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2009年7月18日 (土)

オバマの戦争

wsws.org

2009年7月17日

オバマのホワイト・ハウス生活も、6ヶ月目の終わりを迎えつつあるが、彼の政権は、アメリカのアフガニスタン戦争の大規模で継続的なエスカレーションとして立ち現れるであろうものの第一段階であるに過ぎないという証拠が、増えつつつつある。

主として、ブッシュ政権の軍国主義的な政策に対するアメリカ労働者の敵意によって、大統領に選出されたといえるオバマは、イラクにおける大虐殺さえも、ささいなものに見せてしまい、さらに十年間も継続しそうな激しく、残虐な対ゲリラ作戦を、ペンタゴンと一緒になってしかけている。

半ばを過ぎたばかりでしかない7月が、ほぼ8年前に戦争が始まって以来、アメリカが率いる軍隊にとり、既に史上最悪の月となっている。総計46人の占領軍兵士が死亡したが、そのうち24人がアメリカ人だ。この死亡者数、一日に約三名、というのは、イラクにおける最も激しい戦闘の最中に起きたものに等しい。

アフガニスタン政府軍にとって、死傷者数ははるかに大きく、一日当たり、国家警察職員6人から10人が、毎日殺害されていると、カーブル政権は報じている。

いつものごとく最大の犠牲を払っているのは、アメリカ軍が「一掃し、確保する」作戦を遂行する中、益々多くが殺害され、より直接的に、外国による占領という状態におかれつつある、アフガニスタン国民自身だ。

アフガニスタン国民に対して行使されている暴力を、まざまざと示すのは、6月には、アフガニスタンに437発の爆弾を投下したという先週のアメリカ空軍報告だ。アメリカの戦闘機によって、近接航空支援ミッションとして、これまで行われた飛行回数は、2009年6月末までで、17,420回にのぼると空軍司令部は報じている。対照的に、2008年全体で19,092回だった。

空爆への依存が増しているのは、地上部隊が危険なほど、まばらに展開していることを現しているものだ。一般市民に対するその影響は、5月にアフガニスタン西部のファラ州にある二つの村に対するアメリカの奇襲爆撃によって、140人以上が粉々にされた虐殺を含め、一連のぞっとするような虐殺となって現れている。

アメリカが率いる介入の最初のエスカレーションでは、アフガニスタン国内のアメリカ兵士の人数は、32,000人から、68,000人へと倍以上に増える。これはNATO同盟諸国からの36,000人の兵士に対する上乗せだ。

この兵員増強で最も目立つ点は、武装反抗勢力の牙城と見なされている、アフガニスタン南部の州ヘルマンドでの攻勢に、4,000人のアメリカ海兵隊員が、数千人のイギリス兵とともに、配備されたことだ。

オペレーション・ハンジャールと呼ばれている、この攻撃は、巨大なアメリカ軍が、武装反抗勢力との大規模な戦闘を遂行することができないまま、大失態という形にまとまりつつある。武装反抗勢力は、特にイギリス兵において、重大な死傷者数を強いるゲリラ攻撃を行いながら、人々の中に姿を消してしまうのだ。

アメリカが率いる軍隊が作戦行動をしているヘルマンド地域では、武装反抗勢力は、一般市民のなかに混じってしまうか、国境を越え、パキスタンの安全な避難所に退却する。しかし、占領軍の規模は、地域を確保したり、彼等が去った後、武装反抗勢力が戻ったりするのを阻止するには全く不十分だ。

アメリカ軍の幹部司令官達による最近の発言で、はるかに血なまぐさい戦争の脅威がくっきりと浮かび上がった。

水曜日にカーブル郊外のバグラム空軍基地にあるアメリカ軍司令本部を訪れた統合参謀本部議長マイケル・ミューレン大将による発言は、そうした中でも、最も単刀直入だ。ミューレンは、アメリカ軍は「きわめて困難な戦闘」に直面していると警告し、戦争が一体いつまで続くのか分からないと語った。

「2006年以来の三年間、三年半で、状況が徐々に悪化しているのを知っている」と彼はBBCに語った。「一方、タリバンは、ずっと良くなり、連中は益々激烈になり、連中は一層組織化されたので、それに伴って戦闘が起きるのだ。」

8年後、アメリカが率いる占領軍の状態が「徐々に悪化」し、武装反抗勢力は「強化し」 「益々激烈になり」、「一層組織化された」というのであれば、それは単に、益々多数の武装反抗勢力と、彼等の戦闘に対する広範な大衆の支持を確実にするような、占領者に対するアフガニスタン人の敵意の尺度にすぎない。

アメリカによるエスカレーションは、アメリカ軍と共に戦うべく、十分大規模なアフガニスタン軍を動員することができないことで、妨げられている。アメリカの司令官たちは、ヘルマンド攻撃で、アメリカ兵一人あたり、一人のアフガニスタン兵を計画していたのに、4,000人のアメリカ兵と共に配備されたのはわずか650人だ。

アメリカのエスカレーションは、国境を越えようとしているタリバン戦士を阻止すべく、配備されるだろうと願って、パキスタン軍から得られると狙っていた支援も得られずにいる。パキスタン軍は、パキスタンの北西で、アメリカが扇動した作戦によって縛りつけられたままで、この作戦で、約250万人のパキスタン人が、国内で難民と化した。

アメリカ軍司令官たちは、アフガニスタン戦争のエスカレーションを、アフガニスタンの人々を取り込むための努力だとして描いているが、現実は、困窮した人々に対して、降参を強いるため、大規模な軍事的暴力が、しかけられているのだ。

アフガニスタンで戦争を始めるにあたっての元々の口実など、どこかへいってしまった。ワシントンとニューヨーク市に対する2001年9月11日攻撃の余波の中、アメリカ議会によって成立した軍事力の使用を承認する法律は、こうした残虐行為の原因とされる連中を、追跡して捕まえるために、アメリカ軍が使われるということを前提にしていたのだ。それなのに、アルカイダもオサマ・ビン・ラディンも、ワシントンの公式社会では、事実上、全く触れられることのない名前となってしまっている。

アフガニスタン国民にデモクラシーをもたらすのだ、というブッシュの願いとされるものについては、オバマは、そのような目標は、非現実的だとして、はっきりと切り捨てた。そうはならず、アフガニスタンは8月20日の大統領選挙へと向かっており、そこでは、彼を部族軍の長や犯罪組織と結びつけている、腐敗の蜘蛛の巣のおかげで、実に不人気なハミド・カルザイ大統領が再選されるだろうと広く見なされている。不可避的な結果は、カーブルの政権と、それを守るアメリカ軍に対する怒りの激化だろう。

今や、オバマの戦争が、現実的で、独自のものであるものとして、唯一残された明白な理由は、アメリカ軍の使用こそが、石油が豊富で、地政学的に極めて重要な中央アジアを、ワシントンが支配するのを確実にするかもしれない、ということだ。

アメリカ軍幹部は、この狙いを実現するため、より多くの兵士を求めて、あからさまなロビーイング活動をしている。木曜日に、国防長官ロバート・ゲーツが、アフガニスタンでの兵力増強と、アメリカによるイラク占領の継続によってひき起こされているストレスを軽減すべく、アメリカ軍の規模を、兵士30,000人増強する提案を検討していると発言して、こうした要求の内容が明らかになった。

これより、あからさまな、オバマ政権告発はありえまい。反戦感情の波に乗って、大統領の座についた彼の政権が、汚らしく、引き延ばされた植民地戦争を遂行するため、アメリカ軍を増強しようとしているのだ。同時に、アメリカ軍の幹部司令官達は、ブッシュ政権の下でよりも、一層直接的に、あからさまに政府に対する影響力を行使している。

オバマ指揮下のアメリカ軍国主義は、既成のあらゆる体制派政治勢力からの支持を享受している。民主党が多数派の議会は、戦争への予算配分賛成に投票し、アメリカのマスコミは、ホワイト・ハウスとペンタゴンの戦争プロパガンダをおうむ返しにし、かつてはこうした政治に反対する姿勢を保っていたいわゆる「左翼」団体も、抗議をやめ、オバマの戦争を暗黙裡に後押ししている。

それでも、生活水準に対する攻勢の激化や、亡くなったり、負傷したりした兵士の人数の増加や、更には拡大する軍の兵卒にあてるべく、労働階級の若者徴兵によって、軍国主義のつけを払うことを強いられる多数のアメリカ労働者の中には、戦争に対する深い敵意が依然として残っている。オバマ政権と、軍国主義をひき起こす資本主義の自由企業体制に対する反戦闘争の前進は、労働者階級の独立した動員を通してのみ、可能になるだろう。

Bill Van Auken

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/jul2009/pers-j17.shtml

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小泉売国政権以来の市場原理主義的な政策に対する日本労働者の敵意によって、政権党に選出されたといえる民主党は...と、冒頭を置き換えれば、そのまま日本。

民主党政権交代を待望する「狂気」が日本のマスコミのみならず、ブログにまで満ちている。

二大政党を生み出すべく小選挙区制を導入したのは小沢氏だ。商業マスコミは、こぞって小選挙区制導入をあおった。マスコミ各社のトップが、たしか諮問委員会かなにかに、ずらり首を揃えていた。マスコミ社員、小選挙区制導入反対の記事・報道をすれば、閑職か馘首。

政党助成制度なる、陣笠代議員締めつけ道具を導入させたのは小沢氏だ。

日本を普通の国(アメリカ軍の言うがままに、日本の軍隊を戦争させられるよう憲法を変えることを言う)にすると主張する迷著『日本改造計画』を書いた(ということになっている)のは小沢氏。

第一次湾岸戦争の時に、アメリカにつかみ金を差し出したのは小沢氏。

アフガニスタンのISAFに、日本の軍隊を派遣すると言ったのは小沢氏。

本来、新自由主義の旗手、小泉元首相ではなく、小沢氏だろう。

ソマリア派兵を最初に言い出したのは民主党の長島昭久議員(彼も小泉元首相の息子同様アメリカ留学し、あのブレジンスキーの薫陶を受けた。)

一体どうして多数の国民が、彼・彼が実権を握る政党が、庶民のためになる政治をしてくれると期待をするのか、その理由が全く理解できない。新聞を読んでも、断片的なテレビ報道を見ても皆目わからない。『政権交代』まるでオウムの念仏。思考停止。まさか脳死状態ではないだろうが。国民の大多数が見事に洗脳されてしまっている。

彼が実権を握ったら、庶民は悲惨なことになるというのなら、容易に理解できる。

郵政改革(=破壊)を訴える小泉元首相・自民党を商業マスコミこぞって応援した。

それで得た途方もない衆議院の議席数をかさに、数々の属国化推進法案が実現した

政権交代を訴える民主党を、商業マスコミ、こぞって応援している。

これから起きるのは、残念ながら、揺り戻しではない。

宗主国アメリカで起きたのと全く同じ『チェンジ』。

表紙がかわるだけで、もちろん、雑誌の中身が変化するわけではない。

そもそも、その表紙たるや、れっきとした元自民党のお歴々ではないか。

別の政党を名乗っているだけで実際は同じ党内派閥間での政権交代。

日本を破壊した自民党を政権から引き下ろせば、積年の病弊が一挙に治るがごとく、虚偽のイメージをまきちらす商業マスコミ。それを盲信する国民。

それで得る、途方もない衆議院議席数をかさに、数々の属国化推進法案を、今度は民主党が推進するようになるだけのこと。

アメリカの意にそわない弱小政党の排除完成で、長年にわたる米日支配層の計画が、敗戦後65年にしてようやく実現する。世界最大の完全属国誕生だ。日本は、その程度の国だったということだろう。

属国にも、国旗と国歌がある不思議。独立ではなく、属国化を推進する側が押しつける、属国旗と属国歌。

サミュエル・ジョンソンの言葉を思い出さずにいられない。『愛国心、悪人最後の拠り所。』Patriotism is the last refuge of a scoundrel.

ところで、皆様は、映画『トゥルーマン・ショー』をご覧になって、ぞっとした経験をお持ちでないだろうか?あるいは、あの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』第一作、ダンス・パーティー壇上で演奏するマーティ・マクフライの体から力が抜け、写真中の兄たちの姿が、次第に薄れて行く場面を覚えておられるだろうか?

二大政党なる米日独裁体制を実現する選挙を前に、マーティ・マクフライのように、体から力が抜け、日本人の顔が消えてゆきつつあるような気分になっている。トゥルーマン・バーバンクのように、嵐の中、脱出を試みても、結局は...

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