ホンジュラスでクーデター進行中: オバマ最初のクーデター
ホンジュラスのセラヤ大統領、拉致される。
Eva Golinger (evagolinger@hotmail.com または evagolinger@gmail.com)
2009年6月28日
chavezcode.com
[注: カラカス時間午前11:15時点で、セラヤ大統領は、コスタリカのサン・ホセから、テレスールの生放送で語っている。兵士たちが、朝早く、大統領邸宅に侵入、発砲し、クーデターに抵抗すれば彼と家族を殺すと脅したと彼は証言した。大統領は、彼を拉致、空軍基地に連行、コスタリカまで飛行させた兵士との同行を強いられた。彼は、アメリカ政府に、クーデターを非難する公式声明を出すよう要求した。アメリカがそうしない場合、アメリカが拉致を承諾していることを意味しよう。]
カラカス、ベネズエラ
今朝、私の携帯電話にビーッとなって入ったテキスト・メッセージはこうだ。「警報!セラヤが拉致された、ホンジュラスでクーデターが進行中だ、皆に広めて欲しい!」日曜日朝にしては、特に今日、憲法改訂のための憲法制定会議を将来招集することに関する初めての国民投票で、投票するという神聖な権利を行使しようとしていた何百万人ものホンジュラス人にとっては、突然の不快な目覚めだった。おそらく、紛争の中心にあるのは、今日予定されていた国民投票だろう。この投票は、拘束力のある投票ではなく、ホンジュラス国民の大半が、最終的に憲法を改訂する過程に進みたいと願っているのかどうかを判断するための単なる世論調査なのだ。
ホンジュラス国民の政治過程への参加を最小限に留めようという制限がある憲法を持ったこの中米国家では、このような発議は、いまだかつて行われたとがない。レーガン政権の中米における汚い戦争のさなか、1982年に作られた現行憲法は、経済的・政治的に、権力を握った連中が、国民からほとんど干渉を受けず、必ず権力を確保できるよう作られている。ホンジュラス自由党を基盤に2005年11月に選出されたセラヤは、国民の大半が、憲法改訂が必要だということに同意するかどうかを判断するための世論調査を行おうと提案していた。ホンジュラスの労働組合と社会運動の大多数から彼は支持されていた。もしも投票が行われれば、結果によっては、来るべき11月の選挙で、憲法制定会議を招集することに対する国民投票が行われることになっていた。とはいえ、今日予定されていた投票は、法律によって義務化されているものではない。
実際、投票が行われるはずの日の数日前、(議会も最高裁も、反セラヤ多数派と、超保守派政党のホンジュラス国民党(PNH)メンバーが牛耳っているが)議会の要求に応じ、ホンジュラス最高裁はそれを違法と裁定した。この動きは、街路におけるセラヤ大統領支持の大規模な抗議行動をひき起こした。6月24日、大統領は、日曜日の選挙用選挙資材を、軍に配布させることを統合参謀本部議長のロメオ・ヴァスケスが拒否した後、将軍を罷免した。ロメオ・ヴァスケス将軍は、資材を厳格な軍の管理の下におき、予定されている国民投票は、最高裁によって違法と決定されたので、大統領の命令に従うことはできないと主張して、大統領の部下に対してさえ引き渡しを拒否したのだ。アメリカと同様、ホンジュラス大統領は全軍最高司令官で、軍の行動に対する最終決定権を持っており、彼はそこで将軍の罷免を命じた。アンヘル・エドムンド・オレジャナ国防相も、この緊張が高まる状況に対応して辞任した。
しかし、翌日ホンジュラス最高裁は、彼の罷免は「憲法違反」だと裁定し、統合参謀本部議長ロメオ・ヴァスケス将軍を復職させた。何千人もがホンジュラスの首都テグシガルパの通りに押し寄せ、セラヤ大統領の支持を表明し、日曜日に、拘束力のない国民投票を必ず実施させたいという決意を証明している。金曜日、大統領と数百人の支持者集団が、それまで軍によって確保されていた選挙用資材を収集すべく、近くの空軍基地まで行進した。その晩、セラヤ大統領は、様々な政党のや社会運動の政治家集団とともに全国的記者会見を催し、ホンジュラスの団結と平和を呼びかけた。
土曜日の時点では、ホンジュラス国内の状況は平穏と報告されていた。だが日曜日朝早く、約60人の武装兵集団が大統領官邸に入り、セラヤを拉致した。数時間の混乱の後、大統領は、近くの空軍基地に連行され、隣国コスタリカに飛行機で送られたと主張する報告が現れた。これまで大統領の姿は確認されておらず、彼の生命が依然危機にひんしているかどうかも分かっていない。
セラヤ大統領夫人のシオマラ・カストロ・デ・セラヤは、カラカス時間のおよそ午前10時に、テレスールに出演し、日曜日朝早く、兵士が彼等の屋敷を急襲し、家中で発砲し、打擲し、大統領を拉致したと非難した。「卑怯な行為でした」全てが終わってしまうまで、誰も知らず、対応もできない時間に起きた違法な拉致に触れ、大統領夫人はそう語っている。カストロ・デ・セラヤは、夫の命の「保護」も要求し、彼女自身、夫の居場所がわからないと語った。彼女は、自分たちの命は依然として「深刻な危機にある」と主張し、この違法クーデターを非難し、民主的に選ばれたセラヤの救出と復職を含め、国家に憲法秩序を回復させるよう迅速に行動することを、国際社会に呼びかけている。
ボリビアのエボ・モラレス大統領やベネズエラのウゴ・チャベス大統領は、いずれも、日曜日朝、ホンジュラスのクーデターを非難し、デモクラシーを回復し、憲法上の大統領を復職させるよう、国際社会が反撃することを求める公式声明を発表した。先週水曜日の6月24日、ホンジュラスも加盟国である、米州ボリーバル代替統合構想(ALBA)の加盟国臨時会議が、エクアドル、アンティグア & バルバドスと、セントヴィンセントを、仲間に迎え入れるべく、ベネズエラで開催された。会議には、ホンジュラス外務大臣パトリシア・ロダスが参加しており、セラヤ大統領を支持し、彼の命令と、ホンジュラスの民主的な過程を攻撃するいかなる企みをも糾弾する声明が読まれた。
ホンジュラスからの報告によれば、公共テレビ・チャンネル、カナル8は、クーデター軍により閉鎖されているという。わずか数分前に、テレスールは、ホンジュラス軍が、国中の全ての電力を遮断したと報じた。外務大臣パトリシア・ロダスによると、放送を継続しているテレビ局やラジオ局は、クーデターやゼラヤ大統領の誘拐を報じていない。「電話も電気も止められている」と、ロダスは、ほんの数分前、テレスールで認めていた。「テレビは、アニメやホーム・ドラマを放映していて、ホンジュラス国民に、起きていることを伝えていない」。この状況は、不気味にも、2002年4月のベネズエラにおける、チャベス大統領に対するクーデタを連想させる。マスコミが、最初、クーデターを支持するよう情報を操作し、やがては全ての情報を報道管制して、主要な役割を演じたが、国民が抗議を開始し、最終的にクーデター軍を圧倒し、打ち破り、チャベスを救出し(彼も軍隊によって誘拐されていた)憲法秩序を回復した事件だ。
ホンジュラスは、過去一世紀の間、独裁政治と、数回の軍事侵略も含めたアメリカの大規模介入の犠牲となっていた国家だ。ホンジュラスに対するアメリカ政府の最近の大規模介入は、レーガン政権が、中米におけるあらゆる潜在的な“共産主義の脅威”を根絶しようとして、暗殺部隊や民兵組織に資金を提供していた1980年代のことだ。当時は、ジョン・ネグロポンテが駐ホンジュラス・アメリカ大使で、ホンジュラスの暗殺部隊に資金を供与したり、訓練したりする責任者だった。この暗殺部隊が、国中、何千人もの行方不明者や暗殺された人々に、関与していた。
金曜日、米州機構(OAS)は、ホンジュラスの危機を議論すべく特別会議を招集し、後にデモクラシーへの脅威を非難する声明を発表し、更に調査をするため、代表団がOASに出張することを承認した。しかしながら、金曜日、アメリカ合州国のフィリップ・J・クローリー国務次官補は、セラヤ大統領に対するクーデターに対するアメリカ政府の立場を明らかにすることを拒否し、代わりに、ホンジュラス大統領の反対派に対するワシントンの支持を暗示する一層曖昧な発表を行った。大半の他の中南米政府は、ホンジュラスで進行中のクーデター計画に対するはっきりと断固とした非難と、ホンジュラスで合法的に選出された大統領マヌアル・セラヤに対するゆるがぬ支持を表明しているのに対し、アメリカのスポークスマンは、以下の通り述べている「提案されている憲法改訂に関する6月28日の国民投票をめぐる、ホンジュラス政治家間による政治対話の途絶を、アメリカは懸念している。現在の政治的難局に対し、全ての関係者が、ホンジュラス憲法とホンジュラスの法律を順守し、米州民主主義憲章の原理と一致した、合意による、民主的な解決を得ようと努めるよう、アメリカは強く促すものである。」
日曜日朝午前10:30の時点で、ホンジュラスの軍事クーデターに関し、ワシントンからはこれ以上の声明は出されていない。この中米国家は、アメリカ経済に深く依存している。アメリカは、ホンジュラス最大の収入源の一つ、1980年代、ワシントンによる汚い戦争の時代に紛争地帯から逃れ、アメリカ領土に大量移民した結果導入された「一時的保護身分」プログラムの下で、アメリカで働いているホンジュラス人からの送金を保障している。ベネズエラ、ボリビアや、この地域のその他の国々でそうだったように、もう一つのホンジュラスの主要な資金源はUSAIDで、通常、アメリカの権益に役立つNGOや政党を支援する「デモクラシー推進」計画で、年間5000万ドル以上を提供している。ペンタゴンは、ホンジュラスのソトカノに軍事基地を維持しており、基地には約500人の兵士が駐留し、多数の空軍戦闘機やヘリコプターがある。
ロダス外務大臣は、駐ホンジュラス・アメリカ大使、ヒューゴ・ロレンスと再三連絡をとろうと試みているが、これまでどの電話にも応じていないと語っている。クーデターの手口からして、ワシントンが関与していることは明白だ。大半がアメリカ軍によって訓練されているホンジュラス軍も、政治家や経済エリート達も、アメリカ政府の支援・支持無しに、民主的に選出された大統領を失脚させるような行動をとるはずがない。セラヤ大統領は、ALBA加盟国、特にベネズエラのチャベス大統領との関係を深めようとしていることで、ホンジュラスの保守勢力から益々攻撃されつつあった。ホンジュラスが、中南米の、より左翼的、社会主義的な国々との一体化を継続できないようにするための方便として、クーデターが実行されたのだと多くの国民は信じている。
記事原文のurl:www.chavezcode.com/2009/06/coup-detat-underway-in-honduras.html
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