« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

2009年11月

2009年11月30日 (月)

今日のホンジュラスいんちき選挙:Postcards from Revolution

違法な選挙を承認しているのは、偽善者国家、ワシントン、コスタリカ、パナマ、ペルー、コロンビアとイスラエルだけ

「我々は、4年間座視して、クーデターを非難しているだけで良いのだろうか?」あるアメリカ高官は、匿名を条件にワシントンで記者達に語った。 (リンク先は英語原文)

Postcards from Revolution

日曜日、2009年11月29日

正義と不法、デモクラシーと独裁、人権と法人権、民衆の権力と帝国の支配との間の、中南米における本当の分裂が、今日ほどあからさまになったことはない。中南米諸国の圧倒的多数の人々を、孤立させ、排除してきた、腐敗した、不平等な制度を、根本的に変えようという、この地域全体での、民衆の運動は、民主的に政権を握ることに成功し、経済的、社会的公正の新たなモデルを構築しつつある。ベネズエラ、ボリビア、ニカラグアやエクアドルは、こうした運動の前衛であり、ウルグアイやアルゼンチン等の諸国は、変化に向け、よりゆっくりとしたペースで進んでいるのだ。

この地域は、いかなる代償を払ってでも、この広大で、豊かな地域が持つ、天然・戦略的資源を、支配することを目指した残忍なアメリカの介入によって、歴史的に苦しめられてきた。反抗的なキューバ革命を例外として、ワシントンは、20世紀末まで、中南米中に据えられた傀儡政権を巡る支配を実現していた。ウゴ・チャベスが1998年に大統領の座を獲得し、ボリビア革命が根付き始めると、勢力均衡と地域を巡る帝国的支配は弱まりだした。ブッシュ/チェイニーの8年間が、地域に再びクーデターをもたらした。ベネズエラでは、2002年、チャベス大統領に対し、ハイチでは、2004年、アリスティド大統領に対し。前者は、大規模な大衆蜂起によって挫折されたが、後者は、もはやワシントンの権益に都合が良くはなくなった大統領の打倒に成功した。

クーデター、経済的妨害行為、マスコミによる宣伝戦、心理作戦、選挙への介入や、左翼系大統領を選出したホンジュラス、エルサルバドルやグアテマラ等の隣国への軍事駐留強化を通して、中南米における革命の広がりを無力化しようという、ブッシュ政権の企みにもかかわらず、中南米の統合は、UNASUR(南米諸国連合)やALBA(米州ボリバール構想)によって強化され、ワシントンの権力支配は消え去りつつある。

70年代に、ヘンリー・キッシンジャーはこう語った。「もしも、我々が中南米を支配できなければ、どうして我々が世界を支配できるだろう?」この帝国主義的構想は、これまでよりも今日一層明らかだ。オバマのホワイト・ハウス入りは、この地域の多数の人々からは、世界、そして特にここ中南米における、アメリカ侵略が終わる兆しだと、誤って見なされていた。少なくとも多くの人々は、南の隣人たちとの増しつつある緊張を、オバマなら、弱めてくれるだろうと信じたのだ。事実、彼自身、新アメリカ大統領が、そうした変化にさりげなく言及していた。

だが今や、オバマ政権の"スマート・パワー"戦略は正体を現した。今年の春、トリニダードでの米州首脳会議での握手、微笑、贈り物や、オバマ大統領自身が、中南米諸国の指導部にした"非介入"と"新時代"という約束は、破たんし、偽善という皮肉なジェスチャーへと変化した。オバマが権力の座に着いた時、この地域における、ワシントンの評判は史上最低だった。米州の南北関係を"変えよう"という不十分な試みは、事態を悪化させ、この地域を巡る支配、というキッシンジャーの構想は、大統領がどの党に所属しているか、あるいは素公開演説内容とは無関係に、国家政策であることが、再確認された。

ホンジュラスにおける、反セラヤ大統領クーデターでの、ワシントンの役割は、一日目から明らかだった。クーデター指導部への資金援助の継続、ホンジュラス・ソトカノ基地への米軍駐留、国務省幹部と駐ホンジュラス・アメリカ大使ヒューゴ・ローレンスと、クーデター指導部との間で継続されている会合、クーデター指導部と、ホンジュラス合法政府との間で、"調停"と"交渉"を無理強いしようという冷笑的な企みが、この新たな形の"スマート・クーデター"を強化しようというワシントンの意図の明らかな証拠となっている。ホンジュラス大統領としてのセラヤに正統性があるという、クーデター当初のオバマ政権の公的な主張は数週間のうちに色あせた。"民主的な、憲法秩序の復帰"という呼びかけは、国務省の広報担当官が単調な声で繰り返すか細いささやきと化した。

新自由主義と帝国主義の断固たる支持者、コスタリカ大統領オスカル・アリアスの押しつけ、ワシントンによって命じられた、クーデター指導部とセラヤ大統領との間の "調停" 交渉は、騒々しい道化芝居だった。当時、ワシントンが、公的にはホンジュラス紛争解決の為に"動く"ふりをしながら、クーデター指導部の歓心を買って、"時間稼ぎ"戦略をとっているのは明らかだった。アリアスが不誠実で、クーデターに共謀していることは、セラヤを暴力的に拉致し、国外追放したあの朝から、明白だった。ワシントンに管理されているソトカノ基地にいた、ペンタゴンと国務省とCIAの職員がセラヤのコスタリカ移送を手配したのだ。アリアスは、違法に追い出された大統領の保護と、彼を拉致し、国際法に違反し、コスタリカ領土に着陸した飛行機を操縦した連中を勾留しないことに卑屈にも同意した。

現在、オスカル・アリアスは、ホンジュラスでおこなわれつつある、違法で、正当性のない選挙を"承認する"よう、全ての国々に呼びかけている。もしも、不正行為やごまかしが無いのであれば、「新たに選ばれた大統領を承認しようではないか?」と彼は言う。国務省や、オバマ大統領自身さえもが、全く同じことを言っており、全ての国々に、独裁の下で選出される政権を承認するよう呼びかけ、圧力をかけている。現在、選挙過程に対する適切な条件の存在を可能にするようなデモクラシーが、ホンジュラスには存在していないことを考えれば、不正行為やごまかしが、既に存在するように思える。国務省が、数週前に、ホンジュラスの選挙と選挙運動に資金援助するのを認めたことに言及するまでもない。しかも、この違法な過程に立ち会って、"信ぴょう性"を与えるために派遣される"国際監視団"は、全て帝国の代理人や手先だ。アメリカの計画を推進すべく、諸外国の政党に、米国国際開発庁(USAID)と全米民主主義基金(NED)からの援助資金を流すために作り出された二つの機関、国際共和研究所、全米民主国際研究所(NDI)のいずれも、ホンジュラス・クーデターに関与した集団に資金援助をしたばかりでなく、今や選挙も"監視している"。ベネズエラ・クーデターの指導者アレハンドロ・ペニャ・エスクルサが率いるウナアメリカのようなテロ集団も、ホンジュラスに"監視員"を派遣した。マイアミ-キューバ・テロリストで、犯罪人のアドルフォ・フランコ、元USAID長官も、現在ホンジュラス選挙監視員リストにある"大物"の一人だ。

しかし、OAS(米州機構)やカーター・センターのように、到底"左翼"とは言えない団体が、選挙過程を非合法と非難し、監視員の派遣を拒否している。国連も、欧州連合も、UNASURもALBAもそうだ。

コロンビア、パナマ、ペルー、コスタリカとイスラエルという、右翼のアメリカ傀儡国家と共に、ワシントンは、ホンジュラスにおける選挙過程と、未来の政権を承認することを公式に表明したわずかな国々として孤立している。ある国務省高官は、ワシントン・ポストに「我々は、4年間座視して、クーデターを非難しているだけで良いのだろうか?」とあざけるように明言した。そう、ワシントンは50年間座視し、キューバ政府を承認することを拒否し続けてきた。だがそれはキューバ政府が、ワシントンにとって都合が良くないからだ。ホンジュラスの独裁制は、ワシントンにとって好都合なのだ。

ホンジュラス人のレジスタンス運動は、選挙への参加を拒否し、国民に違法な過程に参加するのを差し控えるよう呼びかけている。クーデター政権とペンタゴンの支配下で、ホンジュラスの街路は、何千人もの兵士によって乗っ取られている。イスラエルからの先進的な兵器技術を用いて、クーデター政権は、選挙過程に反対しようとする人々全てを大規模に制圧し、残忍な仕打ちをする準備ができている。我々は、気を許さずに警戒し、彼等をとり囲む途方もない危機に直面しているホンジュラス国民を支持し続ける必要がある。今日の選挙は、ホンジュラス国民に対する、二つ目のクーデターであり、今回はワシントンが、あからさまに企画し、推進し、資金援助し、支持しているのだ。結果がどうであれ、ワシントンの介入が止まるまでは、ホンジュラスに正義がもたらされることはあるまい。

Eva Golingerによる投稿

記事原文のurl:www.chavezcode.com/2009/11/bogus-honduran-elections-today.html

----------

お坊さんが、共産党のビラをマンションのポストに配るのは違法だという判決を出した最高裁。こういう判決が、民主党政権のもとで、堂々と行われる。司法・立法・行政の三権分立の見事な例!北朝鮮の女性アナウンサーを笑えない日本の最低裁。こういう腐った制度のもとで、裁判員になるのは、違法な侵略戦争に招集されるのと、どこが違うのだろう。

沖縄県読谷村のひき逃げ死亡事件では、地位協定のおかげで、米兵は警察の聴取に応じないまま。

自民党石破茂政調会長「ストレートに地位協定の改定に結びつくものではない」と指摘。平野官房長官は10日「起訴前引き渡し」の対象にならないとの考えを示している。

ホンジュラスの米軍基地、アメリカの意に沿わない大統領拉致に活用された。

一国の大統領を拉致してしまう国に、北朝鮮による日本人拉致問題に圧力をかけるように依頼することなど、正常な神経ではできるまい。

米軍基地は、基地をおかれた国や住民を守るためにおかれているのではなく、基地をおいたホスト国家を隷属させるための暴力装置でしかないこと、これでも明らかだろう。

宗主国「やくざ」というか、文字通り「テロ国家」「悪の枢軸国家」

コロンビア、パナマ、ペルー、コスタリカとイスラエルだけではなく、この属国も、間もなく、ホンジュラスの選挙結果を支持するのではあるまいか?

イランで、意に沿わない大統領が選出された時には、いんちき選挙という大キャンペーンをはったアメリカ・マスコミ(小判ザメの様に、属国マスコミもつきあった)。ホンジュラス大統領選挙は、承認しろと主張するだろう。毎度おなじみのダブル・スタンダード。

ウルグアイ大統領選では、もとゲリラ戦士が選出された。

ウェゲナーの大陸流動説の「流動速度」が天文学的な倍率で加速し、日本が南米大陸とつながる以外、日本が独立する可能性は、なさそうだ。

属国状態を座視したまま、「坂本龍馬」やら「坂の上の雲」、明治維新や日露戦争美化プロパガンダが激化する。

観光気分で出かけた釜山の大きな寺で、「秀吉侵略400年」という横断幕を見て驚いたことを思い出す。「坂の上の雲」、韓国の方々は、一体どう思われるだろう。

「坂の上の雲」いくら金をかけていても、韓国にもロシアにも輸出できまい。沖縄を含む、日本全土の米軍基地の実態を描くドキュメンタリーでも制作すれば、中東はいうにおよばず、中南米、アフリカにも売れるだろう。日本そのもの、いまだに女中奉公時代の「オシン」のようだ、と共感を呼べるかもしれない。恥を世界に曝すことにはなっても、実態を理解する日本人は増えるだろう。

病気には不治の病もある。治る病気もある。治る病気、正体を把握してから、適切な治療するものだ。日本の属国病は、中南米とは異なる、不治の病なのだろうか?

「坂の上の雲」、事業として収支はあわなくとも、まんまと「国民洗脳」さえできれば、NHKの「事業仕分け」対象にはならないだろう。少なくとも、こういう番組なら、NHKに、与党幹部が恫喝に出かけることはないだろう。個人的に来年はNHKを見る時間が減りそうだ。

『属国』の著者、ガバン・マコーマック、オーストラリア大学名誉教授、著書に『空虚な楽園』戦後日本の再検討、という、これまた素晴らしい著作があるが、現在入手不可。

2009年11月26日 (木)

アメリカ、裏ルートでアフガニスタン・タリバンと交渉

By Azaz Syed

Dawn

火曜日、2009年11月24日

イスラマバード:

アフガニスタンで、8年間以上、残酷な戦争を戦った後、アメリカ合州国は、その政策の見直しに着手した模様で、サウジアラビアとパキスタンの諜報機関を通したタリバンとの交渉を開始したと、高い地位の情報筋が、当地で月曜日ドーン紙に語った。

「我々は、アフガニスタン・タリバンとの‘交渉’を始めており、我々の努力は実を結ぶだろうと期待している」と秘密交渉に関与した情報筋が、本記者に語った。

彼は、4人の‘主要な中立した関係者’が、サウジアラビア指導部とサウジアラビア王国総合情報庁(GID)と、パキスタン指導部と、統合情報局(ISI)に代わって、アフガニスタン・タリバンと交渉した。

GIDとISIは、アメリカ政府と中央情報局(CIA)に代わって、この仕事をしてきた。情報筋はCIA長官レオン・パネッタが最近パキスタン訪問をした主目的の一つは、裏ルート交渉の進捗を評価することだったと語っている。

情報筋は、サウジアラビアとアフガニスタン・タリバンに代わって、4人のリーダーが仲介人の役を演じていたと語っている。

彼等の中には、オサマ・ビン・ラディンの指導者であったが、ペシャワルで、1989年に、二人の息子と共に殺害されたアブドゥラー・アッザムの、義理の息子アブドゥラー・アナスがいる。アナスはイギリスで暮らしているが、アフガニスタン・タリバンや、アル・カイダとさえ、緊密なつながりを維持している。

かつてはラブタ-イ-アラム-イ-イスラミの卓越した指導者であったサウジアラビア人のアブル・ハッサン・マドニも関与している。彼はメディナに住んでいる。

パキスタン人女性と結婚したイラク人、アブ・ジュド・メフムード・サムライも、接触している。彼は、アフガニスタン戦争における功績に対し、元大統領ズィアウル・ハクから、パキスタン国籍を与えられた。

パキスタン人過激派指導者のマウラナ・ファズルル・レーマン・ハリルも参加している。ハルカトゥル・アンサルを共同で設立したハリルは、現在ヒズブル・ムジャヒディンを率いている。

1998年に、オサマ・ビン・ラディンと、アイマン・アル・ザワヒリが発した、アメリカ人の殺害を呼びかける有名な布告に、彼は署名している。ハリルは、パキスタンとアフガニスタン、双方のタリバンから尊敬を勝ち得ており、パキスタン当局との、同国内での和平を目指す秘密の調停役を演じてきたと言われている。

信頼できる筋は、ドーン紙に、アフガニスタン・タリバンのトップ、ムラー・オマールが、アメリカ人との交渉に、彼の陰の外務大臣アグハ・モタサムを指名した、とも語っている。これまでおこなわれている交渉は、準備的な性格だったが、断食明けの祭りイードの後には、より本格的に再開される可能性があると彼等は語っている。

記事原文のurl:www.dawn.com/wps/wcm/connect/dawn-content-library/dawn/news/pakistan/11-us-involved-in-secret-talks-with-senior-taliban--il--06

----------

上記はパキスタン新聞Dawn記事の翻訳。

おりしも、日本では、あの伊勢崎賢治氏が設定に尽力した、アフガニスタンにおける国民和解と和平の道筋を探る国際会議(主催・世界宗教者平和会議、協力・外務省)が23日から3日間の日程で東京都内で始まっている。

人名も、組織名も、皆目正しい表記の見当がつかないが、アルファベットのままでは、余りに読みにくい。そこでアラビア語、イスラムにも専門知識のない素人ゆえ、適当なカタカナ表記にしてある点、技術的な細かい所はいい加減であることにご留意願いたい。

なお「専門知識」「技術的な細かい所」について、以前のエントリー『ごう慢と無知』で、加藤周一の講演会の一部を引用したが、再々度掲載させていただく。前回記事にいただいたコメントで、この講演を思い出した。それで、思い出した箇所を、あえて太字にした。

加藤周一講演会 老人と学生の未来-戦争か平和か 2006年12月8日、東京大学駒場900番教室

後編の24:40付近に、興味深い発言があった。そのまま書きおこしておこう。

だから、この、あれですね、憲法を変えれば、アメリカのご機嫌をとるにしてもね、そう簡単にいかないと思いますね。で、だから、アジアでの孤立と、それから、アメリカとの間のギクシャクという問題が、つまり、外交的困難が増大する。で、その増大した外交的困難が、アメリカへの依存を強める。で、アメリカへの依存の強化が、外交的困難を増強する、ということで、その、いわゆる悪循環を起こす、だろうと思うんですね。

で、そのことを意識してやっているのかね、意識してやっていないのか、それは、私には分からない。

だけど、私が言っていることは、ちょっとその、実際にそうなった時に何がおこったかをご覧になったら、あの時加藤が言ったことは、口からでまかせだったか、そうでないかということは、すぐわかるんですよ。その時まで覚えておいて頂きたいんだな。政府の言ったことも覚えておいて頂きたい。記憶がなければ駄目ですよ、ね。だから、一つ一つの事件を、技術的な細かい所に入って行くことは、それは専門家でないと非常に困難だし、第一、そこに引き込むことは罠ですよ、一種の、ね。批判を封じる罠ですよ。そうじゃなくて、その、事件と事件とのつながりを見なければね。で、つながりは方向性を持ってるんだから。だからその、方向性に対して反応しなければいけないと思うんですね。

だから、それは非常に悪いね。ま、その外交的な技術で言えば、タイミングですね。時間を、今やることということは、その言語道断な愚挙だと思う。それで、そういう風に思っている人は沢山いるんですよ。あの日本の中に何人いるか知らないけれども。アメリカにも沢山いるんですね。

だから、あの、英語をお読みになる方は、あの、英会話をしないでね、で英会話をすることより、その英語の新聞に、あの何が書いてあるかということをご覧になった方が良いと思う。それで、もし日本の新聞に書いてあることの誤差があれば、その差が何を意味するかということを見極める必要があると思うんですよね。

飲み屋の火事や一番肝心なものには触れないエセ「事業仕分け」は報道されるが、普天間基地の話はどこへ消えたのだろう?

11月26日は、宗主国の偽善的なお祭「感謝祭」。素朴で親切なネイティブ・アメリカンは、結局どうなってしまったのか?どなたでもご存じだろう。いや、法律で、契約して、こういう結果になったのだ。普天間や沖縄、自分の問題ではないと、宗主国ファン奴隷はお考えになるのだろうか。

名著『アメリカ・インディアン悲史』の藤永茂先生のブログ『私の闇の奥』の最新記事、「アメリカの感謝祭」を、「感謝祭」の日に拝読いただきたいものだ。

2010/3/4追記:

渋谷の映画館、シネマアンジェリカで、加藤周一の記録映画『しかし、それだけではない』が上映されている。制作には、あのスタジオ・ジブリもかかわっている。お子さまを、宮崎アニメに連れて行かれるご両親、あるいはデートで宮崎アニメを楽しまれる皆様、当然『しかし、それだけではない』もご覧になるのだろうと、期待している。比較的年配の方々が結構見に行っておられるようなので、上映開始より早い時間にお出かけになるようお勧めする。満員札止めでも、責任はとれない。

2009年11月22日 (日)

ユーゴスラビア分裂-ベルリンの壁崩壊祝賀にバルカンの陰

Pyotr Iskenderov

2009年11月14日

Strategic Culture Foundation

ベルリンの壁崩壊20周年式典は終わった。外国からの何十人もの高官たちが、その多くは当時起きていた歴史的進展には全く無関係なのに、ドイツ統一の非常に大きな重要性と、冷戦の歴史に最後の仕上げをした出来事の象徴的な重要性を語っていた。ところが、ヨーロッパの中では、ベルリンの壁の崩壊が、必ずしも完全に前向きな変化として見なされてはいない部分があるというのが真実だ。無血の冷戦完了とされるものの直後から、ヨーロッパは、本物の武力紛争のまん延に直面せざるをえなかったのだ。

1989年のドイツ統一は、大陸中で全体主義政権が崩壊する時代の幕開けであり、究極的に、統合ヨーロッパの創造を可能にしたというのが、広く行き渡った考え方だ。バルカンの住民たちと、無数の私的な会話を重ねた結果、私は違った結論に至った。ベルリンの壁崩壊の僅か一年後に始まった、ユーゴスラヴィアの分裂という、何千人もの命を失わせたプロセスでは、特に統一した極めて強力なドイツが、その原動力の一つだった。スロヴェニアとクロアチアの急な独立宣言も、後者の国では、明らかにセルビア人とクロアチア人住民が共存する実現可能なモデルが欠如していた事実にもかかわらず、国際社会によって急に承認されたことも、背後にはドイツがいた。更に、1992年の春、ボスニアとヘルツェゴビナで勃発した民族紛争の起源も、外部勢力の活動をも考慮に入れて初めて、把握が可能になるのだ。

第二次世界大戦後に押しつけられた、トラウマになるような分離の後、再建したばかりの国ドイツが、なぜバルカンの地政学的オーバーホールに、積極的な役割を果たしたのだろう? ナポレオンは、あらゆる国家の政治は、その地理に由来するとよく語ったものだ。この概念は、1980年代末から1990年代始めの、ヨーロッパ全体、そして特にバルカンの状況に、ぴったりあてはまる。

東欧ブロックの崩壊と二つのドイツの統一後、ベルリンは自分がヨーロッパで最強の立場にあることに気づき、それ巡ってドイツが伝統的にフランスと競ってきた、ヨーロッパにおける指導者の地位を積極的に求めたということを、認識すべきなのだ。ソ連軍の撤退後も、ドイツは、国際的義務の枠組みとして、アメリカ軍基地を抱え続け、それが、ドイツの野望にとって主な障害となっていた。主要国家としての立場が保障される上、基地の存在が、ソ連時代の国際条約でなく、NATOの負託に基づくことが可能なバルカンに、基地を移動することで、問題を解決したいとドイツが望んでいた兆候がいくつかあった。ドイツが、その計画を実現するのに必要としていたものは、バルカンに拡張する為の本格的な口実だったが、ユーゴスラヴィアの分裂や、旧領土中に広がった幾つかの長引く民族紛争出現を含むプロセスが、都合のよい口実となった。シナリオの実施は、歴史的理由から、ドイツの影響力が深く根ざしているスロヴェニアとクロアチアで始まった。既に1980年代、スロヴェニア、特にクロアチアで、彼等が支援していた様々な亡命民族主義者や過激派集団が、次第に政権内で地歩を固めており、ドイツ諜報機関は強い立場にあった。1989-1990年には、ドイツ人顧問たちやNGO使節たちがクロアチアに大挙して押し寄せた。この共和国が結局、旧ユーゴスラヴィアにおける最初の武力衝突の現場となったのは、同様に活発だったアメリカの担当者たちすらもが恐れた、彼等の活動が原因なのだ。

1990年5月、クロアチアの初代大統領フラニョ・トゥジマンが、(大半がドイツ人顧問たちの監督の下でまとめられた)新憲法を、独立支持派が支配する議会を通して提出した。この憲法は、クロアチアは、以前策定されていたような、クロアチア人とセルビア人と、そこに暮らす他の人々の国家ではなく、クロアチア人と、そこに暮らす他の人々の国民国家であるとうたっていた。法律的な巧妙さが、かつては国家を形成していた民族であるセルビア人を、自動的に少数派にしてしまった。格下げに不満を持ったセルビア人は、1990年8月に自分たちの国民投票を始めたが、その間、彼らの対応は、クロアチア内での主権と自治の権利を主張することに限定されていた。離脱は予定にはなかったが、クロアチア政府は、それにもかかわらず、国民投票が行われるのを防ぐために武力を用い、これが共和国における武力紛争の発現の瞬間となった。

クロアチアのセルビア人は、その出来事の後でさえ、政治的解決を申し出ていた。1990年9月30日、Serbian National Councilは、ユーゴスラヴィアの一員として、クロアチア内に暮らして来た民族的、歴史的領土におけるセルビア人の自治を主張したが、ドイツ人顧問たちと合意したザグレブの進路は変わらなかった。新クロアチア憲法は、12月22日に発効し、そして、まさに翌日、隣国スロヴェニアは、国民投票を呼びかけたが、投票の94%がユーゴスラヴィアからの独立に賛成だった。興味深いことに、トゥジマンの憲法成立に先立つ数週間にわたり、ワシントンは、クロアチア指導部に、自制心を働かせて、武装紛争エスカレーションをしがちな措置を避けるよう呼びかけ続けていた。それでもベルリンの影響力が勝り、ドイツ人顧問たちは、クロアチアの子分たちを、断固として行動するよう説き伏せるのに成功した。1991年5月19日、クロアチア政権は、国民投票を行ったが、投票ブースに向かった人々の94%以上が、即時分離を選んでいた。クロアチアのセルビア人は参加せず、ドイツはバチカンの助力を得て、速やかにこの二つの独立国家に対するヨーロッパの承認を確保した。間もなくサラエボもこれに続き、大規模戦闘がバルカン諸国中を吹き荒れ、NATOは介入のための期待していた口実を得、ドイツは新ヨーロッパの地政学的構造における主要勢力として浮上した。

ドイツ統一は称賛しつつも、ベルリンの壁の崩壊が、他の国々やその国民たちに、どのように暗い影を落としたかを、我々は忘れてはならない。

記事原文のurl:http://en.fondsk.ru/article.php?id=2584

----------

新刊『社会主義と個人』-ユーゴとポーランドから 笠原清志著 集英社新書の88ページに、この記事と重なる記述があった。一部を引用させていただく。

小見出しは「ドイツ外交のいさみ足」

一九八〇年代末、社会主義体制が崩壊し、ユーゴスラヴィアでもその精神的空白を埋めるべく民族主義が台頭してきた。ミロシェビッチはセルビア民族主義を煽り、それを通じて権力を掌握したことは事実である。しかし、一九九〇年代に本格的内戦に発展したきっかけの一つは、日本ではあまり論議されていないが、オーストリアとドイツが時期尚早に、スロヴェニアとクロアチアの国家独立を一方的に承認したことである。東西ドイツの統一とそれに伴うドイツ外交の〝勇み足″とも言えるが、この〝なぜこの時期に、このような形で″という疑問は、私には今でも解けていない。

2009年11月18日 (水)

オバマ対鳩山: 不平等で、違憲で、違法で、植民地的で、虚偽的な米日協定の素性

Gavan McCormack

2009年11月14日

The Asia Pacific Journal: Japan Focus

8月末の選挙で、日本に、鳩山由紀夫が率いる新政府が生まれた。彼と日本民主党(民主党)を選ぶにあたって、日本の国民は、一年もしない過去のアメリカ人たちの様に、アジアとアメリカ両方との新しい関係、特に後者とは、ずっと平等なチェンジを求めて、選んでいたのだ。ところが、注目すべきは、オバマ政権側で行われたのは、そうしたいかなる変化も阻止しようと、プレッシャーを容赦なくかけるキャンペーンだったことだ。

オバマ政権は、特に、従属ではなく、平等にするため、アメリカ合州国との関係を再交渉したいという鳩山の願望を標的にしてきた。服従が保証されており、毎年のアメリカ政策の処方箋(“改革要望書”) が、絶対的権威のある言葉として東京で受け入れられていた“小泉上級曹長”(ジョージ・W・ブッシュは、日本の首相をこう呼んでいたと言われている)の絶頂期に帰れ、と言っているかのように見える。独立した政策などという、馬鹿げた野望など忘れろ、と。

核心問題は、アメリカ軍の沖縄駐留の決着であり、鳩山首相はグアム協定として知られている協定を履行しろというアメリカの固執だ。

グアム協定

“グアム国際協定”というのは、2月に、ヒラリー・クリントン国務長官と日本の中曽根博文外務大臣が署名し、オバマ政権初期の2009年5月、特別法の下で、協定として採択された米日協定だ。日本における麻生政府への支持は急落しており、後継のオバマ政権は、アメリカの計画を、後に続くあらゆる日本政府をしっかりと拘束できるような形の公式合意とすべく、素早く動いた。

8,000人の海兵隊とその家族9,000人は、沖縄から、グアムへと、再配置され、普天間のアメリカ海兵隊基地は沖縄北部、名護市の辺野古に移転され、新基地が日本によって建設されるべきこととなっている。日本政府は、更にグアムへの移転費用として60.9億ドル(そのうち28億ドルは現金で、現行予算年度内に)支払うのだ。[1] 沖縄での効果は、アメリカ軍は人口稠密な南部にある大規模基地のいくつかを明け渡すが、それを沖縄島北部に集中させ、拡張するということだ。

これらの事柄(詳細な財政関係条項を除いて)は全て、2005年10月、約4年前、小泉の下で結ばれた先の「日米同盟: 未来のための変革と再編」協定によって解決済みで、2006年5月「再編実施のための日米のロードマップ」によって再確認されている。 [2] 今や、遵守を強いるため、新協定第3項は、例え両者が、揺るぎない沖縄県民の反対に直面して、それが可能だという希望を事実上あきらめても、「日本国政府は、アメリカ合衆国政府との緊密な協力により、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成する意図を有する。[すなわち2014年迄に]」のだとうたっている。 [3]

協定は、アメリカ政権による評判の“改革”の最初の行動の一つであり、半世紀にわたる自民党支配の後、致命的な衰退状態にある日本の政権による、最後の行動の一つだった。この協定は、世界第1位と2位の経済大国間関係の中で、異常に際立って見える。この協定は、以下で検討するように、不平等で、違憲で、違法で、植民地的で、虚偽的なものゆえに、周到に調べる価値がある。

不平等

第一に、用語の典型的な意味からして、“不平等条約”だ。日本政府は、これを拘束力のある協定として解釈しているが、アメリカにとっては、議会の承認がない、単なる“行政協定”だ。[4] 協定で、日本は、沖縄にアメリカ用の一つの新基地総合施設を建設し、費用を支払い、グアムにもう一つの基地を建設する為に、かなり莫大な金額を負担する義務を負うが、アメリカ側は、撤退する兵士の人数(曖昧さについては下記参照)について、漠然とした約束をしているに過ぎない。日本を拘束しながらも、アメリカを拘束してはいないのだ(アメリカは、第8条の下で、随意に変更する権利を保有してさえいる)。[5] 更に、グアム協定は、アメリカ法に違反している可能性もある: 歳入を増大させる手段として(60億ドルの金額が、日本によって支払われると規定している)、議会による承認が必要なのだが、大統領の執行権限だけによるものにすぎない。一方の側だけを拘束する協定は、その定義からして、不平等条約だ。

違憲

二番目に、協定は違憲だ。憲法第95条の下、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」グアム協定は、明らかに、沖縄という単一の県にのみ適用される特別法であるにもかかわらず、沖縄県民と相談するという試みが全くなされていないのみならず、衆議院は非道にも沖縄県民の周知の願いを踏みにじったのだ。

更に、協定を衆議院で押し通すために、麻生政府は、半世紀以上も使われていなかった、衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる、という特別な憲法(59条の)手順の効力を利用した。麻生が、2009年5月13日に、衆議院で法案を通したのは、参議院を二の次にし、実質的に無効にしており、ある種憲法上のクーデターだった。[6] テロ特別措置法案を含む10の主要法案も、ワシントンにとって重要なあらゆる法律も含めて、麻生在任9カ月間で大半の立法実績は、ワシントンにとっては喜ばしかろうが、全く同じ理由から、憲法上の正当性は疑わしい。

違法

三番目に、グアム協定は日本の法律に違反している。協定は、国内法に優先するため、日本の環境保護法規の要求を格下げし、事実上、無効にする効果も持っている。本格的で、国際的に信ぴょう性のある環境影響評価(EIA)であれば、大規模軍事建設プロジェクトは、大浦湾地域の繊細な珊瑚と森林環境とは両立しないと結論を必ず出すだろう。ところが、日本のEIAは、単なる形式的手続きであるのが当然のこととされており、協定は、手順を更に弱体化させた。

更に、衆議院とオバマ政権は、ペンタゴンを含む被告に対する訴訟を裁判官が審問している、サンフランシスコ連邦裁判所から発せられるであろう、あらゆる命令に、先手を打っている。裁判官は、既に、辺野古建設プロジェクトに関して、文化財保護法によって必要とされている保全対策を採るよう、ペンタゴンに命じており、日本政府にも同じことを要求している。[7]

沖縄大学学長で、環境アセスメント法専門家の桜井国俊は、2005年以来、日本政府が、普天間飛行場代替施設を実現しようとしてきたやり方は、環境アセスメント法規に違反していると主張している。従って、プロセスは再開されるべきなのだ。本格的で、国際的に信ぴょう性のあるEIA名あれば、普天間飛行場代替施設を、辺野古に建設することはできないと判断をするはずだと、彼は結論づけている。[8] もしも桜井学長が正しければ、日本政府のEIAには、致命的に欠陥があり、国際的に信ぴょう性のある、独立の科学調査が実行されるべきなのだ。

植民地的

四番目に、協定は植民地的だ。アメリカは、2005-6年の協定後に、進捗がないことに、益々いらだって、日本が何をすべきかを、有無を言わせずに規定した。2007年11月、ロバート・ゲーツ国防長官は、日本に、インド洋での海軍基地を再開し(当時、論争のまとであった)、アメリカ基地を受け入れるための支払いを維持し、増加し、国防予算を増大し、必要性が生じ次第、自衛隊を海外派兵することを許可する恒久法を通せと指示した。これは、本質的に、その年早々に刊行された、2020年までの米日同盟に関するアーミテージ-ナイ報告の立場だ。[9] アーミテージ、ゲーツや他のアメリカ人高官たちは通常、何事も日本の主権政府次第だ、という敬けんな心持ちを付け加える。とは言え、「日本は所定の課題をこなさない限り、安全保障理事会の常任理事国への立候補に対し、アメリカの支持を期待することはできない」と、ゲーツ国防長官が露骨に語った時のように、時として彼等は、不服従の結果を、日本に対して詳細に説明することがある。[10]

国防副次官として、ロードマップへと至った交渉を率いた、リチャード・ローレスは、2008年5月、朝日新聞に、同盟が漂流していると語った。

    「我々に本当に必要なのは、全ての協定を時間通りに行うよう最貢献しよう。予算をつけることが、国家の最優先事項であることをはっきりさせよう、と言えるトップ・ダウンのリーダーシップだ。… 日本は、この同盟の意思決定、配備、統合と、それを運用可能にするテンポを変える方法を見いださなければならない[原文のまま]。」 [11]

彼は“自己疎外”と、「日本の撤退症候群が、同盟がサブプライムの方向に向かって格下げされるのを許している。」と、日本を酷評した。[12] この圧力の下、2008年中と、2009年の初期、麻生首相は、身を入れて、権力にしがみついていたように見える。同盟を“運用可能にするために”ワシントンが要求していた“トップダウン”措置を採用して、ワシントンに最後のご奉公をしようというのが、少なくとも理由の一つではあったろう。まさに麻生首相への支持が、事実上回復の見込み皆無のまま、20パーセント以下に低下してしまったので、自由民主党(自民党)が、小泉が獲得した衆議院での多数派を享受している間に、これを実行する必要があったのだ。

その植民地主義的な性格に沿って、疑いもなく、日本の政治過程への介入する特権があると当然のように思い込んだオバマ政権は、当時野党だった日本民主党(民主党)に向かって、船首前方への威嚇射撃をしていた。グアム協定を、日本に押しつけるべく、政権初期に、ヒラリー・クリントンを、押しつけ役として、東京に派遣したオバマ政権は、ブッシュ外交の決定的な特徴を継続していた。家父長的、干渉主義、反民主主義的、地域的、あるいは国連中心の外交政策のような、独立しようとする日本のいかなる模索に対する不寛容だ。クリントン国務長官は協定への満足を語った。「信頼のおける国家は、結ばれた協定を守るものだと考えているが、私が今日、中曽根外務大臣と署名した協定は、誰が権力を握っているかとは無関係に、我々二国間のものだ。」 [13] 彼女が言いたかったことはこうだ。民主党の皆さん方は、物事の重要性を理解すべきなのだ。

植民地政策の特徴上“原住民”は、導くべき対象であって、相談すべき相手ではない為、グアム協定に至った検討において、沖縄県民の事を考えるのは常に不適切なのだった。

虚偽的

五番目に、協定は、日本で“ゴマカシ”として知られているもの、つまり道義や相互性という美辞麗句をまとった策略と欺瞞を、特徴としているのだ。他国の軍事基地を建設するのに、主権国家が金を払った前例など皆無だ。そこで、日本政府は論議を最小化し、嘘に依存するしかなかったのだ。

 

「第二次世界大戦後のアメリカ軍の沖縄駐留負担を軽減する」事を狙った“撤退”で、アメリカが日本に譲歩したと報じられてはいるが[14] 実際は、全く別物だ。アメリカ領土のグアムにおけるアメリカ軍施設建設の為に、法外な金額を支払わせ、不便で、危険で、陳腐化した普天間施設の代わりに、辺野古に新規の、ハイテクの、大幅に拡張した基地を作らせて、同盟に対する日本の負担を増やすことを狙ったものなのだ。

協定は、ごまかしに満ちている。協定は「8,000人の海兵隊員を、沖縄からグアムに」撤退させると規定しており、日本政府は、これは沖縄の基地負担を軽減する鍵だと主張しているが、2009年初め衆議院での質問で、実際に沖縄に駐留している海兵隊員は、わずか12,461人であることが明らかになり、日本政府が、10,000人は、抑止力として必要なのだと主張している為、撤退するのは実際には3,000人以下ということになる。[15] サンフランシスコの裁判所での、絶滅危惧種のジュゴンを代表した訴訟審問の中で、初めて、いわゆる“普天間飛行場代替施設”には、長さ214メートルの埠頭もあることが暴露された。日本政府は、普天間施設は、原子力潜水艦が停泊できる、深い大浦湾の港も追加して、拡張予定であることに触れようとは思い至らなかった。

麻生政府最後の行動の一つが、アメリカが、いかなる詳細費用見積もりもまだ提出せず、まして、資金予算を充当もしない前の、2010年財政年度のグアム建設費用資金貢献として、340億円、3億6300万ドルの引き渡しだった。数ヶ月後、アメリカ議会は、同年ペンタゴンが要求した歳出予算を、3億ドルから、8900万ドルへと、70パーセントも削減した。日本負担のおよそ四分の一だ。[16] アメリカの財政困難が余りに悲惨なため、議会がこれ以上を承認するかどうかは、確実と言うには程遠い。グアム協定で、アメリカ側は金を決められた通りに使うという約束にはなっているものの、日本には支出を監督する権利はない。ペンタゴンがその資金を手に入れてしまった後は、基地の作業が進もうが、進むまいが、日本が、その金を返金して貰える可能性は極めて低かろう。しかも、グアム海兵隊用の住宅は一軒7000万円(一軒75万ドルもあれば、きわめて豪勢な邸宅を建てるのに十分だ。言い方を変えれば、これはグアムでの住宅建築相場の約14倍だ。

衆議院議員の一人はこう抗議している。万一、実際にアメリカ議会が、グアム計画に資金を付けないと決定した場合、一体どうなるのか? 日本は、その金を返してもらえるのだろうか? [17]

[1] “Agreement between the Government of Japan and the Government of the United States of America concerning the Implementation of the Relocation of III Marine Expeditionary Force Personnel and their Dependents from Okinawa to Guam,” 2009年2月17日 東京、英文Link、日本語訳は「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」について(略称:在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定)、日本語訳リンク

[2] 詳細は著書を参照。属国: 米国の抱擁とアジアでの孤立、新田準訳、凱風社刊、2008、原書はClient State: Japan in the American Embrace, London and New York, Verso, 2007.

[3] アメリカ太平洋軍司令部司令官ティモシー・キーティング海軍大将は、2008年11月のニューヨークでの記者会見で、ロードマップの2014という目標、“あるいは、2015年にすら” 実現できまいと自分は考えていると語った。“オバマ と日本 –  普天間移転、喫緊の課題” 読売新聞、2008年11月20日。

[4] 衆議院における、 照屋寛徳議員に対する麻生首相答弁、2009年3月5日。リンク

[5] 佐藤学、"オバマ 政権のアメリカ" in 宮里政玄、新崎盛、我部政明、沖縄「自立」への道を求めて、東京、高文研、2009、pp. 83-94

[6] これは、1947年と1957年の間に、  28の法案を通過させるのに、26回使われ、麻生が、10の法案を8回強行採決させるために使って、2008年に復活させるまでは使われていなかった。 (神保太郎、“メディア批評” (20)、世界、2009年八月号 、pp. 92-99、p. 92中)。

[7] 詳細は、Yoshikawa Hideki, “Dugong Swimming in Uncharted Waters: US Judicial Intervention to Protect Okinawa's "Natural Monument” and Halt Base Construction”を参照。 The Asia-Pacific Journal 2009年2月7日。

[8]  Sakurai Kunitoshi, "Guam treaty as a Modern 'Disposal' of the Ryukyu."

[9] リチャード・L. アーミテージおよびジョセフ・S・ナイ,” The US-Japan Alliance: Getting Asia Right through 2020,” CSIS Report, 2007年2月。

[10] Kaho Shimizu, “Greater security role is in Japan’s interest: Gates,” Japan Times, 2007年11月10日。.

[11]加藤洋一、“インタビュー/リチャード・ローレス: 日米同盟、優先順ギャップに直面” 朝日新聞、2008年5月2日。

[12] 船橋洋一による引用、“オバマ政権の日米関係 - 平時の同盟追求する時” 朝日新聞、2009年1月26日。

[13] "クリントン、強い米日の絆を称賛," 読売新聞、 2009年2月18日。

[14] AFP、“Clinton, Japan sign American troops pull-out deal,” Sydney Morning Herald、2009年2月18 日。

[15] 服部ピースネット、“グアム協定移転の問題点” 2009年6月15日。 山口響、“海兵隊グアム移転,” ピープルズ・プラン研究所、2009年夏号、pp、2-15も参照。PDF

[16] Satoshi Ogawa、“U.S. senate cuts funds for marines’Guam move,” Daily Yomiuri Online、2009年11月7日。

[17] 服部、前掲

記事原文のurl:japanfocus.org/-Gavan-McCormack/3250

Gavan McCormack, "The Battle of Okinawa 2009: Obama vs Hatoyama," The Asia-Pacific Journal, 46-1-09, November 16, 2009

----------

マスコミで、協定順守云々と断片だけ、読み聞きしても、意味がわからずにいた。そもそも、これが記事になっても、うかつなことに、重要さに気づかずにいた。この論文で、ようやく、そのひどさ加減が理解できた。こういう先生にこそ、勲章?を差し上げるべきだろう。「グアム協定」で検索すると、多数のブロガーが、問題点、ひどさ加減を指摘しておられる。たとえば、作家目取真俊氏のブログ「海鳴りの島から」には、「グアム協定」と米軍再編利権というエントリーがある。

上記論文、素晴らしいが、かなり長いので、大変勝手ながら、冒頭部分だけ訳させていただいた。残りはご自分でお読みいただければ幸い。高校三年間の英語と、大学教養課程二年間の英語力で、辞書さえあれば、お読みになれるはず、と自らの学習歴から想像する。

小学生に英語力をつけるなどというのは、たしかに無駄以外のなにものでもないが、見世物ショーの「事業仕分け」で、予算を削った分、与党議員諸氏に家庭教師でもつけた方がよいのかも知れない。生きる力やら、楽しい英会話やらより、物事の真偽をかぎわける、リテラシー養成が先だろう。もちろん、それがわかっているからこそ、植民地化強化のための小学生英語教育に予算はつけても、宗主国・属国の関係を批判するに至る力をつけるリテラシー教育に、予算をつけるはずは永遠にない。

受講資格は、地位協定といい、安保条約といい、そうした不平等を改め、平等にしたいと本気で考えている方に限定すべきだが。英会話より、読解力。

今日話題の初登板小泉ジュニアに、このような発想を期待するのは筋違いだろうが。商業マスコミ、猟奇殺人や、小泉ジュニアを追いかけている暇と金があったら、こういう重要な課題を調べるべきだ。マスコミは、「レッド・ヘリング」記事で、大衆の意識を、どうでもよい方向に逸らすのが仕事ゆえ、期待するだけ無駄。外務省密約を、形ばかり追いかけ始めてはいるようだが、いつものごとく、腰砕けで終わるだろう。

小泉ネオコン政治の状況、オーストラリア国立大学名誉教授、ガヴァン・マコーマック氏の『属国』を読んで、ようやく全体が見えてきたような気がする。『属国』、実に素晴らしい本なのに、不思議なことに、マスコミにはほとんど批評・紹介記事が載らない。例外は、中日・東京新聞JanJan。目取真俊氏のブログにも素晴らしい書評がある。是非お読みいただきたい。

某有名オンライン書店をのぞくと、カスタマー書評が、一つだけ、空欄のまま、『属国』を星一つと評価している。某オンライン書店のレベル、便所の落書き以下。従って、リンクは張らない。営業妨害、いや言論弾圧・名誉棄損だろう。内容が間違っているなら、論駁すればよいのだが、正論で、手ごわいため、業界の全員が黙殺しているのに違いない。あのオンライン書店からは購入しないことにしている。

属国』定価2500円。ISBN978-4-7736-3213--2Y2500E

この論文のリンク先に、民主党議員の方のものがあったので、『世界』2009年12月号の渡辺治教授の論文、「新自由主義転換期の日本と東京」を思い出した。毎回、このブログ、民主党の怪しさへの疑問を書いているので、「根拠なく罵倒している」といわれかねないが。

渡辺論文によると、民主党には、三つの構成部分、三つの国家構想があるという。いわく、党指導部-無自覚の新自由主義派、胴体-修正利益誘導形型政治派、手足-個別的福祉政治派。反省するに、党指導部-無自覚の新自由主義派、胴体-修正利益誘導形型政治派しか、素人には見えてこないのだ。それで、終始、党指導部の行動をいぶかっているのだ。リンク先の方は、個別的福祉政治派ということなのだろう。しかし、政治団体はしっかりしていれば、指導部の方向に動くだろう。小選挙区制度と、政党交付金制度が、小沢幹事長独裁を可能にしているとしか見えない。

そう、この論文にある、小泉首相時代の遺産「衆議院多数派」が、現在のひどい状況をもたらしたのと同じように、将来の民主党「衆議院絶対多数派」「参議院絶対多数派」も、それ以上にひどい状況をもたらすに違いないことは、素人政談ながら断言できるだろう。根拠なしでも、罵倒ではあるまい。

渡辺治教授の講演について、多くのブログに書かれている。是非、一度拝聴してみたいもの。直接、上記「頭・胴体・手足」という方向性の違いの話題に触れているものには下記がある。

志村建世のブログ 渡辺治氏の講演を聞く

労働組合ってなにするところ?「輝け!日本国憲法のつどい」渡辺治教授の講演概要

----------

2010/3/6追記:

週刊金曜日・今週号(2010/3/5 789号)に、この論文の著者、ガバン・マコーマック、オーストラリア国立大学名誉教授による文が掲載されている。

『米国は辺野古から、沖縄から手を引け』今こそウソにまみれた日米安保50年の検証を

大手マスコミは、宗主国・属国大本営報道ばかり。こうした「真実」を500円を投じて読むなどする他に、洗脳から抜け出す方法、思いつかない。オーストラリア人の学者の方が、こうした正論を主張されるのに、日本人が座視し、ウソにまみれた日米安保50年の検証をせずに、洗脳されたままでいては申し訳がなかろう。沖縄の方々に。イラクやアフガニスタンの方々に。未来の日本人に。

2009年11月14日 (土)

道徳対物質的関心-現代の神話

Paul Craig Roberts

2009年11月13日

"Information Clearing House"

ベトナム戦争を終わらせたのは徴兵制度だったというのが世間一般の通念だ。この説明によると、徴兵されることになっていた臆病な大学生達と、愛国心のない両親達が、戦争を無理やり終わらせたのだ。これはカール・マルクス流の説明だ。空虚な道徳ではなしに、物質的関心が、戦争を終わらせたのだと言われている。

今どきでは、アメリカに、時として、戦争を道徳的な観点から見るまがりなりの独立メディアが存在したという事実は、無視されている。例えば、あのナパーム弾の炎に、恐怖で道路を走って行く裸の幼い少女の画像が、戦争に対する道徳的反対を目覚めさせるのに無力だったと確信して言えるだろうか? 戦争の終結をもたらしたのは、目覚めた道徳的良心ではなく、自分たちの命や、手足を失うことを恐れた大学生達だったと、私たちは確信して言えるだろうか?

もし我々が、戦争の終結を、物質的関心に帰してしまえば、戦争を終結させることも、戦争そのもの同様、下劣なものに見えてしまう。

ところが、事実上、あらゆる保守派の評論家、解説者、記者や政治家、現在の反戦抗議者達、明らかにペンタゴンも、中・上流階級の両親のもとに帰国する死体袋のおかげで、徴兵制度は、アメリカ人の戦争容認を、引き下げると信じている。明らかに、下層階級は、自分たちの子供が死体袋で帰ってきても気にしないというのだ。

マルクスの史的唯物論に由来するこの説明を奉じる人々は、ベトナムが、アメリカ最長の戦争だったことには注目しない。学生とその両親達の物質的関心が目覚めて、戦争を止めるには、ほぼ永遠の時間がかかったことだろう。

アメリカ軍とアメリカ国民は、女性、子供や非戦闘員を殺害するのに、うんざりし、立腹さえしたから、戦争が終わったのだと言うのを、なぜ我々は恐れているのだろう? ベトナムはアメリカを攻撃したわけではないのだ。アフガニスタンでもそうしたように、アメリカは、遠隔地の内戦に、自ら飛び込んだのだ。

イラクを侵略して、アメリカは、スンナ派とシーア派の間で内戦を始めさせた。パキスタンで、アメリカは、敬虔な部族住民と、非宗教的なアメリカの傀儡国家との間で、内戦を始めさせた。パレスチナで、アメリカはファタハとハマースの間で内戦を始めさせた。

アメリカの侵略戦争に反対するアメリカ人達が、きまって主張する理由の一つに、戦争ができるのは、それがアメリカ人に影響を及ぼさず、影響は志願兵として申し込んだ連中だけに留まるからというのがある。そこで、戦争を止めようとする物質的関心は不十分なのだというのだ。これは反戦運動の弱さについて良くある説明の一つだ。

その代わりに、道徳的な抗議を無力にしてしまったのは、カール・マルクスの唯物論の勝利だと主張することも可能だ。道徳とは一体何だろう? その重さを量ることも、定義することも、長さを測ることも不可能だ。物質的関心の泣き言だといって、片づけることも可能だ。対照的に、命や、手足や、銀行口座等の物質的関心は、実在する。

理由は何であれ、21世紀アメリカにおいて、道徳が無力な力であることは証明済みだ。ひたすら、嘘と欺瞞に基づいたアメリカ侵略だけのおかげで生じた100万人以上のイラク人死者、強制移住させられた400万人のイラク人に対し、アメリカ人は何の良心の呵責も感じない。嘘と欺瞞は、今やしっかり証明済みだ。にもかかわらず、アメリカ人がイラクに与えた恐怖についての謝罪は皆無だ。

アフガニスタンは、もう一つの例だ。意図的な嘘が、タリバンと、アルカイダと“テロリスト”を結びつけた。最初、ソ連の爆撃に見舞われたアフガニスタンの様々な人々が、今度は、アメリカの爆弾に見舞われている。結婚式、葬儀、子供たちのサッカー試合、燃料や食料用の行列中の人々、自宅で眠っている人々、モスクに参詣している人々が、アメリカとNATOの傀儡によって殺害され、しかも、当たり前の様に殺害されている。

民間人が殺害されるたびに、アメリカは否定するが、毎回矛盾する証拠が現れる。

なぜ、アメリカ大統領は、アフガニスタンの国民を殺すために、更に何万人ものアメリカ兵士を派兵することをもくろんでいるのだろう?

答えは、アメリカ合州国が、不道徳な国民と不道徳な政府の、不道徳な国家であるということだ。アメリカ人は、もはや道徳的な良心を持ってはいない。連中は邪悪な側に行ってしまったのだ。

人類は何千年も、悪を道徳で支配しようと努めてきた。アメリカという“スーパパワー”の中で、この努力は崩壊し、ついえたのだ。

アメリカ合州国は、アメリカの物質的関心に沿っているとして正当化するのではなく、その不道徳な振る舞いを譴責されるべきなのだ。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article23958.htm

---------

不道徳な国家の大戦犯が、靴を投げられることなく、無事にボールを投げ、早稲田大学で講演をして帰国した後、現職がきて、中国へと去った。テレビの役割を、再確認するのに良い二日間だった。早稲田大学が、貴重な学費を、大戦犯の講演のために使う大学だとは、想像もしていなかった。こういう人物の講話を有り難がって聞くような学生に、将来は期待しない。せめて、インフルエンザ名目で自主休校ぐらいできたろうに。

この人物の演説本やCD、宗主国ではさっぱり売れていないというが、属国では書店に山積み、実際に売れているのだという。さすがコネズミ氏が支持された国だけのことはある。

「アメリカ・インディアン悲史」の著者、尊敬する藤永茂氏、ブログ「私の闇の奥」最新記事「オバマ大統領、医療保険制度、ホンジュラス、コロンビア」で、「彼がコンマンであるという確信がますます強くなっている」と書いておられる。一部だけ引用させて頂こう。

彼が稀代の「コンフィデンス・マン」、コン・マンであるという、私の信念は揺らぐどころか、ますます強くなっています。

署名されるまでのオバマ・チームの巧妙なノラリクラリ作戦の方に注目してほしいのです。結局のところ、オバマ政権が、当初から狙っていたものを見事に手に
入れた、そのやり方です。私が、オバマ・チームを、稀代のコン・マン・チーム、詐欺師集団と呼ぶ理由はそこにあります。始めは、いつもなかなか良いことを
言うのです。しかし、本当に達成したいことは別に決めているのです。

新聞・テレビで、翼賛文化人が何を言おうと、藤永茂氏の言葉にこそ賛成する。コン・マンの演説本やCDを買うお金とエネルギー、藤永茂氏の著書に注いでいただきたいものだ。

記事中の少女の画像とは、ファン・ティー・キム・フックさんのものだろう。不思議なことに、日本語Wikipediaには、その肝心な光景の写真がない。意味が全く通じないではないか。英語版には、写真がある。

沖縄美術館でも、今年の石川文洋氏の写真展で、館長指示で、強烈な写真が一枚外された。沖縄美術館の館長に「反戦を訴える写真を外させる」という馬鹿なことをする人物が選ばれているとは信じがたいが、こういう館長だからこそ、上から選ばれる。沖縄美術館の館長、芸術を推進する人物ではなく、何より、体制にとって、まずいものが世に流れないようにする、お目付役なのだ。

2009年11月11日 (水)

アヘン、強姦とアメリカ流儀-Chris Hedgesのコラム

2009年11月2日、Truthdig掲載

AP / Musadeq Sadeq

先月カーブルでの記者会見で、マサチューセッツ州選出のアメリカ民主党上院議員ジョン・ケリーとささやきをかわす、アフガニスタン大統領ハミド・カルザイ。

 

Chris Hedges

アフガニスタンで、我々が支持している部族軍長達は、金で動く連中であり、女性の権利や基本的な民主的自由には反対で、タリバン同様、アヘン密売に深く関与している。我々と、敵対者の間に、我々が引いた道徳の境は虚構だ。アフガニスタン戦争を正当化するのに利用された、気分を高めるような物語は、無意味な残虐行為を埋め合わせしようという、痛ましい企みだ。戦争は、デモクラシーや女性解放を含む、いかなる徳を植えつけるためにも、遂行されてはならない。常に戦争は、強い暴力嗜好を持ち、兵器を入手できる連中に力を与えるものだ。戦争は風紀を逆転させ、人権に関するあらゆる議論を廃止してしまう。戦争は、公正と上品さを、社会の辺境に追いやるのだ。そして兵器は、無辜の人々と忌まわしい連中を区別しない。無人機攻撃は、アメリカ版の簡易仕掛け爆弾だ。鉄破砕爆弾は、自爆攻撃に対するアメリカの答えだ。誰が起爆装置を起動させるかとは無関係に、保弾帯給弾式機関銃からの射撃は、一般市民に、同じ恐怖と流血をもたらすのだ。

「9/11の悲劇後に、タリバンと入れ代わった原理主義者部族軍長の連中から、防毒マスクをはぎ取る必要があります」2年前に、政府の腐敗と西欧の占領を非難したがゆえに、アフガニスタン議会を追われたマライ・ジョヤが、先週ニューヨーク訪問中に私にこう語った。「連中は、権力を握るために、デモクラシーの仮面をかぶっていたのです。連中はこの欺瞞を続けています。こうした部族軍長は、精神的にタリバン達と変わりません。唯一の変化は物理的なものです。こうした部族軍長は、1992年から1996年のアフガニスタン内戦中に65,000人の無辜の人々を殺害したのです。タリバン同様、彼等は女性や、他の多くの人々に対し、人権侵害をしたのです。」

「8年間で、2,000人以下のタリブが殺害され、8,000人以上の無辜の一般市民が殺害されました。」彼女は続ける。「これは対テロ戦争ではないと私たちは思います。これは無辜の一般市民に対する戦争なのです。アフガニスタンで、NATO軍によって遂行された虐殺を見てください。ファラ州で5月に彼等がしたことを見てください。150人以上の一般市民が殺されました。その大半が女性と子供です。彼等は白燐弾やクラスター爆弾を使っています。9月9日、クンドゥス州で200人の一般市民が殺害されましたが、またしても、その大半は女性と子供達でした。民主的な人物、マーク・ヘロルド教授のウェブで、アフガニスタン国民に押しつけられている、アフガニスタンでの戦争犯罪について、もっと知ってください。アメリカ合州国とNATOが、8年前、女性の権利とデモクラシーという旗印の下、わが国を占領しました。しかし彼等は、我々を、一難去ってまた一難状態に押し込んだのです。彼等は、タリバンを複写したような連中を、権力に付けたのです。」

過去8年の占領の間、アフガニスタンのアヘン密売ブームのヘロイン生産は、タリバン、アルカイダ、地方の部族軍長、犯罪組織、人さらい、私兵、麻薬密売業者や、ハミド・カルザイ政府の大物の多数に、何億ドルもの金を注ぎ込んだ。ニューヨーク・タイムズが、カルザイ大統領の弟、アフメド・ワリ・カルザイは、違法アヘン取引における主役であるにもかかわらず、CIAから金を貰っていると報じている。アフガニスタンは世界のアヘンの92パーセントを生産しており約650億ドルの価値があると、国連は推計している。毎年このアヘンは、世界で約1500万人の麻薬患者に与えられ、約100,000人を殺害している。こうした死者数は戦死者名簿に加えられるべきだ。

国連薬物犯罪オフィス(UNODC)事務局長アントニオ・マリア・コスタは、麻薬密売が、100,000人のNATO兵士駐留にもかかわらず、タリバンがはびこり、拡大するのを可能にしているのだと語っている。

「タリバンはアヘン密売への直接関与によって、技術的に、一層複雑化し、益々広く行き渡るようになっている兵器に金を出すことが可能になった」とコスタは語っている。

タリバンは、アヘンとヘロインの製造と密輸に課税することで 2005年から2009年の間に、年間9000万ドルから、16000万ドル稼いだとUNODCは推計している。ほぼ十年前、権力を握っていた間に、毎年稼いでいた金額のほぼ倍だ。またコスタは、アフガニスタン-パキスタン国境は“ありとあらゆる違法なものの世界最大の自由貿易地域”で、麻薬、武器と違法移民によって荒廃した地域だと述べている。“麻薬とテロという複数の悪いことが同時に起こる最悪の状況”が、中央アジアを通る麻薬密売ルート沿いに移動する可能性があると、彼は警告する。アヘンから得られた利益が中央アジアの過激派集団に注ぎ込まれており、「この地域の広範な部分が、大規模テロに巻き込まれ、膨大なエネルギー源が危機に曝されかねない」とコスタは語っている。

「アフガニスタンは、8年間の占領後、世界の麻薬センターになりました」とジョヤは私に言った。「麻薬密売組織のボス達だけが、権力を握っているのです。こうした連中が、アヘン栽培を止め、麻薬密売を中止するなど、どうして期待できますか? 権力を握っていた時に、アヘン生産や、超大国を破壊したあのタリバンが、どうしてアヘン生産を破壊できないだけではなく、増加するにまかせているのでしょう? しかも、こうしたこと全てが続く間、戦争を支持している連中が女性の権利について説教してくれるのです。大半の州で、女性には人権がありません。アフガニスタンで女性を殺すのは、鳥を殺すくらい簡単です。カーブルのような幾つかの大都市では、仕事についたり教育を受けたりできる女性もいますが、国のほとんどの地域では、女性にとって地獄のような状態です。強姦、拉致や家庭内暴力が増加しています。こうした原理主義者連中は、いわゆる自由選挙の間に、アフガニスタンのシーア派女性に対し、女性嫌悪の法律を成立させました。この法律には、ハミド・カルザイすらもが署名しています。こうした犯罪の全てが、デモクラシーの名のもとで起きているのです。」

何千人ものアフガニスタンの一般市民が、武装反抗勢力と外国軍の暴力で亡くなった。アメリカとNATOの軍隊は、アフガニスタンにおける一般市民の死亡のほぼ半数に対して、責任がある。何万人ものアフガニスタン一般市民が、強制退去、飢餓、病気、汚染、医療の欠如、戦争に起因する犯罪や無法さから亡くなっている。

カルザイも、11月7日の決選投票への不参加を決めた彼のライバル、アブドラ・アブドラのいずれも、アフガニスタンが麻薬国家に変身するのを止めるためには何もするまいとジョヤは言う。腐敗した残忍な二人の候補者間の戦いで、一方の側を選んだNATOは、この国におけるあらゆる正統性を失ったのだと彼女は言う。

アフガニスタン駐在の高位アメリカ外交官、マシュー・ホーが、最近辞任したのも、一部麻薬問題と関係している。ホーは、辞表の中で、カルザイ政府は「紛れもない汚職と臆面もない不正利得」にまみれており、カルザイというのは「腹心の友や主席顧問が、アメリカの法の支配や麻薬対策の努力を無視するような、麻薬密売組織のボスや、戦争犯罪人の悪漢で構成されている」大統領だと書いている。

ジョヤは言う。「国際社会からこの国に注ぎ込まれた360億ドルものお金は、どこに行ったと思われますか? こうしたお金は、麻薬密売組織のボスや部族軍長の懐に入ったのです。アフガニスタンでは、1800万人が一日2ドル以下で暮らしているのに、こうした部族軍長は裕福になるのです。占領軍が無辜の一般市民を爆撃し殺害する間も、タリバンも部族軍長も、このファシズムに貢献しています。安全でない時に、一体どうして人権や女性の権利について語ることができるでしょう?」

「アフガニスタンの軍族主義、麻薬密売組織ボス主義、汚職と占領軍の陰で行われたこの大統領選挙に、正統性は皆無です」彼女は言う。「結果は同じロバで、鞍が新しいだけなのです。誰が投票しているかは問題ではありません。誰が票を数えるかが重要なのです。そして、それがわが国の問題なのです。タリバンと同調している連中の多くは、タリバンを支持しているわけではなく、こうした部族軍の長や不公平にうんざりして、連中は復讐するために、タリバンに協力しているのです。私は彼等に同意はできませんが、気持ちは理解できます。アフガニスタン国民の大半は、タリバンと部族軍の長には反対で、それが、なぜ何百万人もが大統領選挙というこの悲劇に参加しなかった理由です。」

「アメリカは、ハミド・カルザイのマフィア風腐敗体制を支持することによって、納税者のお金と兵士たちの血を無駄にしています」と、無数の殺し脅迫の為、カーブルで、再三住まいを変えているジョヤは語っている。「カルザイとアブドラの本質を知るのに、8年あれば十分です。あの二人は、この国を、麻薬センターに縛りつけたのです。もしもオバマが本当に正直であれば、彼は民主的な思想の人々を支持しているはずです。[そういう人々は]多数いるのです。しかし、彼はアフガニスタンの民主的な思想の人々を支持しなかったのです。彼は、パキスタン国境地域を攻撃することで、パキスタンでの戦争を始めようとしています。オバマ時代、犯罪人ブッシュ時代以上に、より多くの一般市民が殺害されています。」

「アフガニスタン国民は二つの強力な敵にはさまれているのです」と彼女は嘆いている。「占領軍が空から爆撃し、無辜の一般市民を殺害します。地上では、タリバンやこうした部族軍長達が、ファシズムを遂行しています。NATOがより多くの一般市民を殺害すれば、外国軍に対するレジスタンスは増大します。もしアメリカ政府とNATOが、自発的に撤退しなければ、アフガニスタン国民は、アフガニスタンを三度も占領しようとしたロシアやイギリスに与えたのと同じ教訓を与えるでしょう。私たちにとって、二つの敵と戦うより、一つの敵と戦う方が楽ですから。」

Chris Hedgesのコラム記事は、Truthdigに毎月曜日に掲載されるが、彼は20年間、海外特派員として、中南米、アフリカ、ヨーロッパと中東での戦争を報道してきた。彼は以下を含む9冊の本を書いている。“Empire of Illusion: The End of Literacy and the Triumph of Spectacle”(2009年刊)および“War Is a Force That Gives Us Meaning”(2003年刊)

記事原文のurl:www.truthdig.com/report/page2/20091102_opium_rape_and_the_american_way/

----------

普天間基地問題や、読谷村の米兵によるひき逃げ事件を見ている限り、自民と民主、アメリカ傀儡「派閥間の政権交代」に上記もそのまま流用できると言えば、辛口すぎようか?

連中は、権力を握るために、デモクラシーの仮面をかぶっていたのです。連中はこの欺瞞を続けています。こうした政治家達は、精神的に自民党政治家達と変わりません。唯一の変化は物理的なものです。

彼等は、我々を、一難去ってまた一難状態に押し込んだのです。

同じ著者の記事、幾つか翻訳している。13日の熱烈歓迎を前に、下記もご一読を。

オバマ・ブランドに乗せられる

2009年11月 8日 (日)

ホンジュラス: "スマート・パワー"の勝利-Postcards from the Revolution

Eva Golinger

2009年11月2日

ヘンリー・キッシンジャーは、外交とは、“力を奪う技術”だと言っている。21世紀アメリカ外交政策の最も有力なイデオローグが言っているのは、アメリカ合州国の支配的な世界権力を維持すべく、“他国や政府の力を奪う”必要性のことであるのは明白だ。ジョージ・W・ブッシュ式スタイルの大統領は、この目標を実現するため“ハード・パワー”を採用した。兵器、爆弾、威嚇と軍事侵略だ。ビル・クリントンの様な他の連中は、“ソフト・パワー”を使った。文化戦争、ハリウッド、理想、外交、道徳的権威や、敵国国民の“人心を掌握する”キャンペーンだ。オバマ政権は、軍事力と、文化的侵入と合法的な工作による、外交的、政治的、経済的影響力とを融合させることによる、二つの概念の突然変異を選んだのだ。彼等はこれを“スマート・パワー”と呼んでいる。それを最初に適用したのがホンジュラス・クーデターであり、今日の時点で、それは完璧に機能している。

上院指名承認公聴会において、ヒラリー・クリントン国務長官は、「外交、経済、軍、政治、法律、そして文化の上で、我々が使用可能なあらゆる種類の手段を、それぞれの状況に応じて、正しい手段、あるいは、手段の組み合わせを選ぶ“スマート・パワー”と呼ばれているものを活用すべきです。“スマート・パワー”を使えば、外交が、わが国外交政策の前衛となるでしょう。」と述べた。クリントンは、後に「最も賢明な方法は、最初にまず説得をすることです。」と語って、この概念を補強した。

 

 

 

この概念の一体どこが気が利いているのだろう? それは、これが分類が困難で、見破ることが困難で、分析することが困難な政治形態であることなのだ。ホンジュラスがその好例だ。オバマ大統領は、セラヤ大統領に対するクーデターを非難する一方、アメリカの在テグシガルパ大使は、クーデター指導部と定期的に会合をしていた。過去四カ月間、国務長官クリントンは、ワシントンは、ホンジュラスの状況に“影響をあたえる”ことは望まず ? ホンジュラス人は、自分たちの危機を、外部からの介入なしに解決する必要があると、何度も何度も繰り返した。しかし、コスタリカのオスカル・アリアス大統領が“率いる”和解を押しつけたのはワシントンであり、クーデター政権や、その支援者を、USAIDによって資金援助を続けたのはワシントンであり、国民の弾圧に関与し、残虐な政権を押しつけたホンジュラス軍を、ソトカノ米軍基地への大規模駐留を通して、支配し、命令していたのはワシントンなのだ。

 

 

 

ワシントンのロビイストが、サン・ホセ“合意”も作りあげ、最後に、ホンジュラスに合意を受け入れるよう“説得した”のは国務省とホワイト・ハウス高官の代表団だ。ホンジュラス・クーデターに、資金援助、立案、政治、軍事支援で、アメリカが常時介入し続けたにもかかわらず、ワシントンの“スマート・パワー”手法は世論を歪めることに成功し、オバマ政権を“多国間協調主義”の大勝利者のごとく見せている。

 

 

 

“スマート・パワー”が実現したのは、ワシントンの覇権主義を、多国間協調主義のように見せかけることだ。最初から、ワシントンは、その狙いを押しつけていたのだ。7月1日、国務省のスポークスマンたちは、ある記者会見で ホンジュラス・クーデターを事前に知っていたことを認めた。二人の国務省高官、トーマス・シャノンと、ジェームズ・スタインバーグが、クーデターの前の週にホンジュラスにいて、クーデターに関与した民間人と軍の集団と会合していたことも、彼等は認めている。目的は“クーデターを妨げる”ことだったと彼等は語っているが、それなら、アメリカ軍当局者の目の前で、ソトカノ軍事基地から飛び立って、セラヤ大統領を強制出国させた飛行機のことを一体どのように説明できるのだろう?

 

 

 

ワシントンとホンジュラス・クーデター、そして続いて起きた“スマート・パワー”を使った実験の成功に関しては、事実が真実を実証してくれている。ワシントンは、クーデターが起きる前から、それを知りつつ、クーデターに関与する連中を、USAID(米国国際開発庁)とNED(全米民主主義基金)を経由して資金を援助し続けた。ペンタゴンは、セラヤ大統領の違法な強制出国を支援し、オバマ政権は、後に、絶滅の瀬戸際にあった米州機構(米州機構)を、アメリカの狙いを押しつけるための見せかけに利用した。国務省の談話は、常にクーデター指導部を合法化し、「双方が…政治的紛争を、対話によって平和的に解決するよう」呼びかけていた。一体いつから、違法な権力簒奪者が、対話ができる“正統な相手”と見なされるようになったのだろう? 暴力で力を奪いとるという犯罪行為をした人物が、対話に関心など持つわけがないのは明白だろう。このワシントンの論理に基づくならば、世界は、オバマ政権に、「アルカイダとの政治紛争を、戦争ではなく、対話による平和的な方法で、解決するよう」呼びかけるべきだ。

 

 

 

オバマ/クリントンの“スマート・パワー”は、クーデター最初の日々に、米州機構加盟諸国に、受け入れる ホンジュラスのクーデター政権に“行動を検討する”余裕を与えるため72時間の待ち時間を与えるよう説得して、最初の勝利を実現した。間もなく、クリントン国務長官は、アリアスが率いる調停工作を押しつけたが、その頃には、ワシントンがお株を奪っており、アメリカは単に介入し、支配しただけのことだ。セラヤ大統領がワシントンを訪問し、クリントンと会見した時に、誰が主導権を握っているのかは明らかだった。そして、連中は最後まで、それを演じ続けて、たとえセラヤが大統領に戻っても、統治するための居場所も時間もなくなるようにするため、最後のぎりぎりの瞬間まで、ひたすら時間稼ぎをしたわけだ。

 

 

 

国民は無視され、締め出された。弾圧、暴力、迫害、人権侵害、夜間外出禁止令、放送局の閉鎖、拷問や政治的暗殺の日々は忘れ去られた。トーマス・シャノン国務次官補が述べた通り、最終“合意”へのミチェレッティとセラヤの署名が実現して、ホンジュラスの状況が“暴力抜きで”解決され、実に一安心。

 

 

 

去る10月30日の“合意”署名後、クーデター政権に対し、圧力戦術として課されていた僅かな規制を、ワシントンは即座に撤廃した。今や、連中はビザを得て、北に出かけることも可能であり、そもそも、差し止められてなどいなかった、USAIDからの何百万ドルについて、懸念する必要はない。ソトカノに駐留するアメリカ軍は、その活動全てを再開することが可能だ。いや待て、そもそも停止などしていなかったのだ。ペンタゴン南方軍(SOUTHCOM)は、クーデター後、間もなく“ホンジュラス駐留のわが軍は、全く異常なく、ホンジュラスのカウンターパートとの通常活動に従事していることを認めた。」またワシントンは早くも、11月29日大統領選挙の選挙監視団派遣を準備中で、選挙監視団は既にその途上にある。

 

 

 

クーデター政権と対レジスタンス策を企んだ冷戦の拷問人ビリー・ホヤや、クーデター政権が国民を“支配”するのを助けるために送りこまれたコロンビアの準軍事組織のことなど忘れるのだ。セラヤを建物から追い出すための企みで、ブラジル大使館内部にいた連中を苦しめるために使われた音響兵器LRADについて、もはや懸念する必要はない。何も起きなかったのだ。トーマス・シャノンの言う通り「偉大な二人の人物が、この歴史的な合意達したことを我々は祝する」。そしてクリントン国務長官は「この合意はホンジュラス人にとっての多大な偉業です。」と論評した。ちょっと待った。それは誰にとってだろう?

 

 

 

結局、ワシントンが押しつけた、慶賀されている“合意”なるものは、クーデターを正当化するため、セラヤの辞表を変造したのと同じ議会、そして、ミチェレッティを違法に大統領の地位につけるのを支持したのと同じ議会、ホンジュラス議会に、セラヤを、大統領に復職させたいかどうかを決めるよう求めるものに過ぎない。ホンジュラス最高裁による法的見解を受けて、ようやく、将来、可能性がある憲法改革に対して、法的拘束力を持たない投票を呼びかけたセラヤは反逆者だと言ったその議会、そして彼を暴力的な捕獲を命じたのと同じ議会に。たとえ議会の答えが肯定的だったとしても、セラヤは、何ら権力を持つまい。“合意”は、彼の内閣のメンバーが、クーデターに関与した政党によって指名されるべきことを規定しており、軍隊はクーデターを支持した最高裁の支配下にあり、セラヤは、憲法改編について、法的拘束力を持たない投票を行おうとしたという“反逆”の“罪”とされるもののかどで、裁判にかけられる可能性がある。

 

 

 

“合意”によると、真実委員会は、その実施を監督することになっている今日、元チリ大統領で筋金入りのワシントンの盟友リカルド・ラゴスが、ホンジュラス真実委員会の指導者として発表された。ラゴスは、ワシントンの中南米政策に影響力を持った右翼シンクタンク、インターアメリカン・ダイアローグの理事会の共同理事だ。ラゴスは中南米における、アメリカ式“デモクラシー推進”のためのチリ版全米民主主義基金(NED)である、ラ・フンダシオン・デモクラシア・イ・デサロリョの立ち上げも担当していた。2006年に大統領の座を去ると、ラゴスは、世界中で“デモクラシーを推進する”ことに専心する、元大統領達だけのクラブ、マドリッド・クラブの理事長に任命された。左傾した中南米政府の不安定化に現在関与している、この“クラブ”の主な顔ぶれには、ホルヘ・キロガとゴンサロ・サンチェス・デ・ロサダ(元ボリビア大統領)、フェリペ・ゴンザレス(元スペイン首相)、ヴァーツラフ・ハヴェル(元チェコ共和国大統領)や、ホセ・マリア・アスナール(元スペイン首相)等がいる。

 

 

 

結局、“スマート・パワー”は、ホンジュラスにおける“危機の終わり”を現在慶賀している程度の連中をだますには十分に気の利いたしろものだった。しかし中南米の大多数の人々にとって、ホンジュラスにおける、オバマの“スマート・パワー”の勝利は、我々を包囲しつつある、暗く危険な影だ。ALBA(米州ボリバル代替構想)のような仕組みが、北の支配的大国からの、中南米のある程度の独立を実現し始めたばかりだった。歴史上初めて、中南米の国家と人々は、集団で、しっかりと、品位と、主権を持って、立ち上がり、自分たちの未来建設を始めた。するとそこに、オバマが“スマート・パワー”を携えて登場し、ALBAはホンジュラス・クーデターに見舞われ、中南米の統合は、コロンビアにおけるアメリカ軍の拡張によって弱体化され、ワシントンの裏庭における、独立と主権の為の戦いは、意地の悪そうな微笑みと、不誠実な握手によって、押しつぶされた。

 

 

 

ワシントンに屈伏することで、ホンジュラスの危機“は解決した”。皮肉なことに、この危機は、そもそもアメリカが扇動したものだ。パラグアイ、ニカラグア、エクアドルとベネズエラでの同様なクーデターが噂されており、これらの国々では、転覆工作、対テロ活動や不安定化が、日々高まっている。権力者同士では“合意”に達したとは言え、ホンジュラス国民はレジスタンスを継続している。彼らの断固たる反抗と、正義への傾倒は、品格の象徴だ。ソフトであれ、ハードであれ、スマートであれ、帝国主義者による侵略を打倒する唯一の方法は、人々の団結と統合だ。

 

 

 

「非合法でならすぐやれる。違憲な方法ではそれより時間がかかる。」 ヘンリー・キッシンジャー

 

 

 

記事原文のurl:www.chavezcode.com/2009/11/honduras-victory-for-smart-power.html

 

 

 

----------

 

ホンジュラス・クーデターは他山の石。

 

普天間・アフガニスタン「支援」が、"スマート・パワー"の勝利となる日も近いだろう。

 

帝国支配のために、金をむしられ、土地を奪われ、そのあげく、アフガニスタンへの民生支援という名目で、最新植民地支配用の金をまきあげられる。

 

沖縄の不沈空母状態、ホンジュラスのソトカノ米軍基地などとはまるで桁違い。

 

ねこだましで、猟奇殺人事件報道ばかりの宗主国大本営広報部マスコミ、いずれにも全く触れない。基地害ともいえる、米軍兵士による読谷村ひき逃げ死亡事件の話はとばし、市橋ばかり。地位協定なる不平等条約の方が猟奇事件より大問題だろうに。

 

政権の隷属の度合い、絞りとられる金と基地の巨大さに比例するだろう。

 

「日米軍事同盟」が一番大切と喧伝し、「安全保障という名の、集団先制攻撃を目指す条約」には決して触れない「平成の無血革命」なるもの、実態はまもなくわかる。

 

64年も隷属していたものが、政権が変わったからとて、急に独立できるわけはない。

 

独立実現は、そう思い立ってから、気の遠くなる時間がかかるだろう。

 

それ以前に、その隷属状態を規定している根源の問題に蓋をしたままで、そもそも、思い立てるわけがない。独立の方向に動き始められるわけがない。

 

一般に、経済・政治・軍事等の問題は、その存在・性質を正しく把握すれば、解決できることが多いのではあるまいか。逆に、存在・性質の正しい把握なしには、いかなる問題とて、解決は不可能だろう。

 

 

 

「政権交代」以来、形容詞democraticを「民主的」と書くのがためらわれるようになった。それを言うなら、大昔から、アメリカの民主党が立派な見本としてあるが。

 

公明選挙という言葉も、あの政党が出て以来、信じなくなった。

 

小選挙区という小沢氏が導入した歪んだ制度でもぎりとった虚構の政権。

 

森田実氏がしばしば書いておられるように、あの党内「民主的」の対極にあるようだ。

 

政権党が「民主的」の対極にある国は、国自体、必然的に「民主的」の対極となるだろう。ヒトラーのドイツ。スターリンのロシア。

 

戦争は平和なり。無知は力なり。自由は隷従なり。ファシズムは民主主義なり。

2009年11月 6日 (金)

イラクにおけるアメリカの“成功”の背後にある現実

wsws.org

2009年10月27日

日曜日、バグダッド中心部の司法省と地方政府本部をバラバラにし、140人以上の人々が亡くなり、少なくとも520人が負傷した大規模爆発は、6年半のアメリカ占領で、イラクの中に作り出された宗派的、民族的、政治的対立についての忌まわしい裏付けだ。

週末の爆撃は、ここ二ヶ月で二度目の政府ビルへの大規模攻撃だ。8月19日、財務省と外務省の外で、自動車爆弾が爆発し、102人が死亡し、600人以上が負傷した。いずれの場合も、爆破実行犯は爆発物を搭載した車両で一連の検問所を通り抜けてしまっている。

政府職員や治安部隊に対し、イラクでは、毎日平均して、10から15件の爆撃、自爆攻撃、あるいは武装反抗勢力の攻撃が起きている。場合によって、爆撃は、特定民族または特定宗派の一般市民を無差別に狙うこともある。日曜日の爆撃ほど目を見はらせられるものではないと、マスコミにはほとんど報道されない。

いつでも、機会さえあれば、武装反抗勢力は、未だにイラクに駐留している120,000人のアメリカ兵を攻撃する。今ではアメリカ軍は都心から離れた場所の厳重に警備された基地から、イラクを占領している。

ヌリ・アル・マリキ首相の傀儡政権は、サダム・フセインの旧バース党政権支持者が人目を引く爆撃の犯人だと主張している。この可能性は排除できない。主にスンナ派アラブ人が占めていたバース党支配体制のかなりの層が、彼等がかつて保持していた資産、地位と特権のほとんど全てを、アメリカ侵略に協力したシーア派とクルド諸派に奪われてしまったのだ。

様々な政治的、宗教的信条を持った多数のイラク人は、アメリカ占領が生み出した政権への攻撃に志願するに足る十分な不満を抱いている。2003年以来、アメリカ軍によって直接殺害された何十万人もの人々を含め、100万人以上の人々が命を失った。他の何万人もの人々も、アメリカとイラク政府の捕虜収容所での、恣意的な勾留や、恐るべき虐待に苦しんできた。400万人以上の人々が自宅あるいは国を追われてしまった。イラクの占領に対する憎悪は和らいでなどいない。

政府省庁に対する攻撃は、憲法上、2010年1月31日までに行われなければならない選挙が近づくなか、イラク内の占領支持各派内部における確執が、益々激化するのに同期して起きた。選挙と同時に、彼の政府とアメリカの間で合意された、駐留米軍の地位に関する協定に対する国民投票を行うという公約を破棄するよう、ワシントンは、マリキに対して大変な圧力をかけている。アメリカの評論家達は、そのような国民投票は、アメリカ軍の即時撤退を希望しているイラク人の先導によって、過半数の票が協定に反対、という結果をもたらす可能性が高いことをあからさまに認めている。

マリキのダーワ党は、おそらくオバマ政権による舞台裏の激励を受け、イランとつながるイラク・イスラーム最高評議会(ISCI)に牛耳られているシーア派原理主義者連合を離脱して、選挙でISCIと争うことになろう。同様に原理主義的なマリキによって、“宗派的”で“反民主的”だとして、冷笑的に悪魔化されているISCI支配層は、もしもダーワの新たな“民族主義的”連盟が、圧倒的過半数で勝利すれば、イラク国家において、現在彼等が掌握している、多数の儲かる地位を失う危機に直面する。あるいは、もしも、ISCIを脇に追いやるという、彼の狙いが失敗すれば、マリキが大統領府から追放されるかも知れない。

マリキの政府は、アメリカ侵略への積極的支持と引き換えに、石油が豊富なキルクーク市や他の北部イラク地域の支配力を掌握するという、2003年に彼等とした約束の履行を拒否して、クルド民族主義者勢力との間に、緊張したこう着状態を生み出した。クルド自治区が所有を主張している北部地域での、アラブ人やトルクメン人党派による猛反発に直面して、いかなる選挙もキルクークでの投票を含むべきだとクルド人は主張している。今年、政府軍とクルド軍部隊がすんでのところで砲火を交わしそうな場面も何度かあった。

スンナ派とシーア派エリート間で、ライバルのシーア派集団間で、またクルド地域とバグダッド政府間で、権力と特権のある地位がどう分けられるかを巡る緊張の程度が、余りに激しい為、選挙をいかにして行うべきかに関し、イラク議会では、いかなる合意も得られていない。いかなる選挙キャンペーンも、ほぼ確実に、かなりの暴力行為といかさまの舞台となり、あからさまな内戦をひき起こしかねない。

状況は、ブッシュ政権の軍“増派”は成功で、イラクは今や安定化への道を進んでいるというアメリカ支配集団による再三の主張とは全く対照的だ。蔓延する自己欺まんと、意図的なごまかしを如実に示す例が、日曜日、ニューヨーク・タイムズのコラムニストで、イラク侵略の擁護者、トーマス・フリードマンの記事だ。

フリードマンは、1月の選挙が無事に進み「本当の多宗派デモクラシー」に尽力する政府を生み出せて、「犠牲は極めて大きかったにせよ、イラクがきちんとした、戦争終結を実現できたのを手助けしたという功績を認められて」バラク・オバマが、2012年にバグダッドに飛んでゆければ良いのだが」という夢想にふけっている。

現実はどうだろう? 金次第で動く、腐敗した民族・宗派勢力への賄賂を含め、分割して統治するという戦術が、占領中終始一貫して、イラクのレジスタンスを崩壊させ、血の海に溺れさせる手法であり続けている。

2003年、ブッシュ政権は、現地協力者を得るため、北部のクルド自治小国家を統合し、シーア派原理主義者を、バグダッド政府の支配層に昇進させた。増派の間、スンナ派武装反抗勢力の指揮者たちは、アメリカ軍への攻撃を止め、抵抗を続ける連中に関して情報を提供するべく支払われた何千万ドルという金で、イラクの様々な地域の支配権を引き渡した。シーア派地域では、聖職者ムクタダ・アル-サドルのマフディ軍団の指導者達も、買収されることに同意し、武装反抗勢力分子の撲滅に協力した。

10月26日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、増派の性格を、あからさまにこう記述した。「イラクの個々の地区や、村に、配属された通常のアメリカ軍が、最終的に、現地武装反抗勢力指導者、資金供給者や戦士に関する詳細情報を作り上げることに成功した。この情報は、海軍のシールズ部隊や、陸軍のデルタ・フォースの様な、何百人ものシーア派とスンナ派過激派を消してきた特殊部隊に渡された。」

イラクにおけるアメリカ暗殺部隊の作戦は、アフガニスタンで、“増派”や同様な大量殺害の課題を監督すべくオバマが任命した、スタンリー・マクリスタル大将によって指揮されていた。

自らの物質的利益と利益のため、イラク国民に対する大虐殺を幇助したブルジョア分子から“多宗派デモクラシー”など出現するわけがない。何かあるとしても、彼等が民族的・宗派的分割を推進すれば、国民が直面する、社会的悪夢が悪化するばかりだろう。

かつて比較的進んだ社会だったイラクは、崩壊し、疲弊した。労働人口の少なくとも50パーセントは、正規雇用されていない。国民のわずか半数しか安全な飲み水が使えない。バグダッドや他の都市の貧しい地域では、街路に生下水が流れ、電気も一日にかろうじて10時間しか使えないところで、人々が暮らしている。長年の戦争のおかげで、国連によると、イラク人の60パーセントが“大規模な修繕”が必要な住宅に暮らしている。

アメリカ帝国主義もその現地協力者も、誰一人として、そのほんのわずかたりとも是正する手段も意図も持たない以上、こうした諸条件に対する政治的爆発は一触即発状態だ。煽動的で偽りの約束しかされるはずのない選挙で、この事実が浮き彫りにされよう。

一方、マリキは、先週、イラクの莫大な埋蔵石油を、略奪と利益用に、対外国企業売却にささげるのが主要目的である“投資家会議”に参加すべく、ワシントンに出張した。

イラクにおける根本的な緊張と不安定さ、アフガニスタンで展開しつつある大惨事を考えれば、週末の爆発が、選挙を延期したり、あるいは、完全に中止したりすることを正当化する口実に使える“治安危機”を作り出すための、イラク内の最も親米的な分子による行動の一部であるという可能性を排除できるような真面目な評者はいるまい。

James Cogan

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/oct2009/pers-o27.shtml

----------

この記事で触れられている、すさまじいアメリカのイラク植民地化作戦については、下記翻訳記事を参照ください。

アメリカの対イラク戦争-文明の破壊

上から目線=アメリカ目線で、おかしなプロパガンダ文章を書く某社主筆論説を目にして、朝から実に不快だった。(アメリカ対日広報新聞と名前を変えて欲しいものだ。)

「らら」という10代の方が、「アフガニスタン記事検索をしたところ、このブログに辿りつき、アフガニスタン侵略から8年を読んで驚いた」という、ありがたいコメントを書いてくださって、気をとりなおした。

Googleで試して見たところ、「アフガニスタン」といれて検索すると、最初のページに、このブログが出てきたのには、びっくり。(別の有名検索エンジンでは、何ページたどっても登場しないようだ。)

今回の記事を読むと、イラク国民には、駐留米軍の地位に関する協定に関して、賛否を投じる国民投票をする可能性があることがわかる。

イラク、国破れて、アメリカ軍駐留に賛否を投じる国民投票の可能性あり

一方、この属国日本、駐留米軍の地位に関する協定に関し、賛否を投じる国民投票について触れられることは皆無

その一方で、憲法破壊「改正」という歪曲語法のための国民投票への準備は着々と進んでいる。安保に賛否を投じる国民投票を行い、万一、独立したいという声が多かったら、安保を廃棄し、しかるべく、憲法を改変するのが、まっとうな順序だろう。安保で軍事同盟にがんじがらめになった属国が、集団安全保障、つまり、集団先制攻撃を是認すれば、宗主国の傭兵として、いいように使われる結果にしかならないことは、いかなB層の方にもわかりそうな道理。今の憲法があってさえ、暗証番号不要のATMの様に、無限に金を搾り取られ、アメリカ帝国の世界制覇の為の基地による公害でなやまされているではないか。第一次イラク戦争のときに、膨大な戦争資金をアメリカに差し出したのは、誰あろう、小沢幹事長。その人物こそが今実権を握っている。普通、人の性格は変わらないことからすれば、基地・安保交渉の行方、考えるまでもないだろう。

イラクと日本、一体どちらが、より真正の属国なのか、考えれば考えるほどわからなくなる。

マスコミは嫌いだとは言え、NHKの国会予算委員会討論は別。100%が作りものというわけではないので、鋭い質疑もたまにはあるからだ。絶滅危惧種政党による、基地問題や、派遣問題を真摯に取り上げる質問には感心した。それに対する、「木で鼻をくくったような」外相答弁と態度、彼が日本の庶民の側にあるのか、アメリカ支配層の側にあるのか、はっきりと示してくれる良いみものだった。

その点、みんなの党、同じエネルギーを基地問題にかけろと言いたい。問題にすべきは、天下り官僚より、アメリカ軍基地・ミサイル開発・おもいやり恫喝予算だろうに。

政党得票数と質問の鋭さ、実にきれいな反比例関係があるのが不思議。

なお概要は、下記blogがしっかりとまとめておられる。

瀬戸智子の枕草子 予算委員会を見てツラツラと その2 追記あり

テレビも新聞も、結婚志望の男性から金をだまし取っては、催眠導入剤を使って死亡させてきたとおぼしき女性、または英会話を教えにきていた女性を殺害しながら、調べにきた警察の隙をついて、無事逃げおおせている男の整形話ばかり。なぜ最初に迂闊にも取り逃がしたかを追求することはない。ゴミ記事ばかりが、電波に、紙に、満ちている。

同じエネルギーで、安保条約、沖縄基地問題を扱う媒体があったら、貧しい身ながら、それなり、見合った費用は払いたいと思っている。

昔はホテルに泊まると、100円玉を入れると放送が見られるテレビがおいてあったものだ。今は1000円カードを購入する方式にだが。もちろん普通番組ではなく、ポルノ。

家庭用テレビも、いっそ100円玉を入れると放送が見られる仕組みに切り換えたらどうだろう。売り上げは全て政府に入るようにする。タバコの税金をあげるどころではない膨大な収入が、政府にころがりこむだろう。

しかし、そうなれば、あまりに愚劣な番組、たとえB層の方とて、100円玉を入れて見るようなことはなくなるかも知れない。その場合は、愚劣なバラエティ番組を流すより、ポルノ放送を全チャンネルで終日流すのが良いかも知れない。

そうなると、テレビを見る家庭は、なくなるかも知れない。しかし、独身男性の中には、一部、狂喜乱舞する方もおられるかも知れない。タバコのようなもの。

催眠導入剤殺人や殺人犯の整形しか扱わない、アメリカ広報アヘン放送局の「くそ蠅」バラエティ番組よりは、ポルノの方がまだ罪が少ないように思える。

少なくとも、ポルノを作っている方々、あまり大きな声で人に言えない仕事で暮らしていることは自覚しておられるだろう。

一方、「くそ蠅」バラエティ番組、スポンサーも、テレビ局社員も、タレントも、大きな声で人に言える、立派な仕事勝手に思い込んでいるだろう。

大半のテレビ・新聞・出版社の仕事は、昔時々やってきた、ゴム紐のように不要不急の品を主婦に押しつけては金をせびる「押し売り」以下の下劣な職業だと思っている庶民、ごく少数だろう。

考えてみれば、何のことはない、BSチャンネルの大半は「電波押し売り」。台所用具、清掃器具、やせられる器具、やせられる飲料等々...。

タレントというより、電波押し売り、電波香具師。

あんなものを見たくて、BSアンテナを付け変えたつもりなどないのだ。(なお、フーテンの寅さんではないが、電波香具師ならぬ、本物の香具師の方々の名演技は子供の頃からあこがれている。縁日のバナナ売りは、すごかった!)

地上デジタル放送に切り替わると、拙宅ではUHFアンテナを立てないと地上デジ放送が見えない。しかしアメリカ広報アヘン放送を見るため、屋根の上にアンテナを立てるのは、あたかも麻薬患者がアヘン用キセルを購入するのと同じような気がして、電気屋さんにたのめずにいる。見えなくなれば、むしろ脱アヘン効果。

人さまの屋根を見上げて、UHFアンテナがあると、テレビ・アヘン患者のお宅だと思っていることを、ここに告白しておこう。

そして、NHK BS(もちろん野球は除き)を、かなり長時間見ていることも。

テレビは現代のアヘン」というのは、ポール・クレーグ・ロバーツ氏の言葉。

愚劣なバラエティ番組にでている連中を「くそ蠅」と評したのは辺見庸氏。

2009年11月 5日 (木)

ペシャワール爆発の背後にブラックウオーター

Press TV 2009年10月31日 土曜日  01:01:58 GMT


Tarapour20091031042505390
ペシャワールのマーケットでの、自動車爆弾の破壊的な爆発の翌日、破壊されたビルの残骸周辺に集まったパキスタン国民

水曜日、100人以上を殺害したペシャワールでの爆弾爆発は、アメリカの民間警備会社ブラックウオーターのせいだと、パキスタンの親タリバン過激派が主張。

テフリク・イ・タリバンのトップ、ハキムラ・メスードは、ブラックウオーターと幾つかのパキスタン機関が、ペシャワルの混雑した市場での爆弾爆破に関与していたと語った。

最新の報道によると、死亡者数は106人にのぼり、150人以上が負傷したが、救助隊員によると、更に多くの人々が、まだ瓦礫の下に埋もれている可能性がある。死者の大半は、女性と子供だ。

パキスタン軍は、過激派は南ワジリスタン部族地域での敗北に直面している今、一般人を標的にしているのだと語った。

メスードは、その主張を否定し、アメリカの警備会社ブラックウオーターが、幾つかの現地機関と協力して、この攻撃に関与していたのだと語った。

日曜日、テフリク・イ・タリバンの約200人の支持者が、デラ・イスマイル・カーンで、反米デモを行い、ブラックウオーターを非難し、反米スローガンを繰り返した。

ジャマティ・イ・イスラミの地方支部長サラジ・ウル・ハクは、'アメリカの同意の下で'遂行されている、過激派に対するパキスタンの工作は、敵の目的を叶えることになるだけなので、止められるべきだと語った。

「ファイサル・モスクで遂行されたものであれ、カイバル・バザールであれ、全ての爆発は、ブラックウオーターによって実行されたことは確実だ」と彼は語った。

約1,000人の不屈のウズベク人戦士、若干のアラブ人アルカイダとつながったメンバーを含む、10,000人と推定される親タリバン派過激派と、約28,000人の兵士が戦っている。

南ワジリスタンで、過激派が圧力をかけられるにつれ、更なる暴力行為の可能性があると、専門家達は警告している。

FTP/AKM

記事原文のurl:www.presstv.ir/detail.aspx?id=110059&ionid=351020401

---------

Press TVは、イラン国営テレビ。

大惨事を起こして、自国に都合のよい方向にもってゆくのは、わが宗主国のお家芸。

体制側による、テロ行為関連翻訳記事:

大衆に国家を頼らせるべく、無辜の民間人、女性、子供を攻撃せよ「グラディオ作戦」;2005年2月18日l

簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)

2009年11月 3日 (火)

アメリカの無人機攻撃、弱いものいじめに対し、パキスタン人、クリントンを批判

wsws.org

Keith Jones

2009年11月2日

先週、三日間のパキスタン訪問中、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官は、パキスタン政府と軍に、アフガニスタンを支配下におき、石油豊富な中央アジアに、戦略的足掛かりを確保するためのアメリカの動きを更に支援すべく、努力するよう要求した。

彼女は、特に、イスラマバードに、アフガニスタンと国境を接する、パシュトゥーン語圏の部族管区、南ワジリスタンに、タリバンと手を組んでいる民兵達に対する現在の軍事攻勢を拡大するよう促した。

ワシントンからの強力な圧力の下、パキスタンは、10月17日以来、30,000人の兵士、攻撃型ヘリコプターとF-16ジェット機を動員し、三方面から南ワジリスタン攻撃をしかけている。

援助機関によると、この戦闘は、更に200,000人の人々を強制退去させたが、その大半は貧しい村人達だ。パキスタン軍は、無差別の砲撃と爆撃の活用で悪名が高く、タリバンから“解放”するため、村ごとなぎ倒すことも稀ではない。

パキスタン人民党が率いる連立政府の指導者連中と、野党指導者のナワズ・シャリフは、公然と、クリントンと、オバマ政権と、ワシントンを称賛した。シャー・マフムード・クレーシ外務大臣は、国務長官を“パキスタンの友人”と呼び、彼女の訪問は、パキスタン国民に連帯するというアメリカの“明瞭なメッセージ”だと言った。

しかし、クリントンは、パキスタンに対するアメリカの対応、つまり一連の軍部独裁への支持、弱い者いじめ、パキスタンの主権に対する再三にわたる侵害、アフガニスタン戦争での勝利追求のため、パキスタンを内戦へと進んで押しやる態度等、を巡る、広範な国民の怒りに遭遇したのだ。

クリントンが聴衆からの質問を受けた、金曜日のあるGEOテレビ番組で、パキスタンで、プレデター無人機攻撃をしかけるというアメリカの行動を巡り、彼女は二度も食ってかかられた。オバマが大統領に就任して以来、ありふれたものとなったこうした攻撃は、パキスタン主権の甚だしい侵犯だ。この攻撃は、民間人の命を多数奪う結果となっていることが多く、違法な暗殺計画だ。

あるパキスタン人女性は、クリントンに、無人機攻撃は“裁判なしの処刑”にあたると言った。別の人物は、アメリカの無人機攻撃と、クリントンがパキスタンに到着した日のペシャワールの市場での爆発と、どこが違うのですかと尋ね、テロを定義するよう、クリントンに食ってかかった。「無人機攻撃で人々を殺害するのは[テロ]ですか?」と彼女は尋ねた。

あるGEOテレビのインタビューは、クリントンに、現在、北西パキスタンで荒れ狂っている戦いについて「これは我々の戦争ではありません。あなたの戦争です。」と言った。「御国では9/11が一度起きました。パキスタンでは9/11が毎日起きています。」と彼女が付け加えると、観客は大喝采した。

その日早く、クリントンが会見したパキスタンの連邦直轄部族地域(FATA)から来た多数の人々の一人は彼女にこう言った。「この地域におけるアメリカのプレゼンスは、ここの地域住民の失望といらだちをひき起こすので、平和に役立ちません。」更に彼は言い足した。「お許し願いたいが、我々は、あなたの戦争を戦っているのだと申しあげたい。」

パキスタンにおける、ブラックウオーター/Xeサービシズの武装社員駐留の増加と、アメリカがイスラマバードに現在建設中の巨大な大使館総合施設について、パキスタン人はクリントンに再三質問した。この総合施設は、バグダッドに建てたものに次ぎ、二番目に巨大といわれている。

木曜日、ラホール大学で、特別に選ばれたパキスタン中の大学生の聴衆と会見した際に、クリントンは、何度も守勢に立たされた。ニューヨーク・タイムズによると、「彼等は次々と並び、パキスタンとアメリカ合州国の間の機能不全な国家関係と彼等が見ていることについて、クリントン氏を質問責めにした… 彼女は学生から熱意のかける拍手を貰ったが… 彼女がアメリカの政策を擁護した際、一部の学生は不満の声をあげた。」

タイムズは、更にクリントンが「あらゆる機会に軍を称賛した。」と報じている。

クリントンは、これまでパキスタンを訪問した中で最も位の高いオバマ政権幹部だ。訪問の表向きの目的は、米-パキスタン関係における“信頼性の不足”を克服すべく、政府、野党、軍部や企業幹部達だけでなく、一般のパキスタン国民に向かって話し、会うことだ。広範な層のパキスタン人に“手を差し伸べ”ながらも、クリントンは、現政権と、一般パキスタン国民をがっかりさせて、独裁者ペルベス・ムシャラフ大将を大事にした、ジョージ・W・ブッシュ政権との間には、一定の距離を置こうとした。

“魅力攻勢”の一環として、クリントンは、“過ち”や見落としについて、わずかばかり、形だけ譲歩し、アメリカは、パキスタン国民の利害を念頭においているのだと再三主張した。また彼女は、もしパキスタンが、アフガニスタン平定と核不拡散というワシントンの狙いを満たせば、パキスタンに対するアメリカの経済支援として、今後五年間にわたり、年間15億ドル提供するという、最近のアメリカ法、2009年パキスタン協力強化法案、別名ケリー-ルガー法の意図と意味の歪曲と彼女が呼ぶものを、公然と非難した。

国務長官はこの法律は、いかなる意味でもパキスタン内政への介入ではないと否定した。

真実は、パキスタン-アメリカ“パートナーシップ”なるものは、何十年にもわたって、パキスタン国民に対する謀略のままであり、ワシントンが、パキスタン国家、とりわけその軍を、中東、中央および南アジアにおけるアメリカの帝国主義的権益の要として利用してきたものなのだ。しかも欲得ずくのパキスタン・ブルジョアジーは、喜んでサービスを提供してきた。もちろん、あらゆる傭兵同様、彼等はその価格をめぐって駆け引きし、大君主のごう慢さと、その熾烈なやり方には腹をたてている。

パキスタン人エリートは、アフガニスタンを支配下に置こうとする、アメリカの動きが、不安定なパキスタン連邦国家を動揺させ、国民と支配階級の間で既に大きく開いている溝を更に拡げ、インドとの対抗上、パキスタンの立場を損なっているという、ありとあらゆる類の憤懣と懸念を持っている。最後の不安は、インド-米核協定で象徴されるように、興隆しつつある中国に対する戦略的平衡力としてのインドに、アメリカが言い寄っていることによって、度合いを増している。

訪問最初の二日間のほとんどを、クリントンは、言い分を聞く振りをして、パキスタン人を惹きつけようとしていた。とはいえ、大衆の敵意の強さが、彼女を怒らせたようだ。木曜日遅く、彼女はパキスタン支配者層を酷評し、記者団に向かってこう語った。「貴国政府の誰も[アルカイダ指導部の]居場所を知らず、本当にそうしたいのであれば、なぜ連中をやっつけることができないのか、私には到底信じられません。」

翌日、彼女は現在の対ゲリラ攻勢の拡大を公然と促した。「最初のスワットでの作戦と、今度の南ワジリスタンの作戦が終わったが」パキスタン人専門職女性との対話集会で「パキスタン軍は、他のテロリスト集団を根絶するため、継続しなければならない。さもなくば連中は戻ってきて、パキスタンを脅かしかねないと私は思う。」とクリントンは語った。

クリントンは、幾つか経済支援を発表はしたものの、パキスタン人エリートによる以前からの二大要求は拒否した。アメリカが、パキスタンの最も重要な輸出品、繊維製品に対する関税を廃止することと、インドに、カシミールに関し、パキスタンに譲歩するよう促すことだ。

大統領選挙キャンペーンの間、オバマは、パキスタンが、アフガニスタン戦争で、アメリカの命令を遂行するのと引き換えに、アメリカは、パキスタンが、カシミールを巡り、インドと和解を達成するのを支援するという、あり得る交換条件を示唆していた。ところが、インドが、インド-パキスタン紛争仲介への、アメリカのいかなる関与にも強烈な反対を、何度も繰り返すと、オバマ政権は素早く引き下がった。

クリントンは、インド-パキスタン紛争について、「明らかに、我々は解決策を指示する立場にない」と語った。それを最後にオバマ政権の植民地全権大使は中東へと旅立った。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/nov2009/paki-n02.shtml

----------

「オバマ大統領に、広島にきてもらいたい」という文章を良くみかける。

実現したら、パキスタン国民のように、真っ向から切り込めるのだろうか?

始球式にわざわざ大戦犯を招待する属国では、宗主国のお偉方の話を拝聴し、感激する人々だけ呼ばれるのだろう。

そう、オバマ大統領との会談、普天間か嘉手納で開催すれば良かろう。嘉手納道の駅で。

パキスタンへの経済支援法、アメリカのアフパク戦争への協力強化に対する報奨金なのは、誰にでもわかる道理。「意図と意味の歪曲」などではあるまい。

属国日本、アフガニスタン警察給料を払い、更に給油中止に見合う戦争貢献もする。国会討論で、町村議員、「給油を継続しろ」と迫っていた。

今度はタバコ税を引き上げるという。その一方で、繰り返すが、アメリカに献上している基地関係、ミサイル開発関係に向けた膨大な金の支払いを止めるとは、属国政権、永久に言わない。言えば、セラヤの運命だ。

« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ