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2009年6月12日 (金)

永久戦争という、やまい-Chris Hedgesのコラム

クリス・ヘッジズ

2009年5月18日

"TruthDig.com"

いかなる社会においても、永久戦争の容認は、国家の魂をむさぼり食らう寄生虫だ。永久戦争は、リベラルで民主的な運動を絶滅させる。永久戦争は、文化を、国粋主義者の空念仏に変えてしまう。永久戦争は、教育やマスコミを堕落腐敗させ、経済を破壊する。開かれた社会を維持すべき任務を負った、リベラルで民主的な勢力は無力化する。リベラリズムの崩壊は、帝政ロシア、オーストリア・ハンガリー帝国、あるいはワイマール・ドイツ、どこにおいてであれ、道徳的虚無主義の時代を迎え入れる。この道徳的虚無主義は、実に様々な形であらわれる。道徳的虚無主義は、様々なスローガンや、言語やイデオロギーでわめき散らす。道徳的虚無主義は、ファシスト風敬礼、共産主義者の見せしめ裁判、あるいはキリスト教十字軍などの形で現れる。核心においては、いずれも同じだ。永久戦争を恒久化する中でこそ、自分たちのアイデンティティと権力を見いだせる凡庸な連中の、下品で、ゾッとするような長広舌だ。

かつて二十世紀当初、エジプト、シリア、レバノンやイランといった国々で、大いに成長する見込みがあった、アラブ世界におけるリベラルで民主的な運動を押しつぶしたのは、イスラム教ではなく、永久戦争への衰亡だ。イスラエルとアメリカ合州国における、リベラルな伝統を破壊しているのは、永久戦争状態だ。道徳的、知的鬼神、ディック・チェイニー、極右政党「イスラエル我が家」党首アヴィグドール・リーバーマン、マフムード・アフマディネジャドらは、永久戦争の道徳的虚無主義を体現している。連中は、恐怖と妄想を操っている。連中は国家安全保障の名において、市民的自由を撤廃する。連中は合法的な反対者を弾圧する 。連中は財務省を詐取する。連中は人種差別主義をかきたてる。

ランドルフ・ボーンが辛辣に言い表している。「戦争は国家の健康法である。」

著書『ペンタゴン・キャピタリズム』の中で、セイモア・メルマンは、国防産業をウイルス性のものとして描いている。彼は書いている。永久戦争における国防と軍事産業は、経済を破壊してしまう。国防と軍事産業が、優先順序をひっくり返せるのだ。連中は、政府支出を、自分たちの巨大軍事プロジェクトへと方向転換させ、国家安全保障という名の下で、国内投資を枯渇させている。アメリカは高度な戦闘ジェット機は製造するが、ボーイングは、新民間航空機を計画通りに完成できず、アメリカ自動車産業は破産した。アメリカは、資金を兵器システムの研究開発につぎ込み、地球温暖化と戦うための再生可能エネルギー技術を無視している。大学は国防関連の資金や助成金で溢れているが、環境保護研究の資金を求めて苦闘している。これは永久戦争という病だ。

この国における膨大な軍事支出は、年間ほぼ1兆ドルにものぼり、自由に使える全支出の半分を食いつぶし、深刻な社会的費用となっている。橋や土手は崩壊している。学校は腐食している。国内の製造業は衰退している。何兆もの負債は、貨幣と経済の生存能力を脅かしている。貧者、精神障害者、病人や失業者は、見捨てられる。アメリカ国民自身のそれを含め、人々の苦悩は、勝利のための代償なのだ。

油断のならない軍国主義を鼓吹する権力の言葉、益々もろくなる現実を覆い隠す恐怖と力によって、永久戦争国家の国民は爆撃される。永久戦争という教義の背後にいる企業群は、レオン・トロツキーの永久革命という教義を堕落させたのだが、国民を怯えさせておく必要があるのだ。肥大化した軍に政府が予算を費やすのに、我々が反対するのを、恐怖が妨げるからだ。恐怖ゆえに、権力にある連中に対し、我々が不愉快な質問はしなくなるからだ。恐怖ゆえに、治安の為と、国民は進んで、権利や自由をあきらめるからだ。恐怖こそが、我々を家畜のように囲いの中に閉じ込めるのだ。

アメリカ経済の特徴を表現するため、永久戦争経済という言葉を作り出したメルマンは、第二次世界大戦終結以来、連邦政府は、過去、現在、そして将来の軍事作戦のために、税金の半分以上を使ってきたと書いている。これは、政府による最大の維持活動だ。軍産複合体というのは、非常にもうかる商売だ。軍産複合体は、体裁を繕った、企業福祉だ。軍産複合体では、利益が保証されている。国防システムは、製造される前に、販売される。軍事産業は、膨大な原価見積超過を、連邦政府に請求することを認められている。莫大な利益が常時保証されているのだ。

およそ30億ドルの支援を受け取り、13億ドルでアメリカ製兵器を購入することを要求されるエジプトのような国々に、対外援助は送られる。納税者は、兵器システムの研究、開発、そして製造資金を出し、次に外国政府になりかわって、それを購入する。これは異様な循環システムだ。これは自由市場経済という概念に逆らうものだ。こうした武器システムは、じきに、更新あるいは、切り換えが必要になる。武器システムは、数年後には廃品置き場へと運ばれ、さびつくのだ。それは経済用語で言う、行き詰まりだ。それは永久戦争経済以外の何物も、維持しない。

永久戦争で儲ける連中は、商品を製造し、販売して利益を得て、次に、利益をさらなる投資と生産に使うという経済法則に拘束されない。連中は、むしろ、競争市場の外部にいるのだ。連中は国家と企業の境を消滅させている。連中は、有用な製品を製造し、持続可能な職を生み出すという国の能力を、吸い取っている。メルマンは、ニューヨーク市交通局と、新地下鉄車輛用の30億ドルから40億ドルの2003年予算の例を用いている。ニューヨーク市は入札を行ったが、アメリカの企業は一社も応札しなかった。アメリカにおける産業基盤は、国家のインフラを、維持、向上、あるいは、構築するために使われる品目には、もはや重点をおいていないと、メルマンは主張している。ニューヨーク市は最終的に、日本とカナダの企業と地下鉄車輛製造の契約した。そのような契約は、直接、間接に、アメリカ合州国の国内で、約32,000の職を生み出せていたろうと、メルマンは推測している。別の例では、2003年のL.L. ビーンのカタログにあった製品100種のうち、メルマンが調べてみると、92点は輸入物で、わずか8点がアメリカ合州国で生産されていた。

故上院議員J. ウイリアム・フルブライトは、1970年の彼の著書『ペンタゴン・プロパガンダ装置』で、軍-産複合体の勢力範囲を表現している。何百万ドルもかけた広報キャンペーン、国防省映画、ハリウッドのプロデューサーたちとの緊密なつながり、そして、商業マスコミを利用して、いかにペンタゴンが、世論に影響を与え、世論を形成しているのかを、フルブライトは説明している。テレビに出演する軍事アナリストの大半は元軍幹部であり、多くは国防産業のコンサルタントとして雇われているのだが、この事実は、滅多に公開しない。退役した四つ星陸軍将軍で、NBCニューズの軍事アナリスト、バリー・R・マキャフリーは、同時にディフェンス・ソリューションズ・インクというコンサルタント会社の社員だとニューヨーク・タイムズは報じている。記事は書いている。彼はテレビ放送の中で擁護している武器システム販売と、イラクとアフガニスタンでの戦争拡大で利益を得ているのだ。

アメリカの永久戦争経済は、オバマと民主党によって、挑戦されてはいない。彼らは、それが資金源なので、永久戦争経済の破壊的凶暴さを支持しているのだ。凶悪な敵という仮説も、それに挑戦することは政治的自殺になるため、正当なものとして、連中は認めているのだ。連中が、恐怖の物語を繰り返しているのは、そうすれば国民を休眠状態にしておけるからだ。連中は、永久戦争で儲ける大企業勢力よりも弱い立場にあるので、そうしているのだ。

民主党等の、わが国のリベラル階級の空疎さが、道徳的虚無主義を力づける。永久戦争状態では、リベラリズムの死は避けられない。ディック・チェイニーは誰が見ても悪人で、オバマは単に弱者かも知れないが、永久戦争状態に留めて置きたい連中にとって、それはどうでも良いことだ。連中は望んでいるものを入手するのだから。アメリカのように、リベラルな階級が、無益な挫折した夢想家となった場合、文化に何が起きるのかを明らかにするため、フョードル・ドストエフスキーは『地下室の手記』を書いた。『地下室の手記』の主人公は、リベラリズムという破産した思想を、論理的な極端にまで推し進める。彼は啓蒙の理想となる。彼は情熱や道徳上の目的を忌避する。彼は合理的だ。彼は自滅に直面してすら、正気より、リアリズムを重んじている。こうした適応行為は、帝政ロシアに破滅する運命を定めたように、地下生活者に破滅する運命を定めたが、我々にも破滅する運命を定めるだろう。

「僕は、何者にもなれなかった。意地悪にも善良にも、卑劣漢にも正直にも、英雄にも虫けらにも。」地下生活者は書いている。「今では片隅の住まいで余生を送っている。利口な人間は本気で何かになることはできないし、何かになるのはばかだけだという、意地の悪い、何の役にも立たない慰めで自らをあざけりながら。」

我々は、こうした馬鹿者どもによって、永久戦争の世界に引きずりこまれたのだ。私たちは、馬鹿者どもが、生命の連続性を破壊し、私たちを支えている、経済的、社会的、環境的、政治的、全システムを引き裂くのを許している。ドストエフスキーは、悪に幻滅したのではない。馬鹿者どもと対決する道徳的な勇気をもはや持たない社会に、彼は幻滅したのだ。こうした愚者たちが、断崖の上で我々を導いているのだ。廃墟から立ち上がるのは、何か新しいものではなく、それまで正面壁の背後に隠されていた怪物の顔だ。

クリス・ヘッジスは、Truthdig.comで、定期コラムを書いている。ヘッジスは、ハーバード大学神学部を卒業し、ほぼ20年間ニューヨーク・タイムズの海外特派員だった。彼は多数の本を著しており、著作には以下のものがある。War Is A Force That Gives Us Meaning(邦訳『戦争の甘い誘惑』河出書房新社)、What Every Person Should Know About War(邦訳『本当の戦争―すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄』集英社), American Fascists: Christian Right and War on America(訳注:『アメリカのファシスト』急進的キリスト教右派の政治的野望 -についてのインタビューは、デモクラシー・ナウで字幕付きのものが視聴可能。)彼の新著、Empire of Illusion: End of Literacy and Triumph of Spectacle、は7月に刊行されるが、予約注文も可能。

記事原文のurl:www.truthdig.com/report/item/20090518_the_disease_of_permanent_war/

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ランドルフ・ボーン、第一次大戦の休戦協定後間もなく、スペイン風邪で亡くなった。(1918/12/22)

宗主国が長年患う「永久戦争という慢性疾患」ひとごとではない。当然属国日本もまきこまれている。いや傀儡首脳にしてみれば、自ら進んで参加しているつもりだろう。

宗主国に永久戦争の資金を差し上げるための郵政破壊法を、マスコミ大キャンペーンも活用して、見事に通した。その一方で、後期高齢者医療制度(正しくは後期高齢者放棄医療制度)、障害者自立支援法(正しくは障害者自立妨害法)、労働者派遣法改悪など、庶民の苦悩を深める施策推進の数々、あげればきりがない。失業者を増やして、「砲弾の餌食」志望者を養成すべく「気分はもう戦争」をしっかりあおりたてるのも、大本営マスコミの大切な仕事。

宗主国の永久戦争に対する直接支援策も、在日米軍再編、グアム移転へのつかみがね、イラク派兵、ソマリア派兵等々、これまた限りない。

憲法破壊を推進する、憲法審査会規程が2009/6/11に制定されたのも、両国の永久戦争という『やまい』ゆえ。

憲法破壊を推進する連中に、万一、本当に『愛国心』なるものがあるのなら、まず日米安全保障条約というアメリカの押しつけを廃棄するだろう。

永久戦争が続いていても、決して、アメリカ社会の不平等は変わりはしない。悪化するばかりだろう。戦争を希望する心理というのはなんとも不思議なものだ。

森田実氏が、森田実の言わねばならぬ、2009.6.10(その1)で言っておられるように、

9月10日までに行われる総選挙における争点は郵政民営化見直しと不況対策

だろう。更に引用させていただけば、

4年前の2005年9月11日の郵政民営化解散・総選挙――大マスコミがこぞって小泉改革を応援した。この結果、小泉自公連立政権は衆議院で3分の2を上回る議席を取り、解散前に参議院で否決され廃案となった郵政民営化法案を強引に成立させた。

 これによって、日本の郵政事業はアメリカの金融資本とその手先である日本の買弁資本家の手にゆだねられ た。日本の最もすぐれた国民の共有財産だった郵政事業は国民から離れ、全国共通の平等な郵政事業サービスは打ち切られた。地方・地域の住民の「安心の支 柱」だった郵政事業は、営利事業と化した。この体験を通じて、日本国民は小泉構造改革の反国民性に気づいたはずである。

のだから。

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肝心なことを忘れていた。イギリスの作家ジョージ・オーウェル、彼最後の小説『1984年』で、作られた永久戦争がつづく陰鬱な世界を描いていた。日付は20年ほど遅れたが、その通りになったようだ。2009年6月8日が、1984年』刊行60周年。Wikipedia
小説の中では、3つのスローガンが至る所に掲示されている。現代そのもの?
    * 戦争は平和である
    * 自由は屈従である
    * 無知は力である

不自由は自由である。弾圧は民主的である。属国は独立国である。
以上あくまでオーウェル原作『1984年』の話で
あって、(ノーベル賞候補作家)村上春樹の『1Q84』ではない。念のため。
 

戦争国家アメリカに関する記事翻訳の一部をあげると以下のようなものがある

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