8年にもおよぶオサマ心理作戦
『お尋ね者オサマ・ビン・ラディン: 生死を問わず』
Tod Fletcher
デヴィッド・レイ・グリフィン新著の書評
2009年5月26日
"Information Clearing House"
デヴィッド・レイ・グリフィンの本『お尋ね者オサマ・ビン・ラディン: 生死を問わず』は、オサマ・ビン・ラディンはまだ生きているのか?という疑問にまつわるあらゆる種類の証拠についての、決定的に重要で、時宜を得た調査だ。現在に対するこの疑問の重要性は、アメリカ合州国が新大統領の下でアフガニスタンでの攻勢をエスカレートし、戦争をパキスタンへと拡大し、「ビン・ラディン狩り」が、そういう行動の主要な動機の一つだと主張している事実にある。明示的であれ、暗示的であれ、アメリカ政府も、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト等の大手マスコミも、ビン・ラディンは生存しており、「アフ・パク」国境の部族地域に隠れて、アメリカの安全保障に対し、相変わらずの脅威となっていると、主張し続けている。
人の心をとらえて離さない新著で、2001年9月11日以来出現した、ビン・ラディンはまだ生きているであれ、彼は実際死亡しているというものであれ、あらゆる証拠を綿密に検討して、グリフィンは、この戦争用口実の根底を攻撃している。彼の結論はビン・ラディンは確実に死亡しているというもので、2001年のかなり後半に彼が死亡した可能性が高いというものだ。多くのアメリカ人の対テロ・対ゲリラ専門家は、ずっと以前から、まさにこれと同じ結論に至っているが、彼らの見解は、オバマ大統領、ディック・チェイニーの用語を拝借して「長期戦」と呼んでいるものの継続を支持するものでないため、マスコミがほとんど報道しないことをグリフィンは示している。マスコミがそんなことをしていたら、戦争政権の原動力の一つが損なわれていただろう。
第1章、「オサマ・ビン・ラディンが死んでいるという証拠」で、グリフィンは、ビン・ラディンはずっと重病でいたが、亡くなった、という2001年末と2002年始めの大手マスコミが報道した様々な兆候の詳細を精査している。これらの中には、(ブッシュ政権の広報担当が認めているように)三途の川にいるように見える2001年12月のビデオ、彼の健康状態の深刻さに関する医療関係者による分析、2001年12月、彼からの通信に対するあらゆる監視傍受の、突然、完全な中断、そして、彼の葬儀の報道さえ含まれている。この早い時期に、ドナルド・ラムズフェルド国防長官やペルベス・ムシャラフ大統領を含む、アメリカやパキスタン政府の様々な首脳が、彼は死んだのではと推測していた。2002年中頃までには、FBIの対テロ捜査官デール・ワトソン、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領、イスラエルの諜報機関職員らを含む多くの専門家が、彼は死亡していると結論を出していた。現在、元諜報機関部員のロバート・ベーアとアンゲロ・コデヴィッラは、彼は2001年に亡くなったと確信している。
第2章、「2001年の二本の偽ビン・ラディン・ビデオ?」で、ビン・ラディンが9/11攻撃を自分の手柄だと言い、それゆえ彼のこの件に対する罪が確立した、といわれている二本のビデオは、ブッシュとブレア政権の立法府、軍事的目標に対して、きわめて好都合なタイミングであったばかりでなく、他の諸理由からして極めて疑わしいことをグリフィンは示している。二本のうち一本は、実際には決して公開されず、ブレア政府が単にそう主張しただけだ。もう一本は、初期のビデオで、肉体的に、本物のビン・ラディンには似ていないビン・ラディンが写っており、その中で、彼は実際、9/11攻撃の責任を否定している。グリフィンは、両方のビデオは偽造されたものだという説得力のある主張を示し、そのようなリスクが伴う企ての背後にある、それらしき動機を示唆し、ずっと以前にこの結論に達した(FBIを含む)専門家の意見を引用している。
第3章、「2001年以降のビン・ラディン・メッセージとされているもの」で、もし偽のビン・ラディン ビデオが、おそらく彼がまだ生きていた早い時期に制作されているのであれば、彼からのあらゆる通信傍受が停止し、多くの専門家が彼は死亡していると結論を出した後に公開された「ビン・ラディン・ビデオ」あるいは、他の彼の「メッセージ」とされているものを疑わしく思う、更に強力な理由になるとグリフィンは主張する。しかし、それ以後、そうした疑わしい一連の「ビン・ラディン メッセージ」が公開されている。グリフィンは、2002年3月の「電子メール・メッセージ」から、2009年1月14日の「ビン・ラディン・テープ」に至るまでの19のデータについて、徹底的な調査を提示している。そのいずれにも、いんちきであることの、あるいは、その信ぴょう性を疑うに十分な理由があるという重要な徴候を、グリフィンは特定している。メッセージについて論議をする中で、様々な種類の偽メッセージを捏造する技術的可能性が既に存在していたことを、彼は証明した。
第4章で、グリフィンは「誰にメッセージを偽造する動機があったのだろう?」という重要な疑問に取りかかる。2003年イラク侵略の準備期間に、侵略の口実として、サダム・フセインとアル カイダとの間のつながりがあるという偽りの証拠を作り出すために、アメリカ軍が心理作戦部隊を用いたことを彼は示している。当時、アフガニスタンのアルカイダ指導者に送られる途中で「途中で傍受」されたと称される、在イラク・ヨルダン人、アブ・ムサブ・アル-ザルカウイの「手紙」を、心理作戦部隊がでっちあげた。侵略後、この「証拠」を本物だとして一面記事を書いた、ニューヨーク・タイムズ記者デクスター・フィルキンスによって、心理作戦は推進された。一方で、ニューズウイーク誌やロンドンのテレグラフ紙を含む他企業のジャーナリストたちは、当時、その手紙が偽造である可能性が極めて高いと考えていた。グリフィンは、心理作戦の標的は、アメリカ国民だったと結論づけている。「ビン・ラディン メッセージ」でも、何か非常に良く似たことが起きているのではあるまいかと彼は疑問を投げかけている。アメリカ政府は、ビン・ラディンが未だに暮らしているとアメリカが主張する場所のどこにでも、軍事作戦を拡大したいと望んでいるのだろうか。証拠に基づき、この目標を実現するために、同様の心理作戦が活用されていないと考える理由は皆無であることをグリフィンは示している。
第5章、「メッセージのタイミングが、政権に都合が良いこと」で、「ビン・ラディン メッセージ」が本物でないと疑わせるもう一つの理由が、特定の目標を追求するにあたって、ブッシュ政権のためになるような、重要な瞬間に発表されていることが多いのを、グリフィンは示している。言い換えれば、「メッセージ」は、ほとんどいつも、客観的に、アメリカの敵にとって不利で、ブッシュ政権なりブレア政府なりに役立っている。グリフィンは、「メッセージ」のこの並ならぬ特徴を、具体例として、11個あげている。
デヴィッド・レイ・グリフィンによる著書『オサマ・ビン・ラディン: 生死を問わず』は、この国を支配し、この国を奈落の底へ突き落としつつある、略奪的な軍-産-金融エリートによる、今後の計り知れない血まみれの侵略戦争に対する抵抗を、私たちが動員・組織できるようにするため、我々がその下に集うべき基盤となる書籍だ。グリフィンは、アフガニスタンとパキスタンでの残虐な戦争を止めるために使える、真実という強力な武器を我々に与えてくれたのだ。活用しようではないか!
記事原文のurl:informationclearinghouse.info/article22708.htm
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こういう本の記述、本当か嘘かという問題は、素人には簡単にはわからない。こういうことこそ「マスコミ」に調べてもらいたいものだが、そうした希望、幻想に過ぎない。
マスコミが報道してやまない、中央大学教授殺人事件やら、豚インフルエンザで客の減った神戸の話より、こうした話題のほうが、普通の日本人にとって、はるかに直接影響する話題だろう。税金が、庶民生活向上のためでなく、宗主国の戦費や、兵站、わが国の傭兵派兵に使われている以上は。
個別のテレビ・アナウンサーやディレクター、新聞記者やデスクが、放送、報道するニュースを自発的に決めているわけはあるまい。体制として、宗主国を含めた上からの圧力で、どうでもよい事件しか報道しないことにしているに違いない。
そうした報道や、茶番国会論議放送を見る時は、悪罵をさけびながら見ている。「ばかやろー!プロパガンダだろう」。そうでもしないと精神のバランスに良くないだろう。馬鹿馬鹿しく、電気代ももったいないので、すぐにテレビは消している。
新聞社説や御用文化人の論説、頭が汚れるので、決して読まない。
貧乏人ができる、せめてもの自己防衛。(もちろん、スーパーのビラは見落としのないよう本気で読んでいる。御用文化人の論説と異なり、効用があるので。)
昔、反安保条約デモにぎやかなりし頃、女子学生が死亡した1960年6月15日の翌々日、マスコミ大手による「七社共同宣言」というものが出された。以来、日本のマスコミ、属国路線推進一辺倒。
ところで、wikipediaの「安保闘争」まるで自民党記事。属国路線推進一辺倒。このblog同様、無料の記事を鵜呑みにしてはいけない。
評価という部分から、一部を引用しておく。太字は当方が加工。
新安保条約や60年安保闘争への評価は政治的な立場により異なるが、新安保条約は現在(2009年)まで約半世紀にわたり存続しており、日本の政治体制・軍事体制の基礎として完全に定着しており、 新安保条約により日本が戦争に巻き込まれる危険が増したなどの主張は現在では余り聞かれない。
この筆者、正気だろうか?既に、イラク派兵、そしてソマリア派兵という事実があるだろう。宗主国アメリカにまきこまれ、属国日本は戦時中だ。やがて、派兵先、流血場所は、アフガニスタン、パキスタン...と無限に広がってゆく。もろに、巻き込まれている。「いや、主体的に参加しているのだ」と、政府や諸氏は、自分がそう信じたい、真っ赤な嘘を言うだろう。
だが、他国における不正義の人殺しに、主体的に参加したいなどという主張は、現在も普通の神経の人間からは余り聞かれない。人殺しは、そのひとのためなのだ、というようなことを言ったアサハラと同じではないか?
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