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2010年4月11日 (日)

イラクでの米軍による虐殺暴露を受け、ニューヨーク・タイムズ、WikiLeaksを指弾

David Walsh

2010年4月8日

月曜日に公開された、2007年7月、東部バグダッドの街路で、アメリカ軍によって行われた冷酷な殺害のビデオ映像は、広範な怒りと恐怖を引き起こした。投稿以来、ビデオは400万回以上閲覧されており、アメリカのイラク占領というものの本性を、世界中の視聴者に直接かいまみさせてくれている。

それはまた、犯罪を暴露したウェブ・サイトWikiLeaksに対する、アメリカのリベラル紙、ニューヨーク・タイムズによる、狙いを定めた攻撃も引き起こした。反対派の危険な情報源であり、万一事態をタイムズが好む方向に動かせるなら、廃業させるべきである、というのだ。

WiiLeaksが入手し、投稿した、2007年7月の恐ろしいビデオは、後に判明した通り、ロイター通信社の二人の社員、ナミル・ヌール-エルディーンと、助手のサイード・チマグを含む、十人程度の集団に対する米軍攻撃型ヘリコプターによる攻撃の記録だ。二人のイラク人ジャーナリストは、虐殺された10から15人のイラク人の一部だが、こうした虐殺は、無数のそうした出来事の典型的なものであることは確実だ。(“流出したビデオ、アメリカ軍による二人のイラク人ジャーナリスト殺害を撮影”を参照。ただし英語原文)

WikiLeaksによって投稿されたビデオ映像は、人々の正体を特定しようとは全くせずに、集団の全員を殺害して良いという許可を得て、残虐な作業に熱心に取りかかるヘリコプターの射撃手を暴露している。現地人男性が負傷者を助けようと停車すると、彼の車は砲撃され、二人の子供を負傷した。ヘリコプターのパイロットは虐殺を誇っている。

集団の中の一人か二人のイラク人は武器を持っていたように見える。イラクでは一般市民も銃器を所有することが認められており、実際多くの人が所有している。攻撃型ヘリコプターも他のアメリカ軍兵士も、いかなる時点においても、危険に瀕してはいなかった。

近くにいあわせた記者たちによると、アメリカ軍は、その日動くもの全てに発砲していたという。これが植民地戦争の特質だ。占領軍人たちは敵意を持った人々に直面し、誰でも、敵と見なすようになる。現在の戦争では、アメリカ軍が使用可能な桁外れの火力が、致死の可能性を高めている。2003年3月に始められた、アメリカが率いる違法な侵略の結果、百万人ものイラク人が亡くなっている。問題のビデオのおかげで、膨大な死亡者数のわけが、多少はわかり易くなったようだ。

ペンタゴンは、ロイターが、2007年の殺人ビデオを入手するのを妨害し、隠蔽しようとした。殺害に関与した兵士は全員責任を免除され、出来事は、軍の交戦規則に従って、行われたものだと軍は発表した。様々な専門家が、軍自身の条件からしてさえ、それは嘘だと明言している。

4月5日、ニューヨーカーは、作戦は、少なくとも四点で、軍の交戦規則に違反していた指摘する、ラフィ・ハチャドリアンの記事を掲載した。釣り合いがとれていること。標的を、戦闘員として確実に確認すること。“指揮文化”(ヘリコプターの乗員が、現場の状況をいつわり、脅威をでっちあげて、誇張し、彼等の指揮官が、疑問も持たずに、乗員の主張を受け入れたこと)。そして負傷者に対しての発砲。

こうしたことは結構なことかも知れないが、ニューヨーク・タイムズは別のことを懸念している。同紙記事の見出しは、むしろ不気味で“イラクのビデオ、ウェブ・サイトに目をむけさせる”だ。“ニューヨーク・タイムズ、ウェブ・サイトを指弾”とあっても良かったろう。

記事は、WikiLeaksを“機密扱いの文書を投稿掲示するウェブ・サイト”と断じることから始まっている。“どういうわけか、WikiLeaksが、どのようにして問題のビデオを解読するのに必要なコンピューター使用時間をまかなったのかは語っていない”と記事は書いている。結局、記事は、これが明白に、うさんくさい、あるいは違法な活動だと示唆しているのだ。

タイムズ記者は“サイトは、アメリカ合州国国内でも国外でも、当局にとり、目の上のコブとなっている。イラク攻撃ビデオの件で、この極秘文書情報センターは、調査ジャーナリズムと支援運動に、次第に近づいている。”と書いている。もちろん客観的ジャーナリズムなるものでしかないタイムズとは対照的にだ。

タイムズは、特にアメリカ軍の他の犯罪が暴露される可能性を懸念して、こう書いている。“WikiLeaksは、昨年アフガニスタンで97人の一般市民を殺害した、アメリカの空襲を映した暗号化された別のビデオを入手したと主張しており、それを寄付集めの機会として利用した。”

記事は、WikiLeaksを閉鎖させるのが容易ではないという残念な事実に、何度かふれている。例えば、“かつては、判事や原告が、裁判所の命令で、公開を止めたり、遅らせたりすることができていたが、WikiLeaksは、情報が即座に入手可能となるデジタル圏の中に存在している。”と記事はいう。タイムズは更に付け加えている。“特定の場所にあるわけではなく、どこからでも利用可能なことから、WikiLeaksは、実際、それを黙らせたがっている、あらゆる機関や政府も手に負えないのだ。”

更にこう言う。“更なる資料を公開しつづけることで、WikiLeaksは、益々議論を呼ぶものとなりつつある。(アメリカ合州国軍は、先月、ある報告書で、これは軍の作戦にとって脅威であると言っている。)多くの人が、サイトを沈黙させようと試みた。イギリスでは、WikiLeaksは、資料は、関係する人々のプライバシーを侵害する可能性があると裁定した裁判所による公開差し止め命令を、巧みに何度も逃れてきた。裁判所は、自分たちの裁定がどれほど効果がないかに気づくと、態度を翻した。”

タイムズはペンタゴンの主張をコメント抜きで紹介している。2008年、米軍のある防諜部員が、WikiLeaksは“アメリカ軍に対する…潜在的な脅威である”とする報告を書いた。報告は、ウェブ・サイトを“損傷するか、破壊する”ような取り組みを推奨していた。

WikiLeaksサイトは、同社スタッフが、アメリカ国務省と、おそらくはCIAによる、監視と嫌がらせの標的にされていると主張している。あるブログ投稿で、この団体の共同創立者ジュリアン・アサンジは、アメリカ政府の活動として“アイスランドの、あるWikiLeaksボランティアの秘密尾行未遂、写真撮影、映画撮影、露骨な拘留や尋問”まで行われていると断言している。こうした主張を疑う理由は皆無だ。

ところが、タイムズは、アメリカ・マスコミの多くと同様、主要な脅威は、アメリカ軍の残忍な行為や、アメリカ諜報機関の弾圧的作戦ではなく、誠実なジャーナリストによる、帝国主義の犯罪を暴露しようという取り組みだ、と認識しているのだ。

クリスチャン・サイエンス・モニター、まさに同じ趣旨で、その記事の一つに、こう見出しをつけた。“イラク人ジャーナリスト殺害のビデオ: WikiLeaksは、セキュリティー上の脅威か?”記事の書き出しはこうだ。“月曜日、2007年に、バグダッド郊外でアメリカ軍ヘリコプターが、ロイターのイラク人ジャーナリスト二人を、明らかに殺害する様子を写したビデオを公開した団体を、アメリカ軍は、警戒し、数年間監視してきた。”

重要なのは、タイムズも、クリスチャン・サイエンス・モニターも、ビデオの信ぴょう性を問うておらず、残虐行為を暴露したとも、真面目に論じていないことだ。そうではなく、どちら新聞社も、軍隊と共に、イラク戦争に関する真実の暴露はリスクであると暗に認めているのだ。

アメリカのリベラルなマスコミも、より一般的にはリベラル派の世界も、近年、アメリカ帝国主義の犯罪に順応してしまっている。ホワイト・ハウスによる嘘の大キャンペーン、外国への違法な侵略、捕虜の残虐な扱い、CIAと軍の拷問所、こうしたもの全てが、抗議もなしに、受け入れられてしまっている。

ベトナム戦争時代の頃までは、タイムズや他の出版物による、議会による調査やら、犯罪告訴の要求等とともに、怒りに満ちた論評をひき起こしていたであろう出来事が、同意を示すウインクではないにせよ、肩をすくめるだけの対応で終わっている。リベラル派連中は、こうした作戦が好きになってしまったのだと言うむきもあろう。いずれにせよ、彼らはいまや、アメリカ軍やCIAと一体化し、こういう連中を、自分たちの富と特権の主な擁護者の一員と考えているのだ。

タイムズも、WikiLeaksを標的にして、インターネットや、代替ニュースメディアによってもたらされている危機に関する、既成マスコミの執拗な話題に触れている。

タイムズ編集主幹のビル・ケラーは、2006年10月ミシガン州、アン・アーバーでのある講演で、インターネット上のニュースや意見の新たな情報源による、競争の激化に直面した“既存マスコミ”の弱体化について、警告した。(“ニューヨーク・タイムズ編集者‘対テロ戦争’における既成マスコミの役割を絶賛”参照。ただし英語原文)

彼は述べた。“インターネット・ジャーナリスト軍団の中には、生命を脅かすような情報を発表することに、良心の呵責を全く感じないような人々が、わずかながら存在している。”“我々は、まだ情報アナーキーには陥っていない”とケラーは満足げに語り、“依然として、真摯に、責任を負っている”つまり、大衆に対する情報の流れを支配し、厳しく吟味する、彼の新聞社の様な報道機関を賞賛した。彼はこの時、自分が働く新聞社の、WikiLeaks暴露に関する現在の懸念を予言していたのだと言えるかも知れない。

これと同じような話として、2004年に引退する数年前のインタビューで、NBCニューズの元ニュースキャスター、トム・ブロコウは、サイバースペースは、特に若い聴衆用に管理されるべきだと断言した。(“降板するNBCのキャスター、トム・ブロコウ: 富と権力に奉仕する、とるにたらない人物”参照。ただし英語原文)

“私たちは、この世代、国民の一部をそっくり、インターネットに抜け出させて、彼らが何も知らぬまま、何でも欲しい情報を引き出すようにさせるわけにはいかない”ブロコウは断言した。“門番がいてこそ、インターネットは最高に機能を発揮するのだと私は固く信じている。どの情報が適切で、事実で、有用かについての決定、判断をする人々が必要だ。そうでなければ、インターネットは熱帯雨林のようになって、緑色の迷路しか見えなくなるだろう。”

現在、アメリカの体制派全員が、インターネット上の反対派の意見を鎮圧できるような手段を検討しているが、それこそが、現在の社会秩序に対する本当の“脅威”だ。

WikiLeaksビデオは、下記で見ることができる。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/apr2010/wiki-a08.shtml

----------

Democracy Nowは、2010/4/6の下記記事に、ビデオ中の兵士たちの通信会話の書き起こし文章も掲載し、WikiLeaksの共同創立者ジュリアン・アサンジ本人とも対談している。アル・ジャジーラによる「まともな」報道も紹介されている。

Massacre Caught on Tape: US Military Confirms Authenticity of Their Own Chilling Video Showing Killing of Journalists

ジュリアン・アサンジ、こうした出来事、決して、一部のおかしな兵士による例外的なものではなく、普通のことだと語っている。

マスコミの記事見出しにあるような誤射ではなく、意図的射殺であるのは明白。シンディ・シーハンの言う、スレイ・ステーション現象の一例にすぎまい。ハート・ロッカーなどで騙されてはいけない。

「誤射」という表記そのものが既に欺瞞。

「内田樹の研究室」最新記事、従者の復讐にあるように、もしも日本の人々、アメリカ、困った国だと、重々わかっていながら、

日本人は戦後65年かけて「従者の復讐」を試みているの

であれば、日本、実に高等な戦術を持った人々の集団だ。

おかしな政治家やらマスコミやらばかり泳がせる、見事な抱きつき自爆心中作戦。何十年、いや何百年かかるのかは知らないが。

ほんとうだろうか?

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コメント

TBありがとうございました。
各国の情報の仔細はいつも拝見させていただいています。

暗い世の中で、時折いたたまれなくなりますが、それでもやはり、この現実を正視しながら、より良い未来を模索していかなければ。。。

緊張も恐怖も覚えることなくブログ主様の記事を読める平和な日常が、一日も早く訪れることを祈ります。

ウィキリークスはアカラ様な平和運動であり、安全保障体制に不可欠な正義のプレイヤーです。
この暴露戦術だけが「イラン核問題」にノメリ込む米英のブレーキになってる現実=Q.E.D.
証明なんて、その一事で十分です!
此処迄、全世界規模の凄まじい反発が起きない限り「次の戦争」に突き進む米英は、実は自国経済とクロノス(ギリシャ神話の「時間」)に追われて、立ち止まるや喰われちゃう!
どうぞ、早く喰われちゃって下さい。
日本も防衛費を軍産複合体に上納せずに済むようになります。
基地とか。

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