空飛ぶブタ、タミフル、そして工場方式飼育場
下記は、首題記事のごく一部のご紹介。首題記事は、上・下、二編の長いもの。
F. William Engdahl
Global Research
2009年4月29日
タミフルとラムズフェルド
2005年10月、ペンタゴンは、世界中の全てのアメリカ軍人に、鳥インフルエンザ、H5N1と呼ばれるものに対するワクチン接種を命じた。世界中のマスコミは恐ろしい話でもちきりになった。そこで、ドナルド・ラムズフェルド国防長官が、タミフルという商品名で販売されている薬品オセルタミビルを備蓄するために、10億ドル以上の予算を計上したと発表した。ブッシュ大統領は、タミフル備蓄用に更に20億ドルの支出を承認するよう議会に要求した。
当時ラムズフェルドが報告を怠っていた事実は、とてつもない利益相反だった。2001年1月にワシントンにやってくるまで、ラムズフェルドは、カリフォルニアの製薬会社、ギリアド・サイエンシズの会長だった。ギリアド・サイエンシズは、同社が開発した薬、タミフルの世界中の独占的特許権を保有しており、その世界中での販売権は、スイスの巨大薬品会社ロシュに売却された。伝える所によれば、ラムズフェルドは、ロシュが販売する全タミフルの10%を得るギリアド社の最大株主だった。これが洩れると、ペンタゴンは、ラムズフェルド国防長官は、売却するのは、何か隠したいことがあるということになるからと主張し、ギリアドの株を売らずに、もち続けることに決めた、という趣旨の素っ気ない声明を出した。ギリアドの株価が数週間で、700%以上も高騰したため、この苦渋の決断によって更に何百万ドルも儲けたと言われている。
タミフルは、気楽に食べられる口当たりの良いアメではない。これには強い副作用がある。これは人の呼吸に対して致命的な結果をひき起こしかねない物質を含んでおり、吐き気、目まいや、他のインフルエンザの様な症状をひき起こすことが多く報告されている。
豚インフルエンザ・パニック(豚インフルエンザではなく、豚インフルエンザ・パニックであることに留意)が勃発して以来、インフルエンザに関連するものとして販売されている他のあらゆる薬品同様、タミフルの売り上げは急増した。ウォール街の証券会社は、慌てて、同社を「買い」の推薦銘柄にした。「先生、注射してくださいよ。何の注射でもいいんです…死にたくないんで…」
パニックと死の恐怖は、鳥インフルエンザ詐欺を進めるため、ブッシュ政権に巧妙に利用された。現在の豚インフルエンザ恐怖の不気味な前兆である、鳥インフルエンザでは、製品を世界中に出荷していた、タイやアジアの他の国々の、工場化した巨大養鶏場が発生源として突き止められた。こうした大規模養鶏場の衛生状態を真面目に調査する代わりに、ブッシュ政権とWHOは、小規模家族農園で「自由に動き回る鶏」のせいにした。極めて衛生的な自然条件で鶏を育てている農民に対して、壊滅的な経済的帰結をもたらす動きだった。伝えられるところによれば、アーカンサスのタイソン・フーズと、タイのCGグループは、ほくそ笑みながら銀行に向かったという。
オバマ政権が、いわゆる豚インフルエンザをめぐる恐怖を、今回は、空を飛ぶ鳥の代わりに、「空飛ぶ豚」を使って同じシナリオを繰り返すために使うかどうかは、この先を見てみないと分からない。既にメキシコ当局は、いわゆる豚インフルエンザによる死者の数は、マスコミが言いふらした、150人あるいはそれ以上ではなく、7人であり、感染が疑わしい症例は、大半が普通の流感、つまりインフルエンザだったと報告している。
記事原文のurl:www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=13408
----------
アメリカでは、大統領交代後、テロ容疑者に対する拷問の責任者を追求する国民の動きが続いていた。もちろん、ラムズフェルドやブッシュが対象。
そこに豚インフルエンザ。このかぜのおかげで「拷問責任追求」の話題、完全に吹き飛んだ。
しかも二度目のたなぼた。一石二鳥、三鳥の、実に巧妙な危機対応策。
タレント裸事件で、海賊対処法案通過の話題を吹き飛ばしたのと同じ仕組み。
マスコミには載らないが、blogには、たとえば、下記のものがある。
本国の記事には、以下の様なものがある。
Citizens For Legitimate Government: Flu Kills The Torture Memos
Newsvine: Flu Kills The Torture Memos -- Rumsfeld, Tamiflu, Bioterror, Genocide, etc.
同じGlobal Researchの別記事のごく一部を訳したものも、ご覧いただきたい。
ソマリア海賊を理由に、憲法を堂々と破壊して、軍隊を派兵する動きを、カバーする騒ぎとして、宗主国アメリカと、属国日本政府にとって、豚インフルエンザの流行ほど有り難いものはないだろう。
アプトン・シンクレアが100年前に描き出した、移民労働者に依存する、シカゴの巨大食肉工場の想像を絶する不潔さ、今に至っても変わっていないのだろう。是非、ご一読を。
アメリカ古典大衆小説コレクション 5 ジャングル
アプトン・シンクレア著
松柏社
亀井 俊介監修
巽 孝之監修
大井 浩二訳・解説
税込価格: ¥3,675
2009.6
関連記事翻訳:
« アメリカ合州国はパキスタンで一体何を仕組もうとしているのだろう? | トップページ | カーブルへ至るタリバンの道 »
「伝染病という便利な話題」カテゴリの記事
- もう一人の真実の闘士ラッセル・ブランド「無実が証明されるまで有罪」(2023.09.30)
- ニュージーランドは些事に至るまで国民を管理する欧米諸国政府用の実地試験?(2023.01.26)
- 以前発表した通り中国がコロナ政策を変更したのに偽って抗議行動の勝利と主張するNYT(2022.12.11)
- 多数の死者に苦しむ欧米はゼロ・コロナ政策を放棄するよう中国への圧力を強化している(2022.11.29)
- ウウルスラフォン・デア・ライエンは辞任を強いられるだろうか 彼女の行為は調査されるだろうか?(2022.11.01)
「William Engdahl」カテゴリの記事
- モスクワでなく、ベルリンとブリュッセル発のヨーロッパのエネルギー・アルマゲドン(2022.09.06)
- 一体誰の穀物がウクライナから輸出されているのか?(2022.08.22)
- NATO制裁と、来るべきグローバル・ディーゼル燃料(軽油)大惨事(2022.04.16)
- ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画(2022.03.13)
- ジョージ・ソロスは、なぜ習近平が去るのを望んでいるのか?(2022.02.15)
« アメリカ合州国はパキスタンで一体何を仕組もうとしているのだろう? | トップページ | カーブルへ至るタリバンの道 »
コメント