アフガニスタンで、アメリカとNATO、世界最大、最長の戦争を遂行中
Rick Rozoff
2009年3月25日
Stop NATO
10月7日に、この戦争は歴年で9年目に入り、今年、計画されている、最少30,000人のアメリカ兵士と数千人のNATO加盟国の軍隊を展開し、無期限に継続すると約束している。
これはアメリカ合州国の歴史の中で、空と地上戦線の双方で、二番目に長い戦争であり、果てし無く介入したインドシナが、これまでのところ、長さにおいて優るだけだ。
アフガニスタン戦争は、北大西洋条約機構として、ヨーロッパ外での最初の武力紛争であり、成立以来60年の歴史で、初めての地上戦だ。条約機構の第5条の相互軍事援助規定の初めての発動として、NATO加盟国全ての26ヶ国と、欧州・大西洋パートナーシップ理事会、平和のためのパートナーシップ、およびアドリア海憲章経由でNATOに繋がっている他のヨーロッパとカフカス諸国12ヶ国の軍隊の参加を得て遂行されている。
ワシントンと同盟諸国を支援するために、様々な人数の軍隊を派兵したヨーロッパのNATO加盟国12ヶ国の中には、かつては中立だった大陸の五カ国が含まれている。オーストリア、フィンランド、アイルランド、スウェーデンとスイスだ。
ヨーロッパのNATOと、パートナー諸国で軍を展開している国には、旧ソ連邦共和国の6ヶ国があり、アゼルバイジャン、グルジアとウクライナは、最近増派をも要求され、バルト海沿岸諸国の三カ国は、国民の人口数とは不釣り合いな人数の兵士を派兵している。 - 西欧の首脳やマスコミは、1980年代には頻繁に使われていた、侵略、帝国や、占領といった類の言葉を避けてはいるが。
この紛争で、ベトナム戦争以来、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドと韓国軍が、同一戦場における同一作戦の中で初めて戦闘したことになる。(2003年3月の後、この四カ国全てがイラクに派兵したが、アメリカ軍のみが戦闘した。しかしながら、アフガニスタンでは、特殊部隊を含む、1,000人以上のオーストラリア兵士が、対ゲリラ作戦に参戦し、そのうち10人が死亡した。)
合計で、42ヶ国が、北大西洋からは想像できないほど遥か彼方での戦争に、一握りの兵士から、数千人までにわたる派遣部隊を送り、NATOの元で服務させ、果てしのない参戦に巻き込まれているのは、西欧あるいは北米で紛争が起きた場合、お互いに、軍事援助を与えるという、主要西欧諸国による1949年の約束ゆえにだ。
バルト海沿岸三カ国、オーストラリア、および韓国の兵士を含む、千人以上の、アメリカ、NATOおよび、NATO加盟諸国の兵士が、この戦争の中で亡くなっている。
いわゆる「限りなき自由作戦」の御旗の元で、アメリカとイギリスの空爆とミサイル攻撃で始まった、2001年10月早々のアフガニスタン侵略と戦争の開始以来、このモデルは17ヶ月後に、イラクでも使われた。戦争はアフガニスタンそのものだけに限定されず、この国が、2001年9月11日のニューヨーク市、ワールド・トレード・センターのツイン・タワーと、ワシントンのペンタゴンへの攻撃に、極めて根拠があいまいなつながりがあるとされることを、アメリカと他のNATO軍を、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、パキスタンを含むいくつかの隣国や近隣諸国、およびインド洋 (ここで日本海軍は、限りなき自由作戦を支援している)への空軍基地や、兵士と海軍の展開をする口実に利用された。
ロシアの通信社イタル-タスは、120,000人のアメリカとNATO軍の兵士が、2008年にキルギスタンのマナス空軍基地を経由したと昨年12月に報じた。
2009年に、ペンタゴンとNATOに、キルギスタン政府が、アフガニスタン戦争で使用されている戦闘機の基地を閉鎖する可能性があるという、悪い知らせがもたらされた。この基地には、2001年以来、アメリカ合州国、オーストラリア、デンマーク、ノルウェイ、ニュージーランド、ポーランド、トルコ、オランダ、イタリア、スペイン、フランス、および韓国の軍事要員が宿泊した。
ペンタゴンは、限りなき自由作戦の担当地域を、15ヶ国を網羅すると公式に定義している。アフガニスタン、パキスタン、キューバ(グアンタナモ湾海軍基地)、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ヨルダン、ケニヤ、キルギスタン、フィリピン、セイシェル、スーダン、タジキスタン、トルコ、ウズベキスタンとイエメンだ。
2001年10月のアフガニスタン侵略後、アメリカとNATO加盟諸国は、非常に協力的なコフィ・アナン国連事務総長(彼は1995年には、旧ユーゴスラビアへの国連事務総長特別代表やNATO特使を勤め、アメリカが、彼の前任者ブトロス・ブトロス-ガリを退任させ、1997年に、他の安全保障理事会メンバーの14ヶ国を脅しつけ、彼を受け入れさせ、事務総長にすえられた)から、国際治安支援部隊(ISAF)設立を承認する決議を獲得した。当初は、アフガニスタン占領を監督することになったいたが、後にはアフガニスタン国内で、本格的な対ゲリラ作戦を開始し、国境を越え、パキスタン。ISAFは、始めから国際的なものではなかったし、今でも国際的なものではない。丸ごとNATOの作戦だ。
2001年12月から2003年8月まで、ISAFの指揮は、主要なNATO加盟諸国による六ヶ月毎の回り番だった。この時期が終わった後、指揮は、集団的にNATOにまかされた。当初、その任務は首都カーブルに限定されていたが、2003年までには、任務は首都外に、そして2006年までには、アフガニスタンの全部の州にも拡張された。
爆撃され侵略された国に、戦闘部隊を展開し、その国中で空襲と地上攻撃を遂行するというのは、戦争と占領という単語の仮の定義として考え出せる限り、最上のものだろう。
アフガニスタンは、アメリカとそのNATO同盟諸国や加盟希望諸国に、新兵器を実験し、21世紀の対ゲリラ作戦をしかけ、42ヶ国以上からの、いわゆるニッチ配備軍隊を統合し、兵器とミサイル戦争の相互運用性を実現する機会を提供する、永久的な訓練所、射撃練習場と化した。
中でも、ポーランド軍幹部は、アフガニスタンで、NATOは、ポーランドに、第二次世界大戦開始以来、戦争地帯や、戦闘作戦に配備されたことがないポーランド軍を現代化するための条件を提供してくれたと、あからさまに語っている。NATOは、その焦点をヨーロッパの"防衛"に向け直すべきだというポーランドとバルト海沿岸諸国首脳による最近の発言とあわせて考えると、大アフガニスタン戦争戦域は、東欧や南カフカス諸国を、ロシアの東部、南部国境での作戦に備えさせるための実験場なのだ。
先月アメリカは、ポーランドと、ポーランドの特殊部隊を訓練する(ペンタゴンが既にグルジアで行ったことに匹敵する)条約を締結し、アフガニスタンが、共同実施のための最も喫緊の現場であると言及した。
NATO加盟諸国各国による派兵人数よりも、数万、おそらくは数十万人の、NATO軍兵士が、過去七年半にわたり、アフガニスタン、キルギスタン、タジキスタンとウズベキスタンに交代で駐留し、またその過程で、主要なNATO加盟大国の指揮の下で服務を経験したという事実の方が重要だ。
今年早々アメリカ中央軍司令官デビッド・ペトレイアスは、アフガニスタンでの戦争を拡張するための軍事補給路として、カフカス諸国のグルジアとアゼルバイジャンに目をつけはじめ、旧ソ連の中央アジア共和国である、カザフスタンとタジキスタンを訪問し、これらの国々を、益々拡張しつつある南アジア戦争の渦に取り込もうとしている。
昨年末ロシア軍参謀総長ニコライ・マカーロフ大将は、「アメリカ軍事基地は世界中に点在している。アメリカはルーマニアとブルガリアに基地を開設し、我々が得ている情報によると、カザフスタンとウズベキスタンにも基地を設置しようと計画している。」と警告した。
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アメリカとNATOがアフガニスタンを攻撃し、侵略し、ソ連時代の戦略的な空軍基地全てを(最近では、2005年にイラン国境近くのヘラート州にあるシンダンド空軍基地を)占拠し、言いなりの傀儡政権をしつらえて、国家と国民を支配する口実を、西欧の官界や、従順なマスコミは、盛んに繰り返している。
そもそも、2001年9月11日攻撃の記憶が、アメリカや世界中の記憶にまだ新ただった頃、限りなき自由作戦の論理的根拠は、オサマ・ビン・ラディン、ムラー・オマールや、彼らの首脳部の何人かを、ニューヨークの金融センターとアメリカ国防省本部への破壊的攻撃に対する復しゅう法的懲罰として、追跡して捕らえて"法に基づいて裁く"か、殺害するということだった。
年月が過ぎ行くうちに、ビン・ラディンとムラー・オマールらが逮捕されないばかりでなく、彼らの行方さえ定かでなくなり、焦点は、この両者を匿ったかどで、タリバンとの戦いへと移された。
この最悪の場合の代案は、事実 ワシントンで、ほかならぬドナルド・ラムズフェルド国防長官が、9/11直後に、ほぼ世界の三分の一、60ヶ国もの国々が、テロリストを匿っており、従ってミサイルや他の攻撃による格好の標的だと主張しながら、タリバンを承認し、財政援助をし、明らかに、武器を与えた三カ国、パキスタン、サウジアラビアとアラブ首長国連邦を、攻撃リストから、これみよがしに除外した事実から、偽りであることが分かる。
タリバンが悪いという主張も、アメリカの、ボイス・オブ・アフガニスタン(ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティの支流)によって、アメリカがしつらえたハミド・カルザイ大統領が、「"わがタリバン"は"対ソ連の聖戦において、我々と協力して戦った。」と称賛するのを繰り返し引用されては台無しだ。
2003年に、アフガニスタン諸州に扇形展開するのを正当化するため(元々のカーブル司令本部に加え、NATOは北、南、東および西司令部を立ち上げた)アメリカとNATOの機転は、事後的に、人道的な装いを採用することだった。地方再建班(PRT)なるものも設立した。
侵略軍隊は、建物を建設するのでなく、破壊するよう設計されている、爆撃機、巡航ミサイル、15,000ポンドのデイジー・カッター弾や長距離砲を装備しており、地方再建班(PRT)は、1960年代初期の南ベトナムにおける、戦略村落計画をモデルとする地方宣撫班と呼ぶ方が正確だろう。
アフガニスタンやその周辺で西欧が駐留を継続し、拡大し、軍事作戦を強化するのを説明すべく、更なる理由をひねり出すことが必要となった。
タリバンは権力を握って4年で、少なくとも一つの目標は実現していた。タリバンはアヘン栽培を抑止したのだ。
ところが、NATOのアフガニスタン占領から数年後に、アフガニスタンは、世界最大のアヘン製造、輸出国となり、昨年秋、同盟は、アヘンや"麻薬密売人"に対し、武装襲撃を計画していると発表した。二つ目のものは、西欧が定義することに決めているのだが。
アフガニスタンで、そして今やパキスタンで継続中の果てしない戦争は、ビン・ラディン狩りから、対タリバン戦争、更には、1999年に開始された、アメリカの残忍な事業、プラン・コロンビアに範を取る麻薬戦争へと変身した。そのモデルを再現すべく、300人のコロンビア人兵士がアフガニスタンに展開される予定だという報道もある。
アメリカ大統領バラク・オバマによる、アフガニスタン出口戦略に関する最近の演説にもかかわらず、ワシントンと同盟諸国がアフガニスタンや、アフガニスタンがその中心となる、より広範な、南アジア/中央アジア/カスピ海盆地/南カフカス外周からいつか撤退するつもりがあるのか明らかではない。
二週間前、ロシアのノーボスチ通信のウエブサイトは、この見方の特集を載せた。「アメリカは、この地域の政権を、グルジアのサアカシュヴィリや、ウクライナのユシチェンコの類に置き換えるために、アフガニスタン戦争を始めたのであり、それは、アフガニスタン大統領ハミド・カルザイから始まったのだと、中央アジア諸国は考えている。イラン、中国とロシアは、この戦争は、自分たちの中央アジアに対する影響力を皆無にするためのワシントンの企みだと思いかねない。」
アフガニスタン侵略の四ヶ月弱前、中国、ロシアと旧ソ連邦の中央アジア共和国の四カ国、つまり、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンとウズベキスタンが、相互安全保障集団の上海協力機構(SCO)を設立し、後にはインド、イラン、モンゴルとパキスタンをオブザーバーとして取り込んだ。
その目標は、地域の安定を実現し、麻薬密輸、武装過激派や分離主義を含む国境を越えた犯罪問題に対処することだ。
創立以来、この機構は、エネルギー、運輸、貿易そしてインフラストラクチャー分野における共同開発計画にも益々力を注ぎつつある。
ソ連の崩壊後、SCOの創立メンバー諸国も、オブザーバー諸国も、中央アジアを、中央アジア諸国と、ロシア、中国、イラン、インド、そして、最終的にはトルコさえも含む国々の間に相互に恩恵のある関係をはぐくむ構造とみなしてきた。
アフガニスタンは無限の混乱の中に投げ込まれており、何十万人もの国民が強制退去させられた。ほぼ連日の爆撃、無人機ミサイル攻撃、真夜中の奇襲攻撃、検問所での一般市民への無差別射撃。大規模な干ばつと飢饉。アヘン栽培と密売の激増。国の崩壊や分割や、核を持つ隣国インドとの緊張激化の可能性を伴って、パキスタンを燃え立たせることによる不安定化の拡大。
これがアフガニスタン侵略から七年半後の現在の深刻な状況だ。
更に30,000人のアメリカ兵士と、NATOからの更に数千人(最近、イタリア、ポーランド、グルジア、アゼルバイジャンと他の国々が増派を発表した)の配置により、西欧軍兵士の人数は、間もなく100,000人に達する。
これは火に油を注ぐものだ。タリバンは、アルカイダがそうであったような、不定形のものと化している。パシュトゥーン族地域でない同国北部および南部ですら、アフガニスタンにいる人間で、国内や、村落で、死と破壊をもたらす西欧の戦闘機や戦闘部隊に異議を唱える人々は、いまやタリブだ。敵なのだ。
より多くのアメリカとNATO兵士が、アフガニスタンにやってくればくるほど、一層の敵意と抵抗と暴力がおきるだろう。不可避的に。
アメリカとNATOは、上海協力機構や、ソ連崩壊後の集団安全保障条約機構からの、アフガニスタンの、長い間苦しんできた国民や、地域をひどく苦しめている無数の危機に非軍事的な解決をもたらすために、地域で協力するという申し出を、ごう慢にも拒否した。
NATOは、国づくり、平和維持、あるいは、人道主義的組織などではない。NATOは攻撃的な軍事同盟だ。NATOとその個々の加盟国の軍隊が、南および中央アジアを撤退して初めて、癒やし、再建と、永続する平和が始まろう。
国連も、NATOも、ましてアメリカも、国づくり、平和維持、あるいは、人道主義的組織などではない。それぞれ自らの国益のために頑張っている。
カルザイ政府よりも卑屈な属国日本傀儡政権だけが、宗主国の国益のために頑張っている。
今、反自民ブロガーの皆様の間で人気沸騰中の小沢代表が主張している(た?)ISAFへの派兵、いかにインチキなものかは、この記事のISAFの説明でも一目瞭然。
ISAF派兵こそまだ実現していないが、ソマリア派兵を言い出したのはブレジンスキーの弟子長島民主党議員。
自民から民主に政権交代したとて、「オザワのチェンジ」?という属国体制「継続」が待っているだけ。
そして、今まさに、NATO首脳会議が開催中。
マスコミ報道の一例(サンケイmsn)をあげておこう。
(この記事に格別、同意、感心するものではない。)
暗証番号いらずのATM国家日本が、アフガニスタン警官の給料を払う話はどうなっているのだろう?
NATO首脳会議開幕へ「新戦略」概念を協議
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