新たな戦略的協調関係を目指す画期的なロシア-ウクライナ・サミット
キエフでのメドベージェフ-ヤヌコーヴィチ会談
Viktor Pirozhenko
Strategic Culture Foundation - 2010-05-16
東ヨーロッパの二大国家の指導者、ロシア大統領D. メドベージェフとウクライナ大統領 V. ヤヌコーヴィチが、5月17-18日にキエフで会談する。当初予定されているものとして、議題には下記の五つの条約署名が含まれている。
- ロシアとウクライナとの国境の陸上部分における境界策定
- ロシアのGLONASS衛星ナビゲーション・システムへのウクライナの参加
- 金融、教育、文化部門での二国間協力
ロシア連邦大統領府長官セルゲイ・ナルィシキンは、ロシアとウクライナの大統領が、ヨーロッパの安全保障と、トランスドニェストリアにおける紛争の解決について、共同声明を行うだろうと述べた。
ウクライナが、現時点ではアメリカが運用しているGPSに対する唯一の代替手段であるGLONASSに変更することは、注目に値する進展だ。GLONASS計画は、緊密に一体化していたロシアとウクライナ企業によって実施されるべきプロジェクトとして、ソ連時代に開始されたが、ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊によって実現が遅れてしまった。現在、モスクワもキエフも、ウクライナのGLONASSへの復帰は、論理的、かつ長く待望されていたステップだと見なしている。
ロシア-ウクライナ関係という視点からすれば、GLONASSを採用するというキエフの決定は、ウクライナの新大統領V. ヤヌコーヴィチが、同国のロシアとの関係を、前政権時代より単に更に友好的ということにとどまらず、一層の開放性に基づいて、再構築を目指すのだということをはっきりと示している。GLONASSは、リアルタイムに位置と速度情報を提供する自動テレマティック衛星システムだ。民間ユーザーが利用できるが、軍用にも利用でき、これは明らかに、ロシアとウクライナが、多くの軍事技術標準を同期させる予定であり、両国の防衛協力を広く拡大することを意味している。
ロシアとウクライナにおける経済近代化と、知識集約部門における連携強化を追求することで、二国間のより深い科学的協力が促進される。そこでは、既存の研究開発潜在力を、現在の経済ニーズに適応させることが主要な課題と見なされている。
長期的なロシア-ウクライナの計画では、本格的な共同原子力発電プロジェクトが重要だ。ロシアがウクライナに新たな原子力発電能力を建設し、ウクライナが、世界中の原子力発電所に燃料を供給しているロシアのアンガルスク国際ウラン濃縮センターに参加することが計画されている。二国間での、初期段階では原子力エネルギー分野での、こうした経済交流は、広範な業界レベルでの統合の原点となろう。
ロシア・ウクライナ間航空宇宙産業における今後の協力は、通常の取引関係を超えるものとなろう。現在検討中の計画には、ロシア航空機製造複合企業と、世界中で有名な大型航空機のウクライナ、アントノフ航空機製造会社の合併がある。
概して、ウクライナ政府は、多くの場合ウクライナがロシアとともに共有していた、かつての統合された技術的連携の再建こそが、産業を維持し、現代化し、またイノベーションの消費から、イノベーションを生み出すことへの移行の機会をウクライナにもたらし得る唯一の戦略であることを理解している。
メドベージェフ-ヤヌコーヴィチ・サミットは、ロシアとウクライナの関係で、人道的な側面おける新生面を切り開くことが期待されている。現在のロシアとウクライナが、統一された国家、ロシア帝国とソ連邦という立場の枠組みで共存していた時代である、XVII-XX世紀における両国の共通の歴史研究に重きがおかれている。ウクライナのドミトロ・タバチニク教育科学相は、新しい歴史教育カリキュラムや教科書が、ロシアの協力を得て作成されるべきであり、学校や大学のカリキュラムで、ロシア文学は外国文学とひとくくりにされるべきではないという見解を述べた。
ロシアとウクライナ指導者による国際政治に関する共同声明が、サミットの目玉になることは確実だ。キエフは、クレムリンの政策でも上位にある構想、メドベージェフ大統領によるヨーロッパ安全保障条約提案に立ち戻るだろうと伝えられている。二人の指導者は、他の多くの国際政治問題に対しても協調的な立場を示す可能性が高い。
5月15日、ウクライナのマスコミは、ロシアのD. メドベージェフ大統領キエフ訪問時に、少なくとも更に三つの文書が署名される予定だというニュースを報じた。しかも、来るサミット用に、およそ10-12の文書がモスクワで準備されている情報まである。
壮大な目標と調印予定の目ざましい諸条約は、過去二十年間で初めて、ロシアとウクライナが、二つのスラブ国家にとって自然な、本当の戦略的協調と、信頼し合える関係に向かいつつあるという事実の反映なのだ。
ヴィクトル・ピロジェンコ
記事原文のurl:en.fondsk.ru/article.php?id=3036
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ロシアのマスコミ報道、必然的に、自国政府の方策についての自画自賛となるだろう。それが公営であれ、私営であれ、広報機関の使命なのだろう。日本のマスコミ、一体、誰の代弁をしているのか考えていただく参考になれば幸い。日本のマスコミ、少なくとも小生のように貧しい庶民の意見は書いてくれない。
基地問題にかかわる日本のマスコミ報道、沖縄発を除けば、自国民ではなく、宗主国目線のものばかり。たとえば、沖縄嘉手納道の駅に数時間いるだけで、植民地状態はわかるだろうに。
「沖縄に基地をおいてもらうしかない」と、友人の自民党員や民主党支持者は言う。彼ら自分は何も負担しないのだから、好きなことが言えるだろう。彼らイラクやアフガニスタンの人々の悲惨な運命にはもちろん触れない。意見が根底から対立する人々と、友人だからと、酒を飲むのはやめる必要があるのではないかと考え始めている。戦争・戦争支援を支持するカラオケ・スナックに行くのはある種の「軽犯罪」ではないか、と以前から思っているので。酒は家で一人で呑める。カラオケ・スナックに行かなくとも死にはしない。健康にも、貧しい懐にも、確実に、良いだろう。
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