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2009年10月15日 (木)

“オバマの戦争”:アフガニスタンにおけるアメリカの瓦解瞥見

wsws.org

Bill Van Auken

2009年10月15日

「誤解の無いよう。我々は暴力を適用する専門家である。」アメリカ海兵隊司令官が、アフガニスタンのヘルマンド州に向かう兵士達に向かって行ったこの発言は、パブリック・ブロードキャスティング・システム(PBS)の“フロントライン”によって、火曜日夜に放映された一時間もののドキュメンタリー“オバマの戦争”の地味な出だしに、ぴったりだ。

この時期初のドキュメンタリーで、“フロントライン”の番組は、アフガニスタンでのアメリカの介入が直面する危機の検証を提供することを目論んだ。

パブリック・ネットワークのタイミングは、実に絶妙だった。オバマと、いわゆる“主要人物達”とが、増大する大衆レジスタンスから、8年間のアメリカ占領を救い出す戦略を議論し、更に一体、何万人のアメリカ兵や海兵隊員を、この目的の為に注ぎ込むのかを決定するためのホワイト・ハウスでのもう一つの会議直前に番組は放映された。

政治的見地からすれば、番組とプロデューサー兼特派員マーチン・スミスの手法は、型にはまったもので、この戦争を遂行した二大政党の公式説明からほとんどぶれていない。

水曜日、ワシントン・ポストのウェブ・サイトでの読者との議論で、スミスはアフガニスタンを巡るワシントンでの公式討論について触れた。「アフガニスタンが、再びタリバンの手中に落ちて、アルカイダの聖域となるのを防ぐための国づくりをするべく、我々は駐留しているのでしょうか? それとも次の9-11攻撃を防ぐために駐留しているのでしょうか。その目的を実現するには、アフガニスタンを占領する必要があるのでしょうか?」

番組の中で考慮対象とされていないのは、底流をなしている戦略的目標だ。つまり、地球上の主要なエネルギー源の一つ、中央アジアにおけるアメリカの覇権追求の為に、9/11のずっと以前から準備されていた戦争で、“アメリカ軍はあそこに駐留しているのだろうか?”。

番組は歴史に多く触れることもしない。ソ連によって支援されたカーブル政府に対する長引く戦争をひき起こし、継続するため、ワシントンが、何十億ドルもの武器と資金援助を提供して、アフガニスタンにおけるアメリカ軍の関与が、30年前に始まったという事実には触れられない。

この歴史は単に無視されているだけではない。改ざんされているのだ。外交政策の“スーパースター”と表現される、この地域へのオバマ特使、リチャード・ホルブルックが、ある場面で、アメリカはアフガニスタンにおける“国づくり”に携わっているのか尋ねられる。

いいえ、と彼は答える。アメリカは“国家の再建”に関与しているのです。アフガニスタン、he asserts、「1978年に、ソ連侵略によって破壊されるまでは、貧しいながらも、誇り高く、きちんと機能している国でした。」

ソ連軍は、1979年12月まで、アフガニスタンに侵攻しなかった。モスクワは、アメリカ政府によって、創設され、武器を与えられ、訓練されたムジャヒディン部隊による対カーブル政府攻撃の高まる波に反撃したのだ。当時のアメリカ国家安全保障顧問ズビグニュー・ブレジンスキーが認めている通り、ソ連に“やつらのベトナム”をくれてやる為、ワシントンは、侵略をひき起こす意図をもっていたのだ。

今日のアメリカ政策の内実を理解する上で、この歴史は決定的に重要だ。しかし、これは、アフガニスタンで、アメリカの作戦は有効なのか、アメリカが“勝てる”のかどうかという、全く実利的な疑問の基に作られている“フロントライン”の作品という枠組みには、しっくりと、はまらないのだ。

それはさておき、“現地”アメリカ兵から集めたインタビューや画像は、アメリカ帝国主義が直面する瓦解の悲惨な暴露となっている。

昨年夏、スミスとカメラ班は、オバマが昨年3月に命じた最初のエスカレーションでヘルマンド州に派兵された海兵隊遠征旅団の一部であるエコー中隊に同行した。

将校が中隊に檄を飛ばして、いつか皆が孫たちに、アフガニスタンの“決定的な夏”に参戦したことを話す日がくるだろうと語る。海兵隊員が確保している、この地域最南端の陣地を引き継いで、皆は“明朝から、歴史を変えるのだ”と彼は補足する 。

翌朝、中隊の一員、ジョージア出身の20歳の伍長勤務上等兵セス・シャープが首を射抜かれるのだが、この出来事は部隊に同行したカメラマンによって撮影されている。この射撃とその余波という不気味な場面の後、ナレーターは、この海兵隊員が“生き残れなかった”と語る。前日、国の家族に、いつの日か、自分の孫達が、自分たちがこれからするはずの戦いについて学校で習うようになるだろうと知らせる手紙を書いていた。

エコー中隊司令官によれば、海兵隊員の任務は、「民衆とともに動けるように、民衆とともにあること、民衆の身近にあること」だ。これはスタンリー・マクリスタル大将の下で導入された、新たな対テロ政策の一つの言い換えであり、つまり、アメリカ軍が、レジスタンスから、アフガニスタン国民を強引にもぎ取るつもりだということだ。

この目的のため、海兵隊員は、町の市場に隣接する廃校に基地を設置する。ところが、これに対応して、現地の人々は市場を放棄し、基地近くの家々から引っ越したのだ。徒歩での巡回をする海兵隊員達は、風に吹かれる埃以外、何の動きもない市場の無人屋台のかたわらを歩いて行く。

彼等がかろうじて行える現地住民との接触も、強いフラストレーションと相互不信だらけだ。彼らの通訳は、英語も、現地語も、達者ではなく、やりとりを途絶えさせ、全く正確さに欠けることが浮かび上がる。

ある場面で、ある曹長が、アフガニスタンの村人達という、無理やり聞かされる聴衆に向かって講義し、彼等に言う。「あなた方は、皆協力的でない」もしも村人が彼の質問にうまく答えられなければ、彼等はタリバン側と見なされると警告する。別の場面では、重装備の海兵隊員が、二人のアフガニスタン男性を全身検査し、アメリカ兵のパトロールから逃げないよう、また“怪しく見える”ので、“ポケットには物を詰め込まないように”と警告する。

レジスタンスによる攻撃は日常茶飯事だ。海兵隊員と“フロントライン”クルーは、現地住民達との出会いを中断させられ、小型武器による射撃を受けた後、掩蔽物を求めて、突進する。

反撃しながら、海兵隊員達は自動小銃の連発射撃を開始するが、レジスタンス勢力は、事実上見えず、みかけることも滅多になく、まして交戦することはない。それでも、狙撃兵は絶えず存在し、毎回の攻撃後、住民の中に紛れ込んでしまうのだ。地雷と、いわゆる簡易仕掛け爆弾も、常にある危険で、アメリカが8年前にこの国を侵略して以来、死傷者数を最高レベルに押し上げている。

こうした場面から現れるのは、植民地占領という汚い戦争のポートレートだ。

“フロントライン”は、ヘルマンドの海兵隊員のぞっとするような状況から、ワシントンでの、オバマ政権と太いつながりを持った、いわゆる“中道派”の軍事シンク・タンク、新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)の会議へと、効果的に画面を切り換える。出席者は、軍当局の高官や、もうかるコンサルタント契約に夢中ないわゆる“対テロ”専門家達だ。スミスは彼等を“対テロ顧問団”の“ベスト・アンド・ブライテスト(最精鋭)”と表現するが、このベスト・アンド・ブライテストは、ベトナム戦争立案者達を表現するのに使われた言葉だ。

アメリカ軍中央軍司令官、デービッド・ペトレイアス大将が、オーバーヘッド・プロジェクターを用いて、アフガニスタンにおける“全面的作戦”提案を売り込む。

番組は、ハミド・カルザイ大統領アフガニスタン政府の腐敗と無能さをも精査する。最も効果的な場面の一つは、カルザイの閣僚達が、重装備のアメリカ軍ヘリコプターで、辺鄙な北東の州へと運ばれる場面だ。「こうして政府を国民と結びつけるのです」と閣僚達を護衛しているアメリカ将官は語っている。「今日、国民はこれを見ることになるのです。」現地の人々が実際に見ているのは、国民の生活から断絶し、その存続を外国占領軍に完全に依存している、傀儡政権の腐敗したメンバーだ。

“フロントライン”は、本当の問題がこの地域にあることを示唆する、パキスタンの章で終わる。含意は明らかだ。アフガニスタンで戦われている戦争は、国境を越えて、次第に拡大しなければならないのだ。

番組では、アフガニスタン戦争がひき起こす本質的な問題に疑問を投げかける意見は一つしかない。ベトナム戦争帰還兵で、ボストン大学の国際関係論教授アンドリュー・ベイセヴィッチ大佐(退役)だ。

「国民の一人として、私が懸念するのは、際限のない戦争という前提を受け入れてしまったことではないかと思います」とベイセヴィッチ教授は語り、抑制が利かないアメリカ軍国主義の増殖という結果を指摘する。

しかしながら、最後のせりふの番は対テロ“専門家”の一人、ジョン・ネーグル(退役)中佐に与えられるが、彼は9月11日の攻撃を引き合いにだし、アフガニスタンは、“必要な戦争…アメリカが勝利する必要がある戦争”だと語るのだ。

番組の題名は、いささか紛らわしい。話の中で、オバマにはほとんど触れられず、彼の姿も決して現れず、彼の名も一時間にわずか4回触れられるだけだ。ブッシュ政権からの移行についても、軍事侵略続行における基本的な連続性についても、何も言及されない。

画面外で、戦争のエスカレーションを宣言する3月演説からのオバマの声が聞こえる。彼は言う。アメリカ人は、なぜアメリカ人兵士たちが、アフガニスタンで“戦い、死に”続けているのかについての“単純明快な答えが与えられる資格があります”。彼はそうした答えを一切与えていないが、最終的には、“フロントライン”ドキュメンタリーも、その答えを与えてはいないのだ。

(“オバマの戦争”は、PBSのウエブ・サイトで見ることができる。)

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/oct2009/fron-o15.shtml

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「チエンジ」と「イエス、ウイー・キャン」なる基礎英語のあいまいなキャッチ・フレーズで登場した大統領、ホワイト・ハウスの主人公の顔だけ「チエンジ」して、前政権の政策を「イエス、ウイー・キャン」とばかりに「継続」している。

それを追いかけて、ヨーロッパはノーベル賞まで授与、悪い冗談を見せられ続けている。

国内も同じ。「政権交代」なるあいまいなキャッチ・フレーズで登場した政党が、小泉政権顔負けの独裁的政策を推進しても、マスコミは知らん顔。あるいは熱烈支持。

今日の某紙読者投稿欄も、自画自賛の提灯投稿ばかり。反対の投稿は滅多にお目にかかれない。こうしたマスコミ報道で、よじれた頭、森田総研のウエブ記事を拝読して、なんとか正気に戻させていただいている。

森田実の言わねばならぬ【815】2009.10.14(その2) から引用させていただこう。

鳩山政権の手法は、第二次小泉内閣ではないかと感ずるほど、やり方が小泉政権と似ている。やり方が冷酷である。

 鳩山内閣は、本質的には新自由主義・新保守主義政権である。鳩山内閣には不況対策も成長政策もない。経済を縮小させ、国民の貧困化を進めている。不況を一層深刻化させるような政策をとっている。地方経済つぶしを行っている。鳩山内閣のなかで経済拡大政策の主張者は亀井静香郵政改革・金融担当大臣ただ一人である。

無料で常時拝読しているのも申し訳ないが、大変恥ずかしながら、貧しい生活ゆえ、森田塾へのカンパ、いまだできずにいる。

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