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2010年4月 7日 (水)

(プレイならぬ)スレイ(虐殺)・ステーション

シンディー・シーハン

“無人航空機システム(UAS)と、それがもたらす効果は、米国空軍が、統合軍に提供する、最も"求められている"能力の一つとして浮かび上がっている。持久性、航続距離、効率と、接続性という属性は、グローバル統合軍事作戦の全領域における、証明済みの戦力多重増強要員である。”

アメリカ空軍無人飛行機飛行計画(USAF UAS FLIGHT PLAN)2009-2047

2010年4月5日

"Islam Times"

誤解されないようお願いするが、“有人航空機システム”が、一般市民に雨あられと爆弾を投下するのに、賛成だというわけではないが、“無人航空機システム”(UAS)を使ったジョイスティック殺人という発想には、全くもって辟易する。

UAS、より一般的には“ドローン(無人飛行機)”という名で知られているものは、何千マイルも離れた場所から操縦されるもので、益々、空軍のニュー・ウェイヴとなりつつある。空軍は、最近、議会が陳腐化したF22戦闘機への資金供給をカットしたことに落胆したが、この人殺しロボットには、大いに色めきたっている。

無人飛行機の名称さえも、ゾッとするプレデター(捕食動物)やら、リーパー(死に神)という具合だ。気味の悪いリーパー(死に神)無人飛行機が、爆撃の現場から何千マイルも離れた、ネバダ州クリーチ空軍基地にある、エアコンが効いた掩蔽壕で、誰を生かし、誰を殺すか選ぶのだ。

大虐殺から何千マイルも離れ、

絶叫や臨終から何千マイルも離れ、

道徳や同情からは、何光年も離れている。

アメリカ軍は、上から下まで、熱狂的なキリスト教信者で満ちていると報道される中、一体誰が「ジョイスティック殺人」を"許可する"のだろう? 第六戒は、“汝、ビデオ・ゲームで遊んでいるふりができない限り、人を殺すべからず。”ということになるのだろうか?21世紀の大量虐殺など、数千年前には、ほんのわずかたりとも思いおよばなかっただろう。

戦争は、人間にとって、一層致命的になったが、一層、非人格化されてもいる。現在、不必要な一般市民の死亡が、無益な軍人の死亡より、5対1の比率で、上回っているのに、未だに“巻き添え被害”と呼ばれている。アメリカ軍は、傭兵を利用することによって、さらに非人格化した。

この種の戦争は、一般市民の人命を奪うばかりでなく、こうした兵器を操縦している“パイロット”の中には、良心の危機を味わっている人々がいると従軍牧師たちも報告している。私としては、快適な部屋の中に座って、子供たちの上に、爆弾を投下してから、帰宅し、自分の子供たちと夕食を取ったり、あるいは、スカウト運動の集会や、スポーツ行事に参加したりすることなど、到底思い描くことができない。アメリカ軍兵士の中には良心を持った人々がいることが分かるのは励みになる。もっと多くの兵士たちが、こうした、いまいましい命令を拒否し始めるようになって欲しいものだ。

最近、ペンタゴンは、たとえアメリカ軍兵士がイラクから撤退したとしても、アメリカ軍兵士は--時には、2対1の比率で--ウガンダのような国からの傭兵によって、置き換えられるだろうことを認めた。死にかけている兵士のこともほとんど気にしない疲弊しきったわが国民、まして、外国の傭兵殺人者のことなど、あるいは彼等が、適切な装備をしていようと、いまいと、気にするまい。

アメリカ中央情報局(CIA)は、パキスタンの部族地域にいる政敵を処刑することで、パキスタン政府に協力しており、実際は、まったくそれどころではないのに、“アルカイダ”やら“タリバン”指導者が殺害されているのだと主張している。イスラマバードの政府は、口先では、CIAの無人飛行機攻撃を非難して見せるが、無人飛行機の中には、パキスタンのシャムシ飛行場等から、打ち上げられているものもあるのだ。

現在、アメリカは、宣戦布告なしの二つの戦争を遂行しており、イエメンでは先制攻撃をし、対イラン経済制裁を強化すると言っている。アメリカの無人飛行機は、ベネズエラ領空でも発見されている。無人飛行機利用のエスカレーションは、違法な戦争どころか、憲法違反の戦争さえ、より容易に遂行できるようにするだけのことだろうと、私は予測している。

現在のアメリカ文化では、プレイステーションや他のビデオ・ゲームの暴力的ゲームから、スレイ-ステーションで、実際に人々を殺害するまでの距離は、ほんのわずかに過ぎない。親である私たちは、家庭内の暴力的ゲームを、より積極的に禁じるべきなのだ。

「スレイ-ステーション・ゲーム」、「ジョイスティック殺人」は、軍産複合体の更なる道徳の破綻に過ぎない。アメリカ空軍無人飛行機飛行計画によれば、人工知能を用いた無人飛行機が、核兵器を搭載し、人間の命令を全く必要としないような日がやって来るのを、彼等は、舌なめずりをし、首を長くして待っているのだ。

2047年が、無人飛行機による全面的ハルマゲドンの目標期日である。

注: ブッシュが、大統領だった時代、2004年-2008年の間に、パキスタンでは、24回の無人飛行機攻撃が行われた。オバマが大統領となってから15カ月の間に、72回、攻撃が行われた。チェンジは一体どこに行ったのだろう?

記事原文のurl:islamtimes.org/vdcgn79x.ak9x74j5ra.html

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日本にも、アメリカからの無人殺人飛行機の積極的売り込みがあり、軍で採用を検討中という記事を最近読んだ記憶がある。

宗主国の好きな赤烏帽子。紙屑国債のみならず、業火ミサイルも、死に神無人飛行機も、たっぷり購入させられ、やがて派兵先で活用するだろう。いや東京でタリバン狩りか?

おりしも昨日、岡田外務大臣が「日米同盟は日本外交の基軸であり、二十一世紀にふさわしい形で深化させていく」二〇一〇年版外交青書を閣議報告したという。「同盟」という言葉、現代日本語では「隷属関係」を意味するようだ。

政府による、こうした巧妙な言葉使い、ジョージ・オーウェルの『1984年』や『動物農場』が見事に描いている。

第六戒“汝、ビデオ・ゲームで遊んでいるふりができない限り、人を殺すべからず。”の改竄で思い出した。

ジョージ・オーウェルの小説『動物農場』では「十戒」でなく「七戒」がある。

最初に書かれた「七戒」が、次第に支配者に都合よく書き換えられてゆく。

第六戒 およそ動物たるものは、他の動物を殺害しないこと

は、やがて、こう書き換えられる。

第六戒 およそ動物たるものは、理由もなく、他の動物を殺害しないこと

傭兵を送り出し、他国に暮らす無辜の一般市民を理由もなく虐殺すべく、自民党も、公明党も、民主党も、彼らの党も、沈没しろニッポンも、憲法破壊を狙っているのだろう。

チェンジは一体どこに行ったのだろう?

前回の記事、「牙を抜かれて」からトラックバックを送らせて頂いた『志村建世のブログ』では、わざわざ、「牙を抜かれて」を紹介する記事「日本の新聞もテレビも伝えないこと」を書いて下さっている。ご本人とは、全く違う意見に対する冷静でご親切な対応、「情報スーパー下水」を読んだ後ゆえ、余計に有り難い。

ところで、3月24日夕方からしばらく、このブログ、突然閉鎖された。「中国政府が、中国のマスコミに、扱ってはいけない話題のリストを指示した。」というのが、3月24日の夕刊記事にあった。それで、てっきり、ちゃちなブログ、タブーに触れて閉鎖されたかと、とんでもない妄想をたくましくした。

後から送られてきたメールの、運営当局?ご説明には、詳細は略すが、規約の3と4に違反しているのが原因だとあった。全く心当たりはない。狐につままれたとはこのこと。それでも、気になることはあって、ブックマークを一つ削除した。後で全く別の理由が送られてきた。もちろん、いまでも、わけがわからない。

そういうものだ。So it goes.

まるで、オーウェルの小説『動物農場』「七戒」改竄にあったような気分。わけがわからない理由で突然閉鎖され、突然、再度使えるようになったということは、また突然閉鎖されたままになって不思議はない、ということになる。もしも、ご興味のある記事があった場合は、各自でコピーをとっておいていただくしか対策はないようだ。もちろん、それほどの価値があるかどうかは、全く別のことではある。

2010/5/20追記:

最近こちらの記事をお読みになられる方には、下記の記事などもご興味がおありかもしれない。この関係、他にも数編翻訳してある。よろしければご一読を。

デビッド・レイ・グリフィン新著"ワールド・トレード・センター第7ビルのミステリアスな崩壊"書評

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コメント

実に矛盾するようではありますが、米軍がイラクでどんなに巨大基地を築いても、どんなにアフガンで空爆と虐殺を繰り返しても、今回の中東戦争もベトナム以来の敗戦になるだろう!と予測される、最大の理由こそがコレ。
聖書にも、戒律に忠実なパリサイ人が却って神の御心に適わないとか、キリストが弾劾するでしょ?その種の自己矛盾ですね。
自軍側の被害を最小限に抑えつつ効率的に敵方を殺すべきと言う、近代軍隊の鉄則に忠実である余り、逆にそれ故にこそ「非常に弱く」なってます。
誰が見ても、超近視眼的に見た戦闘そのものですら、正当であると受け止められないから。
最近のマルジャ包囲虐殺戦に次いで近々カンダハルも包囲虐殺戦する計画なので、アフガンのカルザイと米国の間に更に一層の隙間風(何故かオバマ個人だけニュアンスが違うけど)と伝えられますが、やればやる程「米国は弱くなり敗北が近付く」でしょう。
如何贔屓目に見ても、必ず悪役は米国ですから。
悪でしかないですやん。
米国が記事のこんな事(↑)してて、誰も正義と信じられませんもん。
信じるのは身内だけで、それも盲目の愛で目が見えなくなってる人たちだけ。

引き続き愛読させていただきます。

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