ソマリア沖で作戦活動中のドイツ海軍 09年1月14日記事
wsws.org
Marius Heuser
2009年1月14日 ←古い記事です。
二週間以上にわたり、ドイツは、国際航路を確保するため、アデン湾で海軍作戦行動を遂行している。
フランツ・ヨーゼフ・ユング国防相(キリスト教民主同盟、CDU)によると、これはドイツ戦後史上「最も堅固な任務」だ。フリゲート艦カールスルーエを見送るためユング国防相はジブチにまで飛んだ。もはや、これまでの作戦のような「援助、保護や仲裁」の提供にとどまらず、軍はきっぱり戦闘ができるのだと、ユング国防相は強調した。大多数の賛成で、12月に連邦議会を通った任務により、制裁として、ドイツ軍は、敵対する艦船を攻撃するのみならず、沈没させることもできる。
フリゲート艦カールスルーエの派遣は始まりに過ぎない。必要とされれば、フリゲート艦メックレンブルク・フォルポメルンも直接支援に使うことができる。この船は現在、同地域で、アメリカの指揮のもと、不朽の自由作戦という枠組みの中で、明らかに、より低い任務のもとで活動している。新たな任務のもとで、今や1,400人迄のドイツ兵士アデン湾に配備可能だ。
配備は、欧州連合のアトランタ作戦の一部であり、2008年11月10日 海賊対策として、欧州連合理事会で通過した。フランスとイギリスを含む5から10ヶ国が作戦に参加する。作戦本部はロンドンにあり、ギリシャ、スペインとオランダに、交代して移動指揮所を設置する。
ヨーロッパ諸国の軍に加え、ロシア、アメリカ、中国やイランの艦船もアデン湾に配備されている。
この地域への、外国軍隊の大規模な集中は、2008年6月2日に通過した国連決議1816によって可能となった。これにより、ソマリアの沿岸を巡るソマリアの統治権が撤廃され、世界のいかなる軍事大国でも、海賊とされるものに対し、ソマリア海岸から12マイルの内陸地域で、任務を遂行することを認める。これには空域も含まれる。
アメリカが支援した、エチオピア軍による同国の侵略以後、ソマリア沿岸で活動している海賊の数は、近年大幅に増加している。様々な情報筋が、100から300回の海賊攻撃とい数字を出しており、この地域を毎年通過する推計16,000-30,000隻の船舶のうち、39から200隻の船がだ捕されているという。船のハイジャックで、全体で約5000万ドルの身の代金がまきあげられている。
だが大規模軍事作戦は、単に海賊に対する戦いだけでは説明しきれない。経済危機の時代に、世界のどの大国も、大多数のアジア-ヨーロッパ貿易が依存しているこの重要な航路の支配権を、競争相手に委譲したがるはずがない。そのような商業用航路の地勢学的重要性は、石油やガス・パイプラインにも比肩するものだ。ドイツだけでも、原油の56パーセントを海運で輸入しており、ドイツの対外貿易の多くも海運によって輸送されている。
海賊との戦闘という旗印の下、商業経路である航路を巡って国際的な紛争が始まりつつあり、これは、激しい軍事紛争という結果を生じている。
既に、イラクとアフガニスタンの占領と「対テロ戦争」が、帝国主義者の政策を正当化するのに用いられてきた。今やドイツ政府は、「テロ」に対する戦いと、対海賊作戦との間に、密接なつながりをしたてあげている。
アトランタ作戦展開と、アフガニスタンにおけるアメリカの「不朽なる自由作戦」は、フリゲート艦メックレンブルク・フォルポメルンの例で見られるように、密接に関連している。キリスト教民主党議員集団の治安戦略報告書によると、 昨年の5月6日から、「弱小国家における組織犯罪の広まりが、テロの脅威を一層深刻化している。戦争、過激主義とテロは、犯罪行動による収益、特に麻薬取引によって資金を得ているが、違法な武器貿易、人身売買、不正資金浄化、あるいは海賊からも得ている。」
自由民主党 (FDP)のビルギット・ホンブルゲルは、このつながりを、さらにはっきりと表明し、彼女は連邦議会でこう語った「国境を越える国際テロは、もはや海賊や組織犯罪と区別できない。」アトランタ作戦と不朽の自由作戦は一体化すべきだと、彼女は要求している。
ドイツ海軍配備の背後にある経済的利害関係も、連邦議会であからさまに語られている。もっと以前のドイツ軍の配置に関する論議では、人道的、あるいは、少なくとも、安全保障政策論議が強調されていたが、現在の論議においては、「ドイツの利害関係」に関して力点がおかれている。
たとえば、12月17日、フランク=ヴァルター・シュタインマイアー外務大臣(社会民主党、SPD)はこう語った。「アトランタ作戦は、我々ドイツ人にも利害関係がある、民間航行地域における安全保障をも向上させるべきである。アデン湾は、ヨーロッパとアジア間の貿易物流の基幹だ。年間20,000隻の船だ。これらの多くは、ドイツに出入りする貨物を運ぶドイツの船会社に属している。」
ユング国防相も、「わが国は世界における輸出チャンピォンの一人なのだから」、「海上の治安を回復し、自由な海運を保証することへの貢献」をしようと、議員たちに懇願した際、ドイツの利害関係をひきあいにだした。
党の同僚ドロテー・バーは、この点を明確化している。「脅威を受けているのはアデン湾だけではない。世界貿易の自由も、脅かされているのだ。ヨーロッパ、アラビア半島とアジアの間の、最も重要な貿易路は、ソマリア沖の海上交通路を経由する。様々なドイツの輸出商品は、アフリカの角周辺の海を通過する船舶に載って、目的地に到着している。輸出国家として、民間海運に対する攻撃を、防いだり、削減したりすることに、重大な関心をもっている。これは我々ドイツにもあてはまるが、全ヨーロッパにもあてはまる。」
FDPは、政府の怠惰を責めた。海賊にはもっと早くから対処すべきだったと、ビルギット・ホンブルゲルは主張した。「この行為は、ドイツ海軍の体面を汚した。」 彼女はまた、海賊に対し、より厳しい対応をするよう主張した。「海賊を追い払うばかりでなく、海賊を追跡して捕らえることも必要だ」と彼女は語った。
この軍国主義的言辞や、様々な党が、ドイツ大企業の利害関係のための本格的な軍事任務をあからさまに支持していることは、ドイツ支配エリートが持つ帝国主義的野望のかなりの進展度合いを示している。支配層は、自分たちの利害を推進する上で、もはやドイツ国内における、軍国主義と戦争に対する広範な反対をも、織り込む覚悟ができている。
議会内の各政党が、これほど恥ずかしげもない行動をとれるという事実も、こうした政党のいずれも、軍事戦闘任務に対して、節操ある反対を唱えてはいないという事実と結びついている。左翼党は、政府の動議に反対投票する唯一の議会政党でありながら、同党はアデン湾の海賊に対する武力行使を、明確に支持している。
以下省略(四分の一程度)
記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2009/jan2009/germ-j14.shtml
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フリゲート艦カールスルーエの派遣は始まりに過ぎない。必要とされれば、フリゲート艦メックレンブルク・フォルポメルンも直接支援に使うことができる。こ
の船は現在、同地域で、アメリカの指揮のもと、不朽の自由作戦という枠組みの中で、明らかに、より低い任務のもとで活動している。新たな任務のもとで、今や1,400人迄のドイツ兵をアデン湾に配備可能だ。
をもじれば、やがては
護衛艦さざなみ、さみだれの派遣は始まりに過ぎない。必要とされれば、P3C哨戒機も直接支援に使うことができる。新たな任務のもとで、今や1,400人迄の日本兵をアデン湾に配備可能だ。
ということになるのか。最初はさざなみの如く、さみだれ式の、過去の中国侵略の二の舞。ただし、今後は傭兵として。
同じことを、何度も書く。いくら書いても、マスコミにかなうわけはないが。
ソマリア派兵を言い出したのが、民主党の長島議員であり、ISAFへの派兵を昔から主張しているのが、民主党の小沢代表。
現代日本の、救いようのない二大政党という方向を導くべく、小選挙区制度を導入したのも小沢代表。
第一次湾岸戦争時に、アメリカに莫大なつかみがねを払ったのも小沢代表。
たしか、血税を悪用する政党助成金なるインチキ制度も、小沢代表が関与してひねりだしたはずだ。「もらった金の配分は、幹部が決める」といって、議員を拘束するだけだろう。
そのご本人が、ぬけぬけと企業献金を受けている。企業が献金するのは、見返りを求めるからだろう。そうでなければ、株主に対する、不誠実だろう。(企業献金を、メセナのようなものとして、支持する方々がおられることが、全く理解できない。)こうした人々がトップにいる民主党による「政権交代」が実現すれば、庶民にとって、何か良い「チェンジ」が起きるがごとく、語っておられる多くのblogやマスコミ記事の不思議な論理、どうしても理解できない。
「別政党を名乗るだけの、八百長派閥間の交代だから、変わらないか、せいぜい、更に悪くなるくらいだろう」というのなら、理解できる。
民主党は、「自由」すらない、第二自民党だろう。宗主国におけるオバマの「チェンジ」で、アフガン・パキスタン戦争は拡大の一途。これと同じような困った「チェンジ」なら、属国日本でも、すぐに、簡単に、起きるだろう。
歴史の中の『洗脳』小田 晋(帝塚山学院大学教授)という記事の中に『蛙の王様症候群』という言葉がある。自分を滅ぼす王様をわざわざ選んでしまう人々の様子を描いている。このイソップの「蛙の王様」の話、昔は小泉元首相の顔を見るたびに思い出していたが、今は小沢待望論を見るたびに思い出す。
09/04/10のゲンダイネットには、下記エントリーがある。
不況で激減!ソマリア沖の日本船
一部を引用する。
麻生首相は国会で「年間2000隻、1日平均5、6隻の(日本)船がソマリア沖を通航している」と言ったが、実際は世界的な不況の影響で、日本関係船舶の運航は激減。麻生首相の説明の3割程度しか警護できていない。本来なら派遣そのものを見直すべきなのに、与党は海賊対処法案の修正協議で、護衛対象を外国船舶にまで広げ、海賊への射撃も可能にしようとしているからメチャクチャだ。
blog『薔薇、または陽だまりの猫』には、下記記事が転載されている。ご一読をお勧めする。
海賊対策」という罠.・栗田禎子/『信濃毎日』2009年4月5日「潮流」欄
憲法をふみにじるソマリア派兵法案が国会を通っても記事にはならず(載ってもごく小さな記事)放送もされず、タレントの奇行をはやしたてる。どちらが庶民に深刻な影響を与えるかを、よーく分かっていて、マスコミという名前の大本営広報部は、洗脳活動をしているとしか思えない。
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