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2009年8月

2009年8月31日 (月)

アメリカの対イラク戦争-文明の破壊

James Petras

2009年8月21日

"Information Clearing House"

アメリカの7年間にわたるイラク戦争と占領は、幾つかの主要な政治勢力によって、動かされており、様々な帝国主義的権益に基づいている。とはいえ、こうした権益は、それ自体で、今継続中の、社会全体の、大規模で、継続的な破壊と、永久的な戦争状態への下降の、底なしの淵や、規模を物語りはしない。開戦と、それに続くアメリカ占領に貢献した一連の政治勢力には、以下のものが含まれる(重要度の順):

最も重要な政治勢力は、また、最も公に語られることの少ないものだ。それは、シオニスト権力構造(ZPC)で、それは、長年の、強硬派、ブッシュ・ペンタゴンのトップ役職に任命された無条件のイスラエル国家・ユダヤ支持者達(ダグラス・フェイスとポール・ウォルフォウィッツ )、副大統領オフィスの主要工作員(アーヴィング(スクーター)・リビー)、財務省(スチュアート・リービー)、国家安全保障会議 (エリオット・エイブラムズ) そして、コンサルタントの一団、大統領スピーチライター(デーヴィッド・フラム)、国務省の二級幹部や政策顧問の、大きな役割を含んでいる。こうした熱心なシオニスト‘インサイダー達’は全米主要ユダヤ人団体代表者会議(CPMAJO)を組織した、51の主要なアメリカ内ユダヤ人団体の、何千人ものイスラエル第一主義専業職員によって支えられている。彼等は、自分たちの最優先事項は、イスラエルの目標を推し進めることだと、あからさまに述べており、この場合、サダム・フセインを打倒し、イラクを占領し、イラクを物理的に分割し、軍事的、産業的能力を破壊し、親イスラエル/親米傀儡政権を押しつけるための、アメリカによる対イラク戦争だ。極右のイスラエル首相ベンヤミン・ナタニエフや‘リベラルな’外交問題評議会名誉理事長で、軍国主義者-シオニストであるレスリー・ゲルブらが唱導するとおりに、もしイラクが、民族浄化され、分割されれば、複数の‘属国政権’が作られるだろう。

戦争を推進した、シオニスト為政者達は、最初、実際、イラク文明丸ごとの計画的破壊という政策を、直接遂行しようとしてはいなかった。だが、占領政策に対する、彼等の支持と計画には、イラク国家機構の徹底的な破壊や、尋問手法や、民間人レジスタンスや対テロ弾圧に関する‘専門的知識’を提供するイスラエル人顧問の採用が含まれていた。イスラエルがパレスチナで修得した、イスラエルの専門的知識は、イラク内の宗教的、民族的対立を醸成する上で、確実に重要な役割を演じていた。植民地戦争と占領のイスラエル‘モデル’、つまり、1982年のレバノン侵略や、宗派的、人種-宗教的差異を利用した‘全面破壊’の手口は、イスラエルの軍事監視の下で起きた、ベイルートのサブラとシャティラ難民キャンプでの悪名高い虐殺で明らかだった。

イラク戦争の背後にいた二番目に強い政治勢力は、中東における、アラブ反植民地主義武装反抗勢力の、強力で、非宗教的、民族主義的な支援者を抹殺することにより、ペルシャ湾におけるアメリカ帝国の勢力圏を拡大し、地政学的な立場を強化しようと、目論む文民の軍国主義者(ドナルド・ラムズフェルドやチェイニー副大統領のような)だ。文民の軍国主義者は、アメリカ軍事基地によって、ロシア包囲を強化し、中国に対する政治圧力の対象として、イラクの油田を巡る支配の確保を狙っている。文民軍国主義者達は、チェイニー副大統領が石油産業に持っていた過去の絆には、さほど影響は受けず、それよりも、全世界への軍事基地拡張によって、アメリカ帝国を強化しつつある、ハリバートンの巨大軍事基地請負業者下請け業者ケロッグ-ブラウン・アンド・ルートのCEOという彼の役割に、興味をもっていた。ヨーロッパやアジアの競争相手に座を奪われることを危惧していたアメリカの大手石油会社は、既にサダム・フセインとの取引に熱心で、石油業界のブッシュ支持者の中には、既に、禁輸されているイラク政権と、違法な貿易をしているものすらあった。石油産業は、戦争によって、地域の不安定化を促進するつもりはなかった。

征服と占領という軍国主義戦略は、植民地軍事顧問や、戦闘部隊の大規模で、持続的な代表団を伴った、戦略的軍事基地の形で、長期的な植民地への軍事駐留を確立するよう設計されている。強い民族主義の歴史と、高度なインフラストラクチャーを持ち、高度な軍隊と警察機構、広範囲に及ぶ公共サービスや、広範な識字の、独立した、非宗教的国家の、残酷な植民地占領は、当然、様々な過激武装反占領運動の発展をもたらす。これに対し、アメリカの植民地幹部、CIAと国防情報局は、‘分割して統治する’戦略(元‘紛争地域’大使で、アメリカ国家情報長官ジョン・ネグロポンテにゆかりのある、いわゆる‘エルサルバドル式解決法’)を立案した。武装した宗派に基づく紛争を醸成し、統一された民族主義者による反帝国主義運動のあらゆる努力を弱体化させるため、異教徒間における暗殺の促進だ。非宗教的な民間の官僚機構と、軍隊の解体は、ブッシュ政権の内部のシオニストによって、この地域におけるイスラエルの権力を強化するために計画され、崩壊させられたサダム・フセインのバース党政権によって、抑圧されていた、過激派イスラム教集団の勃興が奨励された。イスラエルは、この戦略を早くから修得していたのだ。もともと、イスラエルが、非宗教的なパレスチナ解放機構の代替として、ハマースのようなイスラム教過激派宗派集団に資金援助を与えて、パレスチナ人間での宗派戦争の舞台をしつらえたのだ。

アメリカの植民地政策の結果は、様々な内部抗争に、資金援助をし、拡大させることで、ムッラー(宗教的指導者)、部族指導者、政治ギャング、部族軍司令官、国外居住者や、暗殺部隊は急増した。‘全員による、全員に対する戦争’は、アメリカ占領軍の権益に役立った。イラクは、そこから新たな傭兵を採用できる、武装した失業中の若者達のプールと化した。‘内戦’や‘民族抗争’は、アメリカと、そのイラク人傀儡にとって、何十万人もの兵士、警官や、前政権の職員達(特に、彼等がスンナ派や、異なる宗教間で結婚していたり、非宗教的な家族であったりする場合)を解雇し、民間人雇用の基盤をむしばむ口実として役立った。一般的な‘対テロ戦争’を装って、アメリカ軍特殊部隊とCIAが指揮する暗殺部隊が、傀儡政権を批判していると疑われたあらゆる人物を対象に、特に、まさに、独立した非宗教的な共和国を再建する能力がもっともあるイラク人たる、教養ある専門職階級に、イラク人市民社会中に、テロを拡げたのだ。

イラク戦争は、イスラエルと強いつながりを持った、ネオコンと、ネオリベ理論家の強力者集団によって動かされている。彼等は、イラク戦争の成功を(成功という言葉で、彼等は、この国の完璧な解体を意図している)中東を‘再植民地化’するための(彼等の言葉では“地図を書き換える”)ための一連の戦争における、最初の‘ドミノ’と見なしていたのだ。彼等は、自分たちの帝国主義イデオロギーを、中東において‘デモクラシーを推進する’などという付け焼き刃の論理で偽装していた(もちろん、支配下に置いたパレスチナ人を巡る、自らの‘祖国’イスラエルによる非民主的な政策は除く)。イスラエルの地域における覇権の野望を、アメリカの帝国権益と結合させ、ネオコンと、そのネオリベ仲間、民主党内部の支持者達は、対アフガニスタン・パキスタン戦争のエスカレーションに対し、最初はブッシュ大統領を、後にオバマ大統領を支持している。レバノンに対するイスラエルの’野蛮な爆撃作戦、ガザに閉じ込められた何千人もの民間人への陸上と、空爆と、虐殺、シリア施設への爆撃、(イスラエルの)先制的、全面的対イラン軍事攻撃に対する強い後押しを、連中は満場一致で支持してきた。

中東や南アジアにおける、連続的な、複数の同時戦争を支持するアメリカ人達は、自分たちの大量破壊戦力の全力を発揮できるのは、最初の犠牲者、イラクの完全支配を確保した後のことだと信じていた。アメリカと国連によって、この国に課された、13年間という残酷な飢餓的経済制裁の後では、イラク人レジスタンスは、急速に崩壊するだろうと、彼等は確信していた。アメリカ人為政者は、植民地支配を強化するため、全ての独立したイラク人民間人の反体制派を、永遠に沈黙させようと決意していた。市民社会運動指導者の、選択的暗殺を実行するため、彼等は、シーア派聖職者や、スンナ派の暗殺者への資金供与に向かい、クルド人のペシュメルガ部族軍司令官達の何千人もの民間傭兵と契約した。

アメリカは、ほぼ全てが、シーア派武装集団から構成される、総員200,000人のイラク植民地傀儡軍を生み出し、訓練したが、宗教的でなかったり、スンナ派や、キリスト教の背景をもっていたりする、経験豊かなイラク軍兵士を排除した。アメリカが訓練し、資金援助をした暗殺部隊と、その傀儡‘イラク’軍強化の、ほとんど知られていない結果が、その教会が爆撃され、指導者達や司教や知識人、学者や科学者が、暗殺されるか、亡命を余儀なくされ、強制移動させられてしまった、古代からのイラク人キリスト教徒の、事実上の破壊だ。非宗教的な、民族主義、反イギリス/反君主制主義者運動の歴史的な発展の上で、イラク人キリスト教徒が、主要な役割を演じていたことを、アメリカと、そのイスラエル人顧問達が、十分にわきまえていたことと、アメリカ占領後の最初の一年間における、影響力が大きい勢力である彼等の抹殺は、偶然ではない。このアメリカ政策の結果は、大半の、非宗教的で、民主的、反帝国主義の指導者達や運動を抹殺し、自分たちの‘民族的-宗派的’協力者の殺人ネットワークを、イラクにおける長期的なアメリカの植民地駐留を維持する上での、競合相手のいない‘パートナー’として提示するということなのだ。自分の傀儡を権力に付けておけば、イラクは、他の‘ドミノ’(シリア、イラン、中央アジアの共和国…)を戦略的に追求するための出発点として使えるのだ。

アメリカ占領下イラクでの、血なまぐさい粛清の継続によって、2003年3月にブッシュが侵略して以来、最初の7年間で、130万人のイラク人一般市民が殺害された。2009年中頃までに、イラク侵略と占領は、公式には、アメリカ財務省の6660億ドル以上の支出となっている。この莫大な支出は、アメリカの大規模な属国支配戦略における、中東全体/南および中央アジア地域に対する、その重要性を証明している。民族的-宗教的差異を、政治問題化させ、軍事化させ、武装させ、ライバルの部族、宗派、民族指導者達が、お互いの殺りくに携わることを奨励するワシントンの政策は、国家的統一と、レジスタンスの破壊に役立った。‘分割して統治する’戦術と、退化した社会、宗教団体への依存というのは、統一した、高度な民族主義国家を征服することを目指すための、ありふれた、最も良く知られた手法なのだ。国民国家の解体や、民族主義者の自覚の破壊や、粗野な民族的-宗派的、封建的、地域的忠誠心を奨励するには、民族主義者的な自覚、歴史的記憶や、非宗教的な科学的な思考の主要な提供者を、組織的に破壊することが必要だった。民族的-宗教的憎悪をひき起こし、異なる宗徒間の結婚や、様々な人々が混成する共同体や、多様な背景の中で、長年にわたる個人的な友情や、専門家同士の絆がある機構を破壊した。学者、作家、教師、知識人、科学者や専門家、特に医師、エンジニア、弁護士、裁判官や、ジャーナリストの物理的な抹殺は、植民地占領の下で、民族的-宗教的支配を押しつける上で、決定的に重要だった。長期的な支配を確立し、民族的-宗教的な属国支配者を確保し、前から存在し、独立した非宗教的国民国家を維持してきた文化体系が丸ごと、アメリカと、そのイラク人傀儡によって、物理的に破壊された。この破壊は、図書館、国勢調査局、あらゆる財産や裁判歴の保存場所、保健所、研究所、学校、文化センター、医療施設、そして、なによりも科学-文学-人文科学の、専門家という社会的科学者階級全体を対象にしていた。何十万人ものイラク人専門家や家族が、テロにより、国内、海外への難民化を強いられた。国立の、非宗教的、科学・教育機関への全ての資金援助が停止された。暗殺部隊は、多少とも反対派、多少とも民族主義的な意見の持ち主と疑われる何千人もの学者や、専門家の組織的殺害に、携わった。共和国を再建する能力が多少ともある全ての人々が狙われたのだ。

現代アラブ文明の破壊

独立した、世俗イラクには、サダム・フセインの警察国家という抑圧的状態にもかかわらず、アラブ世界で、最も進んだ科学-文化秩序があった。前例のない水準の男女同権と結びついた、国家による医療制度、 普遍的な公教育と、鷹揚な福祉サービスがあった。これは、二十世紀後半におけるイラク文明の先進的な特質だった。教会と国家の分離や、宗教的少数派(キリスト教徒、アッシリア人や他の人々)の厳格な保護は、アメリカ占領と、アメリカによるイラク民間、政府機構の破壊から生み出されたものと、鋭い対照をなしている。サダム・フセインの過酷な独裁的支配は、高度な科学的研究が、強烈な民族主義、反帝国主義というアイデンティティーと、手を携えて進んでいる、大いに発展した現代文明を、統轄していたのだ。これは、特に、イスラエル支配と占領下におけるパレスチナ人の苦境に対する、イラク国民と政権の団結表現となって現れていた。

単なる‘体制変革’だけでは、イラクにおける、この深く根付いた、高度な世俗的共和主義文化は根絶できない。アメリカの戦争計画者達や、イスラエル人顧問達は、非宗教的な国家を破壊しない限りは、植民地占領が、イラク人民族主義者の自覚を高めるだろうことを十分に理解しており、それゆえに、帝国の要求として、学識があり、有能な、科学、実際、イラク人社会で最も非宗教的な部分の人々を、物理的に抹殺することで、民族主義的自覚を持った人々を、根絶し、破壊したのだ。退化は、アメリカにとって、最も洗練された民族主義的な社会階層を剥奪され、文化的に粛清されたバグダッドに、原始的で、‘国家以前の’忠誠心を持った植民地傀儡を権力の座に、無理やり据えるための、主な手段となった。

カイロのアル-アハラム研究センターによると、アメリカ占領後、最初の18ヶ月間に、310人以上のイラク人科学者が抹殺された。この数値は、イラク文部省も否定していない。

別の報告では、2005年から2007年までの間に、340人以上の知識人や科学者の殺害があげられていた。高等教育施設の爆撃は、在籍者数を、侵略前の数値の30%に押し下げた。2007年1月のバグダッドのムスタンシリヤ大学に対する一度の爆撃で、70人の学生が殺害され、何百人もが負傷した。これらの数値によって、UNESCOは、イラクの大学制度が、崩壊の瀬戸際にあると警告せざるを得なくなった。国外に亡命した著名なイラク人科学者や教授の人数は、20,000人に近づいた。2003年以後、亡命した6,700人のイラク人大学教授のうち、2008年10月までに帰国した人々は、わずか150人だと、ロサンゼルス・タイムズは報じている。治安は向上したというアメリカの主張にもかかわらず、イラクで二番目の大都市バスラで開業していた唯一の神経外科医が殺害され、遺体が街路に捨てられたものを含め、無数の暗殺があるというのが、2008年の状況だ。

アメリカと多国籍占領軍や民兵や、彼等が支配する闇の勢力によって暗殺されたイラク人学者、科学者や専門家に関する元データは、パキスタン・デイリー・ニューズ(www.daily.pk)が2008年11月26日に発表したリストから得た。このリストは、アメリカ占領という非情な制度下における、イラク知識人の計画的抹殺という現実に対する、非常に不快な解釈を提示している。

暗殺

暗殺による個人の肉体的抹殺は、テロの極端な形であり、その個人が所属する共同体中、この場合には、イラク知識人、学者、専門家や、芸術や科学分野の創造的な指導者達の世界に、さざ波を立てるという、広範囲の影響力を持っている。殺害された一人のイラク人知識人に対し、何千人もの学識あるイラク人が、より安全で、危険性がより少ない仕事を求め、国を捨てたり、仕事を捨てたりしているのだ。

バグダッドは、文化、芸術、科学、教育の点で、アラブ世界の‘パリ’と見なされていた。1970年代と80年代、イラクの大学は、アラブ世界で羨望のまとだった。バグダッドに雨あられのごとく爆弾を降り注いだアメリカの‘衝撃と畏怖’作戦は、ルーブルや、ソルボンヌや、ヨーロッパの偉大な図書館の空爆と似たような、感情をひき起こした。バグダッド大学は、アラブ世界でも、最も権威ある、生産的な大学だった。学者達の多くは、博士号を持ち、海外の一流の大学で、博士課程研究の経験者だ。同大学は、中東最高の専門家や科学者の多くを、教え、輩出した。2003年3月侵略前、13年間にわたって、イラクを飢えさせた、アメリカと国連が課した経済制裁という致命的な締めつけの下でさえ、何千人もの大学院生や若い専門家が、大学院の研修のため、イラクにやって来ていた。アラブ世界中の若い医師たちは、イラクの教育施設で、高度な医学教育を受けていた。学者の多くは、主要な国際会議で科学論文を発表し、一流雑誌に論文を書いていた。最も重要なことは、バグダッド大学は、あらゆる民族や宗教的背景を持った学者達によって、宗派的差別がない、大いに尊敬される、科学的な非宗教文化を教育し、維持していたのだ。

この世界は、永遠に壊滅させられた。アメリカ占領の下、2008年11月までに、バグダッド大学で教えていた、83人の学者と研究者が殺害され、彼らの同僚や学生や家族の数千人が、逃亡を強いられたのだ。

学問分野別の暗殺対象学者選別

2008年11月、パキスタン・デイリー・ニューズが報じた記事には、バグダッドに在住するそれぞれの分野で著名で、殺害された最高の学者、合計154人の名前が列記されていた。イラク最高の大学で教鞭をとっていた合計281人の有名な知識人が、アメリカ占領下で、‘暗殺部隊’の犠牲になったのだ。

アメリカ占領前には、バグダッド大学は、第一級の研究・教育医学部を擁し、高度な教育で、全中東から、何百人もの若い医師を惹きつけていた。アメリカの暗殺部隊体制が勃興していた間に、このプログラムは、徹底的に破壊され、回復の見込みはほとんどない。殺害された人々のうち、25% (21)は、バグダッド大学医学部の最古参教授と講師達で、あらゆる学部の中で、最高の比率だ。教授陣の殺害が、二番目に高い比率なのは、バグダッド大学の有名な工学部の教授と研究者で(12)、その次は、人文科学のトップ学者(10)、物理、社会科学(8人の古参学者)、教育学部(5)だ。バグダッド大学において殺害された他のトップ学者、農学、経営、体育、通信や、宗教学部にまで及ぶ。

バグダッドの他の三大学で、社会科学の10人、法学部の7人、医学部と人文科学部でそれぞれ6、物理学で9人、そして工学部で5人を含み、53人の古参学者が虐殺された。2002年8月20日、ラムズフェルド国防長官は侵略前にジョークを言った。「…彼等は(科学者は) (アメリカの子供ゲームである)‘tiddlywinks’は、やっていなかったと、想像せざるを得ない」(物理と化学分野におけるイラク人科学者の血なまぐさい粛清を正当化するものだ。これは、侵略後に起きた学者殺戮の一つの不吉な予兆だった。

同様に残酷な学者粛清は、全ての地方大学で起きた。モスル、キルクーク、バスラや他都市の評判の高い様々な大学で、127人の古参の学者や科学者が暗殺された。古参の教授会員で殺害された人数が多い地方大学は、アメリカとイギリス軍や、彼等のクルド人傭兵が最も活動していた諸都市のものだ。バスラ (35)、モスル(35)、ディヤラ(15) そして、アル-アンバル(11)。

イラク軍と、同盟国軍の暗殺部隊が、アメリカ、あるいは‘多国籍軍’の支配の下、都市在住学者殺害の大半を遂行した。学者の計画的殺害は、現代アラブ文明の、文化的、教育的基盤を破壊するための、全国規模、領域横断的な動きだ。こうした暗殺の大半を実行した暗殺部隊は、現代の非宗教的な社会と、独立した、統一共和国再建という目標を追求しかねない、政治的に意識の高い知識人や、民族主義的な科学者全員を一掃するためにアメリカ軍の戦略家によって‘解き放たれた’ あるいは、手段として利用された、原始的な、近代以前の、民族的-宗教的集団なのだ。

アメリカ侵略を防ごうというパニックの中、2002年12月7日に、イラク国家監視理事会は、500人以上の主要イラク人科学者を明らかにするリストを国連に提出した。このリストが、イラク科学エリートを抹殺するためのアメリカ軍殺害予定者リストの根幹となったことに、疑念の余地はない。悪名高い侵略前の国連演説で、コリン・パウエル国務長官は、その専門的知識が、他の国々によって利用されるのを防ぐため‘封じ込める’必要がある、3,500人以上のイラク人科学者、エンジニアのリストを引用した。アメリカは、イラク人科学者やエンジニアを再教育するプログラムである、‘民間人再教育’を立ち上げるため、国連が保管する、イラクの‘石油・食料交換プログラム’の資金から、何億ドルもの‘予算’を引きだした。こうした大いにもてはやされたプログラムも、決して本気で導入されたわけではなかった。あるアメリカの政策専門家が、カーネギー財団論文(2004年4月、RANSACポリシー・アップデート)の中で、イラクの‘過剰な科学者、エンジニアや技術者’と表現した人々を、安上がりに封じ込める方法が、明らかになった。アメリカは、イスラエルのモサドによる、選ばれた主要イラク人科学者の秘密暗殺作戦を採用し、工業規模で、拡大することを決断したのだ。

アメリカ‘増派’と‘暗殺’作戦のピーク: 2006年-2007年

学者に対するテロの全盛期は、バグダッドおよび、地方におけるアメリカ軍攻勢再開と同期している。日付が記録されているバグダッド在住学者暗殺の総数のうち(110人の知識人が虐殺されたことがわかっている)、ほぼ80%が(87)2006年と、2007年に起きている。同じパターンは地方でも見られ、合計84人の学者の77%が、同時期に、首都外で殺害された。傾向は明らかだ。アメリカ兵の犠牲者数を減らし、占領に対する潜在的な反対意見論者を粛清する手段として、占領アメリカ軍が、傭兵イラク軍と警察を組織し、ライバルのシーア派やスンナ派部族の人々や民兵の採用と訓練に資金を提供するにつれ、学者の殺人率は増加している。

学者に対するテロ作戦は、2005年中頃に強化され、2006年-2007年に頂点に達し、何万人ものイラク人学者、科学者、専門家や、その家族の大量海外亡命をひき起こした。大学の医学部の教授陣が丸ごとシリアなどへの難民となってしまった。年老いた両親や親戚を見捨てることができずに、イラクに残った人々は、自分の正体を隠すため、非常手段を講じた。保護してもらうか、家族とともに、アメリカかヨーロッパへの移住を認められることを願って、アメリカ占領軍や傀儡政権に協力することを選んだ人々もいる。ヨーロッパ人、特にイギリスは、イラク人学者を受け入れたがらないのだが。2008年以後、学者殺害は大幅に減少しており、この年は、わずか4人しか暗殺されていない。これは、アメリカと、その傀儡傭兵側での、何らかの方針変換というよりは、海外で暮らしているか、隠れているイラク知識人の大量逃亡の反映だ。結果的に、イラクの研究機関は、すっかり縮小されてしまった。技術者、司書や学生を含む残った補助スタッフ達の生活は、徹底的に破壊されており、将来の就職見込みもほとんどない。

アメリカの対イラク戦争と占領は、ブッシュ大統領やオバマが宣言したように、‘成功’し、2300万人の国民がいる独立国家が、武力で占領され、傀儡政権は腰を据え、植民地傭兵軍は、アメリカ人幹部に服従し、油田は売りに出されている。歴史的遺産、文化遺産や国家資源を保護する民族主義的な全てのイラク法は、破棄されたか、アメリカ帝国に有利な‘憲法’を占領者が押しつけた。イスラエルと、ブッシュ、オバマ両政権内部のシオニスト取り巻き連中は、現代の敵対国家の終焉と、イラクを文化的-政治的砂漠に転換したことを慶賀している。2003年1月、アメリカ国務省とペンタゴン幹部によって、アメリカン・カウンシル・フォー・カルチュラル・ポリシーの有力な収集家達に対してなされた合意とされるものに沿って、略奪された古代メソポタミアの財宝は、ロンドン、ニューヨーク等に住むエリートの所蔵品となる道を‘見いだした’。収集家達は、今やイランの略奪を楽しみに待つことができる。

イランへの警告

イラクにあったような現代的な科学-文化文明の、アメリカによる侵略、占領と破壊は、 もしも、アメリカ-イスラエルの軍事攻撃がおきた場合、イラン国民が被るであろうことの前触れなのだ。デモに参加する、豊かなイラン人学生や、アメリカが資金援助しているNGOによる、大統領選後の‘口紅革命’抗議の文脈では、イラン国民の文化的-科学的基盤に対する帝国主義的脅威が、完全に欠如していた。2004年、バグダッドで‘少なくとも、我々はアフガニスタンとは違う’という、致命的に間違った楽観主義で、教養ある、洗練されたイラク人が自らを慰めていたということを、彼等は肝に銘ずるべきなのだ。同じエリートが、今やシリアやヨルダンのごみごみした難民キャンプで暮らしており、彼らの祖国は、中東の他のどの国より、アフガニスタンに似てしまっている。イラクを、'あらたに解放された、わがアフガニスタンのイメージ'に変換するという、2003年4月のブッシュ大統領の戦慄的な約束は実現された。そして、アメリカ政権の顧問達がイスラエル・モサドによる、イラン人科学者の選別的暗殺政策を再検討したという報道を聞いた、テヘランで暮らす親西欧のリベラル知識人は、2006-2007年に、イラク人科学者や学者を、事実上抹殺してしまったすさまじい軍事作戦の教訓を、真剣に熟考すべきなのだ。

結論

イラクに、中世的な民族-聖職者社会-政治構造に基づく退行した属国政権を樹立することで、アメリカ合州国(そして、イギリスとイスラエル)は、一体何を得ているのだろう? 何よりもまず、イラクが帝国の前哨基地になったのだ。第二に、イラクの、弱く、後進的な政権は、この地域における、イスラエルの経済的、軍事的支配に挑戦することができず、エルサレム、ヨルダン川西岸や、ガザの、先住パレスチナ・アラブ人に対して進行中の民族浄化を問題としてとりあげるのに乗り気ではないのだ。第三に、一つの独立国家の、科学的、学問的、文化的、および法的基盤の破壊は、西欧(と中国の)多国籍企業や、その技術インフラへの依存が増すことを意味し、帝国による経済侵略と搾取が容易になる。

19世紀半ば、1848年の革命の後、フランスの保守的な社会学者エミール・デュルケムは、ヨーロッパのブルジョアが、増大する階級闘争に直面しており、反資本主義の労働者階級が増大していることを認識した。宗教や聖職権主義に関する哲学的な懸念はあるにせよ、社会的一体性を‘作り出し’、階級分化を和らげるためには、ブルジョワが伝統的宗教の神話を利用せざるをえまいことに、デュルケムは気がついたのだ。教養があり、洗練されたパリの資本家階級に対し、宗教を政治的支配維持用の道具として利用するため、反啓もう主義の宗教的教義に対する拒否反応は、差し控えるよう、彼は呼びかけた。同様に、ペンタゴン-シオニストを含むアメリカの戦略家達は、この戦略が、科学者、専門家階級の全滅を必要とするものであるとは言え、イラクの植民地支配を強化すべく、非宗教的な国家政治指導層や、高度な文化を破壊するために、部族ムッラー、民族的-宗派的勢力を、手段として利用したのだ。現代アメリカの植民地支配は、社会の中で、社会的、政治的に、最も後進的な部門を支持し、戦争の最も高度な技術を適用することで成り立っている。

自分たちの60年間の経験から得た、都市での対テロや、民間人弾圧の方法を、イラクのアメリカ占領軍に教授する上で、イスラエル人顧問達は、主要な役割を演じた。1948年、デール・ヤシン村での、何百ものパレスチナ人家族の悪名高い虐殺は、新植民地秩序を押しつけるために、その土地に対する内因的な文明、文化的な絆を持った先住民が何世紀も定住していた、何百もの生産的農村の抹殺した、シオニストの象徴だ。パレスチナ人を、故郷から完全に引き離す政策は、イラク駐在アメリカ人為政者に対するイスラエルの助言の中核だった。ブッシュとオバマ政権内のシオニスト信奉者により、現代イラクの民間と国家の官僚機構の丸ごと解散と、この荒廃した国の、現代的大学や、研究所を粛清するため、クルド人とシーア派過激派で構成される、近代以前の部族暗殺部隊を活用するよう命じることで、彼らのメッセージは遂行されたのだ。

アメリカによるイラクの帝国的征服は、現代の非宗教共和国破壊の上に、成り立っている。後に残された文化的砂漠(聖書の‘寂しい荒野’は、イラクの貴重な学者達の血に染まっている)は、超巨大詐欺師、‘イラク人幹部’のふりをしている殺し屋傭兵、部族や民族の文化的文盲や、中世的な宗教者連中達によって支配されている。アメリカやヨーロッパ多国籍企業の権益に仕えるのに熱心な、プリンストン、ハーバード、ジョンズ・ホプキンス、エールやシカゴ大卒業生が、計画した‘帝国の青写真’を持った陸軍士官学校卒業生の指導と指示の下で、彼等は活動している。

これは、‘複合化した、不均等な発展’と呼ばれている。その実、原理主義者ムッラー達と、アメリカに奉仕するアイビーリーグ・シオニストの結婚なのだ。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article23342.htm

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マケインの本当のペトレイアス原則』という08/10/18の記事翻訳中で、下記のように書いた。

ボブ・ウッドワード、イラクでのゲリラ活動が大幅に減少したのは「増派」のおかげではないと、他要因を説明している。Why Did Violence Plummet? It Wasn't Just the Surge.

The War Withinという著書で、ボブ・ウッドワードは、他に有効な作戦があるのだが、具体的に言うわけにはゆかない、というようなことを書いていたようだ。そんな、うまい作戦などあるはずもないだろうと、以来、ゲリラ活動の減少理由を、大変不思議に思っていた。

この記事で、ようやく納得。上記のウッドワード記事を読み返して見ると、「秘密作戦が、非常に効果をあげている」と、ちゃんと書いてある。作戦のコードネームも、詳細もあかせない、ともある。これほど悲惨な実態、決して明かすわけにはゆくまい。凄惨なインテリ殲滅作戦だったのだ。

敗戦させてしまった後は、簡単な脅し、テロ、賄賂で、属国支配が完成した某国と異なり、本格的な民族主義者がいたイラク、Shock and Awe(衝撃と畏怖)作戦終了後にこそ、『衝撃と畏怖』が本格的になっていたというわけだ。

ところで、『マケインの本当のペトレイアス原則』という翻訳記事のおまけとして、終わりの方に、こう書いた。

政権交代など呪文にすぎない。実体は、派閥内の政権たらい回し。正確には、アメリカ傀儡大政党間たらい回し。たらい回しに失敗すれば大連立をするだろう。二大政党などというマスコミの虚構にだまされてはならない。実体は傀儡二大政党。

(とはいえ、政権交代を待望するブロガーの方々の数! 小泉選挙を思い出せば、結局は大半がだまされるのは確実だろう。いや、騙されているのではなく確信犯か?)

引かれ者の小唄。戯れ歌でも書いておこう。今日は、ブロガーの皆様が欣喜雀躍されている、自民党政治の終わりどころか、さなきだにひ弱な日本の民主的?政治そのものの、終わりの始まりなのだから。

いよいよ、金だけでなく、命も、宗主国に捧げさせられる。ファシズムは、楽しそうな顔をしてやってくる。もちろん、民主党、この記事にある、アメリカと、同盟関係(実態は、宗主国・属国関係)を強化すると言っている。庶民の皆様、民主党・自民党の議席合計を考えただけで、恐ろしくならないのだろうか?支配層の方々なら、ほくそえむのはわかるが。往時の大政翼賛会再現だろう。

これが妄想であったら、どれ程嬉しいことか。(妄想で、電波で狙われていると書かれる方々も多々おられるが:-)次に行われるのは、比例代表の削減。少数野党は殲滅され、民主党と自民党という傀儡二大政党(実は派閥)が確立する。オザワ氏が中心となって導入した、小選挙区制度というゆがんだ仕組みの上で、予定通りに起こされた茶番を、「市民革命」と浮かれる方々すらおられる。保坂展人氏も、亀井幹事長も落ちたではないか。小泉の息子が堂々当選しているではないか。何が「市民革命」か?「痴民革命」というのなら納得する。いや、大宅壮一の言葉をもじれば「白痴革命」?。あのナチスも、選挙で政権を獲得した。同じ属国でも、札束で頬をはたくだけですむ、イラクのような過酷なインテリ殲滅作戦が不要なアジアの属国、宗主国にとっても、属国傀儡政権にとっても、さぞや統治は楽だろう。

選挙前に、自民党員の知人と、酒を飲んだ際、「後は二大政党で交互にやろうという話になっている」というようなことを言って、さほど野党転落を気にしている様子はなかった。当方、いい加減酔っていたので、正確には覚えていないが「さもありなん。」と思ったものだ。昔、力道山のプロレス華やかなりしころ、テレビにしがみつくようにして見ていた。今回の選挙、初めからお互いやらせで、ガチンコの振りをしているただの「選挙版プロレス」だったろう。プロレスでさえ、受けるためには、流血し、怪我もする。時には、事故で亡くなるレスラーまでいる。

まして国政。自民党幹部落選すら折り込み済だろう。傀儡二大政党(派閥)化こそが最大目的。テレビも新聞も、見事スポーツ・タブロイド品質。そこで一句。

「小泉が搗き、麻生がこねし天下餅、座して食らうは小沢一郎」

「交代が良いね」と皆が言ったから夏の終わりはファッショ記念日

関連翻訳記事:

『マケインの本当のペトレイアス原則』
暗殺部隊の訓練法、革命の鎮圧方法、サンサルバドルからイラクに転用

アメリカ暗殺部隊株式会社

イラク: 高等教育における、大規模な不正行為と腐敗

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2009/9/12追記

主題が本記事と通底している、6年も前の下記記事を見つけた。

TUP速報223号 星川 淳のピースウォッチ#6 03年11月25日 「侵略の動機」

また、『週刊金曜日』 2009/9/11 金曜アンテナ 国際短信に下記記事がある。
イラク 米軍が秘密に展開した 学者・知識人の絶滅作戦

この翻訳記事と同じweb記事を、わずか1500字以下で、まとめておられる。さすが。
長く、まずい、この翻訳を読む時間のない方は、是非、週刊金曜日記事を!該当記事は、かなり下の方で、スクロールしないと、現れない。

2009年8月25日 (火)

オバマ政権、無人飛行機による殺害にブラックウォーターを活用

wsws.org

Tom Eley

2009年8月22日

アルカイダ・メンバーとされる人々の暗殺を実行するために、ブッシュ政権が、ブラックウォーターUSAを、雇っていたという木曜日の暴露報道後、うさんくさい準軍事警備会社と、アメリカという国家との間の、継続中の親密な関係に関する更なる情報が明るみに出た。

ブラックウォーター社の、イラク民間人の無差別殺人という確立した実績にもかかわらず、オバマ政権は、アフガニスタンでの業務に使い続けており、新たな報道が、ブラックウォーターが、暗殺を実行し、東部と南部アフガニスタンとパキスタンの国境地域の村々を脅かしている、プレデター無人飛行機の仕事をする契約を受注していることを明らかにした。

オバマの下、中央情報局(CIA)とブラックウォーター間の親密な関係は続いている。こうした関係は、何兆ドルという軍事契約の世界至るところにある、腐敗や利害の対立を明らかにしているばかりではない。表向きは、選挙で選ばれたアメリカの議員によって管理されている、アメリカ軍の仕事は、どこで終わり、利潤追求型の事業体であり、誰に対しても説明責任を負わない、大半が元アメリカ軍特殊作戦要員によって構成されているブラックウォーターの仕事は、どこから始まるのか、という問題を提起しているのだ。

しかも、ワシントンのブラックウォーターとの関係に関してこれまでに明らかにされた物事、つまりアメリカ人の見えないところで締結された契約は、氷山の一角に過ぎないことは明白だ。ブラックウォーターと、無数の人的、資金的絆でつながっている、国家中の国家である軍-諜報機関は、これ以上の情報が明るみに出るのを防ぐべく、作戦をしかけている。

アフガニスタンやパキスタンで多数の一般市民を殺害している、遠隔操縦で飛行するプレデター無人飛行機使用の上で、ブラックウォーターの極めて重要な役割を、オバマ政権は、ブッシュ政権から受け継いだことを、金曜日のニューヨーク・タイムズ記事が明らかにした。無人飛行機の狙いは、アルカイダ指導者達を暗殺することだといわれている。アメリカが、決してこの南アジアの国に宣戦布告したわけではない以上、パキスタンにおける無人飛行機の配備は、明らかに国際法に違反している。

イラクで、狙撃兵や奇襲によって、“標的暗殺”を実行するために、ブラックウォーターをブッシュ政権が雇ったのと、犠牲者として、圧倒的に民間人が多くでる、“アフ-パク戦域”における無人飛行機による暗殺計画を、オバマ政権が警備会社に外注することの間には、実質的な差異など存在しない。

ブラックウォーターは、社名をXeサービシズLLC(“Xe”は“ズィー”と発音する)に変更しているが、オバマが大統領に就任して以来、劇的に増加した無人飛行機による攻撃を実行している“パキスタンとアフガニスタンにある秘密基地”の警備を行っていると、タイムズは報じている。ブラックウォーターの要員が、かつてはCIAによって遂行されていた作業である“ヘルファイア・ミサイルや、500ポンド・レーザー誘導ミサイルの、組み立て・搭載”を行っている。

長年、CIAは、パキスタンのシャムシにある基地から、プレデターによる攻撃を行ってきたが、最近アフガニスタンのジャララバードに、二つ目の、秘密基地を増設したと、匿名の情報源が、タイムズに語っている。大半の無人機による任務は、現在はジャララバードから発進し、攻撃や、ミサイル発射は、バージニア州、ラングレーのCIA本部で、CIA職員が操作している。

ブラックウォーターは、2002年に、カーブルの新たな諜報基地を、警備するという契約を得て以降、アフガニスタンでのCIA支援を開始した。プレデター無人飛行機任務で働く同社従業員は、ネバダ基地で、アメリカ空軍によって訓練を受けている。

オバマ政権の中で、国防省とCIAだけが、ブラックウォーターと仕事をしている政府機関というわけではない。オバマ就任以来、国務省が、イラクとアフガニスタンにおける警備作業を、1億7,400万ドル以上も、同社に外注していたことを、最近のネーションによる報道が明らかにした。

最も悪名高い出来事は、2007年9月、バグダッドのニスール広場で、ブラックウォーター社員が、17人の非武装イラク民間人を殺害したことだ。捜査当局が特定した、社員達は、挑発もされていないのに、警告もせずに、運転手と歩行者達に、機関銃と、ロケット弾発射砲を発砲し、降伏し、逃げようとする民間人を殺害し続けたのだ。最終的に、5人のブラックウォーター警備員が、殺人で起訴された。

ニスール広場の虐殺で殺害されたイラク人の遺族たちによって起こされた訴訟で、元ブラックウォーター社員二人は、ブラックウォーターのオーナー、エリック・プリンスと「彼の従業員が、同社が継続中の犯罪行為について、連邦当局に、情報を提供したか、情報を提供しようとしていた一人、あるいはそれ以上の人を殺害した」と証言した。

CIAの秘密監獄と、“特例拘置引き渡し”に関する、欧州議会の報告者、ジョヴァンニ・クラウディオ・ファヴァが作成した報告書は、“テロ容疑者”を拉致し、彼等を、秘密飛行によって、拘留・拷問センターの世界ネットワークに送り出す、特例拘置引き渡しプログラムを実行する上で、ブラックウォーターの下請け会社が、極めて重要な役割を果たしていたと結論づけている。

特例拘置引き渡しや、無辜の民間人の殺害へのブラックウォーター社の関与にもかかわらず、オバマは、契約を継続しているが、これは、疑いようもなく、ブラックウォーターの軍-諜報機関内部の有力者達とのコネに、ある程度基づいた判断だ。

「長年にわたり、ブラックウォーター社は、何人かの元CIA幹部を受け入れてきた」とタイムズは述べている。そうした人々の中には、コーファー・ブラックがいる。9/11の二年前の1999年から、2004年まで、CIAのテロ対策センターを率いていたブラックは、CIAの特例拘置引き渡しプログラム立案者の一人だ。2005年に、彼はCIAを退職し、ブラックウォーター副社長になった。

同年、CIAの副本部長ロブ・リッチャーは退職し、ブラックウォーターの諜報部門の副社長になった。

CIA職員がブラックウォーターに天下りする傾向に関する発言で、元CIA長官ポーター・J・ゴス(2004-2006)は、「定年になっても、まだ元気が残っていると感じる人々がいて、彼等はコンサルティング事業に進もうとするわけで、いつでも、入社してほしいという要望に応じられるようにしているのだ。」と語っていた。

もう一つ考えられる解釈は、議会やアメリカ人への説明責任を負わない民間企業に、暗殺を含む犯罪活動を、“外注”する対策の一環として、CIAが、主要幹部に、民間企業に天下るよう推奨している、というものだ。

ブラックウォーターの主要人物達は、共和党や、極右やファシスト組織ともつながっている。プリンスは、共和党候補者や、右翼的な大義に、気前良く献金している。彼の父親は、右派のゲーリー・バウアーと共に、キリスト教原理主義のファミリー・リサーチ・カウンシルを創設した。

レオン・パネッタは、ブラックウォーターが関与する秘密暗殺計画は、オバマによって、CIA長官に任命されてから、六ヶ月後に、初めて知ったのだと主張している。そして、パネッタの議会での秘密宣誓証言までの7年間、議会は、計画のことを全く何も知らされずにいた。明らかに、副大統領ディック・チェイニーの命令で、この計画に秘密にされていたのだ。パネッタの証言後、議会のメンバーは、タイムズの記事が木曜日に現れるまで、ブラックウォーターの役割に関する情報を、国民から隠していた。

カリフォルニア出身の、民主党上院議員で、上院諜報委員会の委員長であるダイアン・ファインスタインを含め、議会の主要メンバーは、未だに、CIA-ブラックウォーター暗殺計画にまつわる情報公開を拒否し続けている。ファインスタインは、この紛糾するすっぱ抜きに関しては、外注に関する一般的な発言以上のコメントを拒否した。

「責任を負いたくないような仕事を、外注にだすのは安易に過ぎます」ファインスタインは語った。「長いこと、諜報機関は、仕事を遂行する上で、民間企業に依存しすぎていると思っていました。本質的に、政府のものである活動を実行するのに、民間企業が利用されるというところが、特に問題です。」

言い換えれば、民主党は、暗殺計画それ自体に反対しているわけではない。彼等は単に、それは、民間業者ではなく、CIA職員が実行する方が良いと言っているだけだ。

それまでの数十年間の、CIAによるおびただしい暗殺や、暗殺未遂によって、世界中で“殺人株式会社”というあだ名を得た後、1976年に、ジェラルド・フォード大統領が発した大統領命令によって、CIAは、法的に暗殺の実行を禁じられている。

パネッタは、CIAをかばおうとしたのだ。彼は、風説によれば、この件を持ち出したのは、違法だと思ったからではなく、計画が計画段階を超えたので、たとえ自分が、計画を中止するつもりであったとはいえ、議会の審査が必要だろうと考えたのだと、諜報委員会メンバーに語ったという。だが、CIA内部、あるいは、CIAと密接な幹部によると、チェイニーは、秘密にしておく、別の理由を語っていたという。チェイニーは、議会はCIA当局に、アルカイダ指導者達を暗殺する許可を既に出していると主張していた。

計画は計画段階のままだという考え方は、CIAに近い匿名情報源によって否定されている。「この対テロ計画が、概要説明用のスライドや、カフェテリアのナプキン上の落書きに留まっていた、と考えるのは間違いだ」ある匿名の幹部は、ワシントン・ポストに語っている。「そんなことよりずっと先まで行っていた。」

それとて、ポスト紙の言葉をかりれば、暗殺計画は「テロ容疑者の一人たりとも、満足に捕獲したり、殺害できていない」と、マスコミが繰り返し国民に断言するのを止められずにいる。この大胆な断定の基盤は、明らかにブラックウォーターの活動に対するCIA自身の評価だろう。

周知の通り、ブラックウォーターは、刑事免責のもと、イラクで殺人を行っていた。CIAの暗殺計画によって与えられた白紙委任を、ほかのどこかで同様な殺害を遂行するために、同社が利用し損ねていたと信じる理由は皆無だ。

最近の報道による暴露にもかかわらず、イラク、アフガニスタンにおけるブラックウォーターの活動の全容や、“特例拘置引き渡し”プログラムの飛行便や拷問室に関する秘密は隠されたままだ。

月曜日には、2004年に発行された、あるCIA内部報告の、機密扱が解除された一部、秘密監獄における拷問の使用を批判しているといわれているものが、公開されると期待されている。

軍-諜報機関は、たとえ形だけのものであれ、自分達の違法な活動に関する、いかなる調査も、聴聞にも一歩も譲ろうとしておらず、ゴスは、最近「ワシントン諜報機関の直撃を狙ったハリケーンが、ワシントンからやってくる」と警告し、もう一人のブッシュ時代の元CIA長官、マイケル・ヘイデンは、ブラックウォーターをあからさまに擁護している。

ゴスとヘイデンは、あらゆる決定的岐路において、オバマ政権が、そうした圧力に、すぐに屈伏し、“対テロ戦争”を継続しながら、前任者の違法な手段をかばうおうと堅く決めていることを知っている。ここ数ヶ月、オバマは、ブッシュ政権幹部が拷問を命じ、監督すらしていたという豊富な証拠の調査を一切行わないと約束しており、アメリカ諜報機関の工作員や軍要員が、イラクやアフガニスタンで囚人を残忍に扱っている様を記録した写真の公開を差し止めるよう動いた。

お勧め記事:

アメリカ暗殺部隊株式会社

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/aug2009/blac-a22.shtml

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ロバート・カプランによる下記(2006年9月)Atlantic記事とそのまま連続。

ラスベガスでタリバン狩り -無人機による空爆

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2年前に、関連記事を翻訳しているのを思い出した。

愛し合って、戦争になった:好戦国家アメリカとの遭遇 ノーマン・ソロモン

ブラックウォーター・スキャンダルにおける好戦的底流

報告書『アフガニスタン株式会社』によれば「コントラクター」はひどい仕事で大儲け

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宗主国の政府首脳や省庁の、こうした犯罪が明るみにだされる一方、属国体制翼賛マスコミによれば、属国の選挙は、もっぱら二大政党間の政権交代が主題。そして芸能人麻薬汚染。意図的な歪曲か、意図的な争点ずらし、としか言いようがあるまい。

体制翼賛マスコミの報道、かつて小選挙区制度導入を推進し、小泉郵政911欺瞞選挙を絶賛して以来、これも予定通りの行動。

傀儡(二大政党)支配者、財界、翼賛マスコミ幹部ら、権力者の皆様は毎晩祝杯をあげているだろう。もちろん宗主国の支配層も。

庶民の皆様が政権交代を祝っておられるのが、本当に不思議でならないのだが。

安保・防衛問題は、見事すっぽり、話題から外している。民主党、社民党、国民新党の協定だか、合意だかは、安保・防衛問題に触れることを、きっぱり避けている。

アメリカの新駐日大使との会談で、「今後とも日米間で一層緊密に協力していきたい」と麻生首相は発言している。「今後、益々戦費と兵力を提供します。」ということなのだろうか。

民主党とて「今後とも日米間で一層緊密に協力」する方針には変わりあるまい。

2010/2/27追記:

愛読させて頂いているビル・トッテン氏(刊行されているご本の多くも拝読している)のコラム、最新記事No.908、「日米安全保障条約」について。簡潔にして、要をえたコラムだ。外務省の安保条約へのリンクもつけてくださっている。

アメリカから日本に帰化した、ジャーナリストならぬ、ソフト会社経営者の方でも、こうした見解に到達されている。プロのジャーナリストの方々に、同じ意見になれなどとは決して言わないが、もしトッテン氏の説が、とんでもないしろものであれば、是非とも「反論してみられては」と思う。

一般に、犬は、飼い主のことは、普通、噛まないものだ。人は、金にならないことは、しないものだ。

普天間基地問題、いや沖縄の基地問題、更にはトヨタ問題等々、宗主国・属国の契約である安保の話をよけて、いくら語っても、真相は見えないだろう。そして、真相がわからなければ、根本的な解決策など、永遠に見つからず、実施もできるまい。

2009年8月23日 (日)

アメリカ暗殺部隊株式会社

wsws.org

2009年8月21日

木曜日のマスコミ報道によると、アメリカ中央情報局(CIA)は、アルカイダ隊員とされる人々に対する、“標的殺害”の秘密計画を、いまや悪名高い民間警備会社ブラックウォーターと契約していた。

本質的に、CIAは、国家による暗殺を、傭兵を雇用している民間企業に外注しよう努力していたのだ。

6月、現在のCIA長官レオン・パネッタが、下院諜報委員会の主要メンバーに、計画の概要を説明し、自分がそれを停止するよう命じたと語った。明らかに、ディック・チェイニー元副大統領の命令の下、暗殺計画の存在は、議会には隠ぺいされていた。パネッタは、中央情報局の長官として、六ヶ月後に初めて知ったと語っていた。

ブラックウォーターの関与についての記事を発表した、ニューヨーク・タイムズによると、取り決めは、決して、契約によって、正式なものとされることはなかった。その代わりに、ブッシュ政権幹部とCIA幹部と、ブラックウォーター創立者でオーナーの、エリック・プリンスの間で、“紳士協定”がまとめられていた。

アメリカ海軍特殊部隊、ネービー・シールズの元隊員であるプリンスの下、ブラックウォーター社(現在はXeサービシズと社名変更)は、傭兵(彼等の大半は、元アメリカ軍の特殊作戦要員)を、イラクとアフガニスタンに、出動させることで、アメリカ政府から何十億ドルも稼いでいた。

イラク民間人に対し、同社工作員が、過剰で、往々にして、根拠のない武力使用を伴った一連の出来事の後に、ブラックウォーターの悪名が高まった。こうしたことが、ついには、ブラックウォーターの殺し屋が、17人の非武装のイラク民間人を殺害した、2007年9月バグダッドのニスール広場乱射事件となったのだ。

この虐殺は、占領しているイラクの法律にも、軍事司法の法規にも縛られずに、全く罰せられることなく、傭兵警備会社が殺人をすることができるという仕組みの、必然的な最終結果だ。これ自体、戦争というものの、略奪的で違法な性格の一つの反映に過ぎない。

プリンスは、共和党右派と、最も親密なコネがある。彼の妹は、ミシガン州共和党の元トップだった。彼は、フォーカス・オン・ザ・ファミリーのような右翼キリスト教原理主義組織に対する、主要出資者である財団の主要人物の一人だ。

こうした共和党とのコネが、ブラックウォーターの成功の鍵だったと、多数の人々が見ているにもかかわらず、ペンタゴンも、国務省も、オバマ政権の下でも、プリンスの会社に契約を発注し続けている。

ニスール広場虐殺のイラク人犠牲者に代わって起こされた、ある訴訟において、二人の元ブラックウォーター社員は、とりわけ、“同社が継続中の犯罪行為について、連邦当局に、情報を提供したか、情報を提供しようとしていた一人、あるいはそれ以上の人を、プリンス氏と彼の従業員が殺害した”と告発する宣誓陳述書を提出した 。二人とも、自分たちの生命が危ういのではと危惧したと語っている。

暗殺計画の下、ブラックウォーターの要員は、“しばしば、拉致をともなう任務のシミュレーション”を行うのに、非常に多くの時間を費やしていたと語った、ある匿名元CIA職員の発言をワシントン・ポストは引用している。

CIAの暗殺計画に、ブラックウォーターが関与していたことが明らかになった結果、一連の疑念が沸き上がる。CIAのパネッタ長官が、二ヶ月以上も前に、この計画について、議会に概略を説明してから、何故アメリカ国民に対して隠ぺいされたままだったのか? パネッタ長官は情報を議会から隠していたのか、それとも、諜報委員会のメンバー達は、ひょっとしたら犯罪的共謀である、この件について知った後も、黙っていたのだろうか?

より根本的に、CIA-ブラックウォーターの不正取引は、アメリカ合州国における、広範囲で、継続的な、デモクラシーの退廃を証明している。

これは、ブッシュ政権が、アメリカの法律や憲法を公然と無視して活動し、暗殺や拷問を、ホワイト・ハウスから指令していた、犯罪的政権であるという証拠の一つだ。

にもかかわらず、誰一人として説明責任を問われていない。オバマ政権は前任者の犯罪行為をかばい、こうした犯罪の中でも最悪の、侵略戦争を継続している。

オバマ ・ホワイトハウスと、民主党優位の議会は、国家の中の国家、軍・諜報複合体による圧力の前に、退却を続けるばかりで、ブッシュ政権の犯罪に対する、いかなる調査も停止しており、まして起訴どころではない。

木曜日、元CIA長官マイケル・ヘイデンが、CIAは、同社の“極めて目立たない技能”を活用する必要があったのだと述べて、決然とブラックウォーターを擁護して、この作戦がまたしても明らかになった。

こうした最新の事実発覚によって、更にはっきりと浮き上がったのは、プリンスのような連中と、軍や諜報機関内部にいる彼の相手方が、驚くべき、責任を問われることのない権力を行使しているという政府の姿だ。

1960年代と1970年代、CIAは、コンゴのパトリス・ルムンバから、キューバのフィデル・カストロに至るまで、諸外国の指導者に対する、一連の暗殺や、暗殺の企てに関与していたことから、“殺人株式会社”というあだ名を獲得した。

しかし、CIA-ブラックウォーターの不正取引で明らかになったのは、一層不気味なことだ。CIAは、共和党と密接なコネを持つ右翼の人物が組織した傭兵で構成される暗殺部隊と契約していたのだ。

イラクとアフガニスタンで、何ら罰せられずに、殺害や拷問をすることが許されていた同じ勢力が、アメリカ合州国内での、支配層エリートの権益や、自由企業制度に異議を申し立てる戦闘的な労働者や、その他の人々に対して向けられるという、本当の危機が存在している。要するに、アメリカ帝国主義が、エルサルバドルから、イラクに至るまで、活用してきた暗殺部隊の暴力が、国内に向けられるのだ。

実際、ブラックウォーターは、高度に訓練された殺し屋を、既に国内作戦で配備したことがある。2005年、自動小銃を持った何百人もの同社の傭兵が、カトリーナに襲われた、ニューオリンズの市街に送り込まれたのだ。

こうした分子の活用は、対国内スパイ活動の継続や、国家の敵に対する、告訴や裁判無しでの、無期限拘留を可能にする“予防拘禁”制度の導入とセットになっている。アメリカにおいて、独裁政治の足場は既に組み立てられている。

この傾向は、オバマ政権の下で、衰えることなく継続している。政策は、階級の権益と、アメリカと世界の資本主義が直面する危機の性格によって、決定されている。アメリカの金融界の上流階級と、勤労者との間のこれまでにない水準の社会的不平等は、デモクラシーとは本来相いれない。

社会の社会主義的変革を目指して戦う自らの政党の下に結集した労働者階級による政治闘争によってのみ、民主的な権利に対する、これらの深刻な脅威に打ち勝ち、政府首脳に、その犯罪の責任を負わせることが可能になるだろう。

Bill Van Auken

お勧め記事:

オバマ政権、無人飛行機による殺害にブラックウォーターを活用

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/aug2009/pers-a21.shtml

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2年前に、関連記事を翻訳しているのを思い出した。

ブラックウォーター・スキャンダルにおける好戦的底流

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最後の三行、正論ながら、夢のような話。

宗主国でも、わが属国でも、労働者階級の人々、社会主義的変革を目指して戦う自らの政党の下に結集することなど決してなく、二大政党というサルでも分かるトリックにすっかりとりこまれ、永久戦争の道をまっしぐら。

8/30、9/11小泉郵政詐欺選挙の焼き直し。圧倒的議席を獲得する党名のチェンジ。

ナオミ・クラインの名著翻訳『ブランドなんか、いらない』が新版として刊行された。

2001年5月に刊行されたものに、2007年の講演録(補論)と2008年9月のガーディアン記事(序文)翻訳が追加されている。

この記事に直接関連する文章が、この補論にあるので、引用させていただこう。

421-422ページ。

戦争の遂行から戦後復興、災害時の救援活動にいたるまで、本来なら公的部門が担当すべき事業を、次々と営利をもくろむ民間企業に委託した。これは市場原理の大胆な進化だった。現存する水道や電力などの公共部門を民間に売却する90年代のやり方とは違い、ブッシュ陣営はまったく新しい枠組みをつくった。その 枠組みとは反テロ戦争であり、これははじめから民間企業のために計画され、実際に民間企業が管理した。ブッシュ政権は警備会社を支援する資本家のような役割を果たし、90年代のITブームと同じような好況を生みだした。

この構想には二つの段階があった。9月11日のテロ事件を利用して、国家の監視と安全保障の政策を強化し、その権力を中央政府の中枢に集中させた。同時 に、さまざまな民間企業にその業務を委託した。ブラックウォーター、ボーイング、AT&T、ハリバートン、ベクテル、カーライル・グループといっ た企業がその恩恵にあずかった。80、90年代の民営化は国家の付属機関の売却だったが、今回起こったのは国家の本質的な部分の民間への売却だ。安全保障や災害への対応といった事業以上に、一国の政府の中心となるものがあるだろうか? これが反テロ戦争の最大の皮肉のひとつだ。結局、それは企業を儲けさせ る効果的な武器となった。政府は企業を優遇してはいないと否定しつづけているが、その強い否定こそが真実である証だ。

さらに、新しい選択肢、希望のようなものが、結局は失望的な結果となった例を幾つかあげている。

1973年チリの9/11クーデターで転覆されたアジェンデ政権

1989年6月4日のポーランド「連帯」の勝利

1989年6月4日の天安門広場

1994年の南アフリカ共和国総選挙での、アフリカ民族会議の大勝

426ページ(補論の最終部分)から引用しよう。

人々が新しい選択肢を選ぶそばから、それは奪われてきた。軍事クーデター、大虐殺、ペテン、裏切り、テロにより、私たちの夢は奪われた。

 もうひとつの世界の実現をめざす私たちは、自分たちが決して敗北者ではないことを知るべきだ。アイディアでは誰にも負けていない。知恵で出し抜かれたのでも論破されたのでもない。私たちは叩き潰されたのだ。ときに戦車により、ときにシンクタンクにより私たちは潰された。ここでのシンクタンクとは、戦車の製造元に金で雇われて知恵を出す人たちの集団だ。

私たちはアイディアの戦いではなく、繰り返し、仕掛けられた汚い戦争に負けただけ-この歴史を理解することが、失った自信を取り戻し、強烈な情熱に火をつける鍵となるだろう。

戦車といえば、ソ連軍および他のワルシャワ会議四カ国の軍隊が、プラハに侵攻したのは、1968年8月20日のことだった。

ちくま学芸文庫新刊『言葉と戦車を見すえて』加藤周一が考えつづけてきたこと のなかに、この出来事についての文「言葉と戦車」が収録されている。最後の部分を引用しておく。

チェコスロヴアキアの夏については、想出すことが少くない。その山河、その牧場の樹陰、スロヴアキアの娘、プラハの編集室、学生、腸詰とビール、スコダの工場、文芸復興期の小さな町、比類のない後期ゴティック……しかしその町とその国に戦車の砲口の向けられているかぎり、語ることのできる話題には限りがあ る。今私は八月二一日以前についてただひそかにボードレールの一句を呟くほかはない。さようなら、あまりに短かかりしわれらが夏のきらめきよ。(一九六八年九月二五日、カナダ)

益岡賢氏のブログ、Falluja, April 2004 - the bookに、同じ話題に関するジェレミー・スケーヒルの記事翻訳あり。

ブラックウォーターは今もイラクで武装している

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関連記事翻訳:

知識人の組織的暗殺、独立国家を強引に侵略し、属国化するための、あの国最強の手段。

アメリカの対イラク戦争-文明の破壊

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追記:vox_populi様から、ブラックウーターは、ブラックウーターと、ご指摘いただいたので、訂正。(ローマ字入力の場合には、uloと入力すると入ることまで、ご教示いただいた。実は、入力には別方式を常用しているので、折角の御意見、利用できないのが残念。)

2009年8月21日 (金)

銃をつきつけられた中で行われるアフガニスタン大統領選

wsws.org

2009年8月20日

どこから見ても、今日のアフガニスタン大統領選挙は茶番だ。外国による軍事占領継続状態のもと、人権侵害、汚職や、国民の圧倒的大多数の基本的要求を実現し損ねていることで評判が悪い傀儡政権に、てこ入れをするために、選挙は行われるのだ。

2002年に、アメリカによって就任させられた現職大統領で、主力候補者であるハミド・カルザイは、広範なアフガニスタン国民から忌み嫌われている。特にタリバンの影響力が強い、南部のパシュトゥーン族地域における、国民の大多数の反対という事実にもかかわらず、アメリカ-NATO占領に反対する人物は、有力な立候補者から排除されている。カルザイの主要なライバルである、元外務大臣アブドラ・アブドラは、かつてはアメリカが、タリバンを打倒するのを支援した、北部同盟民兵組織の広報担当だった。

アメリカとNATO兵員人数の増強にもかかわらず、タリバンと彼等の仲間は、東部と南部アフガニスタンの多くの地域で、支配力を持っており、選挙ボイコットを呼びかけている。アフガニスタンの少なくとも60パーセントで、投票所は攻撃される危険がある。7,000箇所の投票所のうち、およそ440箇所は、警備が不可能なため、全く開設されない。およそ100,000人の外国軍と、180,000人のアフガニスタン政府軍と警察の要員が、投票を警備するために配備されている。

タリバンや、グルブッディン・ヘクマティアルのイスラム党運動などの他の武装反抗勢力集団は、アメリカとNATOの軍隊を、アフガニスタンから追い出し、親米政府を打倒するための活動を強化している。有力な大統領候補の全員が、武装反抗勢力との交渉や、連立政権さえ約束しているが、支持が拡大しつつあるため、タリバンやヘクマティアルは、外国による占領という条件下では、交渉に入らないと主張している。

勢力圏を証明すべく、武装反抗勢力は先週、占領支配の中枢に対し、目立つ攻撃を遂行した。8月15日、カーブルのNATO本部と、近くのアメリカ大使館が、大型自動車爆弾の標的となった。火曜日、タリバン戦士は、迫撃砲を射程内に据えつけ、首都中心部にある厳重に警備されている大統領官邸の敷地に砲弾を撃ち込むのに成功した。

今月、タリバン武装反抗勢力が全く存在しないと思われていた同国の北部諸州を含め、アメリカと外国の軍隊、アフガニスタン治安軍、候補者や、政府幹部に対する無数の攻撃が発生した。8月のアメリカ/NATO兵士の死亡者数は、既に50人にのぼり、この戦争で最高である、7月の75人という死者数に続いている。公式数値は、めったに発表されないが、さらに毎月少なくとも150人の政府軍兵士や警官が殺害されている。

南部と東部では、投票率は極めて低いものと予想されている。ウルズガン州のあるアフガニスタン人裁判官はマックラッチー紙に語っている。「国民のわずか10から20パーセントが投票できるに過ぎません。国民の80パーセントが投票できないのに、一体どうしてこれが透明な選挙でしょう?」

アメリカは、タリバンの暴力を非難するが、8年間の無差別空爆、地上攻撃、そして何千もの恣意的な拘留が、占領と、それに対するアフガニスタン協力者への根深い敵意を生み出したのだ。

1996年にタリバンによって打倒された部族軍長達の集団、北部同盟を、アメリカ侵略が、基本的に、政権復帰させた。わずかな新顔といえば、数十億ドル規模の“再建”や“援助”プロジェクトで暴利をむさぼろうと、アメリカやヨーロッパから舞い戻った貪欲な亡命実業家の一団くらいのものだ。

中部と北部の諸州では、主としてタジク族、ウズベク族やハザラ族の部族軍司令官が、結果を左右する。カルザイは、主としてその恩恵を受ける人物となることが予想されている。彼の二人の副大統領候補や、他の支援者達は、主要な北部同盟メンバーであり、カンダハル州からのアヘンとヘロイン交易の大半を組織しているとして、非難されている、彼の弟アフメド・ワリ・カルザイを含む、タリバンに反対する、南部パシュトゥーン族実力者の多くに支援されている。

オバマ政権すらもが、選挙結果は、主としてカルザイが任命した選挙担当職員による大規模な票操作によってゆがめられるであろうことを認めざるを得ない。1700万という総人口に対し、少なくとも300万枚の複製、あるいは不正な有権者登録票が出回っていると考えられている。今週BBCは、同社の覆面ジャーナリスト達が、1,000枚の投票権を、一枚10ドルで、カーブル路上でいとも容易に買う手配をすることができたことを明らかにした。

もしも、カルザイが選挙で圧勝できなければ、二番目に得票の多かった候補との、決選投票を強いられよう。アメリカ国際共和研究所によって行われた最近の世論調査では、カルザイは、44パーセントで、これに対し、一番の強敵アブドラ・アブドラは、26パーセントだった。他の二人の有力候補、アシュラフ・ガニと、ラマザン・バシャルドストは、いずれも10パーセント以下だった。

大統領選挙の詐欺的な性格は、オバマ政権のあからさまな介入によって、浮き彫りにされている。アメリカが率いる占領に、忠実に仕えてきたにもかかわらず、カルザイに対しては、彼の政権の腐敗と、国民による支持の欠如に対する、アメリカによる批判が激しくなっている。カルザイ自身が、空爆を僅かばかり批判したことが、アメリカ軍をいらだたせた。ワシントンが中立を主張しているにもかかわらず、アメリカ大使カール・アイケンベリーは、今年始め、カルザイに対する二人の主要ライバルと並んで公然と登場した。

先週土曜、親タリバン時代の残虐な部族軍司令官の一人であり、2001年のアメリカ侵略に際して、主要な同盟者であった、ウズベク族の実力者アブドル・ラシド・ドスタムのアフガニスタン帰国をあからさまに非難して、ホワイト・ハウスは、カルザイに対する不満を明らかにした。昨年、ドスタムは、政敵を殺害した後、自主的に、トルコに国外亡命することを強いられていた。カルザイの招待により帰国すると、ドスタムは、即座に現職大統領への投票を呼びかけた。

アメリカ大使館は、ドスタムは、“大規模な人権侵害に対する責任問題”に直面しているという偽善的な発表を行った。告発は、1990年代の彼の戦争犯罪には触れておらず、2001年に、クンドゥス州で、北部同盟の戦士達によって捕らわれ、捕虜となったタリバンの大量殺害に関するものだ。マザリシャリフでの同様な虐殺における、CIA工作員やアメリカ特殊部隊の関与については、全く触れられていない。((英語原文)“アメリカによる、マザリシャリフ虐殺のもみけし”を参照)

アメリカとその同盟諸国は、カルザイが、一回目の投票で圧勝するのを防ごうとしているかのように見える。火曜日夜、駐アフガニスタン・イギリス大使、マーク・セドウイルは、オーストラリア放送協会に、二回目の投票が「アフガニスタン国民に、この過程が本物であることを、納得させるだろう。」と語っている。

たとえカルザイが選挙で勝利したとて、彼の立場は確実とは言い難い。アメリカ軍司令官達の有力な顧問であるデーヴィッド・キルカレンは、今月早々、カルザイを、非常にきつい言葉で表現し、不吉にも、彼を、ケネディ政権が1963年に暗殺したベトナム大統領のゴ・ジン・ジェムになぞらえた。

ワシントンは、選挙によらない“最高執行官”を設置することで、アフガニスタン政府の日常業務を支配するという、大統領から多くの権力を秘かにはぎ取る計画を推進している 。ブルッキングス研究所の外交政策部門、世界銀行や国連に勤務したことがあるアシュラフ・ガニは、こうした高官の候補者の一人だ。

選挙が片づき次第、オバマ政権とペンタゴンは、戦争の大規模エスカレーション計画を推進するだろう。何万人もの追加アメリカ兵士が配備されたが、アメリカ人司令官達は、この残酷な新植民地戦争で、殺し、殺されるべく派遣される、更に多くの兵士を要求する用意をしているのだ。

James Cogan

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/aug2009/pers-a20.shtml

2009年8月13日 (木)

ニュージーランド政府、エリートSAS部隊をアフガニスタンに再配備

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John Braddock

2009年8月12日

月曜日、ニュージーランドのジョン・キー首相は、政府は、エリートの特殊空挺部隊(SAS)兵士を、アフガニスタンの新植民地主義的占領に、再配備すると発表した。この決定は、オバマ政権による要求の後に、行われた。

約70人のSAS要員が三交代で派遣されるが、当初、18ヶ月継続する。彼らは、アフガニスタン警察訓練を支援すべく“再編成され”アフガニスタンに、更に5年駐留する予定の、いわゆる地域復興チーム(PRT)で服務している130人のニュージーランド兵に、加わる予定だ。キー首相は、農業、医療と教育に焦点を当てた、バーミヤン州における民生的な役割の強化も、発表した。現状のように、テヘランにではなく、同国に大使が駐在する予定だ。

最新のSAS配備は、高度に訓練された専門戦闘分隊の、アフガニスタン派兵の四度目となる。アメリカが率いた最初の侵略後、ヘレン・クラークが率いる労働党政府が、2002年に分隊を初めて派兵し、最後の服務期間は、2005年に完了した。

キー首相による戦闘部隊再派遣の決定は、在アフガニスタンのアメリカの最高司令官が、タリバンが“優勢”になっていると警告した後のことだった。スタンリー・マクリスタル大将は、ウォール・ストリート・ジャーナルに、武装反抗勢力は南部の本拠地を超えて活動しており、北部と西部の、かつては“安定していた”地域を脅かしていると語った。

オバマ政権は既に、タリバンのレジスタンスを鎮圧すべく、アフガニスタンに、21,000人の追加アメリカ兵を派兵するよう命じており、アメリカとNATO軍の駐留兵の総員数を、ほぼ100,000人にまで押し上げた。ワシントンは、それでもなお、ヨーロッパ、オーストラリアやニュージーランドなどの他同盟国からの、追加兵力を求めていた。

マレー・マッカリー外務大臣と、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官との四月の会談で、アメリカは、アフガニスタン戦争に更なる貢献するよう、特に戦闘部隊を派兵するよう、キー政府圧力をかけていた。

アメリカの新NATO大使、イヴォ・ダードラーは、7月27日ニュージーランド・ヘラルドに、ニュージーランドは、アメリカの“パートナー・同盟者”として、アフガニスタンで戦わねばならないと述べた。派兵を再開する主要な理由は、アメリカや、他の同盟国、特にオーストラリアと、密接な軍事関係を、ニュージーランドが維持するためであることを彼は明確にした。

彼の前任者クラーク同様に、キー首相は、政府による、アメリカとの同盟に対する返礼は、増大する“テロ”の脅威への対応として描きだそうとした。在外ニュージーランド人は、“テロ攻撃によって脅かされており”もしも、国際軍がアフガニスタンを安定化しなければ、アフガニスタンは“世界的テロの更に大きな温床になる”だろうと彼は主張した。月曜日の彼の発表では、SASが“状況を安定化させる”だろうと、繰り返して述べた。

キーのプロパガンダには、主要紙が賛意を表し、いずれもSAS配備を扇動し、政府決定を支持している。

7月21日のニュージーランド・ヘラルドの論説記事は、こう宣言していた。「SAS派兵は、ホワイト・ハウスのご機嫌とりとは無関係だ。アフガニスタンが、世界中のテロの訓練場になっているという問題のためなのだ。」ヘラルドは、先月のジャカルタでの、テロ爆撃を“再発を防ぐためには、あらゆる努力が払われねばならない”証拠としてあげた。

ドミニオン・ポストは、ニュージーランドの会社員が殺された、ジャカルタでの最近の爆撃も、“テロが、ニュージーランド人の、経済的、肉体的幸福への脅威である」証拠としてあげている。同紙は、アフガニスタンは、「世界の平和と治安にとって最大の脅威だ」と主張している。

こうした主張は無意味だ。7年以上の戦闘後、マクリスタルらアメリカの将軍達ですら、もはやアメリカ軍が、アルカイダを追っていたり、国際テロリスト・ネットワークを破壊させようとしていたりするふりなどしなくなっている。連中は、あからさまに、外国軍の駐留に対するアフガニスタン国民によるレジスタンスを壊滅させることを狙って、反乱鎮圧戦争を遂行していること、また、アメリカが支援するカーブルの傀儡政権を確立しようとしていることを認めている。アフガニスタン戦争は、アメリカ帝国主義によって、資源の豊かな中央アジア地域における、地政学的権益のために遂行されている新植民地主義的な冒険的事業なのだ。

ニュージーランドのSASが派兵されるのは、アフガニスタンにおいて、この狙いに反対する勢力を粉砕するという、組織的で冷酷な軍事作戦を支援するためだ。反乱鎮圧作戦で、オーストラリア軍と協力しておこなう、その主要機能は殺戮だ。つまり、武装反抗勢力と見なされる連中を、血も涙もなく、殺害するか、捕獲することだ。前回の服務時には、アメリカが率いる統合特殊作戦軍の一部として活動し、アメリカの秘密作戦にとって部隊が非常に役立ったため、ブッシュ政権から、稀な表彰まで受けている。

アフガニスタンにおけるSAS作戦の性格は、秘密に覆い隠されたままだが、2007年、ニュージーランド・ヘラルドの報道が、その活動を垣間見させてくれた。記事は、SASが、2002年に、誘拐作戦で、50人から70人のいわゆる“テロリスト容疑者”を捕獲し、彼らを拘留・尋問用にアメリカ軍に引き渡したと報じていた。国際法の下で要求されている通りに、身元を確認され、写真を撮影され、指紋を採取され、適切に登録されるのではなしに、“容疑者たち”は、頭を剃られ、写真も、IDも記録されないまま、アメリカ軍に引き渡された。

8月2日のサンデー・スター・タイムズ記事によると、国際的な法律専門家達は、この件は、ジュネーブ協定や、拷問を禁じる法律に違反していると語っている。抑留者は、アメリカ兵士により、“キャンプ・スラッピー”とあだ名がつけられている、アメリカが運営する南部アフガニスタン、カンダハル拘留センターに移送された。そこに拘留された囚人は、ひどく打擲されたり、拷問されたり、水でびしょぬれにされたりし、冬には、戸外で、凍えるがままにされたと語っている。

拷問を禁じるジュネーブ協定と、国連の条約は、ニュージーランドなどの調印国が、囚人に、拷問をしたり、屈辱を与えたり、おとしめたり、あるいは、そういうことを行う国々へ彼らを移送することを禁じている。ニュージーランドSASが、アフガニスタンで活動していた時期に、アフガニスタン国内で犯された犯罪についての調査が、現在、アメリカや他の国々で、進められている。

アメリカの一流国際人権弁護士マイケル・ラトナーは、移送された囚人の氏名を、正確に記録に残し損ねたことにより、ニュージーランド兵は、事実上、虐待幇助者となったと述べた。オバマ政権が、アフガニスタン戦争を徐々に拡大するにあたった、SASは、新たな、遥かに重い犯罪を犯すために使われるのだ。

アフガニスタン戦争へのあらゆる関与に対する、ニュージーランドにおける広範な反対を活用しようとして、労働党指導者フィル・ゴフは、SAS配備に疑念を呈した。そうではなく、ニュージーランドは“PRTに力を注ぐべきだ”と彼は言明し、こちらは人道的な仕事を遂行していることを示唆した。

緑の党も同様に、“ニュージーランド国防軍再建チームがなし遂げた仕事の正統性と有効性”を損ないかねないという理由で、SAS配備を批判した。緑の党によれば、国連が承認した“安定化、国家建設任務”への関与は、全く合法的で、アフガニスタンにおける、アメリカの戦闘作戦活動とは別物だという。

とはいえ、PRTに従事するニュージーランド兵士と警官は、悪意のない“再建”、“平和維持”軍に従事しているだけとも言えない。例えば、今月早々の作戦では、彼らは“タリバン指導者”とされる人物の捕獲で、アフガニスタン警察を支援した。8月4日、ドミニオン・ポストは、バーミヤン州元知事のムッラー・ボルハンが、ニュージーランド軍基地から約25キロ、ガンダクの地方政府幹部宅への武装反抗勢力による攻撃との関連で逮捕されたと報じている。ニュージーランド統合軍司令官は、捕獲された指導者は、かなりの期間“我々の監視対象だった”と語って、作戦の成功を自慢した。

労働党や緑の党と、キー首相政府との違いだとされるものは、あからさまな、でっちあげだ。SAS兵士を、アフガニスタンに最初に派兵したのは、労働党政府だった。そして、現行ニュージーランド政府が、アフガニスタン国内にその兵員を、PRTの一部なり、あるいは、SAS戦闘派遣隊なり、いずれのために派兵しようと、それは貧困にあえぐ国の、犯罪的で、違法な侵略と占領への参戦だ。

キー政府の決定の背後には、ニュージーランド帝国主義自身の、財政的、地政学的権益がある。キー政府は、アメリカ市場に、より一層アクセスしたいのであり、また、オーストラリアの支配層エリートとともに、地域における中国の影響力の増強を前にして、南太平洋の極貧島嶼国家を巡る政治的、経済的支配を確立するためのキャンペーンを継続するのに、ワシントンの支援が必要なのだ。

こうした目的を実現すべく、ニュージーランド支配集団は、ワシントンによる中央アジア属国強化支援として、殺害し、殺害されるため、SASを喜んで派兵するのだ。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/aug2009/newz-a12.shtml

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これもまた、必ずやってくる日本の近未来。

岩波書店刊行、豊田祐基子著『「共犯」の同盟史 日米密約と自民党政権』という本を、二ヶ月以上目の前においてあるが全然読めずにいる。解禁された米公文書と関係者の証言を元に密約の軌跡を辿った本だ。日米関係の実態を描いた大変良い本なのだが。読めばよむほどつらくなる。90ページと、284-285ページのあとがきから、一部を引用しておこう。

90ページから

二〇〇〇年、懸案が持ち上がる。CIAが日本の保守政権の安定を図り、自民党に繰り出した資金提供に絡む複数の文書の扱いだ。シャラーを含む委員の多くは、既に関係者が死亡しているため日米関係には影響がないと判断、解禁を主張したが、そこに在日米大使館から待ったがかかった。
 諮問委員会に宛てた抗議文で大使館は訴えた。「事実が公表されれば、過去の出来事とは受け取られず、甚大な影響を及ぼすことは必至だ。文書に登場する人物の子孫、そして使徒たちが現在の日米関係を支えている。秘密活動の実態は現政権に打撃となる……」

284-285ページのあとがきから

 日米間で結ばれた秘密合意が政治的果実を得るために必要な嘘だったとしても、その嘘は長い時間をかけて、国民から知る権利を確実に奪い取ってきた。喪失の過程は緩慢で痛みを伴わない。失ったものの大きさに気が付いたときには、多くの人々が知ることを諦めている。真実はどうせ語られないので、提示される政策も信用できないが、受け入れるほかはないと考えている。結果が良ければ評価し、悪ければ批判するだけのことだ。

 そこに主体的な選択など存在しない。知る権利を奪われることは、選び取る権利を失うことと同義だからだ。その意味で、日米同盟は存在してきたが、一度も選び取られたことはなかったと思う。多くの国民にとって、いつの間にか目の前にあり、支える理由さえ理解できない陽炎のような現象に過ぎない。

 同盟が必要だというなら、私たちはそれを選び直す作業を始めなくてはならない。最初の作業は私たちの目の前に横たわる風景の断絶を直視することになるだろう。そのためには断絶を薄い皮膜のように覆ってきた密約をはがし取り、点検していく必要がある。

 二〇〇九年一月、米国ではオバマ政権が誕生した。「単独行動主義」に偏重したブッシュ政権の政策方針を転換し、「対話と協調」を重視するという。それには、同盟国が求められるより先に〝主体的な″貢献を提示することが前提になる。選び取ることのできない国には困難な時代の到来となるはずだ。二〇一〇年には、日米安保改定から五〇年を迎える。以来、米国から出された宿題をこなしていくことに邁進してきた日本が、自ら課題を設定できるのか試金石の時期となるだろう。

マスコミも、お盆モード。いつも以上に内容は劣化して、終日芸能人麻薬汚染の話題を垂れ流す。最後のかろうじて、民主的な選挙を前にしながら、安保や密約をあつかうことは決してない。もちろん、似非二大政党、いずれも、これには触れられないからだ。安保が憲法の上にたつ歪んだ現状をあらためるのではなく、宗主国の要求の通り、邪魔な、憲法を破壊することで、自民、公明、民主は、一致しているからだ。不況のなか、ドイツで、ナチスが選ばれた雰囲気、恐らくこんな感じだったのだろう?ええじゃないかエセ二大政党。ええじゃないか属国ファシズム。芸能人の麻薬濫用はまずかろうが、テレビそのものも、新聞も、実態から乖離した幻想を、きわめて多数の人々に抱かせるという悪影響では、麻薬に決して劣らないように思うのだが?

辺見庸氏の講演で、記憶に残っている名言がある。テレビだか、マスコミだかに触れ、「連中は、意味のない愚劣な糞にたかる糞バエだ。」と彼が言ったのだ。某有名コメンテーターが、すぐ後ろの席に座っていたので、思わず振り向きたくなって困った。糞バエと指摘された、糞バエの顔が見たくて。

今でもニュースやバラエテイ番組を見ると、「意味のない愚劣な糞にたかる糞バエ」を眺めているお前(筆者)こそ、変態変質者かB層か、という声が、天から聞こえてきそうだ。

2009年8月 9日 (日)

ラスベガスでタリバン狩り -無人機による空爆

2006年9月 Atlantic

Robert D. Kaplan

スロット・マシーンから、わずか数分のところにあるトレーラーで、空軍パイロットが、イラクやアフガニスタン上空のプレデター無人偵察機を操縦している。現代軍事テクノロジーの脅威と限界に関するケース・スタディ

イラクとアフガニスタンをめぐる、気の利いた出撃任務に従軍するため、私はラスベガスまで、飛行機ででかける必要があった。ラスベガスで、MGMグランド、ベラージオや、シーザーズ・パレスを通り越し、町の外までドライブし、一泊59ドルの低価格ホテル・カジノ・ビルに、チェックインした。そこは、運動着姿の肥満体の人々や、電動車椅子を操作する高齢者、ひどく熱狂した片腕のやくざ、ウイスキー、たばこと、ポップコーンのかおりに満ちていた。そこからわずか10分のネリス空軍基地に、迷彩柄トレーラーの一群があった。

「あのトレーラーの中はイラクです。もう一つのトレーラーの中はアフガニスタンです。」ケンタッキー、ルイスビル出身のクリストファー・プランプ空軍中佐が説明してくれた。「いずれにせよ、あそこに入れば、アメリカ中央軍AOR[担当地域]に入るわけです。」

つまり、これらトレーラーの中では、アメリカ北方軍管轄下の北米から離れ、アメリカ中央軍の領域である中東に入るのだ。ややこしい地理は、ここまでにしよう。

MQ-1Bプレデター無人偵察機、クルーの呼び方によれば“プレド”は、ここで操縦されているのだ。地下、そして、海底光ファイバー・ケーブルが、これらのトレーラーを、地上管制局に、実際は、パラボラ・アンテナで、バグダッド上空や、アフガニスタン-パキスタン国境沿いなり、どこなり必要な場所にいる、全プレデター無人偵察機と、直接接続しているヨーロッパとつなげている。現地の空港が、これら無人機を空中に発進させると、ラスベガスが、後を引き継ぐ。

プレデター無人偵察機は、軍が運用している何十種のUAV(無人機)の中で最も有名だ。1990年代に、バルカン半島で初めて使用されたが、イエメンで、2002年11月、プレデター無人偵察機から発射されたAGM-114Pヘルファイア徹甲ミサイルが、五人の仲間と砂漠を旅行中のアルカイダ指導者、アブ・アリ・アル-ハリティが乗った自動車を焼きつくし灰にして、その存在を確立した。また、プレデター無人偵察機は、イラク武装反抗勢力の指導者アブ・ムサブ・アル-ザルカウィの最期の日々を追跡していた。

大半の人は、無人飛行機と聞けば、恐らくは模型飛行機を思い描くだろう。実際、プレデター無人偵察機は、大きなグライダーのような形だ。全長8m、翼幅約15.24mという大きさは、セスナ・スカイホークの寸法に匹敵する。プレデター無人偵察機の外板が、金属をほとんど含まない複合材料でできているため、燃料や爆弾を除けば、重量わずか512キロで、4気筒エンジンによって、24時間も滞空できる。非常に軽いため、練習機の尾部を、片手で持ち上げるられた。パイロット用の生命維持装置も、余計な安全装置も必要とせず、わずか420万ドルしかしない。F-22一機の費用で、40機以上のプレデター無人偵察機を製造することができるのだ。420万ドルのうちの1/4が、飛行機の胴体につけられた回転する球体である“ボール”に使われるが、そこには光学機器、レーザーと、ビデオ・カメラが搭載されている。

しかし、プレデター無人偵察機で、最も目ざましい点は、ゆっくり飛行することだ。大規模な歩兵部隊の編隊を攻撃するのではなく、個人や、戦士達の小集団を探し出して殺すのが目的である、反乱鎮圧作戦では、飛行機が、より低速で飛べば飛ぶほどまさに好都合なのだ。また、低速で飛べば、損傷の度合いも少なく、それが、プレデター無人偵察機が、他の多くの飛行機より、保守の手間がかからない理由だ。

A-10やAC-130のような、低速飛行有人飛行機は、ファルージャのような場所では特に便利だ。こうした飛行機は、複雑な都市という戦闘空間上空のほぼ同じ所に留まっていられるので、こうした飛行機のパイロットは“状況認識”をしており、地上現地の事実を、見て、理解することができるので、戦術行動を遂行している、海兵隊小隊の司令官や、特殊部隊チームの軍曹達から、信頼されている。しかし、これら有人飛行機は、依然として時速333キロで飛行する必要があるのに対し、プレデター無人偵察機は、僅か時速139キロで滞空していられる。また、他の多くのUAVは、低空を飛行しなければならず、トレードマークである、芝刈り機、または雪上車のような音で注意をひいてしまうが、4570メートルの高度を飛行するプレデター無人偵察機は、地上の人間の誰にも、聞こえず、見えない。固定軌道をとび続ける必要がなく、二基のヘルファイア・ミサイルを装備した人工衛星を想像いただきたい。

私は、イラクや、アフガニスタンを、四半世紀にわたって旅しているが、それでも、これらの国々で経験してきたものの中でも、最も啓発的な瞬間のいくつかは、ここラスベガスでおきた。一日は、私があちこちで取材した空軍パイロット連中と何ら変わらず、パイロットのブリーフィングで始まるが、いずれにも共通する緊張した感覚がそこにある。すなわち、ブリーフィングは“母性”、つまり、誰にも分かる基本的事項から始まる。次は、諜報情報による背景説明、それに詳細な天気予報(ネバダではなく、イラクやアフガニスタンについて)が続き、最後は“簡潔”、つまり、当日の暗号だ。掛け時計は、三つの時間帯を表示している。イラク、アフガニスタン、そしてズールー。(ズールー時間、またはZ時間というのは、夏時間調整をしていない、グリニッジ標準時間だ。アメリカ軍は、混乱を避けるため、世界中でZ時間を使っている。)

プレデター無人偵察機を「操縦して」いる人々は、大地から離れる必要はないにもかかわらず、実際にパイロットで、操作担当者ではない。彼らは操縦士の服装をしている。いずれも、A-10、F-15、B-1爆撃機、B-52、または他の多数の飛行機いずれかのベテラン・パイロットだ。スクラップのような、がらくた、ローテクA-10ウォートホッグも、パイロットに、ハイテク・プレドを操縦するための最善の備えをさせてくれる可能性もある。ウォートホッグも、プレデター無人偵察機も、小さな標的に命中させ、限られた空間の中にいる個人を射殺するのだ。「引き金を引いて、悪者を殺したいと思うなら、プレデター無人偵察機を操縦することだね」と、あるプレド・パイロットは言った。

空軍パイロットは、普通20ヶ月周期で働く。16ヶ月の訓練後に、4ヶ月の配備だ。ここでは、20ヶ月の戦闘だ。パイロットが、新たな訓練を必要としないという事実は、納税者にとって、大幅な節約を意味する。パイロットは、ひどく長い戦闘任務の周期のおかげで、景色に高度に精通し、専門知識を高めるのに十分な時間が得られる。プレデター無人偵察機パイロットは、IED(簡易仕掛け爆弾)の存在を示す兆候を知っており、ワジ(乾季の河床)や、他の現象を判読でき、土壁の屋敷への入り口や、アフガニスタンの“装飾”トラック(インド亜大陸至る所や、その周辺で見られる色鮮やかに装飾されたトラック)の外観が識別できる。彼らは、地上の軍隊に対し、一日中話しかけ、助言を与えることもできるのだ。

しかし、戦争で直接的に果たしている役割にもかかわらず、プレデター無人偵察機パイロットが、危険に直面することは皆無だ。実際、あるパイロットが私に言ったように、プレデター無人偵察機は、決して自らを危険に曝すことなしに、人を殺害することができることから、倫理的問題をひき起こす。トレーラー内では、クルーは、飛行シミュレーターで人が感じるような興奮すら感じない。これらパイロットが本当に緊張するのは、トレーラー外部にある、あらゆるものとの会戦だ。

ネリス空軍基地も、交戦地帯からはるか離れた他の基地と共通の、車の運転、服装規定、検査、敬礼等々、堅苦しい規則だらけだ。(交戦地帯、つまり、こうしたトレーラー内部では、任務が何より大重要なので、ざっくばらんさが支配している) しかし、ネリスを一歩出れば、ガソリン・スタンドにさえ、スロット・マシーンがある町の不条理さは言うまでもなく、伴侶、子供たち、宿題や、サッカーの試合というありふれた世界だ。トレーラーの一つに入ったり、そこから出たりするだけのことで、ひどくまごつかされる。

プレデター無人偵察機パイロットとともに従軍する準備として、私は“秘密”作戦を取材する許可は得たが、“極秘”作戦取材の許可は得ていない。そこで、最高、あるいは“高度な”任務の取材は許されず、“軽度”な任務に甘んじるしかなかった。私が最初に入ったトレーラーは、アフガニスタンで仕事をしていた。まるで前年に数週間過ごした潜水艦の中に戻ったように感じた。凍えるような、脈動する闇の中、いかめしい、特徴の無いコンピューターのラック。点滅するLED数字の三次元世界だ。潜水艦の操縦士同様、プレドのパイロットは、地図上の自分の位置表示と数値、つまり、緯度、経度、高度、風速、地面の標高、近傍の航空機、等々の数値表示だけをたよりに、計器飛行をする。回転するボールの中にあるカメラは、監視中の目標にだけ焦点を合わせる。クルーの状況認識は、地上の敵だけに集中する。張り込みをしているほとんどの時間、プレドは、前もってプログラムされた、六角形、競馬場型、ちょうネクタイ型、あるいは何か他の循環型の空中待機パターンで飛行する。

それぞれのトレーラーには二人組のクルーがいる。パイロットと、このボールを操作する“探知担当者”だ。二人とも、地図表示と監視中の目標の大写しを含む半ダースほどのコンピューター画面に向き合っている。あらゆる飛行機と同様に、パイロットは様々なボタンがついた操縦桿を使う。アフガニスタンでは夜間なのだが、カンダハル近くにある、泥壁の小さな二軒の屋敷は、赤外線センサーのおかげで、容易に見ることができ、パイロット用の画面上に、写真ネガのような、明暗のトーンで、画像を表示していた。

にもかかわらず、画面を見ながら、私はなつかしい世界に引き戻された。劇的な、風で削られた丘の斜面の、一段高い土手の上のポプラの木々で区分された、米、ムラサキウマゴヤシ、そして麻の棚田。そして、中庭のある屋敷。そこで、南部アフガニスタン晩春のひどい暑さと埃の中、すてきな星空の下、人々は屋上で眠る。二軒の屋敷間を通る小路は、小型トラックが通るのが精一杯の幅なのを、私は経験から知っている。

パイロットと探知担当者は、自動車が出現するのを待ち受けていた。そして、それを追跡するのだ。少なくとも、それが“お客様”が要求したことなのだ。お客様とは、この場合、現在、南部アフガニスタンにかなりの規模で駐留しているカナダ軍だ。プレデター無人偵察機の需要が非常に高いので、クルーは、与えられるあらゆる任務が重要であるのを当たり前のように思っている。標的の重要度が高ければ高いほど、空中からの張り込みは退屈なことが多い。アルカイダ、タリバン、あるいはイラク人武装反抗勢力の幹部は、優れた作戦保全(OPSEC)を実行している可能性が極めて高く、監視されないようするのに、いかなる苦労もいとわない。プレデター無人偵察機は、何も起きていないように見える一軒の屋敷を、何日間も監視し続けることができる。こうした監視は、狙撃兵部隊と偵察任務に出動するようなものだが、この場合、退屈さが、酷暑や冷気で、さらに過酷になったり、岩の背後に隠れたりする必要は無いだけだ。

パイロットの前にある二つのキーボードのうち、一番良く使われていたのは、チャット用キーボードだった。彼は同じ任務についている他の人々にメッセージを書きながら、マウスピースを通して、普通は、監視中の場所近くの三等軍曹がつとめるJTAC(共同ターミナル航空管制官)に話しかけている。

今、二軒の屋敷を監視しているプレドには、残り一基のヘルファイア・ミサイルしかない。もう一基は、数時間前に発射され、近くの車を破壊したが、それは爆発物を搭載していたことが分かった。途方もない爆破が画面一杯に広がった。

私の横にいたパイロットが言った。「時々、混乱させられることがありますよ。ある現場まで飛行し、いつでも攻撃できる状態にして、A-10が現場に到着するのを待ちます。すると、攻撃がすっかり中止になるのです。一軒の家を何時間も監視するはめになり、見えるものと言えば、しゃがんだ姿勢から、立ち上がった後、地上に残された暖かい痕跡でわかる、夜中、排便しに中庭にでてくる男しかないという具合です。」

隣のトレーラーに入ると、イラクだった。テキサス州出身の軍人の子弟である、アフリカ系アメリカ人女性が、キルクーク西部の巨大石油コンビナート上空で、ボールを操作していた。武装反抗勢力の連中は、夜間、IEDや、大型爆弾を工場内に設置すると考えられている。彼女は三台の怪しいトラックを見て、ズームインした。だが、熱の痕跡は無く、車は、そこにエンジンをかけないまま何時間も止まっていたことがわかったので、ボールを他の方向にむけた。彼女が私に説明する間も、熱の痕跡から、数時間前のことを見ることが可能だ。この情報をもとに、優秀な探知担当者は、報告を書くことができたりする。

だが、UAVの真価は、いまだ進化しつつあるが、それには、軍の部外者はほとんど気がついていない。こうした利点は、海兵隊歩兵小隊やA-10攻撃機のような、戦術の主力要素と、融合しつつあり、その力を拡張しつつあるのだ。より多く、かつ、より小型のUAVを使って、小隊は敵陣の背後を見ることができ、結果的に、奇襲を打ち破るための、直接突入ではない、より安全な方法を見いだすことが可能になる。プレデター無人偵察機は、夜間に、標的を「きらめかせる」、つまり、A-10パイロットや地上の歩兵が、その標的を暗視ゴーグルで見られるよう、赤外線で印をつけておくことができるため、パイロットや歩兵が、これまでは決してあり得なかった様々なオプションを使えるようになる。

地上の特殊部隊チームが、わずか90メートル先の標的に対し、空襲を依頼できるCAS(近接航空支援)は、21世紀のテクノロジーを、19世紀型の部隊と融合させることができることを念頭に置かれたい。CASは、2001年末、グリーン・ベレー連中が、アフガニスタン中を馬に乗って移動していた時代に、タリバン政権を打倒するのに不可欠な画期的戦術だった。私が訪問する数日前に行われた、ヘルファイアー攻撃のビデオは、新しいプレデター無人偵察機技術と、旧来の戦術を結びつける、新たな戦法を実証していた。何機かの軍ヘリコプターが、東部アフガニスタンにある建物の上空を、威嚇するように飛行するよう、呼ばれていた。特別なことなど皆無だ。10人ほどのタリバンが、野原に逃げ出した。それこそが、まさにアメリカ軍が期待していたことだった。ヘリコプターの飛来は、タリバンを戸外に狩り出すよう仕組まれた陽動作戦で、プレデター無人偵察機からのミサイルが、建物を攻撃していれば避けられなかった巻き添え被害無しに、連中を殺害した。

将来のプレデター無人偵察機は、ヘルファイアより大きく、重い兵器を発射できるようになり、天候に左右されないほど高い高度、9100メートルを飛べるようになるだろう。だがプレデター無人偵察機は、特にそれが進歩すればするほど、意思決定の邪魔をするようにもなりかねない。あるパイロットが私に言った。「プレデター無人偵察機からの、映像による確認無しに、相手を攻撃しようという将官などいません。よくあることですよ。あらゆる証拠がそろう頃には、戦果を出すには遅すぎるのです」総力戦を戦うことに何の良心の呵責を持たない敵と戦うさなか、作戦の機会を増やすのではなく、プレデター無人偵察機は、作戦の機会を制限しかねないのだ。

実際、より多くの任務を観察すればするほど、プレデター無人偵察機にできないことが、益々分かってくる。プレデターは、人間による諜報活動の測り知れない不足から生じる間隙の、ごく僅かな部分を埋められるのに過ぎない。ある夜間任務(ラスベガスでは朝だった)は、まさにその好例となった。

我々は、カンダハル北西部のサンギン上空を飛行していた(つまり、飛行していたも同然というわけだが)。パイロットは、450人のタリバンに包囲されたとされている町役場のGPS座標を与えられている。空軍の兵器庫の中で(B-2スピリットを除き)最も重く、最高のハイテク爆撃機であるB-1ランサーが、威嚇飛行として、上空飛行をしようとしているのだ。だがプレドのパイロットは、ほとんど真夜中近くであるにもかかわらず、計器で、ほぼ37.7度とわかる場所で、「屋上で涼んでいる数人の男たち以外」何も見えない。「人間は見えるが、何も変わったことは見あたらない」と探知担当者は報告した。「本当に位置情報は正しいのか?」近くの警察署を観察するため、彼はカメラを移動した。依然、何もない。

パイロットはヘッドセットを通して言った。「狂っているぜ。450人のタリバンだって! 麻薬でもやっているのか? それなのにB-1を送り込もうとしているのだから。一体誰を脅かすためにだ? 屋上で涼んでいる役立たずか?」

屋上で蠢いている三人のローブを着た人物を見つめながら、私はその光景が想像できた。暑さ、彼らが沸かしているであろうお茶、とりとめのない雑談。そして、ここで我々、ほぼ半ダースの人々が、JTAC、トレーラーの中のパイロットと探知担当者、カタールと、バージニア州ノーフォークのラングレー空軍基地にいる画像解析専門家が、最新の偉大な技術を用いて、話し合いっているのに、誰も一体何が起きているのかわかっていないように思えた。電子的にアクセスできる人々の人数そのものが、更に任務を混乱させている可能性が高そうだった。風景の中に溶け込むことができる彼ら、ターバンをつけ、AK-47を持った男たちの周囲で、堂々巡りだ。

地域を精査しても、プレドは依然として何も発見できない。そこで、我々は、別の命令を受けた。カンダハルの西に、食糧と補給品を輸送している装飾トラックの車輛集団に対して、部隊保全を行うのだ。我々は、それをちょっとの間だけ行った。奇襲が準備されていそうなワジを点検し、IEDの可能性がある、道路前方のネズミをチェックした。最後に、特定の“g-トラック”(ラスベガスの人間は誰一人として、その意味を知らなかった)を探すよう命じられた。それで、プレデター無人偵察機は、沢山のトラックを隠しているように見える並木の方に向かった。しかし、一体何が、あるいは誰が、それに乗っているのか、あるいは、運転手が何をするつもりなのかを知るのは不可能だ。

カンダハル近くの同じ地域で、グリーン・ベレーに従軍して、このような日々を過ごしたことがある。そうした日々は、いつも「一体何が起きているのかなど、誰も知っちゃいない。」という軍曹達のつぶやきで終わるのだった。

ラスベガスで話していた時「そう」とプランプ大佐は言った。「我々は、こうした地上任務のさなかにあるために、結果として、時には、皆と同じように混乱します。典型的な戦争の不透明さですよ。」

記事原文のurl:www.theatlantic.com/doc/200609/taliban-vegas

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wsws.orgの下記記事内容、直接この記事とつながっている。

オバマ政権、無人飛行機による殺害にブラックウォーターを活用

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映画『ワールド・オブ・ライズ』や、古くは『エネミー・オブ・アメリカ』を思い出す。前者には、無人飛行機からの空撮画像を拡大すると、砂漠に立つデカプリオの姿が見えた。後者には、たしか、ビル屋上のジーン・ハックマンの顔が見える場面があった。こちらは、無人飛行機がなかった時代の作品だろうが。
「無人飛行機、一般市民を誤爆」というような記事を、そのまま読み過ごしていたが、一体、誰が、どこで、操縦しているのか、不思議に思っていた。

搭載されている光学器機、つまり、望遠レンズやビデオ・カメラなどは、ほとんど日本製品だろう。日本の民需商品が、アフガニスタンやパキスタンの民間人殺戮に使用されている可能性、さほど低くはないだろう。あるいは、韓国製品なのだろうか?

北ミサイルに日米共同対処 武器輸出三原則を緩和 安保防衛懇

などといった記事(サンケイ)、つまりは、政府、財界、政党の共通基本方針、カメラのたぐいよりも、より直接的な、ミサイル本体等の製造輸出も、間もなく行われるという予告だろう。

島本慈子著の岩波新書 ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 を思い出した。

この本には、軍需と民需にかかる霧、「輸出の規制緩和」と「秘密の規制強化」等の見出しがある。
さらには、「無人戦闘機が示す未来」という見出しさえある。

アスガニスタンISAFへの派兵を言い出したオザワ氏、発言撤回をしたという記事を読んだ記憶はない。民主党、現在は、アフガニスタンへの「民生支援」を、言っているようだ。民生支援などといっても、違法に攻撃侵略し、殺人をする帝国軍隊側について、なだめ役やら、救助役をしたとて、本質的な役にたつはずなどないだろう。信じるアフガニスタン国民などいるまい。まさか、無人飛行機搭載のビデオ・カメラ保守要員派遣などということはあるまいが。宗主国の侵略戦争にはつきあえない。宗主国が、侵略戦争をやめたら、「民生支援」をする、というのならば、論理的な整合性はあるだろうが。核兵器廃絶を主張するのは、もっともなことだが、その素直な延長は、罪のない国、国民への無人飛行機による無差別空襲への反対、アメリカ主導による侵略戦争反対だろう。そうした姿勢は、もちろん、自民党にも、公明党にも、民主党にも、基本的に欠如している。
宗主国・属国政府や、軍と、全く無関係に、農民たちの本当の民生向上のために、地道な活動をしておられるペシャワール会の中村哲医師らによる、日本人離れした活動こそ、例外的な、本当の援助だろう。中村哲医師はちなみにキリスト教信者だ。

さて、そのオザワ氏に対し、評論家の藤原肇氏、15年前に、素晴らしい指摘をしておられる。この文章、今でも、そのまま有効だと思うが、もちろん商業マスコミによって広められることはありえない。民主党による政権交代に浮かれておられる皆様にも、是非一度お読みいただきたいものだ。

『日本が本当に危ない』1994.06.25発行 小沢一郎のイカサマ政治がなぜまかり通る

長年かけて、日本の完全属国化政策を推進してきた、宗主国のジャパン・ハンドラー、そして自民・民主・公明の属国側の走狗、財界、マスコミの連中の高笑いが、聞こえてくる。自民が大敗北するのも、属国化シナリオのうち。やがて衆議院の比例議席を大幅削減し、めんどうな、本当の野党を壊滅させることこそが、そうした支配層の長年にわたる計画なのだから。この小選挙区を導入したオザワ氏を評価する庶民の方々の思考回路、どうしても理解できない。普通なら、自分の首を締められたら、決して喜ばず、抵抗するだろう。お盆休み、ジョージ・オーウェルの『動物農場』のご一読を、強くおすすめする。

関連記事翻訳:

アフガニスタン人を苦しめているのは、ハイテク機器や、海外派兵されている軍隊だけではない。在日米軍基地も、もちろん重要な役割を演じている。

三沢のパイロット「最も功績ある飛行」の栄誉を受ける 2008.9.16

そして、「できることは、民間外注する」のは、宗主国が本場。下記は、CIAが暗殺作業を、ブラックウォーターに外注しているという記事。

アメリカ暗殺部隊株式会社

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当然、イラクでも、大規模に活用されている。映画、「ワールド・オブ・ライズ」やはり、そうした情報をもとに、作られていたのだ。

ワールド・オブ・ライズ リドリー・スコット監督インタビュー

2009年8月 8日 (土)

ホンジュラス:米国企業二社がたくらんだ軍事クーデター?

John Perkins

2009年8月7日

"Information Clearing House"

私は最近、中米を訪問した。話をした現地の人々は皆、民主的に選出されたホンジュラス大統領マヌエル・セラヤを打倒した軍事クーデターは、CIAの支援を得て、アメリカ企業二社が企んだのだと確信していた。そして、アメリカとその新大統領が、デモクラシーに味方をして立ち上がりはしないことを。

今年早々、チキータ・ブランズ・インターナショナル社(旧ユナイテッド・フルーツ)と、ドール・フード社は、ホンジュラス最低賃金の60%引き上げを支持しているセラヤを、この政策は、企業収益に干渉するものだと主張して、激しく批判した。両社には、労働搾取工場での低賃金労働に依存する企業である、織物業者や輸出業者の連合も加わった。

アメリカでは、記憶は短期間に消え失せるが、中米ではそうではない。1954年に、チキータ(ユナイテッド・フルーツ)とCIAが、民主的に選出されたグアテマラ大統領ハコボ・アルベンスを打倒し、1973年に、インターナショナル・テレホン&テレグラフ(ITT)と、ヘンリー・キッシンジャーとCIAが、チリのサルバドール・アジェンデを破滅させたのは、法的な記録事項だという人々の主張を、ずっと聞かされ続けていた。こうした人々は、ハイチのジャン・ベルトラン・アリスティド大統領も、セラヤ同様、最低賃金の引き上げを提案したために、2004年、CIAによって追放されたに違いないと確信している。

パナマの銀行のある副頭取にこう言われた。「もしも、ホンジュラスが時給を上げれば、それ以外の中南米とカリブ海諸国も、続かざるを得ないことを、あらゆる多国籍企業は知っています。ハイチとホンジュラスが、常に最低賃金の限界を設定しているのです。大企業は、この半球において、彼らが‘左翼革命’と呼ぶものを止めようと決心したのです。セラヤを打倒することで、連中は自国民の生活水準を上げようとする他の全ての大統領に対しても、恐ろしいメッセージを送っているわけです。」

あらゆる中南米の首都に風靡している動揺を思い描くのに、想像力などほとんど無用だ。アメリカで、バラク・オバマが選出されて以来、北の帝国も、とうとう南の隣人諸国に対し、同情を示すようになり、不公平な貿易協定や、民営化や、過酷なIMFの構造調整プログラムや、軍事介入の脅威は下火になり、恐らくは、消えてしまいさえするのではという集団的な安堵感、かすかな希望が一時はあった。いまやこの楽観主義も失われた。

私がパナマに到着して、数日後、ホンジュラスの軍事クーデター指導部と、大企業権力との癒着が、確認された。イギリスのガーディアン紙は「ホンジュラス・クーデター政府の最高顧問の二人は、アメリカ国務長官と親密な関係にある。その一人、有力なロビイストのラニー・デイビスは、ビル・クリントン大統領の元弁護士で、ヒラリーの選挙運動も手伝った...クーデター政府に、金で雇われた殺し屋のもう一人、 クリントンと深いつながりを持っているのは(ロビイスト)ベネット・ラトクリフだ。」という記事を掲載したのだ(1)

デモクラシー・ナウ!は、チキータの代理人が、強力なワシントンの法律事務所コビントン & バーリングLLPと、そのコンサルタント、マクラーティ・アソシエーツであるというニュースを発表した(2)。オバマ大統領の司法長官エリック・ホルダーは、コビントンの元パートナーで、同社がコロンビアで“暗殺部隊”を雇ったことを告訴された際のチキータの被告弁護士だった(チキータはアメリカ政府によって、テロリスト集団としてあげられている組織に、“みかじめ料”として金を支払ったことを認め有罪となり、2004年、2500万ドルの罰金に合意した)。(3) コビントンの元弁護士で、ジョージ・W・ブッシュの国連大使ジョン・ボルトンは、自国資源から得られた利益に対し、より大きな分け前を得る自国民の権利を求めて戦う中南米の指導者たちに、激しく反対していた。2006年に政府を去った後、ボルトンは、アメリカ新世紀プロジェクトや、カウンシル・フォー・ナショナル・ポリシーや、ホンジュラスや他の国々で、企業の覇権を推進する多数の他のプログラムに加わった。

マクラーティ副会長ジョン・ネグロポンテは、1981年から1985年まで、駐ホンジュラス・アメリカ大使をつとめ、元国務副長官、国家情報長官、国連でのアメリカ代表をつとめた。ニカラグアのサンディニスタ政府に対する、アメリカが支援したコントラ秘密戦争において、彼は重要な役割を果たしており、民主的に選出された改革支持派の中南米大統領達の政策に一貫して反対してきた。(4) この三人は、大企業権力の狡猾な力、超党派的構造、オバマ政権は飲み込まれてしまっているという事実を象徴している。

ロサンゼルス・タイムズは、以下の結論を出して、この事件の核心に触れた。

ホンジュラスで起きたことは、別の意味での典型的な中南米クーデターだ。これを率いたロメオ・ヴァスケス将軍は、アメリカ陸軍米州学校(スクール・オブ・アメリカという名前だったが、悪名の高さゆえにか、西半球安全保障協力研究所と改称された)卒業生だ。この学校は、軍事クーデターを含む、重大な人権侵害を犯してきた中南米諸国の将校連中を生み出していることで良く知られている。(5)

こうしたことの全てから、我々は、再び、当然の結論へと導かれる。読者も私も、この体制を変えなければいけないのだ。民主党員であれ、共和党員であれ、大統領は、正々堂々と、我々に意見を述べる必要がある。

チキータと、ドール、そして、あらゆる国会議員は、国民の声を聞くべきなのだ。セラヤは復職させられるべきだ。

脚注

(1)

“アメリカ外交政策の責任者は誰? ホンジュラスのクーデター、バラク・オバマと国務長官ヒラリー・クリントンとの溝を露呈”Mark Weisbrot

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2009/jul/16/honduras-coup-obama-clinton (2009年7月23日)

(2) http://www.democracynow.org/2009/7/21/from_arbenz_to_zelaya_chiquita_in (2009年7月23日) “From Arbenz to Zelaya: Chiquita in Latin America”(下記に、この記事翻訳へのリンクあり)

(3) “チキータ、コロンビアのテロリストへの支払いを認める: バナナ会社、AUCにみかじめ料を支払った罰金として、2500万ドルの罰金に同意” MSNBC 2007年3月15日、 http://www.msnbc.msn.com/id/17615143/ (2009年7月24日)

(4) より詳細情報は下記:  http://aconstantineblacklist.blogspot.com/2009/07/eric-holder-and-chaquita-covington.html (2009年7月23日) 

(5) “ホンジュラス・クーデターに対する、高い地位からの秘密支援: 同国の正当な大統領は、ワシントン・インサイダーから多くのヒントを得ている軍指導部によって、追放された” Mark Weisbrot、ロサンゼルス・タイムズ、2009年7月23日

http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-weisbrot23-2009jul23,0,7566740.story (2009年7月23日)

記事原文のurl:informationclearinghouse.info/article23211.htm

デモクラシー・ナウ!上記記事の翻訳 凸 NewsFanzine 凸もっと遠くへ
アルベンズからセラヤ大統領まで:ラテンアメリカのチキータバナナ

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商業テレビ・新聞は、もっぱら、(エセ)二大政党の政権交代なる話題か、芸能人の麻薬汚染の話ばかり。高校生野球という、美しい話題もある。

筆頭属国の庶民としては、ホンジュラス・クーデターの実態や行方こそ、完全二大政党化・属国化する前の、最後の選挙で、どこに投票したらよいのかを考えるヒントになるだろうに。こちらの話は、もちろん全く報道しない。

うだる暑さの中、先祖の墓参りのほうが、これから何十世代も続くことになる、二大政党属国化を考えるより、もちろん大切。そう、再来週あたり、墓参りしよう。

2009年8月 5日 (水)

アフガニスタンにおけるドイツの攻勢

wsws.org

2009年7月27日

ドイツ軍は、過去数日間、アフガニスタンにおける介入を劇的に強化している。北部アフガニスタンにおける大規模攻撃の中で、ドイツ軍は、マーダー武装兵員輸送車輛やモーゼル迫撃砲を含む重火器を展開した。

ヒトラーの軍隊が、ヨーロッパの大部分を荒廃させて以来初めて、ドイツ軍は再び“反乱分子”に対する大規模な軍事作戦を遂行している。新聞報道によると、21-cmモーゼル18大型野砲は、第二次世界大戦のあらゆる戦線で、ヒトラーのドイツ国防軍が用いた主要な武器の一つだった。今、現代的な姿をした同じ武器が、敵に対し、雨あられのごとく破壊をもたらすべく、再び用いられている。

最新の配備に対する決断は、ドイツ国会によるものというよりは、軍の最高司令部そのものによって行われたものだった。前代未聞のごう慢さと、我の強さで、ドイツ連邦軍総監ウォルフガング・シュナイダーハンは、軍事行動について「このエスカレーションをすべき時期だったというだけのことだ。」と片づけた。

既に事前に、兵器は交戦地帯に既に搬送されていた。現地の軍首脳部は、武器を使用するかどうか、いつ使用するのか、を判断する責任を持っており、彼らはその決断に至ったのだと、シュナイダーハンは述べた。

(キリスト民主党の)フランツ・ヨーゼフ・ユング・ドイツ国防相は、最近の配備の重要さを、軽視しようと企んだ。彼によれば、これは、対タリバン戦闘として、アフガニスタン治安部隊によって行われた、800人のアフガニスタン兵士と、100人のアフガニスタン警官が関与し、「300人のドイツ兵が攻勢を支援した」単なる作戦なのだ。

彼は更に発言した。これこそが、ドイツ軍に対する既存の付託を拡張する承認を得たり、国会で討論を行ったりする必要がない理由だ。現在の配備は、ドイツ国会が既に承認している付託と「完全に合致している」と彼は主張した。

ドイツ分遣隊を4,500人に拡張するため、更に1,000人の兵士を、クンドゥス州に派兵するのに何ら問題はあるまいと、ユングは補足した。過去数週間、治安状況は大幅に悪化しているが、新たな付託の必要はない、とユングは強調した。

ユング発言は、現在のドイツ軍は、その先駆者「ドイツ国防軍」とは異なり、国会に対して責任を負っているという主張が役にたっていないことを明らかにしている。ドイツ史から得られた最も重要な教訓の一つは、ドイツの軍事政策は、もはやドイツ軍最高司令部によってではなく、国民から選ばれた議員達によって、決定されるべきなのだという、政治家達が繰り返して来た主張は、欺瞞以上の何物でもないことが明らかになった。

ドイツ軍が70年前に行った犯罪の後、軍司令部は、何十年もの間、何もせずじっとしているよう強いられてきた。今や、その時期も終わり、伝統的なごう慢さに満ちた軍首脳部が再登場したのだ。

シュナイダーハン総監は、最高司令部こそが、将来のドイツ軍配備についての重要な決断を行い、ドイツ議会が、軍の行動に対し、いつ白紙委任を与えるべきかを決定するのだということを決定的に明らかにした。ユング国防相は、軍首脳部と政府との密接な協力を強調し、同時に、ドイツ軍は、ドイツ国民からの十分な支援に欠けていると警告した。軍が遂行している軍事介入を正当化するための努力を、国会が強化するよう、彼は遠回しに要求したのだ。

時折、声高にアフガニスタン戦争反対の主張をしてきた左翼党を念頭において、アフガニスタンにおけるドイツ軍の介入を“選挙キャンペーンの掩護材料”に使うのは、全く無責任だと国防相は語った。彼が言うには、過激派イスラム教徒のタリバンは、ドイツ国内で戦争がいかに不人気かを知っているので、意図的にドイツ軍を攻撃対象に選んでいるのだ。

戦争に反対する人々は、タリバンの共犯者であり、ドイツ兵士の死亡に対する責任を負っているのだと、ユングはほのめかそうと努めた。

政府は、圧倒的大多数の国民が、戦争に反対しているのは十分承知している。にもかかわらず、政府は重火器配備に同意する体勢にあり、ドイツ空軍作戦の拡大を計画し、アフガニスタンでの高い死傷者数を受け入れ、更に多くのドイツ兵の死亡や、不可避的に生じるであろう、ドイツ国内そのものにおける報復テロの危険が増大している。軍事政権のような手口で、戦争に反対している一般国民は、犠牲者の増大に責任があると示唆するような主張を活用している。

最も強烈な戦争主導者として目立つ人々の中には、社会民主党(SPD)の連中がいる。第一次世界大戦末に、傭兵集団の義勇軍(フライコール)を作り上げ、何千人もの革命的労働者の射殺に関与した、国防大臣のSPD幹部グスタフ・ノスケの伝統を受け、社会民主党は、今日、戦争に反対する人々を弾圧することを要求しているのだ。

「ドイツ人が、この戦争を支持することを非常にいやがっているという事実に、私は憤っている」ディー・ツァイトの最新号で、元SPD国防相ペーター・シュトルックはこう発言している。彼はこうつけ加えた。「いまや、これはメルケル首相次第だ。ドイツ首相として、彼女はこの雰囲気を克服すべく邁進しなければならない。」

国民に対し、一層権威主義的なやり方を推進せよという、政府へのこうした要求は、戦争という問題だけに限らず、圧政的、独裁的体制を求める呼びかけも同然だ。経済危機の劇的な結果のさなかにあって、つまり失業の増大と、貧困の拡大の中、支配層において、社会不安に対する恐怖が増大しつつある。これに応えて、シュトルックや他の政治家達は、法と秩序を維持するため、国家によって、権威主義的な対策がとられるべきだと要求している。

ドイツでは、反戦論者が増えつつある。最近の世論調査の一つによれば、反対の世論が85パーセントだ。しかしながら、戦争という問題と、社会的問題には密接な関係があるにもかかわらず、既成の政党の一つとして、あるいは、いかなる労働組合も、反戦行動を進んで呼びかけようとはしていない。数年前に起きたイラク戦争反対の抗議集会は沈黙させられ、大衆運動は、ベルリンで、左翼党が、政府権力の一翼をになって推進している反社会的政策への反対へと向かいかねないという恐れから、左翼党はいかなる抗議を呼びかけることも控えている。

左翼党は、アフガニスタンからのドイツ軍撤退を何度か要求してはきたものの、基本的な方向性は、この戦争の主唱者、擁護者の一派であるSPDとの政治的協調だ。

戦争の本当の目的を隠ぺいするために、ドイツ兵士の配備は、武装配備ではあるが、戦争介入にはあたらない、という主張をユングは続けている。とはいえ、現在の攻勢は、“積極的人道主義”に基づく配備という政府のプロパガンダを愚弄している。人道的支援の名において建設された道路が、今や戦車や、装甲兵員輸送車によって破壊されつつあり、最近建設された建物の多くは、この所の戦争エスカレーションの結果、瓦礫と化した。

ドイツは、アメリカ、イギリスに継いで、アフガニスタンで三番目に大きな駐留軍を擁しており、アメリカとNATOが遂行している植民地征服戦争を、直接的に支援しているかとが、時間がたつにつれ、益々明らかになりつつある。そうすることで、ドイツ支配層エリートは、大国外交という積年の伝統を活用し、自らの権益をも追求しているのだ。

ドイツ-アフガニスタン関係についての書籍で、マールブルグ大学教授マルチン・バラキは、こう書いている。「ウィルヘルム皇帝時代のドイツ支配階級は、アフガニスタンの国内政策の方向に入念に寄り添い、第一次世界大戦における、ドイツ自らの軍事的目標のため、イギリス支配から独立しようとするアフガニスタン国民の努力を、初めて利用しようとした。」

同じ著者による、ヒトラー政権が、カーブルの支配的派閥と、良好かつ、揺るぎない関係を維持し続けたことに関する長い記述は、ドイツの地政学的野望に対する、アフガニスタンの途方もない重要性を明確に示している。

Ulrich Rippert

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/jul2009/pers-j27.shtml

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国名と人名を入れ換えれば、日本の未来図になりそう。

今回の選挙、「郵政民営化」というシングル・イッシューで衆目をくらませた911小泉郵政選挙の裏返し。民主党が「政権交代」シングル・イッシューで大勝利。後はあの時の自民党と同じ、やりたい放題。

民主党「政権交代」した後、庶民が楽になるように政治を切り換える保証は皆無。逆の可能性ならいくらでも見いだせる。ソマリア派兵を言い出したのは、民主党長島議員。

そして、アフガニスタンISAF(国際治安支援部隊)に派兵すると昨年発言したのは、皆様が尊敬するオザワ氏。ドイツに続けとばかりに、ソマリアのみならずアフガニスタンにも派兵するだろう。

おりしも、安全保障と防衛力に関する懇談会(座長・勝俣恒久東京電力会長)が、4日に提出した報告書で、集団的自衛権の行使にも踏み込み、国際共同開発に加わるため、武器輸出三原則の緩和も求めている。

市場原理主義の導入が無事終わり、政府・財界の計画通り、無職でいるより、砲弾の餌食になりたいという方々?すら出現。国家による殺人、最高に効率的な経済政策だろう。

小選挙区制度を導入したオザワ氏、見事、二大政党(派閥)を定着させ、次はもちろん壊憲。

政権交代に続く、「国会議員定数の比例削減」で、うるさい野党は完全消滅する。

まもなく「属国軍国主義、栄光の日々」が到来。

日本列島という暮らしにくい、実質「不沈空母」の上を、うろちょろする庶民にとって、もちろん「栄光」どころではなく、「艱難辛苦」の日々が無限に続くだろう。

朝刊の新刊広告に『それでも、日本人は「戦争」を選んだ 』加藤陽子著、朝日出版社刊の広告が載っていた。先の大戦をテーマにした、エリート高校生向け授業の講義録。

この書名『それでも、日本人は「戦争」を選んだ 』、まるで今回の民主党圧勝選挙を示唆しているように思えて不気味。

戦争をする「普通の国」にしたいオザワ氏に、白紙委任状を発行する選挙。自民党潰し、ええじゃないかのガス抜きのあと、民主党に、みっちり血と汗を絞られる。政権交代の一体何が、庶民にとってめでたいのだろう?

「歴史的大敗」と漢字変換をしようとしたら、「歴史的頽廃」になったという文章を読んだ記憶がある。かな漢字変換、なんと天才的か。

将来いつの日か、ジョン・エドワード・フランシス・アクトンの箴言を思い出し、議席を少数野党に分散しておけばよかったのにと思う人々が、万一多少現れても、後悔先に立たず。

権力は腐敗する。絶対権力は、絶対に腐敗する。

Power tends to corrupt, and absolute power corrupts absolutely.

2009年8月 1日 (土)

カラー革命: ブルガリア対ウクライナ: まばたいてはいけない!

Eric Walberg

2009年7月21日

オバマの、ロシアの裏庭における地政学的措置は、好調に前進している... まず、ブルガリアで選挙が行われ、7月5日、新政党が権力を握った。ボイコ・ボリソフの「ヨーロッパ発展のためのブルガリア市民」だ。親しみをこめてバットマンとも呼ばれているが、ボリソフは、共産党時代の内務省職員で、後に、繁盛する民間警備会社を設立し、2005年以来、ソフィア市長をつとめていた。いつもの、汚職と戦い、より良い経済的未来を確保するという選挙キャンペーンを彼はおこなった。バットマンは、デア・シュピーゲルとのインタビューで、CIAとFBIから、恐らくは、闇の勢力との戦いに対してであろう"称賛の手紙"をもらったと自慢していた。首相として、彼が最初に行ったことの一つは、しかしながら、モスクワとの間の既存のエネルギー契約、つまりサウス・ストリーム・パイプラインと、原子力発電所プロジェクトとの両方の保留だ。

この"デモクラシー"の勝利は、至る所に"アメリカ製"と書きつけられている。2007年、モスクワは、二本の代替パイプライン計画を決定した。ウクライナとポーランドを迂回する、バルト海海底から、ドイツへのノース・ストリームと、黒海海底、ブルガリア、そして、ヨーロッパへのサウス・ストリームだ。ソフィア政府は、EUとNATOのメンバーであるにもかかわらず、2008年に、モスクワとエネルギー協定に調印した。この件と、2009年1月のウクライナとロシア間のガス危機により、ブルガリアに体制変換が、不可欠のものとなり、アメリカ政府が資金援助をしている全米民主主義基金によるサービスが、(彼等は、1990年のブルガリア政府転覆を支援した)明らかに、非常に有効に活用されたわけだ。買収による票集めで損なわれた(NEDにもかかわらず、あるいは、そのおかげで?)選挙からわずか一週間後、ブルガリア新首相はロシアとの契約を破棄した。

ボリソフは、一週間後アンカラに出張し、EUナブッコ・パイプラインに調印した。アメリカのユーラシア・エネルギー特使、民主党のリチャード・モーニングスターと、共和党上院議員リチャード・ルーガー(超党派であることに留意)が、アンカラで、7月13日の調印式に彼と合流した。全て計画通りに進めば、カスピ海地域と中東から、中・西欧の市場へと、ガスを輸送するナブッコ計画は、サウス・ストリームのお株を奪うことになる。アゼルバイジャン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イランとイラクを供給国候補だ。ルーガー上院議員は、真顔でこう言った。トルコで調印されたナブッコ協定は、政治的な目的による、エネルギー供給の操作には、パートナー政府は黙従などしないという、世界の他の国々に対する合図だ。これはまた、平和的な協力のための新たな手段を構築する可能性をも秘めている。」オバマは、そうしたつまらない話を、7月7日の「モスクワ演説」で更に蒸し返した。「2009年、大国は他国を支配したり、悪魔化したりして、力を示すことはない。帝国が主権国家をチェス盤上の駒のように扱える時代は終わった。」

とはいえ、ナブッコがそのパイプラインに必要としているのと同じガス田である、シャーデニス・ガス田のガス取引について、6月にロシアのガスプロムとも仮調印している、アゼルバイジャンは、ナブッコを実現可能なものにするだけの十分なガスを提供するには問題があるかも知れない。アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、ロシアと西欧間の競争の板挟みとなって、結局、誰が最高の価格を支払うか?ということになりうる。たとえ、ナブッコが、アゼルバイジャンのガスを、ガスプロムと既に合意した価格で買うという取引をまとめたにせよ、F ウイリアム・イングドールによると、十分行き渡るほどにはないのだという。そして他の全ての供給者候補にも問題はある。

ルーガー上院議員は、上院で、またもや真顔で言った。「理想的には、天然ガス、また、やがては石油供給も、この種の資源を、統一イラクが輸出してくれる可能性がある。そうなれば、イラクの歴史における極めて悲劇的な時期に対し、奇跡的な出来事であり、素晴らしい結末となるだろう。」もちろん、もしイラクがアメリカの属国状態を黙諾すればだが。たとえそうであっても、トルコに向かうイラクのガスは、トルコと現イラク政府に対する分離主義の温床である、クルド地域を経由する。もう一つの主要ガス供給源はイランだろう。

オバマが大げさに売り込んでも、彼の顧問たちは、実際はチェイニーとブッシュ達と同じ地政学的ゲームを演じているのだ。これは、アメリカという、いわゆる教化をする国と、それ以外の、教化されるべき国々との間の"文明"の衝突だ。しかし、イランとロシアは、オバマ演説を借用すれば、他の国々ほどには、容易には「支配するか、悪魔化する」ことができない。この国とワシントンとの動力学を変えるには、イラン侵略が必要だろう。また、ワシントンから流れてくる熱風は、ミサイル基地と、ウクライナとグルジアを飲み込むというNATOの誓約によって生み出された、ロシア人の疑惑の雲を消散させることはあるまい。

後者二カ国の"文明"の程度は、今のところ「明らか」とはほど遠い。グルジアの野党は、昨年夏に、悲惨な対ロシア戦争を彼がしかけて以来、グルジア大統領ミヘイル・サアカシュヴィリの辞職要求を継続している。現在混乱にあるグルジアを、ナブッコ・パイプライン計画における主要なリンクとして依存するのは、かなりのギャンブルだ。

ウクライナの世論調査では、非常に重要なことが明らかになっている。「もしも我々が、夢想して、ロシア首相ウラジーミル・プーチンが、ウクライナ大統領の職に出馬すると仮定したらどうか、についての世論調査結果によると、彼は即座に勝利するだろう」と、キエフの世論調査会社リサーチ & ブランディング(R&B)のアナリスト、アレクセイ・リャシェンコは言う。「本格的な競争相手になるのは、ロシア大統領ドミトリー・メドベージェフしかいません。」リャシェンコによれば、これは目新しいことではないと言う。プーチンの人気は、2004年の "オレンジ革命"の間ですら、50パーセントを超えていた。5月に公開された、世論調査結果は、ウクライナ人の58パーセントが、プーチンに好意的で、56パーセントが、メドベージェフを良いとしていることを示している。親ロシア派の野党、地域党のヴィクトル・ヤヌコヴィッチ党首は、現在30パーセントの支持率を享受しており、首相ユリア・ティモシェンコは、15パーセントだ。2010年1月の大統領選挙では、5パーセントを上回る程度、ごく少数のウクライナ人が、反ロシアの大統領ヴィクトル・ユシチェンコに投票するだろう。キエフ国際社会学研究所(KIIS)理事長のワレリー・フメルコによると、「メドベージェフとプーチンが、それほど高い評価を受ける主な理由は、ウクライナ政治における、果てしない紛争と意趣返し合戦ゆえに、ロシアの政治家が良く見えているためだ。」「ウクライナ人が、ロシアの国営テレビが好きなことと、危機の時代における強い指導力への期待も、これに貢献している」とR&Bのリャシェンコは語っている。

KIISの世論調査では、25パーセントが、ロシアとの完全統合を、68パーセントが、ロシアと、EU型の国境解放式の形態方式、つまり、ロシアもウクライナも、ビザや税関なしの"独立はしているが、友好的な国家"を望んでいる。世論調査は、半数以上のウクライナ人が、NATO加盟に反対していることを一貫して示しており、いずれにせよ、そのための国民投票は必要だ。「ウクライナ国民の90パーセント以上が、ロシアに対して、好意的な態度を示しており、昨年それは更に好転している」とKIIS理事長ワレリー・フメルコと述べた。ウクライナ人は、ユシチェンコの友人サアカシュヴィリのことも良く思ってはいない。リャシェンコによると、45パーセントが、サアカシュヴィリに対して否定的な考えで、好意的なものはわずか11パーセントしかない。

ジョー・バイデン副大統領が、今週グルジアとウクライナを訪問し、ワシントンは、公式的には、依然としてウクライナ、グルジア両国のNATO加盟を支持している。「ロシアとの関係をやり直すという、わが国の努力は、どこか他の国を犠牲にして行うものではない」と、バイデンの国家安全保障顧問トニー・ブリンケンは述べた。「我々の願いは、これらの指導者達が、革命の約束を果たし、協力して働くという困難な選択をしてくれることだ」ブリンケンは、ウクライナのオレンジ革命にふれ、そう語った。オバマ政権は、ウクライナ国民同様と、申しあげておきたいが、キエフの"政治的麻痺"を懸念している、と彼は語った。NATOについて、同盟に加盟したいかどうかを決めるのは、ウクライナとグルジア次第だと述べた。アフガニスタンへの軍隊と武器の通過に対する、アメリカのロシアへの依存と、ブリンケンの熱烈とはほど遠い語り口、さらに、オバマの事実上の沈黙からして、 近い将来には、そういうこと起こりそうもないことを示唆している。

そう。モスクワ・サミットで、ウクライナ、グルジアとNATOの話題になった際、プーチンに、オバマは、見てみないふりをしたに違いないことは、もはや明らかだ。それが、アメリカの軍隊を、ロシア経由で、アフガニスタンの戦場に派兵する唯一の方法なのだから。しかしナブッコ・パイプラインの成功が、黒海でのNATO "演習"継続や、NATOと、ロシアを除く、全黒海沿岸諸国との緊密なつながりと同様、ロシアをいらだたせるのは確実だ。またポーランドは、年内に最初のミサイル設置を予定していると大胆にも発表した。

こうしたゲームに直面しているモスクワは、ワシントンのタカ派を刺激しかねない、いかなる外交的な失敗を避けるには、決して最初に"まばたき"はしないようにする必要があろう。いずれにせよ、オバマのロシア問題主席顧問マイケル・マクフォールが、ロシア・サミット前に語った嘲笑的なセリフ、「我々はロシア人を必要としていない」というのは、決して真実ではない。ワシントンのブルガリア-ウクライナ-カフカス陰謀は、容易に分解しかねない。またたく間に。

Eric Walbergは、Al-Ahram Weeklyに寄稿している。彼とはhttp://ericwalberg.com/で連絡がとれる。

記事原文のurl:ericwalberg.com/index.php?option=com_content&view=article&id=192:bulgaria-vs-ukraine-dont-blink&catid=37:russia-and-ex-soviet-union-english&Itemid=90

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帝国は過酷だ。時間があれば、選挙で、政権を奪取させるカラー革命を狙うのだろうが、間にあわなければ、もちろん軍事クーデターも辞さない

ブルガリアでは、カラー革命が成功。

イランでは、現在、カラー革命が進行中?

ホンジュラスでは、カラー革命ではなく、クーデターが成功。

わが属国日本で、これから行われる選挙が、カラー革命の例外でいられるはずがあるだろうか?強力な軍事基地、思いやり予算(日本語では、普通は、「かつあげ」というのではないだろうか?)、そして郵便貯金等々、最大の金づるの可愛い属国を一人立ちさせてくれるはずがない。自民党ぼろ負けというのも、シナリオのような気がしてきた。

「孫悟空が、觔斗雲(きんとうん)に乗り、世界の果てまで飛んで行き、5本の柱に落書きをして帰ってくるが、その5本の柱とは、お釈迦様の手の指だった。」という西遊記、日本の現実のように思えてくる。

政権交代と騒いでも、結局は、掌の上を騒ぎ回り、自分で自分の首を締めてしまうだけ。

孫悟空は、脱走できないよう、頭に「緊箍児」(きんこじ、別称「金剛圏」)という輪をはめられていた。日本人は、独立できないように、安保条約と、大本営マスコミを与えられているのだろうか?

商業マスコミでない、NPJ通信では、下記のような記事が読める。

マスメディアをどう読むか

丸山重威関東学院大学教授・日本ジャーナリスト会議

問われているのは 「日本の方向」
総選挙の争点は 「政権の選択」 ではない

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