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2010年2月25日 (木)

対トヨタ戦争: 実はもっぱら政治問題

Mike Whitney

2010年2月24日
"Information Clearing House"

何件かの交通事故による死者が理由で、トヨタが、マスコミによって、さらしものにされているなどと、本当に信じている人などいるのだろうか?

ばかばかしい。もしも議会が、無辜の人々が殺されることを、本当に心配しているのであれば、一体なぜ議会は、日曜日に更に27人のアフガニスタン民間人を爆撃で殺害したかどで、アメリカ軍司令官スタンリー・マクリスタルを告発しないのだろう?

しかし、これは死亡事故の問題ではなく、決して"安全規制"の問題でもない。これは政治問題なのだ。容赦のない、マキアベリ的政治策謀なのだ。対トヨタ攻撃は、日本の主導的輸出産業に対する攻撃だ。これは戦争行為だ。実際に何が起きているのか説明する、ニューヨーク・タイムズ記事の抜粋を以下にあげよう。

"日本経済は、第二次世界大戦以来、最悪の不景気からは脱したが、依然としてふらついている。経済をデフレーションから脱け出させ、長期的成長を促進するには、日本はもっと手を尽くすべきだと、スタンダード・アンド・プアーズ社は語っている。

“見通しの変化は、日本政府による経済政策の柔軟性が縮小することで、財政と、デフレ圧力を食い止めるための方策がとられない限り、格下げになる可能性がある、という我々の見解を反映したものだ。”スタンダード・アンド・プアーズ社は、“民主党による新たな日本政府の政策は、我々が以前期待していたより、ゆっくりとしたペースでの財政再建を志向している。”と書いた。

バラク・オバマ大統領も、水曜日に、アメリカ合州国における、同様の懸念について、演説し、政府支出は制御不能だという認識を和らげてくれるのでは、と彼が願っている行動である、多数の内政対策に対する支出凍結を要求するものと予想されている。ギリシャとアイルランドの財政問題も、国債問題に脚光を当てるのに役立っている。" ("Japan's High Debt Prompts Credit Rating Warning"、「日本の大量債務、信用格付け警告をひき起こす」田淵ひろこと、ベッティナ・ワッセナー、ニューヨーク・タイムズ)

日本のネオリベラル政府は、金利引き下げと、財政出動という、伝統的な方法を用いて、デフレーションと戦っている。しかし、それはワシントンの望むところではない。ネオリベラルの為政者と、右翼シンクタンクにいる相棒達は、"財政再建"を望んでいるのだ。これはつまり、不景気を深化させ、失業を増大させ、相次ぐ債務不履行や倒産をひき起こす、厳しい緊縮政策である。西欧の大企業優遇主義者や金融業界の大物達は、こういう手口で、発展途上国を意のままに操り、そうした国々の経済を、永続的危機へと陥れてきたのだ。これは"ショック・ドクトリン" であり、20年以上にわたるIMFの手口だ。日本は、政府を弱体化させ、公有資産や公益事業の民営化を促進しようという狙いを持った、ワシントン合意を支持する連中によって、財政的拘束衣の中に押し込められつつあるのだ。

スタンダード・アンド・プアーズ社のような格付け企業も、マスコミと同様に利用されている。日本に経済/ゲリラ戦争をしかけ、政権に経済政策見直しを強いているのだ。(注: 日本は、債務に対しては、自国通貨を支払うのであり、1兆ドル以上もの大量の外貨準備があるのだから、負債のため、日本が債務不履行となる可能性は皆無だ。)トヨタ攻撃は、ワシントンの命令に従い損ねた国々に一体何が起きるかを、東京に思い知らせてやる一つの方策だ。

問題を極めて簡潔に要約した、ニューヨーク・タイムズ記事の抜粋を以下にあげる。

鳩山由紀夫首相の政府は"家計を助けることを狙う福祉政策への支出を増強した......強力な衆議院は、3月で終わる会計年度に対し、経済へのてこいれを促進すべく、7.2兆円、つまり803億ドルもの補正予算を承認した...来年度、意欲的な福祉支出を含めた記録的な、兆ドル級予算により、政府支出は更に増大する予定だ。(ニューヨーク・タイムズ)

西欧のエリート連中は、平均的な勤労者どもの生活水準を上げるような経済政策に耐えることができない。"福祉政策"やら"福祉支出"というのは、大企業優先のトリクルダウン説を唱えるブードゥー資本主義の教義にとって、忌避すべきものなのだ。連中が望んでいるのは、上流階級への再配分と、階級戦争だ。不幸にして、鳩山由紀夫首相は、アメリカの実力者連中との関係を悪化させてしまい、彼等の憤激をたっぷり味あわされているのだ。彼への国民の支持率は、37パーセントに急落し、更に下降を続けている。これが言わんとすることは明らかだ。ワシントンに逆らうと、敗残者になるぞ。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article24852.htm

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現時点で、読者(ユーザー)のコメントが15ある。いずれも、トヨタに好意的で、筆者の意見に賛成するもののようだ。庶民からすれば、そうなのだろう。

あるいは、仲間うちの投稿かも、と考えれば、きりはないのだが。

ともあれ、コメントもご一読を。

2010/3/5追記:

この記事、blog「英語日本語ニュース」でも(2010/2/27)紹介しておられる。しかも、同じ筆者による続編とも言える「鳩山首相は、ジャパン・バッシングをどのようにすれば止められるか」まで訳しておられる。(記事題名、勝手ながら改変させていただいた。)是非とも、ご一読を。

この記事の紹介ということでは、もちろん下記記事も見逃せまい。

机の上の空 大沼安史の個人新聞 2010-02-27
負けるな日本! 「ジャパン・バッシング」に対し、米国から連帯の声 米国債を売って、在日米軍基地を見直せ!

なお原文中の人名、日本語古文ではシモネタ言葉である「ホト」ヤマに変ってしまっている。日本語について、編集者が無知なのか、知っていて、いやがらせなのかはわからない。各自、古語辞典でご確認いただきたい。「古事記」にもでてくる単語だ。

ちなみに、スワヒリ語では、「ヤマモト、クマモトは禁句」と、ケニア人に教えられたこともある。小学校の授業で、「日本について、何かしっていますか?」と先生(多くは女性だそうだ)が質問すると、悪童連中は皆、「ヤマモト、クマモト」と合唱するのだと彼はいっていた。

閑話休題。続編では、バッシングがおわるまで、トヨタの工場を順次、閉鎖するというべきだ。あるいは、アメリカ国債を、順次売り続けると主張せよ、という提案をしてくれている。基地をカードに使えという趣旨の素晴らしい提案もある。この筆者を日本政府顧問に呼ぶのであれば、「税金の無駄遣い」などと、非難するつもりはない。

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追記:

志村建世のブログ、最新記事「階級闘争の逆転」は、この記事を、お読みになって書かれたもの。こうして、お読み頂き、書いて頂けると、blog移転作業による目の疲れも軽減する思いがする。それにつけても、その現象を描いた名著、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』翻訳、いつになったらでるのだろう。

鳩山首相ということでいえば、オーストラリア大学名誉教授ガバン・マコーマク氏による下記記事もどうぞ。

オバマ対鳩山: 不平等で、違憲で、違法で、植民地的で、虚偽的な米日協定の素性

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トヨタ問題」カテゴリの記事

コメント

本筋からは外れますが、非常に面白いことに気がつきました。それは「階級戦争」という言葉の使い方です。「階級闘争」と、言葉の意味はほぼ同じだと思うのですが、周知のように階級闘争とは、本来、資本家を倒す革命達成のための戦いの意味でした。しかしこれが、ここでは「金持ちや大資本を守り、社会格差を維持・拡大するための戦い」になっているので驚いた次第です。
 成功もしなかった社会主義革命に対して、その反動の方が優勢になっている現状を反映しているのでしょうか。アメリカの強欲資本主義は、まだ権力の座から降りるつもりは、なさそうですね。

トヨタの一番最初のアメリカ人社長さんが却って「海賊に乗っ取られたー!」とトヨタ奥田会長その他の、米国式経営に怒ってられます。
で、本当は呼ばれても無いのに「日本メディアに追い立てられて」豊田御曹司が米国へ渡航して公聴会にシャシャリ出る羽目となり。
客観的に、豊田リコール問題自体が、幾重にも捩れてます。
「プリウスがトヨタ期間工に手も出ない高級車で日本若年層は経済苦から車離れ」も事実なら、恐らく「プリウスの穴埋めは米国車で!」との目論みも(日米マスコミやスタンダード&プアーズ社を駆使しても)成功は覚束無いのでは?との予測もソレ也に理があるって言うか。
寧ろ、米国政府が政策実行で以てが「>ブードゥー」さん達を怒らせて上げた方が健全なんですが。
しかし、浅田真央選手のラフマニノフ「鐘」もブードゥー教そもそもの成り立ちも、階級闘争の怨念と憤激なんですけどね!下からの。

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