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2009年7月12日 (日)

ホンジュラス: アメリカが支援する調停、軍事クーデターを合法化

Bill Van Auken

2009年7月11日

6月28日のクーデターにより、隣国ホンジュラスでひき起こされた政治危機を解決することを目的とするという建前で、木曜日、コスタリカの首都サン・ホセで、開催された会談は、茶番の態を示しつつある。この詐欺的な行為の明白な狙いは、選挙で選ばれたホンジュラス大統領を軍隊によって打倒したことの合法化と、ワシントンと、ホンジュラス右翼オリガーキーの支配的派閥の狙いを実現することだ。

先月、軍隊に捕縛され、飛行機に押し込まれ、飛行機でサン・ホセに送られ、亡命中のホンジュラス大統領マヌエル・セラヤが、水曜日、コスタリカの首都に戻り、翌日、アメリカが指名した調停者、コスタリカ大統領オスカル・アリアスと、最初に会談した。

彼の後に、コスタリカ当局が「臨時大統領」と呼ぶ、クーデターによって任命された政府の長ロベルト・ミチェレッティが続いた。この肩書きは、元国会議長を、違法に権力を奪取した犯罪者として非難してきた、セラヤと彼の支持者を当惑させた。

会談前にアリアスは、二人を大統領として等しく扱うつもりだと強調した。

二人は個別に、アリアスと、サンホセ近郊、富裕層が住むロルモセール地区にあるコスタリカ大統領官邸で会談したが、そこは警官と、クーデターを非難しにやってきて、ミチェレッティを「暗殺者」と呼び、彼の人形を燃やした、何百人ものデモ参加者に包囲されていた。

アリアスとの会談後、外で待ち受けていた記者団に、セラヤはこう語った。「ホンジュラスの立場について、我々は一致していると、考えている。法秩序とデモクラシーの復帰だ。国連と米州機構が要求している通りの、ホンジュラス国民に選ばれた大統領の地位への復帰だ。」

セラヤに続いて、その後もまなく、ミチェレッティもアリアス邸に入った。彼は市内に入る前、明らかに身の安全に対する懸念から、空港で三時間過ごした。いくつかの報道によると、抗議デモ参加者を避けるべく、空港で会談するよう、彼はアリアスに提案したという。

ミチェレッティは、アリアスの調停に「満足だ」と発言し、即座にホンジュラスに帰国した。彼の出発は、合意に達するまで、二人で交渉して欲しいというアリアスの願いに逆らうものだった。アリアスの願いを聞く代わりに、ミチェレッティは、クーデターを支持しているホンジュラス政界の実力者による「委員会」を残して、出発すると宣言した。セラヤも、交渉に参加する、自分の支持者達の委員会を編成した。

ホンジュラスの首都テグシガルパに戻った後、ミチェレッティは記者団に語った。「我々は、彼の(セラヤの)帰国には合意しているが、それは、真っ直ぐ裁判官の所へということだ」クーデター指導者達は、ホンジュラス憲法を改訂するかどうかで、国民の支持を判断するため、拘束力のない国民投票を行おうとしたことによる反逆罪のかどで、セラヤは裁判を受けるべきだと要求している。批判する連中は、これは、セラヤによる、もう一期、大統領をつとめられるようにする企みの一部だと非難しているが、憲法を書き直すための憲法制定会議に対する投票が、新大統領を選ぶ11月29日の選挙までは、行われないことを考えれば、事実上、もはや不可能になっている。

ミチェレッティはこう付け加えた。「次のコスタリカ訪問では、この美しい国の兄弟のような国民が、わが国民が現在そうしているように、私を合法的なホンジュラス大統領として受け入れていただけるものと期待している。」

クーデター指導者が、こうした確信をにじませるのも無理からぬことだ。調停過程が丸ごと、セラヤを打倒した連中に有利なように操作されているのだから。軍、教会や、土地所有者や財界の支配勢力による支援を得ている以上、ミチェレッティが、恐れるべき唯一のものと言えば、クーデターに対する抵抗の中心となっているホンジュラス労働者大衆だけしかない。

セラヤとミチェレッティとの最初の会合について、アリアスは、「我々は幻想は全く抱いていない。これは我々が想像しているよりも長くかかるかも知れない。」という発言で対応した。更に彼は言った。「二日で、解決策が現れるかも知れないし、二ヶ月たっても、解決策が現れないかも知れない。」

大統領選挙が、わずか四カ月半先に行われることを考えれば、ミチェレッティと、お仲間のクーデター指導者達は、セラヤの任期が終わるまで、調停委員会を引き延ばすことも可能だ。

あらゆる解決策は、セラヤを大統領職に復帰させることを含んでいることが不可欠だと、アリアスは主張した。オバマは、彼を復職させるべきだと要求する一方、ヒラリー・クリントン国務長官は、あからさまに、そのような要求をすることを拒否しており、スポンサーであるオバマ政権は、この点では曖昧な態度をとっている。ある国務省スポークスマンは、ワシントンは、アリアスの調停が「ホンジュラスの民主的秩序を回復」することを願っていると語った。選挙で選ばれた大統領については彼は一言も触れなかった。

ワシントンから指示されたアリアスの任務について多少知る立場にあるある元コスタリカ幹部は、他の代替案を示唆した。セラヤはテグシガルパに戻され、クーデターが任命した政権の名目上の無力な大統領として、短期間つとめるというのだ。このような解決策の、明らかな狙いは、選挙で選ばれた政府を、アメリカの支援を得て、軍事的に打倒した事に対し、民主的な装いを与えることにあるだろう。

二年前まで、アリアスの下で副大統領をつとめ、現在ブルッキングス研究所の上級研究員であるケヴィン・カサス・サモラは、木曜日、外交問題評議会とのインタビューで、このシナリオを説明した。「国際社会が要求していること、正しい行為というのは、まずセラヤを大統領に戻すべきことだと私は思う。必ずしも、権力のある立場に戻すということではないが。」とカサスは言う。

セラヤは、あらゆる実権を放棄するだけでなく、憲法を改訂しようというあらゆる計画を中止し(彼は既にそうすると約束している)、ベネズエラ大統領ウゴ・チャベスとの間で、彼が確立した結びつきを断ち切り、彼を打倒した連中と、明確な「権力分担の合意」をすることを要求されるだろう。

ホンジュラスの「デモクラシー」に関するタイムズポストの考え方

これこそがアメリカ政界の既成勢力が好んでいる代案だということは、今週ワシントン・ポストニューヨーク・タイムズに掲載された、似たような論説で明らかになった。いずれも、政治的冷笑と偽善が、その特徴だ。

ポストにとって、ホンジュラス・クーデター唯一の問題は、そのやり方で、「ホンジュラスの民主的制度を、崩壊させようと企んだ、セラヤの師ウゴ・チャベスが率いる連中の術中に陥った」ことなのだ。言い換えれば、デモクラシーを崩壊させようとした連中というのは、大統領官邸を急襲し、街路を支配し、権力奪取に好意的でないラジオ局やテレビ局を閉鎖し、非武装のデモ参加者に発砲するよう軍隊に命じたホンジュラスの支配者達ではないのだ。むしろ彼等による犠牲者こそが、そうだというのだ。

ホンジュラス・クーデター指導者は、セラヤの帰国を恐れる理由は全くないとポストは主張する。「たとえ彼が監獄入りすることはなくとも、」同紙は書いている。「今や彼が... 憲法改訂に成功する可能性はほとんどない。」

同様に、タイムズはこう主張している。「おそらく、二期目に出馬できるように、憲法を変えようとするあらゆる工作を放棄するという誓約と引き換えに、1月に終わる、残った任期の間、セラヤ氏をテグシガルパに戻させることが、ホンジュラス軍、裁判所と、事実上の政府にとって、最善の結論だろう。」

ホンジュラス憲法への完全なる忠誠と、更にもう一期の任期に向け、セラヤが出馬することを可能にするよう文書を変更することに対する断固たる反対とは、クーデターを正当化し、選挙で選ばれた大統領から、あらゆる実権をはぎ取るため、両紙によってひき起こされたものだ。しかしながら、連中による、そのような「原則」への固執も、そうした法律の維持・改訂のどちらが、アメリカ支配層エリートの権益にとって最善か、によって決まる、全くのご都合主義のものなのだ。

例えば、コロンビアの右翼大統領で、アメリカ外交政策の忠実な支持者であるアルバロ・ウリベが、二期目にも大統領になれるよう、国民投票にかけようという提案すらせずに、コロンビア憲法を改訂した際は、いずれの新聞も、大きな懸念の声をあげなかった。

当時のタイムズの反応は、ウリベの策略は「この無秩序な地域における、ブッシュ政権の二大重要課題である、麻薬とマルクス主義の反逆者に対する戦闘のための、信頼できる管理人を、ワシントンが、確実に抱えておけることを意味しよう。」というものだった。

アメリカ国内では、任期制限をなくし、三期目、四年間の知事職に就くべく、市の条例を訂正しようという、億万長者のニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグの動きを、同紙は熱烈に支持した。この時、同紙は、改訂はブルームバーグと市議会との間の密室交渉で行われるべきだと提案し、ホンジュラスで提案されたような市民投票は「技術的に困難だ」として、はっきりと反対した。

アメリカが画策した「調停」が、サン・ホセで開始される中、ホンジュラスの労働者や若者はクーデターへの抵抗を続けている。何千人もの人々が、木曜と金曜に、テグシガルパ、サンペドロスーラや、他の多くの都市で、抗議デモを行った。

様々な地域で、抗議デモ参加者達は道路や橋を占拠し、交通を遮断した。木曜日、抗議デモ参加者達は、テグシガルパから、パンアメリカン・ハイウェイや、南のニカラグアやエルサルバドルにつながる幹線の交通を6時間封鎖し、首都に向けて渋滞するトラクタ・トレーラーの長蛇の列をひき起こした。金曜日、何千人もが北部テグシガルパに行進し、ホンジュラス第二の都市サンペドロスーラに至る道路を封鎖した。

クーデター政権の弾圧も継続している。木曜日、7月5日にセラヤが帰国しようという試みで失敗した時に、テグシガルパ空港に集まった抗議デモ参加者に対し、兵士が発砲した際、射殺された19歳の青年イシス・オベド・ムリーリョの父親を、治安部隊が拘束した。

父親のダビド・ムリーリョは、息子の殺害以来、息子に対する公正を要求して、はっきり意見を述べてきた。ホンジュラス被拘留者・行方不明者親族委員会本部で演説した後、彼は国家警察に逮捕され、軍が支配する監獄に、そのまま収容された。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/jul2009/hond-j11.shtml

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ホンジュラスのクーデター、なかなか手際がよいが、わが宗主国には、属国政権を思うがままに、据えつけたり、倒したりする、素晴らしい属国政治「操縦マニュアル」があるのだろう。下記関連記事は、それが主題。

手先になって、率先して自国民を弾圧する国軍。攻めてくる敵ではなく、宗主国の敵である、自国民こそが、属国軍の敵なのだ。属国の軍隊は、買弁支配者以外の、属国民は守らない。ピノチェトの軍隊の再来。ナオミ・クラインのThe Shock Doctrineの邦訳がないのは、何とも残念。

簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)

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