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2010年6月12日 (土)

1953年のCIAによるイラン・デモクラシー打倒から、イラク戦争、メキシコ湾の犯罪的惨事と死に至るまで、BPは現場に居合わせた

Mark Karlin

Buzzflash

2010-05-30

1901年、中東で始めて、イギリスによって石油が採掘された時(当時、世界を支配していた海軍艦隊を石炭から石油に転換させる過程にあり、石油が欲しくてたまらなかったのだ)から、1953年、イランの非宗教的な民主的指導者モハメド・モサデクの打倒、更にはイラク戦争、そしてメキシコ湾の犯罪的な環境大災害に至るまで、線を引いたとすると、BPは、いつもそこに居合わせることとなる。

だが、世界で四番目に巨大な企業は、ずっとBPと呼ばれてきたわけではない。この会社はかつてはイギリス政府に所有されていた(海軍の無敵艦隊は石油が不可欠であることを想起されたい)。西欧風のイラン指導者モサデクが、イギリスが100%所有し、経営していたイランにおける巨大石油利権会社を国有化し、西欧が会社を全く所有できなくなるよう望んでいた為、CIAがイギリスと協力した際に、同社はアングロ・イラニアン・オイル・カンパニーと改名した。そこで、アイゼンハワーは"アイアス(英語ではエイジャックス)作戦" を承認し、イランのシャーが権力に据えられ、常に完全にアメリカによって支援され、恐れられたSAVAKを用いて強権支配し、それが今も我々が直面している過激な神権政治革命を招いたのだ。1954年正式に現在の社名を採用したBPは、いつもそこにいた。

西欧に石油を供給するための、中東の事実上の植民地化をしている間、ずっとBPは居合わせたのであり、手に負えない国家を、行儀良くさせておく上でイギリスとアメリカは強力なパートナーであり続けている。これがイラク戦争をひき起こし、イラク油田を捕獲するという、チェイニーの秘密石油委員会による計画や、戦争は聖書上、正当化できるというブッシュの信念に、トニー・ブレアが余りに熱心に協力するのに、多くのアメリカ人やイギリス人が当惑した理由なのだ。BPはイギリス最大の企業であり、世界で三番目に大きいエネルギー企業だ。何か他にご質問はお持ちだろうか?

BPとアメリカにおける同社の片割れは、エネルギー政策について、政府を支配している企業寡頭勢力の一部なのだ。連中は主権国家の命令を聞くことはしない。連中が国家に命令するのだ。彼らは選挙で選ばれるわけではないが、何千億ドルもの収入と利益があるので、石油政策に関しては彼らが取り仕切れる。そして、利潤第一だ。命や、自由や、幸福の探求などどうでもよい。石油が彼らの金(きん)なのだ。我々は、いつでも他の消費者と置き換えることができる消費者で、石油会社という世界の覇者の奴隷に過ぎないのだ。連中の違法行為、強欲と犯罪的行為、国々に戦争をさせ、民主的に選出された指導者を打倒し、想像を超える規模の公害をひき起こしても、のうのうとしていられる連中の能力に歯止めをかけるものなど存在しない。

一世紀以上にわたり、アメリカやイギリスの兵士たちが石油の為に死んだ際、公害や毒物が解き放たれて、海岸を破壊した際、住民たちが石油精製の過程や石油流出によってひき起こされた癌で亡くなった際、議会とホワイト・ハウスが規制を緩和し、向こう見ずで、甚だしく害を及ぼすような行為ができるようにした際には、必ずやBPはアメリカの相方と共にあった。こうした企業は余りに巨大で、法律や政府による規制の適用を受けない。

ほとんどのアメリカの大統領と議会 -- とりわけブッシュ/チェイニー大統領府は、石油会社と石油資源の支配は、アメリカ経済の存亡にとって絶対に手放せないものだと考えている。その結果、石油会社や、石油会社を支援する二次的な企業、つまりハリバートンやトランスオーシャン等が支配をし、アメリカとイギリスに競争させることが可能になるのだ。イギリスでは、外交政策、掘削や、石油にまつわる全てに関する限り、BPこそがイギリス首相官邸の黒幕なのだ。それが、なぜトニー・ブレアがブッシュ/チェイニー(そしてラムズフェルドの)イラク攻撃への参加を拒否できなかったかという理由だ。

それがメキシコ湾における大事故を招いたのだ。もちろん、油井が爆発した場合の対策を考えるには余りに深すぎる沖の海底で、BPは掘削していた。もちろん、命や環境よりも儲けが大事だと連中が考えていることを示すメモがあった。 もちろん、油井が爆発し、10人以上が亡くなった瞬間から、石油汚染の規模や、惨事を修復する能力について、連中は嘘をつき続けてきた。それが彼らの仕事なのだ。連中の前の会社がイランで探鉱を始めた1901年以来ずっとのことなのだ。鉄の女、マーガレット・サッチャーが"君臨" していた間にBP民営化を認めると、同社は素早く、まるでパックマンのように、AMOCOを含め、いくつか他の石油会社を飲み込んだ。

一世紀以上にわたり、自らの国の運命は国民が決定するという民主的原理で創設された国家の民である我々は、石油があろうと、見つかろうと、石油獲得を巡る戦争の将棋の駒に過ぎないのだ。

石油による統治から国民による統治への権力移行の見込みは、日々、暗くなりつつあるようだ。

記事原文のurl:blog.buzzflash.com/editorblog/312

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遠い昔高校時代、地理の授業で、石油やBPに繰り返し触れられたのを思い出した。webで検索した所、先生の名前が見つかった。いつかご著書を読んでみたいものだ。

亀井辞任はあっても、連立は続ける国民新党。小泉元首相が官僚と推進した郵政破壊、とめられるのだろうか?いくら、市民運動出身の首相といっても、日本の市民運動の主張は無視し、宗主国支配層のお言葉を実行するだけのことだろう。

アメリカ、イギリスの石油確保作戦の軍隊支援(普天間基地・安保問題)のみならず、戦争資金もよこせということで、郵政破壊が継続推進されるのではないだろうか?と貧乏人は心配になる。

ところが、商業新聞、民主党絶賛一辺倒、普天間基地・安保問題など解決したがごとく、口蹄疫か、ネルソン・マンデラの国で開かれるサッカー大会記事しかない。

一方、ブログは偉大な元幹事長が復帰すれば、全て解決するかのごとき「奇跡願望」だらけ。デウス・エクス・マキナ。現実社会、水戸黄門テレビではないだろう。

政権の首のすげ替え、テレビや新聞を真面目に読まない素人には、元幹事長による選挙目当ての芝居としか思えない。

多数さえ確保できれば、また安心して、従米・日本破壊政策を更に強力に推進してくださるに違いない。

屁理屈「抑止力」ではないが、人はどうして幻・夢のような話に憧れるのだろう?

そもそも、小選挙区制度を導入して、小泉郵政911選挙やら、この状況を、狙い通りに実現したご本人に、皆様一体何を期待しておられるのだろう?

ヒトラーを選んだドイツの状況が、この国で繰り返される。二度目の茶番として。

ところで、アメリカ、イギリスの石油確保作戦の軍隊支援ということで、前の記事で触れた伊勢崎氏の発言に関しコメントをいただいた。転記させていただこう。

私も半年ほど前から伊勢崎氏を警戒しています。それまでは、アフガニスタンで武装解除を成功させたという実績と、伊勢崎氏の「紛争の実態と反戦の論理」(『「いのち」から現代社会を考える』所収)という論文に感銘を受けていました。

きっかけは『平和構築』(東大作著)でした。彼が指揮したDIAGは旧国軍だけが対象で、無数にある地方軍閥の解体はおこなわれなかったということを知り、彼の業績は誇張されているのではないかという疑いを持ちました。その後に読んだ『知ってほしいアフガニスタン』(レシャード・カレッド著)のなかにも「DDRの想定期間中に6万人が武器供出...しかし登録されていない人々がまだその倍もいる現実では成功したとは言えない」との記述がありました。

それで、ネットでアフガニスタンに関する彼のインタビューVTRや記事に目を通してみたのです(彼の書籍は読んでいません)。具体的な内容は覚えていませんが、情報の偏りにすぐ気づきました。ネット上のアフガン情報を読むだけの私よりずっと良質な情報を数多く入手できる立場なのになぜ? 情報操作だと思いました。政府寄りの見解を発信するためでしょうか。

分かりやすい例は給油活動。伊勢崎氏はマガジン9条「アフガニスタン問題は、今。」のなかで、「インド洋で給油活動はやっていたけど、それはまったく知られていないし」とおっしゃっていますが、ジャーナリストの西谷文和氏は2009年6月13日付のブログで「米軍に給油していることは、ほとんど全てのアフガン人に「ばれてしまって」いる」と(彼が取材した人の殆ど全員は知っていたという意味だと思われます)。中村哲氏は『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』のなかで、「おそらく次の世代のアフガン人は、欧米人と日本人を同じと見る」と。自衛隊がアフガニスタンに行っても攻撃されないという神話を日本に根付かせる意図でもあるのでしょうか(この記事では、タリバンに関する説明にも腑に落ちないところがあります。)

私はDIAGが十分な成果を上げなかったことを批判するつもりはありません。困難なプロジェクトですから。しかし、成功したかのようにご本人が振る舞っておられることには違和感があります。加えて、私は伊勢崎氏の一般論としての平和構築プロセスは必ずしも間違っているとは言えないとも思っています(ケースバイケースで)。ただ、宗主国好みの"国際貢献"をしたい日本政府や伊勢崎氏の野心を満足させるための"アフガニスタン"とやらは、現実のアフガニスタンではありません。"アフガニスタン"をベースにして組んだ"平和構築プロジェクト"は、たとえそれが緻密なものであっても、みんな(少数の利害関係者を除く)を不幸にする砂上の楼閣で終わる気がするのです。

伊勢崎賢治氏の新刊『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』はmedia debugger氏が「伊勢崎構想」とは何か――「平和国家」日本にしかできない「対テロ戦争」で、厳しく批判しておられる。読まずに文句を言うのも気が引けるので、購入してみたが、media debugger氏がおっしゃる通りだ。「かもがわ出版」という、加藤周一本を多数だしている出版社からこういう本がでるというのは、出版界も末期症状なのだろうか?

上記コメントの他にも、「伊勢崎氏個人が現場に入るのと、自衛隊が現場に入るのでは、状況は全く違うだろう」と懸念される、事情通の方からもメールを頂いている。

『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る――アフガンとの約束』中村哲・澤地久枝著を読んで、精神のバランスを回復しようと試みている。(こちらは素晴らしい本だ。)

アフガン支援策立案、伊勢崎氏ではなく、中村哲氏にお願いしたいと思う。

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コメント

歴史を知っているアメリカ人は此の記事でも説明しなければならない様に非常に少なく“アングロ ペルシャン オイル カンパニー”等と言っても素早く何を言っているのか理解出来る人は私の日常生活では一寸見あたりません。
 何につけても情報は常に存在するのですが興味を持つ人が少ない事が現在の企業の支配する社会を作り出しているのではないでしょうか?
 ホメイニ革命後多くのイラン人がロスに移住し(ビバリーヒルズの公立高校に行くとユダヤ人とイラン人の居住区ではないかと勘違いするほどです)多くはシャー パーレビ政権下で利益を得ていたイラン人の家系ですから(革命が進行した後宗教専制政治に反対したイラン人も確かに多くロスには住んでも居る様です。私の知人も其の一人のイラン人ですが------)モザデク首相に対するカーミット ルーズヴェルトJrによるクーデターなんて話すと厭な顔をされますからロスでは話題を選ぶのに一寸気を使います。
 1998年のエクソンヴァルディーズと言うタンカーがアラスカで座礁し原油流出事故を起こした時もBPがクリーンアップの責任者だったのですが何の準備もしていなく、あそこでも漁民は職を失い鰊は絶滅し、2005年のテキサスでのBPの製油所爆破ではBPは有罪を認め今回のメキシコ湾での事故は執行猶予中の事故でした。企業は法的に個人ですからBPは刑務所に行くのでしょうか?????
 この様な企業犯罪が野放しにされている原因の一つは英米で起こったレーゼーフェア自由市場資本主義をいかにも素晴らしい学説であるかのように売り込んだ保守、右翼資本層の陰謀が成功したからなのでしょうねえ--------。

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