アメリカ、裏ルートでアフガニスタン・タリバンと交渉
By Azaz Syed
Dawn
火曜日、2009年11月24日
イスラマバード:
アフガニスタンで、8年間以上、残酷な戦争を戦った後、アメリカ合州国は、その政策の見直しに着手した模様で、サウジアラビアとパキスタンの諜報機関を通したタリバンとの交渉を開始したと、高い地位の情報筋が、当地で月曜日ドーン紙に語った。
「我々は、アフガニスタン・タリバンとの‘交渉’を始めており、我々の努力は実を結ぶだろうと期待している」と秘密交渉に関与した情報筋が、本記者に語った。
彼は、4人の‘主要な中立した関係者’が、サウジアラビア指導部とサウジアラビア王国総合情報庁(GID)と、パキスタン指導部と、統合情報局(ISI)に代わって、アフガニスタン・タリバンと交渉した。
GIDとISIは、アメリカ政府と中央情報局(CIA)に代わって、この仕事をしてきた。情報筋はCIA長官レオン・パネッタが最近パキスタン訪問をした主目的の一つは、裏ルート交渉の進捗を評価することだったと語っている。
情報筋は、サウジアラビアとアフガニスタン・タリバンに代わって、4人のリーダーが仲介人の役を演じていたと語っている。
彼等の中には、オサマ・ビン・ラディンの指導者であったが、ペシャワルで、1989年に、二人の息子と共に殺害されたアブドゥラー・アッザムの、義理の息子アブドゥラー・アナスがいる。アナスはイギリスで暮らしているが、アフガニスタン・タリバンや、アル・カイダとさえ、緊密なつながりを維持している。
かつてはラブタ-イ-アラム-イ-イスラミの卓越した指導者であったサウジアラビア人のアブル・ハッサン・マドニも関与している。彼はメディナに住んでいる。
パキスタン人女性と結婚したイラク人、アブ・ジュド・メフムード・サムライも、接触している。彼は、アフガニスタン戦争における功績に対し、元大統領ズィアウル・ハクから、パキスタン国籍を与えられた。
パキスタン人過激派指導者のマウラナ・ファズルル・レーマン・ハリルも参加している。ハルカトゥル・アンサルを共同で設立したハリルは、現在ヒズブル・ムジャヒディンを率いている。
1998年に、オサマ・ビン・ラディンと、アイマン・アル・ザワヒリが発した、アメリカ人の殺害を呼びかける有名な布告に、彼は署名している。ハリルは、パキスタンとアフガニスタン、双方のタリバンから尊敬を勝ち得ており、パキスタン当局との、同国内での和平を目指す秘密の調停役を演じてきたと言われている。
信頼できる筋は、ドーン紙に、アフガニスタン・タリバンのトップ、ムラー・オマールが、アメリカ人との交渉に、彼の陰の外務大臣アグハ・モタサムを指名した、とも語っている。これまでおこなわれている交渉は、準備的な性格だったが、断食明けの祭りイードの後には、より本格的に再開される可能性があると彼等は語っている。
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上記はパキスタン新聞Dawn記事の翻訳。
おりしも、日本では、あの伊勢崎賢治氏が設定に尽力した、アフガニスタンにおける国民和解と和平の道筋を探る国際会議(主催・世界宗教者平和会議、協力・外務省)が23日から3日間の日程で東京都内で始まっている。
人名も、組織名も、皆目正しい表記の見当がつかないが、アルファベットのままでは、余りに読みにくい。そこでアラビア語、イスラムにも専門知識のない素人ゆえ、適当なカタカナ表記にしてある点、技術的な細かい所はいい加減であることにご留意願いたい。
なお「専門知識」「技術的な細かい所」について、以前のエントリー『ごう慢と無知』で、加藤周一の講演会の一部を引用したが、再々度掲載させていただく。前回記事にいただいたコメントで、この講演を思い出した。それで、思い出した箇所を、あえて太字にした。
加藤周一講演会 老人と学生の未来-戦争か平和か 2006年12月8日、東京大学駒場900番教室
後編の24:40付近に、興味深い発言があった。そのまま書きおこしておこう。
だから、この、あれですね、憲法を変えれば、アメリカのご機嫌をとるにしてもね、そう簡単にいかないと思いますね。で、だから、アジアでの孤立と、それから、アメリカとの間のギクシャクという問題が、つまり、外交的困難が増大する。で、その増大した外交的困難が、アメリカへの依存を強める。で、アメリカへの依存の強化が、外交的困難を増強する、ということで、その、いわゆる悪循環を起こす、だろうと思うんですね。
で、そのことを意識してやっているのかね、意識してやっていないのか、それは、私には分からない。
だけど、私が言っていることは、ちょっとその、実際にそうなった時に何がおこったかをご覧になったら、あの時加藤が言ったことは、口からでまかせだったか、そうでないかということは、すぐわかるんですよ。その時まで覚えておいて頂きたいんだな。政府の言ったことも覚えておいて頂きたい。記憶がなければ駄目ですよ、ね。だから、一つ一つの事件を、技術的な細かい所に入って行くことは、それは専門家でないと非常に困難だし、第一、そこに引き込むことは罠ですよ、一種の、ね。批判を封じる罠ですよ。そうじゃなくて、その、事件と事件とのつながりを見なければね。で、つながりは方向性を持ってるんだから。だからその、方向性に対して反応しなければいけないと思うんですね。
だから、それは非常に悪いね。ま、その外交的な技術で言えば、タイミングですね。時間を、今やることということは、その言語道断な愚挙だと思う。それで、そういう風に思っている人は沢山いるんですよ。あの日本の中に何人いるか知らないけれども。アメリカにも沢山いるんですね。
だから、あの、英語をお読みになる方は、あの、英会話をしないでね、で英会話をすることより、その英語の新聞に、あの何が書いてあるかということをご覧になった方が良いと思う。それで、もし日本の新聞に書いてあることの誤差があれば、その差が何を意味するかということを見極める必要があると思うんですよね。
飲み屋の火事や一番肝心なものには触れないエセ「事業仕分け」は報道されるが、普天間基地の話はどこへ消えたのだろう?
11月26日は、宗主国の偽善的なお祭「感謝祭」。素朴で親切なネイティブ・アメリカンは、結局どうなってしまったのか?どなたでもご存じだろう。いや、法律で、契約して、こういう結果になったのだ。普天間や沖縄、自分の問題ではないと、宗主国ファン奴隷はお考えになるのだろうか。
名著『アメリカ・インディアン悲史』の藤永茂先生のブログ『私の闇の奥』の最新記事、「アメリカの感謝祭」を、「感謝祭」の日に拝読いただきたいものだ。
2010/3/4追記:
渋谷の映画館、シネマアンジェリカで、加藤周一の記録映画『しかし、それだけではない』が上映されている。制作には、あのスタジオ・ジブリもかかわっている。お子さまを、宮崎アニメに連れて行かれるご両親、あるいはデートで宮崎アニメを楽しまれる皆様、当然『しかし、それだけではない』もご覧になるのだろうと、期待している。比較的年配の方々が結構見に行っておられるようなので、上映開始より早い時間にお出かけになるようお勧めする。満員札止めでも、責任はとれない。
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