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2009年7月16日 (木)

アメリカ占領下アフガニスタンで展開される、腐敗した選挙運動

wsws.org

James Cogan

2009年7月2日

アメリカとヨーロッパの支配層が、不正なイラン大統領選挙とされるものを巡り、非難の大合唱をしているさなか、オバマ政権とNATO同盟諸国が、アフガニスタンにおける、きわめて違法で、腐敗した選挙運動をとりしきっている。

8月20日の大統領選挙にむけた選挙運動は、公式には、先月、候補者41人で始まったが、政治的芝居にすぎないものだ。結果は、事実上、あらかじめのアメリカの政策、無数の陰の実力者達による浅ましい派閥間取引、投票の不正操作や、有権者への脅迫が容易にできる選挙制度によって決まるのだ。

アメリカ侵略によって生み出された政府は、タリバン打倒に協力したタジク族、ウズベク族、ハザラ族やパシュトゥーン族の部族軍長に、アフガニスタンの様々な地域に対する支配権を与えたことに依拠している。2002年、ドウラニ系パシュトゥーン族の、君主制主義支持派ポパルツァイ民族を代表するハミド・カルザイが、名目上の大統領として、任命された。しかしながら、本当の実権は、アメリカとNATOの軍隊と、地域の陰の実力者が握ってきた。

その結果、アメリカ諜報機関が昨年「腐敗の横行」と表現したような事態となった。イギリスの保守派政治家デイビッド・デービスは、アフガニスタン現地調査旅行後、こう語っている。「過去の残虐行為に関与していた、昔の部族軍長や領袖である20家族の金銭的な利益を目指して運営されているように見える。」

閣僚、知事や軍司令官は、契約や地位を一番高値をつけてくれる応札者に売っている。警察と公務員は、あからさまに賄賂を要求する。カンダハル州地域を支配している、カルザイの実弟を含め、国家機関で働く無数の人々が、アフガニスタンにおけるアヘンとヘロインの莫大な違法取引に関与していると信じられている。膨大な金額の国際援助や、いわゆる復興資金は、政府幹部や地方の部族指導者の懐に消えた。

戦争が延々と続くなか、昨年のアメリカ大統領選挙中に、更に多くのアメリカ軍兵士を派兵しなければならないという合意が生まれ、アメリカの政策担当者達は、自分たちが支配する傀儡政権のトップに、カルザイより権威がある人物を据えつけることを検討していたふしがある。

アメリカの権益に忠実に使えて来たにもかかわらず、アフガニスタン大統領は、時に空爆や他の作戦地よる民間人虐殺を、控えめに批判して、アメリカ軍を怒らせた。より重要なことは、アフガニスタン国民の、どれか重要な階層によって、尊敬される人物には、なり損ねたことだ。そうでなく、彼が、概して、残虐な外国軍による占領と政府の腐敗にこびへつらってきたことが、タリバンや他の武装反抗運動に対する大衆の支持を増やすことに貢献したのだ。

とはいえ、アフガニスタン大統領選への途上、アメリカ/NATO占領軍が直面したジレンマは、代わりに大統領となりうる人々としてリストにあがった誰一人として、カルザイ以上には、信頼できないことだった。彼等は人権侵害の罪を犯した部族軍の長か、アメリカ政府の、よりあからさまな手先と見なされている人々であるか、のいずれかだ。

右派の国際共和研究所が行った世論調査では、2005年選挙時の、50パーセント以上と比べ、回答者の、たった31パーセントが、カルザイに投票するつもりだと回答した。とはいえ、彼の最大ライバル、元外務大臣アブドゥラーは、わずか7パーセントの支持だった。三位の候補者は、たった3パーセントだった。

2001年以来、アフガニスタン戦争を報道してきたニューヨーク・タイムズの上級海外特派員デクスター・フィルキンスは先月こう述べている。「あるアメリカ人幹部は、今後五年間は、彼[カルザイ]と離れられない可能性があるという諦念を表明した。実際、オバマ政権は、そうした見込みに備え始めたように思われる。」

オバマ・ホワイトハウスによる、少なくとも暗黙の同意のもと、カルザイは、その支配地域で、票を獲得できると保証できる、様々な部族軍指導者との提携を打ち出した。

北東アフガニスタンの多くを支配するタジク族運動の権力者であり、その民兵がアフガニスタン軍の大部分を占めているモハマド・カシム・ファヒムを、第一副大統領候補に指名した。2005年のヒューマン・ライツ・ウォッチ報告書は、ファヒムを、1990年代のアフガニスタン内戦時代に「一般市民の意図的な殺害、民間人の打擲、民族を理由にした拉致、略奪と強制労働」を命じた司令官の一人としてあげている。

アフガニスタン中部諸州のハザラ族実力者達から、支持を確保するため、カルザイは、カリム・ハリリを、第二副大統領候補に再度任命した。内戦中、ハザラ族民兵を指揮したハリリは、パシュトゥーン族の一般市民に対する残虐行為も命じたと疑われている。

南部の主要パシュトゥーン族諸州では、広大な地域が実際はタリバン武装反抗勢力に支配されているが、カルザイは、主要な占領支持派の実力者達による支援を確保している。

カンダハルでは、彼の家族と部族の忠臣達が影響力を持っている。ヘルマンドでは、元知事で、麻薬王と見なされている、カルザイの盟友シェル・モハマド・アフンザダは、依然としてかなりの権力を誇っている。南東部の州ナンガルハルでは、パシュトゥーン部族軍長で、知事のグル・アガ・シェルザイは、カンダハルを支配していた1990年代に血にまみれた経歴をもっているが、彼もカルザイ支持に回った。今年早々、グルは、大統領として、あり得る選択肢だとして、アメリカの支配層に、もてはやされていた。

北部アフガニスタンのウズベク族が暮らす地域では、カルザイは票を獲得するため、アフガニスタンで最も独裁的な人物の一人に頼っている。アブドゥル・ラシド・ドスタムだ。アフガニスタンの悲惨な30年間戦争の間、ドスタムは、ソ連占領軍で働き、親モスクワ派のナジブラ政府を支援し、それから鞍替えをしたのだ。アメリカに支援され、ナジブラを打倒したイスラム教民兵に参加し、タリバンが最終的に実権を把握する前に、カーブルの覇権を目指す、激しい党派対立の一員だった。

2001年まで、ドスタムは、アメリカに支援され、タリバン政権を打倒した、北部同盟に参加していた。彼の民兵とアメリカ軍特殊部隊は、アフガニスタン侵略における最悪の戦争犯罪の一つを犯した。2001年11月クンドゥス市における攻略後、彼等は何百人ものタリバン捕虜を輸送コンテナに閉じ込め、酷暑の中で死ぬにまかせたのだ。

カルザイは、部族軍の長との同盟から恩恵を受けるだけでなく、自分の選挙活動を有利にするよう国家機関を活用する力を持っている。2005年の選挙では、支持を固めるのに必要な地域に、彼は露骨に開発計画をもたらした。国営メディアは彼のために偏向報道を行い、放送時間の75パーセントも使わせた。

もしもこれら要素が、カルザイの勝利を保障するのに不十分な場合には、大規模な不正行為用の機会が十分にある。国際危機グループ(ICG)による今月の報告が、そうしたことが起きうる規模の大きさを示唆している。3000万人の国民のうち、半数は選挙権がない年齢の国で、1700万以上の投票券が発行されているのだ。タリバン支配下にある広大な地域や女性は、文化的に投票しないよう圧力を受けている。

言い換えれば、非常に多数の人々が、複数の投票権を持っている可能性が高い。例えば、東部のヌリスタン州は、成人人口130,000人で、かなり多数のタリバンが存在すると推定されているが、そこでは443,000人の有権者が登録されている。成人人口が約130,000人のタジク族の州パンジシールが、190,000人の有権者を生み出した。

自分たちの夫あるいは親戚の男性が投票するよう、何万人もの女性が登録していると考えられている。男が女性の投票券を使って再度投票するのだ。現地の選挙職員がそれと知りながら、黙認するもとで。ICGによると、2005年の選挙におけるパクチカ州女性の投票率は「信じられないほど高」かったので、数値は決して公式発表されなかったという。

2月1日、バラク・オバマは、あるインタビューで、アメリカは「アフガニスタンを、ジェファーソン流のデモクラシーに再構築することは」できなかったと述べた。この正確かつ率直な発言は、つまり、アフガニスタン政府が、アメリカの帝国主義的権益に従順であることが、オバマ政権の唯一の関心。

最終的な分析は、8月20日のアフガニスタン大統領選挙は、この戦争は、資源の豊富な中央アジアの戦略的領土を巡る地政学的支配という略奪的な動機でなく、ある種の高貴な目標があったのだという、アメリカとNATO諸国における虚構を維持するためにだけ、行われるということだ。大統領選の結果には、何の信頼性も、正統性もありはしない。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/jul2009/afgh-j02.shtml

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他の政争に関する、対照的な、アメリカ、(日本の)マスコミ報道についての記事翻訳:
二都物語:テヘランとテグシガルパ
ニューヨーク・タイムズとイラン選挙

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