ギリシャ人は分かっている-Chris Hedges
Chris Hedges
2010年5月24日 "TruthDig"
ギリシャ人を祝して乾杯! 彼らは大企業が国を強奪・略奪しようとしている時には、どうすべきかを知っているのだ。ゴールドマン・サックスや国際的大銀行が、経済データを改ざんするのに、パワー・エリートと共謀し、ギリシャ経済が崩壊する方に、何十億ドルも賭けをしている時に、どうすべきかを彼らは知っているのだ。そもそも国民からまきあげていた金融企業に支払うために、国民の年金、社会的給付や職が削減されなければならないと言われた際には、彼らはどうすべきか分かっていたのだ。ゼネストだ。暴動だ。都心の閉鎖だ。ろくでなし連中を放り出せ。階級戦争-金持ち対貧乏人、寡頭政治家対市民、資本主義者対プロレタリアートといった言葉など恐れてはならない。ギリシャ人は、大半のアメリカ人とは違って、分かっているのだ。
現政権の前の右翼政権はギリシャ財政赤字の規模を偽っていた。国内総生産の3.7パーセントではなく、13.6パーセントだったのだ。しかも、もはや、スペイン、アイルランド、イタリアとポルトガル等の経済もギリシャ並のひどさのようで、それこそがユーロが過去数ヶ月で価値を20パーセントも下げた理由だ。アメリカの緊急援助同様、行き詰まっている他のヨーロッパ諸国への数千億ドルの緊急援助も、大惨事に先回りをしたに過ぎない。それが、アメリカの株式市場が落ち放題で、金価格が急上昇している理由なのだ。アメリカの銀行はギリシャでこそ余り目立ってはいないが、大半のエコノミストが認めている通り、ギリシャは始まりに過ぎない。ウオール街は他のヨーロッパ諸国に莫大な投資をしており、破たんが始まれば、アメリカ自身の経済基盤も、アテネの崩壊のように轟音とともに崩壊するだろう。大企業の大権力者達が、アメリカも、過酷な管理を課し、削減しなければ、クレジットが消滅するぞとがなりたてるだろう。連中は、我々を痛めつける資金と権力を持っている。今後、更なる失業、更なる個人的な、そして企業の破産、更なる家屋の差し押さえや、更なる人々の苦難がおきるだろう。そして法人国家は、この苦難にもかかわらず、戦争をするために、国民を一層ひどい借金漬け状態に押し込み続けるだろう。連中は、我々を従順にしておくために恐怖を利用している。私たちは徹底的に破壊されつつあるのだ。アメリカ経済とて、ギリシャ経済同様に腐敗している。アメリカも、なんとかやりくりするために、一日に何十億ドルも借り入れている。アメリカにも途方もない、決して返済できないだろう赤字がある。ヨーロッパ指導者たちの不吉な屁理屈に留意すべきなのだ。
先週、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、議員たちに救済措置のドイツ負担分を承認するよう要求した際に述べた。"ユーロは危機にあります" "もしも我々がこの危機を避けなければヨーロッパにとっての影響は測り知れないものとなり、更にヨーロッパを超えた影響も測り知れません。"
ヨーロッパを超えてというのは、つまり我々に及ぶということだ。ゲオルギオス・パパンドレウの現政権の前にいた、コスタス・カラマンリスの右翼政権は、ジョージ・W・ブッシュの下で、共和党がやったことをやっていたのだ。連中は、大企業というご主人様たちを豊かにすべく納税者の基金を略奪し、国を破産させたのだ。正直で勤勉な市民たちが、長い年月をかけて、着実に築いてきた個々人の退職金口座や年金口座から、連中は何億ドルもかすめとったのだ。国民に、テロリストを恐れ、人身保護法を含めた市民的自由を放棄するようにさせるため、連中は大プロパガンダを活用している。ブッシュやカラマンリスらは、彼らが幇助した大企業の犯罪者階級連中と一緒に、類まれな贅沢生活をする一方で、一般の労働者は男性も女性も、償いをするためには、更なる苦難に耐えなければならぬと諭されるのだ。まるで封建時代の強姦。だが個人的な意志の力と前向きな思考があれば成功できるというおとぎ話を未だに信じ込んでいるアメリカ国民ですら、だまされたとさとる日は必ずや、やってくる。
こうした緊縮政策、我々には見覚えがある。中南米は、ロシア同様に、国際通貨基金と世界銀行によって、公共サービスを骨抜きにし、生活必需品や食料への助成を止め、民主主義の基盤である中流階級の所得水準を、財政責任という名目のもとで大幅削減するよう強いられた。小企業、特に農民は、一掃された。国営企業は、腐敗した政府幹部によって、本当の価値のごくわずかの価格で、資本主義者に売りとばされた。電気・ガス・水道などの公共施設や国営サービスは民営化された。
ギリシャで今起きていること、そしてスペインやポルトガルでおきるであろうこと、アメリカでも、カリフォルニア州のような場所で起き始めていることは、世界的なホワイトカラー犯罪者階級による仕業だ。アメリカ政府を含め、いかなる政府も、彼らに逆らうことはしない。それは我々次第なのだ。バラク・オバマは、法人国家を覆い隠す、単なる最新の仮面に過ぎない。彼の政権は、我々国民の利益ではなく、企業の利益のために働いているのだ。ゴールドマン・サックスやシティバンクと同様、オバマは連邦準備金制度理事会の銀行が、どうやって我々を食い物にし、ウオール街のための個人口座、ATM装置として機能しているのかを大衆には知ってもらってはこまるのだ。彼もアメリカ史上最大の支配階級に対する富の移転画策を手伝ったのだ。彼はアメリカの帝国主義戦争のために働き、市民的自由を回復させることを拒否し、アメリカの致命的赤字は抑制していない。彼の政権が、取締機関を骨抜きにしたために、取締機関はBPがメキシコ湾を毒のたまり場にしてしまうのを許したのだ。オバマが意味のあるやり方でメキシコ湾の生態系を救うべく介入すること、天然ガスと石油会社の悪習を縮小させることをこばんだのは決して事故ではない。彼は誰が権力を握っているかを知っているのだ。無党派の調査団体、センター・フォー・レスポンシヴ・ポリティックスによれば、BPと社員は、過去20年間にわたり、350万ドル以上を国会議員候補者たちに提供したが、その資金の最大部分がオバマに流れたのだ。
私たちは世界の金融制度の崩壊に直面している。これはグローバリゼーションの終わりなのだ。そしてこの最後の瞬間に、金持ちたちは、まだ間に合ううちに出来るだけ、むしりとっておこうとするのだ。コーポラティズムと、軍国主義と、国内・国外の諜報機関の融合が、彼らの仕事の大半は民間の請負業者によって遂行されているのだが、こうした企業に恐るべき支配機構を渡してしまった。ギリシャ人が考えているように、これは外国による占領の一種と考えよう。ギリシャの暴動は解放されるための戦いだと考えよう。
ドワイト・マクドナルドは、戦争遂行が "当たり前の生き方"である、アメリカ的文化の行く末を提示した。19世紀後半と、二十世紀初頭、カール・マルクスを含めた改革と社会運動の理論家たちから、まんまと逃げおおせた永久戦争という概念が、大衆支配をするこの効果的な仕組みに、社会改革が対応できないようにしてしまったのだ。旧来の改革論者は、国家内部の階級闘争にばかり集中するあまり、マクドナルドが指摘するように、 "戦争の政治的重要性に関する十分な理論"を決してまとめることがなかったのだ。この溝が埋められるまで、"現代社会主義はどこか学問的な香りを漂わせつづけるだろう"とマクドナルドは警告した。
マクドナルドは、1946年のエッセイ"Root Is Man"で、資本主義と永久戦争との結婚の詳細を描いている。永久戦争経済と、それと並行する精神構造が敗北するまでは、効果的な抵抗運動はありえないと彼はあきらめていた。アナキストだったマクドナルドは、西欧デモクラシーにおけるマルクス主義者もリベラル派も、ともに国家の高潔さを前提とする人類の進歩を、誤って信じていたという。この信念は、とんでもない間違えだと彼は言う。資本主義アメリカ合州国であれ、共産主義ソ連であれ、国家というものは結局のところ、自らの子供たちをむさぼり食らうのだ。しかも国家は、自国民を、恐れさせ、無限戦争の状態においておくために、大量プロパガンダ機関を活用して、これを実行するのだ。市場の聖なる偶像の前で、またはユートピア的な労働者の天国の前で、人類はいけにえにされるべきだと主張して、国家がこれを行うのだ。戦争国家は、ドイツ野郎なり、ボルシェビキ、ナチス、ソ連工作員あるいは、イスラム教テロリストといった敵を次々に提供してくれる。マクドナルドは、恐怖と戦争が、国家安全保障の名において、寡頭政治家連中が、略奪をするための仕組みであることを理解していた。
"現代の全体主義は、恐怖とプロパガンダによって、大衆を政治構造に完全に統合することができるために、大衆は自らの奴隷状態を主導するようになってしまう" と彼は書いている。"これは奴隷の身分をより解放するのではなく、逆に悪化させる。ここでパラドックスは、そこには解決する余地が皆無だということだ。資本主義ではなく、官僚主義的集団主義こそが、最も危険な将来の社会主義の敵なのだ。"
民主主義国家は、永久戦争経済と、それにともなうプロパガンダを廃絶しなければならないとマクドナルドは主張する。民主主義国家は、真実、公正、平等と共感といった、非歴史的で、より深遠な価値観に従って、行動し、統治しなければならないのだ。教会、大学、マスコミから民主党に至るまでのアメリカ・リベラル派は、空虚な政治と法律によって要求される実務的な命令に敬意を表することで、道徳的な発言権を失ってしまったのだ。リベラル派は邪神に仕えているのだ。戦争、科学、技術や消費による進歩への信仰が、こうした非歴史的な価値観を踏みつぶすことを正当化するのに利用されてきた。グローバル化の至上命令の盲目的な受容と、グローバル化は、不可避な進歩の一つの形式だという、悲劇的で、誤った信念というものが、おそらくはマクドナルドの主張の中心的例証だ。市場のニーズか、人類か、いずれかを選択するなどということはありえない。そんな選択などありえない。我々が、法人資本主義であれ、他のあらゆるユートピア構想という形であれ、人類の進歩、という虚構に仕えることから自由になるまで、我々は牙を抜かれたままであり続け、人々の無用な窮状を存続させるだろう。アテネでストライキをしている群衆が理解しているとおり、大切なのは銀行ではなく、子供たちを育て、共同体を作り上げ、生活を維持する人々なのだ。そして政府が、一体誰のために仕事をしているのか、何のために存在しているのかを忘れ去った際には、政府は置き換えられるべきなのだ。
"進歩主義者はイデオロギーの中心に歴史をおいている" とマクドナルドは"Root Is Man"の中で書いている。"急進主義者はイデオロギーの中心に人間をおいている。進歩主義者の態度は、人間の本性(彼はそれが善だと考えており、だから必要なのは、この高潔さに機能できる機会を与えられるよう制度を変更することだけで)についても、 科学的な方法で歴史を理解する可能性についても、楽観的だ。急進主義者は、悲観的そのものとは言えないにせよ、二面性について、少なくともより敏感だ。彼は、科学が物事を能力する能力についても、ある点を以上については懐疑的だ。彼は、現代のみならず、いかなる総称であれ(社会あるいは労働者階級の利益)人間の運命における悲劇的な要素に気づいている。急進主義者は個人の良心と感性を強調する。進歩主義者は実際に起きていることから出発しようとする。急進主義者は自分が起きて欲しいと考えているところから出発しようとする。前者は歴史は‘自らの側にある'という感覚を持っているに違いない。後者は自分自身の個人的良心によって指示された道を進むのだ。もしも歴史も、彼が進みたい方向と一致していれば、それを喜ぶのだ。しかし、彼は‘現実がどうである'かではなく、‘どうあるべきか' という方向に進むという点において、実にかたくななのだ。"
記事原文のurl:www.truthdig.com/report/item/the_greeks_get_it_20100524/ 242人が「いいね」(thumbs up)と評価している。
Information Clearinghouseの同じ記事にも、50を超えるコメントが書かれている。
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彼の常ならぬ激しい調子に驚かされている。文中の"The Root is Man"は絶版のようだ。
昔訪れたアテネを懐かしく思い出した。青い空、パルテノン神殿、立派な博物館。アテネそのものが博物館のようなものだった。海岸で食べた鯛の塩焼き。海岸の安レストランの冷蔵庫で氷漬けの魚を選び、好みの調理法で料理してもらった。砂浜にあるテーブルには、しっかり醤油がおいてあった。ワイン、ビールによくあった。
ウゾは苦手だが、ギリシャ・ブランデー「メタクサ」もなかなかだった。容器も素朴。
スブラキもオレンジも安価だったが、オリーブ油、オリーブ・ピクルスは苦手。
水中翼船ででかけたヒドラ島もなつかしい。島では自動車は走っておらず、ロバが引く馬車でホテルに行ったのを覚えている。
ギリシャ人は議論好きで、始めると部外者そっちのけ。いつまでも終わらなかった。
町歩き時に看板がまったく読めないのだけは困った。仮に綴りを多少覚えても単語の意味が全くわからない。
ともあれ名目所得は裕福でなくとも、休暇が多く、のんびり暮らしている様子の彼らをうらやましく思ったものだ。ただアテネ空港に迷彩色をほどこした軍用機が多数止まっていたのには驚かされた。観光都市の空港に迷彩は似合わない。それを言うなら、沖縄の美ら海水族館まではるばるでかけると、途中の広大な基地がいやでも目に入るのだが。
『旅を感じる時』というギリシャの光景を唄った曲がある。カラオケ・リストに載らないのを残念に思っている。
日本でも、銀行が危ないというストーリーで助成が行われた記憶がある。大きすぎて潰せないということはないと、あのトンデモ大臣が言っていた。
困った場合には税金で助けられるが、儲かった場合には自分たちの懐に入る。属国資本主義、大企業支配エリートにとっては、やめられない美味しい制度なのだろう。
多くのブロガーの皆様が絶賛してやまない大幹事長、辺野古に土地を持っているそうだ。今頃笑いがとまらないだろうというブログ記事も散見される。元防衛大臣もそうだ。
沖縄に基地を押しつけるのであれば、安保と基地を受け入れる政治家、与野党をとわず、辺野古に土地を購入するだけでなく、沖縄の基地周辺に自宅を構えるべきだ。
飛行機で国会に通っていただいてかまわない。生活基盤は基地の周辺におくべきだ。それが責任だろう。北朝鮮潜水艦の魚雷より、米軍基地の方が迷惑だと感じるだろう。
まもなく幹事長の悪知恵で、国会法が改悪され、内閣法制局の役人が憲法解釈に歯止めがかけられないようになる。役人の解釈改憲は悪辣だろうが、政治家の見境のない豹変ほど悪辣ではないだろう。勝手に変えられて、宗主国の戦争につきあって、無辜の外国の民間人を殺害したあとで、選挙をしたとてどうなるのだろう。もう、その時点では、少数政党そのものが排除されているだろうが。死者は決して帰らない。政治家・役人は、庶民を食い物にするのだ。貧しい庶民ができることは、彼等のおこなう悪を、どこまで小さく食い止めるかだけ。それも、少数の本質的異議を唱える政党が存在している、あと僅かの期間だけ。
日本軍を宗主国の傭兵として、海外派兵をしたいが、憲法破壊がむずかしいからだが、この法律、憲法破壊と同じこと。社民党、意義をとなえるどころか、一緒に提出さえしている。
ブロガーの大半の皆様も、ほとんど文句を言わない。
そして、『自民党は26日、自衛隊の海外派遣を随時可能にする一般法「国際平和協力法案」を衆院に提出した。』のだという。
皆様、日本人が見ず知らずの土地に、宗主国に言われて、(あるいは独自に)、人を殺し、殺されるにでかけることの何が嬉しいのだろう。
いや現代はスレイ・ステーション時代。東京本省の作戦室にいながらにして、無人飛行機を大画面つきビデオ端末で操作し、攻撃・殺戮するだけだから大丈夫、ということなのだろう。あるいは、鉄人28号のような鎧を開発するのだろう。
宗主国を向いた属国の政治屋諸氏、ギリシャやタイの政治家でなくて良かったと、ほくそえんでいる、いや、呵々大笑しているに違いない。
大幹事長の辺野古土地や、国会法改悪や「国際平和協力法案」には決して触れない有料政府広報紙と、液晶デジタル・テレビ無料番組の睡眠効果、何とも偉大。
たとえ赤字でも。やがては我々の税金で洗脳プロパガンダをしてくれるだろう。素晴らしき新世界。
本土人は別として『沖縄県民は分かっている。』
追記:下記の記事も、そうした沖縄の方の声だろう。
ナガハマヒロキのネオトーキョー絵巻 2010年05月29日記事
普天間基地問題について本気で書いたので、読んでください。
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