英文をそのまま引用。)

"From Tom Cruise in Top Gun (1986) down to United 93 (2006), about the 9/11 terrorist attacks, Hollywood has played a crucial role in implementing militalism, hypermasculinity, and racism deep in the American pshyche."

この文章"The Hollywood War Machine" U.S. Militarism and popular culture

Carl Boggs and Tom Pollard, Paradigm Publishers 2007"という本の裏表紙にある賛辞。

この『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』については、そのチャルマーズ・ジョンソン氏が長い記事を書いておられる。Tom Hanks' Charlie Wilson Movie: An Imperialist Comedy

そして、アフガニスタンもソマリアも、アメリカとNATOの軍が主力だ。そして、日本をNATOに引き込めというのは、この文章中でも引用されているブレジンスキー氏の戦略だ。

お時間があれば、下記記事もどうぞと、何度も、しつこく繰り返させていただく。

大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む ブレジンスキー

Robert D. Kaplanによる下記記事も、是非どうぞ。
ラスベガスでタリバン狩り -無人機による空爆

2010年6月 5日 (土)

ディープ・パケット・インスペクション: イラン政府のインターネット検閲を通信企業が支援した技術はアメリカでも広く利用されている

2009年6月23日

DemocracyNow!

自分たちの声を世界中で聞いてもらえるよう、何千人ものイラン人がウェブへと向かう中、新たな報道では、イラン政府がインターネットを検閲する世界でも最も先進的な仕組みの一つを開発するのをヨーロッパの通信企業が手伝ったのだという。それはディープ・パケット・インスペクション(Deep Packet Inspection: DPI)と呼ばれるものだが、アメリカ国内でも利用されている。フリー・プレスの事務局長ジョシ・シルバーと話し合う。[下記に書き起こしあり]

ゲスト:

ジョシ・シルバー、フリー・プレス事務局長

書き起こし

エミー・グッドマン: イランの話をしましょう。フアンさん。

フアン・ゴンザレス: ええ、ウオール・ストリート・ジャーナルが、月曜日に、イラン政府がインターネット上の通信を監視し、制御するための世界で最も進んだ仕組みの一つを開発するのを、ヨーロッパの通信企業が手助けしたと報じました。この機能の一部は、ドイツに本拠を置くジーメンスAGと、フィンランドの携帯電話会社ノキアのジョイント・ヴェンチャーによって提供されました。

イラン政府は、当局が通信を阻止したり、個人情報を収集したり、虚報を流すために変更したりするのを可能にする“ディープ・パケット・インスペクション”と呼ばれている行為を行っているように思われます。ウオール・ストリート・ジャーナルは、また中国のインターネット検閲の仕組みも、ディープ・パケット・インスペクションを使ったものだと考えられていると報じています。

エミー・グッドマン: ええ、メディア改革集団のフリー・プレスは、同じ技術が、アメリカ合州国でも広範に利用されていると言っています。

ディープ・パケット・インスペクションと、こうした類の技術がどのように利用されるのかに関する懸念を、更に詳しく知るため、デモクラシー・ナウ! ビデオ・ストリーム経由で、フリー・プレス、freepress.netの事務局長ジョシ・シルバーさんに参加いただきます。

ジョシさん、デモクラシー・ナウ!にようこそ。イラン政府が何をしているのか、そして、同じ技術が、アメリカでどのように利用されているのかお話ください。

ジョシ・シルバー: ええ、昨日ウオール・ストリート・ジャーナルは、イラン政府は、このシステムを、ドイツとフィンランドの企業から入手したと報じました。これはあらゆるもの、固定電話も携帯電話も、電子メール、ウェブ・サイトも調べ、キーワードを探すのでが、イランのある一つの要衝を通過する全トラフィックを実際に監視しています。ヨーロッパ企業は異議を唱えていますが、報道の正しさは確かなようです。

これが気味が悪いのは、インターネット上を通るもの全てを監視するこの技術は、実際に機能するものであり、簡単に入手が可能で、しかも、アメリカ合州国には、アメリカ政府がそれを利用するのを防止する法律が皆無だということなのです。ですから、これは本当に訓戒的な物語なのです。

エミー・グッドマン: あなた方の報告書は"ディープ・パケット・インスペクション: 我々が知っているインターネットの終焉"というものですね。 それはなぜインターネットにとって脅威なのでしょうか?

ジョシ・シルバー: ええ、問題は、1930年代を振り返れば、電話サービスがアメリカ合州国中、どこででも使えるようになった際、議員たちは、この新しい通信インフラができたので、政府や他の人々が、違法に、あるいは倫理に反する手段で、アメリカ国民の個人的通話を監視し、盗聴できないようにするための消費者保護が必要なことを悟ったのです。彼らはそういうことがおきるのを防ぐ法律を制定しました。そうした法律は、政府には、彼らがそのような監視をすることを認めるという、判事が発行した正規の令状が必要だということにするのです。

今、そういう法律がないのです。ですから現状は、収拾できないこの混乱状態で、インターネットを統治する政策が技術に追いつけていないのです。ですから、主として、カリフォルニアのシスコのような企業が開発した、これを行う能力をもった途方もないシステムが、既にあるのです。現在、私たちは、AT&T、ベライゾンやコムキャストがイラン政府のようだと言っているわけではありませんが、進歩的なインターネット政策課題を持っている大統領ですら、問題があると考えているのです。彼は、昨年この問題で方針を変え、実際、当時は違法だった、最大の電話とケーブル通信会社が、国民の個人的記録を政府に引き渡すことに刑事免責を認めるブッシュ政権の法律を支持したのです。

フアン・ゴンザレス: あなた方の組織は、数年前、この問題に関して、コムキャストがしていたことについて問題を提起されましたね。ご説明いただけますか?

ジョシ・シルバー: ええ。昨年、我々は連邦通信委員会に告訴し、コムキャスト・ケーブルは実際に制裁されました。いわゆるネットワークの中立性を阻害したことで、大手通信事業者が初めて罰則を科せられたのです。つまり彼らは、ある種のインターネットのコンテンツを、他のものと比べて、差別していたのだ。そして、こうした問題がそれほどに重要だという理由は、全ての通信が、電話サービス、ウェブ・サービス、ラジオが、全てオンライン接続に、全てがインターネット経由へと動いているからなのです。ですから、これはまさにアメリカにおけるあらゆる通信の未来の問題なのです。

フアン・ゴンザレス: パケット・インスペクションはどのようにして機能するのですか?

ジョシ・シルバー: ディープ・パケット・インスペクションが機能する方法というのは、文字通り、インターネット全てを監視する高級な装置を用意しておいて、ネットを流れるありとあらゆるデータ、音声、ビデオを監視し、キーワードを取り出し、書かれたものであれ、話されたものであれ、"反逆"やら"手榴弾"やら等々を探すのです。そして、それがシステムを起動し、それがこの場合はイラン版の国家安全保障局に送られるわけです。

とは言え、この技術が政府にこの種のビッグ・ブラザー的監視能力を与えてしまうという潜在的な力は、元々のアメリカ憲法にある憲法上のあらゆる保護を遥かに超えているので、この実に訓戒的な物語で、この国の誰もが警告されるべきなのです。昨日のウオール・ストリート・ジャーナル記事以後、この問題に関し、ほとんど後続報道がないというのは注目に値します。

エミー・グッドマン: ジョシ・シルバーさん、中国ではどうなっているのですか?

ジョシ・シルバー: ええ、中国にも非常によく似たシステムがあるのです。昨日起きたことで、いささか興味深いのは、イランでは、そのように見えるということで、繰り返しますが、これは完全に証明されたわけではありませんが、ウオール・ストリート・ジャーナルによれば、イランは、このウェブのトラフィックを、ウェブ上のある一つの要衝で、実際に監視していて、中国では多くの様々な場所で監視しているようです。これは大きな違いではありませんが、中国国民のプライバシー保護という点では、中国政府が実にひどいことは誰もが知っています。ところが人権保護の実績がひどいような国々でも、どこででも使われるようになり始めている状況で、もしも我々がこれを食い止めようとするのであれば、国際的にも、アメリカ議会でも、何らかの法律を作らなければなりません。

エミー・グッドマン: ジョシさん、この技術が、アメリカ国内で、どのようにして利用される可能性があるのか、我々が知らないうちに、どうやって行われてしまうのか、また、これに対して何ができるとお考えか、お話いただけますか?

ジョシ・シルバー: はい、大手通信事業者、特にAT&Tとヴェリゾンが、過去七、八年間、特に9/11以来、シスコのような企業が開発した、私が今お話したことができる、国中のウェブ上、音声回線上を流れている中身を聞いたり、監視したりできるある種の市販技術を導入して欲しいと、NSA(国家安全保障局)や、ブッシュ政権から要求されていることは広く知られています。彼らがそれをやっていたことは分かっており、実際、彼らに刑事免責を与えるという法律が議会に提出されました。それは電話会社のロビイストが書いた法案です。またもや、オバマがその法律に反対の意思を表明し、これは違法なのだから、こんなことをしている通信事業者は罰しなければいけないと言ったのですが、ロビイストによる強烈な圧力の下で、彼は態度を変えました。

技術は既に存在しているのです。技術は進歩しています。この技術は、電話、ケーブル・テレビ会社にとって、非常に、比較的非常に容易なものですから、政府が、私たちが、毎日、ウェブ上や、電話でしていることを、監視し、盗聴するのが。我々を守ってくれる唯一ものは、そうしたことを違法とする、厳格で、具体的な法律をアメリカ議会で通過させることですが、それと、こうした法律が確実に支持されるようにするための政府による効果的な監視です。ですから、それをするには皆が注意を払わなければなりません。皆がそれについて、地元選出の議員に話す必要があるのです。皆さんに、私どものウェブサイト、freepress.netをご覧いただき、こうした基本的な保護が必ず支持されるようご参加願いたいのです。

フアン・ゴンザレス: ところでジョシさん、関連していることなのですが、オバマ大統領が推薦したFCC委員長が最近上院で承認されました。彼は特にインターネットの専門家と見なされています。彼が承認された結果、FCC政策上どのような変化があるとお考えですか?

ジョシ・シルバー: ジュリアス・ジェナカウスキーは上院ですぐにも承認されるはずですが、それは良い知らせです。ジュリアス・ジェナカウスキーについて、我々が知る限りでは、彼は良い人物です。彼は、私が申しあげた通り、オバマ大統領の、大部分かなりまともな政策を制定すると約束しています。彼らは、ネットの中立性を約束しています。彼らは、あらゆるコミュニティーに、地方でも都会でも、金持ちも貧乏人も、アメリカ全土で、安価で、誰もがいつでもどこからでもアクセスできるインターネットを実現すると約束しています。

まあ、いつもそうですが、軍需や製薬産業のように巨大なケーブル通信や電話の会社の巨大なロビー活動を見ているので、論より証拠ですね。問題は、政権が実際に約束を履行して、彼らが約束したような、未来を保証されたタイプのネットワークを設置するかどうかです。オバマが、アメリカ全土に高速インターネットを構築することに使われる72億ドルの景気刺激策を通過させたことは注目に値します。

繰り返しますが、これは大衆に、こうした議論に参加し続けるよう気づかせる、ひとつの訓戒的な物語でして、大衆は重要なメディアの問題に注意を払わないといけないのです。これらは全て、新聞社の倒産や、アメリカ中のニュース編集室の閉鎖と、この基本的な疑問“デモクラシー・ナウ!のような良質の、硬派ジャーナリズムを生み出し、しかも、効率的かつ安価に、国中に配給できるような通信インフラをアメリカが持てるのかどうか”つながっていますから。そして、もし我々がこうした問題に注意を払わなければ、配給の部分はうまく動かないということなのです。

エミー・グッドマン: フリー・プレスの事務局長、freepress.netのジョシ・シルバーさん、ご出席有り難うございます。democracynow.orgのウェブ・サイトから、リンクを貼っておきます。

休憩の後、グアンタナモから釈放される囚人、アルカイダに拷問され、次に、タリバンに一年半拘留され、アメリカ軍に助けを求めると、今度はグアンタナモで七年間以上も拘留された人物のような人々について検討します。更にアメリカの当局者すらもが、アメリカ合州国の敵ではないと認めている、グアンタナモに何年も拘留された、ウイグル人に関する、今週末のオバマ大統領の冗談についてお話します。

記事原文のurl:www.democracynow.org/2009/6/23/deep_packet_inspection_telecoms_aided_iran

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日本にもDemocracy Now!はある。Democracy Now!への皆様による寄付が増えれば、時宜を得た、より正確な記事、番組が見られるようになると、素人は思っている。

イラン、中国での、盗聴・監視用ディープ・パケット・インスペクション技術利用、まもなく、日本で、堂々と現実化しようとしている。「堂々と」現実化する国、他にあるのだろうか?

これで日本は、イラン、中国をしのぐ世界一の情報統制「属国」に出世できる。

2010年5月6日読売新聞に、サイバー対策、日米連携で一致、という気味悪い記事がある。記事を引用する。

原口総務相は3日夕(日本時間4日朝)、ワシントン市内で、米連邦通信委員会(FCC)のジュリアス・ジェナカウスキー委員長と会談し、サイバー攻撃に対する安全対策を強化するため、日米が連携して早急に基本方針をまとめることで一致した。

2010年5月6日読売新聞に、総務相「ブロッキング」導入へ前向き という記事もある。

しかし本命はこのDPI。そして、NTT「再編」という呼び名のNTT「破壊」。

原口総務相、ジュリアス・ジェナカウスキー委員長に「トラスト・ミー」と約束したのだろうか?彼も例の家電メーカーが大量生産した政治家の一人。茶番選挙の樽床氏も同様。欠陥商品?

「最大市場である宗主国には服従するように」と塾で教えるのだろうか?塾は、あのメーカ最大の欠陥製品だったのではないだろうか? こういう政治家が増えるのは御免なので、あのメーカーの製品、極力購入を避けることにしている。

"ディープ・パケット・インスペクション: 我々が知っているインターネットの終焉"Deep packet inspection: the end of the internet as we know itの英語原文pdfはここで入手できる。

2010年6月 4日 (金)

パレスチナ支援船団殺戮事件:皆が海に

Yvonne Ridley

2010年6月1日

 

"Information Clearing House"

 

(原題の"All at sea"、「皆途方に暮れて」の掛詞だろうと想像している。)

 

一体どれだけの方が、はるか昔1985年10月のイタリア・クルーズ船アキレ・ラウロ号ハイジャックを覚えておられるだろう?

パレスチナ解放戦線のメンバー4人が、エジプト沖で、アレクサンドリアからポート・サイドに向け航行していた客船を乗っ取った事件だ。

 

身体障害者のユダヤ系アメリカ人乗客レオン・クリングホーファーをハイジャッカーが殺害し、遺体を海に投げ込んだが、不首尾に終わった作戦だ。

 

この事件は世界中で大きく報道され、パレスチナの大義を巡り、人々は二極化した。

 

それが立法者たちに、力ずくで船を乗っ取る行為を国際犯罪にする新たな法律を制定するよう促したのだ。

 

これこそが簡潔な歴史の教訓の根拠だ。1988年制定の海上航行の安全に対する不法な行為の防止に関するローマ条約の第3条によれば、いかなる人物でも、力ずくで船をだ捕、あるいは支配しようとするのは国際的犯罪であり、その過程で、いかなる人を負傷あるいは殺害することも犯罪だ。

 

条約は必然的に厳格な手法を採用している。船を攻撃した側は、違法な暴力の行使に対して、もしも船に乗っていた人々が抵抗したとしても、自衛だなどと主張できないのだ。

 

言い換えれば、国際法によれば、イスラエル軍の行為は法律の枠を超えており、関与した連中は、やはり、力ずくで乗船する習性をもったソマリア海賊と全く同様に取り扱われるべきなのだ。

 

こうした劇的な状況における自己防衛のあらゆる権利は、あくまでも乗客と乗組員の側にある。国際海事法の下、人は違法な、だ捕、拉致、拘留に抵抗する権利を有している。

 

フリーダム船団の船上にいた人々がしたことは全く合法的なものだった。重装備をしたイスラエル国防軍突撃隊員をものともせず、彼らは大いなる勇気をもって行動したのだと私は思うが、彼らの行動は無鉄砲だと考える方々もおられよう。

 

読者のお考えがどうであれ、死者・負傷者は国際的抵抗権のために究極的な代償を支払ったのだ。

 

いまやイスラエルは事実上孤立し、自ら世界の、のけ者国家であることをさらけ出した。

 

昨年、連中が他の支援船に違法にも乗り込み、乗組員や乗客を拉致した後、彼らを地中海の海賊と呼ぶ記事を私は書いた。

 

ここで、読者の皆様には以下を自問していただきたいと思う。もしも、あるソマリア海賊集団が西欧からの6隻の人道的支援船に無理やり乱入し、9人なり10人の人々を虐殺し、更に数十人を負傷させたら、一体どのような国際的な反応をひき起こしたとお考えだろう?

 

私から申しあげよう。数機の無人飛行機や、出来事を記録するための様々な報道陣をともない、NATO機動部隊がアフリカの角に向かって急行していただろう。(肝心のアキレ・ラウロ号は、1994年、インド洋ソマリア沖で火災を発生し、放棄され、沈没した。)

 

そこで何故イスラエルは何をしても許されるのだろう? この計画的行動によって、シオニスト国家は、またもや人命や国際法に対する無関心を明らかにした。

 

ガザの人々のために、セメント袋や、電動車椅子、おもちゃ、医薬品や浄水器を運搬していたこれらの船には、年金生活者や、女性や子供たちが乗船していた。

 

イスラエルが、自ら災いを招いたことをさとるや否や、下劣な国家指導者ベンヤミン・ネタニヤフは、言葉による攻撃を開始した。

 

彼は、我々にイスラエル兵士たちが自衛のため行動していたと信じるよう要求した。そして、24時間後、世界に更なる嘘を思いつく時間を得て言った。兵士たちは塗料入り弾丸で武装しており、武器を使用することは予期していなかった。我々の知性を侮辱するだけではあきたらず、素晴らしく、可愛いイスラエル国防軍連中が検査と積み荷調査を行うだけの目的で船に乗船したと語った。

 

そこで彼の支持を買って出たのが、シオニスト国家の政治的ピノキオ、マーク・レゲヴだ。船上にいた悪事を働く連中が、イスラエル国防軍の銃を強奪し、兵士たちを射撃するのにそれを利用した、と彼は考えているのだ。

 

彼らは、エリートの、高度な訓練を受けている、突撃部隊の兵士だ … レゲヴ氏よ、それが本当なら、積み荷調査をするだけのために、イスラエルはわざわざ特殊部隊を送り込んだのだろう?

 

また、もしも彼らがそれほど素晴らしい分隊なのであれば、一体なぜ民間人集団が、分隊を圧倒することができ、分隊をこらしめることができたのだろう?

 

あるいは、ヒズボラはそうだと言うのだが、イスラエル人兵士は、老婆集団のような戦い方をして、他の平和活動家が決してガザのパレスチナ人を救おうという企みに参加しないよう、船上にいた人々を虐殺するつもりだったのだろうか。

 

もしも、それが狙いだったのであれば、それは失敗だった。私がこの記事を書いている今も、フリー・ガザ運動をしている何人かの大胆な友人たちが、いかにもふさわしく名づけられたレイチェル・コリー号に乗船して、ガザに向かっている。

 

何千人も、何百万人も … いまや私たちは皆パレスチナ人だ。

 

ジャーナリストのイヴォンヌ・リドリーは、国際イスラム女性連合のヨーロッパ代表で、2008年にガザ包囲攻撃を破った最初の船に乗船していた熱心な平和活動家。

 

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article25592.htm

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さすがに、この事件、イスラエルやアメリカ国内でさえ、反対デモが行われている。

 

1979年生まれのアメリカ人反戦活動家レイチェル・コリーは、2003年3月16日、ラファで、イスラエル国防軍武装ブルドーザーを止めようと立ちはだかり、イスラエル武装ブルドーザーDR9によりひき殺された。

 

彼女の最期については、レイチェル・フォー・エバーという日本語webページがある。衝撃的な写真があるので、ご注意を。

「アンネの日記」、今後「レイチェルの手記」※にその席を譲るかも知れない。

 

※「レイチェルの手記」は存在しないが、彼女が書いたものをまとめた本"Let me stand alone"と、書いたものをもとに作られた芝居"My Name is Rachel Corrie"がある。

 

小鳩退陣。「天に向かって唾する」都知事や小泉元首相発言、読むだけで悪寒を催す。

 

マスコミによる宗主国・属国政府プロパガンダ、例によって全開。

 

A. 911小泉郵政破壊選挙で、マスコミは小泉一派をもてはやした。

   小泉首相、自民党のみならず、アメリカの指示通り日本をしっかり破壊した。

B. 2009年、衆議院選挙で、マスコミは民主党をもてはやした。

 

   民主党、自民党別派閥でしかないこと、普天間基地問題以外でも明白になった。(と個人的には思うが、いまだに民主党・大幹事長ファンは多い。いつ葵の紋の印籠を取り出すか、わくわくして待っておられるのだろうか?)

 

C. 2010年参院選挙、マスコミ、今度は、第三の極だといって、やつらの党、こけろ日本等、新自由主義分派をもてはやしている。毎回、ほとんど詐欺行為と思うのだが、メーカーと違い、欠陥記事は責任をとらなくても済むようだ。

 

   民主、公明、やつらの党や、はたまた自民、さらには家電メーカーが製造した、環境にも庶民にも優しくない欠陥政治家たちによる大連立政権で日本崩壊は一層進むだろう。

 

小泉元首相お得意のセリフ、全て有権者の皆様の「自己責任」。

 

ところで哨戒艦「天安」沈没、韓国与党に有利な風でなく、逆風になったようだ。

 

韓国でもマスコミの宗主・属国政府公報プロパガンダは全開だったろうに。韓国の方々の民度、日本人の民度と、比べたくもなるというもの。

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過去のイヴォンヌ・リドリー(Yvonne Ridley)記事の翻訳には下記がある。

 

アメリカの司法に関する真実

ごう慢と無知

2010年6月 2日 (水)

戦没者追悼記念日:軍国主義と兵器を慶賀する日

Camillo "Mac" Bica

2010年5月30日、"Information Clearing House"

20世紀の始まり以来、約650,000人のアメリカ人がこの国の多くの戦争を戦って戦死した。政治的所属やイデオロギーとは無関係に、あらゆるアメリカ人は、そうした私心のない犠牲を畏敬し、この悲劇的な人命の喪失がもたらす悲しみを理解し、共有すべきなのだ。Though我々のように戦争を経験した人々は、心の中で、死に行く人々の叫び声を永遠に聞き続け、生きている限り毎日苦痛と喪失感を味わうので、それを思い出させるための祝日など不要なのだが、追悼記念日というのは、正しいと信じる大義のために、その命を犠牲にすることを選んだり、強いられたりした人々を思い出し、悼み、敬意を払うため、国が設けた大切な行事なのだ。

航空ショー、“ワクワクする”ハイテク・デモ、何十億ドル、戦争の道具が、国中のあちこちで、戦没者追悼記念日の人気の“祝い”方になっている。サザン・ウィスコンシン航空フェスティバルや、ミズーリ州のサリュート・トゥー・ヴェテランズ2010はそうしたものの定型的な例だ。何千人もの人々、場合によっては何万人もの人々をひきつける、こうした華やかな祭典は軍の新兵募集用の重要な場所となっている。軍の“ストレングス・イン・アクション・ツアー”は、普通そうしたイベントを“楽しくて”“ためになる”ものとして活用し、究極的には、若者たちに入隊するよう動機付けするのだ。莫大な予算を使って、軍の新兵募集担当者たちは、どう見ても、移動軍事サーカス兼ゲーム・センターという代物をたちあげる。中にはわずか十歳程度の子供もいるのだが、通りがかりの連中は、軍のデータベースに自分の連絡先を登録するだけで、様々な軍の新兵募集資料や個人名を入れた認識票、Tシャツ、帽子、フットボール、等々の記念品がもらえるのだ。登録すると、生徒たちは“兵士のように強く”なることを奨励される。つまり、“アメリカ軍ロック・ウォール”登攀のようなインタラクティブな運動イベントに参加し(“石の様に丈夫な”“体力の力”)、友達を前にしたステージ上で“ヴァーチャル音楽演奏”し(“指揮する力”)、パックボットという名の小さなリモコン・ロボット装置を障害物のコースで操縦し(“技術の力”)、 アパッチ・ヘリコプター・フライト・シミュレーターを“操縦”し(“舞い上がる力”)、あるいは“完全に没入するような、興奮させる、まるで現実のような(ハンビー)体験に参加し”そこで彼らは“ヴァーチャル任務”を遂行し、“武装反抗勢力”と交戦し、連中を殺害する(“チームの力”)のだ。

悲しいことに、アメリカ人は、戦没者追悼記念日というのは、ショッピング・センターでの大安売りや、バーベキューや、ピクニックとは関係がないのだということを指摘されないと気がつかない。また、軍国主義や兵器を慶賀したり、きわめて巧みな、ごまかし的なやり方で、軍に入隊するよう若者を誘惑したりする時でもない。そのような見世物、人によっては心が浮き浮きするものかも知れないが、おそらくは、他の機会(おそらく5月の第3土曜日の国軍記念日、あるいは7月4日の独立記念日)に相応しく、究極の犠牲を払った人々を思い出し、悼むためにもうけられている年に唯一の機会、戦没者追悼記念日の週末には全く場違いで、非礼だ。

最も大切なことは、この記念日は、アメリカの若き軍人たちの愛国心や犠牲を、営利目的のマーケティングや企業利益のために利用することとは無関係なのだ。以下は、ベスページ・フェデラル・クレジット・ユニオンの2009年ニューヨーク航空ショー・ウェブサイトからの抜粋だが、おそらく、そうした死と破壊のための装置に対する“慶賀”の究極だろう。

“もしも御社が、ありきたりのマーケティングを超越したものをご希望であれば. . . 特別な環境に大規模な家族参加ができる、ジョーンズ・ビーチ航空ショーは、企業スポンサーやVIP接待用に絶好の機会です。ご参加を頂いているスポンサー様方は各社ブランドをワクワクする愛国的イベントと結びつけ、一番大切なお客様、従業員、家族や友人方を、まさに最高級の環境でおもてなしされています。海辺沿いに立ち並ぶ接待用特別テントにはプライベートな海岸があり、個別スポンサーのマーケティング上の狙いに合わせて、変更も可能です . . . ビジネス・パッケージは、ジョーンズ・ビーチVIPテント用チケット、10枚、VIP駐車パス、4枚つきで、テント内に小型の企業の旗を掲揚することも可能です。”価格は2000ドル。(強調は筆者)

もしもウキウキする実に楽しい航空ショーが不十分なら、お祭り騒ぎをする方々はロング・アイランドのアメリカ空軍力博物館10周年記念を祝うことも可能です。2010年の戦没者追悼記念日の週末、今や“空軍力の伝説に敬礼”と改名された週末に、わずか35ドルで、"スポンサー、VIP、航空ショー出演者の特別イベントに参加いただけます。ビッグ・バンド音楽の夕べ、戦闘機カレンダー・ピンナップ、航空ショー・パイロットとの交歓、戦闘機・軍用機(見学) 、更には、たそがれ時の特別戦闘機飛行デモ . . . これ以上のものはありません。”いや実はあるのです。更にわずか425ドルで、完璧に復元されたB17飛行機で実際に飛行し、おそらくは、ご自分がドレスデン、ハンブルグ、あるいは東京への爆撃任務を担い、何百万人もの無辜の一般市民を焼いて灰にしようとするのをご想像いただけるでしょう。

このあからさまな愛国感情の営利化、戦没者追悼記念日の利己的な利用、戦争用殺人装置に対する慶賀は、こうした主要スポンサー出し物に対する、銀行や企業幹部の主な関心、動機が、儲けであることをまたもや実証している。誇りをもって軍服を身につけ 、アメリカを愛し、犠牲の本質や国家への貢献を理解し、認識している人々にとって、彼らの傲慢さ、無神経さや、拝金主義は、嘆かわしい侮辱だ。最も嘆かわしいことに、それは戦争で、こうして命を失った若者たちについての思い出を汚すことであり、もう二度と息子、娘、夫や妻を抱擁することはかなわず . . . 決して肉親を無くした悲しみから回復することのない彼らの家族に対する侮辱だ。

それゆえに、戦死した人々の思い出と犠牲に敬意を表する全てのアメリカ人は、戦没者追悼記念日のこうした利用への怒りで声を上げ、こうしたグロテスクな見世物や、兵器の慶賀、営利的マーケティングや軍の採用活動を取りやめるか、別の機会に設定するよう要求すべきなのだ。おそらく、より良識的なのは、暴力と殺戮へのこうした心酔を止め、これらの武器を犂に変え、もうこれ以上戦争のことを研究したり、祝賀したりしないことだ。

Camillo“Mac”Bica博士は、ニューヨーク市のスクール・オブ・ヴィジュアル・アーツの哲学教授、元海兵隊将校、ベトナム戦争に従軍した退役軍人で、ロング・アイランド平和のための退役軍人会のコーディネーターである。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article25577.htm

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似た趣旨の記事に、大量殺りくの慶賀:戦争と集団的健忘症-Chris Hedgesのコラムがある。

イスラエル、経済封鎖で苦しむパレスチナ救援に向かったガザ救援市民船団を強襲し、多数の死者をだした。死者は20人にのぼるとも報じられている。

韓国の謎の哨戒艦沈没の真犯人、当然悪辣だが、救援市民船団を公然と襲って虐殺するイスラエルも悪辣だ。これがテロでなくて、何がテロだろう。

「対テロ戦争」なるもの、こういう場合にこそ発動すべきでは。

宗主国に素直な、民主党や自民党、公明党、かれらの党や、その他大勢たけのこ党が大多数議席をとり、やがて、この国にも、めでたく戦没者追悼記念日が新設されだろう。

宗主国がおこした戦争に出兵した傭兵の戦没者追悼記念日が。

ホンジュラスで、セラヤ大統領が、突然軍事クーデターで追放された事件、不思議なことに、マスコミではほとんど話題にならなかった。今もなっていない。

ことの本質は、基地廃絶自主憲法制定への動きに対する攻撃だった。

この自主憲法は、民主党や、自民党や、みんなの党等が狙っている、宗主国の希望に沿ったエセ自主憲法、実質壊憲とは、全く違う、国民の顔を向いた立法だ。

セラヤ大統領、ホンジュラスのソトカノ米軍基地を、ホンジュラスの民間空港に変えようとしていた。

ホンジュラスの国民により有利な憲法を制定すべく、憲法制定会議招集の賛否も、選挙時に投票で問おうとしていた。

そこで、まさにソトカノ米軍基地の米軍の支援・承認を受け、ホンジュラス国軍が、突如セラヤ大統領邸を襲い、パジャマ姿の彼を拉致し、ソトカノ米軍基地を利用して、国外追放したのだ。

ホンジュラス: 決しておきなかったクーデター

ことの顛末を見ていれば、米軍基地を無くそうとする属国政治家の運命がどうなるか予想はつくだろう。あれは日本へのメッセージでもあっただろう。

「日本の与党政治家が、米軍基地を無くそうとするわけがない」と、セラヤ大統領追放の背景を書いた上記記事を読みながら考えた。

日本の商業マスコミ、宗主国の完璧な広報機関になっているが、それで、こもうるさい国民はいる。

そこでとうとう、国民監視システム、DPI登場。(コメントを頂いたが、余りに重大なので、コメント欄でお答えさせていただく。)

イスラエルにも好評の作家によるベストセラー『1Q84』、この題名、ジョージ・オーウェルの『1984年』からとっているのだろう。

その『1984年』ビッグ・ブラザーが支配する全体主義・永久戦争社会を描いた名作だ。

『1984年』の中で、主人公は役所で、毎日、歴史の書き換えを仕事にしている。政府は日々、好きなように政策を変える。昨日の友は今日の敵。政府に都合の悪い「友好国」、あっというまに「敵国」に書き換えられる。まずい過去の記事は、メモリー・ホールに捨てられる。

全ての家に、双方向スクリーンが設置されている。洗脳と同時に、部屋にいる国民の挙動、発言を、みな中央で把握するのだ。

独裁政党のスローガンは「戦争は平和である。自由は服従である。無知は力である。」

しかし、これまで、それはSFのお話だった。

それが、まもなく日本で現実化する。下記の記事をお読みいただきたい。

「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策

個人がどのような記事を読んでいるのか、全てプロバイダーが把握することが許されるようになるのだ。

これはジョージ・オーウェルが『1984年』で描いた国民監視の双方向テレビそのもの。

米国と英国では業者による利用が問題化し、いずれも実用化に至っていない。

と記事にはあるが、属国では、導入されるのだ。

原口総務大臣がこの悪法を推進している。もちろんブロガーの皆様が支持してやまない大幹事長の意向を受けてのことだろう。

blogやtwitterで騒ぎになる話題ではと思えるが、そうした声ほとんどみかけない。

ビデオニュース・ドットコムで、別のとんでもない法案の衆院通過の実態が聞ける。これも当然ネット上のうるさい個人・小企業を狙うものだろう。番組をご覧あれ。有り難いことに、何と無料。

インターネットを政府の規制下に置く放送法改正が衆院を通過

砂川浩 慶立教大学社会学部准教授 インタビュー

「改正」は「改悪」。「放送法改正」は「放送法改悪」。一般ユーザーにとって、百害あって一利なしの法律。番組では、「参議院で廃案にすべき」といっておられる。そううまく行くだろうか?

沖縄基地問題に注目が集まっている間に、ちゃっかり強硬突破。いつもの手口。

与党、与党経験政党である、民主党、自民党、みんなの党などは、もちろん、こうした監視法成立を狙っているだろう。こうした政党に対する国民の支持が圧倒的に多い現状では、これらのトンデモ法案、簡単に成立するに違いない。自分の首を締めてくれる人に投票する心理、本当にわからない。

SFの悪夢、間もなく現実となる。

『1Q84』愛読者の皆様『1984年』も読まれてはいかがだろう?

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