ラスベガスでタリバン狩り -無人機による空爆
2006年9月 Atlantic
スロット・マシーンから、わずか数分のところにあるトレーラーで、空軍パイロットが、イラクやアフガニスタン上空のプレデター無人偵察機を操縦している。現代軍事テクノロジーの脅威と限界に関するケース・スタディ
イラクとアフガニスタンをめぐる、気の利いた出撃任務に従軍するため、私はラスベガスまで、飛行機ででかける必要があった。ラスベガスで、MGMグランド、ベラージオや、シーザーズ・パレスを通り越し、町の外までドライブし、一泊59ドルの低価格ホテル・カジノ・ビルにチェックインした。そこは、運動着姿の肥満体の人々や、電動車椅子を操作する高齢者、ひどく熱狂した片腕のやくざ、ウイスキー、たばこと、ポップコーンのかおりに満ちていた。そこからわずか10分のネリス空軍基地に、迷彩柄トレーラーの一群があった。
「あのトレーラーの中はイラクです。もう一つのトレーラーの中はアフガニスタンです。」ケンタッキー、ルイスビル出身のクリストファー・プランプ空軍中佐が説明してくれた。「いずれにせよ、あそこに入れば、アメリカ中央軍AOR[担当地域]に入るわけです。」
つまり、これらトレーラーの中では、アメリカ北方軍管轄下の北米から離れ、アメリカ中央軍の領域である中東に入るのだ。ややこしい地理は、ここまでにしよう。
MQ-1Bプレデター無人偵察機、クルーの呼び方によれば“プレド”は、ここで操縦されているのだ。地下、そして、海底光ファイバー・ケーブルが、これらのトレーラーを、地上管制局に、実際は、パラボラ・アンテナで、バグダッド上空や、アフガニスタン-パキスタン国境沿いなり、どこなり必要な場所にいる、全プレデター無人偵察機と、直接接続しているヨーロッパとつなげている。現地の空港が、これら無人機を空中に発進させると、ラスベガスが、後を引き継ぐ。
プレデター無人偵察機は、軍が運用している何十種のUAV(無人機)の中で最も有名だ。1990年代に、バルカン半島で初めて使用されたが、イエメンで、2002年11月、プレデター無人偵察機から発射されたAGM-114Pヘルファイア徹甲ミサイルが、五人の仲間と砂漠を旅行中のアルカイダ指導者、アブ・アリ・アル-ハリティが乗った自動車を焼きつくし灰にして、その存在を確立した。また、プレデター無人偵察機は、イラク武装反抗勢力の指導者アブ・ムサブ・アル-ザルカウィの最期の日々を追跡していた。
大半の人は、無人飛行機と聞けば、恐らくは模型飛行機を思い描くだろう。実際、プレデター無人偵察機は、大きなグライダーのような形だ。全長8m、翼幅約15.24mという大きさは、セスナ・スカイホークの寸法に匹敵する。プレデター無人偵察機の外板が、金属をほとんど含まない複合材料でできているため、燃料や爆弾を除けば、重量わずか512キロで、4気筒エンジンによって、24時間も滞空できる。非常に軽いため、練習機の尾部を、片手で持ち上げるられた。パイロット用の生命維持装置も、余計な安全装置も必要とせず、わずか420万ドルしかしない。F-22一機の費用で、40機以上のプレデター無人偵察機を製造することができるのだ。420万ドルのうちの1/4が、飛行機の胴体につけられた回転する球体である“ボール”に使われるが、そこには光学機器、レーザーと、ビデオ・カメラが搭載されている。
しかし、プレデター無人偵察機で、最も目ざましい点は、ゆっくり飛行することだ。大規模な歩兵部隊の編隊を攻撃するのではなく、個人や、戦士達の小集団を探し出して殺すのが目的である、反乱鎮圧作戦では、飛行機が、より低速で飛べば飛ぶほどまさに好都合なのだ。また、低速で飛べば、損傷の度合いも少なく、それが、プレデター無人偵察機が、他の多くの飛行機より、保守の手間がかからない理由だ。
A-10やAC-130のような、低速飛行有人飛行機は、ファルージャのような場所では特に便利だ。こうした飛行機は、複雑な都市という戦闘空間上空のほぼ同じ所に留まっていられるので、こうした飛行機のパイロットは“状況認識”をしており、地上現地の事実を、見て、理解することができるので、戦術行動を遂行している、海兵隊小隊の司令官や、特殊部隊チームの軍曹達から、信頼されている。しかし、これら有人飛行機は、依然として時速333キロで飛行する必要があるのに対し、プレデター無人偵察機は、僅か時速139キロで滞空していられる。また、他の多くのUAVは、低空を飛行しなければならず、トレードマークである、芝刈り機、または雪上車のような音で注意をひいてしまうが、4570メートルの高度を飛行するプレデター無人偵察機は、地上の人間の誰にも、聞こえず、見えない。固定軌道をとび続ける必要がなく、二基のヘルファイア・ミサイルを装備した人工衛星を想像いただきたい。
私は、イラクや、アフガニスタンを、四半世紀にわたって旅しているが、それでも、これらの国々で経験してきたものの中でも、最も啓発的な瞬間のいくつかは、ここラスベガスでおきた。一日は、私があちこちで取材した空軍パイロット連中と何ら変わらず、パイロットのブリーフィングで始まるが、いずれにも共通する緊張した感覚がそこにある。すなわち、ブリーフィングは“母性”、つまり、誰にも分かる基本的事項から始まる。次は、諜報情報による背景説明、それに詳細な天気予報(ネバダではなく、イラクやアフガニスタンについて)が続き、最後は“簡潔”、つまり、当日の暗号だ。掛け時計は、三つの時間帯を表示している。イラク、アフガニスタン、そしてズールー。(ズールー時間、またはZ時間というのは、夏時間調整をしていない、グリニッジ標準時間だ。アメリカ軍は、混乱を避けるため、世界中でZ時間を使っている。)
プレデター無人偵察機を「操縦して」いる人々は、大地から離れる必要はないにもかかわらず、実際にパイロットで、操作担当者ではない。彼らは操縦士の服装をしている。いずれも、A-10、F-15、B-1爆撃機、B-52、または他の多数の飛行機いずれかのベテラン・パイロットだ。スクラップのような、がらくた、ローテクA-10ウォートホッグも、パイロットに、ハイテク・プレドを操縦するための最善の備えをさせてくれる可能性もある。ウォートホッグも、プレデター無人偵察機も、小さな標的に命中させ、限られた空間の中にいる個人を射殺するのだ。「引き金を引いて、悪者を殺したいと思うなら、プレデター無人偵察機を操縦することだね」と、あるプレド・パイロットは言った。
空軍パイロットは、普通20ヶ月周期で働く。16ヶ月の訓練後に、4ヶ月の配備だ。ここでは、20ヶ月の戦闘だ。パイロットが、新たな訓練を必要としないという事実は、納税者にとって、大幅な節約を意味する。パイロットは、ひどく長い戦闘任務の周期のおかげで、景色に高度に精通し、専門知識を高めるのに十分な時間が得られる。プレデター無人偵察機パイロットは、IED(簡易仕掛け爆弾)の存在を示す兆候を知っており、ワジ(乾季の河床)や、他の現象を判読でき、土壁の屋敷への入り口や、アフガニスタンの“装飾”トラック(インド亜大陸至る所や、その周辺で見られる色鮮やかに装飾されたトラック)の外観が識別できる。彼らは、地上の軍隊に対し、一日中話しかけ、助言を与えることもできるのだ。
しかし、戦争で直接的に果たしている役割にもかかわらず、プレデター無人偵察機パイロットが、危険に直面することは皆無だ。実際、あるパイロットが私に言ったように、プレデター無人偵察機は、決して自らを危険に曝すことなしに、人を殺害することができることから、倫理的問題をひき起こす。トレーラー内では、クルーは、飛行シミュレーターで人が感じるような興奮すら感じない。これらパイロットが本当に緊張するのは、トレーラー外部にある、あらゆるものとの会戦だ。
ネリス空軍基地も、交戦地帯からはるか離れた他の基地と共通の、車の運転、服装規定、検査、敬礼等々、堅苦しい規則だらけだ。(交戦地帯、つまり、こうしたトレーラー内部では、任務が何より大重要なので、ざっくばらんさが支配している) しかし、ネリスを一歩出れば、ガソリン・スタンドにさえ、スロット・マシーンがある町の不条理さは言うまでもなく、伴侶、子供たち、宿題や、サッカーの試合というありふれた世界だ。トレーラーの一つに入ったり、そこから出たりするだけのことで、ひどくまごつかされる。
プレデター無人偵察機パイロットとともに従軍する準備として、私は“秘密”作戦を取材する許可は得たが、“極秘”作戦取材の許可は得ていない。そこで、最高、あるいは“高度な”任務の取材は許されず、“軽度”な任務に甘んじるしかなかった。私が最初に入ったトレーラーは、アフガニスタンで仕事をしていた。まるで前年に数週間過ごした潜水艦の中に戻ったように感じた。凍えるような、脈動する闇の中、いかめしい、特徴の無いコンピューターのラック。点滅するLED数字の三次元世界だ。潜水艦の操縦士同様、プレドのパイロットは、地図上の自分の位置表示と数値、つまり、緯度、経度、高度、風速、地面の標高、近傍の航空機、等々の数値表示だけをたよりに、計器飛行をする。回転するボールの中にあるカメラは、監視中の目標にだけ焦点を合わせる。クルーの状況認識は、地上の敵だけに集中する。張り込みをしているほとんどの時間、プレドは、前もってプログラムされた、六角形、競馬場型、ちょうネクタイ型、あるいは何か他の循環型の空中待機パターンで飛行する。
それぞれのトレーラーには二人組のクルーがいる。パイロットと、このボールを操作する“探知担当者”だ。二人とも、地図表示と監視中の目標の大写しを含む半ダースほどのコンピューター画面に向き合っている。あらゆる飛行機と同様に、パイロットは様々なボタンがついた操縦桿を使う。アフガニスタンでは夜間なのだが、カンダハル近くにある、泥壁の小さな二軒の屋敷は、赤外線センサーのおかげで、容易に見ることができ、パイロット用の画面上に、写真ネガのような、明暗のトーンで、画像を表示していた。
にもかかわらず、画面を見ながら、私はなつかしい世界に引き戻された。劇的な、風で削られた丘の斜面の、一段高い土手の上のポプラの木々で区分された、米、ムラサキウマゴヤシ、そして麻の棚田。そして、中庭のある屋敷。そこで、南部アフガニスタン晩春のひどい暑さと埃の中、すてきな星空の下、人々は屋上で眠る。二軒の屋敷間を通る小路は、小型トラックが通るのが精一杯の幅なのを、私は経験から知っている。
パイロットと探知担当者は、自動車が出現するのを待ち受けていた。そして、それを追跡するのだ。少なくとも、それが“お客様”が要求したことなのだ。お客様とは、この場合、現在、南部アフガニスタンにかなりの規模で駐留しているカナダ軍だ。プレデター無人偵察機の需要が非常に高いので、クルーは、与えられるあらゆる任務が重要であるのを当たり前のように思っている。標的の重要度が高ければ高いほど、空中からの張り込みは退屈なことが多い。アルカイダ、タリバン、あるいはイラク人武装反抗勢力の幹部は、優れた作戦保全(OPSEC)を実行している可能性が極めて高く、監視されないようするのに、いかなる苦労もいとわない。プレデター無人偵察機は、何も起きていないように見える一軒の屋敷を、何日間も監視し続けることができる。こうした監視は、狙撃兵部隊と偵察任務に出動するようなものだが、この場合、退屈さが、酷暑や冷気で、さらに過酷になったり、岩の背後に隠れたりする必要は無いだけだ。
パイロットの前にある二つのキーボードのうち、一番良く使われていたのは、チャット用キーボードだった。彼は同じ任務についている他の人々にメッセージを書きながら、マウスピースを通して、普通は、監視中の場所近くの三等軍曹がつとめるJTAC(共同ターミナル航空管制官)に話しかけている。
今、二軒の屋敷を監視しているプレドには、残り一基のヘルファイア・ミサイルしかない。もう一基は、数時間前に発射され、近くの車を破壊したが、それは爆発物を搭載していたことが分かった。途方もない爆破が画面一杯に広がった。
私の横にいたパイロットが言った。「時々、混乱させられることがありますよ。ある現場まで飛行し、いつでも攻撃できる状態にして、A-10が現場に到着するのを待ちます。すると、攻撃がすっかり中止になるのです。一軒の家を何時間も監視するはめになり、見えるものと言えば、しゃがんだ姿勢から、立ち上がった後、地上に残された暖かい痕跡でわかる、夜中、排便しに中庭にでてくる男しかないという具合です。」
隣のトレーラーに入ると、イラクだった。テキサス州出身の軍人の子弟である、アフリカ系アメリカ人女性が、キルクーク西部の巨大石油コンビナート上空で、ボールを操作していた。武装反抗勢力の連中は、夜間、IEDや、大型爆弾を工場内に設置すると考えられている。彼女は三台の怪しいトラックを見て、ズームインした。だが、熱の痕跡は無く、車は、そこにエンジンをかけないまま何時間も止まっていたことがわかったので、ボールを他の方向にむけた。彼女が私に説明する間も、熱の痕跡から、数時間前のことを見ることが可能だ。この情報をもとに、優秀な探知担当者は、報告を書くことができたりする。
だが、UAVの真価は、いまだ進化しつつあるが、それには、軍の部外者はほとんど気がついていない。こうした利点は、海兵隊歩兵小隊やA-10攻撃機のような、戦術の主力要素と、融合しつつあり、その力を拡張しつつあるのだ。より多く、かつ、より小型のUAVを使って、小隊は敵陣の背後を見ることができ、結果的に、奇襲を打ち破るための、直接突入ではない、より安全な方法を見いだすことが可能になる。プレデター無人偵察機は、夜間に、標的を「きらめかせる」、つまり、A-10パイロットや地上の歩兵が、その標的を暗視ゴーグルで見られるよう、赤外線で印をつけておくことができるため、パイロットや歩兵が、これまでは決してあり得なかった様々なオプションを使えるようになる。
地上の特殊部隊チームが、わずか90メートル先の標的に対し、空襲を依頼できるCAS(近接航空支援)は、21世紀のテクノロジーを、19世紀型の部隊と融合させることができることを念頭に置かれたい。CASは、2001年末、グリーン・ベレー連中が、アフガニスタン中を馬に乗って移動していた時代に、タリバン政権を打倒するのに不可欠な画期的戦術だった。私が訪問する数日前に行われた、ヘルファイアー攻撃のビデオは、新しいプレデター無人偵察機技術と、旧来の戦術を結びつける、新たな戦法を実証していた。何機かの軍ヘリコプターが、東部アフガニスタンにある建物の上空を、威嚇するように飛行するよう、呼ばれていた。特別なことなど皆無だ。10人ほどのタリバンが、野原に逃げ出した。それこそが、まさにアメリカ軍が期待していたことだった。ヘリコプターの飛来は、タリバンを戸外に狩り出すよう仕組まれた陽動作戦で、プレデター無人偵察機からのミサイルが、建物を攻撃していれば避けられなかった巻き添え被害無しに、連中を殺害した。
将来のプレデター無人偵察機は、ヘルファイアより大きく、重い兵器を発射できるようになり、天候に左右されないほど高い高度、9100メートルを飛べるようになるだろう。だがプレデター無人偵察機は、特にそれが進歩すればするほど、意思決定の邪魔をするようにもなりかねない。あるパイロットが私に言った。「プレデター無人偵察機からの、映像による確認無しに、相手を攻撃しようという将官などいません。よくあることですよ。あらゆる証拠がそろう頃には、戦果を出すには遅すぎるのです」総力戦を戦うことに何の良心の呵責を持たない敵と戦うさなか、作戦の機会を増やすのではなく、プレデター無人偵察機は、作戦の機会を制限しかねないのだ。
実際、より多くの任務を観察すればするほど、プレデター無人偵察機にできないことが、益々分かってくる。プレデターは、人間による諜報活動の測り知れない不足から生じる間隙の、ごく僅かな部分を埋められるのに過ぎない。ある夜間任務(ラスベガスでは朝だった)は、まさにその好例となった。
我々は、カンダハル北西部のサンギン上空を飛行していた(つまり、飛行していたも同然というわけだが)。パイロットは、450人のタリバンに包囲されたとされている町役場のGPS座標を与えられている。空軍の兵器庫の中で(B-2スピリットを除き)最も重く、最高のハイテク爆撃機であるB-1ランサーが、威嚇飛行として、上空飛行をしようとしているのだ。だがプレドのパイロットは、ほとんど真夜中近くであるにもかかわらず、計器で、ほぼ37.7度とわかる場所で、「屋上で涼んでいる数人の男たち以外」何も見えない。「人間は見えるが、何も変わったことは見あたらない」と探知担当者は報告した。「本当に位置情報は正しいのか?」近くの警察署を観察するため、彼はカメラを移動した。依然、何もない。
パイロットはヘッドセットを通して言った。「狂っているぜ。450人のタリバンだって! 麻薬でもやっているのか? それなのにB-1を送り込もうとしているのだから。一体誰を脅かすためにだ? 屋上で涼んでいる役立たずか?」
屋上で蠢いている三人のローブを着た人物を見つめながら、私はその光景が想像できた。暑さ、彼らが沸かしているであろうお茶、とりとめのない雑談。そして、ここで我々、ほぼ半ダースの人々が、JTAC、トレーラーの中のパイロットと探知担当者、カタールと、バージニア州ノーフォークのラングレー空軍基地にいる画像解析専門家が、最新の偉大な技術を用いて、話し合いっているのに、誰も一体何が起きているのかわかっていないように思えた。電子的にアクセスできる人々の人数そのものが、更に任務を混乱させている可能性が高そうだった。風景の中に溶け込むことができる彼ら、ターバンをつけ、AK-47を持った男たちの周囲で、堂々巡りだ。
地域を精査しても、プレドは依然として何も発見できない。そこで、我々は、別の命令を受けた。カンダハルの西に、食糧と補給品を輸送している装飾トラックの車輛集団に対して、部隊保全を行うのだ。我々は、それをちょっとの間だけ行った。奇襲が準備されていそうなワジを点検し、IEDの可能性がある、道路前方のネズミをチェックした。最後に、特定の“g-トラック”(ラスベガスの人間は誰一人として、その意味を知らなかった)を探すよう命じられた。それで、プレデター無人偵察機は、沢山のトラックを隠しているように見える並木の方に向かった。しかし、一体何が、あるいは誰が、それに乗っているのか、あるいは、運転手が何をするつもりなのかを知るのは不可能だ。
カンダハル近くの同じ地域で、グリーン・ベレーに従軍して、このような日々を過ごしたことがある。そうした日々は、いつも「一体何が起きているのかなど、誰も知っちゃいない。」という軍曹達のつぶやきで終わるのだった。
ラスベガスで話していた時「そう」とプランプ大佐は言った。「我々は、こうした地上任務のさなかにあるために、結果として、時には、皆と同じように混乱します。典型的な戦争の不透明さですよ。」
記事原文のurl:www.theatlantic.com/doc/200609/taliban-vegas
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wsws.orgの下記記事内容、直接この記事とつながっている。
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映画『ワールド・オブ・ライズ』や、古くは『エネミー・オブ・アメリカ』を思い出す。前者には、無人飛行機からの空撮画像を拡大すると、砂漠に立つデカプリオの姿が見えた。後者には、たしか、ビル屋上のジーン・ハックマンの顔が見える場面があった。こちらは、無人飛行機がなかった時代の作品だろうが。
「無人飛行機、一般市民を誤爆」というような記事を、そのまま読み過ごしていたが、一体、誰が、どこで、操縦しているのか、不思議に思っていた。
搭載されている光学器機、つまり、望遠レンズやビデオ・カメラなどは、ほとんど日本製品だろう。日本の民需商品が、アフガニスタンやパキスタンの民間人殺戮に使用されている可能性、さほど低くはないだろう。あるいは、韓国製品なのだろうか?
などといった記事(サンケイ)、つまりは、政府、財界、政党の共通基本方針、カメラのたぐいよりも、より直接的な、ミサイル本体等の製造輸出も、間もなく行われるという予告だろう。
島本慈子著の岩波新書 ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 を思い出した。
この本には、軍需と民需にかかる霧、「輸出の規制緩和」と「秘密の規制強化」等の見出しがある。
さらには、「無人戦闘機が示す未来」という見出しさえある。
アスガニスタンISAFへの派兵を言い出したオザワ氏、発言撤回をしたという記事を読んだ記憶はない。民主党、現在は、アフガニスタンへの「民生支援」を、言っているようだ。民生支援などといっても、違法に攻撃侵略し、殺人をする帝国軍隊側について、なだめ役やら、救助役をしたとて、本質的な役にたつはずなどないだろう。信じるアフガニスタン国民などいるまい。まさか、無人飛行機搭載のビデオ・カメラ保守要員派遣などということはあるまいが。宗主国の侵略戦争にはつきあえない。宗主国が、侵略戦争をやめたら、「民生支援」をする、というのならば、論理的な整合性はあるだろうが。核兵器廃絶を主張するのは、もっともなことだが、その素直な延長は、罪のない国、国民への無人飛行機による無差別空襲への反対、アメリカ主導による侵略戦争反対だろう。そうした姿勢は、もちろん、自民党にも、公明党にも、民主党にも、基本的に欠如している。
宗主国・属国政府や、軍と、全く無関係に、農民たちの本当の民生向上のために、地道な活動をしておられるペシャワール会の中村哲医師らによる、日本人離れした活動こそ、例外的な、本当の援助だろう。中村哲医師はちなみにキリスト教信者だ。
さて、そのオザワ氏に対し、評論家の藤原肇氏、15年前に、素晴らしい指摘をしておられる。この文章、今でも、そのまま有効だと思うが、もちろん商業マスコミによって広められることはありえない。民主党による政権交代に浮かれておられる皆様にも、是非一度お読みいただきたいものだ。
『日本が本当に危ない』1994.06.25発行 小沢一郎のイカサマ政治がなぜまかり通る
長年かけて、日本の完全属国化政策を推進してきた、宗主国のジャパン・ハンドラー、そして自民・民主・公明の属国側の走狗、財界、マスコミの連中の高笑いが、聞こえてくる。自民が大敗北するのも、属国化シナリオのうち。やがて衆議院の比例議席を大幅削減し、めんどうな、本当の野党を壊滅させることこそが、そうした支配層の長年にわたる計画なのだから。この小選挙区を導入したオザワ氏を評価する庶民の方々の思考回路、どうしても理解できない。普通なら、自分の首を締められたら、決して喜ばず、抵抗するだろう。お盆休み、ジョージ・オーウェルの『動物農場』のご一読を、強くおすすめする。
関連記事翻訳:
アフガニスタン人を苦しめているのは、ハイテク機器や、海外派兵されている軍隊だけではない。在日米軍基地も、もちろん重要な役割を演じている。
三沢のパイロット「最も功績ある飛行」の栄誉を受ける 2008.9.16
そして、「できることは、民間外注する」のは、宗主国が本場。下記は、CIAが暗殺作業を、ブラックウォーターに外注しているという記事。
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当然、イラクでも、大規模に活用されている。映画、「ワールド・オブ・ライズ」やはり、そうした情報をもとに、作られていたのだ。
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