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2009年6月20日 (土)

オバマからのパキスタンへの贈り物:内戦

アリ・カーン

2009年6月17日

"MWC"

パキスタンで内戦が起ころうとしている。イラクから、アフガニスタンとパキスタンから軍事行動を展開している「本当の敵」へと、アメリカの戦争を移行させつつあるバラク・オバマ大統領のおかげだ。財政難であえぐパキスタンは、オバマの説得に逆らえず、北部州とワジリスタン部族地域で暮らしている自国民、パシュトゥーン族に対する戦争遂行を決意した。

数十年前、パキスタンは、自国民、東パキスタンのベンガル人に対し、同様な戦争を遂行した。1971年、パキスタン軍は、ベンガル人抵抗勢力ムクティ・バヒニを殲滅するよう命じられ、パキスタン分裂の下地を作った。2009年、軍はパシュトゥーン族抵抗勢力、タリバンを殲滅するよう命じられている。過去の過ちから学ばない国々において、しばしばそうなるように、パキスタンにおいて歴史は繰り返している。

アフガニスタン占領に首尾よく抵抗しているパシュトゥーン族を、故意にパロディー化して、従属的同盟国パキスタンがアフガニスタンでの戦争を手伝うよう、オバマの顧問達は強いている。この手伝いはパキスタンにとって自滅的だ。内戦は、手に負えない、宗派、民族、分離主義者等の勢力を解き放つだろう。今後、戦争が激化するにつれ、パキスタンは経済破綻に直面するだろう。もしも内戦が制御不能になれば、パキスタンの核兵器は世界に対する安全保障上の脅威となり、その場合パキスタンは強制的に非核化されよう。

パシュトゥーン族の誇張表現

アフガニスタン戦争の破たんで、アメリカの為政者達は、アフガニスタンにおける主要な民族集団、パシュトゥーン族の誇張表現をでっちあげる気になった。あらゆる実用的な狙いから、今やパシュトゥーン族は、タリバンという表題の下に包含されている。誇張表現は単純で、人の心をつかんで離さないものだ。8年間にわたるアフガニスタン占領へのパシュトゥーン族の抵抗に触れることなく、タリバンを最高の敵として強調している。タリバン戦士は、個人の自由という概念が、特にイスラム教徒女性に、皆無だという、野蛮版イスラム教を押しつけたがっている、圧政と暴力に夢中な、信心深いけだものとして描かれている。

アフガニスタンにおけるパシュトゥーン族の抵抗をさらに歪曲すべく、特にアメリカ合州国に対し、大量破壊兵器を爆発させることを計画しているとされる正体不明のテロリスト集団アルカイダと、タリバンは同一視されている。タリバンの不快な誇張表現を描くべく、ブルカ、むち打ち、斬首が強調される。この誇張表現では、アメリカによる村落爆撃、裁判なしの死刑、拷問や秘密刑務所も、世界で最も貧しい国の一つで暮らすパシュトゥーン族を鎮圧し損ねたことに関する言及は皆無だ。

パシュトゥーンの掟

これは、アフガニスタンのパシュトゥーン族を、アフガニスタンとパキスタンの区切りとして役立っていない2500キロを超える長さの国境、デュアランド線の反対側に暮らすパキスタンのパシュトゥーン族と区別することは不可能であるという事実を、正しくも診断したオバマ大統領の功績だ。およそ4100万人のパシュトゥーン族が、この国境の両側に暮らしている。約1300万人がアフガニスタン側、その二倍(2800万人)がパキスタン側にいる。

アフガニスタンとパキスタンという地理的に隣接した地域に集中して、パシュトゥーン族は、大都市や、小さな町や、辺鄙な村落で暮らしている。カーブル、カンダハル、ペシャワル、スワットとクエッタは、そうした大都市だ。数千年の昔から、パシュトゥーン族は文化、方言と、伝統でつながっている。大半はイスラム教スンナ派を信奉している。ただし他の文化集団同様、パシュトゥーン族は、イスラム法を、パシュトゥーン・ワーリとして知られている、イスラム教以前の彼らの倫理規定と融合させたのだ。

パシュトゥーン・ワーリというのは、社会的行動やよそ者との交流を規定する、成文化されていないパシュトゥーン族の掟だ。この掟は、タリバンだけでなく、パシュトゥーン族のものでもある。もてなしが良く、親切なパシュトゥーン族は、客人とよそ者を尊敬し、保護するよう格別な努力を払っている。しかし侵略者は容赦なく殺される。ナング(名誉)はパシュトゥーン族の掟の基本原理だ。パシュトゥーン族戦士で詩人だった、フシャル・ハン・ハッタク(1613-1689)が、ナングの原理を断固とした表現で要約している。「栄誉とともに生きられない場合、死は生より優れている。」バダル(復讐)は、切り離すことのできない名誉の一部分なのだ。

バダルは、侮辱には侮辱をもって、死には死をもって報復することを要求しており、復讐をするのに、代償が高すぎるということは決してない。復讐が遂げられるまで、パシュトゥーン族は落ち着かず、不安で、居心地が悪く感じるのだ。万一意図せずに、怪我を負わせた場合には、寛大さが認められる。侵略者や占領者に、寛大に対応することは決してない。パシュトゥーン族の掟の例外にふさわしいほど強すぎるような敵など存在しない。イギリス人、シーク教徒、ムガール人、ロシア人、そしてアメリカ人等、パシュトゥーン族の掟を侵した者は、バダルが完了するまで、絶え間ない抵抗に直面する。いくつもの強力な軍隊がパシュトゥーン族の土地で滅んだ。

復讐と内戦

2001年以来、パキスタンは、アメリカの対パシュトゥーン族戦争に加われという圧力に抵抗してきた。アフガニスタンのパシュトゥーン族に対する戦争は、パキスタンのパシュトゥーン族に対する戦争でもあり、その逆も真だ。国民国家や、領土的一体性といった概念では、国境で区切られているパシュトゥーン族を分離することはできない。まして、パシュトゥーン族の土地が侵略され、占領されている時には。

同様に、タリバンをどう中傷したとて、彼等が強烈な宗教的イデオロギーを奉じているにせよ、タリバンをパシュトゥーン族から、切り離すことは不可能だ。パシュトゥーン族にとって、タリバンの振る舞いは、パシュトゥーン族の掟のナングとバダルに深く根ざしているのだ。イラクで実施された、スンナ派をシーア派と、クルド人をアラブ人と戦わせた、分割して統治する政策は、パシュトゥーン族には無効だ。パシュトゥーン族の掟を甘く見て、アメリカ人は、この災いの前兆を無視し続けている。

歴史の教訓の方を変える方に賭けて、オバマ ホワイト・ハウスは、パキスタンに、交渉という扉を閉じて、いわゆるタリバン殺戮を始めるよう強制した。パキスタン指導部は、侵略軍が、タリバン、悪党、あるいは、テロリストというレッテルを貼ろうとも、パシュトゥーン族が自分たちの息子や兄弟を見捨てるはずがないことを知っている。ラホール、イスラマバード、カラチでの自爆攻撃は、パシュトゥーン族の掟のナングとバダルを反映している。

同胞と自らの掟に対する忠義が、パシュトゥーン族では最高のものなのだ。イスラム教が出現するずっと前からあったパシュトゥーン族の掟が、彼等の生き方なのだ。アメリカ合州国から何十億ドルかを得るため、パキスタン指導部は、タリバンのパロディー像に屈し、二番目に大きな民族集団パシュトゥーン族との内戦に国を突入させたのだ。

MWCニューズ編集者のアリ・カーン教授は、カンザス州トピカのWashburn University School of Law法学教授。彼とは、ali.khan@washburn.edu - http://mwcnews.net/ali-khanで、連絡がつけられる。

記事原文のurl:informationclearinghouse.info/article22854.htm

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従属的同盟国パキスタンの悲しい命運、ひとごとと思われない。明日は我が身。

アメリカでは、従属的同盟国向け戦闘機F-22輸出版を検討するべく予算もついた。

オバマからの日本への贈り物第一弾、ソマリア海賊法案通過時期と北朝鮮のきな臭い動きが、うまく並行しているように思えるのは、気のせいだろうか。日本から最後の金を搾り取る、郵政民営化も着々進んでいる。

アフガニスタン空爆による民間人殺戮、難民の苦難はたとえばこのビデオを。12:09 一部字幕あり。

こういう映像はテレビで流れず、自民党、公明党、民主党、こぞってアフガニスタン戦争拡大を進めるアメリカに迎合している。それが「政権交代」なるもので、変わろうはずはない。何のための政権交代だろう。

今、漢字変換をしたら「政権後退」になった!漢字変換ソフト、意外に知的だ。

従属的同盟国民の税金、宗主国のテロ戦争に捨てるより、「首都圏湾奥新空港」に捨てる方がましではと、ふと思う。公式には、「捨てる」と言わず、「建設する」と表現するようだ。

防空ミサイル網やF-22、庶民の便利や幸せには、100%つながるまい。

首都圏湾奥空港なら、ひょっとすれば、わずかでもメリットはあるかもしれない。少なくとも、殺人・破壊を目的としない様々な仕事の口は、かなり長い期間、増えるだろう。

2010/2/25追記:Justblogから、過去記事を手動で、移行作業をしている最中に、この記事。

おりしも、『オバマからの日本への贈り物:トヨタ戦争』が進行中。

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